JP2016065542A - 作業車両 - Google Patents

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義幸 山東
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Abstract

【課題】エンジン1が内設されるエンジンルーム(ボンネット)をコンパクトに構成できると共に、外形状が長尺な筒状に形成される前記各ケース28,29の組付け作業性又はメンテナンス作業性などを向上できるようにした作業車両を提供しようとするものである。
【解決手段】エンジン1の排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケース28と、エンジン1の排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケース29を備え、左右の走行輪53,54が配置される走行機体フレーム120にエンジン1を搭載する。作業車両は、ボンネット56内にエンジン1及び第1ケース28を内設しており、オペレータが搭乗する運転部57がボンネット56後方に配置されている。走行機体フレーム120に支持体121を介して第2ケース29が取付けられている。
【選択図】図5

Description

本願発明は、農業機械(トラクタ、コンバイン)または建設機械(ブルドーザ、油圧ショベル、ローダー)などに搭載するディーゼルエンジン等のエンジン装置に係り、より詳しくは、排気ガス中に含まれた粒子状物質(すす、パティキュレート)、または排気ガス中に含まれた窒素酸化物質(NOx)等を除去する排気ガス浄化装置が搭載された作業車両に関するものである。
トラクタまたはホイルローダ等の作業車両においては、走行機体の前部に配置されたエンジンのメンテナンス作業の能率化のため、エンジンを覆うためのボンネットの後部に開閉支点軸を配置し、その開閉支点軸回りにボンネットを回動させていた。また、従来から、ディーゼルエンジンの排気経路中に、排気ガス浄化装置(排気ガス後処理装置)として、ディーゼルパティキュレートフィルタを内設したケース(以下、DPFケースという)と、尿素選択還元型触媒を内設したケース(以下、SCRケースという)を設け、DPFケースとSCRケースに排気ガスを導入して、ディーゼルエンジンから排出された排気ガスを浄化処理する技術が知られている(例えば特許文献1〜3参照)。
特開2009−74420号公報 特開2012−21505号公報 特開2012−177233号公報
特許文献1または2のように、エンジンに対して離間させてDPFケースとSCRケースを組付ける場合、エンジンからDPFケースまたはSCRケースに供給される排気ガスの温度が低下して、ディーゼルパティキュレートフィルタの再生、または選択触媒還元作用などの化学反応が不完全になり、窒素酸化物の淨化効率が悪くなるから、SCRケース内の排気ガスの温度を高温に維持する特別の装置が必要になる等の問題がある。
一方、特許文献3のように、エンジンにDPFケースとSCRケースを組付ける場合、エンジンからSCRケースに供給される排気ガスの温度低下を低減して、SCRケース内の排気ガスの温度を高温に維持しやすいが、エンジンルーム内にDPFケースとSCRケース用の設置空間を確保する必要があり、エンジンルームをコンパクトに構成しにくいと共に、DPFケースまたはSCRケース等を簡単に支持できない等の問題がある。また、狭少なエンジンルームでは、DPFケースまたはSCRケース等の組付け作業性又はメンテナンス作業性などを向上できない等の問題もある。
そこで、本願発明は、これらの現状を検討して改善を施した作業車両を提供しようとするものである。
前記目的を達成するため、本願発明の作業車両は、エンジンの排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケースと、前記エンジンの排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケースを備え、左右の走行輪が配置される走行機体フレームに前記エンジンを搭載する作業車両のエンジン装置において、前記作業車両は、ボンネット内に前記エンジン及び前記第1
ケースを内設しており、オペレータが搭乗する運転部が前記ボンネット後方に配置されており、前記第1ケースが前記エンジンまたは前記走行機体フレームのいずれか一方に支持されるとともに、前記走行機体フレームに支持体を介して前記第2ケースが取付けられており、前記第2ケースが前記運転部前面側に配置され、前記エンジン後部の一側方に前記第2ケースを配置し、前記エンジン後部の他側方に尿素水タンクを配置したものである。
上記作業車両のエンジン装置において、前記エンジン後部の一側方の前記走行機体フレームに支持体を介して前記第2ケースを縦長姿勢に取付けたものとしてもよい。
上記作業車両のエンジン装置において、前記エンジン後部の一側方の前記走行機体フレームに支持体を介して前記第2ケースを横長姿勢に取付けたものとしてもよい。
上記作業車両のエンジン装置において、前記エンジンに燃料を供給する燃料タンクを備えており、前記燃料タンクの注油口と前記尿素水タンクの注水口とが近接して配置されているものとしてもよい。
本願発明によれば、前記走行機体フレームに前記第2ケースを簡単に支持でき、外形状が長尺な筒状に形成される前記各ケースの組付け作業性又はメンテナンス作業性などを向上できる。また、前記第1ケースの排気ガス出口と第2ケースの排気ガス入口を、尿素の混合に必要な間隔に離間でき、前記第2ケースに至る排気ガス中におけるアンモニアの発生を促進できる。
本願発明によれば、前記エンジン後部の一側方の前記走行機体フレームに支持体を介して前記第2ケースを縦長姿勢に取付けたものとすることで、前記エンジンの後部付近(ボンネットと運転部の接合角隅付近)に、外形状が長尺な筒状に形成される前記第2ケースをコンパクトに設置できる。例えば、前輪を目視すべく、ボンネットの左右幅が制限される構造であっても、運転部からのオペレータの前方視界を容易に確保できる。
本願発明によれば、前記エンジン後部の一側方の前記走行機体フレームに支持体を介して前記第2ケースを横長姿勢に取付けたものとすることで、前記エンジン後部の低い位置に、外形状が長尺な筒状に形成され前記第2ケースをコンパクトに設置できる。例えば、前車輪を目視すべく、ボンネットの左右幅が制限される構造であっても、前記エンジンが内設されるボンネット後部の右外側のうち、運転部前面側の低い位置に前記第2ケースを容易に配置でき、運転部からのオペレータの前方視界を容易に確保できる。
本願発明によれば、前記エンジン後部の一側方に前記第2ケースを配置し、前記エンジン後部の他側方に前記尿素水タンクを配置したものとすることで、前記燃料タンクの給油口と前記尿素水タンクの給水口を近接させて配置でき、燃料の給油作業と尿素水溶液の給水作業を同一作業場所にて実行でき、前記エンジン用の燃料または排気ガス浄化用の尿素水溶液の補給作業性を向上できるものでありながら、前記第2ケースと前記尿素水タンクの設置スペースとして、前記エンジン後部の両側方(前記運転部の前側下部)を有効利用できる。加えて、前記エンジンと燃料タンクの排熱にて前記尿素水タンクを加温でき、前記尿素水タンク内の水溶液温度を所定以上に維持でき、寒冷地などにおいて前記第2ケースの排気ガス浄化能力が低下するのを防止できる。
第1実施形態を示すディーゼルエンジンの左側面図である。 同右側面図である。 同正面図である。 ディーゼルエンジンを搭載したトラクタの左側面図である。 同平面図である。 排気ガス浄化装置の左側面図である。 同右側面図である。 同平面図である。 図8の拡大説明図である。 SCR入口管と尿素混合管の連結部の拡大図である。 排気ガス浄化ケースの説明図である。 第2実施形態を示すトラクタのエンジン部の斜視図である。 第3実施形態を示すトラクタのエンジン部の斜視図である。 第4実施形態を示すトラクタのエンジン部の斜視図である。
以下に、本発明を具体化した第1実施形態を図面(図1〜図13)に基づいて説明する。図1はディーゼルエンジンの排気マニホールドが設置された左側面図、図2はディーゼルエンジンの吸気マニホールドが設置された右側面図、図3はディーゼルエンジンの冷却ファンが設置された正面図である。図1〜図3を参照しながら、ディーゼルエンジン1の全体構造について説明する。
図1〜図3に示す如く、ディーゼルエンジン1のシリンダヘッド2の一側面には吸気マニホールド3が配置されている。シリンダヘッド2は、エンジン出力軸4(クランク軸)とピストン(図示省略)が内蔵されたシリンダブロック5に上載されている。シリンダヘッド2の他側面に排気マニホールド6が配置されている。シリンダブロック5の前面と後面からエンジン出力軸4の前端と後端を突出させている。
図1〜図3に示す如く、シリンダブロック5の後面にフライホイールハウジング8を固着している。フライホイールハウジング8内にフライホイール(図示省略)を設ける。エンジン出力軸4の後端側に前記フライホイールを軸支させている。前記フライホイールを介してディーゼルエンジン1の動力を取り出すように構成している。さらに、シリンダブロック5の下面にはオイルパン11が配置されている。
図1、図3に示すように、吸気マニホールド3には、再循環用の排気ガスを取込む排気
ガス再循環装置(EGR)15を配置する。図4に示すエアクリーナ16が吸気マニホールド3に接続される。エアクリーナ16にて除塵・浄化された外部空気は、吸気マニホールド3に送られ、ディーゼルエンジン1の各気筒に供給されるように構成している。
上記の構成により、ディーゼルエンジン1から排気マニホールド6に排出された排気ガスの一部が、排気ガス再循環装置15を介して、吸気マニホールド3からディーゼルエンジン1の各気筒に還流されることによって、ディーゼルエンジン1の燃焼温度が下がり、ディーゼルエンジン1からの窒素酸化物(NOx)の排出量が低減され、かつディーゼルエンジン1の燃費が向上される。
なお、シリンダブロック5内と図4に示すラジエータ19に冷却水を循環させる冷却水ポンプ21を備える。ディーゼルエンジン1の冷却ファン24設置側に冷却水ポンプ21を配置する。エンジン出力軸4にVベルト22などを介して冷却水ポンプ21及び冷却ファン24を連結し、冷却水ポンプ21及び冷却ファン24を駆動する。冷却水ポンプ21から、排気ガス再循環装置15のEGRクーラ18を介して、シリンダブロック5内に冷却水を送込む一方、冷却ファン24風にてディーゼルエンジン1を冷却するように構成している。
図1〜図3に示す如く、前記ディーゼルエンジン1の各気筒から排出された排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置27として、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒子状物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)としての第1ケース28と、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の窒素酸化物質を除去する尿素選択触媒還元(SCR)システムとしての第2ケース29を備える。図1、図2に示すように、第1ケース28には、酸化触媒30、スートフィルタ31が内設される。第2ケース29には、尿素選択触媒還元用のSCR触媒32、酸化触媒33が内設される。
ディーゼルエンジン1の各気筒から排気マニホールド6に排出された排気ガスは、排気ガス浄化装置27等を経由して、外部に放出される。排気ガス浄化装置27によって、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や、炭化水素(HC)や、粒子状物質(PM)や、窒素酸化物質(NOx)を低減するように構成している。
第1ケース28は、平面視でディーゼルエンジン1の出力軸(クランク軸)4と平行な方向に長く延びた横長の長尺円筒形状に構成している。第1ケース28の筒形状両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガスを取入れるDPF入口管34と、排気ガスを排出するDPF出口管35を設けている。一方、第2ケース29は、上下方向に長く延びた縦長の長尺円筒形状に構成している。第2ケース29の両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガスを取入れるSCR入口管36と、排気ガスを排出するSCR出口管37を設けている。
また、排気マニホールド6の排気ガス出口に、ディーゼルエンジン1に空気を強制的に送り込む過給機38を配置している。排気マニホールド6に過給機38を介してDPF入口管34を連通させ、ディーゼルエンジン1の排気ガスを第1ケース28内に導入する一方、尿素混合管39を介して、DPF出口管35にSCR入口管36を接続させ、第1ケース28の排気ガスを第2ケース29内に導入するように構成している。加えて、DPF出口管35と、尿素混合管39は、折曲げ及び伸縮可能な蛇腹状連結パイプ41に接続されている。なお、SCR入口管36と、尿素混合管39は、パイプブラケット40にて着脱可能に固着されている。
図2に示す如く、ディーゼルエンジン1の多気筒分の各インジェクタ(図示省略)に、図4に示す燃料タンク45を接続する燃料ポンプ42とコモンレール43を備える。シリンダヘッド2の吸気マニホールド3設置側にコモンレール43と燃料フィルタ44を配置し、吸気マニホールド3下方のシリンダブロック5に燃料ポンプ42を配置している。なお、前記各インジェクタは、電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ(図示省略)を有する。
燃料タンク45内の燃料が燃料フィルタ44を介して燃料ポンプ42に吸込まれる一方、燃料ポンプ42の吐出側にコモンレール43が接続され、円筒状のコモンレール43がディーゼルエンジン1の各インジェクタにそれぞれ接続されている。なお、燃料ポンプ42からコモンレール43に圧送される燃料のうち余剰分は、燃料タンク45に戻され、高圧の燃料がコモンレール43内に一時貯留され、コモンレール43内の高圧燃料がディーゼルエンジン1の各気筒(シリンダ)内部に供給される。
上記の構成により、前記燃料タンク45の燃料が燃料ポンプ42によってコモンレール43に圧送され、高圧の燃料がコモンレール43に蓄えられると共に、前記各インジェクタの燃料噴射バルブがそれぞれ開閉制御されることによって、コモンレール43内の高圧の燃料がディーゼルエンジン1の各気筒に噴射される。即ち、前記各インジェクタの燃料噴射バルブを電子制御することによって、燃料の噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)を高精度にコントロールできる。したがって、ディーゼルエンジン1から排出される窒素酸化物(NOx)を低減できる。
次に、図4〜図9を参照して、前記ディーゼルエンジン1を搭載したトラクタ51について説明する。図4〜図9に示す作業車両としてのトラクタ51は、図示しない耕耘作業機などを装着し、圃場を耕す耕耘作業などを行うように構成されている。図4は農作業用トラクタの側面図、図5は同平面図、図6はエンジン部の左側面図、図7は同部の右側面図、図8は同部の平面図、図9は図8の拡大平面図である。なお、以下の説明では、トラクタの前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
図4及び図5に示す如く、作業車両としての農作業用トラクタ51は、走行機体52を左右一対の前車輪53と左右一対の後車輪54とで支持し、走行機体52の前部に前記ディーゼルエンジン1を搭載し、ディーゼルエンジン1にて後車輪54及び前車輪53を駆動することにより、前後進走行するように構成されている。ディーゼルエンジン1の上面側及び左右側面側は、開閉可能なボンネット56にて覆われている。
また、前記走行機体52の上面のうち、ボンネット56の後方には、オペレータが搭乗する運転部としての運転キャビン57が設置されている。該キャビン57の内部には、オペレータが着座する操縦座席58と、操向手段としての操縦ハンドル59などの操縦機器が設けられている。また、キャビン57の左右外側部には、オペレータが乗降するための左右1対のステップ60が設けられ、該ステップ60より内側で且つキャビン57の底部より下側には、ディーゼルエンジン1に燃料を供給する燃料タンク45が設けられている。
また、前記走行機体52は、ディーゼルエンジン1からの出力を変速して後車輪54(前車輪53)に伝達するためのミッションケース61を備える。ミッションケース61の後部には、ロワーリンク62及びトップリンク63及びリフトアーム64などを介して、図示しない耕耘作業機などが昇降動可能に連結される。さらに、ミッションケース61の後側面に、前記耕耘作業機などを駆動するPTO軸65が設けられている。なお、トラクタ51の走行機体52は、ディーゼルエンジン1と、ミッションケース61と、それらを連結するクラッチケース66などにて構成される。
さらに、図4〜図7に示す如く、過給機38の排気ガス出口管80にDPF入口管34を着脱可能にボルト締結する。また、第1ケース28の外周面のうち、DPF出口管35側の端部の外周面にDPF支持脚体81の上端側を締結固定すると共に、シリンダヘッド2の側面または排気マニホールド6の上面にDPF支持脚体81の下端側を着脱可能にボルト82締結する。即ち、排気ガス出口管80とDPF支持脚体81を介して、ディーゼルエンジン1の上面側に第1ケース28を取付ける。ディーゼルエンジン1の前後方向に、円筒状の第1ケース28の長手方向を向けて、排気マニホールド6と平行に第1ケース28を支持させる。
図1、図2、図6〜図9に示す如く、キャビン57を構成する走行機体フレーム120に第2ケース29を支持させている。走行機体フレーム120に左右一対の浄化ケース支持体121を一体的に溶接固定すると共に、走行機体フレーム120から前方に向けて左右一対の浄化ケース支持体121を突設させる。排気ガス浄化用の第2ケース29の外周面のうち、第2ケース29の背面側に背面支持ブラケット122を一体的に溶接固定すると共に、第2ケース29の上下幅中間部から後方に向けて背面支持ブラケット122を突設させる。左右一対の浄化ケース支持体121の間に背面支持ブラケット122を嵌着させ、左右一対の浄化ケース支持体121と背面支持ブラケット122の左右側面に左右方向から螺着操作する上ボルト126aと下ボルト126bによって、浄化ケース支持体121に背面支持ブラケット122を着脱可能に締結している。
図7、図9に示す如く、浄化ケース支持体121の係合ノッチ121aに上ボルト126aを係脱可能に係止させると共に、浄化ケース支持体121の位置調節用長孔121bに下ボルト126bを貫通させる。即ち、第2ケース29を組付ける場合、背面支持ブラケット122に上ボルト126aを仮止め締結させ、浄化ケース支持体121の取付け位置に第2ケース29を近接させ、浄化ケース支持体121の係合ノッチ121aに上ボルト126aを係合させ、浄化ケース支持体121に第2ケース29を仮止め支持させる。その後、浄化ケース支持体121の位置調節用長孔121bに下ボルト126bを貫通させ、背面支持ブラケット122に下ボルト126bを締結すると共に、背面支持ブラケット122に上ボルト126aも締結し、各ボルト126a,126bを介して浄化ケース支持体121に背面支持ブラケット122を着脱可能に固着し、走行機体フレーム120を介してキャビン57(運転部)前面側に第2ケース29を装着するように構成している。したがって、第1ケース28が、ディーゼルエンジン1の上面側に前後方向に水平(横長姿勢)に配置される一方、ディーゼルエンジン1後部の右側に第2ケース29が縦長姿勢に位置する。
加えて、第1ケース28に平行に尿素混合管39を配置する。ディーゼルエンジン1の上面における冷却ファン24の冷却風路よりも高位置に、第1ケース28と尿素混合管39が支持される。尿素混合管39内の排気ガス温度が低下して、尿素混合管39内に供給される尿素水が結晶化するのを防止する。また、尿素混合管39内に供給される尿素水が、第1ケース28から第2ケース29に至る排気ガス中にアンモニアとして混合されるように構成している。
図4〜図9に示す如く、キャビン57の前面のうち、キャビン57右側角隅部の前面にテールパイプ91を立設させ、第2ケース29の下端側に向けてテールパイプ91の下端側を延設させ、第2ケース29下端側のSCR出口管37にテールパイプ91の下端側を接続し、第2ケース29にて淨化された排気ガスがテールパイプ91からキャビン57の上方に向けて排出される。また、キャビン57の前面のうち、テールパイプ91が配置された右側部と反対側のボンネット56の左側部に尿素水タンク71を設置する。即ち、ボンネット56後部の右側部にテールパイプ91を配置し、ボンネット56後部の左側部に尿素水タンク71を配置する。
さらに、ボンネット56左側後部の走行機体52(キャビン57が支持される走行機体フレーム120)に尿素水タンク71を搭載する。キャビン57左側の前面下部に、燃料タンク45の注油口46と、尿素水タンク71の注水口72を隣接させて設ける。オペレータの乗降頻度が低いキャビン57右側の前面にテールパイプ91が配置される一方、オペレータの乗降頻度が高いキャビン57左側の前面に注油口46と注水口72が配置される。なお、キャビン57は、左側または右側のいずれからでもオペレータが操縦座席58に乗降可能に構成されている。
また、尿素水タンク71内の尿素水溶液を圧送する尿素水噴射ポンプ73と、尿素水噴射ポンプ73を駆動する電動モータ74と、尿素水噴射ポンプ73に尿素水噴射管75を介して接続させる尿素水噴射ノズル76を備える。尿素混合管39に噴射台座77を介して尿素水噴射ノズル76を取付け、尿素混合管39の内部に尿素水噴射ノズル76から尿素水溶液を噴霧する。
上記の構成により、第1ケース28内の酸化触媒30及びスートフィルタ31にて、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や、炭化水素(HC)が低減される。次いで、尿素混合管39の内部で、ディーゼルエンジン1からの排気ガスに、尿素水噴射ノズル7からの尿素水が混合される。そして、第2ケース29内のSCR触媒32、
酸化触媒33にて、尿素水がアンモニアとして混合された排気ガス中の窒素酸化物質(NOx)が低減され、テールパイプ91から機外に放出される。
次いで、図10に示す如く、SCR入口管36と尿素混合管39を連結するパイプブラケット40は、SCR入口管36の排気ガス入口側に配置する入口側フランジ92体と、尿素混合管39の排気ガス出口側に配置する出口側フランジ体93を有する。二重管構造のSCR入口管36の外管86と内管87の排気ガス入口側端部を外側に向けて折り曲げて、それらの排気ガス入口側端部にリング状の挟持片部86c,87cを形成すると共に、同様に、二重管構造の尿素混合管39の外管88と内管89の排気ガス出口側端部を外側に向けて折り曲げて、それらの排気ガス出口側端部にリング状の挟持片部88c,89cを形成する。
入口側フランジ体92と出口側フランジ体93にて各挟持片部86c,87c,88c,89cとガスケット90を挟み、ボルト94及びナット95にて、入口側フランジ体92と出口側フランジ体93を締結固定し、入口側フランジ体92と出口側フランジ体93の間に各挟持片部86c,87c,88c,89cとガスケット90を挟持固定し、SCR入口管36と尿素混合管39を連結する。なお、SCR入口管36の外管86と尿素混合管39の外管88を、同一径のパイプにて形成すると共に、SCR入口管36の内管87と尿素混合管39の内管89も、同一径のパイプにて形成する。各外管86,88のパイプ肉厚みに比べ、各内管87,89のパイプ肉厚みを薄く形成する。
即ち、尿素混合管39内の排気ガスが、入口側フランジ体92または出口側フランジ体93の内孔面に接触することなく、SCR入口管36に移動するように構成するもので、例えば、放熱し易い入口側フランジ体92または出口側フランジ体93の内孔面に排気ガスが接触した場合、排気ガスの温度が低下して、排気ガス中の尿素成分が結晶化して、入口側フランジ体92または出口側フランジ体93の内孔面に付着し、入口側フランジ体92または出口側フランジ体93の内孔面に尿素成分の結晶塊が形成され、排気ガスの移動を阻害する不具合が発生し易くなる。これに対して、図10に示す如く、入口側フランジ体92または出口側フランジ体93の内孔面を各挟持片部86c,87c,88c,89cにて遮蔽することにより、入口側フランジ体92または出口側フランジ体93の内孔面に排気ガスが接触するのを各挟持片部87c,89cにて阻止でき、入口側フランジ92体または出口側フランジ体93の内孔面に尿素成分の結晶塊が形成されるのを防止できる。
次いで、図9、図11を参照して、尿素混合管39部の構造を説明する。図9、図11に示す如く、尿素混合管39は、蛇腹状連結パイプ41に接続させるエルボ管部39aと、パイプブラケット40を介してSCR入口管36に接続させる長尺な円筒状の直管部39bを有する。エルボ管部39aと直管部39bが接合する付近のエルボ管部39aに噴射台座77を溶接固定し、エルボ管部39a側から直管部39bの内孔に向けて尿素水噴射ノズル76を開口させる。
また、図11に示す如く、円筒状の直管部39bの円筒軸心線111(直管部39b内の排気ガス流れ方向)に対して、尿素水噴射ノズル76の尿素水噴射方向112を、エルボ管部39aの排気ガス下手側に所定傾斜角度113(約2〜20度、例えば約12度、約8度、約4度など)だけ傾斜させる。即ち、直管部39bの内壁面114のうち、エルボ管部39aの湾曲内径側の内壁面114a側に向けて、尿素水噴射ノズル76から尿素水が噴射される。尿素水噴射ノズル76から噴射された尿素水は、エルボ管部39aから直管部39bに移動する排気ガスの排出圧力により、直管部39bの内壁面114のうち、エルボ管部39aの湾曲外径側の内壁面114b側に向けて拡散されて、排気ガス中にアンモニアとして混合される。
なお、直管部39bの円筒軸心線111に対する尿素水噴射ノズル76の傾斜角度113(尿素水噴射方向112)は、エルボ管部39a及び直管部39bの内径、または標準作業(ディーゼルエンジン1の定格回転における運転)での排気ガスの流速などに基づき決定される。例えば、傾斜角度113が過大のときには、エルボ管部39aの湾曲内径側の内壁面114aに尿素水が付着して、湾曲内径側の内壁面114a部において尿素が結晶化し易い不具合がある。また、傾斜角度113が過小のときには、エルボ管部39aの湾曲外径側の内壁面114bに尿素水が付着して、湾曲外径側の内壁面114b部において尿素が結晶化し易い不具合がある。
図1〜図9に示す如く、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケース28と、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケース29を備え、左右の走行輪53,54が配置される走行機体フレーム120にディーゼルエンジン1を搭載する作業車両のエンジン装置において、ディーゼルエンジン1(または走行機体フレーム120)に第1ケース28を支持する構造であって、走行機体フレーム120に支持体121を介して第2ケース29を取付けている。したがって、エンジンルーム(ボンネット56)内に第2ケース29用の設置空間を確保する必要がなく、ディーゼルエンジン1が内設されるボンネット56(エンジンルーム)をコンパクトに構成できると共に、走行機体フレーム120に第2ケース29を簡単に支持でき、外形状が長尺な筒状に形成される前記各ケース28,29の組付け作業性又はメンテナンス作業性などを向上できる。また、エンジン1の冷却風による第2ケース29の温度低下を抑制できるものでありながら、第1ケース28の排気ガス出口と第2ケース29の排気ガス入口を、尿素の混合に必要な間隔に離間でき、第2ケース29に至る排気ガス中におけるアンモニアの発生を促進できる。なお、図1〜図9において、ディーゼルエンジン1に第1ケース28を支持したが、走行機体フレーム120に第1ケース28を支持してもよいことは云うまでもない。
図1〜図9に示す如く、ディーゼルエンジン1後部の一側方の走行機体フレーム120に浄化ケース支持体121を介して第2ケース29を縦長姿勢に取付けている。したがって、ディーゼルエンジン1の後部付近(ボンネット56と運転部としてのキャビン57の接合角隅付近)に、外形状が長尺な筒状に形成される第2ケース29をコンパクトに設置できる。例えば、前輪を目視すべく、ボンネット56の左右幅が制限される構造であっても、キャビン57(運転部)からのオペレータの前方視界を容易に確保できる。
図1〜図9に示す如く、ディーゼルエンジン1が内設されたボンネット56の後方に、オペレータが搭乗する運転部としてのキャビン57を配置した作業車両であって、キャビン57の下部に設けた燃料タンク45とディーゼルエンジン1の間に排気ガス浄化用の尿素水タンク71を設置すると共に、ディーゼルエンジン1後部の一側方に第2ケース29を配置し、ディーゼルエンジン1後部の他側方に尿素水タンク71を配置している。したがって、燃料タンク45の注油口46(給油口)と尿素水タンク71の注水口72(給水口)を近接させて配置でき、燃料の給油作業と尿素水溶液の給水作業を同一作業場所にて実行でき、ディーゼルエンジン1用の燃料または排気ガス浄化用の尿素水溶液の補給作業性を向上できるものでありながら、第2ケース29と尿素水タンク71の設置スペースとして、ディーゼルエンジン1後部の両側方(キャビン57の前側下部)を有効利用できる。加えて、ディーゼルエンジン1と燃料タンク45の排熱にて尿素水タンク71を加温でき、尿素水タンク71内の水溶液温度を所定以上に維持でき、寒冷地などにおいて第2ケース29の排気ガス浄化能力が低下するのを防止できる。
次いで、図12を参照して、第2実施形態の第1ケース28及び第2ケース29の配置構造を説明する。図12に示す如く、ディーゼルエンジン1の上面側にDPF支持脚体8
1を介して第1ケース28を取付けると共に、ディーゼルエンジン1の後側方のうち、吸気マニホールド3及び排気ガス再循環装置15及び燃料フィルタ44などが設置された側の走行機体フレーム120の浄化ケース支持体121に、第2ケース29を着脱可能に締結固定している。即ち、左右方向に長く延びた横長の長尺円筒形状に第2ケース29を構成する。ディーゼルエンジン1後部の右側下部の走行機体フレーム120に第2ケース29を横長姿勢に取付け、キャビン57の右側前面と右の前車輪53の間に横長姿勢の第2ケース29を配置し、ディーゼルエンジン1の後部に尿素混合管39を延設させ、第2ケース29の左端側に尿素混合管39を接続させ、第2ケース29の右端側にテールパイプ91を接続させている。
図12に示す如く、ディーゼルエンジン1後部の一側方の走行機体フレーム120に浄化ケース支持体121を介して第2ケース29を横長姿勢に取付けたものであるから、ディーゼルエンジン1後部の低い位置に、外形状が長尺な筒状に形成され第2ケース29をコンパクトに設置できる。例えば、前車輪53を目視すべく、ボンネット56の左右幅が制限される構造であっても、ボンネット56後部の右外側のうち、キャビン57前面側の低い位置に第2ケース29を容易に配置でき、キャビン57からのオペレータの前方視界を容易に確保できる。
次いで、図13を参照して、第3実施形態の第1ケース28及び第2ケース29の配置構造を説明する。図13に示す第3実施形態では、前後方向に延設されたディーゼルエンジン1の出力軸4に対し、第1ケース28と第2ケース29の排気ガス移動方向(円筒形状の軸心線)を直交させるように、第1ケース28と第2ケース29を左右方向に延設させている。ディーゼルエンジン1の上面側のうち、冷却ファン24設置部の上面側に第1ケース28と第2ケース29が平行に配置され、第1ケース28と第2ケース29の間に尿素混合管39を平行に延設させている。また、ディーゼルエンジン1の冷却ファン24風路よりも、第1ケース28と第2ケース29を高位置に配置している。
次いで、図14を参照して、第4実施形態の第1ケース28及び第2ケース29の配置構造を説明する。図14に示す第4実施形態では、エアクリーナ16が設置された走行機体52に、第1ケース28と第2ケース29を配置している。ラジエータ19よりも前方の走行機体52に第1ケース28と第2ケース29を支持させる。第1ケース28と第2ケース29は、平面視でディーゼルエンジン1の出力軸(クランク軸)4と平行な方向に長く延びた長尺円筒形状に構成している。第1ケース28と第2ケース29の間に尿素混合管39をそれらと平行に配置している。走行機体52に第2ケース29を近接させて取付けることができ、第1ケース28と第2ケース29の設置に必要なボンネット高さを低く形成できる。
1 ディーゼルエンジン
28 第1ケース
29 第2ケース
45 燃料タンク
53 前車輪(走行輪)
54 後車輪(走行輪)
56 ボンネット
57 キャビン(運転部)
71 尿素水タンク
120 走行機体フレーム
121 浄化ケース支持体

Claims (2)

  1. エンジンの排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケースと、前記エンジンの排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケースを備え、左右の走行輪が配置される走行機体フレームに前記エンジンを搭載する作業車両のエンジン装置において、
    前記作業車両は、ボンネット内に前記エンジン及び前記第1ケースを内設しており、オペレータが搭乗する運転部が前記ボンネット後方に配置されており、
    前記第1ケースが前記エンジンまたは前記走行機体フレームのいずれか一方に支持されるとともに、前記走行機体フレームに支持体を介して前記第2ケースが取付けられており、
    前記第2ケースが前記運転部前面側に配置され、前記エンジン後部の一側方に前記第2ケースを配置し、前記エンジン後部の他側方に尿素水タンクを配置したことを特徴とする作業車両。
  2. 前記エンジンに燃料を供給する燃料タンクを備えており、前記燃料タンクの注油口と前記尿素水タンクの注水口とが近接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
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