以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明に係る実施の形態1の画像形成装置1の主要構成を概略的に示す図である。この画像形成装置1は、電子写真方式で動作し、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M)、シアン(C)及びホワイト(W)の5色の現像剤像を中間転写方式でシート状の記録媒体上に形成する機能を有する。なお、中間転写方式は、感光体などの像担持体上に形成された現像剤像を中間転写体に一度転写(1次転写)した後に、この中間転写体から記録媒体へ現像剤像を転写(2次転写)する方式である。後述するように、本発明は、中間転写方式に限らず、感光体上に形成された現像剤像を記録媒体に直接転写する直接転写方式にも適用され得る。
図1に示されるように、画像形成装置1は、シート状の記録媒体Paを積層状態で収容し得るカセット11と、中間転写体である中間転写ベルト44と、ホワイト(W),イエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M)及びブラック(K)の現像剤像をそれぞれ形成する画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kと、1次転写部をなす1次転写ローラ45W,45Y,45C,45M,45Kと、2次転写部をなす2次転写ローラ46と、2次転写後に中間転写ベルト44上に残留する現像剤を回収するベルトクリーニング部48と、定着工程を実行する定着ユニット50と、制御回路60とを筐体10内に備えている。
画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kは、W,Y,C,M及びKの現像剤像をそれぞれ表面に保持する像担持体としての感光体ドラム21W,21Y,21C,21M,21Kを内蔵している。
また、画像形成装置1は、中間転写ベルト44を駆動する駆動ローラ41,42と、バックアップローラ43とを備えている。中間転写ベルト44は、たとえばポリイミド樹脂などの樹脂材料からなる無端の弾性ベルトである。この中間転写ベルト44は、駆動ローラ41,42及びバックアップローラ43に張設(張架)されている。駆動ローラ41,42とバックアップローラ43とは、それぞれ、図面に垂直な方向の回転軸の回りに回転自在となるように保持されている。駆動ローラ41,42は、駆動モータ(図示せず)から伝達された動力に応じて時計回りに回転することにより、中間転写ベルト44を矢印の方向へ循環的に回転させることができる。
画像形成装置1は、さらに表示部81及び操作入力部82を備えている。表示部81は、液晶表示パネルまたは有機EL表示パネルなどの画像表示デバイスである。また、操作入力部82は、入力ボタン及び入力キーを有している。制御回路60は、画像形成装置1に関する各種設定用の画面を表示部81に表示させたり、あるいは、画像形成装置1の動作状態を表す画面を表示部81に表示させたりすることが可能である。ユーザは、表示部81に表示された画面を視認しつつ操作入力部82を操作して制御回路60に情報を入力することができる。
図1に示されるように、画像形成装置1は、カセット11の近傍に、ピックアップローラ31、フィードローラ32及びリタードローラ33を備えている。ピックアップローラ31は、反時計回りに回転してカセット11から記録媒体Paを取り出す。フィードローラ32及びリタードローラ33は、カセット11から取り出された記録媒体Paを挟み込んで1枚ずつ搬送経路に送り出すことができる。搬送ローラ34A,34B,35A,35B,36A,36Bは、記録媒体Paを2次転写部まで搬送する。
記録媒体Paとしては、たとえば、普通紙、転写紙、色紙(白色ではない黒色,青色または赤色などの色のついた普通紙)、合成紙、厚紙、特殊用紙、プラスチックフィルムもしくは布などのシート状の媒体が挙げられる。転写紙は、たとえば、Tシャツなどの衣類に現像剤像を転写するために使用される媒体である。画像形成装置1で転写紙(記録媒体Pa)上に現像剤像が定着された後に、アイロンなどの熱により転写紙から衣類へその現像剤像が転写される。
画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kは、中間転写ベルト44と対向して配置され、且つ、中間転写ベルト44の送り方向に沿って一列に配列されている。これら画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kの中でホワイトの現像剤像を形成する画像形成ユニット20Wは、中間転写ベルト44の送り方向において最も上流側に配置され、ブラックの現像剤像を形成する画像形成ユニット20Kは、最も下流側に配置されている。
1次転写ローラ45W,45Y,45C,45M,45Kは、中間転写ベルト41を介して感光体ドラム21W,21Y,21C,21M,21Kとそれぞれ対向する位置に配置されている。これら1次転写ローラ45W,45Y,45C,45M,45Kは、中間転写ベルト44と当接した状態の感光体ドラム21W,21Y,21C,21M,21Kの表面から現像剤像を中間転写ベルト44へ転写させる部材である。1次転写ローラ45W,45Y,45C,45M,45Kは、図示されない弾性付勢部材により画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kの方向に付勢されている。
バックアップローラ43及び2次転写ローラ46は、カセット11から搬送された記録媒体Pa上に、中間転写ベルト44上の現像剤像を転写させる2次転写部を構成する。バックアップローラ43及び2次転写ローラ46は、互いに対向し且つ中間転写ベルト44を挟み込むように配置されている。2次転写ローラ46は、たとえば、金属製の芯材と、この芯材の外周面上に形成された弾性層(たとえば、発泡ゴム層)とで構成されればよい。2次転写ローラ46は、弾性付勢部材(図示せず)によってバックアップローラ43の方向に付勢されている。
定着ユニット50は、2次転写部から供給された記録媒体Pa上の現像剤像を当該記録媒体Paに定着させる機能を有する。図1に示されるように、定着ユニット50は、時計回りに回転する円管状の加熱ローラ51と、反時計回りに回転する円管状の加圧ローラ52とを有し、これら加熱ローラ51と加圧ローラ52とは互いに対向して配置されている。加熱ローラ51の内部には、ハロゲンランプなどの熱源(図示せず)が設けられている。加熱ローラ51と加圧ローラ52とは、当該加熱ローラ51と加圧ローラ52との間にニップ(挟持)された記録媒体Paに圧力及び熱を印加することにより、現像剤像を溶かして記録媒体Paに定着させることができる。
定着ユニット50から送り出された記録媒体Paは、搬送ローラ37A,37B,38A,38Bによって排出ローラ39A,39Bまで搬送される。そして、排出ローラ39A,39Bは、筐体10の排出口から排出トレイ10Tに記録媒体Paを排出する。なお、画像形成装置1は、搬送ローラ37A,37B,38A,38B及び排出ローラ39A,39Bを回転させるステッピングモータなどの駆動部品群(図示せず)を有する。制御回路60は、この駆動部品群の動作を制御することができる。
ベルトクリーニング部48は、2次転写後に中間転写ベルト44上に残留した現像剤を除去する。具体的には、ベルトクリーニング部48は、中間転写ベルト44の表面に一定の圧力で接触するクリーニングブレード49を内蔵しており、このクリーニングブレード49は、2次転写部から搬送された残留現像剤を中間転写ベルト44から掻き落とすことができる。
次に、図2は、制御回路60の主要な構成を概略的に示すブロック図である。図2に示されるように、制御回路60は、主制御部61、プロセス制御部62、現像制御部63、層形成・供給電圧制御部64、帯電制御部65、露光制御部66、転写制御部67、回転駆動制御部68、インタフェイス部69、データ記憶部70、カウンタ部73、寿命検出部74及び位置検出部75を有する。制御回路60の機能の一部は、ハードウェアで実現されてもよいし、あるいは、単数または複数のCPU(central processing unit)を含むプロセッサにより実行されるコンピュータプログラムで実現されてもよい。
データ記憶部70は、不揮発性メモリ71と、RAM(Random Access Memory)72とを含む。表示部81及び操作入力部82は、主制御部61と接続されている。不揮発性メモリ71は、印刷制御の基本手順に関するデータと後述するカウント値の補正に使用される計算式を定める情報とを格納する記憶領域と、随時更新されるデータを格納する記憶領域とを有する。RAM72は、データを一時的に格納するために使用されるメモリである。
インタフェイス部69は、上位装置100から印刷ジョブデータを受信する通信インタフェイス機能を有する。主制御部61は、当該印刷ジョブデータに基づいて印刷データを生成する。プロセス制御部62は、画像形成装置1に含まれる各種ローラへの印加電圧を制御する。現像制御部63、層形成・供給電圧制御部64、帯電制御部65、露光制御部66、転写制御部67及び回転駆動制御部68については後述する。
センサ群83は、搬送経路上の記録媒体Paの現在位置を検出するためのセンサ、感光体ドラム21W,21Y,21C,21M,21Kの回転回数を検出するセンサ、温度センサ及び湿度センサといった各種センサを含む。主制御部61は、センサ群83から供給された検出信号に基づいて印刷制御を実行することができる。
後述するように、画像形成装置1は、現像剤像が中間転写ベルト44に転写し得る「転写位置」と現像剤像が中間転写ベルト44に転写し得ない「非転写位置」との間で画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kの各々を移動可能に支持する支持機構を備えている。画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kのいずれかが転写位置に配置されると、その画像形成ユニットの感光体ドラムは、中間転写ベルト44と当接する当接位置に配置される。一方、画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kのいずれかが非転写位置に配置されると、その画像形成ユニットの感光体ドラムは、中間転写ベルト44から離間する離間位置に配置されることとなる。位置検出部75は、センサ群83から供給された検出信号に基づいて、画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kの各々が転写位置または非転写位置のいずれにあるかを検出し、その検出結果を主制御部61に出力することができる。たとえば、ホワイトの現像剤像を形成する必要が無い場合には、画像形成ユニット20Wは、中間転写ベルト44から離れた非転写位置(離間位置)に配置される。また、ホワイトの現像剤像のみを形成する場合には、画像形成ユニット20Wのみが転写位置に配置され、他の画像形成ユニット20Y,20C,20M,20Kは、中間転写ベルト44から離れた非転写位置に配置される。
画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kの配置状態を検出するセンサとしては、特に限定されるものではないが、光学式センサ、機械式センサまたは磁気センサを使用することができる。たとえば、画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kの本体部にそれぞれRFID(Radio Frequency IDentification)タグなどのICタグを取り付け、さらにICタグの情報を読み取るセンサを設けてもよい。この場合、位置検出部75は、そのセンサによる検出結果に基づいて、画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kの各々が転写位置にあるか否かを検出することができる。
カウンタ部73は、印刷ジョブ毎に、感光体ドラム21W,21Y,21C,21M,21Kの各々の使用量(たとえば、回転回数)を表すカウント値Ctを、画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kの使用量として出力する。具体的には、感光体ドラム1回転分の駆動出力であるモータステップ数に基づいてカウント値Ctを算出すればよい。たとえば、感光体ドラム21W,21Y,21C,21M,21Kの各々が一回の印刷ジョブで1回転した場合、「1」のカウント値Ctを出力することができる。不揮発性メモリ71には、感光体ドラム21W,21Y,21C,21M,21Kにそれぞれ対応する累積カウント値AC(W),AC(Y),AC(C),AC(M),AC(K)のデータが記憶されている。カウンタ部73は、印刷ジョブ毎に、累積カウント値AC(W),AC(Y),AC(C),AC(M),AC(K)にカウント値Ctまたはその補正値を加算して不揮発性メモリ71内の累積カウント値AC(W),AC(Y),AC(C),AC(M),AC(K)を更新する。
寿命検出部74は、累積カウント値AC(W),AC(Y),AC(C),AC(M),AC(K)を所定の基準値(以下「寿命カウント値」と呼ぶ。)と比較して感光体ドラム21W,21Y,21C,21M,21Kの寿命の有無、すなわち画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kの寿命の有無を判定する。主制御部61は、その判定結果に応じて、表示部81にメッセージを表示させることができる。たとえば、累積カウント値AC(W)が寿命カウント値に達していると判定された場合、主制御部61は、感光体ドラム21Wの交換または画像形成ユニット20Wの交換を要する旨のメッセージを表示部81に表示させることができる。あるいは、累積カウント値AC(W)が寿命カウント値に近いと判定された場合には、主制御部61は、感光体ドラム21Wの交換時期または画像形成ユニット20Wの交換時期が近づいている旨のメッセージを表示部81に表示させることもできる。
次に、画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kの構成及び動作を以下に説明する。
図3は、図1の画像形成装置1の要部を拡大して示す概略図である。図3に示されるように、画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kは、中間転写ベルト44を介して1次転写ローラ45W,45Y,45C,45M,45Kとそれぞれ対向する位置に配置されている。感光体ドラム21W,21Y,21C,21M,21Kは、それぞれ図2の回転駆動制御部68の制御により反時計回りに回転する。
ホワイトの現像剤像を形成する画像形成ユニット20Wは、ホワイトの現像剤を収容する現像剤収容部22Wと、感光体ドラム21Wの表面に接触してその表面を一様に帯電させる帯電ローラ23Wと、回転する感光体ドラム21Wの表面に印刷すべき画像に対応する静電潜像を形成するための露光を行うLEDヘッド(露光部)24Wと、現像剤担持体である現像ローラ26Wと、ホワイトの現像剤を現像ローラ26Wに供給する供給ローラ25Wと、現像剤像を薄層化する層形成ブレード27Wと、1次転写後に感光体ドラム21W上に残留した現像剤を掻き落とすクリーニングブレード28Wとを有する。
現像ローラ26Wと供給ローラ25Wとは、感光体ドラム21Wの長手方向一端に設けられたギア(図示せず)と噛み合うことにより、感光体ドラム21Wの回転速度と同期した速度で回転することができる。
現像ローラ26Wは、たとえば、金属製のシャフトの外周に弾性体を被覆することで構成される。その金属製のシャフト上の弾性体としては、たとえば、ゴム硬度が70°(アスカーC)の半導電性のウレタンゴムを使用すればよい。また、供給ローラ25Wは、たとえば、金属製のシャフトの外周に発泡体を被覆することで構成される。その発泡体としては、たとえば、硬度が50°(アスカーF)のシリコン発砲体を成形すればよい。
感光体ドラム21Wの回転に応じて、帯電ローラ23Wも感光体ドラム21Wと連れ回り、感光体ドラム21Wの表面を一様に帯電させる。このとき、帯電ローラ23Wには、図2の帯電制御部65の制御により所定の電圧が印加されている。LEDヘッド24Wは、図2の露光制御部66による制御を受けて動作し、印刷データに対応するパターンの光を感光体ドラム21Wに照射して感光体ドラム21W上に静電潜像を形成する。
一方、供給ローラ25Wに保持された現像剤は、現像ローラ26Wの表面に供給される。現像ローラ26Wの表面上の現像剤は、層形成ブレード27Wを通過する際に、層形成ブレード27Wによるせん断力を受けてその層厚が規制されて均一になる。このとき、層形成・供給電圧制御部64の制御により、供給ローラ25Wと層形成ブレード27Wとにそれぞれ所定の電圧が印加される。
感光体ドラム21Wの表面のうち静電潜像が形成された部分が現像ローラ26Wに到達すると、感光体ドラム21W上の静電潜像と現像ローラ26Wとの電位差により、ホワイトの現像剤が感光体ドラム21WY上に移動してホワイトの現像剤像(トナー画像)を形成する。このとき、現像ローラ26Wには、図2の現像制御部63の制御により所定の電圧が印加されている。その後、感光体ドラム21W上の現像剤像は、1次転写位置まで搬送され、1次転写ローラ45Wによって中間転写ベルト44上に転写される。このとき、1次転写ローラ45Wには、図2の転写制御部67の制御により所定の電圧が印加されている。
他の画像形成ユニット20Y,20C,20M,20Kも、収容する現像剤を除いて、画像形成ユニット20Wと同様の構成を有している。すなわち、イエローの現像剤像を形成する画像形成ユニット20Yは、イエローの現像剤を収容する現像剤収容部22Yと、感光体ドラム21Yの表面に接触してその表面を一様に帯電させる帯電ローラ23Yと、回転する感光体ドラム21Yの表面に印刷すべき画像に対応する静電潜像を形成するための露光を行うLEDヘッド(露光部)24Yと、現像剤担持体である現像ローラ26Yと、イエローの現像剤を現像ローラ26Yに供給する供給ローラ25Yと、現像剤像を薄層化する層形成ブレード27Yと、1次転写後に感光体ドラム21Y上に残留した現像剤を掻き落とすクリーニングブレード28Yとを有する。
また、シアンの現像剤像を形成する画像形成ユニット20Cは、シアンの現像剤を収容する現像剤収容部22Cと、感光体ドラム21Cの表面に接触してその表面を一様に帯電させる帯電ローラ23Cと、回転する感光体ドラム21Cの表面に印刷すべき画像に対応する静電潜像を形成するための露光を行うLEDヘッド(露光部)24Cと、現像剤担持体である現像ローラ26Cと、シアンの現像剤を現像ローラ26Cに供給する供給ローラ25Cと、現像剤像を薄層化する層形成ブレード27Cと、1次転写後に感光体ドラム21C上に残留した現像剤を掻き落とすクリーニングブレード28Cとを有する。
また、マゼンタの現像剤像を形成する画像形成ユニット20Mは、マゼンタの現像剤を収容する現像剤収容部22Mと、感光体ドラム21Mの表面に接触してその表面を一様に帯電させる帯電ローラ23Mと、回転する感光体ドラム21Mの表面に印刷すべき画像に対応する静電潜像を形成するための露光を行うLEDヘッド(露光部)24Mと、現像剤担持体である現像ローラ26Mと、マゼンタの現像剤を現像ローラ26Mに供給する供給ローラ25Mと、現像剤像を薄層化する層形成ブレード27Mと、1次転写後に感光体ドラム21M上に残留した現像剤を掻き落とすクリーニングブレード28Mとを有する。
そして、ブラックの現像剤像を形成する画像形成ユニット20Kは、ブラックの現像剤を収容する現像剤収容部22Kと、感光体ドラム21Kの表面に接触してその表面を一様に帯電させる帯電ローラ23Kと、回転する感光体ドラム21Kの表面に印刷すべき画像に対応する静電潜像を形成するための露光を行うLEDヘッド(露光部)24Kと、現像剤担持体である現像ローラ26Kと、ブラックの現像剤を現像ローラ26Kに供給する供給ローラ25Kと、現像剤像を薄層化する層形成ブレード27Kと、1次転写後に感光体ドラム21K上に残留した現像剤を掻き落とすクリーニングブレード28Kとを有する。
上記感光体ドラム21W,21Y,21C,21M,21Kの各々は、たとえば、アルミニウムなどの導電性支持体と、この導電性支持体の周りに形成された有機感光体(OPC:Organic Photoconductor)などの感光層とで構成されている。図4(A),(B)は、感光体ドラム21Wの構成例を概略的に示す図である。感光体ドラム21Wは、図4(A)に示されるように、軸状の導電性支持体210の一端部の周りに形成されたドラムギア211と、導電性支持体210の他端部の周りに形成されたドラムフランジ212と、導電性支持体210に周りに塗布された感光層213とで構成されている。
図4(B)は、感光層213の断面構造の一例を概略的に示す図である。図4(B)に示されるように、感光層213は、導電性支持体210上に、ブロッキング層213b、電荷発生層213c及び電荷輸送層213dが積層された構造を有する。電荷輸送層213dは、たとえば、約18μmの厚みを有するように塗布形成されればよい。電荷輸送層213dの膜厚測定には、株式会社ケツト科学研究所製の渦電流膜厚計「LH−200J」を使用することができる。他の感光体ドラム21Y,21C,21M,21Kも、感光体ドラム21Wと同様の構造を有している。
図2のLEDヘッド24Wは、感光体ドラム21Wの長手方向(軸方向)に沿って配列された複数のLED素子(発光ダイオード素子)と、これらLED素子を駆動するLED駆動部と、それらLED素子の出射光を感光体ドラム24Wの表面に導くレンズアレイとを備えている。他のLEDヘッド24Y,24C,24M,24Kも、LEDヘッド24Wと同様の構成を有する。
ホワイト(W),イエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M)及びブラック(K)の現像剤としては、たとえば、粉砕法により製造された粉砕トナーを使用することができるが、これに限定されず、重合法などの公知の製法で製造されたトナーを使用することも可能である。粉砕トナーの製造工程は、たとえば、結着樹脂,着色剤,離型剤及び帯電制御剤などからなるトナー原料を溶融混練し冷却して溶融混練物を生成する工程と、当該溶融混錬物を粉砕し分級することによって平均粒径が約8μmのトナー母粒子を生成する工程と、当該トナー母粒子に疎水性シリカなどの外添剤を添加して非磁性一成分の現像剤を生成する工程とで構成される。結着樹脂としては、たとえば、ポリエステル樹脂を使用することができる。
ブラック,イエロー,マゼンタ及びシアンの着色剤は、有機系の顔料、たとえば、それぞれカーボンブラック、ピグメントイエロー、ピグメントマゼンタ、及びピグメントシアンなどを使用すればよく、混ぜて色を作るためにある程度透明な顔料を使用することが望ましい。ホワイトの着色剤は、金属系の顔料、たとえば二酸化チタンを使用する不透明な着色剤である。
次に、上記構成を有する画像形成装置1の動作を以下に説明する。
図5は、画像形成装置1による印刷制御処理の手順を概略的に示すフローチャートである。図5を参照すると、図2の主制御部61は、画像データを含む印刷ジョブデータを受信するまで待機している(ステップS10のNO)。主制御部61がインタフェイス部69を介して画像データを含む印刷ジョブデータを受信すると(ステップS10のYES)、位置検出部75は、センサ群83からの検出信号に基づいて、画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kの配置を検出する(ステップS11)。具体的には、位置検出部75は、画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kの各々が転写位置に配置されているか否かを検出する。
そして、主制御部61は、印刷データに応じて画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kのいずれかの配置変更が必要か否かを判定する(ステップS12)。配置変更が不要と判定した場合(ステップS12のNO)、主制御部61は、ステップS14の印刷処理に手順を移行させる。
一方、配置変更が必要と判定した場合(ステップS12のYES)、主制御部61は、画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kのうち配置変更が必要な画像形成ユニットの配置を、転写位置及び非転写位置の一方から他方へ変更させる(ステップS13)。具体的には、主制御部61は、手動(マニュアル操作)による配置変更を促すメッセージを表示部81に表示させてもよいし、あるいは、自動で配置変更させてもよい。
図6(A),(B)は、自動での配置変更を実現可能とする駆動機構の一例を概略的に示す図である。図6(A)は、画像形成ユニット20Wが転写位置に配置された状態(すなわち、画像形成ユニット20Wの感光体ドラム21Wが当接位置にある状態)を示す図であり、図6(B)は、画像形成ユニット20Wが非転写位置に配置された状態(感光体ドラム21Wが離間位置にある状態)を示す図である。図6(A),(B)に示されるように、画像形成ユニット20Wの長手方向端部には、フレーム90の案内溝90gと係合する突起部29a,29bが設けられている。駆動機構は、当該端部の下方に配置されたカム部材91と、このカム部材91を駆動する駆動モータ92とで構成される。駆動モータ92が回転軸91aの回りにカム部材91を反時計回りに回転させると、図6(B)に示されるように、カム部材91は、画像形成ユニット20Wの端部を非転写位置まで上方に持ち上げることとなる。駆動モータ92が回転軸91aの回りにカム部材91を時計回りに回転させると、画像形成ユニット20Wの端部は転写位置に戻ることとなる。
上記配置変更(ステップS13)の完了後、制御回路60は、印刷処理を実行する(ステップS14)。具体的には、上述したように、画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kのうち転写位置に配置された画像形成ユニットが、印刷データに対応する現像剤像を中間転写ベルト44に転写させる。次に、2次転写ローラ46は、カセット11から搬送された記録媒体Pa上に現像剤像を転写させる。次に、定着ユニット50は、記録媒体Pa上に現像剤像を定着させる。その後、記録媒体Paは、排出トレイ10Tに排出される。このような印刷処理は、1枚の記録媒体Paに対して行われてもよいし、印刷ジョブデータで指定された複数枚の記録媒体Paに対して連続的に実行されてもよい。なお、画像形成ユニット20W,20Y,20C,20M,20Kのうち非転写位置に配置された画像形成ユニットは、電圧の印加を受けず、駆動されない。
上記印刷処理(ステップS14)の完了後、主制御部61は、カウンタ部73からカウント値Ctを取得する(ステップS15)。次に、ホワイトの画像形成ユニット20Wが転写位置に無い場合は(ステップS16のNO)、主制御部61は、ステップS19に処理を移行させる。
一方、画像形成ユニット20Wが転写位置にある場合(ステップS16のYES)、カウンタ部73は、感光体ドラム21W用に不揮発性メモリ71に記憶されている累積カウント値AC(W)にカウント値Ctを加算することで累積カウント値AC(W)を更新する(ステップS17)。次いで、カウンタ部73は、カウント値Ctを色毎に補正して補正カウント値CT(K),CT(M),CT(C),CT(Y)を算出する(ステップS18)。ここで、補正カウント値CT(K),CT(M),CT(C),CT(Y)は、感光体ドラム21K,21M,21C,21Yにそれぞれ対応する補正値である。
カウンタ部73は、たとえば、次式(1)〜(4)に従って、補正カウント値CT(K),CT(M),CT(C),CT(Y)を算出することができる。
CT(K)=α1×Ct ・・・(1)
CT(M)=β1×Ct ・・・(2)
CT(C)=γ1×Ct ・・・(3)
CT(Y)=δ1×Ct ・・・(4)
ここで、α1,β1,γ1,δ1は、1を超える補正係数であり、予め個別に設定可能な値である。
次に、主制御部61は、画像形成ユニット20Kが転写位置にあるか否かを判定し(ステップS19)、画像形成ユニット20Kが転写位置に無い場合には(ステップS19のNO)、ステップS21に処理を移行させる。
一方、画像形成ユニット20Kが転写位置にある場合(ステップS19のYES)、カウンタ部73は、感光体ドラム21K用に不揮発性メモリ71に記憶されている累積カウント値AC(K)にカウント値Ctまたは補正カウント値CT(K)を加算することで累積カウント値AC(K)を更新する(ステップS20)。すなわち、カウンタ部73は、画像形成ユニット20Wが転写位置にある場合は(ステップS16のYES)、累積カウント値AC(K)に補正カウント値CT(K)を加算し、画像形成ユニット20Wが転写位置に無い場合は(ステップS16のNO)、累積カウント値AC(K)にカウント値Ctを加算する。
次に、主制御部61は、画像形成ユニット20Mが転写位置にあるか否かを判定し(ステップS21)、画像形成ユニット20Mが転写位置に無い場合には(ステップS21のNO)、ステップS23に処理を移行させる。
一方、画像形成ユニット20Mが転写位置にある場合(ステップS21のYES)、カウンタ部73は、感光体ドラム21M用に不揮発性メモリ71に記憶されている累積カウント値AC(M)にカウント値Ctまたは補正カウント値CT(M)を加算することで累積カウント値AC(M)を更新する(ステップS22)。すなわち、カウンタ部73は、画像形成ユニット20Wが転写位置にある場合は(ステップS16のYES)、累積カウント値AC(M)に補正カウント値CT(M)を加算し、画像形成ユニット20Wが当接位置に無い場合は(ステップS16のNO)、累積カウント値AC(M)にカウント値Ctを加算する。
次に、主制御部61は、画像形成ユニット20Cが転写位置にあるか否かを判定し(ステップS23)、画像形成ユニット20Cが転写位置に無い場合には(ステップS23のNO)、ステップS25に処理を移行させる。
一方、画像形成ユニット20Cが転写位置にある場合(ステップS23のYES)、カウンタ部73は、感光体ドラム21C用に不揮発性メモリ71に記憶されている累積カウント値AC(C)にカウント値Ctまたは補正カウント値CT(C)を加算することで累積カウント値AC(C)を更新する(ステップS24)。すなわち、カウンタ部73は、画像形成ユニット20Wが転写位置にある場合は(ステップS16のYES)、累積カウント値AC(C)に補正カウント値CT(C)を加算し、画像形成ユニット20Wが転写位置に無い場合は(ステップS16のNO)、累積カウント値AC(C)にカウント値Ctを加算する。
次に、主制御部61は、画像形成ユニット20Yが転写位置にあるか否かを判定し(ステップS25)、画像形成ユニット20Yが転写位置に無い場合には(ステップS25のNO)、ステップS27に処理を移行させる。
一方、画像形成ユニット20Yが転写位置にある場合(ステップS25のYES)、カウンタ部73は、感光体ドラム21Y用に不揮発性メモリ71に記憶されている累積カウント値AC(Y)にカウント値Ctまたは補正カウント値CT(Y)を加算することで累積カウント値AC(Y)を更新する(ステップS26)。すなわち、カウンタ部73は、画像形成ユニット20Wが転写位置にある場合は(ステップS16のYES)、累積カウント値AC(Y)に補正カウント値CT(Y)を加算し、画像形成ユニット20Wが転写位置に無い場合は(ステップS16のNO)、累積カウント値AC(Y)にカウント値Ctを加算する。
その後、寿命検出部74は、累積カウント値AC(W),AC(K),AC(Y),AC(C),AC(M)を寿命カウント値TH(W),TH(K),TH(Y),TH(C),TH(M)とそれぞれ比較する(ステップS27)。その比較結果に基づいて、感光体ドラム21W,21Y,21C,21M,21Kのいずれかに寿命有りと判定した場合は(ステップS28のYES)、主制御部61は、ドラム交換メッセージを表示部81に表示させる(ステップS29)。一方、寿命無しと判定した場合は(ステップS28のNO)、主制御部61は、以上の印刷制御処理を終了する。
以上に説明したように本実施の形態では、ホワイトの画像形成ユニット20Wが転写位置にあるときは、他色用の感光体ドラム21Y,21C,21M,21Kについてはカウント値Ctが補正により増加され(図5のステップS18)、ホワイトの画像形成ユニット20Wが非転写位置(離間位置)にあるときは、他色用の感光体ドラム21Y,21C,21M,21Kについてはカウント値Ctが補正されない。このため、感光体ドラム21Y,21C,21M,21Kの寿命を正確に検出することができる。
図7(A),(B)は、上流側の画像形成ユニット20Wと下流側の画像形成ユニット20Kとの間の関係を示す図である。図7(A)は、上流側の画像形成ユニット20Wが転写位置にある場合の関係を示し、図7(B)は、上流側の画像形成ユニット20Wが非転写位置(離間位置)にある場合の関係を示している。ホワイトの現像剤Twが上流側から下流側の画像形成ユニット20Kに搬送されると、まず、感光体ドラム21Kと中間転写ベルト44との間で擦られる。次に、中間転写ベルト44から感光体ドラム21Kへの現像剤Twの逆転写が起こり、クリーニングブレード28Kまで現像剤Twが運ばれる。このとき、感光体ドラム21Kと1次転写ローラ45Kとの間の圧力と、感光体ドラム21Kとクリーニングブレード28Kとの間の圧力とにより、感光体ドラム21Kの表面膜が削られ、感光体ドラム21Kが劣化するのである。また、感光体ドラム21Kの表面膜が摩耗すると、帯電工程が正常に実行されず、たとえば、白紙領域で現像が生じて地汚れが発生するおそれもある。このような感光体ドラム21Kの劣化は、上述したようにホワイトの現像剤を構成する着色剤が比較的硬い金属系の顔料を主成分とすることに起因して生じやすい。
図8は、ドラムカウント(カウント値Ct)に対する感光体ドラム21Kの表面膜の膜減量(単位:μm)の実験結果を示すグラフである。図8のグラフは、上流側の画像形成ユニット20Wが転写位置にある場合(上流に白有り)と、上流側の画像形成ユニット20Wが非転写位置(離間位置)にある場合(上流に白無し)とで、感光体ドラム21Kの表面膜の削れ量に違いがあり、膜減量が異なることを示している。このグラフの結果からは、補正係数α1を約1.8倍に設定すればよいことが分かる。寿命カウント値TH(W),TH(K),TH(Y),TH(C),TH(M)としては、たとえば、40000回付近の値に設定することができる。
実施の形態2.
次に、本発明に係る実施の形態2について説明する。図9は、実施の形態2の画像形成装置2の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態の画像形成装置2の構成は、最上流位置に図1の画像形成ユニット20Wに代えて画像形成ユニット20Gが配置される点と制御回路60の動作の一部とを除いて、上記実施の形態1の画像形成装置1の構成と同じである。
本実施の形態の画像形成ユニット20Gは、感光体ドラム21Gを内蔵し、グロストナーを使用する点を除いて上記画像形成ユニット20Wと同じ構成を有する。グロストナーは、印刷画像の表面に光沢や艶を出したい場合に使用される現像剤である。グロストナーは、上記した粉砕法または重合法に従って製造することができるが、顔料を含まないため、無色透明な現像剤である。粉砕法で製造されたグロストナーの平均粒径は、約8μmとすることができる。
以下、本実施の形態の画像形成装置2の動作を以下に説明する。
図10は、画像形成装置2による印刷制御処理の手順を概略的に示すフローチャートである。図10を参照すると、図2の主制御部61は、画像データを含む印刷ジョブデータを受信するまで待機している(ステップS30のNO)。主制御部61がインタフェイス部69を介して画像データを含む印刷ジョブデータを受信すると(ステップS30のYES)、位置検出部75は、センサ群83からの検出信号に基づいて、画像形成ユニット20G,20Y,20C,20M,20Kの配置を検出する(ステップS31)。具体的には、位置検出部75は、上記実施の形態1の場合と同様に、画像形成ユニット20G,20Y,20C,20M,20Kの各々が転写位置に配置されているか否かを検出する。
そして、主制御部61は、印刷データに応じて画像形成ユニット20G,20Y,20C,20M,20Kのいずれかの配置変更が必要か否かを判定する(ステップS32)。配置変更が不要と判定した場合(ステップS32のNO)、主制御部61は、ステップS34の印刷処理に手順を移行させる。
一方、配置変更が必要と判定した場合(ステップS32のYES)、主制御部61は、画像形成ユニット20G,20Y,20C,20M,20Kのうち配置変更が必要な画像形成ユニットの配置を、転写位置及び非転写位置の一方から他方へ変更させる(ステップS33)。具体的には、主制御部61は、手動(マニュアル操作)による配置変更を促すメッセージを表示部81に表示させてもよいし、あるいは、自動で配置変更させてもよい。
上記配置変更(ステップS33)の完了後、制御回路60は、印刷処理を実行する(ステップS34)。具体的には、上述したように、画像形成ユニット20G,20Y,20C,20M,20Kのうち転写位置にある画像形成ユニットは、印刷データに対応する現像剤像を中間転写ベルト44に転写させる。次に、2次転写ローラ46は、カセット11から搬送された記録媒体Pa上に現像剤像を転写させる。次に、定着ユニット50は、記録媒体Pa上に現像剤像を定着させる。その後、記録媒体Paは、排出トレイ10Tに排出される。このような印刷処理は、1枚の記録媒体Paに対して行われてもよいし、印刷ジョブデータで指定された複数枚の記録媒体Paに対して連続的に実行されてもよい。なお、画像形成ユニット20Gが非転写位置(離間位置)にあるとき、画像形成ユニット20Gは、電圧の印加を受けず、駆動されない。
上記印刷処理(ステップS34)の完了後、主制御部61は、カウンタ部73からカウント値Ctを取得する(ステップS35)。次に、画像形成ユニット20Gが当接位置に無い場合は(ステップS36のNO)、主制御部61は、ステップS19に処理を移行させる。
一方、画像形成ユニット20Gが転写位置にある場合(ステップS36のYES)、カウンタ部73は、感光体ドラム21G用に不揮発性メモリ71に記憶されている累積カウント値AC(G)にカウント値Ctを加算することで累積カウント値AC(G)を更新する(ステップS37)。次いで、カウンタ部73は、カウント値Ctを色毎に補正して補正カウント値CT(K),CT(M),CT(C),CT(Y)を算出する(ステップS38)。ここで、補正カウント値CT(K),CT(M),CT(C),CT(Y)は、感光体ドラム21K,21M,21C,21Yにそれぞれ対応する補正値である。
カウンタ部73は、たとえば、次式(5)〜(8)に従って、補正カウント値CT(K),CT(M),CT(C),CT(Y)を算出することができる。
CT(K)=α2×Ct ・・・(5)
CT(M)=β2×Ct ・・・(6)
CT(C)=γ2×Ct ・・・(7)
CT(Y)=δ2×Ct ・・・(8)
ここで、α2,β2,γ2,δ2は、0以上で且つ1未満の範囲内の補正係数であり、予め個別に設定可能な値である。
次に、主制御部61は、画像形成ユニット20Kが転写位置にあるか否かを判定し(ステップS39)、画像形成ユニット20Kが転写位置に無い場合には(ステップS39のNO)、ステップS41に処理を移行させる。
一方、画像形成ユニット20Kが転写位置にある場合(ステップS39のYES)、カウンタ部73は、感光体ドラム21K用に不揮発性メモリ71に記憶されている累積カウント値AC(K)にカウント値Ctまたは補正カウント値CT(K)を加算することで累積カウント値AC(K)を更新する(ステップS40)。すなわち、カウンタ部73は、画像形成ユニット20Gが転写位置にある場合は(ステップS36のYES)、累積カウント値AC(K)に補正カウント値CT(K)を加算し、画像形成ユニット20Gが転写位置に無い場合は(ステップS36のNO)、累積カウント値AC(K)にカウント値Ctを加算する。
次に、主制御部61は、画像形成ユニット20Mが転写位置にあるか否かを判定し(ステップS41)、画像形成ユニット20Mが転写位置に無い場合には(ステップS41のNO)、ステップS43に処理を移行させる。
一方、画像形成ユニット20Mが転写位置にある場合(ステップS41のYES)、カウンタ部73は、感光体ドラム21M用に不揮発性メモリ71に記憶されている累積カウント値AC(M)にカウント値Ctまたは補正カウント値CT(M)を加算することで累積カウント値AC(M)を更新する(ステップS42)。すなわち、カウンタ部73は、画像形成ユニット20Gが転写位置にある場合は(ステップS36のYES)、累積カウント値AC(M)に補正カウント値CT(M)を加算し、画像形成ユニット20Gが転写位置に無い場合は(ステップS36のNO)、累積カウント値AC(M)にカウント値Ctを加算する。
次に、主制御部61は、画像形成ユニット20Cが転写位置にあるか否かを判定し(ステップS43)、画像形成ユニット20Cが転写位置に無い場合には(ステップS43のNO)、ステップS25に処理を移行させる。
一方、画像形成ユニット20Cが転写位置にある場合(ステップS43のYES)、カウンタ部73は、感光体ドラム21C用に不揮発性メモリ71に記憶されている累積カウント値AC(C)にカウント値Ctまたは補正カウント値CT(C)を加算することで累積カウント値AC(C)を更新する(ステップS44)。すなわち、カウンタ部73は、画像形成ユニット20Gが転写位置にある場合は(ステップS36のYES)、累積カウント値AC(C)に補正カウント値CT(C)を加算し、画像形成ユニット20Gが転写位置に無い場合は(ステップS36のNO)、累積カウント値AC(C)にカウント値Ctを加算する。
次に、主制御部61は、画像形成ユニット20Yが転写位置にあるか否かを判定し(ステップS45)、画像形成ユニット20Yが転写位置に無い場合には(ステップS25のNO)、ステップS47に処理を移行させる。
一方、画像形成ユニット20Yが転写位置にある場合(ステップS45のYES)、カウンタ部73は、感光体ドラム21Y用に不揮発性メモリ71に記憶されている累積カウント値AC(Y)にカウント値Ctまたは補正カウント値CT(Y)を加算することで累積カウント値AC(Y)を更新する(ステップS46)。すなわち、カウンタ部73は、画像形成ユニット20Gが転写位置にある場合は(ステップS36のYES)、累積カウント値AC(Y)に補正カウント値CT(Y)を加算し、画像形成ユニット20Gが転写位置に無い場合は(ステップS36のNO)、累積カウント値AC(Y)にカウント値Ctを加算する。
その後、寿命検出部74は、累積カウント値AC(G),AC(K),AC(Y),AC(C),AC(M)を寿命カウント値TH(G),TH(K),TH(Y),TH(C),TH(M)とそれぞれ比較する(ステップS47)。その比較結果に基づいて、感光体ドラム21G,21Y,21C,21M,21Kのいずれかに寿命有りと判定した場合は(ステップS48のYES)、主制御部61は、ドラム交換メッセージを表示部81に表示させる(ステップS49)。一方、寿命無しと判定した場合は(ステップS48のNO)、主制御部61は、以上の印刷制御処理を終了する。
以上に説明したように本実施の形態では、画像形成ユニット20Gが転写位置にあるときは、他色用の感光体ドラム21Y,21C,21M,21Kについてはカウント値Ctが補正により低減され(図10のステップS38)、画像形成ユニット20Gが非転写位置(離間位置)にあるときは、他色用の感光体ドラム21Y,21C,21M,21Kについてはカウント値Ctが補正されない。このため、感光体ドラム21Y,21C,21M,21Kの寿命を正確に検出することができる。
図11は、ドラムカウント(カウント値Ct)に対する感光体ドラム21Kの表面膜の膜減量(単位:μm)の実験結果を示すグラフである。図11のグラフは、上流側の画像形成ユニット20Gが転写位置にある場合(上流にグロストナー有り)と、上流側の画像形成ユニット20Wが非転写位置(離間位置)にある場合(上流にグロストナー無し)とで、感光体ドラム21Kの表面膜の削れ量に違いがあり、膜減量が異なることを示している。これは、グロストナーが樹脂より硬い顔料を含有しないため、ブラックの顔料が感光体ドラム21Kの表面と擦れる回数が減るためである。このグラフの結果からは、補正係数α2を約0.2倍に設定すればよいことが分かる。
実施の形態1,2の変形例.
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。たとえば、上記実施の形態1,2は、いずれも、タンデム方式の画像形成装置1,2であったが、これに限定されるものではない。本発明を4サイクル方式の画像形成装置に適用することもできる。
また、上記実施の形態1,2では、好適な例として、最上流位置に画像形成ユニット20Wまたは画像形成ユニット20Gの配置がなされていたが、画像形成ユニット20Wまたは画像形成ユニット20Gを最下流位置に配置してもよい。この場合、ベルトクリーニング部で除去しきれなかった現像剤が他色用の画像形成ユニットに搬送されて感光体ドラムの寿命に影響を与えるときでも、当該感光体ドラムの寿命を正確に検出することができる。
また、上記実施の形態1,2は、5色の現像剤像を形成する5つの画像形成ユニットを有するものであったが、2色乃至4色の現像剤像を形成する2乃至4つの画像形成ユニットを有するように構成を変更することができる。
また、上記実施の形態1,2の画像形成装置1,2は、いずれも、中間転写方式で動作するが、これに限定されるものではない。本発明を直接転写方式の画像形成装置に適用することも可能である。図12は、直接転写方式の画像形成装置の要部を例示する図である。
図12に示されるように、この画像形成装置は、記録媒体Paを表面に載せて搬送する転写ベルト144と、この転写ベルト144上に配列された画像形成ユニット120K,120Y,120M,120C,120Wと、転写ベルト144から残留現像剤を掻き落とすベルトクリーニング部148とを有する。転写ベルト144は、一対の駆動ローラ101,102に張設(張架)されている。
画像形成ユニット120K,120Y,120M,120C,120Wは、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びホワイト(W)の現像剤像をそれぞれ形成する機能を有する。図13に示されるように、画像形成ユニット120Kは、ブラックの現像剤を収容する現像剤収容部122Kと、感光体ドラム121Kの表面に接触してその表面を一様に帯電させる帯電ローラ123Kと、感光体ドラム121Kの表面に静電潜像を形成するための露光を行うLEDヘッド(露光部)124Kと、現像ローラ126Kと、ブラックの現像剤を現像ローラ126Kに供給する供給ローラ125Kと、現像剤像を薄層化する層形成ブレード127Kと、転写後に感光体ドラム121K上に残留した現像剤を掻き落とすクリーニングブレード128Kとを有する。
同様に、画像形成ユニット120Yは、イエローの現像剤を収容する現像剤収容部122Y、帯電ローラ123Y、LEDヘッド(露光部)124Y、現像ローラ126Y、供給ローラ125Y、層形成ブレード127Y及びクリーニングブレード128Kを有する。画像形成ユニット120Mは、マゼンタの現像剤を収容する現像剤収容部122M、帯電ローラ123M、LEDヘッド(露光部)124M、現像ローラ126M、供給ローラ125M、層形成ブレード127M及びクリーニングブレード128Mを有する。画像形成ユニット120Cは、シアンの現像剤を収容する現像剤収容部122C、帯電ローラ123C、LEDヘッド(露光部)124C、現像ローラ126C、供給ローラ125C、層形成ブレード127C及びクリーニングブレード128Cを有する。そして、画像形成ユニット120Wは、ホワイトの現像剤を収容する現像剤収容部122W、帯電ローラ123W、LEDヘッド(露光部)124W、現像ローラ126W、供給ローラ125W、層形成ブレード127W及びクリーニングブレード128Wを有する。
図13に示した直接転写方式の画像形成装置に本発明を適用すれば、ベルトクリーニング部148のクリーニングブレード149で除去しきれなかったホワイトの現像剤が他色用の画像形成ユニット120K,120Y,120M,120Cに搬送されて感光体ドラム121K,121Y,121M,121Cの寿命に影響を与える場合でも、当該感光体ドラム121K,121Y,121M,121Cの寿命を正確に検出することができる。
本発明は、プリンタに適用され得るが、プリンタに限定されることなく、複写機、ファクシミリ機器あるいはMFP(Multi Function Peripheral:複合機)にも適用され得る。なお、MFPは、複写機、プリンタ、イメージスキャナ及びファクシミリ機器などの複数の機器の機能を併せ持つ画像形成装置である。