JP2014148747A - 表面処理銅箔及びそれを用いた積層板、プリント配線板、電子機器、並びに、プリント配線板の製造方法 - Google Patents

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英太 新井
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Abstract

【課題】樹脂と良好に接着し、且つ、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性に優れた表面処理銅箔及びそれを用いた積層板を提供する。
【解決手段】少なくとも一方の銅箔表面に粗化処理により粗化粒子が形成され、粗化処理表面の前記粗化粒子について、長径が100nm以下である粗化粒子が単位面積あたり50個/μm2以上形成されており、粗化処理表面のMDの60度光沢度が80〜350%である表面処理銅箔。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面処理銅箔及びそれを用いた積層板、プリント配線板、電子機器、並びに、プリント配線板の製造方法に関し、特に、銅箔をエッチングした後の残部の樹脂の透明性が要求される分野に好適な表面処理銅箔及びそれを用いた積層板、プリント配線板、電子機器、並びに、プリント配線板の製造方法に関する。
スマートフォンやタブレットPCといった小型電子機器には、配線の容易性や軽量性からフレキシブルプリント配線板(以下、FPC)が採用されている。近年、これら電子機器の高機能化により信号伝送速度の高速化が進み、FPCにおいてもインピーダンス整合が重要な要素となっている。信号容量の増加に対するインピーダンス整合の方策として、FPCのベースとなる樹脂絶縁層(例えば、ポリイミド)の厚層化が進んでいる。一方、FPCは液晶基材への接合やICチップの搭載などの加工が施されるが、この際の位置合わせは銅箔と樹脂絶縁層との積層板における銅箔をエッチングした後に残る樹脂絶縁層を透過して視認される位置決めパターンを介して行われるため、樹脂絶縁層の視認性が重要となる。
また、銅箔と樹脂絶縁層との積層板である銅張積層板は、表面に粗化めっきが施された圧延銅箔を使用しても製造できる。この圧延銅箔は、通常タフピッチ銅(酸素含有量100〜500重量ppm)又は無酸素銅(酸素含有量10重量ppm以下)を素材として使用し、これらのインゴットを熱間圧延した後、所定の厚さまで冷間圧延と焼鈍とを繰り返して製造される。
このような技術として、例えば、特許文献1には、ポリイミドフィルムと低粗度銅箔とが積層されてなり、銅箔エッチング後のフィルムの波長600nmでの光透過率が40%以上、曇価(HAZE)が30%以下であって、接着強度が500N/m以上である銅張積層板に係る発明が開示されている。
また、特許文献2には、電解銅箔による導体層を積層された絶縁層を有し、当該導体層をエッチングして回路形成した際のエッチング領域における絶縁層の光透過性が50%以上であるチップオンフレキ(COF)用フレキシブルプリント配線板において、前記電解銅箔は、絶縁層に接着される接着面にニッケル−亜鉛合金による防錆処理層を備え、該接着面の表面粗度(Rz)は0.05〜1.5μmであるとともに入射角60°における鏡面光沢度が250以上であることを特徴とするCOF用フレキシブルプリント配線板に係る発明が開示されている。
また、特許文献3には、印刷回路用銅箔の処理方法において、銅箔の表面に銅−コバルト−ニッケル合金めっきによる粗化処理後、コバルト−ニッケル合金めっき層を形成し、更に亜鉛−ニッケル合金めっき層を形成することを特徴とする印刷回路用銅箔の処理方法に係る発明が開示されている。
特開2004−98659号公報 WO2003/096776 特許第2849059号公報
特許文献1において、黒化処理又はめっき処理後の有機処理剤により接着性が改良処理されて得られる低粗度銅箔は、銅張積層板に屈曲性が要求される用途では、疲労によって断線することがあり、樹脂透視性に劣る場合がある。
また、特許文献2では、粗化処理がなされておらず、COF用フレキシブルプリント配線板以外の用途においては銅箔と樹脂との密着強度が低く不十分である。
さらに、特許文献3に記載の処理方法では、銅箔へのCu−Co−Niによる微細処理は可能であったが、当該銅箔を樹脂と接着させてエッチングで除去した後の樹脂について、優れた透明性を実現できていない。
本発明は、樹脂と良好に接着し、且つ、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性に優れた表面処理銅箔及びそれを用いた積層板を提供する。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、表面に粗化処理により粗化粒子が形成された銅箔において、粗化処理表面の所定の長径を有する粗化粒子の個数密度、及び、光沢度が、銅箔をエッチング除去した後の樹脂透明性に影響を及ぼすことを見出した。
以上の知見を基礎として完成された本発明は一側面において、少なくとも一方の銅箔表面に粗化処理により粗化粒子が形成され、粗化処理表面の前記粗化粒子について、長径が100nm以下である粗化粒子が単位面積あたり50個/μm2以上形成されており、粗化処理表面のMDの60度光沢度が80〜350%である表面処理銅箔である。
本発明に係る表面処理銅箔の一実施形態においては、粗化処理表面の前記粗化粒子について、長径が200nm以下である粗化粒子が単位面積あたり90個/μm2以上形成されている。
本発明に係る表面処理銅箔の別の実施形態においては、粗化処理表面の前記粗化粒子について、長径が100nm超且つ150nm以下の粗化粒子が単位面積あたり50個/μm2以下で形成されている。
本発明に係る表面処理銅箔の更に別の実施形態においては、前記MDの60度光沢度が90〜250%である。
本発明に係る表面処理銅箔の更に別の実施形態においては、粗化処理表面のMDの60度光沢度とTDの60度光沢度との比C(C=(MDの60度光沢度)/(TDの60度光沢度))が0.80〜1.40である。
本発明に係る表面処理銅箔の更に別の実施形態においては、粗化処理表面のMDの60度光沢度とTDの60度光沢度との比C(C=(MDの60度光沢度)/(TDの60度光沢度))が0.90〜1.35である。
本発明に係る表面処理銅箔の更に別の実施形態においては、前記粗化粒子の表面積Aと、前記粗化粒子を前記銅箔表面側から平面視したときに得られる面積Bとの比A/Bが1.90〜2.40である。
本発明に係る表面処理銅箔の更に別の実施形態においては、前記A/Bが2.00〜2.20である。
本発明に係る表面処理銅箔の更に別の実施形態においては、前記銅箔を、粗化処理表面側から厚さ50μmの樹脂基板の両面に貼り合わせた後、エッチングで前記両面の銅箔を除去したとき、前記樹脂基板のヘイズ値が20〜70%となる。
本発明は更に別の側面において、本発明の表面処理銅箔と樹脂基板とを積層して構成した積層板である。
本発明は更に別の側面において、本発明の表面処理銅箔を用いたプリント配線板である。
本発明は更に別の側面において、本発明のプリント配線板を用いた電子機器である。
本発明は更に別の側面において、本発明のプリント配線板を2つ以上接続して、プリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を製造する方法である。
本発明は更に別の側面において、本発明のプリント配線板を少なくとも1つと、もう一つの本発明のプリント配線板又は本発明のプリント配線板に該当しないプリント配線板とを接続する工程を含む、プリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を製造する方法である。
本発明は更に別の側面において、本発明のプリント配線板が少なくとも1つ接続したプリント配線板を1つ以上用いた電子機器である。
本発明は更に別の側面において、本発明のプリント配線板と、部品とを接続する工程を少なくとも含む、プリント配線板を製造する方法である。
本発明は更に別の側面において、本発明のプリント配線板を少なくとも1つと、もう一つの本発明のプリント配線板又は本発明のプリント配線板に該当しないプリント配線板とを接続する工程、および、本発明のプリント配線板又は本発明のプリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板と、部品とを接続する工程を少なくとも含む、プリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を製造する方法である。
本発明によれば、樹脂と良好に接着し、且つ、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性に優れた表面処理銅箔及びそれを用いた積層板を提供することができる。
実施例4の銅箔表面のSEM観察写真である。 比較例1の銅箔表面のSEM観察写真である。 比較例7の銅箔表面のSEM観察写真である。
〔表面処理銅箔の形態及び製造方法〕
本発明において使用する銅箔は、樹脂基板と接着させて積層体を作製し、エッチングにより除去することで使用される銅箔に有用である。
本発明において使用する銅箔は、電解銅箔或いは圧延銅箔いずれでも良い。通常、銅箔の、樹脂基板と接着する面、即ち粗化面には積層後の銅箔の引き剥し強さを向上させることを目的として、脱脂後の銅箔の表面にふしこぶ状の電着を行う粗化処理が施される。電解銅箔は製造時点で凹凸を有しているが、粗化処理により電解銅箔の凸部を増強して凹凸を一層大きくする。本発明においては、この粗化処理は銅−コバルト−ニッケル合金めっきや銅−ニッケル−りん合金めっき等により行うことができる。粗化前の前処理として通常の銅めっき等が行われることがあり、粗化後の仕上げ処理として電着物の脱落を防止するために通常の銅めっき等が行なわれることもある。圧延銅箔と電解銅箔とでは処理の内容を幾分異にすることもある。本発明においては、こうした前処理及び仕上げ処理をも含め、銅箔粗化と関連する公知の処理を必要に応じて含め、総称して粗化処理と云うものとする。
なお、本願発明に係る圧延銅箔にはAg、Sn、In、Ti、Zn、Zr、Fe、P、Ni、Si、Te、Cr、Nb、V等の元素を一種以上含む銅合金箔も含まれる。上記元素の濃度が高くなる(例えば合計で10質量%以上)と、導電率が低下する場合がある。圧延銅箔の導電率は、好ましくは50%IACS以上、より好ましくは60%IACS以上、更に好ましくは80%IACS以上である。
粗化処理としての銅−コバルト−ニッケル合金めっきは、電解めっきにより、付着量が15〜40mg/dm2の銅−100〜3000μg/dm2のコバルト−100〜1500μg/dm2のニッケルであるような3元系合金層を形成するように実施することができる。Co付着量が100μg/dm2未満では、耐熱性が悪化し、エッチング性が悪くなることがある。Co付着量が3000μg/dm2を超えると、磁性の影響を考慮せねばならない場合には好ましくなく、エッチングシミが生じ、また、耐酸性及び耐薬品性の悪化がすることがある。Ni付着量が100μg/dm2未満であると、耐熱性が悪くなることがある。他方、Ni付着量が1500μg/dm2を超えると、エッチング残が多くなることがある。好ましいCo付着量は1000〜2500μg/dm2であり、好ましいニッケル付着量は500〜1200μg/dm2である。ここで、エッチングシミとは、塩化銅でエッチングした場合、Coが溶解せずに残ってしまうことを意味しそしてエッチング残とは塩化アンモニウムでアルカリエッチングした場合、Niが溶解せずに残ってしまうことを意味するものである。
このような3元系銅−コバルト−ニッケル合金めっきを形成するための一般的浴及びめっき条件の一例は次の通りである:
めっき浴組成:Cu10〜20g/L、Co1〜10g/L、Ni1〜10g/L
pH:1〜4
温度:30〜50℃
電流密度Dk:20〜30A/dm2
めっき時間:1〜5秒
粗化処理後、粗化面上に付着量が200〜3000μg/dm2のコバルト−100〜700μg/dm2のニッケルのコバルト−ニッケル合金めっき層を形成することができる。この処理は広い意味で一種の防錆処理とみることができる。このコバルト−ニッケル合金めっき層は、銅箔と基板の接着強度を実質的に低下させない程度に行う必要がある。コバルト付着量が200μg/dm2未満では、耐熱剥離強度が低下し、耐酸化性及び耐薬品性が悪化することがある。また、もう一つの理由として、コバルト量が少ないと処理表面が赤っぽくなってしまうので好ましくない。コバルト付着量が3000μg/dm2を超えると、磁性の影響を考慮せねばならない場合には好ましくなく、エッチングシミが生じる場合があり、また、耐酸性及び耐薬品性の悪化することがある。好ましいコバルト付着量は500〜2500μg/dm2である。一方、ニッケル付着量が100μg/dm2未満では耐熱剥離強度が低下し耐酸化性及び耐薬品性が悪化することがある。ニッケルが1300μg/dm2を超えると、アルカリエッチング性が悪くなる。好ましいニッケル付着量は200〜1200μg/dm2である。
また、コバルト−ニッケル合金めっきの条件の一例は次の通りである:
めっき浴組成:Co1〜20g/L、Ni1〜20g/L
pH:1.5〜3.5
温度:30〜80℃
電流密度Dk:1.0〜20.0A/dm2
めっき時間:0.5〜4秒
本発明に従えば、コバルト−ニッケル合金めっき上に更に付着量の30〜250μg/dm2の亜鉛めっき層が形成される。亜鉛付着量が30μg/dm2未満では耐熱劣化率改善効果が無くなることがある。他方、亜鉛付着量が250μg/dm2を超えると耐塩酸劣化率が極端に悪くなることがある。好ましくは、亜鉛付着量は30〜240μg/dm2であり、より好ましくは80〜220μg/dm2である。
上記亜鉛めっきの条件の一例は次の通りである:
めっき浴組成:Zn100〜300g/L
pH:3〜4
温度:50〜60℃
電流密度Dk:0.1〜0.5A/dm2
めっき時間:1〜3秒
なお、亜鉛めっき層の代わりに亜鉛−ニッケル合金めっき等の亜鉛合金めっき層を形成してもよく、さらに最表面にはクロメート処理やシランカップリング剤の塗布等によって防錆層を形成してもよい。
〔粗化粒子の個数密度〕
本発明の表面処理銅箔は、少なくとも一方の銅箔表面に粗化処理により粗化粒子が形成され、粗化処理表面の前記粗化粒子について、長径が100nm以下である粗化粒子が単位面積あたり50個/μm2以上形成されている。このような構成により、ピール強度が高くなって樹脂と良好に接着し、且つ、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の曇りの度合い(ヘイズ値)が小さくなり、透明性が高くなる。この結果、当該樹脂を透過して視認される位置決めパターンを介して行うICチップ搭載時の位置合わせ等が容易となる。長径が100nm以下である粗化粒子が単位面積あたり50個/μm2未満であると、銅箔表面の粗化処理が不十分であり、樹脂と十分に接着できない。また粒子径が100nm超であり、単位体積あたりの粒子個数が少ない場合は、樹脂との接着性は確保されるが、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の曇りの度合い(ヘイズ値)が大きくなり、透明性が低くなる。長径が100nm以下である粗化粒子は、好ましくは単位面積あたり60個/μm2以上形成されており、より好ましくは150個/μm2以上形成されている。特に上限を設定する必要はないが、長径が100nm以下である粗化粒子の粒子個数の上限としては、例えば2500個/μm2以下などが挙げられる。
本発明の表面処理銅箔は、粗化処理表面の前記粗化粒子について、長径が200nm以下である粗化粒子が単位面積あたり90個/μm2以上形成されているのが好ましい。このような構成により、ピール強度が高くなって樹脂と良好に接着し、且つ、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の曇りの度合い(ヘイズ値)が小さくなり、透明性が高くなる。この結果、当該樹脂を透過して視認される位置決めパターンを介して行うICチップ搭載時の位置合わせ等が容易となるという効果が生じる。長径が200nm以下である粗化粒子が単位面積あたり90個/μm2未満であると、銅箔表面の粗化処理が不十分であり、樹脂と十分に接着できないおそれがある。また粒子径が200nm超であり、単位体積あたりの粒子個数が少ない場合は、樹脂との接着性は確保されるが、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の曇りの度合い(ヘイズ値)が大きくなり、透明性が低くなるという問題が生じるおそれがある。長径が200nm以下である粗化粒子は、好ましくは単位面積あたり100個/μm2以上形成されており、より好ましくは150個/μm2以上形成されている。特に上限を設定する必要はないが、長径が200nm以下である粗化粒子の粒子個数の上限としては、例えば2500個/μm2以下などが挙げられる。
本発明の表面処理銅箔は、粗化処理表面の前記粗化粒子について、長径が100nm超且つ150nm以下の粗化粒子が単位面積あたり50個/μm2以下で形成されているのが好ましい。このような構成により、樹脂との接着性を確保しつつ、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の曇りの度合い(ヘイズ値)が高くなり、良好な透明性が得られるという効果が生じる。長径が100nm超且つ150nm以下の粗化粒子が単位面積あたり50個/μm2以上であると、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の曇りの度合い(ヘイズ値)が大きくなり、透明性が低くなるという問題が生じるおそれがある。長径が100nm超且つ150nm以下の粗化粒子は、好ましくは単位面積あたり30個/μm2以下形成されており、より好ましくは10個/μm2以下形成されている。特に下限を限定する必要はないが、長径が100nm超且つ150nm以下の粒子個数の下限としては0個/μm2以上が挙げられる。
〔光沢度〕
表面処理銅箔の粗化面の圧延方向(MD)の入射角60度での光沢度は、上述の樹脂のヘイズ値に大いに影響を及ぼす。すなわち、粗化面の光沢度が大きい銅箔ほど、上述の樹脂のヘイズ値が小さくなる。このため、本発明の表面処理銅箔は、粗化面の光沢度が80〜350%であり、90〜300%であるのが好ましく、90〜250%であるのがより好ましく、100〜250%であるのがより好ましい。
ここで、本発明の視認性の効果をさらに向上させるために、表面処理前の銅箔の処理側の表面のTDの粗さ(Rz)及び光沢度を制御しておくことも重要である。具体的には、表面処理前の銅箔のTDの表面粗さ(Rz)が0.30〜0.80μm、好ましくは0.30〜0.50μmであり、圧延方向(MD)の入射角60度での光沢度が350〜800%、好ましくは500〜800%であって、更に従来の粗化処理よりも電流密度を高くし、粗化処理時間を短縮すれば、表面処理を行った後の、表面処理銅箔の圧延方向(MD)の入射角60度での光沢度が90〜350%となる。このような銅箔としては、圧延油の油膜当量を調整して圧延を行う(高光沢圧延)、或いは、ケミカルエッチングのような化学研磨やリン酸溶液中の電解研磨により作製することができる。このように、処理前の銅箔のTDの表面粗さ(Rz)と光沢度とを上記範囲にすることで、処理後の銅箔の所定長さの長径を有する粗化粒子の個数密度及び光沢度を制御しやすくすることができる。
なお、高光沢圧延は以下の式で規定される油膜当量を13000〜24000以下とすることで行うことが出来る。
油膜当量={(圧延油粘度[cSt])×(通板速度[mpm]+ロール周速度[mpm])}/{(ロールの噛み込み角[rad])×(材料の降伏応力[kg/mm2])}
圧延油粘度[cSt]は40℃での動粘度である。
油膜当量を13000〜24000とするためには、低粘度の圧延油を用いたり、通板速度を遅くしたりする等、公知の方法を用いればよい。
化学研磨は硫酸−過酸化水素−水系またはアンモニア−過酸化水素−水系等のエッチング液で、通常よりも濃度を低くして、長時間かけて行う。
粗化処理表面のMDの60度光沢度とTDの60度光沢度との比C(C=(MDの60度光沢度)/(TDの60度光沢度))が0.80〜1.40であるのが好ましい。粗化処理表面のMDの60度光沢度とTDの60度光沢度との比Cが0.80未満であると、0.80以上である場合よりもヘイズ値が高くなるおそれがある。また、当該比Cが1.40超であると、1.40以下である場合よりもヘイズ値が高くなるおそれがある。当該比Cは、0.90〜1.35であるのがより好ましく、1.00〜1.30であるのが更により好ましい。
〔ヘイズ値〕
本発明の表面処理銅箔は、上述のように粗化処理表面の平均粗さRz及び光沢度が制御されているため、樹脂基板に貼り合わせた後、銅箔を除去した部分の樹脂基板のヘイズ値が小さくなる。ここで、ヘイズ値(%)は、(拡散透過率)/(全光線透過率)×100で算出される値である。具体的には、本発明の表面処理銅箔は、粗化処理表面側から厚さ50μmの樹脂基板の両面に貼り合わせた後、エッチングで当該銅箔を除去したとき、樹脂基板のヘイズ値が20〜70%であるのが好ましく、30〜55%であるのがより好ましい。
〔粒子の表面積〕
粗化粒子の表面積Aと、粗化粒子を銅箔表面側から平面視したときに得られる面積Bとの比A/Bは、上述の樹脂のヘイズ値に大いに影響を及ぼす。すなわち、表面粗さRzが同じであれば、比A/Bが小さい銅箔ほど、上述の樹脂のヘイズ値が小さくなる。このため、本発明の表面処理銅箔は、当該比A/Bが1.90〜2.40であり、2.00〜2.20であるのが好ましい。
粒子形成時の電流密度とメッキ時間とを制御することで、粒子の形態や形成密度が決まり、上記表面粗さRz、光沢度及び粒子の面積比A/Bを制御することができる。
〔エッチングファクター〕
銅箔を用いて回路を形成する際のエッチングファクターの値が大きい場合、エッチング時に生じる回路のボトム部のすそ引きが小さくなるため、回路間のスペースを狭くすることができる。そのため、エッチングファクターの値は大きい方が、ファインパターンによる回路形成に適しているため好ましい。本発明の表面処理銅箔は、例えば、エッチングファクターの値は1.8以上であることが好ましく、2.0以上であることが好ましく、2.2以上であることが好ましく、2.3以上であることが好ましく、2.4以上であることがより好ましい。
なお、プリント配線板または銅張積層板においては、樹脂を溶かして除去することで、銅回路または銅箔表面について、前述の粒子の面積比(A/B)、光沢度、粗化粒子個数密度を測定することができる。
本発明の表面処理銅箔を、粗化処理面側から樹脂基板に貼り合わせて積層体を製造することができる。樹脂基板はプリント配線板等に適用可能な特性を有するものであれば特に制限を受けないが、例えば、リジッドPWB用に紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂等を使用し、FPC用にポリエステルフィルムやポリイミドフィルム、液晶ポリマー(LCP)フィルム等を使用する事ができる。
貼り合わせの方法は、リジッドPWB用の場合、ガラス布などの基材に樹脂を含浸させ、樹脂を半硬化状態まで硬化させたプリプレグを用意する。銅箔を被覆層の反対側の面からプリプレグに重ねて加熱加圧させることにより行うことができる。FPCの場合、ポリイミドフィルム等の基材に接着剤を介して、又は、接着剤を使用せずに高温高圧下で銅箔に積層接着して、又は、ポリイミド前駆体を塗布・乾燥・硬化等を行うことで積層板を製造することができる。
本発明の積層体は各種のプリント配線板(PWB)に使用可能であり、特に制限されるものではないが、例えば、導体パターンの層数の観点からは片面PWB、両面PWB、多層PWB(3層以上)に適用可能であり、絶縁基板材料の種類の観点からはリジッドPWB、フレキシブルPWB(FPC)、リジッド・フレックスPWBに適用可能である。
〔積層板及びそれを用いたプリント配線板の位置決め方法〕
本発明の表面処理銅箔と樹脂基板との積層板の位置決めをする方法について説明する。まず、表面処理銅箔と樹脂基板との積層板を準備する。本発明の表面処理銅箔と樹脂基板との積層板の具体例としては、本体基板と付属の回路基板と、それらを電気的に接続するために用いられる、ポリイミド等の樹脂基板の少なくとも一方の表面に銅配線が形成されたフレキシブルプリント基板とで構成される電子機器において、フレキシブルプリント基板を正確に位置決めして当該本体基板及び付属の回路基板の配線端部に圧着させて作製される積層板が挙げられる。すなわち、この場合であれば、積層板は、フレキシブルプリント基板及び本体基板の配線端部が圧着により貼り合わせられた積層体、或いは、フレキシブルプリント基板及び回路基板の配線端部が圧着により貼り合わせられた積層板となる。積層板は、当該銅配線の一部や別途材料で形成したマークを有している。マークの位置については、当該積層板を構成する樹脂越しにCCDカメラ等の撮影手段で撮影可能な位置であれば特に限定されない。ここで、マークとは積層板やプリント配線板等の位置を検出し、または、位置決めをし、または、位置合わせをするために用いられる印(しるし)のことをいう。
このように準備された積層板において、上述のマークを樹脂越しに撮影手段で撮影すると、前記マークの位置を良好に検出することができる。そして、このようにして前記マークの位置を検出して、前記検出されたマークの位置に基づき表面処理銅箔と樹脂基板との積層板の位置決めを良好に行うことができる。また、積層板としてプリント配線板を用いた場合も同様に、このような位置決め方法によって撮影手段がマークの位置を良好に検出し、プリント配線板の位置決めをより正確に行うことが出来る。
そのため、一つのプリント配線板ともう一つのプリント配線板を接続する際に、接続不良が低減し、歩留まりが向上すると考えられる。なお、一つのプリント配線板ともう一つのプリント配線板を接続する方法としては半田付けや異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film、ACF)を介した接続、異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste、ACP)を介した接続または導電性を有する接着剤を介しての接続など公知の接続方法を用いることができる。なお、本発明において、「プリント配線板」には部品が装着されたプリント配線板およびプリント回路板およびプリント基板も含まれることとする。また、本発明のプリント配線板を2つ以上接続して、プリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を製造することができ、また、本発明のプリント配線板を少なくとも1つと、もう一つの本発明のプリント配線板又は本発明のプリント配線板に該当しないプリント配線板とを接続することができ、このようなプリント配線板を用いて電子機器を製造することもできる。なお、本発明において、「銅回路」には銅配線も含まれることとする。さらに、本発明のプリント配線板を、部品と接続してプリント配線板を製造してもよい。また、本発明のプリント配線板を少なくとも1つと、もう一つの本発明のプリント配線板又は本発明のプリント配線板に該当しないプリント配線板とを接続し、さらに、本発明のプリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板と、部品とを接続することで、プリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を製造してもよい。ここで、「部品」としては、コネクタやLCD(Liquid Cristal Display)、LCDに用いられるガラス基板などの電子部品、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large scale integrated circuit)、VLSI(Very Large scale integrated circuit)、ULSI (Ultra−Large Scale Integration)などの半導体集積回路を含む電子部品(例えばICチップ、LSIチップ、VLSIチップ、ULSIチップ)、電子回路をシールドするための部品およびプリント配線板にカバーなどを固定するために必要な部品等が挙げられる。
なお、本発明の実施の形態に係る位置決め方法は積層板(銅箔と樹脂基板との積層板やプリント配線板を含む)を移動させる工程を含んでいてもよい。移動工程においては例えばベルトコンベヤーやチェーンコンベヤーなどのコンベヤーにより移動させてもよく、アーム機構を備えた移動装置により移動させてもよく、気体を用いて積層板を浮遊させることで移動させる移動装置や移動手段により移動させてもよく、略円筒形などの物を回転させて積層板を移動させる移動装置や移動手段(コロやベアリングなどを含む)、油圧を動力源とした移動装置や移動手段、空気圧を動力源とした移動装置や移動手段、モーターを動力源とした移動装置や移動手段、ガントリ移動型リニアガイドステージ、ガントリ移動型エアガイドステージ、スタック型リニアガイドステージ、リニアモーター駆動ステージなどのステージを有する移動装置や移動手段などにより移動させてもよい。また、公知の移動手段による移動工程を行ってもよい。上記、積層板を移動させる工程において、積層板を移動させて位置合わせをすることができる。そして、位置合わせをすることで、一つのプリント配線板ともう一つのプリント配線板や部品を接続する際に、接続不良が低減し、歩留まりが向上すると考えられる。
なお、本発明の実施の形態に係る位置決め方法は表面実装機やチップマウンターに用いてもよい。
また、本発明において位置決めされる表面処理銅箔と樹脂基板との積層板が、樹脂板及び前記樹脂板の上に設けられた回路を有するプリント配線板であってもよい。また、その場合、前記マークが前記回路であってもよい。
本発明において「位置決め」とは「マークや物の位置を検出すること」を含む。また、本発明において、「位置合わせ」とは、「マークや物の位置を検出した後に、前記検出した位置に基づいて、当該マークや物を所定の位置に移動すること」を含む。
実施例1〜22及び比較例1〜13として、各種銅箔を準備し、一方の表面に、粗化処理として表1〜8に記載の条件にてめっき処理を行った。
上述の粗化めっき処理を行った後、実施例1〜12、14〜19、21〜22、比較例2、4、7〜10について次の耐熱層および防錆層形成のためのめっき処理を行った。
耐熱層1の形成条件を以下に示す。
液組成 :ニッケル5〜20g/L、コバルト1〜8g/L
pH :2〜3
液温 :40〜60℃
電流密度 :5〜20A/dm2
クーロン量:10〜20As/dm2
上記耐熱層1を施した銅箔上に、耐熱層2を形成した。比較例3、5、6については、粗化めっき処理は行わず、準備した銅箔に、この耐熱層2を直接形成した。耐熱層2の形成条件を以下に示す。
液組成 :ニッケル2〜30g/L、亜鉛2〜30g/L
pH :3〜4
液温 :30〜50℃
電流密度 :1〜2A/dm2
クーロン量:1〜2As/dm2
上記耐熱層1及び2を施した銅箔上に、さらに防錆層を形成した。防錆層の形成条件を以下に示す。
液組成 :重クロム酸カリウム1〜10g/L、亜鉛0〜5g/L
pH :3〜4
液温 :50〜60℃
電流密度 :0〜2A/dm2(浸漬クロメート処理のため)
クーロン量:0〜2As/dm2(浸漬クロメート処理のため)
上記耐熱層1、2及び防錆層を施した銅箔上に、さらに耐候性層を形成した。形成条件を以下に示す。
アミノ基を有するシランカップリング剤として、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(実施例16)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(実施例1〜12、14、15)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(実施例17)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(実施例18)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(実施例19)、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン(実施例21)、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(実施例22)で、塗布・乾燥を行い、耐候性層を形成した。これらのシランカップリング剤を2種以上の組み合わせで用いることもできる。
なお、圧延銅箔は以下のように製造した。表9に示す組成の銅インゴットを製造し、熱間圧延を行った後、300〜800℃の連続焼鈍ラインの焼鈍と冷間圧延を繰り返して1〜2mm厚の圧延板を得た。この圧延板を300〜800℃の連続焼鈍ラインで焼鈍して再結晶させ、表9の厚みまで最終冷間圧延し、銅箔を得た。表9の「種類」の欄の「タフピッチ銅」はJIS H3100 C1100に規格されているタフピッチ銅を、「無酸素銅」はJIS H3100 C1020に規格されている無酸素銅を示す。また、「タフピッチ銅+Ag:100ppm」はタフピッチ銅にAgを100質量ppm添加したことを意味する。
電解銅箔はJX日鉱日石金属社製電解銅箔HLP箔を用いた。電解研磨または化学研磨を行った場合には、電解研磨または化学研磨後の板厚を記載した。
なお、表9に表面処理前の銅箔作製工程のポイントを記載した。「高光沢圧延」は、最終の冷間圧延(最終の再結晶焼鈍後の冷間圧延)を記載の油膜当量の値で行ったことを意味する。「通常圧延」は、最終の冷間圧延(最終の再結晶焼鈍後の冷間圧延)を記載の油膜当量の値で行ったことを意味する。「化学研磨」、「電解研磨」は、以下の条件で行ったことを意味する。
「化学研磨」はH2SO4が1〜3質量%、H22が0.05〜0.15質量%、残部水のエッチング液を用い、研磨時間を1時間とした。
「電解研磨」はリン酸67%+硫酸10%+水23%の条件で、電圧10V/cm2、表9に記載の時間(10秒間の電解研磨を行うと、研磨量は1〜2μmとなる。)で行った。
上述のようにして作製した実施例及び比較例の各サンプルについて、各種評価を下記の通り行った。
(1)粒子の面積比(A/B);
粗化粒子の表面積はレーザー顕微鏡による測定法を使用した。株式会社キーエンス製レーザーマイクロスコープVK8500を用いて粗化処理面の倍率2000倍における100×100μm相当面積B(実データでは9982.52μm2)における三次元表面積Aを測定して、三次元表面積A÷二次元表面積B=面積比(A/B)とする手法により設定を行った。
(2)光沢度;
JIS Z8741に準拠した日本電色工業株式会社製光沢度計ハンディーグロスメーターPG−1を使用し、圧延方向(MD、電解銅箔の場合は通箔方向)及び圧延方向に直角な方向(TD、電解銅箔の場合は通箔方向に直角な方向)のそれぞれの入射角60度で粗化面について測定した。
なお、表面処理前の銅箔についても、同様にして光沢度を求めておいた。
(3)ヘイズ値;
銅箔をラミネート用熱硬化性接着剤付きポリイミドフィルム(厚み50μm、宇部興産製ユーピレックス)の両面に貼り合わせ、銅箔をエッチング(塩化第二鉄水溶液)で除去してサンプルフィルムを作成した。JIS K7136(2000)に準拠した村上色彩技術研究所製ヘイズメーターHM−150を使用し、サンプルフィルムのヘイズ値を測定した。
(4)視認性(樹脂透明性);
銅箔をラミネート用熱硬化性接着剤付きポリイミドフィルム(厚み50μm、宇部興産製ユーピレックス)の両面に貼り合わせ、銅箔をエッチング(塩化第二鉄水溶液)で除去してサンプルフィルムを作成した。得られた樹脂層の一面に印刷物(直径6cmの黒色の円)を貼り付け、反対面から樹脂層越しに印刷物の視認性を判定した。印刷物の黒色の円の輪郭が円周の90%以上の長さにおいてはっきりしたものを「◎」、黒色の円の輪郭が円周の80%以上90%未満の長さにおいてはっきりしたものを「○」(以上合格)、黒色の円の輪郭が円周の0〜80%未満の長さにおいてはっきりしたもの及び輪郭が崩れたものを「×」(不合格)と評価した。
(5)ピール強度(接着強度);
PC−TM−650に準拠し、引張り試験機オートグラフ100で常態ピール強度を測定し、上記常態ピール強度が0.7N/mm以上を積層基板用途に使用できるものとした。
(6)粗化粒子個数密度;
日立ハイテクノロジーズ社製走査型電子顕微鏡写真S4700を用いて、表面処理銅箔の粗化粒子を8万倍の倍率(面積:1.58μm×1.19μm=1.88μm2)で観察し、粒径サイズ毎に粒子個数をカウントした。なお、走査型電子顕微鏡写真の粒子の上に直線を引いた場合に、粒子を横切る直線の長さが最も長い部分の粒子の長さをその粒子の長径とした。観察された粒子個数を面積1.88μm2を用いて、単位面積当たりの粒子個数として表に示す。
(7)エッチングによる回路形状(ファインパターン特性)
銅箔をラミネート用熱硬化性接着剤付きポリイミドフィルム(厚み50μm、宇部興産製ユーピレックス)の両面に貼り合わせた。ファインパターン回路形成を行うために銅箔厚みを同じにする必要があり、ここでは12μm銅箔厚みを基準とした。すなわち、12μmよりも厚みが厚い場合には、電解研磨により12μm厚みまで減厚した。一方で12μmより厚みが薄い場合には、銅めっき処理により12μm厚みまで増厚した。得られた両面積層板の片面側について、積層板の銅箔光沢面側に感光性レジスト塗布及び露光工程により、ファインパターン回路を印刷し、銅箔の不要部分を下記条件でエッチング処理を行い、L/S=20/20μmとなるようなファインパターン回路を形成した。ここで回路幅は回路断面のボトム幅が20μmとなるようにした。
(エッチング条件)
装置:スプレー式小型エッチング装置
スプレー圧:0.2MPa
エッチング液:塩化第二鉄水溶液(比重40ボーメ)
液温度:50℃
ファインパターン回路形成後に、45℃のNaOH水溶液に1分間浸漬させて感光性レジスト膜を剥離した。
(8)エッチングファクター(Ef)の算出
上記にて得られたファインパターン回路サンプルを、日立ハイテクノロジーズ社製走査型電子顕微鏡写真S4700を用いて、2000倍の倍率で回路上部から観察を行い、回路上部のトップ幅(Wa)と回路底部のボトム幅(Wb)を測定した。銅箔厚み(T)は12μmとした。エッチングファクター(Ef)は、下記式により算出した。
エッチングファクター(Ef) = (2×T)/(Wb−Wa)
上記各試験の条件及び評価を表1〜11に示す。
〔評価結果〕
実施例1〜22は、いずれもヘイズ値、視認性及びピール強度が良好であった。
比較例1〜2、4、7〜11、13は、ヘイズ値が著しく高く、視認性が不良であった。
比較例3、5、6、12は、視認性は優れていたが、ピール強度が不十分であり、基板密着性が不良であった。
また、実施例4は実施例14とMDの60度光沢度、表面積比A/Bがほぼ同じ値であるが、実施例4の粗化処理表面のMDの60度光沢度とTDの60度光沢度との比Cの値が0.84と0.80〜1.40の範囲内であったため、Cの値が0.75と0.80〜1.40の範囲外である実施例14よりもヘイズ値が小さくなった。
同様の理由で実施例15は実施例16よりもヘイズ値が小さくなった。
図1に実施例4、図2に比較例1、図3に比較例7の銅箔表面のSEM観察写真をそれぞれ示す。

Claims (17)

  1. 少なくとも一方の銅箔表面に粗化処理により粗化粒子が形成され、粗化処理表面の前記粗化粒子について、長径が100nm以下である粗化粒子が単位面積あたり50個/μm2以上形成されており、粗化処理表面のMDの60度光沢度が80〜350%である表面処理銅箔。
  2. 粗化処理表面の前記粗化粒子について、長径が200nm以下である粗化粒子が単位面積あたり90個/μm2以上形成されている請求項1に記載の表面処理銅箔。
  3. 粗化処理表面の前記粗化粒子について、長径が100nm超且つ150nm以下の粗化粒子が単位面積あたり50個/μm2以下で形成されている請求項1又は2に記載の表面処理銅箔。
  4. 前記MDの60度光沢度が90〜250%である請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理銅箔。
  5. 粗化処理表面のMDの60度光沢度とTDの60度光沢度との比C(C=(MDの60度光沢度)/(TDの60度光沢度))が0.80〜1.40である請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理銅箔。
  6. 粗化処理表面のMDの60度光沢度とTDの60度光沢度との比C(C=(MDの60度光沢度)/(TDの60度光沢度))が0.90〜1.35である請求項5に記載の表面処理銅箔。
  7. 前記粗化粒子の表面積Aと、前記粗化粒子を前記銅箔表面側から平面視したときに得られる面積Bとの比A/Bが1.90〜2.40である請求項1〜6のいずれかに記載の表面処理銅箔。
  8. 前記A/Bが2.00〜2.20である請求項7に記載の表面処理銅箔。
  9. 前記銅箔を、粗化処理表面側から厚さ50μmの樹脂基板の両面に貼り合わせた後、エッチングで前記両面の銅箔を除去したとき、前記樹脂基板のヘイズ値が20〜70%となる請求項1〜8のいずれかに記載の表面処理銅箔。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の表面処理銅箔と樹脂基板とを積層して構成した積層板。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の表面処理銅箔を用いたプリント配線板。
  12. 請求項11に記載のプリント配線板を用いた電子機器。
  13. 請求項11に記載のプリント配線板を2つ以上接続して、プリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を製造する方法。
  14. 請求項11に記載のプリント配線板を少なくとも1つと、もう一つの請求項11に記載のプリント配線板又は請求項11に記載のプリント配線板に該当しないプリント配線板とを接続する工程を含む、プリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を製造する方法。
  15. 請求項13又は14に記載のプリント配線板が少なくとも1つ接続したプリント配線板を1つ以上用いた電子機器。
  16. 請求項11に記載のプリント配線板と、部品とを接続する工程を少なくとも含む、プリント配線板を製造する方法。
  17. 請求項11に記載のプリント配線板を少なくとも1つと、もう一つの請求項11に記載のプリント配線板又は請求項11に記載のプリント配線板に該当しないプリント配線板とを接続する工程、および、
    請求項11に記載のプリント配線板又は請求項14に記載のプリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板と、部品とを接続する工程
    を少なくとも含む、プリント配線板が2つ以上接続したプリント配線板を製造する方法。
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