以下に、本発明を具体化した第1実施形態を図面(図1〜図12)に基づいて説明する。図1はディーゼルエンジンの排気マニホールドが設置された左側面図、図2はディーゼルエンジンの吸気マニホールドが設置された右側面図、図3はディーゼルエンジンの冷却ファンが設置された正面図である。図1〜図3を参照しながら、ディーゼルエンジン1の全体構造について説明する。
図1〜図3に示す如く、ディーゼルエンジン1のシリンダヘッド2の一側面には吸気マニホールド3が配置されている。シリンダヘッド2は、エンジン出力軸4(クランク軸)とピストン(図示省略)が内蔵されたシリンダブロック5に上載されている。シリンダヘッド2の他側面に排気マニホールド6が配置されている。シリンダブロック5の前面と後面からエンジン出力軸4の前端と後端を突出させている。
図1〜図3に示す如く、シリンダブロック5の後面にフライホイールハウジング8を固着している。フライホイールハウジング8内にフライホイール(図示省略)を設ける。エンジン出力軸4の後端側に前記フライホイールを軸支させている。前記フライホイールを介してディーゼルエンジン1の動力を取り出すように構成している。さらに、シリンダブロック5の下面にはオイルパン11が配置されている。
図1、図3に示すように、吸気マニホールド3には、再循環用の排気ガスを取込む排気ガス再循環装置(EGR)15を配置する。図4に示すエアクリーナ16が吸気マニホールド3に接続される。エアクリーナ16にて除塵・浄化された外部空気は、吸気マニホールド3に送られ、ディーゼルエンジン1の各気筒に供給されるように構成している。
上記の構成により、ディーゼルエンジン1から排気マニホールド6に排出された排気ガスの一部が、排気ガス再循環装置15を介して、吸気マニホールド3からディーゼルエンジン1の各気筒に還流されることによって、ディーゼルエンジン1の燃焼温度が下がり、ディーゼルエンジン1からの窒素酸化物(NOx)の排出量が低減され、かつディーゼルエンジン1の燃費が向上される。
なお、シリンダブロック5内と図4に示すラジエータ19に冷却水を循環させる冷却水ポンプ21を備える。ディーゼルエンジン1の冷却ファン24設置側に冷却水ポンプ21を配置する。エンジン出力軸4にVベルト22などを介して冷却水ポンプ21及び冷却ファン24を連結し、冷却水ポンプ21及び冷却ファン24を駆動する。冷却水ポンプ21から、排気ガス再循環装置15のEGRクーラ18を介して、シリンダブロック5内に冷却水を送込む一方、冷却ファン24風にてディーゼルエンジン1を冷却するように構成している。
図1〜図3に示す如く、前記ディーゼルエンジン1の各気筒から排出された排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置27として、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒子状物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)としての第1ケース28と、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の窒素酸化物質を除去する尿素選択触媒還元(SCR)システムとしての第2ケース29を備える。図1、図2に示すように、第1ケース28には、酸化触媒30、スートフィルタ31が内設される。第2ケース29には、尿素選択触媒還元用のSCR触媒32、酸化触媒33が内設される。
ディーゼルエンジン1の各気筒から排気マニホールド6に排出された排気ガスは、排気ガス浄化装置27等を経由して、外部に放出される。排気ガス浄化装置27によって、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や、炭化水素(HC)や、粒子状物質(PM)や、窒素酸化物質(NOx)を低減するように構成している。
第1ケース28と第2ケース29は、平面視でディーゼルエンジン1の出力軸(クランク軸)4と平行な方向に長く延びた長尺円筒形状に構成している(図9参照)。第1ケース28の筒形状両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガスを取入れるDPF入口管34と、排気ガスを排出するDPF出口管35を設けている。同様に、第2ケース29の両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガスを取入れるSCR入口管36と、排気ガスを排出するSCR出口管37を設けている。
また、排気マニホールド6の排気ガス出口に、ディーゼルエンジン1に空気を強制的に送り込む過給機38を配置している。排気マニホールド6に過給機38を介してDPF入口管34を連通させ、ディーゼルエンジン1の排気ガスを第1ケース28内に導入する一方、尿素混合管39を介して、DPF出口管35にSCR入口管36を接続させ、第1ケース28の排気ガスを第2ケース29内に導入するように構成している。加えて、DPF出口管35と、尿素混合管39は、折曲げ及び伸縮可能な蛇腹状連結パイプ41に接続されている。なお、第2ケース29外周面にパイプ支持ブラケット40の基端側を固着し、SCR入口管36と、尿素混合管39は、パイプブラケット40にて着脱可能に固着されている。
図1に示す如く、ディーゼルエンジン1の多気筒分の各インジェクタ(図示省略)に、図4に示す燃料タンク45を接続する燃料ポンプ42とコモンレール43を備える。シリンダヘッド2の吸気マニホールド3設置側にコモンレール43と燃料フィルタ44を配置し、吸気マニホールド3下方のシリンダブロック5に燃料ポンプ42を配置している。なお、前記各インジェクタは、電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ(図示省略)を有する。
燃料タンク45内の燃料が燃料フィルタ44を介して燃料ポンプ42に吸込まれる一方、燃料ポンプ42の吐出側にコモンレール43が接続され、円筒状のコモンレール43がディーゼルエンジン1の各インジェクタにそれぞれ接続されている。なお、燃料ポンプ42からコモンレール43に圧送される燃料のうち余剰分は、燃料タンク45に戻され、高圧の燃料がコモンレール43内に一時貯留され、コモンレール43内の高圧燃料がディーゼルエンジン1の各気筒(シリンダ)内部に供給される。
上記の構成により、前記燃料タンク45の燃料が燃料ポンプ42によってコモンレール43に圧送され、高圧の燃料がコモンレール43に蓄えられると共に、前記各インジェクタの燃料噴射バルブがそれぞれ開閉制御されることによって、コモンレール43内の高圧の燃料がディーゼルエンジン1の各気筒に噴射される。即ち、前記各インジェクタの燃料噴射バルブを電子制御することによって、燃料の噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)を高精度にコントロールできる。したがって、ディーゼルエンジン1から排出される窒素酸化物(NOx)を低減できる。
次に、図4〜図9を参照して、前記ディーゼルエンジン1を搭載したトラクタ51について説明する。図4〜図9に示す作業車両としてのトラクタ51は、図示しない耕耘作業機などを装着し、圃場を耕す耕耘作業などを行うように構成されている。図4は農作業用トラクタの側面図、図5は同平面図、図6はエンジン部の左側面図、図7は同部の右側面図、図8は同部の平面図、図9は図8の拡大平面図である。なお、以下の説明では、トラクタの前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
図4及び図5に示す如く、作業車両としての農作業用トラクタ51は、走行機体52を左右一対の前車輪53と左右一対の後車輪54とで支持し、走行機体52の前部に前記ディーゼルエンジン1を搭載し、ディーゼルエンジン1にて後車輪54及び前車輪53を駆動することにより、前後進走行するように構成されている。ディーゼルエンジン1の上面側及び左右側面側は、開閉可能なボンネット56にて覆われている。
また、前記走行機体52の上面のうち、ボンネット56の後方には、オペレータが搭乗するキャビン57が設置されている。該キャビン57の内部には、オペレータが着座する操縦座席58と、操向手段としての操縦ハンドル59などの操縦機器が設けられている。また、キャビン57の左右外側部には、オペレータが乗降するための左右1対のステップ60が設けられ、該ステップ60より内側で且つキャビン57の底部より下側には、ディーゼルエンジン1に燃料を供給する燃料タンク45が設けられている。
また、前記走行機体52は、ディーゼルエンジン1からの出力を変速して後車輪54(前車輪53)に伝達するためのミッションケース61を備える。ミッションケース61の後部には、ロワーリンク62及びトップリンク63及びリフトアーム64などを介して、図示しない耕耘作業機などが昇降動可能に連結される。さらに、ミッションケース61の後側面に、前記耕耘作業機などを駆動するPTO軸65が設けられている。なお、トラクタ51の走行機体52は、ディーゼルエンジン1と、ミッションケース61と、それらを連結するクラッチケース66などにて構成される。
さらに、図4〜図7に示す如く、過給機38の排気ガス出口管80にDPF入口管34を着脱可能にボルト締結する。また、第1ケース28の外周面のうち、DPF出口管35側の端部の外周面にDPF支持脚体81の上端側を溶接固定すると共に、シリンダヘッド2の側面または排気マニホールド6の上面にDPF支持脚体81の下端側を着脱可能にボルト82締結する。即ち、排気ガス出口管80とDPF支持脚体81を介して、ディーゼルエンジン1の上面側に第1ケース28を取付ける。ディーゼルエンジン1の前後方向に、円筒状の第1ケース28の長手方向を向けて、排気マニホールド6と平行に第1ケース28を支持させる。
図6〜図9に示す如く、ディーゼルエンジン1の上面側に第2ケース29を支持させるSCR第1支持脚体83と、SCR第2支持脚体84を備える。SCR第1支持脚体83及びSCR第2支持脚体84の各上端側に第2ケース29のフランジ部を着脱可能にボルト締結させると共に、シリンダヘッド2の側面または吸気マニホールド3の上面に、SCR第1支持脚体83及びSCR第2支持脚体84の各下端側を着脱可能にボルト締結させる。したがって、第1ケース28と第2ケース29が、ディーゼルエンジン1の上面側に前後方向に平行に配置されるもので、ディーゼルエンジン1上面の左側に第1ケース28が位置し、ディーゼルエンジン1上面の右側に第2ケース29が位置する。
加えて、第1ケース28と第2ケース29の間に、それらに平行に尿素混合管39を配置する。冷却ファン24の冷却風路よりも高位置に、第1ケース28と第2ケース29と尿素混合管39が支持されると共に、尿素混合管39の左右側方が第1ケース28と第2ケース29にて閉塞される。尿素混合管39内の排気ガス温度が低下して、尿素混合管39内に供給される尿素水が結晶化するのを防止する。また、尿素混合管39内に供給される尿素水が、第1ケース28から第2ケース29に至る排気ガス中にアンモニアとして混合されるように構成している。
図4〜図9に示す如く、キャビン57の前面のうち、キャビン57右側角隅部の前面にテールパイプ91を立設させ、ボンネット56内部にテールパイプ91の下端側を延設させ、SCR出口管37にテールパイプ91の下端側を接続し、第2ケース29にて淨化された排気ガスがテールパイプ91からキャビン57の上方に向けて排出される。また、キャビン57の前面のうち、テールパイプ91が配置された右側部と反対側のボンネット56の左側部に尿素水タンク71を設置する。即ち、ボンネット56後部の右側部にテールパイプ91を配置し、ボンネット56後部の左側部に尿素水タンク71を配置する。
さらに、ボンネット56左側後部の走行機体52(キャビン57の底部フレーム等)に尿素水タンク71を搭載する。キャビン57左側の前面下部に、燃料タンク45の注油口46と、尿素水タンク71の注水口72を隣接させて設ける。オペレータの乗降頻度が低いキャビン57右側の前面にテールパイプ91が配置される一方、オペレータの乗降頻度が高いキャビン57左側の前面に注油口46と注水口72が配置される。なお、キャビン57は、左側または右側のいずれからでもオペレータが操縦座席58に乗降可能に構成されている。
また、尿素水タンク71内の尿素水溶液を圧送する尿素水噴射ポンプ73と、尿素水噴射ポンプ73を駆動する電動モータ74と、尿素水噴射ポンプ73に尿素水噴射管75を介して接続させる尿素水噴射ノズル76を備える。尿素混合管39に噴射台座77を介して尿素水噴射ノズル76を取付け、尿素混合管39の内部に尿素水噴射ノズル76から尿素水溶液を噴霧する。
上記の構成により、第1ケース28内の酸化触媒30及びスートフィルタ31にて、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や、炭化水素(HC)が低減される。次いで、尿素混合管39の内部で、ディーゼルエンジン1からの排気ガスに、尿素水噴射ノズル7からの尿素水が混合される。そして、第2ケース29内のSCR触媒32、酸化触媒33にて、尿素水がアンモニアとして混合された排気ガス中の窒素酸化物質(NOx)が低減され、テールパイプ91から機外に放出される。
図1〜図9に示す如く、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケース28と、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケース29を備え、左右の走行輪(前車輪53、後車輪54)が配置される機体フレーム(走行機体52)にディーゼルエンジン1を搭載する作業車両のエンジン装置において、ディーゼルエンジン1の出力軸芯線と平行な方向に第1ケース28と第2ケース29を配列させている。したがって、第1ケース28と第2ケース29の長手方向がディーゼルエンジン1の出力軸4と平行になるように、ディーゼルエンジン1の上面側または側面を活用して、第1ケース28と第2ケース29をコンパクトに設置できる。また、ディーゼルエンジン1の上面側または側面に設ける簡単な支持構造にて、ディーゼルエンジン1の上面側または側面に第1ケース28と第2ケース29を高剛性に固着できる。加えて、ディーゼルエンジン1の振動などに対して、第1ケース28と第2ケース29の取付け間隔を一定に維持できると共に、外形状が長尺な筒状に形成される前記各ケース28,29と、ディーゼルエンジン1の排気ガス出口側と、テールパイプ91などとの排気ガス配管を簡略化できる。
図1〜図9に示す如く、ディーゼルエンジン1の上面側のうち、ディーゼルエンジン1の排気マニホールド6の上方に第1ケース28を取付けると共に、ディーゼルエンジン1の吸気マニホールド3の上方に第2ケース29を取付けている。したがって、ディーゼルエンジン1の上面側スペースを有効に活用して、外形状が長尺な筒状に形成される第1ケース28と第2ケース29をコンパクトに設置できる。また、ディーゼルエンジン1の上面側に立設させる簡単な支持構造にて、ディーゼルエンジン1の上面側に第1ケース28と第2ケース29を高剛性に固着できる。
図4〜図9に示す如く、ディーゼルエンジン1が内設されたボンネット56の後方に運転キャビン57を配置した作業車両であって、運転キャビン57の下部に設けた燃料タンク45とディーゼルエンジン1の間に排気ガス浄化用の尿素水タンク71を設置している。したがって、ディーゼルエンジン1と燃料タンク45の排熱にて尿素水タンク71を加温でき、尿素水タンク71内の水溶液温度を所定以上に維持でき、寒冷地などにおいて第2ケース29の排気ガス浄化能力が低下するのを防止できる。燃料タンク45の給油口と尿素水タンク71の給水口を近接させて配置でき、燃料の給油作業と尿素水溶液の給水作業を同一作業場所にて実行でき、ディーゼルエンジン1用の燃料または排気ガス浄化用の尿素水溶液の補給作業性を向上できる。
次いで、図10に示す如く、SCR入口管36と尿素混合管39を連結するパイプブラケット40は、SCR入口管36の排気ガス入口側に溶接固定する入口側フランジ92と、尿素混合管39の排気ガス出口側に溶接固定する出口側フランジ93を有する。二重管構造のSCR入口管36の外管86と内管87の排気ガス入口側端部にリング状の入口側フランジ92を固着すると共に、同様に、二重管構造の尿素混合管39の外管88と内管89の排気ガス出口側端部にリング状の出口側フランジ93を固着する。ボルト94及びナット95にて、入口側フランジ92と出口側フランジ93を締結固定し、SCR入口管36と尿素混合管39を連結する。
また、図10に示す如く、SCR入口管36の外管86と尿素混合管39の外管88を、同一径のパイプにて形成すると共に、SCR入口管36の内管87と尿素混合管39の内管89も、同一径のパイプにて形成する。各外管86,88のパイプ肉厚みに比べ、各内管87,89のパイプ肉厚みを薄く形成する。さらに、絞り加工にて尿素混合管39の内管89の端部に嵌合小径部89aを形成し、SCR入口管36の内管87の内部に嵌合小径部89aを内挿させる。出口側フランジ93が固着された尿素混合管39の内管89の端部(嵌合小径部89a)に、入口側フランジ92が固着されたSCR入口管36の内管87の端部を被嵌させる。
即ち、尿素混合管39内の排気ガスが、入口側フランジ92または出口側フランジ93の内孔面に接触することなく、SCR入口管36に移動するように構成するもので、例えば、放熱し易い入口側フランジ92または出口側フランジ93の内孔面に排気ガスが接触した場合、排気ガスの温度が低下して、排気ガス中の尿素成分が結晶化して、入口側フランジ92または出口側フランジ93の内孔面に付着し、入口側フランジ92または出口側フランジ93の内孔面に尿素成分の結晶塊が形成され、排気ガスの移動を阻害する不具合が発生し易くなる。これに対して、図10に示す如く、入口側フランジ92または出口側フランジ93の内孔面を嵌合小径部89aにて遮蔽することにより、入口側フランジ92または出口側フランジ93の内孔面に排気ガスが接触するのを阻止し、入口側フランジ92または出口側フランジ93の内孔面に尿素成分の結晶塊が形成されるのを防止している。
次いで、図11、図12を参照して、第2ケース29のSCR入口管36部の構造を説明する。図11、図12に示す如く、SCR入口管36を構成するエルボ管状の外管86は、円筒を長手方向に二分割した一対の半割れ筒体86aを有し、一対の半割れ筒体86aの長手方向の端部を外側に向けて折り曲げて、該部に接合フランジ部86bを形成している。同様に、SCR入口管36を構成するエルボ管状の内管87は、円筒を長手方向に二分割した一対の半割れ筒体87aを有し、一対の半割れ筒体87aの長手方向の端部を外側に向けて折り曲げて、該部に接合フランジ部87bを形成している。一対の半割れ筒体87aの接合フランジ部87bを互いに溶接固定した状態で、一対の半割れ筒体86aの接合フランジ部86bにて接合フランジ部87bを挟持して溶接固定し、エルボ管状の外管86及び内管87を一体的に形成する。
さらに、エルボ管状の外管86両端側の円筒状開口から内管87の両端側を突出させ、外管86と内管87の一端側開口縁に入口側フランジ92を溶接固定する。一方、内管87の他端側開口縁に円筒状の入口側内管96の一端側を溶接固定した後、外管86の他端側開口縁に円筒状の入口側外管97の一端側を溶接固定する。第2ケース29の入口開口部98に入口側外管97の他端側を突入させて溶接固定すると共に、その入口側外管97の他端側開口から、第2ケース29の排気ガス供給室99内部に向けて、入口側内管96の他端側を突出させる。
また、第2ケース29の排気ガス供給室99は、SCR触媒32の排気ガス受入れ端面と、SCR触媒32との対向面を凹面状に窪ませた側蓋体100の間に形成される。入口側内管96の他端側から排気ガス供給室99に、尿素水がアンモニアとして混合された排気ガスを投入させ、SCR触媒32及び酸化触媒33内部に前記排気ガスを通過させ、排気ガス中の窒素酸化物質(NOx)を低減させるように構成している。
次いで、図9、図13を参照して、尿素混合管39部の構造を説明する。図9、図13に示す如く、尿素混合管39は、蛇腹状連結パイプ41に接続させるエルボ管部39aと、パイプブラケット40を介してSCR入口管36に接続させる長尺な円筒状の直管部39bを有する。エルボ管部39aと直管部39bが接合する付近のエルボ管部39aに噴射台座77を溶接固定し、エルボ管部39a側から直管部39bの内孔に向けて尿素水噴射ノズル76を開口させる。
また、図13に示す如く、円筒状の直管部39bの円筒軸心線111(直管部39b内の排気ガス流れ方向)に対して、尿素水噴射ノズル76の尿素水噴射方向112を、エルボ管部39aの排気ガス下手側に所定傾斜角度113(約4度)だけ傾斜させる。即ち、直管部39bの内壁面114のうち、エルボ管部39aの湾曲内径側の内壁面114a側に向けて、尿素水噴射ノズル76から尿素水が噴射される。尿素水噴射ノズル76から噴射された尿素水は、エルボ管部39aから直管部39bに移動する排気ガスの排出圧力により、直管部39bの内壁面114のうち、エルボ管部39aの湾曲外径側の内壁面114b側に向けて拡散されて、排気ガス中にアンモニアとして混合される。
なお、直管部39bの円筒軸心線111に対する尿素水噴射ノズル76の傾斜角度113(尿素水噴射方向112)は、エルボ管部39a及び直管部39bの内径、または標準作業(ディーゼルエンジン1の定格回転における運転)での排気ガスの流速などに基づき決定される。例えば、傾斜角度113が過大のときには、エルボ管部39aの湾曲内径側の内壁面114aに尿素水が付着して、湾曲内径側の内壁面114a部において尿素が結晶化し易い不具合がある。また、傾斜角度113が過小のときには、エルボ管部39aの湾曲外径側の内壁面114bに尿素水が付着して、湾曲外径側の内壁面114b部において尿素が結晶化し易い不具合がある。
次いで、図15を参照して、第2実施形態の第1ケース28及び第2ケース29の配置構造を説明する。図15に示す如く、ディーゼルエンジン1の上面側に第1ケース28を取付けると共に、ディーゼルエンジン1の側方のうち、吸気マニホールド3及び排気ガス再循環装置15及び燃料フィルタ44などが設置された側の走行機体52に、第2ケース29を取付けている。即ち、ディーゼルエンジン1の右側下部の走行機体52に第2ケース29を取付け、キャビン57の右側前面と右の前車輪53の間に第2ケース29を配置し、ディーゼルエンジン1の上方に尿素混合管39を横断状に延設させ、第2ケース29の後端側にテールパイプ91を接続させている。
図15に示す如く、ディーゼルエンジン1の上面側に第1ケース28を取付けると共に、ディーゼルエンジン1の側方のうち、吸気マニホールド3が設置された側に第2ケース29を取付けている。したがって、トラクタ51などにおいてオペレータの乗降頻度が低い側の機体一側方(機体右側)に、第2ケース29の排気ガス出口側に接続させるテールパイプ91と、第2ケース29とを互いに近接させてコンパクトに配置できる。また、トラクタ51などにおいてオペレータの乗降頻度が高い側の機体他側方(テールパイプ等の高温部に対して離間した機体左側位置)に、ディーゼルエンジン1用の燃料タンク45、または排気ガス浄化用の尿素水タンク71などを設けて、ディーゼルエンジン1用の燃料または排気ガス浄化用の尿素水溶液の補給作業性を向上できる。
次いで、図16、図17を参照して、第3実施形態〜第4実施形態の第1ケース28及び第2ケース29の配置構造を説明する。図16に示す第3実施形態では、ディーゼルエンジン1の排気マニホールド6が設置された側で、第1ケース28の上方側に第2ケース29を配置している。ディーゼルエンジン1の側方のうち、吸気マニホールド3及び排気ガス再循環装置15及び燃料フィルタ44などが設置された側と反対の左側面部に、第1ケース28と第2ケース29を片寄らせて配置できると共に、高温側(排気上手側)の第1ケース28の上方に、低温側(排気下手側)の第2ケース29及び尿素混合管39などを支持でき、寒冷地作業などにおいて、第2ケース29及び尿素混合管39などの温度低下を低減でき、排気ガス浄化機能を適正に維持できる。
一方、図17に示す第4実施形態では、ディーゼルエンジン1の排気マニホールド6が設置された側で、第1ケース28の下方側に第2ケース29を配置している。排気マニホールド6に接続させる高温側(排気上手側)の第1ケース28の下方に、低温側(排気下手側)の第2ケース29及び尿素混合管39などを支持でき、例えば、走行機体52に搭載する燃料タンク45または尿素水タンク71などに第2ケース29を近接させて取付けることができ、第1ケース28と第2ケース29の設置に必要なボンネット高さを低く形成できる。
また、図16、図17に示す如く、ディーゼルエンジン1の排気マニホールド6が設置された側で、第1ケース28の上方側または下方側に第2ケース29を配置した場合、ディーゼルエンジン1の排気マニホールド6側に第1ケース28と第2ケース29を互いに近接させてコンパクトに設置できる。ディーゼルエンジン1の排気マニホールド6側の排熱にて、排気ガスの浄化に必要な温度に第1ケース28または第2ケース29などの温度を容易に維持できる。
次いで、図18〜図26を参照して、第5実施形態の第1ケース28及び第2ケース29の配置構造を説明する。第1実施形態では、第1ケース28と第2ケース29の排気ガス移動方向が、ディーゼルエンジン1の出力軸4(クランク軸)軸心線と平行になるように、ディーゼルエンジン1の上面側に第1ケース28及び第2ケース29を配置したのに対し、第5実施形態は、第1ケース28と第2ケース29の排気ガス移動方向が、ディーゼルエンジン1の出力軸4(クランク軸)軸心線と直交するように、ディーゼルエンジン1の上面側に第1ケース28及び第2ケース29を配置している。
第5実施形態を図面に基づいて説明する。図18はディーゼルエンジンの吸気マニホールドが設置された右側面図、図19はディーゼルエンジンの排気マニホールドが設置された左側面図、図20は同平面図、図21はディーゼルエンジンの冷却ファンが設置された正面図、図22はディーゼルエンジンのフライホィールが設置された背面図、図23及び図24はディーゼルエンジンの斜視図である。図18〜図24を参照しながら、ディーゼルエンジン1の全体構造について説明する。
図18〜図24に示す如く、ディーゼルエンジン1のシリンダヘッド2の一側面には吸気マニホールド3が配置されている。シリンダヘッド2は、エンジン出力軸4(クランク軸)とピストン(図示省略)が内蔵されたシリンダブロック5に上載されている。シリンダヘッド2の他側面に排気マニホールド6が配置されている。シリンダブロック5の前面と後面からエンジン出力軸4の前端と後端を突出させている。
また、シリンダブロック5の後面にフライホイールハウジング8を固着している。フライホイールハウジング8内にフライホイール9を設ける。エンジン出力軸4の後端側にフライホイール9を軸支させている。フライホイール9を介してディーゼルエンジン1の動力を取り出すように構成している。さらに、シリンダブロック5の下面にはオイルパン11が配置されている。
図18、図20に示すように、吸気マニホールド3には、再循環用の排気ガスを取込む排気ガス再循環装置(EGR)15を配置する。吸気マニホールド3にエアクリーナ16を連結する。エアクリーナ16にて除塵・浄化された外部空気は、吸気マニホールド3に送られ、ディーゼルエンジン1の各気筒に供給されるように構成している。
上記の構成により、ディーゼルエンジン1から排気マニホールド6に排出された排気ガスの一部が、排気ガス再循環装置15を介して、吸気マニホールド3からディーゼルエンジン1の各気筒に還流されることによって、ディーゼルエンジン1の燃焼温度が下がり、ディーゼルエンジン1からの窒素酸化物(NOx)の排出量が低減され、かつディーゼルエンジン1の燃費が向上される。
なお、シリンダブロック5内とラジエータ19に冷却水を循環させる冷却水ポンプ21を、ディーゼルエンジン1の冷却ファン24設置側に配置する。エンジン出力軸4にVベルト22などを介して冷却水ポンプ21及び冷却ファン24を連結し、冷却水ポンプ21及び冷却ファン24を駆動する。冷却水ポンプ21からシリンダブロック5内に冷却水を送込む一方、冷却ファン24風にてディーゼルエンジン1を冷却するように構成している。
図18〜図24に示す如く、前記ディーゼルエンジン1の各気筒から排出された排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置27として、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒子状物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPFケース)としての第1ケース28と、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の窒素酸化物質を除去する尿素選択触媒還元システム(SCRケース)としての第2ケース29を備える。図20のように、第1ケース28には、酸化触媒30、スートフィルタ31が内設される。第2ケース29には、尿素選択触媒還元用のSCR触媒32、酸化触媒33が内設される。
ディーゼルエンジン1の各気筒から排気マニホールド6に排出された排気ガスは、排気ガス浄化装置27等を経由して、外部に放出される。排気ガス浄化装置27によって、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や、炭化水素(HC)や、粒子状物質(PM)や、窒素酸化物質(NOx)を低減するように構成している。
第1ケース28と第2ケース29は、平面視でディーゼルエンジン1の出力軸(クランク軸)4と直交する水平方向に長く延びた略円筒形状に構成している。第1ケース28の円筒形両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガスを取入れるDPF入口管34と、排気ガスを排出するDPF出口管35を設けている。同様に、第2ケース29の円筒形両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガスを取入れるSCR入口管36と、排気ガスを排出するSCR出口管37を設けている。
また、排気マニホールド6の排気ガス出口に、ディーゼルエンジン1に空気を強制的に送り込む過給機38を配置している。排気マニホールド6に過給機38を介してDPF入口管34を連通させ、ディーゼルエンジン1の排気ガスを第1ケース28内に導入する一方、DPF出口管35に尿素混合管39を介してSCR入口管36を接続させ、第1ケース28の排気ガスを第2ケース29内に導入するように構成している。なお、SCR入口管36にパイプブラケット40を介して尿素混合管39の端部のうち排気ガス出口側を着脱可能に連結している。
図18に示す如く、ディーゼルエンジン1の多気筒分の各インジェクタ(図示省略)に、燃料タンク45を接続する燃料ポンプ42とコモンレール43を備える。シリンダヘッド2の吸気マニホールド3設置側にコモンレール43と燃料フィルタ44を配置し、吸気マニホールド3下方のシリンダブロック5に燃料ポンプ42を配置している。なお、前記各インジェクタは、電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ(図示省略)を有する。
前記燃料タンク45内の燃料が燃料フィルタ44を介して燃料ポンプ42に吸込まれる一方、燃料ポンプ42の吐出側にコモンレール43が接続され、円筒状のコモンレール43がディーゼルエンジン1の各インジェクタにそれぞれ接続されている。
上記の構成により、燃料タンク45の燃料が燃料ポンプ42によってコモンレール43に圧送され、高圧の燃料がコモンレール43に蓄えられると共に、前記各インジェクタの燃料噴射バルブがそれぞれ開閉制御されることによって、コモンレール43内の高圧の燃料がディーゼルエンジン1の各気筒に噴射される。即ち、前記各インジェクタの燃料噴射バルブを電子制御することによって、燃料の噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)を高精度にコントロールできる。したがって、ディーゼルエンジン1から排出される窒素酸化物(NOx)を低減できる。
次に、図25、図26を参照して、図18〜図24に示すディーゼルエンジン1を搭載した第5実施形態のトラクタ51について説明する。図4及び図5に示す第1実施形態と同様に、作業車両としての第5実施形態のトラクタ51は、図25及び図26に示す如く、走行機体52を左右一対の前車輪53と左右一対の後車輪54とで支持し、走行機体52の前部にディーゼルエンジン1を搭載し、ディーゼルエンジン1にて後車輪54及び前車輪53を駆動することにより、前後進走行するように構成されている。ディーゼルエンジン1の上面側及び左右側面側は、開閉可能なボンネット56にて覆われている。
一方、前記走行機体52の上面のうち、ボンネット56の後方には、オペレータが搭乗するキャビン57が設置されている。該キャビン57の内部には、オペレータが着座する操縦座席58と、操向手段としての操縦ハンドル59などの操縦機器が設けられている。また、キャビン57の左右外側部には、オペレータが乗降するための左右1対のステップ60が設けられ、該ステップ60より内側で且つキャビン57の底部より下側には、ディーゼルエンジン1に燃料を供給する燃料タンク45が設けられている。
さらに、前記走行機体52は、ディーゼルエンジン1からの出力を変速して後車輪54(前車輪53)に伝達するためのミッションケース61を備える。ミッションケース61の後部には、ロワーリンク62及びトップリンク63及びリフトアーム64などを介して、図示しない耕耘作業機などが昇降動可能に連結される。さらに、ミッションケース61の後側面に、前記耕耘作業機などを駆動するPTO軸65が設けられている。なお、トラクタ51の走行機体52は、ディーゼルエンジン1と、ミッションケース61と、それらを連結するクラッチケース66などにて構成されている。
図1、図3、図8、図11などを参照して、ディーゼルエンジン1の排気ガスの排出構造を説明する。図1、図3、図11に示す如く、過給機38の排気ガス出口管80に可とう性耐熱ゴム製のガス排出管171の一端側を連結し、DPF入口管34にガス排出管171の他端側を連結し、過給機38にガス排出管171を介して第1ケース28を連通させ、過給機38から第1ケース28に排気マニホールド6の排気ガスを移動させるように構成している。
また、DPF出口管35に金属製の蛇腹状連結パイプ41の一端側を連結し、蛇腹状連結パイプ41の他端側に尿素混合管39の排気ガス入口側(図13、図20のエルボ管部39a)を一体的に配置し、尿素混合管39の一端側に蛇腹状連結パイプ41を介してDPF出口管35を連結させると共に、尿素混合管39の排気ガス出口側(図13、図20の直管部39b)にパイプブラケット40を介してSCR入口管36を連結する。即ち、蛇腹状連結パイプ41と、尿素混合管39を介して、DPF出口管35にSCR入口管36を接続させ、第1ケース28に第2ケース29を連通させ、第1ケース28から第2ケース29に排気ガスを移動させるように構成する。なお、蛇腹状連結パイプ41は、蛇腹形状で、折曲げ可能及び伸縮可能に形成し、第1ケース28と第2ケース29を組付けるときに、蛇腹状連結パイプ41を変形させて、第1ケース28と第2ケース29の組付け寸法誤差を修正するように構成している。
図18、図25、図26に示す如く、尿素水を貯蔵する尿素水タンク71と、尿素供給用の尿素水噴射ノズル76と、尿素水噴射ノズル76に尿素水タンク71の尿素水を圧送する尿素水噴射ポンプ73を備える。なお、図4、図5に示す第1実施形態と同様に、尿素水タンク71は、ディーゼルエンジン1と燃料タンク45の間の走行機体52に内設される。尿素水噴射ポンプ73は、電動モータ74の出力にて駆動される。尿素水噴射ノズル76は、尿素混合管39の噴射台座77に配置される。
上記の構成により、尿素水タンク71内の尿素水が尿素水噴射ポンプ73から尿素水噴射ノズル76に圧送され、尿素水噴射ノズル76から尿素水が尿素混合管39内に噴射され、尿素混合管39の内部で、ディーゼルエンジン1からの排気ガスに、尿素水噴射ノズル7からの尿素水が混合される。尿素水が混合された排気ガスは第2ケース29(SCR触媒32、酸化触媒33)を通過して、排気ガス中の窒素酸化物質(NOx)が低減され、SCR出口管37から外部に放出される。なお、排気ガス中に尿素水を噴霧することにより、加水分解にて排気ガス中にアンモニアガスが生成され、そのアンモニアガスと排気ガスが混合されてSCR入口管36から第2ケース29内部に導入され、第2ケース29内の触媒32,33にて排気ガス中の窒素酸化物質(NOx)が除去される。
次に、図18〜図24を参照して、排気ガス浄化装置27の取付け構造を説明する。第1ケース28のDPF入口管34側を支持する第1支持脚体181と、第1ケース28のDPF出口管35側を支持する第2支持脚体182を備える。シリンダヘッド2の側面のうち、排気マニホールド6配置側の側面に、第1支持脚体181の下端側をボルト183締結し、シリンダヘッド2の一側面に第1支持脚体181を立設させる。第1支持脚体181の上端側に第1ケース28のDPF入口管34側を締結バンド186にて着脱可能に固着する。
また、シリンダヘッド2の側面のうち、吸気マニホールド3配置側の側面と、冷却水ポンプ21配置側の側面に、第2支持脚体182の下端側をボルト184,185締結し、シリンダヘッド2の他側面に第2支持脚体182を立設させる。第2支持脚体182の上端側に第1ケース28のDPF出口管35側を締結ボルト187にて着脱可能に固着する。即ち、シリンダヘッド2の対向する側面に、第1支持脚体181と第2支持脚体182を立設させ、シリンダヘッド2を跨ぐ姿勢に第1ケース28を支持する。エンジン出力軸4と交叉する水平横方向に円筒状の第1ケース28の長手方向(排気ガス移動方向)を向けるように構成している。
一方、図18、図19に示す如く、冷却ファン24に対向させて配置するラジエータ19を備える。走行機体52上面側に機体フレーム191を立設させる。機体フレーム191に、ラジエータ19と、風洞板体192を支持させる。風洞板体192にて冷却ファン24を覆い、ラジエータ19を介して冷却ファン24が外気を吸込み、冷却ファン24から風洞板体192の案内にてディーゼルエンジン1に向けて冷却風を供給すると共に、ディーゼルエンジン1の各部とラジエータ19に冷却水ポンプ21にて冷却水を循環させ、ディーゼルエンジン1を冷却するように構成している。
また、図18、図19に示す如く、第2ケース29から下面側に向けてSCR支持脚体193を突出させ、前記機体フレーム191にSCR支持脚体193の下端側を着脱可能にボルト194締結している。冷却ファン24の略直上に第2ケース29が配置される。冷却ファン24の上面側と第2ケース29の下面側の間にシュラウドとしての風洞板体192を介在させる。風洞板体192の最上端部よりも、第1支持脚体181及び第2支持脚体182の上端部を高位置に設け、風洞板体192の最上端部よりも第1ケース28を高位置に支持させると共に、機体フレーム191及びSCR支持脚体193を介して、第1ケース28よりも第2ケース29をさらに高位置に支持させるように構成している。
前後方向に延設されたディーゼルエンジン1の出力軸4に対し、第1ケース28と第2ケース29の排気ガス移動方向(円筒形状の軸心線)を直交させるように、第1ケース28と第2ケース29を左右方向に延設させている。ディーゼルエンジン1の上面側のうち、冷却ファン24設置部の上面側に第1ケース28と第2ケース29が平行に配置され、第1ケース28と第2ケース29の対向側面の上方側に尿素混合管39を平行に延設させている。また、風洞板体192にて形成されるディーゼルエンジン1の冷却ファン24風路よりも、第1ケース28と第2ケース29を高位置に配置し、第1ケース28よりもさらに高位置に第2ケース29を配置している。即ち、ディーゼルエンジン1の風洞板体192(冷却ファン用シュラウド)上面よりも高位置に第1ケース28と第2ケース29が配置され、冷却ファン24の直上に第2ケース29が配置される。
したがって、ケースブラケットとしての第1支持脚体181及び第2支持脚体182のエンジン冷却風ガイド作用にて、ディーゼルエンジン1の上面側に冷却ファン24からの冷却風が移動案内される。なお、第1ケース28と風洞板体92の間に冷却風ガイド体(図示省略)を設け、風洞板体192側からディーゼルエンジン1の上面側に向けて、前記冷却風ガイド体の案内にて、冷却ファン24からの冷却風を移動させることもできる。
第1実施形態(図1〜図14)及び第5実施形態(図18〜図24)に示す如く、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケース28と、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケース29と、第2ケース29の排気ガス入口に第1ケース28の排気ガス出口を接続する尿素混合管39を備え、第1ケース28と第2ケース29を平行に配置すると共に、尿素混合管39内に尿素水を噴射させる排気ガス浄化装置において、第1ケース28と、第2ケース29と、尿素混合管39とを、排気ガス移動方向に平行に配置する構造であって、第1ケース28の排気ガス出口側の端面に排気ガス出口管としてのDPF出口管35を設け、第2ケース29の排気ガス入口側の側面に排気ガス入口管としてのSCR入口管36を設けると共に、尿素混合管39に蛇腹状連結パイプ41を介してDPF出口管35を接続させ、尿素混合管39と蛇腹状連結パイプ41の間に尿素水噴射ノズル76を配置している。したがって、ディーゼルエンジン1または本機(走行機体52)などに対して、第1ケース28の組付作業と第2ケース29の組付作業をそれぞれ各別に実行して、第1ケース28と第2ケース29を独立的に組付けた状態で、第1ケース28と第2ケース29に、蛇腹状連結パイプ41を介して尿素混合管39を接続できる。
即ち、前記第1ケース28と第2ケース29の排気流路構造を簡単にかつ低コストに構成できるものでありながら、農業機械または建設機械などにディーゼルエンジン1を搭載する組立工場などにおいて、第1ケース28と第2ケース29を互いに独立した部品として取扱うことができ、組立作業性などを容易に向上できる。特に、変形可能な蛇腹状連結パイプ41の取付け位置調節(組付け寸法の誤差訂正)により、第1ケース28のDPF支持脚体81とは別の支持部材(SCR第1支持脚体83、SCR第2支持脚体84)に第2ケース29を簡単に取付けることができる。また、蛇腹状連結パイプ41の排気ガス移動下手側で、尿素混合管39に向けて尿素水噴射ノズル76から尿素水を噴射させることにより、尿素水噴射ノズル76から噴射された尿素水が蛇腹状連結パイプ41の内側面に付着して結晶化するのを防止できる。
さらに、第1実施形態(図1〜図9、図13)に示す如く、排気ガス出口管80にDPF入口管34の位置を合わせ、第1ケース28の排気ガス入口側に第2ケース29を偏位させて、ディーゼルエンジン1の前後幅内に第1ケース28及び第2ケース29を配置できる。一方、第1実施形態(図14)及び第5実施形態(図18〜図24)に示す如く、ディーゼルエンジン1の排気ガスを取入れるための排気接続管としての排気ガス出口管80を、第1ケース28の排気ガス入口側の側面に接続させると共に、第1ケース28の排気ガス出口側に第2ケース29を偏位させて、第1ケース28の排気ガス出口側の端面よりも、蛇腹状連結パイプ41の設置幅寸法Lだけ、第2ケース29の排気ガス出口側の端面を突設させ、第2ケース29の排気ガス出口側の外周側方に蛇腹状連結パイプ41を配置させることもできる。したがって、第1ケース28及び第2ケース29に対してともにそれぞれの側面から排気ガスを供給でき、第1ケース28及び第2ケース29の各内部での排気ガスの拡散を良好に確保できる。
また、第1ケース28に対して、排気ガス移動方向に第2ケース29を位置ずれさせるものであり、第1ケース28及び第2ケース29の排気ガス移動方向長さの差と、蛇腹状連結パイプ41の設置幅寸法Lにて発生する取付け幅の段差寸法Mだけ、第1ケース28の排気ガス入口側端面に対して、第2ケース29の排気ガス入口側端面を排気ガス移動下手側に偏位させる。また、上記したように、蛇腹状連結パイプ41の設置幅寸法Lだけ、第1ケース28の排気ガス出口側端面に対して、第2ケース29の排気ガス出口側端面を排気ガス移動下手側に偏位させている。即ち、第1ケース28の排気ガス出口側に第2ケース29を偏位させて、第1ケース28の排気ガス出口側の端面よりも、第2ケース29の排気ガス出口側の端面を排気ガス移動下手側に突設させるから、第1ケース28及び第2ケース29を囲む矩形枠(平面視)の内部に、尿素混合管39と蛇腹状連結パイプ41をコンパクトに支持できる。
加えて、第1ケース28の排気ガス出口側端面と第2ケース29の側面に蛇腹状連結パイプ41を近接させて、第1ケース28の排気ガス出口側端面と第2ケース29の側面にて形成される凹部スペースに蛇腹状連結パイプ41を設置でき、蛇腹状連結パイプ41の温度低下を低減でき、第1ケース28から尿素混合管39に至る排気ガスの温度が、蛇腹状連結パイプ41を通過するときに低下するのを容易に防止できる。したがって、仮りに、蛇腹状連結パイプ41の内部に尿素水が逆流しても、蛇腹状連結パイプ41内部での尿素水の結晶化を阻止できる。