JP2014148741A - 表面処理銅箔及びそれを用いた積層板、銅箔、プリント配線板、電子機器、並びに、プリント配線板の製造方法 - Google Patents
表面処理銅箔及びそれを用いた積層板、銅箔、プリント配線板、電子機器、並びに、プリント配線板の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 表面処理銅箔は、銅箔表面に粗化処理により粗化粒子が形成され、前記銅箔を、粗化処理表面側から厚さ50μmの樹脂基板の両面に貼り合わせた後、エッチングで前記両面の銅箔を除去したとき、前記樹脂基板のヘイズ値が20〜70%となる。
【選択図】 図1e
Description
また、特許文献2には、電解銅箔による導体層を積層された絶縁層を有し、当該導体層をエッチングして回路形成した際のエッチング領域における絶縁層の光透過性が50%以上であるチップオンフレキ(COF)用フレキシブルプリント配線板において、前記電解銅箔は、絶縁層に接着される接着面にニッケル−亜鉛合金による防錆処理層を備え、該接着面の表面粗度(Rz)は0.05〜1.5μmであるとともに入射角60°における鏡面光沢度が250以上であることを特徴とするCOF用フレキシブルプリント配線板に係る発明が開示されている。
また、特許文献3には、印刷回路用銅箔の処理方法において、銅箔の表面に銅−コバルト−ニッケル合金めっきによる粗化処理後、コバルト−ニッケル合金めっき層を形成し、更に亜鉛−ニッケル合金めっき層を形成することを特徴とする印刷回路用銅箔の処理方法に係る発明が開示されている。
また、特許文献2では、粗化処理がなされておらず、COF用フレキシブルプリント配線板以外の用途においては銅箔と樹脂との密着強度が低く不十分である。
さらに、特許文献3に記載の処理方法では、銅箔へのCu−Co−Niによる微細処理は可能であったが、当該銅箔を樹脂と接着させてエッチングで除去した後の樹脂について、優れた透明性を実現できていない。
本発明は、樹脂と良好に接着し、且つ、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性に優れた表面処理銅箔及びそれを用いた積層板を提供する。
本発明において使用する銅箔は、樹脂基板と接着させて積層体を作製し、エッチングにより除去することで使用される銅箔に有用である。
本発明において使用する銅箔は、電解銅箔或いは圧延銅箔いずれでも良い。通常、銅箔の、樹脂基板と接着する面、即ち粗化面には積層後の銅箔の引き剥し強さを向上させることを目的として、脱脂後の銅箔の表面にふしこぶ状の電着を行う粗化処理が施される。電解銅箔は製造時点で凹凸を有しているが、粗化処理により電解銅箔の凸部を増強して凹凸を一層大きくする。本発明においては、この粗化処理は銅−コバルト−ニッケル合金めっきや銅−ニッケル−りん合金めっき等により行うことができる。粗化前の前処理として通常の銅めっき等が行われることがあり、粗化後の仕上げ処理として電着物の脱落を防止するために通常の銅めっき等が行なわれることもある。圧延銅箔と電解銅箔とでは処理の内容を幾分異にすることもある。本発明においては、こうした前処理及び仕上げ処理をも含め、銅箔粗化と関連する公知の処理を必要に応じて含め、総称して粗化処理と云うものとする。
なお、本願発明に係る圧延銅箔にはAg、Sn、In、Ti、Zn、Zr、Fe、P、Ni、Si、Te、Cr、Nb、V等の元素を一種以上含む銅合金箔も含まれる。上記元素の濃度が高くなる(例えば合計で10質量%以上)と、導電率が低下する場合がある。圧延銅箔の導電率は、好ましくは50%IACS以上、より好ましくは60%IACS以上、更に好ましくは80%IACS以上である。
めっき浴組成:Cu10〜20g/L、Co1〜10g/L、Ni1〜10g/L
pH:1〜4
温度:30〜50℃
電流密度Dk:20〜30A/dm2
めっき時間:1〜5秒
めっき浴組成:Co1〜20g/L、Ni1〜20g/L
pH:1.5〜3.5
温度:30〜80℃
電流密度Dk:1.0〜20.0A/dm2
めっき時間:0.5〜4秒
めっき浴組成:Zn100〜300g/L
pH:3〜4
温度:50〜60℃
電流密度Dk:0.1〜0.5A/dm2
めっき時間:1〜3秒
本発明の表面処理銅箔は、銅箔表面に粗化処理により粗化粒子が形成され、且つ、粗化処理表面のTDの平均粗さRzが0.30〜0.80μmである。このような構成により、ピール強度が高くなって樹脂と良好に接着し、且つ、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の曇りの度合い(ヘイズ値)が小さくなり、透明性が高くなる。この結果、当該樹脂を透過して視認される位置決めパターンを介して行うICチップ搭載時の位置合わせ等が容易となる。TDの平均粗さRzが0.30μm未満であると、銅箔表面の粗化処理が不十分であり、樹脂と十分に接着できない。一方、TDの平均粗さRzが0.80μm超であると、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂表面の凹凸が大きくなり、その結果樹脂のヘイズ値が大きくなる。粗化処理表面のTDの平均粗さRzは、0.30〜0.70μmが好ましく、0.35〜0.60μmがより好ましく、0.35〜0.55μmが更により好ましく、0.35〜0.50μmが更により好ましい。
表面処理銅箔の粗化面の圧延方向(MD)の入射角60度での光沢度は、上述の樹脂のヘイズ値に大いに影響を及ぼす。すなわち、粗化面の光沢度が大きい銅箔ほど、上述の樹脂のヘイズ値が小さくなる。このため、本発明の表面処理銅箔は、粗化面の光沢度が80〜350%であり、90〜300%であるのが好ましく、90〜250%であるのがより好ましく、100〜250%であるのがより好ましい。
また、粗化処理前の銅箔は、MDの60度光沢度が500〜800%であるのが好ましく、501〜800%であるのがより好ましく、510〜750%であるのが更により好ましい。粗化処理前の銅箔のMDの60度光沢度が500%未満であると500%以上の場合よりもヘイズ値が高くなるおそれがあり、800%を超えると、製造することが難しくなるという問題が生じるおそれがある。
なお、高光沢圧延は以下の式で規定される油膜当量を13000〜24000以下とすることで行うことが出来る。
油膜当量={(圧延油粘度[cSt])×(通板速度[mpm]+ロール周速度[mpm])}/{(ロールの噛み込み角[rad])×(材料の降伏応力[kg/mm2])}
圧延油粘度[cSt]は40℃での動粘度である。
油膜当量を13000〜24000とするためには、低粘度の圧延油を用いたり、通板速度を遅くしたりする等、公知の方法を用いればよい。
化学研磨は硫酸−過酸化水素−水系またはアンモニア−過酸化水素−水系等のエッチング液で、通常よりも濃度を低くして、長時間かけて行う。
本発明の表面処理銅箔は、上述のように粗化処理表面の平均粗さRz及び光沢度が制御されているため、樹脂基板に貼り合わせた後、銅箔を除去した部分の樹脂基板のヘイズ値が小さくなる。ここで、ヘイズ値(%)は、(拡散透過率)/(全光線透過率)×100で算出される値である。具体的には、本発明の表面処理銅箔は、粗化処理表面側から厚さ50μmの樹脂基板の両面に貼り合わせた後、エッチングで当該銅箔を除去したとき、樹脂基板のヘイズ値が20〜70%であるのが好ましく、30〜55%であるのがより好ましい。
粗化粒子の表面積Aと、粗化粒子を銅箔表面側から平面視したときに得られる面積Bとの比A/Bは、上述の樹脂のヘイズ値に大いに影響を及ぼす。すなわち、表面粗さRzが同じであれば、比A/Bが小さい銅箔ほど、上述の樹脂のヘイズ値が小さくなる。このため、本発明の表面処理銅箔は、当該比A/Bが1.90〜2.40であり、2.00〜2.20であるのが好ましい。
銅箔を用いて回路を形成する際のエッチングファクターの値が大きい場合、エッチング時に生じる回路のボトム部のすそ引きが小さくなるため、回路間のスペースを狭くすることができる。そのため、エッチングファクターの値は大きい方が、ファインパターンによる回路形成に適しているため好ましい。本発明の表面処理銅箔は、例えば、エッチングファクターの値は1.8以上であることが好ましく、2.0以上であることが好ましく、2.2以上であることが好ましく、2.3以上であることが好ましく、2.4以上であることがより好ましい。
なお、プリント配線板または銅張積層板においては、樹脂を溶かして除去することで、銅回路または銅箔表面について、前述の表面粗さ(Rz)、粒子の面積比(A/B)、光沢度を測定することができる。
本発明の表面処理銅箔と樹脂基板との積層板の位置決めをする方法について説明する。まず、表面処理銅箔と樹脂基板との積層板を準備する。本発明の表面処理銅箔と樹脂基板との積層板の具体例としては、本体基板と付属の回路基板と、それらを電気的に接続するために用いられる、ポリイミド等の樹脂基板の少なくとも一方の表面に銅配線が形成されたフレキシブルプリント基板とで構成される電子機器において、フレキシブルプリント基板を正確に位置決めして当該本体基板及び付属の回路基板の配線端部に圧着させて作製される積層板が挙げられる。すなわち、この場合であれば、積層板は、フレキシブルプリント基板及び本体基板の配線端部が圧着により貼り合わせられた積層体、或いは、フレキシブルプリント基板及び回路基板の配線端部が圧着により貼り合わせられた積層板となる。積層板は、当該銅配線の一部や別途材料で形成したマークを有している。マークの位置については、当該積層板を構成する樹脂越しにCCDカメラ等の撮影手段で撮影可能な位置であれば特に限定されない。ここで、マークとは積層板やプリント配線板等の位置を検出し、または、位置決めをし、または、位置合わせをするために用いられる印(しるし)のことをいう。
なお、本発明の実施の形態に係る位置決め方法は表面実装機やチップマウンターに用いてもよい。
また、本発明において位置決めされる表面処理銅箔と樹脂基板との積層板が、樹脂板及び前記樹脂板の上に設けられた回路を有するプリント配線板であってもよい。また、その場合、前記マークが前記回路であってもよい。
上述の粗化めっき処理を行った後、実施例1〜13、15〜20、22〜23、比較例2、4、7〜10について次の耐熱層および防錆層形成のためのめっき処理を行った。
耐熱層1の形成条件を以下に示す。
液組成 :ニッケル5〜20g/L、コバルト1〜8g/L
pH :2〜3
液温 :40〜60℃
電流密度 :5〜20A/dm2
クーロン量:10〜20As/dm2
上記耐熱層1を施した銅箔上に、耐熱層2を形成した。比較例3、5、6については、粗化めっき処理は行わず、準備した銅箔に、この耐熱層2を直接形成した。耐熱層2の形成条件を以下に示す。
液組成 :ニッケル2〜30g/L、亜鉛2〜30g/L
pH :3〜4
液温 :30〜50℃
電流密度 :1〜2A/dm2
クーロン量:1〜2As/dm2
上記耐熱層1及び2を施した銅箔上に、さらに防錆層を形成した。防錆層の形成条件を以下に示す。
液組成 :重クロム酸カリウム1〜10g/L、亜鉛0〜5g/L
pH :3〜4
液温 :50〜60℃
電流密度 :0〜2A/dm2(浸漬クロメート処理のため)
クーロン量:0〜2As/dm2(浸漬クロメート処理のため)
上記耐熱層1、2及び防錆層を施した銅箔上に、さらに耐候性層を形成した。形成条件を以下に示す。
アミノ基を有するシランカップリング剤として、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(実施例17)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(実施例1〜13、15、16)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(実施例18)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(実施例19)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(実施例20)、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン(実施例22)、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(実施例23)で、塗布・乾燥を行い、耐候性層を形成した。これらのシランカップリング剤を2種以上の組み合わせで用いることもできる。
電解銅箔はJX日鉱日石金属社製電解銅箔HLP箔を用いた。電解研磨を行った場合には、電解研磨後の板厚を記載した。
なお、表9に表面処理前の銅箔作製工程のポイントを記載した。「高光沢圧延」は、最終の冷間圧延(最終の再結晶焼鈍後の冷間圧延)を記載の油膜当量の値で行ったことを意味する。「通常圧延」は、最終の冷間圧延(最終の再結晶焼鈍後の冷間圧延)を記載の油膜当量の値で行ったことを意味する。「化学研磨」、「電解研磨」は、以下の条件で行ったことを意味する。
「化学研磨」はH2SO4が1〜3質量%、H2O2が0.05〜0.15質量%、残部水のエッチング液を用い、研磨時間を1時間とした。
「電解研磨」はリン酸67%+硫酸10%+水23%の条件で、電圧10V/cm2、表9に記載の時間(10秒間の電解研磨を行うと、研磨量は1〜2μmとなる。)で行った。
(1)表面粗さ(Rz)の測定;
株式会社小阪研究所製接触粗さ計Surfcorder SE−3Cを使用してJIS B0601−1994に準拠して十点平均粗さを粗化面について測定した。測定基準長さ0.8mm、評価長さ4mm、カットオフ値0.25mm、送り速さ0.1mm/秒の条件で圧延方向と垂直に(TDに、電解銅箔の場合は通箔方向に垂直に)測定位置を変えて10回行い、10回の測定での値を求めた。
なお、表面処理前の銅箔についても、同様にして表面粗さ(Rz)を求めておいた。
粗化粒子の表面積はレーザー顕微鏡による測定法を使用した。株式会社キーエンス製レーザーマイクロスコープVK8500を用いて粗化処理面の倍率2000倍における100×100μm相当面積B(実データでは9982.52μm2)における三次元表面積Aを測定して、三次元表面積A÷二次元表面積B=面積比(A/B)とする手法により設定を行った。
JIS Z8741に準拠した日本電色工業株式会社製光沢度計ハンディーグロスメーターPG−1を使用し、圧延方向(MD、電解銅箔の場合は通箔方向)及び圧延方向に直角な方向(TD、電解銅箔の場合は通箔方向に直角な方向)のそれぞれの入射角60度で粗化面について測定した。
なお、表面処理前の銅箔についても、同様にして光沢度を求めておいた。
銅箔をラミネート用熱硬化性接着剤付きポリイミドフィルム(厚み50μm、宇部興産製ユーピレックス)の両面に貼り合わせ、銅箔をエッチング(塩化第二鉄水溶液)で除去してサンプルフィルムを作成した。JIS K7136(2000)に準拠した村上色彩技術研究所製ヘイズメーターHM−150を使用し、サンプルフィルムのヘイズ値を測定した。
銅箔をラミネート用熱硬化性接着剤付きポリイミドフィルム(厚み50μm、宇部興産製ユーピレックス)の両面に貼り合わせ、銅箔をエッチング(塩化第二鉄水溶液)で除去してサンプルフィルムを作成した。得られた樹脂層の一面に印刷物(直径6cmの黒色の円)を貼り付け、反対面から樹脂層越しに印刷物の視認性を判定した。印刷物の黒色の円の輪郭が円周の90%以上の長さにおいてはっきりしたものを「◎」、黒色の円の輪郭が円周の80%以上90%未満の長さにおいてはっきりしたものを「○」(以上合格)、黒色の円の輪郭が円周の0〜80%未満の長さにおいてはっきりしたもの及び輪郭が崩れたものを「×」(不合格)と評価した。
PC−TM−650に準拠し、引張り試験機オートグラフ100で常態ピール強度を測定し、上記常態ピール強度が0.7N/mm以上を積層基板用途に使用できるものとした。
銅箔をラミネート用熱硬化性接着剤付きポリイミドフィルム(厚み50μm、宇部興産製ユーピレックス)の両面に貼り合わせた。得られた両面積層板について、JIS C6471に準拠したテストクーポンを作成した。作成したテストクーポンを85℃、85%RHの高温高湿下で48時間暴露した後に、300℃のはんだ槽に浮かべて、はんだ耐熱特性を評価した。はんだ耐熱試験後に、銅箔粗化処理面とポリイミド樹脂接着面の界面において、テストクーポン中の銅箔面積の5%以上の面積において、膨れにより界面が変色したものを×(不合格)、面積が5%未満の膨れ変色の場合を○、全く膨れ変色が発生しなかったものを◎として評価した。
銅箔をラミネート用熱硬化性接着剤付きポリイミドフィルム(厚み50μm、宇部興産製ユーピレックス)の両面に貼り合わせた。ファインパターン回路形成を行うために銅箔厚みを同じにする必要があり、ここでは12μm銅箔厚みを基準とした。すなわち、12μmよりも厚みが厚い場合には、電解研磨により12μm厚みまで減厚した。一方で12μmより厚みが薄い場合には、銅めっき処理により12μm厚みまで増厚した。得られた両面積層板の片面側について、積層板の銅箔光沢面側に感光性レジスト塗布及び露光工程により、ファインパターン回路を印刷し、銅箔の不要部分を下記条件でエッチング処理を行い、L/S=20/20μmとなるようなファインパターン回路を形成した。ここで回路幅は回路断面のボトム幅が20μmとなるようにした。
(エッチング条件)
装置:スプレー式小型エッチング装置
スプレー圧:0.2MPa
エッチング液:塩化第二鉄水溶液(比重40ボーメ)
液温度:50℃
ファインパターン回路形成後に、45℃のNaOH水溶液に1分間浸漬させて感光性レジスト膜を剥離した。
上記にて得られたファインパターン回路サンプルを、日立ハイテクノロジーズ社製走査型電子顕微鏡写真S4700を用いて、2000倍の倍率で回路上部から観察を行い、回路上部のトップ幅(Wa)と回路底部のボトム幅(Wb)を測定した。銅箔厚み(T)は12μmとした。エッチングファクター(Ef)は、下記式により算出した。
エッチングファクター(Ef) = (2×T)/(Wb−Wa)
上記各試験の条件及び評価を表1〜10に示す。
実施例1〜23は、いずれもヘイズ値、視認性及びピール強度が良好であった。また、はんだ耐熱評価も良好であった。
比較例1〜2、4、7〜11、13は、ヘイズ値が著しく高く、表面粗さも大きかったため、視認性が不良であった。
比較例3、5、6は、視認性は優れていたが、ピール強度が不十分であり、基板密着性が不良であった。また、比較例1〜13ははんだ耐熱評価が不良であった。
また、実施例5は実施例15とRz、MDの60度光沢度、表面積比A/Bがほぼ同じ値であるが、実施例5の粗化処理表面のMDの60度光沢度とTDの60度光沢度との比Cの値が0.84と0.80〜1.40の範囲内であったため、Cの値が0.75と0.80〜1.40の範囲外である実施例15よりもヘイズ値が小さくなった。
同様の理由で実施例16は実施例17よりもヘイズ値が小さくなった。
図1に、上記Rz評価の際の、(a)比較例1、(b)比較例2、(c)比較例3、(d)比較例4、(e)実施例1、(f)実施例2の銅箔表面のSEM観察写真をそれぞれ示す。
本発明は更に別の側面において、本発明のプリント配線板と部品とを接続する工程、および、前記部品と接続された本発明のプリント配線板と、少なくとももう一つの本発明のプリント配線板又は本発明のプリント配線板に該当しないプリント配線板とを接続することでプリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を作製する工程を少なくとも含む、プリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を製造する方法である。
また、特許文献2には、電解銅箔による導体層を積層された絶縁層を有し、当該導体層をエッチングして回路形成した際のエッチング領域における絶縁層の光透過性が50%以上であるチップオンフレキ(COF)用フレキシブルプリント配線板において、前記電解銅箔は、絶縁層に接着される接着面にニッケル−亜鉛合金による防錆処理層を備え、該接着面の表面粗度(Rz)は0.05〜1.5μmであるとともに入射角60°における鏡面光沢度が250以上であることを特徴とするCOF用フレキシブルプリント配線板に係る発明が開示されている。
また、特許文献3には、印刷回路用銅箔の処理方法において、銅箔の表面に銅−コバルト−ニッケル合金めっきによる粗化処理後、コバルト−ニッケル合金めっき層を形成し、更に亜鉛−ニッケル合金めっき層を形成することを特徴とする印刷回路用銅箔の処理方法に係る発明が開示されている。
また、特許文献2では、粗化処理がなされておらず、COF用フレキシブルプリント配線板以外の用途においては銅箔と樹脂との密着強度が低く不十分である。
さらに、特許文献3に記載の処理方法では、銅箔へのCu−Co−Niによる微細処理は可能であったが、当該銅箔を樹脂と接着させてエッチングで除去した後の樹脂について、優れた透明性を実現できていない。
本発明は、樹脂と良好に接着し、且つ、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性に優れた表面処理銅箔及びそれを用いた積層板を提供する。
本発明は更に別の側面において、本発明のプリント配線板と部品とを接続する工程、および、前記部品と接続された本発明のプリント配線板と、少なくとももう一つの本発明のプリント配線板又は本発明のプリント配線板に該当しないプリント配線板とを接続することでプリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を作製する工程を少なくとも含む、プリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を製造する方法である。
本発明において使用する銅箔は、樹脂基板と接着させて積層体を作製し、エッチングにより除去することで使用される銅箔に有用である。
本発明において使用する銅箔は、電解銅箔或いは圧延銅箔いずれでも良い。通常、銅箔の、樹脂基板と接着する面、即ち粗化面には積層後の銅箔の引き剥し強さを向上させることを目的として、脱脂後の銅箔の表面にふしこぶ状の電着を行う粗化処理が施される。電解銅箔は製造時点で凹凸を有しているが、粗化処理により電解銅箔の凸部を増強して凹凸を一層大きくする。本発明においては、この粗化処理は銅−コバルト−ニッケル合金めっきや銅−ニッケル−りん合金めっき等により行うことができる。粗化前の前処理として通常の銅めっき等が行われることがあり、粗化後の仕上げ処理として電着物の脱落を防止するために通常の銅めっき等が行なわれることもある。圧延銅箔と電解銅箔とでは処理の内容を幾分異にすることもある。本発明においては、こうした前処理及び仕上げ処理をも含め、銅箔粗化と関連する公知の処理を必要に応じて含め、総称して粗化処理と云うものとする。
なお、本願発明に係る圧延銅箔にはAg、Sn、In、Ti、Zn、Zr、Fe、P、Ni、Si、Te、Cr、Nb、V等の元素を一種以上含む銅合金箔も含まれる。上記元素の濃度が高くなる(例えば合計で10質量%以上)と、導電率が低下する場合がある。圧延銅箔の導電率は、好ましくは50%IACS以上、より好ましくは60%IACS以上、更に好ましくは80%IACS以上である。
めっき浴組成:Cu10〜20g/L、Co1〜10g/L、Ni1〜10g/L
pH:1〜4
温度:30〜50℃
電流密度Dk:20〜30A/dm2
めっき時間:1〜5秒
めっき浴組成:Co1〜20g/L、Ni1〜20g/L
pH:1.5〜3.5
温度:30〜80℃
電流密度Dk:1.0〜20.0A/dm2
めっき時間:0.5〜4秒
めっき浴組成:Zn100〜300g/L
pH:3〜4
温度:50〜60℃
電流密度Dk:0.1〜0.5A/dm2
めっき時間:1〜3秒
本発明の表面処理銅箔は、銅箔表面に粗化処理により粗化粒子が形成され、且つ、粗化処理表面のTDの平均粗さRzが0.30〜0.80μmである。このような構成により、ピール強度が高くなって樹脂と良好に接着し、且つ、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の曇りの度合い(ヘイズ値)が小さくなり、透明性が高くなる。この結果、当該樹脂を透過して視認される位置決めパターンを介して行うICチップ搭載時の位置合わせ等が容易となる。TDの平均粗さRzが0.30μm未満であると、銅箔表面の粗化処理が不十分であり、樹脂と十分に接着できない。一方、TDの平均粗さRzが0.80μm超であると、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂表面の凹凸が大きくなり、その結果樹脂のヘイズ値が大きくなる。粗化処理表面のTDの平均粗さRzは、0.30〜0.70μmが好ましく、0.35〜0.60μmがより好ましく、0.35〜0.55μmが更により好ましく、0.35〜0.50μmが更により好ましい。
表面処理銅箔の粗化面の圧延方向(MD)の入射角60度での光沢度は、上述の樹脂のヘイズ値に大いに影響を及ぼす。すなわち、粗化面の光沢度が大きい銅箔ほど、上述の樹脂のヘイズ値が小さくなる。このため、本発明の表面処理銅箔は、粗化面の光沢度が80〜350%であり、90〜300%であるのが好ましく、90〜250%であるのがより好ましく、100〜250%であるのがより好ましい。
また、粗化処理前の銅箔は、MDの60度光沢度が500〜800%であるのが好ましく、501〜800%であるのがより好ましく、510〜750%であるのが更により好ましい。粗化処理前の銅箔のMDの60度光沢度が500%未満であると500%以上の場合よりもヘイズ値が高くなるおそれがあり、800%を超えると、製造することが難しくなるという問題が生じるおそれがある。
なお、高光沢圧延は以下の式で規定される油膜当量を13000〜24000以下とすることで行うことが出来る。
油膜当量={(圧延油粘度[cSt])×(通板速度[mpm]+ロール周速度[mpm])}/{(ロールの噛み込み角[rad])×(材料の降伏応力[kg/mm2])}
圧延油粘度[cSt]は40℃での動粘度である。
油膜当量を13000〜24000とするためには、低粘度の圧延油を用いたり、通板速度を遅くしたりする等、公知の方法を用いればよい。
化学研磨は硫酸−過酸化水素−水系またはアンモニア−過酸化水素−水系等のエッチング液で、通常よりも濃度を低くして、長時間かけて行う。
本発明の表面処理銅箔は、上述のように粗化処理表面の平均粗さRz及び光沢度が制御されているため、樹脂基板に貼り合わせた後、銅箔を除去した部分の樹脂基板のヘイズ値が小さくなる。ここで、ヘイズ値(%)は、(拡散透過率)/(全光線透過率)×100で算出される値である。具体的には、本発明の表面処理銅箔は、粗化処理表面側から厚さ50μmの樹脂基板の両面に貼り合わせた後、エッチングで当該銅箔を除去したとき、樹脂基板のヘイズ値が20〜70%であるのが好ましく、30〜55%であるのがより好ましい。
粗化粒子の表面積Aと、粗化粒子を銅箔表面側から平面視したときに得られる面積Bとの比A/Bは、上述の樹脂のヘイズ値に大いに影響を及ぼす。すなわち、表面粗さRzが同じであれば、比A/Bが小さい銅箔ほど、上述の樹脂のヘイズ値が小さくなる。このため、本発明の表面処理銅箔は、当該比A/Bが1.90〜2.40であり、2.00〜2.20であるのが好ましい。
銅箔を用いて回路を形成する際のエッチングファクターの値が大きい場合、エッチング時に生じる回路のボトム部のすそ引きが小さくなるため、回路間のスペースを狭くすることができる。そのため、エッチングファクターの値は大きい方が、ファインパターンによる回路形成に適しているため好ましい。本発明の表面処理銅箔は、例えば、エッチングファクターの値は1.8以上であることが好ましく、2.0以上であることが好ましく、2.2以上であることが好ましく、2.3以上であることが好ましく、2.4以上であることがより好ましい。
なお、プリント配線板または銅張積層板においては、樹脂を溶かして除去することで、銅回路または銅箔表面について、前述の表面粗さ(Rz)、粒子の面積比(A/B)、光沢度を測定することができる。
本発明の表面処理銅箔と樹脂基板との積層板の位置決めをする方法について説明する。まず、表面処理銅箔と樹脂基板との積層板を準備する。本発明の表面処理銅箔と樹脂基板との積層板の具体例としては、本体基板と付属の回路基板と、それらを電気的に接続するために用いられる、ポリイミド等の樹脂基板の少なくとも一方の表面に銅配線が形成されたフレキシブルプリント基板とで構成される電子機器において、フレキシブルプリント基板を正確に位置決めして当該本体基板及び付属の回路基板の配線端部に圧着させて作製される積層板が挙げられる。すなわち、この場合であれば、積層板は、フレキシブルプリント基板及び本体基板の配線端部が圧着により貼り合わせられた積層体、或いは、フレキシブルプリント基板及び回路基板の配線端部が圧着により貼り合わせられた積層板となる。積層板は、当該銅配線の一部や別途材料で形成したマークを有している。マークの位置については、当該積層板を構成する樹脂越しにCCDカメラ等の撮影手段で撮影可能な位置であれば特に限定されない。ここで、マークとは積層板やプリント配線板等の位置を検出し、または、位置決めをし、または、位置合わせをするために用いられる印(しるし)のことをいう。
なお、本発明の実施の形態に係る位置決め方法は表面実装機やチップマウンターに用いてもよい。
また、本発明において位置決めされる表面処理銅箔と樹脂基板との積層板が、樹脂板及び前記樹脂板の上に設けられた回路を有するプリント配線板であってもよい。また、その場合、前記マークが前記回路であってもよい。
上述の粗化めっき処理を行った後、実施例1〜13、15〜20、22〜23、比較例2、4、7〜10について次の耐熱層および防錆層形成のためのめっき処理を行った。
耐熱層1の形成条件を以下に示す。
液組成 :ニッケル5〜20g/L、コバルト1〜8g/L
pH :2〜3
液温 :40〜60℃
電流密度 :5〜20A/dm2
クーロン量:10〜20As/dm2
上記耐熱層1を施した銅箔上に、耐熱層2を形成した。比較例3、5、6については、粗化めっき処理は行わず、準備した銅箔に、この耐熱層2を直接形成した。耐熱層2の形成条件を以下に示す。
液組成 :ニッケル2〜30g/L、亜鉛2〜30g/L
pH :3〜4
液温 :30〜50℃
電流密度 :1〜2A/dm2
クーロン量:1〜2As/dm2
上記耐熱層1及び2を施した銅箔上に、さらに防錆層を形成した。防錆層の形成条件を以下に示す。
液組成 :重クロム酸カリウム1〜10g/L、亜鉛0〜5g/L
pH :3〜4
液温 :50〜60℃
電流密度 :0〜2A/dm2(浸漬クロメート処理のため)
クーロン量:0〜2As/dm2(浸漬クロメート処理のため)
上記耐熱層1、2及び防錆層を施した銅箔上に、さらに耐候性層を形成した。形成条件を以下に示す。
アミノ基を有するシランカップリング剤として、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(実施例17)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(実施例1〜13、15、16)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(実施例18)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(実施例19)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(実施例20)、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン(実施例22)、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(実施例23)で、塗布・乾燥を行い、耐候性層を形成した。これらのシランカップリング剤を2種以上の組み合わせで用いることもできる。
電解銅箔はJX日鉱日石金属社製電解銅箔HLP箔を用いた。電解研磨を行った場合には、電解研磨後の板厚を記載した。
なお、表9に表面処理前の銅箔作製工程のポイントを記載した。「高光沢圧延」は、最終の冷間圧延(最終の再結晶焼鈍後の冷間圧延)を記載の油膜当量の値で行ったことを意味する。「通常圧延」は、最終の冷間圧延(最終の再結晶焼鈍後の冷間圧延)を記載の油膜当量の値で行ったことを意味する。「化学研磨」、「電解研磨」は、以下の条件で行ったことを意味する。
「化学研磨」はH2SO4が1〜3質量%、H2O2が0.05〜0.15質量%、残部水のエッチング液を用い、研磨時間を1時間とした。
「電解研磨」はリン酸67%+硫酸10%+水23%の条件で、電圧10V/cm2、表9に記載の時間(10秒間の電解研磨を行うと、研磨量は1〜2μmとなる。)で行った。
(1)表面粗さ(Rz)の測定;
株式会社小阪研究所製接触粗さ計Surfcorder SE−3Cを使用してJIS B0601−1994に準拠して十点平均粗さを粗化面について測定した。測定基準長さ0.8mm、評価長さ4mm、カットオフ値0.25mm、送り速さ0.1mm/秒の条件で圧延方向と垂直に(TDに、電解銅箔の場合は通箔方向に垂直に)測定位置を変えて10回行い、10回の測定での値を求めた。
なお、表面処理前の銅箔についても、同様にして表面粗さ(Rz)を求めておいた。
粗化粒子の表面積はレーザー顕微鏡による測定法を使用した。株式会社キーエンス製レーザーマイクロスコープVK8500を用いて粗化処理面の倍率2000倍における100×100μm相当面積B(実データでは9982.52μm2)における三次元表面積Aを測定して、三次元表面積A÷二次元表面積B=面積比(A/B)とする手法により設定を行った。
JIS Z8741に準拠した日本電色工業株式会社製光沢度計ハンディーグロスメーターPG−1を使用し、圧延方向(MD、電解銅箔の場合は通箔方向)及び圧延方向に直角な方向(TD、電解銅箔の場合は通箔方向に直角な方向)のそれぞれの入射角60度で粗化面について測定した。
なお、表面処理前の銅箔についても、同様にして光沢度を求めておいた。
銅箔をラミネート用熱硬化性接着剤付きポリイミドフィルム(厚み50μm、宇部興産製ユーピレックス(登録商標)−VT:BPDA(ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)系のポリイミド樹脂基板)の両面に貼り合わせ、銅箔をエッチング(塩化第二鉄水溶液)で除去してサンプルフィルムを作成した。JIS K7136(2000)に準拠した村上色彩技術研究所製ヘイズメーターHM−150を使用し、サンプルフィルムのヘイズ値を測定した。
銅箔をラミネート用熱硬化性接着剤付きポリイミドフィルム(厚み50μm、宇部興産製ユーピレックス(登録商標)−VT:BPDA(ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)系のポリイミド樹脂基板)の両面に貼り合わせ、銅箔をエッチング(塩化第二鉄水溶液)で除去してサンプルフィルムを作成した。得られた樹脂層の一面に印刷物(直径6cmの黒色の円)を貼り付け、反対面から樹脂層越しに印刷物の視認性を判定した。印刷物の黒色の円の輪郭が円周の90%以上の長さにおいてはっきりしたものを「◎」、黒色の円の輪郭が円周の80%以上90%未満の長さにおいてはっきりしたものを「○」(以上合格)、黒色の円の輪郭が円周の0〜80%未満の長さにおいてはっきりしたもの及び輪郭が崩れたものを「×」(不合格)と評価した。
PC−TM−650に準拠し、引張り試験機オートグラフ100で常態ピール強度を測定し、上記常態ピール強度が0.7N/mm以上を積層基板用途に使用できるものとした。
銅箔をラミネート用熱硬化性接着剤付きポリイミドフィルム(厚み50μm、宇部興産製ユーピレックス(登録商標)−VT:BPDA(ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)系のポリイミド樹脂基板)の両面に貼り合わせた。得られた両面積層板について、JIS C6471に準拠したテストクーポンを作成した。作成したテストクーポンを85℃、85%RHの高温高湿下で48時間暴露した後に、300℃のはんだ槽に浮かべて、はんだ耐熱特性を評価した。はんだ耐熱試験後に、銅箔粗化処理面とポリイミド樹脂接着面の界面において、テストクーポン中の銅箔面積の5%以上の面積において、膨れにより界面が変色したものを×(不合格)、面積が5%未満の膨れ変色の場合を○、全く膨れ変色が発生しなかったものを◎として評価した。
銅箔をラミネート用熱硬化性接着剤付きポリイミドフィルム(厚み50μm、宇部興産製ユーピレックス(登録商標)−VT:BPDA(ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)系のポリイミド樹脂基板)の両面に貼り合わせた。ファインパターン回路形成を行うために銅箔厚みを同じにする必要があり、ここでは12μm銅箔厚みを基準とした。すなわち、12μmよりも厚みが厚い場合には、電解研磨により12μm厚みまで減厚した。一方で12μmより厚みが薄い場合には、銅めっき処理により12μm厚みまで増厚した。得られた両面積層板の片面側について、積層板の銅箔光沢面側に感光性レジスト塗布及び露光工程により、ファインパターン回路を印刷し、銅箔の不要部分を下記条件でエッチング処理を行い、L/S=20/20μmとなるようなファインパターン回路を形成した。ここで回路幅は回路断面のボトム幅が20μmとなるようにした。
(エッチング条件)
装置:スプレー式小型エッチング装置
スプレー圧:0.2MPa
エッチング液:塩化第二鉄水溶液(比重40ボーメ)
液温度:50℃
ファインパターン回路形成後に、45℃のNaOH水溶液に1分間浸漬させて感光性レジスト膜を剥離した。
上記にて得られたファインパターン回路サンプルを、日立ハイテクノロジーズ社製走査型電子顕微鏡写真S4700を用いて、2000倍の倍率で回路上部から観察を行い、回路上部のトップ幅(Wa)と回路底部のボトム幅(Wb)を測定した。銅箔厚み(T)は12μmとした。エッチングファクター(Ef)は、下記式により算出した。
エッチングファクター(Ef) = (2×T)/(Wb−Wa)
上記各試験の条件及び評価を表1〜10に示す。
実施例1〜23は、いずれもヘイズ値、視認性及びピール強度が良好であった。また、はんだ耐熱評価も良好であった。
比較例1〜2、4、7〜11、13は、ヘイズ値が著しく高く、表面粗さも大きかったため、視認性が不良であった。
比較例3、5、6は、視認性は優れていたが、ピール強度が不十分であり、基板密着性が不良であった。また、比較例1〜13ははんだ耐熱評価が不良であった。
また、実施例5は実施例15とRz、MDの60度光沢度、表面積比A/Bがほぼ同じ値であるが、実施例5の粗化処理表面のMDの60度光沢度とTDの60度光沢度との比Cの値が0.84と0.80〜1.40の範囲内であったため、Cの値が0.75と0.80〜1.40の範囲外である実施例15よりもヘイズ値が小さくなった。
同様の理由で実施例16は実施例17よりもヘイズ値が小さくなった。
図1に、上記Rz評価の際の、(a)比較例1、(b)比較例2、(c)比較例3、(d)比較例4、(e)実施例1、(f)実施例2の銅箔表面のSEM観察写真をそれぞれ示す。
Claims (11)
- 銅箔表面に粗化処理により粗化粒子が形成され、前記銅箔を、粗化処理表面側から厚さ50μmの樹脂基板の両面に貼り合わせた後、エッチングで前記両面の銅箔を除去したとき、前記樹脂基板のヘイズ値が20〜70%となる表面処理銅箔。
- 請求項1に記載の表面処理銅箔と樹脂基板とを積層して構成した積層板。
- 請求項1に記載の表面処理銅箔に使用される粗化処理前の銅箔。
- MDの60度光沢度が500〜800%である請求項3に記載の粗化処理前の銅箔。
- 請求項1に記載の表面処理銅箔を用いたプリント配線板。
- 請求項5に記載のプリント配線板を用いた電子機器。
- 請求項5に記載のプリント配線板を2つ以上接続して、プリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を製造する方法。
- 請求項5に記載のプリント配線板を少なくとも1つと、もう一つの請求項5に記載のプリント配線板又は請求項5に記載のプリント配線板に該当しないプリント配線板とを接続する工程を含む、プリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を製造する方法。
- 請求項7又は8に記載のプリント配線板が少なくとも1つ接続したプリント配線板を1つ以上用いた電子機器。
- 請求項5に記載のプリント配線板と、部品とを接続する工程を少なくとも含む、プリント配線板を製造する方法。
- 請求項5に記載のプリント配線板を少なくとも1つと、もう一つの請求項5に記載のプリント配線板又は請求項5に記載のプリント配線板に該当しないプリント配線板とを接続する工程、および、
請求項5に記載のプリント配線板又は請求項8に記載のプリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板と、部品とを接続する工程
を少なくとも含む、プリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を製造する方法。
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