JP2014151441A - 表皮用積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性、耐スクラッチ性に優れた表皮用積層フィルムを提供する。
【解決手段】エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマーを含む第1樹脂層と、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を含む第2樹脂層と、を有し、少なくとも前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層が電子線架橋されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、表皮用積層フィルムに関する。
建材、日用品、家庭用品、玩具、文具など多方面で用いられる樹脂フィルムは、その用途に合わせて様々な特性が要求されている。
樹脂フィルムの一例として、アイオノマーを用いた積層フィルムが提案されている。具体的な例として、成形品に耐熱性、耐スクラッチ性等を付与するため、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー層と熱接着性樹脂層とからなり、そのアイオノマー層が電子線架橋された表皮用積層フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ポリスチレン系樹脂発砲シートと放射線架橋しうるポリオレフィン系樹脂フィルムとを接着剤層を介して積層した後、放射線を照射することで架橋された表皮層を有する積層体が開示されている(例えば、特許文献2参照)。ここでの積層体は、接着強度、耐熱性等の諸特性に優れるとされている。
特開2000−85062号公報 特開昭61−215044号公報
しかしながら、これまでに提案されている積層フィルムなどは、複数枚が重なった状態で置かれた場合にくっつきが生じたり、熱で貼り付きが生じる等の不具合が発生する場合がある。これらを防ぐ観点からは、さらに耐熱性を向上させる技術の確立が求められる。
その一方、接着剤層が設けられている場合に、熱等を与えて単に耐熱性を高めようとすると、接着剤層の接着性が損なわれやすくなる場合がある。
本発明は、上記の状況に鑑みなされたものであり、耐熱性、耐スクラッチ性に優れた表皮用積層フィルムを提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマーを全質量に対して50質量%以上含む第1樹脂層と、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を全質量に対して50質量%以上含む第2樹脂層と、を有し、少なくとも前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層が電子線架橋された表皮用積層フィルムである。
<2> 接着成分を含む接着性層をさらに有し、
前記第1樹脂層と前記第2樹脂層と前記接着性層とをこの順に含む少なくとも3層の重層構造を有する前記<1>に記載の表皮用積層フィルムである。
<3> 前記接着成分が、ウレタン樹脂系接着剤、変性シリコーン樹脂系接着剤、及びエポキシ樹脂系接着剤から選択される少なくとも一種である前記<2>に記載の表皮用積層フィルムである。
<4> 前記接着成分が反応性接着剤であり、前記接着性層は、反応性接着剤を塗布して形成されている前記<2>又は前記<3>に記載の表皮用積層フィルムである。
<5> 前記接着性層は、前記接着成分として、ポリオールを含む主剤と、イソシアネートを含む硬化剤と、からなる2液反応型ウレタン樹脂系接着剤を用いて形成された層である前記<2>〜前記<4>のいずれか1つに記載の表皮用積層フィルムである。
<6> 前記第1樹脂層におけるアイオノマーのエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体、及び前記第2樹脂層におけるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体の少なくとも一方は、更に、α,β−不飽和カルボン酸エステルに由来の構造単位を有する3元共重合体である前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の表皮用積層フィルムである。
<7> 前記第1樹脂層におけるアイオノマーのエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を構成するα,β−不飽和カルボン酸、及び前記第2樹脂層におけるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を構成するα,β−不飽和カルボン酸の少なくとも一方は、(メタ)アクリル酸である前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載の表皮用積層フィルムである。
本発明によれば、耐熱性、耐スクラッチ性に優れた表皮用積層フィルムが提供される。
以下、表皮用積層フィルムについて詳細に説明する。
本発明の表皮用積層フィルムは、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマーを含む第1樹脂層と、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を含む第2樹脂層と、を有し、少なくとも第1樹脂層及び第2樹脂層を電子線架橋して構成されている。本発明の表皮用積層フィルムは、被着基材への接着を可能とするための接着性層を有することが好ましく、必要に応じて、更に、他の層を有してもよい。
本発明においては、成形品の表皮材としての機能を担うため、樹脂層の構成として、樹脂成分としてエチレン系共重合体のアイオノマーを用いて構成された第1樹脂層と、エチレン系共重合体を用いて構成された第2樹脂層との重層構造を設け、かつ少なくとも重層構造をなす樹脂層が電子線架橋された構成であることで、優れた耐熱性を有するものとなる。さらに、重層構造の第2樹脂層側に接着性層を有している場合、被着基材との間の接着性を良好に保ちながら、優れた耐熱性、耐スクラッチ性をも発現する。
以下、本発明の表皮用積層フィルムを構成する各層について詳述する。
−第1樹脂層−
本発明における第1樹脂層は、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマーを少なくとも含み、電子線照射により少なくともアイオノマーが架橋されてなる層である。電子線が照射されることで、アイオノマーが有するエチレン鎖同士のラジカル反応が進行して架橋する。これにより、単にアイオノマーを用いた構成に比べ、樹脂層自体の強度がより向上し、優れた耐熱性、耐スクラッチ性が得られる。
(アイオノマー)
アイオノマーは、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体が有する酸基を、金属化合物により中和した化合物である。
−エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体−
アイオノマーを構成するエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体は、少なくとも、エチレンと、α,β−不飽和カルボン酸と、が共重合した多元の共重合体であり、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸とが共重合した2元共重合体、及びエチレンとα,β−不飽和カルボン酸と第3の共重合成分とが共重合した3元共重合体などが含まれる。
アイオノマーは、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体中に含まれる酸基が金属で中和された化合物であるため、分子内に少なくとも1種の酸基を有している。酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられる。カルボキシル基の例としては、α,β−不飽和カルボン酸に由来のカルボキシ基が好適に挙げられる。
本発明におけるアイオノマーは、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体が有する酸基を金属化合物等により中和して得られるものである。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を構成する「α,β−不飽和カルボン酸」としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の炭素数4〜8の不飽和カルボン酸などが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸としては、特にアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
エチレン及びα,β−不飽和カルボン酸以外の前記第3の共重合成分としては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸エステル(例えば、アルキルエステル、アリールエステル等)、不飽和炭化水素(例えば、プロピレン、ブテン、1,3−ブタジエン、ペンテン、1,3−ペンタジエン、1−ヘキセン等)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等)、ビニル硫酸やビニル硝酸等の酸化物、ハロゲン化合物(例えば、塩化ビニル、フッ化ビニル等)、ビニル基含有1,2級アミン化合物、一酸化炭素、二酸化硫黄等が挙げられる。
例えば、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体が3元共重合体として構成される場合は、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの3元共重合体、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸と不飽和炭化水素との3元共重合体などが好適に挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルが好ましく、アルキルエステルのアルキル部位の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜8がより好ましい。アルキル部位の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、セカンダリーブチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル等が挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸エステルの具体例としては、アルキル部位の炭素数が1〜12の不飽和カルボン酸アルキルエステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソオクチル等のアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル等のメタクリル酸アルキルエステル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸アルキルエステル)等が挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルの中では、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル部位の好ましい炭素数は1〜4)がより好ましい。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいが、工業的に入手可能な観点から、2元ランダム共重合体、3元ランダム共重合体、2元ランダム共重合体のグラフト共重合体あるいは3元ランダム共重合体のグラフト共重合体を用いるのが好ましく、より好ましくは2元ランダム共重合体又は3元ランダム共重合体である。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体の具体例は、2元共重合体として、例えば、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体などが挙げられ、3元共重合体として、例えば、エチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体などが挙げられる。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体に含まれる、α,β−不飽和カルボン酸に由来の構成単位の、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体中における含有比率(質量比)は、4質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは、7質量%〜18質量%である。α,β−不飽和カルボン酸由来の構成単位の含有比率が4質量%以上であると、耐スクラッチ性の点で有利である。また、α,β−不飽和カルボン酸由来の構成単位の含有比率が、20質量%以下であると、成形性の点で有利である。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体が、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル3元共重合体である場合、α,β−不飽和カルボン酸エステルに由来の構成単位の3元共重合体中における含有比率(質量比)は、柔軟性確保の観点から、5質量%〜25質量%が好ましく、より好ましくは8質量%〜15質量%である。α,β−不飽和カルボン酸エステルに由来の構成単位の含有比率は、5質量%以上であると、柔軟性確保の点で有利であり、25質量%以下であると、ブロッキング防止の点で有利である。
酸基の中和に適用される金属又は金属化合物の金属種としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)等を挙げることができる。これらの中でも、工業化製品を容易に入手可能な点で、亜鉛及びナトリウムが好ましい。
アイオノマーにおいて、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体の中和度は、15%〜85%が好ましい。中和度が15%以上であることで、耐スクラッチ性をより向上させることができ、85%以下であることで、硬度を抑制し、加工性や成形性に優れる。中和度は、さらに、17%〜82%がより好ましい。
中和度は、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体が有する酸基、特にカルボキシ基のモル数に対する、金属又は金属化合物の配合比率(モル%)である。
アイオノマーのメルトフローレート(MFR)としては、0.2g/10分〜20.0g/10分の範囲が好ましく、0.5g/10分〜20.0g/10分がより好ましく、更には0.7g/10分〜18.0g/10分が好ましい。メルトフローレートが前記範囲内であると、成形する際に有利である。
なお、MFRは、JIS K7210−1999に準拠した方法により190℃、荷重2160gにて測定される値である。
アイオノマーの第1樹脂層中における含有比率は、第1樹脂層の全量に対して、50質量%以上であり、好ましくは55質量%〜100質量%である。アイオノマーの含有比率が50質量%以上であることは、層中に含まれる全成分中の主成分であることを示す。すなわち、第1樹脂層がアイオノマーを主成分に構成されるので、耐熱性と耐スクラッチ性に優れている。
(その他成分)
本発明における第1樹脂層には、上記のアイオノマーのほか、本発明の目的を損なわない範囲で、架橋剤や架橋助剤、他の重合体、各種添加剤を配合したアイオノマー組成物を用いてもよい。
−他の重合体−
他の重合体としては、アイオノマー以外の重合体であれば特に制限はない。他の重合体を配合する場合、重合体の配合量は、前記アイオノマー100質量部に対して、例えば20質量%以下の範囲とすることができる。
−添加剤−
添加剤の例としては、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、難燃助剤、架橋剤、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤、無機充填剤、繊維強化材などを挙げることができる。
本発明の表皮用積層フィルムを構成する第1樹脂層の厚みは、10〜400μmが好ましく、10〜350μmがより好ましい。第1樹脂層の厚みが上記範囲内であることで、フィルムの支持強度を確保できると共に、良好な耐熱性と耐スクラッチ性を保持することができる。
−第2樹脂層−
本発明における第2樹脂層は、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を少なくとも含み、電子線照射により少なくともエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体が架橋されてなる層である。電子線が照射されることで、共重合体が分子中に有するエチレン鎖同士のラジカル反応が進行して架橋する。これにより、単に共重合体を用いた構成に比べ、樹脂層自体の強度がより向上し、優れた耐熱性が確保される。また、第2の樹脂層上に更に後述する接着性層を設けて構成される場合には、第2樹脂層と接着性層との間で良好な接着性が得られ、かつ接着性層の接着性を良好に保持しつつ優れた耐熱性が得られる。
第2樹脂層に含まれるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体は、既述の第1樹脂層に含まれるアイオノマーを構成するエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体と同義であり、好ましい態様についても同様である。第2樹脂層に含まれるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体は、第1樹脂層のアイオノマーにおけるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体と同一の共重合体であってもよいし、組成の異なる共重合体であってもよい。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体の第2樹脂層中における含有比率は、第2樹脂層の全量に対して、50質量%以上であり、好ましくは55質量%〜100質量%である。エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体の含有比率が50質量%以上であることは、層中に含まれる全成分中の主成分であることを示す。すなわち、第2樹脂層がエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を主成分に構成されるので、第1樹脂層との層間接着性の点で有利である。
また、第2樹脂層は、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のほか、本発明の目的を損なわない範囲で、架橋剤や架橋助剤、他の重合体、各種添加剤を配合したアイオノマー組成物を含有してもよい。
架橋剤や架橋助剤、他の重合体、各種添加剤の詳細及び好ましい態様についても、第1樹脂層の項において既述した通りである。
本発明の表皮用積層フィルムを構成する第2樹脂層の厚みは、10〜200μmが好ましく、10〜150μmがより好ましい。第2樹脂層の厚みが上記範囲内であることで、フィルムの支持強度を確保できると共に、良好な耐熱性を保持することができる。
−接着性層−
本発明における接着性層は、接着成分を用いて構成され、被着基材に対して接着性を有する樹脂層である。接着成分を用いることで、作業性、接着特性が向上し、揮発性成分の低減が図れる。
接着成分は、未反応のまま或いは反応性を有して、接着剤として機能する樹脂成分を含み、例えば層形成したときには接着性を示す樹脂層を形成し得るものである。接着成分が反応性を有するものである場合、接着剤は、接着成分の性質に応じて、乾燥、紫外線照射、重合剤の添加などによって硬化する、いわゆる反応性接着剤である。接着成分は、塗布可能な粘度を有しているものが好ましい。
接着成分の形態は、1液型又は2液型のいずれでも使用することができる。
接着成分は、特に制限されるものではなく、例えば、熱接着性樹脂や、例えば2液の反応により接着性が発現する反応性接着剤などを挙げることができる。
(熱接着性樹脂)
熱接着性樹脂は、容易に熱溶融して成形品に接着するものである。熱接着性樹脂の例としては、エチレンと極性モノマーとの共重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体あるいはこれらを主成分とする重合体組成物などから選択することができる。特に、高周波ウェルダーによる加工特性に優れる点で、エチレンと極性モノマーとの共重合体又はこれを主成分とする重合体組成物が好適である。
前記エチレン・極性モノマー共重合体における極性モノマーとしては、ビニルエステル(酢酸ビニル等)、不飽和カルボン酸エステル(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル等)、一酸化炭素などを挙げることができる。共重合体は、2種以上の極性モノマーを含んでもよい。
極性モノマーの共重合体中における含有量は、機械的特性、高周波ウェルダーによる加工特性などを考慮すると、5質量%〜50質量%が好ましく、より好ましくは10質量%〜40質量%である。一酸化炭素を含む共重合体にあっては、さらに少量のモノマー含量で所望の性状のものを得ることができる。
熱接着性樹脂として、上記の共重合体を主成分とする重合体組成物を用いる場合、混合可能な成分としては、低密度ポリエチレン、密度が860kg/m〜930kg/m程度のエチレンとα−オレフィン(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン等)との共重合体、粘着付与樹脂(例えば、脂肪族、脂環族、又は芳香族系の炭化水素樹脂、ロジン、テルペン樹脂等)、ワックスなどを例示することができる。
熱接着性樹脂のメルトフローレート(MFR;190℃、2160g荷重)としては、0.1g/10分〜500g/10分が好ましく、1g/10分〜100g/10分がより好ましい。
(反応性接着剤)
反応性接着剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、尿素樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系等のエマルジョン型接着剤;クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系等の溶剤型接着剤;エポキシ樹脂系等の無溶剤型接着剤;ポリエステル系樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、感熱型接着剤などが挙げられる。
具体的には、反応性接着剤の例として、変性シリコーン樹脂系接着剤、エポキシ変性シリコーン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル変性シリコーン樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、シリル化ウレタン樹脂系接着剤等を挙げることができる。中でも、ウレタン樹脂系接着剤、変性シリコーン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤が好ましい。
本発明においては、ウレタン樹脂系接着剤又はエポキシ樹脂系接着剤がより好ましく、2液型のウレタン樹脂系接着剤又は2液型のエポキシ樹脂系接着剤が更に好ましく、特に好ましくは2液型のウレタン樹脂系接着剤である。
2液反応型のエポキシ樹脂系接着剤としては、液状エポキシ樹脂から選ばれる主剤(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、又はノボラック型エポキシ樹脂等)と、硬化剤(例えば、鎖状脂肪族アミン、環状脂肪族アミンもしくは芳香族アミン等、イミダゾール化合物等の含窒素芳香族等のアミン系硬化剤、アミドアミン硬化剤等)と、からなる接着剤が挙げられる。
また、2液反応型のウレタン樹脂系接着剤としては、例えば、ポリオールを含む主剤と、イソシアネートを含む硬化剤と、からなる接着剤が挙げられる。
主材の好ましい形態として、ポリエステルポリオール、あるいはこれに2官能以上のイソシアネート化合物により鎖伸長を施したポリエステルウレタンポリオールのいずれかの単体又はその混合物に架橋剤を配合して得られる接着剤組成物、あるいはこの接着剤組成物100質量部に更にカルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、及びエポキシ化合物から選択される少なくとも1種の化合物1〜50質量部を配合して得られる接着剤組成物である。後者では、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、又はエポキシ化合物を含有することで、高温多湿下などの反応促進環境下で加水分解が起きた際に生成するカルボキシル基を封鎖し、水分による接着性の低下を抑制することができる。
前記カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、又はエポキシ化合物の詳細については、国際公開第2009/157545号パンフレット(特願2009−080157)の段落0058〜段落0060の記載を参照することができる。
前記ポリエステルポリオールは、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸などの脂肪族系、及びイソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族系の二塩基酸から選ばれる1種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなど脂肪族系、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリコールなどの脂環式系、及びキシリレングリコールなどの芳香族系のジオールから選ばれる1種以上と、を用いて得ることができる。
また更に、このポリエステルポリオールの両末端の水酸基を、例えば、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びイソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートなどから選ばれるイソシアネート化合物の単体、あるいはこれらイソシアネート化合物から選択される少なくとも1種からなるアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体を用いて鎖伸長したポリエステルウレタンポリオールなどが挙げられる。
ポリウレタン系材料として考えられるポリオール成分は、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオールなどが挙げられ、これらの成分を主剤としたものを用いることが可能である。中でも、耐熱性などを考慮すると、ポリカーボネートポリオールやアクリルポリオールなどが好ましい。
前記主材を架橋させて硬化する硬化剤としては、イソシアネート化合物を用いることができる。イソシアネート化合物の例としては、上記においてイソシアネート化合物の単体として挙げた化合物と同様のものを挙げることができる。
また、イソシアネート化合物以外に、活性水素基と反応性を有する硬化剤を更に用いてもよい。
(各種添加剤)
本発明における接着性層は、反応性接着剤のほか、各種添加剤を用いて構成することができる。各種添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料、難燃剤、滑剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、帯電防止剤、無機充填剤などを挙げることができる。
本発明の表皮用積層フィルムは、製造の簡易化の点で、第1樹脂層及び第2樹脂層を共押出により重層フィルムとして成形した後、重層フィルムの第1樹脂層及び第2樹脂層の両層を電子線照射によって架橋させる。その後、接着剤を塗布等によって接着性層が形成されたものが好ましい。
本発明の表皮用積層フィルムを構成する接着性層の厚みは、1μm〜100μmが好ましく、1μm〜50μmがより好ましい。接着性層の厚みが上記範囲内であると、接着性樹脂や反応性接着剤を均一な膜厚に塗工する点で有利である。
〜電子線照射〜
本発明の表皮用積層フィルムは、電子線が照射されることによって、第1樹脂層中のアイオノマー及び/又は第2樹脂層中のエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体に含まれるエチレン鎖同士のラジカル反応が進行して架橋されている。
電子線照射の方法は、特に制限されるものではない。電子線の照射は、溶融混練後の樹脂又はその組成物(アイオノマーもしくはエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体、又はこれらと他成分を含む組成物)を所望形状に成形する前に行なってもよいし、溶融混練によって得られた樹脂又はその組成物(アイオノマーもしくはエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体、又はこれらと他成分を含む組成物)を成形した成形体に直接電子線を照射してもよい。成形性の観点からは、成形後に電子線を照射して、架橋させる態様が好ましい。
電子線を照射するにあたり、電子線の照射対象である、アイオノマーもしくはエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体、又はこれらと他成分を含む組成物の厚み(例えば、フィルム等の成形体の厚み)は、20μm〜600μmの範囲であることが好ましい。
電子線照射条件は、表皮用積層フィルム、特に所望とする樹脂層(第1樹脂層及び第2樹脂層)の厚さに応じて、加速電圧や照射量を調節すればよい。
加速電圧は、100kV〜1000kV程度が一般的であり、架橋物の柔軟性、強度及び加工性を総合的に考慮すると、100kV〜600kV程度が好ましい。
照射量は、10kGy(キログレイ)〜500kGyが一般的であり、架橋物の柔軟性、強度及び加工性を総合的に考慮すると、30kGy〜250kGyが好ましい。
上記の照射量の範囲であれば、第1樹脂層及び第2樹脂層の柔軟性を損なわずに、アイオノマー中の又はエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体中に存在するエチレン鎖の架橋を良好に進行させることができ、耐熱性の向上に優れる。
本発明の表皮用積層フィルムは、アイオノマーを含む層(IO含有層)とエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を含む層(共重合体層)とが電子線架橋された第1樹脂層及び第2樹脂層と接着性層とを少なくとも有する積層フィルムである。電子線架橋された第1樹脂層及び第2樹脂層を有する積層フィルムを作製するには、あらかじめ電子線照射したアイオノマーフィルム等に、反応性接着剤を用いた接着性フィルムを積層する方法のほか、積層フィルムに対し、該積層フィルムにおけるIO含有層及び共重合体層が優先的に電子線架橋されてIO含有層及び共重合体層のみが架橋される条件にて電子線照射する方法が挙げられる。所望とする積層フィルムの作製が容易に行なえ、積層フィルムを構成する第2樹脂層と接着性層との間の接着強度にも優れる点で好ましい。
積層フィルムにおけるIO含有層のみ(あるいはIO含有層及び共重合体層のみ)が架橋されるように電子線照射するには、積層フィルムの厚みに応じて加速電圧及び照射量を調節し、積層フィルムのIO含有層側から照射する等の方法が考えられる。このような方法では、IO含有層の少なくとも表層部が架橋されて耐熱性が向上すると共に、接着性層の表層は実質的に架橋されず、したがって元の熱接着性を極力保持した状態とすることができる。
加速電圧は、IO含有層と接着性層との両層の厚みによって適当な範囲が選択されるが、例えば100kV〜250kV程度の範囲が一般的であり、特に実質的にIO含有層のみが架橋されるように電子線照射を行なう場合には、150kV〜200kVとすることが好ましい。
また、照射量も、両層の厚みによって適当な範囲が選択されるが、例えば30kGy〜250kGyが好ましく、更に好ましくは50kGy〜200kGyがより好ましい。
電子線照射による架橋処理を施すことにより、アイオノマーを含む層を、例えば沸騰水に浸漬しても実質的に収縮のない層に構成することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
なお、以下に示す実施例において、「エチレン単位含有量」は、エチレン由来の構成単位の含有比率を、「メタクリル酸単位含有量」は、メタクリル酸由来の構成単位の含有比率を、それぞれ示す。
下記原材料のうち、アイオノマー、EMAAのメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210−1999に準拠して190℃、荷重2160gで測定したものであり、基材のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210−1999に準拠して230℃、荷重2160gで測定したものである。
<原材料>
−1.アイオノマー−
・IO−1:エチレン・メタクリル酸共重合体〔エチレン単位含有量:85質量%、メタクリル酸単位含有量:15質量%、金属カチオン:亜鉛、中和度:59%、MFR(190℃、2160g荷重):0.9g/10分〕
−2.エチレン・メタクリル酸共重合体−
・EMAA:エチレン・メタクリル酸共重合体〔エチレン単位含有量:91質量%、メタクリル酸単位含有量:9質量%、MFR(190℃、2160g荷重):3.0g/10分〕
−3.基材−
・LDPE:低密度ポリエチレン(密度:920kg/m、MFR:1.6g/10分)
・PVC:ポリ塩化ビニル(大洋塩ビ株式会社製「TH−1000(硬質用)」)
−4.接着剤−
・接着剤A:
2液反応型ウレタン系接着剤
a)主剤:ウレタンポリオール(不揮発成分:37質量%、粘度:70〜100dPa・s/25℃、溶剤:トルエン、メチルエチルケトン)
b)硬化剤:ポリイソシアネート(不揮発成分:75質量%、粘度:10〜20dPa・s/25℃、溶剤:エチルアセテート)
c)使用態様:主剤100質量部に対して硬化剤10質量部を混合して使用
・接着剤B:
変性シリコーン系接着剤(変性シリコーン樹脂100質量%、スコッチ(登録商標)、住友スリーエム社製)
・接着剤C:
シアノアクリレート系接着剤(アロンアルファ(登録商標)、コニシ社製)
(実施例1〜6、比較例1〜3)
−a.2層構成の架橋フィルムの作製−
40mmφ3種3層キャストフィルム成形機を用いて、1層目形成用樹脂及び2層目形成用樹脂としてIO−1を、3層目形成用樹脂としてEMAAを、それぞれ樹脂投入口に投入し、ダイス温度:230℃、加工速度:5m/mmの条件にて共押出してフィルム状に成形し、IO−1層/EMAA層の重層構造を有する総厚330μmの2種3層フィルムを作製した。このとき、IO−1層とEMAA層との層厚は、それぞれ280μm、50μmとした。
続いて、作製したフィルムの一方面、すなわち表皮材として使用する際の表皮面をなすIO−1層に対して、エリアビーム形電子線照射装置EBC300−60(株式会社NHVコーポレーション製)を使用し、加速電圧:300kV、照射速度:10m/mm、及び下記表1に示す電子線照射量の条件にて電子線を照射することにより架橋処理を施し、架橋フィルムを得た。
なお、比較例3では、電子線照射による架橋処理を行なっていない。
−b.評価1−
上記で得られた架橋フィルムについて、下記の測定、評価を行なった。測定及び評価の結果は、下記表1に示す。
(1)耐摩耗性(テーバー摩耗性)
各架橋フィルムについて、JIS A1453に基づいて、テーバー摩耗性を評価した。具体的には、1mm厚のポリオレフィンシート上に測定対象である架橋フィルムを貼着し、測定対象である架橋フィルムの表面を、下記条件で摩耗輪を用いて擦った。このとき、評価前のフィルム質量(x)と評価終了後のフィルム質量(y)とをそれぞれ測定し、その差分(x−y)を摩耗量として耐摩耗性を評価する指標とした。摩耗量は、その値が小さいほど架橋フィルムの耐摩耗性に優れることを示す。
<条件>
・摩耗輪:S−42
・荷重:530g
・回転数:500回転/分(尚、100回転毎にフィルムをはたいた)
(2)熱収縮性
各架橋フィルムを、成形時のフィルム長手方向(MD;Machine Direction)の長さ100mm、MD方向に直行する方向(TD;Transverse Direction)の長さ30mmのサイズに裁断し、試験片を作製した。この試験片の表面(表皮材となるIO−1層の表面)には、予め60mmの間隔で2本の標線を引いてある。次いで、この試験片を200℃に加熱したオーブン中に入れ、試験片に5g荷重をかけた状態で2分間吊して試験片を加熱処理した。
2分経過後の試験片をガラス板の上に、ガラス基板側からEMAA層/IO−1層となるように置き、3分が経過した後に試験片の表面(IO−1層の表面)の標線間距離を測定した。測定値をもとに下記式により算出し、架橋フィルムの熱収縮性を評価する指標とした。
熱収縮性(%)=加熱後の標線間距離/加熱前標線間距離(60mm)×100
(3)ヒートシール耐性(耐熱性)
各架橋フィルムをそれぞれ2枚ずつ用意し、フィルムのIO−1層同士を接触させて重ね、EMAA層側から架橋フィルムを加熱することによりヒートシールを行なった。ヒートシールは、バーシールタイプのヒートシーラーを用いて、温度:200℃、実圧:0.2MPa、シール時間:0.5秒の条件にて行なった。
次いで、引張試験機IM−20(株式会社インテスコ製)を用いてヒートシール部を、剥離速度300mm/分、剥離角度180°、試験片幅15mmの条件で引っ張って剥離し、剥離時の剥離強度をシール強度(N/15mm)として測定した。
ヒートシールされたフィルム間のシール強度が小さいほど、耐熱性に優れている。
なお、表1中の「材破」とは、フィルムの剥離時に、フィルムのシールエッジ部が切断されたこと、又はフィルムのシール部が凝集破壊されたことを表す。つまり、表1において「材破」と示されたものは、ヒートシールされた部分が強く接着するほどに融着したことを表しており、フィルムの耐熱性が低いことを意味する。
(4)耐スクラッチ性(学振摩耗)
1mm厚のポリオレフィンシート上に測定対象である架橋フィルムを貼着し、下記条件にて測定対象である架橋フィルムの表面に綿帆布を取り付け、荷重をかけた状態で擦った。擦った後の架橋フィルム表面の削られずに残存した面積を顕微鏡写真(倍率:35倍、観察幅:2mm)から測定し、下記式より、削られずに残存した面積の割合を算出した。この割合を指標として、下記の評価基準に従って耐スクラッチ性を評価した。残存率は、その値が大きいほど架橋フィルムの耐スクラッチ性に優れることを示す。
残存した面積の割合(%)=(削られずに残存した面積)/(擦った面積)×100
〈条件〉
・綿帆布:10号
・荷重:450g
・往復速度:60回/分
・往復回数:100往復
〈評価基準〉
A:残存率100〜98%
B:残存率97〜95%
C:残存率94%以下
−c.接着性積層フィルムの作製−
上記で作製した各架橋フィルムのEMAA層の表面にコロナ放電処理を施した。次いで、コロナ放電処理を行なった面に、下記表1に示す接着剤を、バーコーターを用いて4g/mになるように塗布した。塗布面を乾燥処理し、厚み4μmの不完全硬化接着剤層(接着性層)を有する接着性積層フィルムを作製した。
次に、この接着性積層フィルムの不完全硬化接着剤層上に、下記表1に示す基材(厚さ0.5mmのLDPE又はPVC)を重ね、ヒートシーラー(ヒートシールテスターTP−701S、テスター産業株式会社製)を用いて、シール温度:140℃、シール時間:10秒、シール圧力(実圧):0.2MPaの条件にて基材の表面を熱し、接着性積層フィルムの不完全硬化接着剤層と基材とをヒートシールした。このようにして、不完全硬化接着剤層が熱硬化した接着性層と基材とが積層された積層体を得た。
−d.評価2−
得られた積層体について、下記の方法で接着性の評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
(5)基材との接着性
各積層体を、温度23℃,湿度50%RHの環境下に静置し、24時間放置した後、幅15mm、長さ50mmに裁断して接着サンプルを得た。得られた接着サンプルの接着性層と基材とを温度23℃,湿度50%RHの雰囲気下、引張試験機IM−20(株式会社インテスコ製)を使用して、剥離速度:300mm/分、剥離角度:180°、試験片幅:15mmの剥離条件にて引っ張って剥離し、剥離時の剥離強度をシール強度(N/15mm)として測定した。
接着サンプルの接着性層と基材との間のシール強度が大きいほど、接着性に優れている。
なお、表1中の「材破」とは、接着サンプルの接着性層と基材とを剥離する際に、接着サンプルのシールエッジ部が切断されたこと、又は接着サンプルのシール部が凝集破壊されたことを表す。つまり、「材破」と示されたものは、接着サンプルの接着性層と架橋フィルムとが強く接着していることを表し、シール強度の数値が示されているものより接着性が高いことを意味する。特に、接着層の接着性に優れることを意味する。
前記表1に示すように、実施例では、耐熱性、耐スクラッチ性が高く、基材に対する接着性も良好であった。これに対し、比較例では、耐熱性に著しく劣っていた。
本発明の表皮用積層フィルムは、種々の成形品に容易に接着可能であり、成形加工も容易なため、耐スクラッチ性、耐熱性に優れた表皮材として好適である。適用対象となる具体的な成形品としては、ポリオレフィン、エチレン・極性モノマー共重合体、オレフィン系エラストマーなどの材料を使用した単層あるいは複層のフィルム、シートなどの各種成形品が挙げられ、例えば、文具、日用品、自動車内外装表皮、電化製品表皮、建装材表皮、土木シートなどとして好適に利用される。特に、耐熱性が要求されやすい自動車内外装表皮、建装材表皮などの用途に適している。
また、本発明の表皮用積層フィルムの使用形態の例としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体やその他材料の発泡シート、エチレン・酢酸ビニル共重合体やその他材料を各種基布にコーティングした複合シート、無機充填材を多量に配合した各種重合体シート表面にポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等の印刷フィルムを積層した複合シート等の、片面又は両面に表皮材とした成形品などが挙げられる。

Claims (7)

  1. エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマーを全質量に対して50質量%以上含む第1樹脂層と、
    エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を全質量に対して50質量%以上含む第2樹脂層と、
    を有し、少なくとも前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層が電子線架橋された表皮用積層フィルム。
  2. 接着成分を含む接着性層をさらに有し、
    前記第1樹脂層と前記第2樹脂層と前記接着性層とをこの順に含む少なくとも3層の重層構造を有する請求項1に記載の表皮用積層フィルム。
  3. 前記接着成分が、ウレタン樹脂系接着剤、変性シリコーン樹脂系接着剤、及びエポキシ樹脂系接着剤から選択される少なくとも一種である請求項2に記載の表皮用積層フィルム。
  4. 前記接着成分が反応性接着剤であり、前記接着性層は、反応性接着剤を塗布して形成されている請求項2又は請求項3に記載の表皮用積層フィルム。
  5. 前記接着性層は、前記接着成分として、ポリオールを含む主剤と、イソシアネートを含む硬化剤と、からなる2液反応型ウレタン樹脂系接着剤を用いて形成された層である請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の表皮用積層フィルム。
  6. 前記第1樹脂層におけるアイオノマーのエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体、及び前記第2樹脂層におけるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体の少なくとも一方は、更に、α,β−不飽和カルボン酸エステルに由来の構造単位を有する3元共重合体である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の表皮用積層フィルム。
  7. 前記第1樹脂層におけるアイオノマーのエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を構成するα,β−不飽和カルボン酸、及び前記第2樹脂層におけるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を構成するα,β−不飽和カルボン酸の少なくとも一方は、(メタ)アクリル酸である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の表皮用積層フィルム。
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