JP2014148710A - ホウ素含有透明導電性膜の製造方法、透明導電基板、及び電子装置 - Google Patents

ホウ素含有透明導電性膜の製造方法、透明導電基板、及び電子装置 Download PDF

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哲也 山本
Takuya Kamiyama
卓也 神山
Shinya Imoto
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Abstract

【課題】所要の製膜速度を維持した状態で、良好な電子移動度を有する透明導電性膜を製膜することができるホウ素含有透明導電性膜の製造方法、該ホウ素含有透明導電性膜を基板上に有する透明導電基板、及び該透明導電基板を電極として有する電子装置を提供する。
【解決手段】アルキル亜鉛化合物、ボラジン化合物、及び水を、モル比a:b:cで、かつ該a、b、及びcが次式(1)を満たすように用いて、化学気相蒸着法によりホウ素含有透明導電性膜を製膜する。
a+3b>c ・・・(1)
【選択図】図1

Description

本発明は、ボラジン化合物をドーパントとして用いてホウ素含有透明導電性膜を製膜するホウ素含有透明導電性膜の製造方法、該製造方法により製膜されたホウ素含有透明導電性膜を基板上に有する透明導電基板、該透明導電基板を有する電子装置に関する。
透明導電性膜は、例えばガラス基板等の透光性を有する基板上に形成される薄膜であり、可視光線を透過させ、導電性を有する。
透明導電性膜は、太陽電池の光電変換素子の作用電極、透明タッチパネル等の入力装置の電極、液晶表示装置,EL(エレクトロルミネセンス)発光装置,EC(エレクトロクロミック)表示装置等の透明電極等に広く用いられ、電磁シールド,熱線反射,帯電防止等の機能を付与するためのコーティング膜としても用いられている。
太陽電池の光電変換素子は、透光性を有する基板上に、透明導電性膜と、電子が光を吸収して励起され、電子の流れを発生する光電変換膜と、背面電極とをこの順に積層してなる。基板と透明導電性膜とで作用電極を構成する。この光電変換素子においては、照射光によって光電変換膜で励起された電子を背面電極側に移動させ、それによって生じる電力を外部へ出力するように構成されている。従って、透明導電性膜は、光電変換膜において電子が効率良く流れるように良好な導電性を有し、光電変換膜にできる限り多くの光を入射するように良好な透光性を有することが要求されている。
透明導電性膜としては、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム錫等の金属酸化物が用いられている。透明導電性膜は、CVD(化学気相蒸着)法等により基板上に形成される。原料ガスとしては、有機亜鉛、水,酸素,二酸化炭素等の酸化剤、ドーピングガス、希釈ガス等が用いられている。有機亜鉛が酸化されて得られる酸化亜鉛がドーピングされることにより、透光性が維持された状態で、導電性が付与される。
ドーピングガスとしては、ジボラン(B2 6 )、アルキルアルミニウム、アルキルガリウム等が用いられている。ジボランは分解効率が良好であるが、自然発火点が38〜52℃であり、爆発範囲は0.8〜98容量%であり、許容濃度(TLV−TWA(時間加重平均許容濃度))は0.1ppmであるため、取扱い時の危険性が高いという問題を有する。コストも高い。
特許文献1には、ジボランより安全性が高く、安価であるドーパントとして、ボラジン化合物を用い、CVD法又はPVD法により透明導電性膜を製膜することが開示されている。ボラジン化合物とは、分子内にボラジン環骨格を有する化合物をいう。ボラジン化合物がN−アルキルボラジンである場合、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素アルカリと、アルキルアミンの塩酸塩等とから合成される。
特許文献2には、原料ガスとして、ジエチル亜鉛及びボラジン化合物を用い、酸化剤としては水を用いずに二酸化炭素を用い、プラズマ増強化学蒸着(PECVD)法により透明導電性膜を製膜することが開示されている。
特表2011−504443号公報 特開2007−138300号公報
特許文献2の透明導電性膜は、上述したようにPECVD法により製膜されるので、製膜装置が複雑になり、製造工程が煩雑になるという問題があった。また、酸化剤として二酸化炭素を用いており、水を用いる場合と比較して有機亜鉛との反応性が悪く、取り扱い性が悪いという問題があった。
特許文献1には、ボラジン化合物をドーパントとして用いた場合の具体的な製膜方法が記載されていないが、透明導電性膜の原料として有機亜鉛を用い、酸化剤として水を用いる場合、ボラジン化合物が水と反応して分解し、ボラゾールが生じる等して透明導電性膜の導電性が低下するという問題があった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、所要の製膜速度を維持した状態で、良好な導電性を有するホウ素含有透明導電性膜を製膜することができるホウ素含有導電性膜の製造方法、該製造方法により製膜されたホウ素含有透明導電性膜を基板上に有する透明導電基板、及び該透明導電基板を有する電子装置を提供することを目的とする。
本発明者等は鋭意研究の結果、アルキル亜鉛化合物、ボラジン化合物、及び水をモル比a:b:cで用いて透明導電性膜を基板上に製膜する際に、a、b、及びcが所定の関係を満たすように制御することで、所要の製膜速度を維持しつつ、良好な電子移動度を有する透明導電性膜が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、第1発明に係るホウ素含有透明導電性膜の製造方法は、アルキル亜鉛化合物、ボラジン化合物、及び水を、モル比a:b:cで、かつ該a、b、及びcが次式(1)を満たすように用いて、化学気相蒸着法によりホウ素含有透明導電性膜を製膜することを特徴とする。
a+3b>c ・・・(1)
第2発明に係るホウ素含有透明導電性膜の製造方法は、第1発明において、前記ボラジン化合物は、下記化1で表されることを特徴とする。
Figure 2014148710
(式中、R1 、R2 、及びR3 は炭素数1〜6のアルキル基であり、一部若しくは全部が同一であり、又は全部が異なる。ここで、「一部若しくは全部が同一であり、又は全部が異なる」とは、「R1 、R2 、及びR3 の3つのアルキル基のうちのいずれか2つが同じ、若しくは全部が同じ、又は全部が異なる」ことをいう。)
第3発明に係るホウ素含有透明導電性膜の製造方法は、第1又は第2発明において、前記アルキル亜鉛化合物とボラジン化合物とのモル比a:bが10:1以上1000:1以下であることを特徴とする。
第4発明に係るホウ素含有透明導電性膜の製造方法は、第1から第3発明のいずれかにおいて、前記化学気相蒸着法は減圧化学気相蒸着法であり、温度150℃以上250℃以下、圧力1Pa以上1kPa以下で製膜することを特徴とする。
第5発明に係る透明導電基板は、透光性を有する基板上に、上述のいずれかの製造方法により製膜されたホウ素含有透明導電性膜を有することを特徴とする。
第6発明に係る電子装置は、上述のいずれかの製造方法により製膜されたホウ素含有透明導電性膜を有することを特徴とする。
第7発明に係る電子装置は、第6発明において、前記ホウ素含有透明導電性膜上に、電子が光を吸収して励起され、電子の流れを発生する光電変換膜を有することを特徴とする。
本発明によれば、アルキル亜鉛化合物、ボラジン化合物、及び水を、モル比a:b:cで、かつa、b、及びcが上記式(1)を満たすように用いてホウ素含有透明導電性膜を製膜するので、アルキル亜鉛化合物と反応する分を除いた水の量が、1分子のボラジン化合物の3つのホウ素部分と反応することができる量より少なく、3つのホウ素に水酸基が結合した化合物及びボラゾール等の導電性を減じる化合物が生じず、ボラジン化合物はドーパントとして効果的に機能し、得られたホウ素含有透明導電性膜は良好な導電性を有する。
本発明に係る透明導電性膜を製膜する製膜装置を示す模式的側面図である。 本発明に係る透明導電基板を示す模式的断面図である。 透明導電基板を作用電極として有する、本発明の電子装置としての、例えば太陽電池の光電変換素子を示す模式的断面図である。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面等を用いて具体的に説明する。
本発明において、ホウ素含有透明導電性膜(以下、透明導電性膜という)は、原料として、気体状のアルキル亜鉛化合物、ボラジン化合物、及び水を、モル比a:b:cで、かつa、b、及びcが次の式(1)を満たすように用い、CVD法により製膜される。
a+3b>c ・・・(1)
但し、aはアルキル亜鉛化合物のモル比、bはボラジン化合物のモル比、cは水のモル比を表す。
本発明においては、a、b、及びcが上記式(1)を満たすので、アルキル亜鉛化合物と反応する分を除いた水の量が、1分子のボラジン化合物の3つのホウ素部分と反応することができる量より少なく、3つのホウ素に水酸基が結合した化合物及びボラゾール等の導電性を減じる化合物が生じず、ボラジン化合物はドーパントとして効果的に機能し、得られたホウ素含有透明導電性膜は良好な電子移動度を有する。
詳細な理由は明らかでないが、a、b、及びcが式(1)を満たす場合、中間体として、下記化2で表される化合物が多く生じ、透明導電性膜の電子移動度が向上することが確認されている。
Figure 2014148710
ボラジン化合物は無置換ボラジン化合物、少なくとも1つのNに置換基を有するボラジン化合物、少なくとも1つのBに置換基を有するボラジン化合物、少なくとも1つのNおよび少なくとも1つのBに置換基を有するボラジン化合物の何れでもよいが、下記化3で表されるN−アルキルボラジンが好ましい。
Figure 2014148710
式中、R1 、R2 、及びR3 は炭素数1〜6のアルキル基であり、一部若しくは全部が同一であり、又は全部が異なる。
アルキル基は、直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよい。アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
N−アルキルボラジンの具体例としては、N,N’,N”−トリメチルボラジン(TMB)、N,N’,N”−トリエチルボラジン(TEB)、N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン(TPB)、N,N’,N”−トリ(イソプロピル)ボラジン(TIPB)、N,N’,N”−トリ(n−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(sec−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(イソブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(tert−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(2−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(neo−ペンチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1,2−ジメチルプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1−エチルプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ヘキシル)ボラジン、N,N’,N”−トリシクロヘキシルボラジン、N,N’−ジメチル−N”−エチルボラジン、N,N’−ジエチル−N”−メチルボラジン、N,N’−ジメチル−N”−プロピルボラジン等が挙げられる。
N−アルキルボラジンは、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素アルカリと、アル
キルアミン塩(例えばアルキルアミンの塩酸塩)とから合成される。具体的には、例えば特開2008−127352号公報、特許第4758657号公報、特許第4722504号公報、特許第4795318号公報に記載の製造方法等によって製造される。
ホウ素にアルキル基が結合している場合、製膜時にボロキシンが生じやすく、透明導電性膜の電子移動度が低下する。N−アルキルボラジンの場合、ホウ素にアルキル基でなく、水素が結合しているので、ボロキシンは生じにくいが、水との反応性が高くなる。しかし、本発明においては、a、b、及びcが式(1)を満たすので、ボラジン化合物と水との反応が抑制されている。本発明の透明導電性膜の製造方法は、Nに結合しているアルキル基の炭素数が3以下であり、耐水性が低いTMB、TEB、TPB、TIPB等を原料として用いる場合に特に好適に適用され得る。
アルキル亜鉛化合物は、下記化学式で表される。
Zn(R4 )(R5
(式中、R4 、及びR5 は炭素数1〜6のアルキル基であり、同一であっても、異なっていてもよい。)
このアルキル亜鉛化合物としては、水との反応性が良好であるという観点から、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛等が好ましい。
アルキル亜鉛化合物とボラジン化合物とのモル比a:bは、10:1以上1000:1以下であるのが好ましい。この場合、透明導電性膜は良好な電子移動度を有する。
透明導電性膜を製膜する基板としては、ガラス、透光性を有する合成樹脂等からなる板状、又はシート状のものが挙げられる。
透過率が高く、安価であるという観点から、ガラス基板が好ましい。
そして、1cm角,3インチ角,20cm角の基板等、任意の形状及び大きさの基板を用いることができる。
また、透明導電性膜を光電変換素子に用いる場合、上述の透光性を有する基板上だけでなく、光電変換膜と背面電極の間に透明導電性膜を成膜してもよい。
CVD法としては、減圧化学気相蒸着法(LPCVD)法、プラズマ増強化学蒸着(PECVD)法等が挙げられる。LPCVD法の場合、低温で製膜でき、種々の基板上に製膜することができるので好ましい。また、透明導電性膜を光電変換素子に適用することを考慮した場合、近年の光電変換素子は薄型化され、透明導電性膜の光電変換膜と接する側の表面を凹凸化(テクスチャ化)し、界面で光を散乱させて、光電変換膜に入射させることで光路を長くし、光電変換膜の光吸収量を増加させるように構成されているが、LPCVD法の場合、表面にテクスチャ構造を有する透明導電性膜を容易に製膜することができる。
LPCVDの条件は、ボラジン化合物の構造等に応じて決定する。基板温度150℃以上250℃以下、圧力1Pa以上1kPa以下で行うのが好ましい。基板温度は、180℃以上220℃以下がより好ましく、圧力は5Pa以上がより好ましく、さらに好ましくは10Pa以上であり、500Pa以下がより好ましく、200Pa以下がさらに好ましく、100Pa以下が最も好ましく採用される。
以下、透明導電性膜をLPCVD法により製膜する場合について説明する。
図1は、本発明に係る透明導電性膜を製膜する製膜装置11を示す模式的側面図である。
製膜装置11はチャンバ12を備え、チャンバ12の内部が成膜室として構成されている。チャンバ12の上部には、シャワーヘッド15が、その支持部がチャンバ12の天板部を貫通する状態で取り付けられ、チャンバ12の底板部には支持台13が設けられてい
る。
シャワーヘッド15は原料ガスを噴出する複数のノズルを有する。
支持台13は、不図示の昇降装置により、上下に昇降可能となっており、製膜時に、支持台13に載置する基板2とシャワーヘッド15との距離を調整することができるように構成されている。支持台13の上部にはヒータ14が設けられ、支持台13に載置した基板2がヒータ14により加熱されることでCVD反応が基板2の表面で生じるように構成されている。
チャンバ12の底板部には、真空ポンプ19が接続されており、不図示の圧力制御弁及び真空計等を用いて、チャンバ12内部を所望の圧力に調整するように構成されている。
製膜装置11は、アルキル亜鉛化合物、ボラジン化合物、及び水それぞれを封入して気化するアルキル亜鉛化合物供給器16と、ボラジン化合物供給器17と、水蒸気供給器18とを備えており、気化されたアルキル亜鉛化合物、ボラジン化合物、及び水が、それぞれ流量を調整弁16a,17a,18aにより調整された状態で、ガス供給管16b,17b,18bを介し、チャンバ12のシャワーヘッド15へ導入されるように構成されている。なお、原料ガスはキャリアガスによりシャワーヘッド15へ導入されるように構成してもよい。キャリアガスとしては、ヘリウム、アルゴン等の希ガスや窒素が使用され得る。
製膜装置11を用いて透明導電性膜を製膜する場合、基板2を支持台13に載置し、チャンバ12内を所要の圧力に減圧し、ヒータ14により基板2を所定温度に加熱する。
そして、気化したアルキル亜鉛化合物,ボラジン化合物,水を、アルキル亜鉛化合物供給器16,ボラジン化合物供給器17,水蒸気供給器18からシャワーヘッド15を介しチャンバ12内に供給する。このとき、流量を調整弁16a,17a,18aにより制御して、アルキル亜鉛化合物、ボラジン化合物、水のモル比がa:b:cで、かつa、b、及びcが式(1)を満たすように供給する。
原料ガスが供給された基板2上でCVD反応が生じ、ホウ素がドープされた酸化亜鉛膜からなる透明導電性膜1が製膜され、透明導電基板が得られる。
ホウ素がドープされた酸化亜鉛膜からなる透明導電性膜1は0.05μm以上50μm以下の膜厚が好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、さらに好ましくは20μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは10μm以下、さらに5μm以下が最も好ましい。膜厚は製膜時間及び原料ガスの供給量により調整することができる。
図2は、本発明に係る透明導電基板10を示す模式的断面図である。
上述の製造方法により、基板2上に透明導電性膜1が製膜されて、透明導電基板10が構成される。a、b、及びcが式(1)を満たすので、CVD反応時に、水がボラジン化合物と反応して導電性を低下させる分解生成物が生じることがなく、透明導電性膜1は良好な電子移動度を有する。
透明導電基板10は、太陽電池の光電変換素子の作用電極、電磁シールド、透明タッチパネル等の入力装置の電極、液晶表示装置,EL発光装置,EC表示装置等の透明電極として用いられ得る。
図3は、透明導電基板10を作用電極として有する、電子装置としての太陽電池の光電変換素子20を示す模式的断面図である。
光電変換素子20は、透光性を有する基板2上に、本発明の製造方法により製膜された透明導電性膜1と、電子が光を吸収して励起され、電子の流れを発生する光電変換膜3と、背面電極4とをこの順に積層してなる。基板2と透明導電性膜1とで作用電極を構成する。光電変換膜3は、例えばpn接合又はpin接合の半導体層等からなる。光電変換膜3は、pin接合の場合、透明導電性膜1側から順に、p型層、i型層、及びn型層が、この順に積層されてなる。半導体としては、非晶質シリコン、結晶シリコン等が用いられる。光電変換素子20は、pin接合の半導体層からなる光電変換膜3を複数有してもよい。
また、光電変換膜3と背面電極4の間に透明導電性膜1が積層されてもよい。
そして、基板2側、背面電極4側と2か所以上で透明導電性膜が使用される場合、本発明の製造方法により得られるホウ素含有透明導電性膜は、少なくとも一方に使用され得る。
光電変換素子20は良好な導電性及び透光性を有する透明導電性膜1を有するので、基板2から入射された光は効率良く光電変換膜3に入射し、光電変換膜3が電気を効率良く流すことができる。従って、光電変換素子20は良好な光電変換率を有し、光電変換素子20を備える太陽電池は、良好な発電効率を有することになる。
以下、本発明を実施例及び比較例につき具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
1cm角のガラス製の基板(ショット社製の「AF−45」:無アルカリガラス基板)2を製膜装置11にセットし、基板2を200℃に加熱した。
アルキル亜鉛化合物としてジエチル亜鉛(DEZn)を18sccm、ボラジン化合物としてN,N’,N”−トリメチルボラジン(TMB)を0.2sccm、水18sccmの条件で原料ガスを同時にチャンバ12内に通流し、9分間製膜を行った。
これにより、厚みが2μmであり、ホウ素がドープされた酸化亜鉛膜からなる透明導電性膜1が得られた。このときのチャンバ12内の圧力は30Paであった。
得られた透明導電性膜1の電子移動度(electron mobility)を測定すると、31cm2 /VSであった。製膜のレートは220nm/min であった。この製膜条件及び性能評価結果を下記表1に示す。
Figure 2014148710
[実施例2]
3インチのガラス製の基板(前記「AF−45」)2を製膜装置11にセットし、基板2を200℃に加熱した。
アルキル亜鉛化合物としてジエチル亜鉛を23sccm、ボラジン化合物としてN,N’,N”−トリプロピルボラジン(TPB)を0.3sccm、水23sccmの条件で原料ガスを同時にチャンバ12内に通流し、6.8分間製膜を行った。
これにより、厚みが2μmであり、ホウ素がドープされた酸化亜鉛膜からなる透明導電性膜1が得られた。このときのチャンバ12内の圧力は31Paであった。
得られた透明導電性膜1の電子移動度を測定すると、32cm2 /VSであった。製膜のレートは295nm/min であった。この製膜条件及び性能評価結果を上記表1に示す。
[比較例1]
1cm角のガラス製の基板(前記「AF−45」)2を製膜装置11にセットし、基板2を200℃に加熱した。
アルキル亜鉛化合物としてジエチル亜鉛を18sccm、ボラジン化合物としてTMBを0.2sccm、水27sccmの条件で原料ガスを同時にチャンバ12内に通流し、7.5分間製膜を行った。
これにより、厚みが2μmであり、ホウ素がドープされた酸化亜鉛膜からなる透明導電性膜が得られた。このときのチャンバ12内の圧力は31Paであった。
得られた透明導電性膜の電子移動度を測定すると、19cm2 /VSであった。製膜のレートは265nm/min であった。この製膜条件及び性能評価結果を上記表1に示す。
上記表1より、アルキル亜鉛化合物、ボラジン化合物、水のモル比(sccm比)を示すa、b、cが式(1)を満たす実施例1及び2の透明導電性膜1の場合、式(1)を満たさない比較例1の透明導電性膜と比較して、電子移動度が著しく向上していることが分かる。そして、実施例1及び2の製膜のレートは、良好な生産性が得られるレートである。
以上より、本発明の透明導電性膜の製造方法によれば、所要の製膜速度を維持した状態で、良好な電子移動度を有する透明導電性膜を製膜することができることが確認された。
なお、本実施例においては、ボラジン化合物としてTMB、及びTPBを用いた場合に付き説明しているがこれに限定されるものではない。ボラジン化合物は透明導電性膜1のドーパントとして工業的にCVD法により用いられるものであればよく、前記a、b、cが式(1)を満たすように原料ガスを用いて製膜することで、水がボラジン化合物と反応して電子移動度を低下させる分解生成物が生じるのが抑制され、得られた透明導電性膜1が実施例1及び2と同様に、良好な電子移動度を有することが推察される。
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 透明導電性膜
2 基板
3 光電変換膜
4 背面電極
10 透明導電基板
11 製膜装置
12 チャンバ
13 支持台
14 ヒータ
15 シャワーヘッド
16 アルキル亜鉛化合物供給器
17 ボラジン化合物供給器
18 水蒸気供給器
20 光電変換素子

Claims (7)

  1. アルキル亜鉛化合物、ボラジン化合物、及び水を、モル比a:b:cで、かつ該a、b、及びcが次式(1)を満たすように用いて、化学気相蒸着法によりホウ素含有透明導電性膜を製膜することを特徴とするホウ素含有透明導電性膜の製造方法。
    a+3b>c ・・・(1)
  2. 前記ボラジン化合物は、下記化1で表されることを特徴とする請求項1に記載のホウ素含有透明導電性膜の製造方法。
    Figure 2014148710
    (式中、R1 、R2 、及びR3 は炭素数1〜6のアルキル基であり、一部若しくは全部が同一であり、又は全部が異なる。)
  3. 前記アルキル亜鉛化合物とボラジン化合物とのモル比a:bが10:1以上1000:1以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のホウ素含有透明導電性膜の製造方法。
  4. 前記化学気相蒸着法は減圧化学気相蒸着法であり、温度150℃以上250℃以下、圧力1Pa以上1kPa以下で製膜することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のホウ素含有透明導電性膜の製造方法。
  5. 透光性を有する基板上に、
    請求項1から4までのいずれか1項の製造方法により製膜されたホウ素含有透明導電性膜を有することを特徴とする透明導電基板。
  6. 請求項1から4までのいずれか1項の製造方法により製膜されたホウ素含有透明導電性膜を有することを特徴とする電子装置。
  7. 前記ホウ素含有透明導電性膜上に、
    電子が光を吸収して励起され、電子の流れを発生する光電変換膜を有することを特徴とする請求項6に記載の電子装置。
JP2013017514A 2013-01-31 2013-01-31 ホウ素含有透明導電性膜の製造方法、透明導電基板、及び電子装置 Pending JP2014148710A (ja)

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