JP2014148813A - 横架部構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】補強対象の縦梁6に、断面U字状の補強部材21を宛がい、当該補強部材の両側部及び縦梁6に貫通ボルト25を貫通させ、締結具26で締結・連結する。補強部材21と縦梁6との隙間(側部間隙D1、底部間隙D2、ボルト外周間隙D3)には結合材としてグラウト充填されたグラウト層28が形成される。締結具26Bは、貫通ボルト25に締付け固定するための締め込み操作部と、貫通ボルト25を通すための補強部材21の貫通孔21hを外側から塞ぐ座金部とを有する。貫通孔21h内にもグラウト層28が形成される。縦梁6から貫通ボルト25への力F1及び貫通ボルト25から補強部材21への力F2はグラウト層28によって伝達される。よって、補強対象と補強部材21との間で力の伝達ロスがなく、強固な剛結が実現される。
【選択図】図16
Description
前記結合材はモルタルである、第1の発明の横架部構造である。
本発明を適用した第1実施形態として、鉄道用のRC高架橋の梁や桁と言った横架部を補強しつつ、隣接する既設の一対の柱(径間の両端の柱)を新規の1本の柱に付け替えることで径間を拡張する工事を例に挙げる。尚、RC高架橋は鉄道用に限らず道路用でも同様に適用できる。また、柱の交換に限らず柱の追加についても適用できる。
図1(1)に示すように、工事対象として想定される鉄道用のRC高架橋2は、複数の柱4を縦梁6や横梁8で連結して基板10を支えている。基板10の上面には、鉄道用の軌道12や防音フェンス14、図示されない信号等の各種設備が適宜設置される。
図2は、本実施形態におけるRC高架橋2の横架部構造の構成例を示す部分斜視図であって、基板10の下面を斜め下から見上げた図に相当する。図3は、同縦断面図である。これらの図に示すように、本実施形態の補強後の横架部構造20は、
(1)対象横架部である縦梁6を包む補強部材21と、
(2)同部材の底部に剛結された高架橋柱22と、
(3)同柱を支持する基礎24(図1)と、
(4)縦梁6に貫通される貫通ボルト25と、
(5)同貫通ボルトと螺合するとともに補強部材21に嵌着する締結具26と、
(6)縦梁6と補強部材21との側端部の隙間をつめるパッキン材27と、
(7)縦梁6と補強部材21との隙間や、縦梁6と貫通ボルト25との間に充填されたグラウト層28と、を備える。
尚、貫通ボルト25の本数や配置位置は図の例に限らず、縦梁6の寸法や補強部材21の長さに応じて適宜設定されるものとする。
補強部材21は、例えば鋼板で作られる鋼製である。具体的には、両側部と底部とを別々に用意しておいて現場で鋼板を溶接して組み立てる。或いは、予め組み立てておいて現場にて対象とする縦梁6の下からはめ込むとしても良い。尚、補強部材21の外周部には適宜強度確保のためのリブを備えることができる。よって、補強部材21の形状は、リブ等を含まずに見た場合、概ね上向きに開口した「U形状」と言い表すことができる。
貫通ボルト25は、例えばPC鋼棒の両端に雄ネジ部25aを形成して作られる。本実施形態の仕様では、例えば直径11mmとされる。補強部材21の側部及び補強対象の縦梁6には、それぞれ横方向の貫通孔21h及び貫通孔6hが設けられており、貫通ボルト25は両貫通孔に挿通される(図3)。
また、嵌合部26aと補強部材21の貫通孔21hとの隙間は、充填されるグラウトが漏れ出ることなく、且つ貫通ボルト25に締結具26をねじ込み可能で、且つ貫通孔21hの径方向にガタツキが生じない程度に設定するものとする。尚、締結具6は、嵌合部26aと締め込み操作部26bとが一体の1ピース構造が好適である。
次に、貫通ボルト25の本数、径、配置の設計法について説明する。
本実施形態では、設計支援装置1100を用いて貫通ボルト25の本数、径、配置の設計をする。図5は、設計支援装置1100のハードウェアの構成例を示す図である。本実施形態の設計支援装置1100は、いわゆるコンピュータであって、本体装置1101と、キーボード1106と、タッチパネル1108とを備える。本体装置1101には制御基板1150が内蔵されている。そして、制御基板1150は、CPU1151、ICメモリ1152やハードディスクなどの記憶媒体、キーボード1106やタッチパネル1108などとのデータの入出力を制御するインタフェースIC1153、などを備える。
設計支援装置1100は、操作入力部100と、処理部200と、画像表示部360と、記憶部500とを備える。
システムプログラム501は、設計支援装置1100のコンピュータとしての入出力の基本機能を実現するためのプログラムである。
設計支援プログラム502は、処理部200が読み出して実行することによって想定断面力設定部202と、仮設定部204と、耐力算定部206と、評価部208と、画像生成部260としての機能を実現させるためのアプリケーションソフトウェアであるが、システムプログラム501の一部として組み込まれた構成であっても良い。
補強対象の縦梁6の内部には何本もの鉄筋が配筋されており、鉄筋を切って貫通孔6hを設けることは強度低下を招くためにできない。よって、貫通ボルト25を配置可能な位置は、補強対象の縦梁6の配筋から必然的に求められる。配置構成は、必然的に求められる配置可能な位置の組み合わせとなる。
貫通ボルト25は、工費削減と入手のし易さから、既存の規格品のボルトを用いるのが好ましいと言える。よって、ボルト諸元データ520に格納される直径524、断面積526、設計せん断降伏強度528は、既存の規格値となる。勿論、規格外の専用設計も許容されるならば、それらの数値も当該データに含めておくとよい。
補強部材21の側面寸法(補強部材21の側面の高さと、補強対象の縦梁6の長手方向の長さ)は、処理対象の配置構成における最も外側の貫通ボルト25の配置位置から更に高さ方向あるいは梁長手方向外側に所定の長さを確保することとして決定する。
回転中心距離Liは、例えば図10に示すように、高架橋柱22に対して補強対象の縦梁6の長手方向に荷重Wが作用し、補強部材21の底面の一端を回転中心30として補強部材21が回転すると想定して算出する。尚、図10では貫通ボルト25の数が5本の例を示しているが、実際には、ループ処理対象となる配置構成に従う。
ループBでは、まず各貫通ボルト25について、曲げモーメントに抗する抵抗力すなわち曲げ耐力を次式(1)で算出する(ステップS22)。
曲げ耐力Pi=Pmax×(Li/Lmax) ・・・式(1)
(但し、i=規格の識別番号、Pmax=fs×Ai)
そして、全ての貫通ボルト25の抵抗力に基づいて補強部材21が取り付けられる接合部全体の曲げ耐力を次式(2)で算出する(ステップS24)。
全体曲げ耐力Mud=ΣPi・Li/γb ・・・式(2)
せん断耐力Qi=fs×Ai ・・・式(3)
全体せん断耐力Vud=ΣQi/γb ・・・式(4)
評価値ki=γb{(Md/Mud)+(SQRT[Nd2+Vd2]/Vud)} ・・・式(5)
次に、施工順について説明する。尚、各工程に係る足場等の設置については説明を省略する。図11は本実施形態における施工順を説明するためのフローチャートである。
まず、補強対象の縦梁6(本実施形態における鉄筋コンクリート構造高架橋の対象横架部)に貫通孔6hを設ける(ステップT2:開孔ステップ)。次いで、補強対象の縦梁6に補強部材21を宛がう(ステップT4:仮配置ステップ)。この時、補強部材21に予め設けられている貫通孔21hと梁の貫通孔6hとが略同軸上に開口するように位置合わせする。
次に、グラウトを硬化させる(ステップT10:硬化ステップ)。グラウトが硬化すると、グラウト層28により補強対象の縦梁6と補強部材21とが剛結され工事完了となる。
図14は、本実施形態における補強後の横架部の載荷実験の結果を示す図である。
載荷実験では、図14(1)に示すように、実物大の仮梁6’を作製してこれを補強対象の横架部と見立て、上述したのと同様にして補強部材21ほか一式を取り付けた。但し、実験室の空間制限から高架橋柱22は実際よりも短い。そして、補強された仮梁6’を天地逆さまにして試験装置に固定し、高架橋柱22に梁の長手方向と直交する方向にアクチュエータで交番荷重(荷重方向が反転するようにして繰返し作用される荷重)を加えて補強部材21の変位を計測した。段階的に荷重を増しながら繰返し計測した結果からは、図14(2)のグラフが得られた。載荷実験の結果、本実施形態による補強部材21と補強対象の横架部との接合部分では良好に力が伝達されており、それにより柱・梁接合部が十分な耐力を有していることが分った。
次に、本発明を適用した第2実施形態について説明する。本実施形態は基本的には第1実施形態と同様に実現されるが、貫通ボルト25と補強部材21との力の伝達に係る構成が異なる。尚、以降では、第1実施形態との差異について主に述べることとし、第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付与して説明を省略するものとする。
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明の形態がこれらに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない限りに於いて適宜構成用の追加・省略・変更を施すことができる。
4…柱(既設)
6…縦梁
8…横梁
9…グラウト(結合材)
10…基板
12…軌道
14…防音フェンス
20…横架部構造
21…補強部材
22…高架橋柱
23…連結部
24…基礎
25…貫通ボルト
26…締結具
26a…嵌合部
26b…締め込み操作部
26c…雌ねじ部
26d…座金部
27…パッキン材
28…グラウト層
100…操作入力部
200…処理部200
202…想定断面力設定部
204…仮設定部
206…耐力算定部
208…評価部
500…記憶部
502…設計支援プログラム
510…配置構成データ
520…ボルト諸元データ
530…評価値データ
1100…設計支援装置
1150…制御基板
Claims (2)
- 鉄筋コンクリート構造高架橋の梁又は桁(以下「対象横架部」という。)に、断面U字状の補強部材を宛がい、当該補強部材の両側部及び前記対象横架部に貫通ボルトを貫通させ、当該貫通ボルトを当該両側部外側から締結具で締結した後に、前記補強部材と前記対象横架部との隙間を結合材で充填して構成した横架部構造であって、
前記補強部材は、前記貫通ボルトの貫通箇所に前記貫通ボルトを遊貫可能な直径の貫通孔を有し、
前記締結具は、前記締結によって前記補強部材との間に挟み込まれる前記貫通孔より大きい座金を一体又は別体に有し、
前記充填時に前記貫通孔内にも前記結合材を充填して構成し、当該貫通孔内に充填された結合材を介して前記貫通ボルトと前記補強部材間で力が伝達されることを特徴とする横架部構造。 - 前記貫通ボルトはPC鋼棒で構成され、
前記補強部材は鋼製であり、
前記結合材はモルタルである、
請求項1に記載の横架部構造。
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