JP2014151585A - インクジェットヘッドのメンテナンス装置およびメンテナンス方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェットヘッドの吐出面の異物の除去性を向上させるとともに、連続吐出の吐出安定性を向上させる。
【解決手段】インクを吐出する複数のノズル151が設けられ、撥水性を有するノズルプレート72Aと、ノズルプレート72Aよりも撥水性の低い低撥水部72と、を有するヘッドモジュール72−iを複数繋ぎ合わせ、ヘッドモジュール72−iの繋ぎ合わせ部には隙間を有し、ノズルプレート72Aは、水平面に対して傾斜して設けられ、低撥水部72Bがノズルプレート72Aの上下方向に配置されたインクジェットヘッド72と、インクジェットヘッド72のノズルプレート72Aの傾き方向下側の低撥水部72Bに向かって洗浄液を付与する洗浄液供給ノズル263を有する洗浄液付与手段262と、を備えるインクジェットヘッドのメンテナンス装置およびメンテナンス方法である。
【選択図】図7

Description

本発明はインクジェットヘッドのメンテナンス装置およびメンテナンス方法に係り、特に、吐出面が傾斜するヘッドモジュールを複数繋ぎ合わせたインクジェットヘッドのメンテナンス装置およびメンテナンス方法に関する。
インクジェット記録装置で用いられるインクジェットヘッドには、印字面側の形状が短冊状になっているヘッドモジュールを、並び方向に対してライン状に複数並べて配置してなるラインヘッドからなるものがある。
インクジェット記録装置では、劣化したインクによりノズルの詰まりやインクジェットヘッドのインク吐出面の汚れが発生すると吐出異常が起こり、特に、ラインヘッドに吐出異常が発生すると記録画像にスジムラが発生してしまい、画像品質が著しく低下してしまう。インクジェット記録装置は、吐出異常の発生を未然に防ぎ、かつ、吐出異常を速やかに回復させるために、予備吐出(加圧パージ)やインク吐出面のワイピング、ノズル吸引といったインクジェットヘッドのメンテナンスが行なわれる。
また、複数のヘッドモジュールを並べる場合、従来は、ヘッドモジュール間を接着剤などを用いて固定していたが、各ヘッドモジュールに吐出不良などの異常が発生した場合、ヘッドモジュールを個別に交換することが近年求められている。この場合、ヘッドモジュール間を接着剤で固定することができないので、各ヘッドモジュール間に隙間が生じる。この隙間に、固まったインク、紙粉などの異物が侵入する場合があり、ヘッドモジュールの隙間に異物が侵入していると、加圧パージ時、印字時、ワイプ動作などにより、この異物がノズル面に出てくるという問題があった。異物がノズル面から出てくると、吐出方向のばらつきにより、画像品質が劣化していた。
特に、吐出面は、インクを吐出するノズルを有するノズル領域と、このノズル領域を保護するために、ヘッドモジュールの並び方向に対して交差する方向のノズル領域の両端にウイング部を備えている。ノズル領域は、インクが付着することを防止するため、撥水性に形成されており、ウイング部はノズル領域からインクを移動させやすくするために、ノズル領域にくらべて、親水性に形成されている。したがって、ウイング部、特に、インクジェットヘッドの吐出面が傾斜して設けられている場合、傾斜の下側のウイング部では、インクが残りやすくなっていた。
例えば、下記の特許文献1には、ヘッドユニットを繋ぎ合わせたラインヘッドと、ヘッドユニットのノズル形成面を払拭する払拭手段と、払拭手段のラインヘッドの移動方向下流側に設けられ、ヘッドユニット間の隙間に入り込んだ液体を除去する液体除去手段と、を備える液体吐出装置が記載されている。特許文献2には、メンテナンス時のインク顔料濃度を下げるために、ウイング部に溝を設け、溝に洗浄液を保持させるインクジェットヘッドが記載されている。また、吐出面を払拭した後、ウイング部のみを払拭することも記載されている。
また、特許文献3には、洗浄液をノズル面に吹き付けるノズルを有し、洗浄液の流速を調整する流速調整手段を備えるヘッド洗浄装置が記載されている。流速を調整する例として、撥水性の低いウイング部に洗浄液を多めに吹き付ける例が記載されている。
特開2010−5856号公報 特開2012−201102号公報 特開2010−194893号公報
しかしながら、吐出面全面に洗浄液の付与を行うと、ノズル領域にスプレーされた洗浄液がノズルから内部に入り込み、洗浄液に含まれる気泡の影響で連続吐出が悪化するという問題があった。
特許文献1に記載の装置においては、吐出面全面に洗浄液を付与しているため、ノズルからの気泡混入の可能性があった。特許文献2に記載のインクジェットヘッドにおいても、洗浄液をノズル領域にスプレーしているため、ノズルからの気泡混入を防ぐことはできていなかった。また、ウイング部に溝を設けているため、インクが溝に残り易くなっていた。また、特許文献3の装置においても、ノズル領域に洗浄液をスプレーしない構成ではないため、気泡混入を防ぐことはできていなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、メンテナンスを良好に行なうことで、ヘッドモジュール間へ異物が残ることを防止し、かつ、洗浄液がノズル内部に混入することを防止し、吐出安定性を向上させることができるインクジェットヘッドのメンテナンス装置およびメンテナンス方法を提供することを目的とする。
本発明は前記目的を達成するために、インクを吐出する複数のノズルが設けられ、撥水性を有するノズルプレートと、ノズルプレートの配列方向の両側で配列方向と平行にノズルプレートよりも撥水性の低い低撥水部と、を有するヘッドモジュールを配列方向に複数繋ぎ合わせ、ヘッドモジュールの繋ぎ合わせ部には、ヘッドモジュールを交換可能にするための隙間を有し、ノズルプレートは、水平面に対して傾斜して設けられ、低撥水部がノズルプレートの上下方向に配置されたインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドのノズルプレートの傾き方向下側の低撥水部に向かって洗浄液を付与する洗浄液供給ノズルを有する洗浄液付与手段と、を備えるインクジェットヘッドのメンテナンス装置を提供する。
本発明によれば、インクジェットヘッドのノズルプレートが水平面に対して傾斜して設けられているので、インクが傾斜の下側に設けられた低撥水部に残り易くなる。そして、低撥水部に洗浄液を付与しているので、低撥水部に付着したインクの濃度を低下させることができるので、低撥水部に付着したインクを容易に除去することができる。したがって、従来は、低撥水部に付着したインクが固化することにより、繋ぎ合わせたヘッドモジュール間の隙間にインクの残渣が入り込み、このインクの残渣が掻き出されることで、インクの吐出に悪影響を与えていたが、本発明によれば、このインクの残渣が残ることがないので、インクの吐出安定性を向上させることができる。なお、「ノズルプレートの上下方向」とは、ノズルプレートの傾斜に対して重力方向上側を上方向、下側を下方向とする。
また、洗浄液は、ノズルプレート下側の低撥水部に向かって付与し、ノズルを有するノズルプレートには付与していないので、洗浄液がノズル内部に入り込み、洗浄液に含まれる空気がインク内に混入することを防止することができる。したがって、インクの連続吐出性を安定させることができる。また、ノズルプレートが撥水性を有し、低撥水部はノズルプレートより撥水性が低いので、ノズルプレートに付着したインクを低撥水部に移動させることができる。低撥水部は洗浄液を付与することで、インクの除去を行うことができるので、ノズルプレートのメンテナンスを効果的に行なうことができる。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス装置によれば、洗浄液付与手段は、洗浄液供給ノズルを複数備え、低撥水部に洗浄液を噴き付けることが好ましい。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス装置によれば、複数の洗浄液供給ノズルにより、低撥水部に洗浄液を噴き付けているので、インクの噴き付けにより、インクの洗浄性を向上させることができる。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス装置は、洗浄液供給ノズルは、洗浄液の吐出方向がノズルプレートの傾き下側に向かって、傾斜して設けられていることが好ましい。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス装置によれば、洗浄液の吐出方向がインクジェットヘッドのノズルプレートの傾き下側に向かって傾斜しているので、吹き付けた洗浄液がインクジェットヘッドのノズルプレートの傾き下側に流れ易くなり、傾き上側のノズルプレートに流れることを防止することができる。したがって、洗浄液がノズル内に入り込むことを防止することができる。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス装置は、洗浄液付与手段は、洗浄液が滑り落ちる洗浄液保持面を有し、洗浄液保持面は、低撥水部に対する位置にのみ設けられていることが好ましい。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス装置によれば、インクジェットヘッドの低撥水部に対する位置にのみ洗浄液を保持する洗浄液保持面を有しているので、低撥水部にのみ洗浄液を付与することができ、ノズル内に洗浄液が入り込むことを防止することができる。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス装置は、洗浄液供給ノズルは、低撥水部に対応する傾きの上側から下側に向かい、洗浄液供給ノズルの径が大きくなることが好ましい。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス装置によれば、洗浄液供給ノズルの径が、ノズルプレートの傾きの低撥水部の上側から下側に行くにしたがい大きくなっているので、傾きの上側に対応する位置の洗浄液量を少なくすることができる。したがって、付与した洗浄液がインクジェットヘッドのノズルプレートに流れていくことを防止することができ、洗浄液がノズル内部に入ることを防止することができる。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス装置は、ノズルプレートおよび低撥水部を払拭する払拭手段を備えることが好ましい。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス装置によれば、吐出面を払拭する払拭手段を備えているので、低撥水部のインク残渣の除去性を向上させることができる。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス装置は、払拭手段は、吸水性を有する払拭部材であり、払拭部材に洗浄液を付与する払拭部材洗浄液付与手段を備えることが好ましい。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス装置によれば、洗浄液が付与された払拭部材でノズルプレートを払拭することができるので、ノズルプレートの清掃も同時に行うことができる。
本発明は前記目的を達成するために、インクを吐出する複数のノズルが設けられ、撥水性を有するノズルプレートと、ノズルプレートの配列方向の両側で配列方向と平行にノズルプレートよりも撥水性の低い低撥水部と、を有するヘッドモジュールを配列方向に複数繋ぎ合わせ、ノズルプレートは水平面に対し傾斜して設けられ、低撥水部がノズルプレートの上下方向に配置されたインクジェットヘッドのメンテナンス方法において、インクジェットヘッドの傾き方向下側の低撥水部に洗浄液を付与する洗浄液付与工程と、ノズルプレートおよび低撥水部を、洗浄液が付与された払拭部材で払拭する第1の払拭工程と、を有するインクジェットヘッドのメンテナンス方法を提供する。
本発明によれば、インクジェットヘッドのノズルプレートが傾斜して設けられているため、ノズルプレートに残ったインクを傾き下側の低撥水部に移動させることができる。そして、低撥水部に洗浄液を付与し、払拭部材で払拭することにより、低撥水部の清掃を行うことができる。また、払拭部材による第1の払拭工程においては、洗浄液を付与した払拭部材で払拭しているため、ノズルプレートの清掃も同時に行うことができる。
また、洗浄液付与工程において、洗浄液の付与を低撥水部に付与し、ノズルプレートには、付与していないため、洗浄液がノズル内に入ることを防止することができる。したがって、洗浄液中の空気がノズル内に入ることを防止でき、インクの連続吐出性が悪化することを防止することができる。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス方法は、洗浄液付与工程の前に、インクジェットヘッドにインクの初期充填、または、加圧パージを行なう工程を有することが好ましい。
インクジェットヘッドにインクの初期充填、または、加圧パージを行なった後は、吐出面に多量のインクが残り易いため、インクの初期充填、または、加圧パージ後に行なうことが効果的である。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス方法は、第1の払拭工程の後に、低撥水部に洗浄液を付与せず、洗浄液が付与された払拭部材で払拭する第2の払拭工程を有することが好ましい。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス方法によれば、低撥水部に洗浄液が付与されない状態で洗浄液が付与された払拭部材で払拭する第2の払拭工程を備えているので、仕上げ拭きとして吐出面の払拭を行なうことができる。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス方法は、低撥水部に付与する洗浄液は、払拭部材に付与する洗浄液よりもインクの溶解性が高い洗浄液であることが好ましい。
本発明の他の態様に係るインクジェットヘッドのメンテナンス方法によれば、低撥水部にのみ洗浄液を付与しているので、ノズル内インクと混ざることがないため、洗浄液をインクの溶解性の高い洗浄液としても、問題なくインクの吐出を行うことができる。また、低撥水部に付与する洗浄液をインクの溶解性の高い洗浄液とすることで、少ない洗浄液量でインクの除去をすることができる。
本発明のインクジェットヘッドのメンテナンス装置およびメンテナンス方法によれば、インクジェットヘッドが傾斜して設けられており、この傾斜したインクジェットヘッドの傾き下側の低撥水部に残るインクを、洗浄液を付与することで、洗浄することができるので、ヘッドモジュール間にインクの残渣が残ることなく、洗浄液の付与をすることができる。また、洗浄液の付与を傾き下側の低撥水部のみとし、ノズルプレートに吹き付けていないので、ノズル内に洗浄液が入ることを防止することができ、ノズル内の気泡混入を防止し、インクの吐出安定性を向上させることができる。
インクジェット記録装置の全体構成図である。 図1に示すインクジェットヘッドの構成例を示す平面図である。 図2の一部拡大図である。 図2に示すヘッドモジュールの平面透視図である。 インクジェット記録装置の描画部の概略構成を示す側面図である。 インクジェット記録装置の描画部の正面図である。 図6に示す洗浄液付与装置の概略構成を示す全体構成図である。 図7に示す洗浄液付与装置の洗浄液供給ノズル付近の拡大図である。 洗浄液付与装置の他の実施形態を示す図である。 洗浄液付与装置のさらに他の実施形態を示す図である。 洗浄液付与装置のさらに他の実施形態を示す図である。 洗浄液付与装置のさらに他の実施形態を示す図である。 洗浄液付与装置のさらに他の実施形態の洗浄液保持面の平面図である。 洗浄液付与装置のさらに他の実施形態を示す図である。 吐出面払拭装置をメンテナンス位置側から見た側面図である。 払拭ユニットの平面図である。 払拭ユニットを画像記録位置側から見た側面図である。 払拭ユニットの正面部分断面図である。 インクジェットヘッドのメンテナンス方法のフローチャート図である。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
≪インクジェット記録装置の全体構成≫
まず、本発明が適用されるインクジェット記録装置の全体構成について説明する。図1は、インクジェット記録装置の全体構成を示した構成図である。
このインクジェット記録装置10は、描画部16の圧胴(描画ドラム70)に保持された記録媒体24(便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成する圧胴直描方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体24上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体24上に画像形成を行なう2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
図示のように、インクジェット記録装置10は、主として、給紙部12、処理液付与部14、描画部16、乾燥部18、定着部20、および排出部22を備えて構成される。
(給紙部)
給紙部12は、記録媒体24を処理液付与部14に供給する機構であり、当該給紙部12には、枚葉紙である記録媒体24が積層されている。給紙部12には、給紙トレイ50が設けられ、この給紙トレイ50から記録媒体24が一枚ずつ処理液付与部14に給紙される。
本例のインクジェット記録装置10では、記録媒体24として、紙種や大きさ(用紙サイズ)の異なる複数種類の記録媒体24を使用することができる。給紙部12において各種の記録媒体をそれぞれ区別して集積する複数の用紙トレイ(不図示)を備え、これら複数の用紙トレイの中から給紙トレイ50に送る用紙を自動で切り換える態様も可能であるし、必要に応じてオペレータが用紙トレイを選択し、若しくは交換する態様も可能である。なお、本例では、記録媒体24として、枚葉紙(カット紙)を用いるが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
(処理液付与部)
処理液付与部14は、記録媒体24の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部16で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
図1に示すように、処理液付与部14は、給紙胴52、処理液ドラム54、および処理液塗布装置56を備えている。処理液ドラム54は、記録媒体24を保持し、回転搬送させるドラムである。処理液ドラム54は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)55を備え、この保持手段55の爪と処理液ドラム54の周面の間に記録媒体24を挟み込むことによって記録媒体24の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム54は、その外周面に吸着穴を設けるとともに、吸着穴から吸引を行なう吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体24を処理液ドラム54の周面に密着保持することができる。
処理液ドラム54の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置56が設けられる。処理液塗布装置56は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム54上の記録媒体24に圧接されて計量後の処理液を記録媒体24に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置56によれば、処理液を計量しながら記録媒体24に塗布することができる。
処理液付与部14で処理液が付与された記録媒体24は、処理液ドラム54から中間搬送部26を介して描画部16の描画ドラム70へ受け渡される。
(描画部)
描画部16は、描画ドラム(第2の搬送体)70、用紙抑えローラ74、およびインクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yを備えている。描画ドラム70は、処理液ドラム54と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)71を備える。描画ドラム70に固定された記録媒体24は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yからインクが付与される。
インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yはそれぞれ、記録媒体24における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)とすることが好ましい。インク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yは、記録媒体24の搬送方向(描画ドラム70の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
描画ドラム70上に密着保持された記録媒体24の記録面に向かって各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部14で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体24上での色材流れなどが防止され、記録媒体24の記録面に画像が形成される。
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
描画部16で画像が形成された記録媒体24は、描画ドラム70から中間搬送部28を介して乾燥部18の乾燥ドラム76へ受け渡される。
(乾燥部)
乾燥部18は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図1に示すように、乾燥ドラム76、および溶媒乾燥装置78を備えている。
乾燥ドラム76は、処理液ドラム54と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)77を備え、この保持手段77によって記録媒体24の先端を保持できるようになっている。
溶媒乾燥装置78は、乾燥ドラム76の外周面に対向する位置に配置され、複数のIRヒータ82と、各IRヒータ82の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル80とで構成される。
各温風噴出しノズル80から記録媒体24に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各IRヒータ82の温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。
また、乾燥ドラム76の表面温度は50℃以上に設定されている。記録媒体24の裏面から加熱を行なうことによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができる。なお、乾燥ドラム76の表面温度の上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム76の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75℃以下(より好ましくは60℃以下)に設定されることが好ましい。
乾燥ドラム76の外周面に、記録媒体24の記録面が外側を向くように(即ち、記録媒体24の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥することで、記録媒体24のシワや浮きの発生を防止でき、これらに起因する乾燥ムラを確実に防止することができる。
乾燥部18で乾燥処理が行なわれた記録媒体24は、乾燥ドラム76から中間搬送部30を介して定着部20の定着ドラム84へ受け渡される。
(定着部)
定着部20は、定着ドラム84、ハロゲンヒータ86、定着ローラ88、およびインラインセンサ90で構成される。定着ドラム84は、処理液ドラム54と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)85を備え、この保持手段85によって記録媒体24の先端を保持できるようになっている。
定着ドラム84の回転により、記録媒体24は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ86による予備加熱と、定着ローラ88による定着処理と、インラインセンサ90による検査が行なわれる。
ハロゲンヒータ86は、所定の温度(例えば、180℃)に制御される。これにより、記録媒体24の予備加熱が行なわれる。
定着ローラ88は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性熱可塑性樹脂微粒子を溶着し、インクを皮膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体24を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ88は、定着ドラム84に対して圧接するように配置されており、定着ドラム84との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体24は、定着ローラ88と定着ドラム84との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば、0.15MPa)でニップされ、定着処理が行なわれる。
また、定着ローラ88は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(たとえば60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体24を加熱することによって、インクに含まれる熱可塑性樹脂微粒子のTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、熱可塑性樹脂微粒子が溶融される。これにより、記録媒体24の凹凸に押し込み定着が行なわれるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
なお、図1の実施形態では、定着ローラ88を1つだけ設けた構成となっているが、画像層厚みや熱可塑性樹脂微粒子のTg特性に応じて、複数段設けた構成でもよい。
一方、インラインセンサ90は、記録媒体24に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
上記の如く構成された定着部20によれば、乾燥部18で形成された薄層の画像層内の熱可塑性樹脂微粒子が定着ローラ88によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体24に固定定着させることができる。また、定着ドラム84の表面温度を50℃以上に設定することで、定着ドラム84の外周面に保持された記録媒体24を裏面から加熱することによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができるとともに、画像温度の昇温効果によって画像強度を高めることができる。
また、インク中にUV硬化性モノマーを含有させた場合は、乾燥部で水分を充分に揮発させた後に、UV照射ランプを備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
(排出部)
図1に示すように、定着部20に続いて排出部22が設けられている。排出部22は、排出トレイ92を備えており、この排出トレイ92と定着部20の定着ドラム84との間に、これらに対接するように渡し胴94、搬送ベルト96、張架ローラ98が設けられている。記録媒体24は、渡し胴94により搬送ベルト96に送られ、排出トレイ92に排出される。
また、図には示されていないが、本例のインクジェット記録装置10には、上記構成の他、各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部14に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド72M,72K,72C,72Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行なうヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体24の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
図2は、インクジェットヘッド72の構造例を示す平面図であり、インクジェットヘッド72をノズル面72A側から見た図である。また、図3は図2の一部拡大図である。
図2に示すように、インクジェットヘッド72はn個のヘッドモジュール72−i(i=1,2,3,…,n)を長手方向(記録媒体24(図1参照)の搬送方向と直交する方向)に沿ってつなぎ合わせた構造を有し、記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数のノズル(図2中不図示)が設けられている。ノズル面72A(ノズルプレートに相当)は、インクがノズル面72Aに残らないように、撥水性を有して形成されている。ノズル面72Aに撥水性を付与する方法としては、撥水膜を形成するなど公知の方法で行うことができる。
各ヘッドモジュール72−iは、インクジェットヘッド72における短手方向の両側からウイング部72B(低撥水部に相当)によって支持されている。ウイング部72Bを設けることで、ノズル面72Aを保護することができる。また、インクジェットヘッド72の長手方向における両端部はヘッド支持部材72Dによって支持されている。
図3に示すように、各ヘッドモジュール72−i(n番目のヘッドモジュール72−n)は、複数のノズルがマトリクス状に配列された構造を有している。図3において符号151Aを付して図示した斜めの実線は、複数のノズルが一列に並べられたノズル列を表している。
図4(a)は、ヘッドモジュール72−iの平面透視図であり、図4(b)はその一部の拡大図である。
記録媒体24上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド72におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッドモジュール72−iは、図4(a)、(b)に示すように、インク吐出口であるノズル151と、各ノズル151に対応する圧力室152等からなる複数のインク室ユニット(記録素子単位としての液滴吐出素子)153を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(記録媒体24の搬送方向と直交する方向;主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
各ノズル151に対応して設けられている圧力室152は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部の一方にノズル151が設けられ、他方に供給口154が設けられている。なお、圧力室152の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
かかる構造を有するインク室ユニット153を図4(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向および主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット153を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd×cosθとなり、主走査方向については、各ノズル151が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に一列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
≪メンテナンス部の構成≫
次にメンテナンス部の説明をする。図5は、インクジェット記録装置の描画部の概略構成を示す側面図である。
描画ドラム70は、その回転軸218の両端部を一対の軸受222に軸支されて回転自在に設けられている(図6参照)。一対の軸受222は、インクジェット記録装置の本体フレーム220に設けられており、この一対の軸受222に回転軸218の両端部が軸支されることにより、描画ドラム70は水平に取り付けられる(水平な設置面に対して回転軸218が平行に取り付けられる。)。
描画ドラム70の回転軸218には、図示しない回転伝達機構を介してモータが連結されている。描画ドラム70は、このモータに駆動されて回転する。
4本のインクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yは、描画ドラム70の回転軸218を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置されている。なお、本例では、4本のインクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yが、描画ドラム70を挟んで左右対称になるように配置されている。すなわち、描画ドラム70の中心を通る鉛直な線分に対してマゼンタのインクジェットヘッド72Mとイエロのインクジェットヘッド72Yとが左右対称に配置されるとともに、クロのインクジェットヘッド72Kとシアンのインクジェットヘッド72Cとが左右対称に配置されている。
このように配置された各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yは、それぞれその下端部に形成されたノズル面72AM、72AK、72AC、72AYが、描画ドラム70の外周面に対向して配置されるとともに、それぞれそのノズル面72AM、72AK、72AC、72AYが、描画ドラム70の外周面から所定高さの位置に位置する(描画ドラム70の外周面とノズル面72AM、72AK、72AC、72AYとの間に同じ量のギャップが形成される。)。また、そのノズル面72AM、72AK、72AC、72AYに形成されたノズル列が、記録媒体24の搬送方向と直交して配置される。
さて、以上のように構成される描画部において各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yは、図5に示すように、ヘッド支持フレーム240に取り付けられて、描画ドラム70の周囲に配置される。
ヘッド支持フレーム240は、描画ドラム70の回転軸218と直交して設けられた一対のサイドプレート242L、242Rと、その一対のサイドプレート242L、242Rを上端部で連結する連結フレーム244とで構成されている。
一対のサイドプレート242L、242Rは、板状に形成されており、描画ドラム70を挟んで互いに対向するように配置されている。この一対のサイドプレート242L、242Rの内側には、各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yを取り付けるための取付部246M、246K、246C、246Yが設けられている(図6では、便宜上、取付部246Yのみ図示)。
取付部246C、246M、246Y、246Kは、描画ドラム70の回転軸218を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置されている。各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yは、その両端に形成された被取付部248M、248K、248C、248Y(図6では、便宜上、被取付部248Yのみ図示)を取付部246M、246K、246C、246Yに固定することにより、ヘッド支持フレーム240に取り付けられる。そして、このヘッド支持フレーム240に取り付けられることにより、各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yが、描画ドラム70の回転軸218を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置される。
ヘッド支持フレーム240は、図示しないガイドレールにガイドされて、描画ドラム70の回転軸218と平行にスライド移動自在に設けられている。そして、図示しないリニア駆動機構(たとえば、送りネジ機構など)に駆動されて、図6に実線で示す「画像記録位置」と図6に破線で示す「メンテナンス位置」との間を移動する。
各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yは、ヘッド支持フレーム240を画像記録位置に位置させると、描画ドラム70の周囲に配置され、画像記録可能な状態になる。
メンテナンス位置は、各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yが描画ドラム70から退避する位置に設定される。このメンテナンス位置には、各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yを保湿するための保湿ユニット250が設けられる。
保湿ユニット250には、各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yのノズル面を覆うキャップ252M、252K、252C、252Y(図6では、便宜上、キャップ252Yのみ図示)が備えられている。装置を長時間停止する場合などは、このキャップ252M、252K、252C、252Yでノズル面が覆われる。これにより、乾燥による不吐出が防止される。
なお、このキャップ252M、252K、252C、252Yには、図示しない加圧・吸引機構が備えられており、ノズル内を加圧・吸引できるように構成されている。
また、このキャップ252M、252K、252C、252Yには、図示しない洗浄液供給機構が備えられており、内部に洗浄液を供給できるように構成されている。
キャップ252M、252K、252C、252Yの下方位置には廃液トレイ254が配置されている。キャップ252M、252K、252C、252Yに供給された洗浄液は、この廃液トレイ254に廃棄され、廃液回収配管256を介して廃液タンク258に回収される。
画像記録位置とメンテナンス位置との間には、各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yのノズル面72AM、72AK、72AC、72AYを清掃するためのノズル面清掃装置260が設けられている。各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yは、メンテナンス位置から画像記録位置に移動する過程で、または、画像記録位置からメンテナンス位置に移動する過程で、このノズル面清掃装置260によってノズル面72AM、72AK、72AC、72AYが清掃される。
以下、このノズル面清掃装置260の構成について説明する。
≪ノズル面清掃装置の構成≫
図6に示すように、ノズル面清掃装置260は、洗浄液付与装置262と吐出面払拭装置264とを備えて構成されている。
洗浄液付与装置262は、メンテナンス位置から画像記録位置に向かって移動する各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yのウイング部72Bに洗浄液を付与する。
吐出面払拭装置264は、洗浄液が付与され湿潤された払拭ウェブで、各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yのノズル面72AM、72AK、72AC、72AY、および、ウイング部72BM、72BK、72BC、72BYに払拭ウェブを押圧当接させて、ノズル面72AM、72AK、72AC、72AY、および、ウイング部72BM、72BK、72BC、72BYを払拭する。
洗浄液付与装置262と吐出面払拭装置264は、ヘッド支持フレーム240の移動経路上に配置される。この際、洗浄液付与装置262が吐出面払拭装置264に対してメンテナンス位置側に配置される。これにより、各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yをメンテナンス位置から画像記録位置に移動させた際、洗浄液の付与後に払拭ウェブで吐出面を払拭することができる。
なお、この配置は逆にすることもできる。すなわち、吐出面払拭装置264をメンテナンス位置側に配置することもできる。この場合、各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yを画像記録位置からメンテナンス位置に移動させる過程でヘッドのウイング部72BM、72BK、72BC、72BYに洗浄液を付与し、その後、払拭ウェブで吐出面を払拭する。
≪洗浄液付与装置の説明≫
図7は、洗浄液付与装置262の概略構成図である。同図はフルライン型のインクジェットヘッド72の幅方向(副走査方向)から見た図であり、同図における紙面を貫く方向はインクジェットヘッド72の長手方向(記録媒体搬送方向と直交する主走査方向)である。
洗浄液付与装置262は、インクジェットヘッド72のウイング部72Bに洗浄液を付与する洗浄液保持面262Aを有し、この洗浄液保持面262Aに洗浄液を供給する洗浄液供給ノズル263を備える。洗浄液供給ノズル263は、洗浄液が、ウイング部72Bに接触するように、洗浄液供給ノズル263から供給される。また、洗浄液付与装置262には、洗浄液を貯留する洗浄液タンク271と、洗浄液の供給量(単位時間あたりの洗浄液供給量)を制御するポンプ265と、を具備している。
インクジェットヘッド72は傾斜して設けられており、洗浄液付与装置262の洗浄液保持面262Aはインクジェットヘッド72に対応して傾斜して設けられている。したがって、インクジェットヘッド72のノズル面72Aと洗浄液保持面262Aの間に、洗浄液供給ノズル263から流し込まれた洗浄液は、ウイング部72Bと、洗浄液保持面262Aと、の間を濡れ拡がりながら傾斜面を滑り落ち、ウイング部72Bに洗浄液を付与することができる。図7に符号Fを付した矢印線は、洗浄液261の移動方向(図7における右下方向)を示している。
洗浄液付与装置262の洗浄液保持面262Aから滑り落ちた洗浄液は、洗浄液保持面262Aの傾斜の下部262Cに設けられた回収トレイ266に落下する。回収トレイ266に集められた使用済みの洗浄液は、ポンプ267を動作させると、フィルタ268を介して洗浄液タンク271に送液され、再利用される。
洗浄液供給ノズル263は洗浄液付与装置262の内部に形成される不図示の内部流路と連通している。該流路は洗浄液付与装置262の底面に設けられる不図示の洗浄液流入口および該洗浄液流入口と連通する所要の外部流路を介してポンプ265と接続される。ポンプ265は、洗浄液タンク271と所要の外部流路を介して接続されて、洗浄液の供給量を制御する手段として機能している。ポンプ265を動作させると、洗浄液タンク271から洗浄液を汲み上げるとともに、洗浄液供給ノズル263に所定量の洗浄液が供給される。
図8は、インクジェットヘッド72と、洗浄液付与装置262の洗浄液供給ノズル263との位置関係を示す拡大図である。インクジェットヘッド72の吐出面は、ノズルが形成されたノズル面72Aとウイング部72Bとで形成されている。また、ノズル面72Aは、ノズル151が形成されているノズル領域72Eとウイング部72Bとの間にスペース72Fを有している。本実施形態においては、ノズル面72Aとは、ノズル151を有するノズル領域72Eと、ノズル領域72Eとウイング部72Bとの間に設けられたスペース72Fとから形成されている。ノズル面72Aは、Si基板などによりノズル領域72Eとスペース72Fが一体で形成されている。
図8に示すように、洗浄液供給ノズル263の洗浄液の出射方向の延長線上が、ノズル領域72Eとウイング部72Bとの間のスペース72Fになるように、洗浄液供給ノズル263および洗浄液付与装置262を配置する。洗浄液供給ノズル263の位置を図8の位置とすることにより、吐出面に付与した洗浄液がノズル151から内部に混入することを防止し、インクに気泡が混入することを防止することができる。
洗浄液供給ノズル263の設置位置は、図8に示すように、ノズル領域72Eとウイング部72Bの間のノズル面72Aのスペース72Fであり、具体的には、ノズル領域72Eの傾き下側から洗浄液供給ノズル263の洗浄液の出射方向の延長線上と吐出面との接点までの距離aが0.5mm以上であることが好ましい。また、ウイング部72Bの傾き上側と洗浄液供給ノズル263の洗浄液の出射方向の延長線上と吐出面との接点までの距離bが1.0mm以下であることが好ましい。距離aを0.5mm以上とすることにより、洗浄液供給ノズル263から供給した洗浄液がノズル151から内部に入ることを防止することができる。また、距離bを1.0mm以下とすることにより、ノズル面72Aに付与した洗浄液を、撥水性の低いウイング部72Bに移動させることができるので、ウイング部72Bに洗浄液を付与しやすくなる。
なお、洗浄液保持面262Aはウイング部72Bとの間に所定のクリアランスを維持することができればウイング部72Bに対して傾いていてもよいし、ウイング部72Bと洗浄液保持面262AとのクリアランスHが1mm以上2mm以下の条件を満たすことができれば平面だけでなく球面や湾曲面としてもよい。
図9〜図13は、洗浄液付与装置の他の実施形態を示す図である。図9に示す洗浄液付与装置362は、洗浄液供給ノズル363を複数備えている。図9に示すように、洗浄液供給ノズル363は、ウイング部72Bに対応する位置に複数設けることも可能である。洗浄液供給ノズル363を複数設けることにより、洗浄液供給ノズル363から洗浄液を吹き付けることにより、洗浄性を向上させることができる。洗浄液供給ノズル363を複数設ける場合は、洗浄液供給ノズル363の直径を1mm以下とすることが好ましい。洗浄液供給ノズル363の直径を1mm以下とすることにより、洗浄液の出射速度を速めることができるので、洗浄性を向上させることができる。したがって、洗浄液の液量を下げることができる。
図10は、洗浄液付与装置のさらに他の実施形態を示す図である。図10に示す洗浄液付与装置462は、洗浄液供給ノズル463がインクジェットヘッド72の吐出面(ウイング部72B)に対して、所定の角度を有して設けられている。図10に示すように、洗浄液供給ノズル463をインクジェットヘッド72の傾き方向下側に向かって所定の角度を設けて設置することにより、ノズル領域72Eに洗浄液がかかることを防止することができるので、ノズル151内に洗浄液が混入することを防止することができる。また、吐出面に対して、傾き方向下側に向かって洗浄液供給ノズル463を設けることにより、洗浄液をインクジェットヘッド72の傾き下側に流れ易くすることができる。
なお、洗浄液付与装置462の洗浄液保持面462Aの傾きの最上部に設けられた洗浄液供給ノズル463の位置は、洗浄液供給ノズル463の延長線上が図8に示した位置になるように配置することが好ましい。
図11は、洗浄液付与装置のさらに他の実施形態を示す図である。図11に示す洗浄液付与装置562は、洗浄液保持面562Aが、段差構造となっており、ウイング部72Bに対する面が、インクジェットヘッド72と近接しており、洗浄液を付与しないノズル面72Aに対する面は、インクジェットヘッド72から離れた構造となっている。このような構成とすることにより、吐出面のウイング部72Bの位置にのみ洗浄液の噴き付けを行う、または、洗浄液の層が形成され、ノズル面72Aは洗浄液の層が接触することがない。したがって、ノズル領域72Eに洗浄液が付与されることを防止することができる。また、ノズル領域72Eに対する洗浄液付与装置262の面を、段差を設けて距離を離すことにより、余剰の洗浄液の回収トレイとして使用することができる。
図12は、洗浄液付与装置のさらに他の実施形態を示す図である。図12に示す洗浄液付与装置662は、洗浄液を付与するウイング部72Bに対する位置にのみ洗浄液付与装置が設けられている。図11に示す洗浄液付与装置562は、ノズル領域72Eと洗浄液保持面562Aとの距離を離すことで、ノズル領域72Eに洗浄液が供給されることを防止しているが、図12に示すように、ウイング部72Bに対する位置にのみ、洗浄液付与装置662を設置することで、ウイング部72Bにのみ洗浄液を付与することができる。
なお、洗浄液付与装置662の洗浄液保持面662Aの形状は、ウイング部72Bに洗浄液を付与することができれば、特に限定されない。洗浄液保持面662Aの形状としては、洗浄液保持面662Aの幅が、インクジェットヘッド72のウイング部72Bと同じ幅を有し、洗浄液をウイング部72Bに供給することができれば、長方形、正方形、円形などのさまざまな形状とすることができる。
図13は、洗浄液付与装置のさらに他の実施形態の洗浄液供給ノズルの形状を示す平面図である。図13に示す洗浄液付与装置762は、洗浄液付与装置762の傾斜の傾き上側から下側に行くに従い、洗浄液供給ノズル763のノズル径を大きくしている。ノズル径を小さくすることで、洗浄液の供給量を下げることができ、ノズル径を大きくすることで、洗浄液の供給量を上げることができるので、洗浄液付与装置762の傾き上側の洗浄液の供給量を下げることができる。したがって、インクジェットヘッド72の傾き下側のウイング部72Bに向かって供給した洗浄液が、溢れてノズル領域72Eに供給されることを防止することができる。
図14は、洗浄液付与装置のさらに他の実施形態を示す図である。図14に示す洗浄液付与装置862は、複数の洗浄液供給ノズル863を備えるノズル板873と、洗浄液供給ノズル863に洗浄液を供給する洗浄液付与装置本体874から形成されている。図14に示すように、洗浄液付与装置本体874に、洗浄液を供給する流路875を備え、この流路875を通して、ノズル板873に設けられた各洗浄液供給ノズル863から洗浄液を付与することで、装置の構成を簡略化することができる。
なお、図14に示す洗浄液付与装置862の構成は、図9〜図13に示す洗浄液付与装置の構成に適用することも可能である。
≪吐出面払拭装置の説明≫
吐出面払拭装置(払拭部材洗浄液付与手段)264は、各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yの吐出面に払拭ウェブを押圧当接させて、吐出面を払拭する。吐出面払拭装置264は、ヘッド支持フレーム240の移動経路上に配置される。各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yをメンテナンス位置から画像記録位置に移動させた際、払拭ウェブで吐出面を払拭することができる。
図15は、吐出面払拭装置をメンテナンス位置側から見た側面図である。
同図に示すように、吐出面払拭装置264は、各インクジェットヘッド72M、72K、72C、72Yに対応して設けられた払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kと、その払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kがセットされる清掃装置本体フレーム102とで構成されている。
(清掃装置本体フレームの構成)
清掃装置本体フレーム102は、水平に設置されており、図示しない昇降装置によって昇降自在に設けられている。この清掃装置本体フレーム102は、上端部が開口した箱状に形成されており、その内部に各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを装着するための払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kが形成されている。
払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kは、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを収容可能な空間として形成されており、上部が開口して形成されている。各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kは、各払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kの上部開口部から鉛直下向きに差し込むことにより、各払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kにセットされる。
なお、各払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kには、図示しないロック機構が備えられ、装着された払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kをロックできるように構成される。ロック機構は、例えば、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kに差し込むと、自動的に作動するように構成される。
<払拭ユニットの構成>
次に、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kの構成について説明する。
なお、各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kの基本構成は共通しているので、ここでは払拭ユニット100として、その構成を説明する。払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kについても同様であり、払拭ユニット装着部
104として説明する。
図16は払拭ユニットの平面図、図17は払拭ユニットを画像記録位置側から見た側面図、図18は払拭ユニットの正面部分断面図である。
図16から18に示すように、払拭ユニット100は、傾斜して設置された押圧ローラ(押圧手段)118に帯状に形成された払拭ウェブ(払拭部材)110を巻き掛け、この押圧ローラ118に巻き掛けた払拭ウェブ110をインクジェットヘッドの吐出面に押圧当接させる。インクジェットヘッド72の吐出面の払拭清掃は、インクジェットヘッド72を図6に示すメンテナンス位置から画像記録装置に移動させると共に、払拭ウェブ110を押圧当接させながら走行させることにより行う。
この払拭ユニット100は、ケース112と、押圧ローラ118と、帯状に形成された払拭ウェブ110を繰り出す繰出軸114と、払拭ウェブ110を巻き取る巻取軸116と、繰出軸114から繰り出された払拭ウェブ110が押圧ローラ118に巻き掛けられるようにガイドする前段ガイド120と、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が巻取軸116に巻き取られるようにガイドする後段ガイド122と、払拭ウェブ110を搬送するグリッドローラ(駆動ローラ)124とを備えて構成される。
払拭ウェブ110には、例えば、PET(polyethylene terephthalate;ポリエチレンテレフタラート)、PE(polyethylene;ポリエチレン)、NY(nylon;ナイロン)、アクリル等の極微細繊維を用いた編みまたは織りからなるシートが用いられ、払拭対象とするヘッドの吐出面の幅に対応した幅を有する帯状に形成される。
押圧ローラ118は、繰出軸114の上方に配置されており(本例では、押圧ローラ118と繰出軸114と巻取軸116とが同一直線上に配置されている。)、水平面に対して所定角度傾斜して配置されている。すなわち、この押圧ローラ118は、払拭ウェブ110をインクジェットヘッド72の吐出面に押圧当接させるものであるため、払拭対象とするインクジェットヘッド72の吐出面の傾きに合わせて傾けて配置されている(吐出面と平行になるように配置されている)。
前段ガイド120は、第1前段ガイド160と、第2前段ガイド162とで構成され、繰出軸114から繰り出された払拭ウェブ110が、傾斜して設置された押圧ローラ118に巻き掛けられるようにガイドする。
一方、後段ガイド122は、第1後段ガイド164と、第2後段ガイド166とで構成され、傾斜して設置された押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が、水平に設置された巻取軸116に巻き取れるようにガイドする。
この前段ガイド120と後段ガイド122は、押圧ローラ118を挟んで対称に配置されている。すなわち、第1前段ガイド160と第1後段ガイド164とが押圧ローラ118を挟んで対称に配置されるとともに、第2前段ガイド162と第2後段ガイド166とが押圧ローラ118を挟んで対称に配置されている。
第1前段ガイド160は、所定の幅を有する板状に形成されており、昇降ステージ170の上に垂直に立設されている。この第1前段ガイド160は、上縁部160Aが、払拭ウェブ110の巻き掛け部として形成されており、その表面が円弧状に形成されている。また、この上縁部160Aは、水平面に対して所定角度傾斜して形成されており、これに
より、払拭ウェブ110の走行方向が変換される。
第1後段ガイド164は、第1前段ガイド160と同じ構成である。すなわち、所定の幅を有する板状に形成されており、昇降ステージ170の上に垂直に立設されている。そして、その上縁部164Aが、払拭ウェブ110の巻き掛け部として形成され、円弧状に形成されるとともに、水平面に対して所定角度傾斜して形成されている。
この第1前段ガイド160と第1後段ガイド164とが、押圧ローラ118を挟んで対称に配置されている。繰出軸114から繰り出された払拭ウェブ110は、第1前段ガイド160に巻き掛けられることにより、繰出軸114と直交する方向から押圧ローラ118と略直交する方向に方向転換される。また、後述する第2後段ガイド166に巻き掛けられた払拭ウェブ110は、第1後段ガイド164に巻き掛けられることにより、巻取軸116と直交する方向に方向転換される。
第2前段ガイド162は、両端部にフランジ162L、162Rを有するガイドローラとして構成されている。この第2前段ガイド162は、第1前段ガイド160と押圧ローラ118との間に配置され、第1前段ガイド160に巻き掛けられた払拭ウェブ110が、押圧ローラ118に巻き掛けられるようにガイドする。すなわち、第1前段ガイド160によって押圧ローラ118と略直交する方向に方向転換された払拭ウェブ110が、押圧ローラ118と直交する方向に走行するように、払拭ウェブ110の走行方向を微調整する。また、両端のフランジ162L、162Rによって、払拭ウェブ110の斜行を防止する。
この第2前段ガイド162は、一端をブラケット168Aに片持ち支持されて、所定角度傾斜して設けられている。ブラケット168Aは、図17に示すように、先端が屈曲したプレート状に形成されており、その基端部がケース本体126の背面上端部に固定されている。そして、そのケース本体126の上端部から上方に向けて垂直に突出して設けられている。第2前段ガイド162は、このブラケット168Aの先端の屈曲部に片持ち支持されて回動自在に支持されている。
第2後段ガイド166は、第2前段ガイド162と同じ構成である。すなわち、両端部にフランジ166L、166Rを有するガイドローラとして構成され、一端をブラケット168Bに片持ち支持されて、所定角度傾斜して設けられている。ブラケット168Bは、先端が屈曲したプレート状に形成されており、その基端部がケース本体126の背面上端部に固定されている。第2後段ガイド166は、このブラケット168Bの先端の屈曲部に片持ち支持されて回動自在に支持されている。
この第2後段ガイド166は、押圧ローラ118と第1後段ガイド164との間に配置され、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110が、第1後段ガイド164に巻き掛けられるようにガイドする。
この第2前段ガイド162と第2後段ガイド166とが、押圧ローラ118を挟んで対称に配置されている。第1前段ガイド160によって押圧ローラ118と略直交する方向に方向転換された払拭ウェブ110は、第2前段ガイド162に巻き掛けられることにより、押圧ローラ118と直交する方向に走行するように、走行方向が微調整される。また、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウェブ110は、第1後段ガイド164に巻き掛けられるように、第2後段ガイド166によって走行方向が微調整される。そして、第1後段ガイド164に巻き掛けられることにより、巻取軸116と直交する方向に方向転換される。
このように、前段ガイド120と後段ガイド122は、段階的に払拭ウェブ110の走行方向を切り換えることにより、払拭ウェブ110が、無理なく押圧ローラ118に巻き掛けられるようにガイドする。
グリッドローラ124は、巻取軸116と平行(=水平面と平行)に設けられており、その回転軸をケース本体126に設けられた軸受部に回動自在に支持されている。回転軸は、基端部がケース本体126の外側に突出して設けられており、その突出した基端部には、グリッドローラギア186が固着されている。グリッドローラ124は、このグリッドローラギア186が回転駆動されることにより回転する。
ここで、このグリッドローラ124を含む払拭ユニット100の駆動機構について説明する。
本実施の形態の払拭ユニット100では、巻取軸116を回転駆動するとともに、グリッドローラ124を回転駆動することにより、払拭ウェブ110を繰出軸114から巻取軸116に向けて走行させる。
上記のように、巻取軸116には、巻取軸ギア158が取り付けられている。一方、グリッドローラ124には、グリッドローラギア186が取り付けられている。この巻取軸ギア158とグリッドローラギア186は、図8に示すように、回転伝達ギア188に噛み合わされている。
回転伝達ギア188は、その回転軸が水平に設けられており、ケース本体126に設けられた軸受部190に回動自在に支持されている。巻取軸ギア158とグリッドローラギア186は、この回転伝達ギア188を回転させることにより、同じ方向に回転する。そして、この巻取軸ギア158とグリッドローラギア186とが回転することにより、巻取軸116とグリッドローラ124とが回転する。
巻取軸ギア158とグリッドローラギア186とを回転させる回転伝達ギア188は、払拭ユニット100を清掃装置本体フレーム102の払拭ユニット装着部104に装着すると、払拭ユニット装着部104内に設けられた駆動ギア192に噛み合わされる(図15参照)。
駆動ギア192は、モータ194の出力軸に取り付けられており、払拭ユニット100を払拭ユニット装着部104に装着した際、その回転伝達ギア188が歯合する位置に配置される。
モータ194は、たとえば、パルスモータで構成され、払拭ユニット装着部104の底部に取り付けられる。このモータ194の駆動は、図示しない制御装置によって制御される。
払拭ユニット100の駆動機構は以上のように構成される。
上記のように、払拭ユニット100を清掃装置本体フレーム102の払拭ユニット装着部104に装着すると、払拭ユニット100のケース112に設けられた回転伝達ギア188が、払拭ユニット装着部104に設けられた駆動ギア192に噛み合わされる。この状態でモータ194を駆動すると、そのモータ194の出力軸に取り付けられた駆動ギア192が回転し、その回転が回転伝達ギア188に伝達されて、回転伝達ギア188が回転する。
回転伝達ギア188が回転すると、その回転伝達ギア188の回転が巻取軸ギア158とグリッドローラギア186とに伝達されて、巻取軸ギア158とグリッドローラギア186とが回転する。この結果、巻取軸116とグリッドローラ124とが回転する。そして、この巻取軸116とグリッドローラ124が回転することにより、繰出軸114に装着された繰出コア138から払拭ウェブ110が繰り出され、所定の走行経路を通って巻取軸116に装着された巻取コア142に巻き取られる。
このように、払拭ユニット100を払拭ユニット装着部104に装着すると、回転伝達ギア188が駆動ギア192に噛み合わされて、巻取軸116とグリッドローラ124とを駆動することが可能になる。
また、図16から図18に示すように、吐出面払拭装置264は、払拭ウェブ110に洗浄液を付与する洗浄液付与ノズル300を備える。洗浄液が付与された払拭ウェブ110により吐出面を払拭することにより、吐出面の清掃を行なうことができる。洗浄液付与ノズル300は、払拭ユニット100を形成するケース112の側面に固定板302により固定され、ケース112に一体となって形成されている。洗浄液付与ノズル300は、払拭ユニット100の上方に設けられており、洗浄液を洗浄液付与ノズル300から滴下することで、払拭ウェブ110に洗浄液を付与する。
洗浄液付与ノズル300は、洗浄液供給流路(不図示)が通過する洗浄液流路用穴304を備え、この洗浄液流路用穴304に洗浄液供給流路を通すことで、洗浄液供給流路から洗浄液付与ノズル300に洗浄液を供給することができる。
洗浄液の供給は、洗浄液が蓄えられたタンク(不図示)からポンプ、水頭差などを利用して供給することができる。
洗浄液付与ノズル300に供給された洗浄液は、洗浄液付与ノズル300上を通過し、洗浄液付与ノズル300の先端から、払拭ウェブ110に滴下され、払拭ウェブ110に洗浄液が供給される。
洗浄液付与ノズル300の先端は、払拭ユニット100の第2前段ガイド162の払拭ウェブ110の搬送方向の上流側の位置に設けられている。洗浄液付与ノズル300から滴下される洗浄液は、払拭ウェブ110の第2前段ガイド162を通過する前に、払拭ウェブ110に付与される。また、洗浄液付与ノズル300の先端は、払拭ウェブ110の搬送方向の幅方向で、第1前段ガイド160および第2前段ガイド162の傾斜の上側に配置されている。洗浄液付与ノズル300の先端をこのような位置に配置することで、払拭ウェブ110に付与された洗浄液が、第2前段ガイド162の傾斜に沿って傾いて搬送される払拭ウェブ110の幅方向に伝わり、払拭ウェブ110の幅方向全面に洗浄液を付与することができる。
なお、洗浄液付与ノズル300先端の払拭ウェブ110の幅方向の位置は、上記の位置に特に限定されず、払拭ウェブ110の幅方向全面に洗浄液を付与する洗浄液ノズルとすることもできる。
払拭ウェブ110に洗浄液を付与する方法としては、上記のノズルから滴下する方法の他にスプレーまたはローラにより払拭ウェブ110に洗浄液を付与することが可能である。
≪吐出面のメンテナンス方法≫
図19は、インクジェットヘッド72の吐出面のメンテナンス方法の一例を示すフローチャート図である。
本実施形態においては、インクジェットヘッド72にインクの初期充填、または、加圧パージを行なった後(ステップS12)に、インクジェットヘッド72のメンテナンスを行なう。インクの初期充填、または、加圧パージを行なった後は、インクがノズルから吐出されるため、吐出面にインクの残渣が残っている。インクジェットヘッド72は傾斜して形成されており、また、ノズル面72Aは撥水性で形成されているため、ノズル151から吐出されたインクは、吐出面の傾き方向下側のウイング部72Bに付着しやすくなる。
次に、ウイング部72Bに洗浄液付与装置262から洗浄液を付与する(ステップS14、洗浄液付与工程)。インクジェットヘッド72のウイング部72Bに洗浄液を付与することにより、洗浄性を向上させることができる。また、本実施形態のインクジェットヘッド72は複数のヘッドモジュールを繋ぎ合わせることで形成されており、ヘッドモジュールは交換可能に形成されているため、ヘッドモジュールの繋ぎ合わせ部分に隙間が生じる。インクの拭き残しがあると、この隙間にインクの残渣が入り込み、吐出面の払拭工程中にインクの残渣が掻き出される場合がある。インクの残渣が掻き出されるとインクの吐出に悪影響を及ぼす場合がある。
したがって、ウイング部72Bに洗浄液を付与することで、インクの付着量が大きいウイング部72Bのインクの濃度を下げることができる。したがって、インクの除去性を向上させることができる。また、ウイング部のみに洗浄液を付与することで、洗浄液がノズル内部に入りこみ、洗浄液中の気泡がノズル内に入ることを防止することができるので、連続吐出を安定して行うことができる。
次に吐出面払拭装置264により、吐出面の払拭を行なう(ステップS16、第1の払拭工程)。吐出面払拭装置264による吐出面の払拭は、洗浄液を付与した払拭ウェブ110で行う。洗浄液を付与した払拭ウェブ110で吐出面の払拭を行うことで、ノズル領域の払拭においては、ノズル内のインクを払拭ウェブが引き出すことを防止することができる。また、洗浄液が付与された払拭ウェブでノズル面を払拭することにより、ノズル領域の清掃と、ウイング部の清掃、洗浄液の拭き取りを一度に行うことができる。
ウイング部の清掃が十分に行われるまで、ウイング部への洗浄液の付与(ステップS14)、洗浄液が付与された払拭部材による吐出面の払拭(ステップS16、第2の払拭工程)を繰り返す(ステップS18)。洗浄液付与工程、第1の払拭工程を繰り返す場合は、図6に示す画像記録位置からメンテナンス位置に移動させた後、インクジェットヘッド72をメンテナンス位置から画像記録位置に移動させる際に行う。
ウイング部の清掃が十分に行われたら、ウイング部への洗浄液の付与を行わず、洗浄液が付与された払拭部材で、吐出面の払拭を行い、仕上げ拭きを行う(ステップS20)。仕上げ拭きを行うことで、洗浄液の残りを確実に払拭することができる。第2の払拭工程においても、第1の払拭工程後はインクジェットヘッド72が図6に示す画像記録位置に移動しているので、メンテナンス位置にインクジェットヘッドを移動させた後、メンテナンス位置から画像記録位置に移動させる際に行う。
払拭部材での払拭後、吐出面のメンテナンスを終了する(ステップS22)。
なお、図19においては、初期充填、または、加圧パージを行なった後に本発明のメンテナンス方法を行う態様で説明したが、初期充填、加圧パージ後に限定されず、通常のインクジェットヘッドのメンテナンス時においても実施することもできる。
≪洗浄液≫
次に本実施形態で用いられる洗浄液について説明する。
本発明で用いられる洗浄液は、洗浄液付与装置と吐出面払拭装置とで、異なる洗浄液を使用することができる。洗浄液付与装置262によりウイング部に付与される洗浄液は、ウイング部のみに付与され、ノズル領域には付与されないので、洗浄液がノズル内部に入りこむことがないので、インク溶解性の高い洗浄液を使用することができる。インク溶解性の高い洗浄液を使用することで、洗浄液の量を少なくすることができる。したがって、さらに、ウイング部の傾き上側にあるノズル領域に洗浄液が移動することを防止することができるので、ノズル内部への洗浄液の混入を防止することができる。
洗浄液付与装置から付与される洗浄液は、少なくとも、以下に示す一般式(I)で表わされる化合物と、水溶性有機溶剤と、保湿剤と、水と、を用いて構成される。さらに、必要に応じて、有機溶剤、塩基性化合物、その他添加剤などを用いて構成することができる。
(1)一般式(I)で表わされる化合物
HLB値が10.5〜13.8の下記一般式(I)で表される化合物(界面活性剤)の少なくとも一種を含有することで、インク固形物に浸透してインク固形物の溶解性を促進する。
Figure 2014151585
上記一般式(I)において、Rは、炭素数6〜20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数6〜20の直鎖もしくは分岐のアルケニル基、又は、置換もしくは無置換のアリール基を表す。mは、3〜14の整数を表す。
上記Rで表されるアルキル基は、炭素数が6〜20であり、直鎖状又は分岐状のいずれの構造でもよい。アルキル基の例としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、セチル(ヘキサデシル)基、ステアリル(オクタデシル)基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。中でも、炭素数8〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましく、炭素数8〜10の直鎖のアルキル基が特に好ましい。
上記Rで表されるアルケニル基は、炭素数が6〜20であり、直鎖状又は分岐状のいずれの構造でもよい。アルケニル基の例としては、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オレイル(オクタデセニル)基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。中でも、炭素数8〜10のアルケニル基が好ましい。
上記Rで表される置換又は無置換のアリール基は、置換アリール基が好ましく、炭素数10〜20のアリール基が好ましく、炭素数12〜16のアリール基がより好ましい。アリール基が置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アルケニル基等が好ましく、アルキル基が更に好ましく、炭素数6〜10のアルキル基が特に好ましい。アリール基の好ましい例としては、ノニルフェニル基、オクチルフェニル基等が挙げられる。
(2)水溶性有機溶剤
水溶性有機溶剤を含有することにより、インク固形物の溶解性がより向上し、優れた洗浄能を発揮させることができる。
水溶性有機溶剤の例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル(DEGmME/SP値:23.0)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGmEE/SP値:22.4)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGmBE/SP値:21.5)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(TEGmME/SP値:19.6)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(TEGmEE/SP値:19.4)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGmBE/SP値:21.1)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGmME/SP値:21.3)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPGmME/SP値:21.3)、ジプロピレングリコール(DPG/SP値:27.2)、並びに、nC4H9O(AO)4−H(AO=EO又はPO、EO:PO[質量比]=1:1、SP値:20.1)、HO(PO)3−H(SP値:24.7)等が挙げられる。これらの中でも、インク固形物の溶解性の観点から、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが最も好ましい。
これらの水溶性有機溶剤は、1種単独で用いるほか、2種以上を併用してもよい。
水溶性有機溶剤の洗浄液中における含有量としては、0.3〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。添加量が0.2質量%未満ではインク固形物の溶解性の向上効果が小さくなり、20質量%を超えるとインク混合時に凝集し易くなり好ましくない。
また、他の水溶性有機溶剤としては、アルコール類、後述の保湿剤として使用可能なポリオール類、エーテル類などが挙げられる。
また、本洗浄液は、SP値が27.5以下の有機溶剤を、全有機溶剤量に対して、50質量%以上含有していることが望ましい。SP値が27.5以下の有機溶剤の含有量が、50質量%以上あることで、吐出ヘッドのインク固着物の溶解性がより向上し、洗浄性を高めることが出来る。中でも該有機溶剤の含有量は、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、特に好ましくは、80質量%以上である。またSP値はインク固形物の溶解性の観点から、24以下が好ましく、22以下がさらに望ましい。
上記SP値(溶解度パラメーター)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、あり、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p.147-154(1967)に記載の方法で計算される値である。
(3)保湿剤
保湿剤を含有することで、洗浄液の水分蒸発による乾燥を抑制し、長期放置時の洗浄液の組成の変質を抑制することができる。保湿剤とは、低揮発性で保水能力が比較的高い水溶性化合物をいう。
保湿剤としては、例えば、ポリオール類(例:グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ペンタエリスリトール等)、ラクタム類(例:2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等)等、並びに水溶性の固体保湿液(例:尿素、チオ尿素、N−エチル尿素等の窒素化合物、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等のジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の単糖類、二糖類、オリゴ糖類、及び多糖類、並びにこれら糖類の還元糖、酸化糖、アミノ酸及びチオ糖等の誘導体)等が挙げられる。中でも、本発明に用いられる保湿液としては、ポリオール類が好ましく、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールがより好ましく、ジエチレングリコールが最も好ましい。
保湿剤の洗浄液中における含有量としては、洗浄液全量に対して、16〜30質量%の範囲が好ましい。保湿剤の含有量が16質量%以上であることで、洗浄液の水分蒸発による乾燥が抑制される。また、保湿剤の含有量が30質量%以下であることで、粘度上昇による流動性の低下を防ぐと共に、良好な洗浄性を確保することができる。
(4)水
溶剤として水を含有する。好ましい水は、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。水の洗浄液の全質量に占める割合は、60〜70質量%の範囲が好ましい。
(5)塩基性化合物
塩基性化合物を含有することで、洗浄液が保管などで経時した場合に、含有成分の分解などでpH低下するのを防ぐための緩衝作用を持たせることができる。
塩基性化合物は、洗浄液のpH領域においてpH緩衝能を有する化合物であれば、特に限定されるものではなく、洗浄液を構成する溶剤(例えば、水、有機溶剤、又はこれらの混合溶剤)に5mmol/L以上の溶解度を有する化合物が好ましい。
塩基性化合物としては、例えば、下記具体例が挙げられる。
・カコジル酸(pKa:6.2)
・2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2’,2”−ニトリロトリエタノール(pKa:6.5)
・ピペラジン−N,N’−ビス−(2−エタン硫酸)(pKa:6.8)
・リン酸(pKa2:6.86)
・イミダゾール(pKa:7.0)
・N’−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’,2−エタン硫酸(pKa:7.6)
・N−メチルモルホリン(pKa:7.8)
・トリエタノールアミン(pKa:7.8)
・ヒドラジン(pKa:8.11)
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン(pKa:8.3)
塩基性化合物の洗浄液中における含有量としては、洗浄液全量に対して、0.1〜5質量%の範囲が好ましい。塩基性化合物の含有量が0.1質量%以上であると、洗浄液のpH変動が抑えられ、洗浄後にインクと混合した場合にインク中の成分の凝集等の発生防止に効果的である。含有量が5質量%以下であると、ヘッド面で洗浄液が濃縮されたときに析出し難いという点で有利である。
(6)その他添加剤
洗浄液は、上記の成分に加え、必要に応じて、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤(ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等)、粘度調整剤、特開2011−63777号公報に記載のシリコーン系化合物等のその他の添加剤を含むことができる。
また、上述したように、吐出面払拭装置264の払拭ウェブ110に付与される洗浄液は、ウイング部に付与される洗浄液よりもインク溶解性の低い洗浄液を用いている。吐出面払拭装置264の払拭ウェブ110に付与する洗浄液としては、水溶性有機溶剤と、保湿剤と、水からなる洗浄液(上記SP値がウイング部に付与される洗浄液より高い洗浄液)を使用することができる。
10…インクジェット記録装置、12…給紙部、14…処理液付与部、16…描画部、18…乾燥部、20…定着部、22…排出部、24…記録媒体、70…描画ドラム、72…インクジェットヘッド、72A…ノズル面、100…払拭ユニット、110…払拭ウェブ、118…押圧ローラ、260…ノズル面清掃装置、262、362、462、562、662、762、862…洗浄液付与装置、263、363、463、563、663、763、863…洗浄液供給ノズル、264…吐出面払拭装置、300…洗浄液付与ノズル

Claims (11)

  1. インクを吐出する複数のノズルが設けられ、撥水性を有するノズルプレートと、前記ノズルプレートの配列方向の両側で前記配列方向と平行に前記ノズルプレートよりも撥水性の低い低撥水部と、を有するヘッドモジュールを前記配列方向に複数繋ぎ合わせ、
    前記ヘッドモジュールの繋ぎ合わせ部には、前記ヘッドモジュールを交換可能にするための隙間を有し、
    前記ノズルプレートは、水平面に対して傾斜して設けられ、前記低撥水部が前記ノズルプレートの上下方向に配置されたインクジェットヘッドと、
    前記インクジェットヘッドのノズルプレートの傾き方向下側の前記低撥水部に向かって洗浄液を付与する洗浄液供給ノズルを有する洗浄液付与手段と、を備えるインクジェットヘッドのメンテナンス装置。
  2. 前記洗浄液付与手段は、前記洗浄液供給ノズルを複数備え、前記低撥水部に前記洗浄液を噴き付ける請求項1に記載のインクジェットヘッドのメンテナンス装置。
  3. 前記洗浄液供給ノズルは、洗浄液の吐出方向が前記ノズルプレートの傾き下側に向かって、傾斜して設けられている請求項1または2に記載のインクジェットヘッドのメンテナンス装置。
  4. 前記洗浄液付与手段は、前記洗浄液が滑り落ちる洗浄液保持面を有し、
    前記洗浄液保持面は、前記低撥水部に対する位置にのみ設けられている請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドのメンテナンス装置。
  5. 前記洗浄液供給ノズルは、前記低撥水部に対応する傾きの上側から下側に向かい、前記洗浄液供給ノズルの径が大きくなる請求項2に記載のインクジェットヘッドのメンテナンス装置。
  6. 前記ノズルプレートおよび前記低撥水部を払拭する払拭手段を備える請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドのメンテナンス装置。
  7. 前記払拭手段は、吸水性を有する払拭部材であり、
    前記払拭部材に洗浄液を付与する払拭部材洗浄液付与手段を備える請求項6に記載のインクジェットヘッドのメンテナンス装置。
  8. インクを吐出する複数のノズルが設けられ、撥水性を有するノズルプレートと、前記ノズルプレートの配列方向の両側で前記配列方向と平行に前記ノズルプレートよりも撥水性の低い低撥水部と、を有するヘッドモジュールを前記配列方向に複数繋ぎ合わせ、前記ノズルプレートは水平面に対し傾斜して設けられ、前記低撥水部が前記ノズルプレートの上下方向に配置されたインクジェットヘッドのメンテナンス方法において、
    前記インクジェットヘッドの傾き方向下側の前記低撥水部に洗浄液を付与する洗浄液付与工程と、
    前記ノズルプレートおよび前記低撥水部を、洗浄液が付与された払拭部材で払拭する第1の払拭工程と、を有するインクジェットヘッドのメンテナンス方法。
  9. 前記洗浄液付与工程の前に、前記インクジェットヘッドに前記インクの初期充填、または、加圧パージを行なう工程を有する請求項8に記載のインクジェットヘッドのメンテナンス方法。
  10. 前記第1の払拭工程の後に、前記低撥水部に前記洗浄液を付与せず、前記洗浄液が付与された前記払拭部材で払拭する第2の払拭工程を有する請求項8または9に記載のインクジェットヘッドのメンテナンス方法。
  11. 前記低撥水部に付与する洗浄液は、前記払拭部材に付与する洗浄液よりもインクの溶解性が高い洗浄液である請求項8から10のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドのメンテナンス方法。
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