JP2014151610A - ボールペン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ホルダー60先端外周が先細に形成されているテーパー部61と、テーパー部61の内部空間であるボールハウス62と、ホルダー60の後端からボールハウス62の近傍まで達する内部空間としてのバック孔64と、ボールハウス62とバック孔64との間を連絡するインク孔66と、ボールハウス62内に位置する筆記ボール51と、テーパー部61の先端部分が内側にかしめられているカシメ部70と、を備えるボールペンチップ50において、ボールハウス62内での筆記ボール51の軸方向の移動可能距離γが、筆記ボール51外径の5%未満であり、先端部より突出するボール出寸法βは筆記ボール51がボールハウス62の底面63に当接した状態において筆記ボール51外径の20%未満である。
【選択図】図3
Description
そこで、ガラスやプラスチック等の非吸収面に対し、良好な筆跡を形成することができるボールペンチップを備えたボールペンを提供することを課題とする。
ホルダー60と、
前記ホルダー60の先端の外周が先細に形成されているテーパー部61と、
前記テーパー部61の内部空間として形成されたボールハウス62と、
前記ホルダー60の後端から前記ボールハウス62の近傍まで達する内部空間としてのバック孔64と、
前記ボールハウス62と前記バック孔64との間を連絡するインク孔66と、
前記ボールハウス62内に位置する筆記ボール51と、
前記テーパー部61の先端部分が内側にかしめられているカシメ部70と、
を備えるボールペンチップ50と、内部にインク42を収容しかつ前記ボールペンチップ50が先端に装着されるインク収容管41とを備えたボールペン10であって、
前記ボールペンチップ50は、前記ボールハウス62内での前記筆記ボール51の軸方向の移動可能距離γが、同筆記ボール51外径の5%未満であり、かつ、先端部より突出するボール出寸法βは同筆記ボール51が前記ボールハウス62の底面63に当接した状態において同筆記ボール51外径の20%未満であることを特徴とする。
ここで、ボールペンチップ50のインク収容管41への装着は、直接でも、継手44のような接続部材を介してでも、いずれでもよい。
本発明においては、前記カシメ部70は、前記テーパー部61との境界をなす変曲縁72と、この変曲縁72より内側に位置する小口縁71と、を備える。ここで「小口縁71」とは、テーパー部61がカシメ加工によりかしめられる前の状態での先端小口の外縁をなしていた部分であって、カシメ加工後も環状に残存している辺縁をいう。また、「変曲縁72」とは、カシメ加工の時に内方へかしめられた部分の最後縁であって、残存するテーパー部61との境界をなしている部分をいう。
通常、筆記時は筆記ボール51が回転することでボールハウス62内にあったインク42が筆記面Sへ塗布される。しかしながら、ガラス、金属などの非吸収面は紙面に比べ平滑であることが多く、筆記ボール51と筆記面Sに働く摩擦力が小さいことから筆記ボール51がうまく回転せず、インク42が塗布されない場合が多い。そこで本発明では、筆記ボール51が回転せずともインク42が流出可能となるよう、インク粘度と筆記ボール51の移動可能距離、小口縁71と筆記面Sとの距離を適切に保つことでインク42の筆記面Sへの吐出を促し、それによって非吸収面への筆記を可能とすることを図っている。
そのため、ボール出寸法βは筆記ボール51外径の20%未満としている。ここで、ボール出寸法βが20%以上となると、筆記時において小口縁71と筆記面Sとの距離が離れることにより、小口縁71部で保持するインク42が筆記面と接触せず、インク42の吐出が起こらない。その結果、非吸収面での良好な筆記も困難となる。そのため、適切なインク流出量を確保し、非吸収面での良好な筆記を可能とするためには、上記のように、ボール出寸法βを20%未満とすることが好適である。
ここで、筆記に際しての傾斜時に前記筆記ボール51と前記変曲縁72とが筆記面Sに接触するとき、前記小口縁71は同筆記面Sには接触しないことが望ましい。小口縁71が筆記面Sに接触すると筆記ボール51と変曲縁72とが筆記面Sへ同時に接触することが困難となり、その結果、インク吐出量が少なくなり、非吸収面での良好な筆記も困難となるからである。
具体的には、適切なインク吐出量を確保できるので、非吸収面でも良好な筆跡を得ることができる。
さらに、筆記時においてカシメ部の小口縁が筆記面に接触することがないので、斜め書きでも引っかかりのない滑らかな書き味を得ることができる。
図1は、本発明の1の実施の形態に係るボールペン10の待機状態(A)及び筆記可能状態(B)を示す側面断面図である。
図1のボールペン10は、軸筒30の内部にノック動作によって進退可能なボールペンリフィル40を収納した構造を有している。
軸筒30は、後端側の後軸34に、先端側の先軸31が螺合された構造を有している。先軸31のうち後軸34に螺合される部分(螺合部32)を除く表面には、ラバー製のグリップ33が装着されている。一方、後軸34の内部には、ボールペンリフィル40が挿入されその内部でこのボールペンリフィル40が前後に摺動する略筒状の内筒11が装着されている。この内筒11の後端付近の内周面には、後述の回転部材13が係止する係止溝12が前後方向に沿って設けられている。また、後軸34の正面において、後端から後軸34の中間付近までの前後方向に沿って、ガイド溝35が形成されている。
本実施形態でインク収容管41に充填されるインク42は、剪断減粘性を有しない、3〜20mPa・secの低粘度の水性又は油性インクが用いられる。
筆記が行われない待機状態(図1(A))においては、筆記先端としてのボールペンチップ50は軸筒30の中に引き込まれた状態で外部からは視認できない。ここから、スライド部材20を先端方向へ押圧すると、その内部のノック筒15、さらに回転部材13も同方向へ押圧され、そしてその回転部材13によりボールペンリフィル40も押圧され、ボールペンチップ50の先端が先軸31の先端から露出する(図1(B))。このとき、ノックスプリング16は圧縮された状態で、ボールペンリフィル40に対し後方へ復帰しようとする力を付勢しているが、回転部材13のカム機構14が内筒11の係止溝12と係合することで、この状態が維持され、筆記が可能となる。
ボールペンチップ50は、図2の正面断面図に示すように、ステンレス鋼製のホルダー60と、その先端に抱持される超硬合金製の筆記ボール51と、ホルダー60の内部空間に収容されるステンレス鋼製の押圧スプリング52とにより構成される。
ホルダー60は、ステンレス鋼製の円柱材を、先端部分は先細に切削してテーパー部61とし、また、後端部分は外径を減じるように切削して前記継手44に圧入される圧入部67としている。
一方、ホルダー60後端からは、先端にかけて段階的に内径を減じていく内部空間としてのバック孔64が形成されている。このバック孔64は、ボールハウス62の底面63の近傍まで形成されている。そして、このバック孔64とボールハウス62とは、インク孔66により連結されている。このインク孔66の内径は、バック孔64の最先端部65の内径よりやや小径となっている。
前記カシメ部70は、図3に示すように、テーパー部61との境界をなす変曲縁72と、この変曲縁72より内側に位置する小口縁71と、を備えている。そして、この断面において変曲縁72と小口縁71とを結ぶ2線分がなすカシメ角度αは100を上回りかつ160°以下である。なお、この図3に示す状態は待機状態(非筆記状態)を示している。この状態では、筆記ボール51は押圧スプリング52により先端方向へ押圧され、カシメ部70の内周面73と密着している。これにより、ボールハウス62が外部から遮断され、インク42の直流が防止される。また、筆記ボール51がカシメ部70から露出しているボール出寸法βは筆記ボール51外径の20%未満である。
本発明の実施例及び比較例で使用するインクの組成は以下のとおりとした。
カーボンブラックリーガル400R(キャボット社製、揮発分2.5%):15.0重量部
ソルスパース12000(日本ルーブリゾール社製):1.0重量部
ソルスパース20000(日本ルーブリゾール社製):6.0重量部
レジンSK(Huls社製):5.0重量部
ヒタノール1501(日立化成社製):5.0重量部
FZ−5609(東レダウコーニング社製):0.5重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル:50.0重量部
エタノール:17.5重量部
上記の各原料を上記の配合割合で調合し、0.6mmガラスビーズにて60分間湿式分散して、粘度9mPa・sec、平均粒径105nmの黒色の油性マーキングペン用インク組成物を得た。
本発明の実施例及び比較例で使用するボールペンチップは以下のとおりとした。
筆記ボール径は1.0mmとし、この筆記ボールを抱持するように、前記実施の形態で示すような形状のボールペンチップを作製した。なお、軸方向の移動可能距離は5〜20μm(筆記ボール径の0.5〜2.0%)とし、ボール出寸法及びカシメ角度にについては下記各表に記載の数値にて加工を行った。なお、カシメ角度が170°の場合は十分に筆記ボールを抱持できる程度にかしめることができなかったため、下記各表の試験には供することができなかった。
上記(2)のボールペンチップを、前記実施の形態に示した継手を介してインク収容管に接続し、その中に上記(1)のインクを充填してボールペンリフィルとし、これを軸筒に装着して前期実施の形態に示したボールペンとした。このボールペンを用いて、筆記面はガラス、筆記角度は90°の条件下でJIS S6054に準拠した筆記試験機にて筆記を行った。評価基準は以下のとおりとした。
A:非常に良好な描線品質を得ることができた
B:良好な描線品質を得ることができた
C:僅かに掠れることがあるが、描線を得ることはできた
D:多くの掠れが生じて描線を得ることができなかった
この試験1の結果は、下記表1のとおりであった。
(4)試験2
上記試験1と同様に調整されたボールペンを用いて、筆記面をガラスとして被験者に自由に筆記をさせ、その筆記感触を下記評価基準に基づく官能試験に供した。
A:引っかかるような感触は全くなく、非常に滑らかに筆記することができた
B:僅かに引っかかるような感触はあったが、滑らかに筆記することができた
D:引っかかるような感触が著しく、滑らかに筆記することができなかった
この試験2の結果は、下記表2のとおりであった。
(5)まとめ
以上より、試験1の描線の掠れの観点からは、ボール出寸法が20%を下回るボールペンチップが優れているという結果となった。また、試験2の筆記感触の観点からは、カシメ角度が100°を上回るボールペンチップが優れているという結果となった。さらに、カシメ加工が十分できるかどうかという観点では、カシメ角度は160°を上回ることは不可能であった。
13 回転部材 14 カム機構 15 ノック筒
16 ノックスプリング
20 スライド部材 21 クリップ 22 スライド突条
23 保持筒部
30 軸筒 31 先軸 32 螺合部
33 グリップ 34 後軸 35 ガイド溝
40 ボールペンリフィル 41 インク収容管 42 インク
43 フォロワー 44 継手
50 ボールペンチップ 51 筆記ボール 52 押圧スプリング
53 棒状部
60 ホルダー 61 テーパー部 62 ボールハウス
63 ボールハウスの底面 64 バック孔 65 バック孔の最先端部
66 インク孔 67 圧入部 68 スプリング止め
70 カシメ部 71 小口縁 72 変曲縁
73 カシメ部の内周面
α カシメ角度 β ボール出寸法 γ 移動可能距離
S 筆記面
Claims (5)
- ホルダーと、
前記ホルダーの先端の外周が先細に形成されているテーパー部と、
前記テーパー部の内部空間として形成されたボールハウスと、
前記ホルダーの後端から前記ボールハウスの近傍まで達する内部空間としてのバック孔と、
前記ボールハウスと前記バック孔との間を連絡するインク孔と、
前記ボールハウス内に位置する筆記ボールと、
前記テーパー部の先端部分が内側にかしめられているカシメ部と、
を備えるボールペンチップと、内部にインクを収容しかつ前記ボールペンチップが先端に装着されるインク収容管とを備えたボールペンであって、
前記ボールペンチップは、前記ボールハウス内での前記筆記ボールの軸方向の移動可能距離が、同筆記ボール外径の5%未満であり、かつ、先端部より突出するボール出寸法は同筆記ボールが前記ボールハウスの底面に当接した状態において同筆記ボール外径の20%未満であることを特徴とするボールペン。 - 前記カシメ部は、前記テーパー部との境界をなす変曲縁と、この変曲縁より内側に位置する小口縁と、を備えるとともに、
筆記に際しての傾斜時に前記筆記ボールと前記変曲縁とが筆記面に接触するとき、前記小口縁は同筆記面には接触しないことを特徴とする請求項1記載のボールペン。 - 前記カシメ部のカシメ角度は100°を上回りかつ160°以下であることを特徴とする請求項2記載のボールペン。
- 前記カシメ部のカシメ角度は120°以上かつ160°以下であることを特徴とする請求項2記載のボールペン。
- 前記インクの粘度は3〜20mPa・secであることを特徴とする請求項2記載のボールペン。
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