JP2014148646A - 塗装マスキング用粘着テープ、マスキング方法及び塗装方法 - Google Patents

塗装マスキング用粘着テープ、マスキング方法及び塗装方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、アウトガス発生量、特にシロキサンガス発生量を大幅に低減できる塗装マスキング用粘着テープを提供することである。
【解決手段】基材の片側に粘着剤層および剥離ライナーを有する粘着テープであって、該基材がフッ素樹脂フィルムからなり、剥離ライナーが非シリコーン系剥離ライナーであることを特徴とする塗装マスキング用粘着テープである。
【選択図】なし

Description

本発明は塗装マスキング用粘着テープ、該塗装マスキング用粘着テープを用いたマスキング方法、及び、塗装方法に関する。
被塗物に塗装する際に、被塗物に塗装が施されるべきではない箇所(マスキング箇所)が存在する場合には、当該マスキング箇所にマスキング材(マスキング用粘着テープ)が取り付けられ塗装が施される。当該マスキング材は、塗装後の加熱処理によって塗膜が乾燥硬化して流動性を消失した後で取り外される。したがって、マスキング材はこのような塗装工程における加熱処理に耐えうるものでなければならない。このような加熱により塗料を硬化させる焼付塗装には、メラミン樹脂焼付塗装、アクリル樹脂焼付塗装、ウレタン樹脂焼付塗装、フッ素樹脂焼付塗装等の種類があるが、それぞれ焼付温度範囲が異なり、その温度範囲は約120〜200℃程度である。
例えば、粘着テープとして、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)基材上にシリコーン粘着剤層を有する粘着テープが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載された粘着テープのように、シリコーン粘着剤層を有する粘着テープをマスキング用粘着テープとして用いた場合、シロキサン由来のアウトガスが発生することがあり、このようなシロキサン由来のガスは、本来塗装を行うべき部分の塗装ハジキ不具合を誘発する場合があった。
また、2色以上の色分けして塗装する場合や、塗装前にさび止め等の別の処理をする場合には、マスキング用粘着テープが取り外された箇所に塗装を行うことがあるが、シリコーン粘着剤層を有するマスキング用粘着テープでは、塗装面にシリコーン成分が転写することがあり、それが塗装ハジキを誘発する場合もあった。
このような不具合に対する対策として、シリコーン粘着剤以外の粘着剤、例えば、天然ゴム系や合成ゴム系などの粘着剤を使用することがあったが、この場合は塗装後の焼き付け(加熱処理)に耐える事が出来ないという問題があった。
さらにマスキングを行う際には、マスキング箇所(非塗装部分)に合わせた形状にマスキング用粘着テープをトリミングする必要があり、トリミングを行う場合には、マスキング用粘着テープ構成中に剥離ライナーを備える必要がある。このような剥離ライナーは、剥離ライナー用支持基材と該支持基材上に設けられた剥離剤層とから構成されており、当該剥離剤層は一般的にシリコーン系剥離処理剤から形成されている。しかしながら、このようなシリコーン系剥離剤層を有する剥離ライナーでは、シリコーン系剥離剤層の一部がマスキング用粘着テープへ付着してしまうことがあり、シロキサン由来ガスや、被塗物へのシリコーン成分転写の原因となる。
特開昭47−22936号公報
上記理由より、本発明の目的は、剥離ライナーを備えたうえで、アウトガス発生量、特にシロキサンガス発生量を大幅に低減できる塗装マスキング用粘着テープを提供することである。また、本発明の目的は、前記塗装マスキング用粘着テープを用いたマスキング方法及び塗装方法を提供することである。
上記問題点に鑑み、鋭意検討の結果、基材がフッ素樹脂フィルムからなり、剥離ライナーが非シリコーン系剥離ライナーからなることを特徴とする塗装マスキング用粘着テープとすることで、アウトガス発生量、特にシロキサンガス発生量を大幅に低減することができ、かつ高温環境下においても使用できることを見出したものである。
すなわち、本発明は、基材の片側に粘着剤層および剥離ライナーを有する塗装マスキング用粘着テープであって、
該基材がフッ素樹脂フィルムからなり、剥離ライナーが非シリコーン系剥離ライナーであることを特徴とする塗装マスキング用粘着テープに関する。
塗装マスキング用粘着テープを120℃で10分間加熱した際のシロキサン由来のアウトガス量が0.005μg/cm以下であることが好ましい。
フッ素樹脂フィルムが、ポリテトラフルオロエチレンフィルムであることが好ましい。
粘着剤層の層間に、補強用プラスチックフィルムを設けることが好ましい。
補強用プラスチックフィルムが、ポリイミドフィルムであることが好ましい。
また、本発明は、前記塗装マスキング用粘着テープから剥離ライナーを剥離し、前記塗装マスキング用粘着テープの粘着剤層を被塗物に貼付することを特徴とする、マスキング方法に関する。
さらに、本発明は、前記塗装マスキング用粘着テープから剥離ライナーを剥離し、前記塗装マスキング用粘着テープの粘着剤層を被塗物に貼付する工程、
塗装マスキング用粘着テープが貼付された被塗物に塗料を塗布して塗膜を形成する工程、
形成した塗膜を加熱して塗膜を硬化させる工程、及び
被塗物から塗装マスキング用粘着テープを剥離する工程を含む塗装方法に関する。
耐熱性、柔軟性、伸縮性に優れるフッ素樹脂フィルムに、粘着剤を介して非シリコーン系剥離ライナーを備えることにより、自動車の焼付塗装工程など、シロキサンガスを嫌う用途で使用できる、塗装マスキング用粘着テープを提供できる。また、本発明は、前記塗装マスキング用粘着テープを用いたマスキング方法及び塗装方法を提供できる。
本発明の塗装マスキング用粘着テープの断面を示す模式図である。
以下、本発明の塗装マスキング用粘着テープについて、図1を用いて説明をするが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の塗装マスキング用粘着テープ6は、基材1の片側に粘着剤層2および剥離ライナー3を有し、該基材1がフッ素樹脂フィルムからなり、剥離ライナー3が非シリコーン系剥離ライナーであることを特徴とする。
1.基材
フッ素樹脂フィルムとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンとへキサフルオロプロピレンの共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)等からなるフィルムが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、柔軟性、伸縮性から、PTFEフィルムが好ましい。
該基材フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、5〜500μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましい。この範囲内であれば、テープ強度と柔軟性が維持できるため好ましい。
2.粘着剤層
粘着剤層としては、特に限定されず、シロキサン成分を含まない粘着剤層であることが好ましく、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤などの公知の粘着剤からなる粘着剤層を挙げることができる。これらの中でも、比較的耐熱性の良いアクリル系粘着剤層がより好ましい。また、塗装後の塗膜乾燥温度が150〜200℃の温度になる場合は、架橋度を高めた耐熱性アクリル粘着剤層が好ましい。
アクリル系粘着剤としては、炭素数1〜10であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び官能基を有するモノマーを含むモノマー成分を重合して得られる(メタ)アクリル系ポリマーを含む粘着剤を挙げることができる。(メタ)アクリル系ポリマーの重合方法としては特に限定されるものではなく、従来公知の方法により重合することができる。
炭素数1〜10であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等を挙げることができる。ここで、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本明細書中の(メタ)とは同様の意味である。
また、官能基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の水酸基含有モノマーを挙げることができる。官能基を有するモノマーは、前記モノマー成分中15重量%以下であることが好ましく、0.1〜10重量%であることがより好ましく、1〜10重量%であることがさらに好ましい。また、カルボキシル基含有モノマーは、前記モノマー成分中10重量%以下であることが好ましく、1〜8重量%であることがより好ましく、水酸基含有モノマーは、前記モノマー成分中5重量%以下であることが好ましく、0.01〜3重量%であることがより好ましい。
また、アクリル系粘着剤には、イソシアネート系、エポキシ系、アミン系、ポリウレタン系等の架橋剤や、必要に応じて、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の粘着付与剤等を添加することができる。前記架橋剤の添加量は、特に限定されるものではなく、適宜設定することができるが、例えば、架橋剤は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して5重量部以下であることが好ましく、0.1〜3重量部であることが好ましく、粘着付与剤は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して30重量部以下であることが好ましい。
粘着剤層の厚さとしては、特に限定されないが、3〜100μmが好ましい。この範囲内であれば、粘着力と柔軟性が維持できる。
また、粘着剤層の層間に補強用プラスチックフィルムを設けた粘着剤層も用いることができる。当該補強用フィルムとしては、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等を挙げることができるが、これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルムを用いることが、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のフィルムに比べて耐熱性の観点から好ましい。
補強用フィルムの厚さとしては、特に限定されるものではないが、例えば、1〜50μmであることが好ましく、1〜25μmであることがより好ましい。
3.剥離ライナー
本発明で用いる非シリコーン系剥離ライナー3は、図1に示すように、支持基材4及び非シリコーン系剥離剤層5から構成されることが好ましい。シリコーン系剥離剤を用いた粘着テープでは、剥離ライナーを剥がしても、シリコーン系剥離剤に由来するシリコーン成分が粘着テープ本体に残ってしまい、シロキサンガス発生の原因となるものである。本発明においては、剥離剤層が非シリコーン系剥離剤からなるため、アウトガス発生量、特にシロキサンガス発生量を大幅に低減することができるものである。
(1)支持基材
支持基材は、特に限定されるものではなく、剥離ライナー全体の補強層としての役割を担うことができるものであればよいが、例えば、熱可塑性樹脂により構成されたフィルム又はシートを挙げることができ、より具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂や、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1等のポリオレフィン系樹脂;各種ポリアミド系樹脂(いわゆる「ナイロン」など);ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニルなどの公知の熱可塑性樹脂により構成されたフィルム又はシートを等を挙げることができ、これらを1種単独で、または2種以上を用いることもできる。これらのなかでも、基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルにより構成されたフィルム又はシートを好適に用いることができる。また、基材の表面は、コロナ放電処理などの表面処理が行われていてもよい。
基材の厚みとしては、特に制限されないが、例えば、10〜100μmが好ましく、25〜80μmがより好ましく、30〜60μmがさらに好ましい。
(2)剥離剤層
剥離剤層は、非シリコーン系剥離剤からなるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂からなる層を挙げることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒法ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)等のポリブテン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体等のα−オレフィン共重合体、プロピレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。また、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)などのエチレン−不飽和カルボン酸共重合体;アイオノマー;エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)などのエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン−ビニルアルコール共重合体等のエチレンとα−オレフィン以外の成分との共重合体も用いることができる。これらのポリオレフィン系樹脂は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、および、エチレン−α−オレフィン共重合体から選択された少なくとも2種のエチレン系ポリマーを好適に用いることができる。
前記エチレン系ポリマーとしては、少なくとも直鎖状低密度ポリエチレンを含有していることが好ましく、特に、直鎖状低密度ポリエチレンを主成分として含有するとともに、低密度ポリエチレンおよびエチレン−α−オレフィン共重合体を含有していることが好適である。直鎖状低密度ポリエチレンを主成分として含有し、且つ低密度ポリエチレンおよびエチレン−α−オレフィン共重合体を含有している場合、これらの配合割合としては、特に制限されないが、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対して、低密度ポリエチレンが0〜25重量部、エチレン−α−オレフィン共重合体が30〜300重量部であることが好ましい。
また、前記剥離剤層は、剥離性の点から、表面に凹凸部を有していることが好ましい。当該剥離層表面の表面粗さ(平均粗さ)Raは、特に限定されないが、例えば、0.5〜5μmであることが好ましく、1〜3μmがより好ましく、1.5〜2μmが特に好ましい。剥離剤層表面の表面粗さRaが前記範囲内にあることで、充分な剥離性を発揮することができるため好ましい。
また、剥離層表面の最大粗さRtとしては、特に制限されないが、例えば、1〜15μmが好ましく、3〜10μmがより好ましく、3〜8μmが特に好ましい。剥離層表面の最大粗さRtが前記範囲内にあることで、充分な剥離性を発揮することができるため好ましい。
前記剥離剤層表面の表面粗さRaや最大粗さRtは、TENCOR社製の接触式表面粗さ測定装置(P−11)により測定することができる。
なお、表面に凹凸部を形成する方法としては、公知の方法を利用することができるが、本発明においては前記樹脂材料から剥離剤層を形成後、凹凸形状を有するロールなどを押し当てて形成する方法を好適に用いることができる。
剥離剤層の厚さとしては、特に限定されるものではないが、例えば、5〜20μmであることが好ましく、7〜15μmがより好ましい。また、本発明の剥離剤層の厚みとは、剥離剤層が凹凸形状を有する場合は、凹凸部を形成する前の剥離層の厚みをさすものである。
また、非シリコーン系剥離ライナーには、基材、剥離剤層の他に、アンカーコート層、下引き層等を設けてもよい。
下引き層は、基材と剥離剤層との間の層として形成することができる。このような下引き層は、例えば、前記剥離剤層と同様のポリオレフィン系樹脂(特に、低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂)などにより形成することができる。
下引き層は単層又は多層のいずれの構成を有していてもよい。なお、下引き層の厚みとしては、例えば、5〜20μmが好ましく、8〜15μmがより好ましい。
また、アンカーコート層は、基材と前記下引き層との間の層として形成することができる。アンカーコート層としては、例えば、エステルウレタン系接着剤、エーテルウレタン系接着剤を、酢酸エチル等の酢酸エステル類、メチルエチルケトンやアセトンなどのケトン類等の有機溶剤などに溶解させて得られるアンカーコート剤を好適に用いることができる。アンカーコート層の厚みとしては、0.05〜1.5μm程度であることが好ましい。
剥離ライナーの製造方法としては、その層構成などに応じて、公知の剥離ライナーの形成方法などから適宜選択することができる。
本発明で用いる非シリコーン系剥離ライナーの総厚みは、特に限定されるものではないが、10〜300μmが好ましく、25〜100μmがより好ましい。この範囲であればフィルムとしての強度と柔軟性が維持できる。
4.塗装マスキング用粘着テープ
本発明の塗装マスキング用粘着テープは、基材1上に形成された粘着剤層2と、剥離ライナー3の非シリコーン系剥離層5とを貼り合せることにより、形成することができる。本発明の塗装マスキング用粘着テープ6は、図1に示すように、基材1、粘着剤層2、非シリコーン系剥離剤層5、支持基材4がこの順に積層されていることが好ましい。
本発明の塗装マスキング用粘着テープは、前記摺動性粘着テープを120℃で10分間加熱した際のシロキサン由来のアウトガス量が0.005μg/cm以下であることが好ましく、0.001μg/cm以下であることがより好ましい。また、同条件で加熱した際の総アウトガス量は0.5μg/cm以下であることが好ましく、0.3μg/cm以下であることがより好ましい。また、これらのアウトガス量は少なければ少ないほど好ましいものであり、好ましい下限値は0μg/cmである。
本発明の塗装マスキング用粘着テープの製造方法は特に限定されるものではなく、前記基材の片側に粘着剤を塗布、乾燥後、前記剥離ライナーを貼り付けることが得られるものであり、その製造方法は公知の方法を採用することができる。
本発明の塗装マスキング用粘着テープは、例えば、家庭用電気機器や自動車部品、住宅関連機器の塗装の際のマスキング等に使用する事が出来る。
5.マスキング方法
また、本発明は、前記塗装マスキング用粘着テープから剥離ライナーを剥離し、前記塗装マスキング用粘着テープの粘着剤層を被塗物に貼付することを特徴とする、マスキング方法に関する。
前記被塗物としては、特に限定されるものではなく、家庭用電気機器、自動車部品、住宅関連機器、航空・宇宙関連部品等のあらゆるものを挙げることができる。
貼付方法としては、被塗物の非塗装部分(マスキング箇所)に適合するように、塗装マスキング用粘着テープをトリミングし、該トリミングした塗装マスキング用粘着テープから、剥離ライナーを剥離して、被塗物の非塗装部分に貼付する。
6.塗装方法
さらに、本発明は、塗装マスキング用粘着テープから剥離ライナーを剥離し、前記塗装マスキング用粘着テープの粘着剤層を被塗物に貼付する工程、
塗装マスキング用粘着テープが貼付された被塗物に塗料を塗布して塗膜を形成する工程、
形成した塗膜を加熱して塗膜を硬化させる工程、及び
被塗物から塗装マスキング用粘着テープを剥離する工程を含む塗装方法に関する。
前記塗装マスキング用粘着テープを被塗物に貼付する工程は、前記マスキング方法と同様である。
前記塗料としては、特に限定されるものではなく、被塗物にあわせて適宜公知の塗料を用いることができ、例えば、メラミン樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料等の公知の塗料を広く使用することができる。前記塗料の塗装方法としては、刷毛塗り、ローラー塗装、スプレー塗装、各種コーター塗装などの一般的な方法を用いることができ、その塗布量は特に限定されるものではない。また、塗膜を加熱する時間や温度等も、用いる塗料、塗布量等によって適宜決定することができるが、本発明においては、本発明の塗装マスキング用粘着テープを使用しているため、120〜200℃程度の加熱温度であっても好適に塗装することができる。
以下に、本発明を実施例をあげて説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
(実施例1)
1.剥離ライナーの作製
エステルウレタン系アンカーコート剤(東洋モートン(株)製、商品名『AD−527』)100重量部に、硬化促進剤(東洋モートン(株)製、商品名『CAT 11Y−91』)7重量部を配合し、その後、固形分濃度が5重量%となるように酢酸エチルを加えて、アンカーコート剤溶液を調製した。このアンカーコート剤溶液を、ロールコーターにより、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、ルミラー(登録商標)S105、厚み38μm)上に、乾燥後の厚さが0.1μm程度となるように塗布し、80℃で乾燥した。このアンカーコート層上に、タンデム方式にて低密度ポリエチレン(旭化成(株)製、商品名『L−1850A』)をダイ下温度:325℃にて、厚さが10μmとなるように押出積層して、下引き層を形成した。続いて、この下引き層上に、直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする混合樹脂(出光石油化学(株)製、商品名『モアテック0628D』)100重量部に対して、エチレン−プロピレン共重合体(三井化学(株)製、商品名『タフマーP0180』)150重量部を混合した樹脂組成物(剥離層の構成成分)を、ダイ下温度:273℃にて、厚さが10μmになるように押出積層して、剥離層を形成し、さらに、冷却ロールとしてエンボス加工を施した冷却マットロールにより剥離層の表面に微細凹凸加工を施すことにより、表面が凹凸形状の剥離層(表面凹凸剥離層)を形成して、剥離ライナーを作製した。なお、前記表面凹凸剥離層の凹凸形状は、不規則に異なっている形状の各凹凸部が不規則な位置関係で配置された形状になっている。この表面凹凸剥離層において、その表面の算術平均粗さ(Ra)は、1.5μmであり、また、最大粗さは4μmであった。なお、前記表面の表面粗さと最大粗さは、TENCOR社製の接触式表面粗さ測定装置(P−11)を用いて測定した値である。
2.塗装マスキング用粘着テープの作製
アクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル/アクリル酸ヒドロキシエチル(70重量部/30重量部/5重量部/3重量部)共重合体系感圧接着剤100重量部(ポリウレタン系架橋剤2重量部配合)を配合してなるトルエン溶液を調製し、厚さ50μmのPTFEフィルム(日東電工(株)製、No.901UL)に乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布・乾燥し、粘着剤層を形成した。前記剥離ライナーを粘着剤層上に貼り付け、塗装マスキング用粘着テープを得た。
(実施例2)
1.粘着剤層の作製
アクリル酸ブチル93重量部、アクリル酸7重量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル0.05重量部を、酢酸エチルを溶媒として、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を開始剤として、常法により溶液重合させて、重量平均分子量が150万のアクリル系ポリマーの溶液(固形分濃度:25重量%)を得た。この溶液に、アクリル系ポリマー100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」;トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物、固形分濃度75重量%)0.4重量部(固形分換算)を配合して、粘着剤溶液(アクリル系粘着剤溶液)を得た。
上記で得られた粘着剤溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、「ルミラーS−10」、厚み12μm)の両側の表面上に塗布し、120℃で3分間乾燥して、粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の厚みはそれぞれ24μmであり、ポリエチレンテレフタレートフィルムを含む粘着剤層全体の厚みは60μmであった。
得られた粘着剤層を、厚さ50μmのPTFEフィルム(日東電工(株)製、No.901UL)と実施例1で得られた剥離ライナーの剥離層と貼り合せて、PTFEフィルム/粘着剤層(補強用ポリエチレンテレフタレートフィルムを含む)/剥離ライナーからなる塗装マスキング用粘着テープを得た。
(実施例3)
1.粘着剤層の作製
実施例2で得られたアクリル系粘着剤溶液を、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、「カプトン100H」、厚み25μm)の両側の表面上に塗布し、120℃で3分間乾燥して、粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の厚みはそれぞれ24μmであり、ポリイミドフィルムを含む粘着剤層全体の厚みは74μmであった。
得られた粘着剤層を、厚さ50μmのPTFEフィルム(日東電工(株)製、No.901UL)と実施例1で得られた剥離ライナーの剥離層と貼り合せて、PTFEフィルム/粘着剤層(補強用ポリイミドフィルムを含む)/剥離ライナーからなる塗装マスキング用粘着テープを得た。
(比較例1)
市販の厚さ80μmのPTFE基材、シリコーン粘着剤の粘着テープにシリコーン処理されたPET剥離ライナーを積層された粘着テープ(日東電工(株)製、No.903−T)を比較例1として用いた。
(比較例2)
市販の厚さ80μmのPTFE基材、アクリル粘着剤の粘着テープにシリコーン処理されたPET剥離ライナーを積層された粘着テープ(日東電工(株)製、No.903SCA−P)を比較例2として用いた。
実施例及び比較例で得られた各テープの性能を以下の試験により評価した。試験結果を表1に示す。
<25℃粘着力>
得られたテープから剥離ライナーを剥がして、常温下で2kgローラー1往復により、SUS板に圧着し、25℃で1時間放置後に、JIS C2107に準じて、25℃の雰囲気下、引張速度300mm/min、剥離角度180度で引きはがし、粘着力を測定した。
<耐熱性>
(1)加熱時寸法安定性
得られたテープから剥離ライナーを剥がして、常温下で2kgローラー1往復により、SUS板に圧着し、25℃で1時間放置後に、180℃の炉に5分間投入した。加熱前後に寸法を測定し、以下の式より収縮率を算出した。
収縮率(%)=(加熱前寸法-加熱後寸法)/(加熱前寸法)×100
(2)加熱後糊残り性
上記同様の加熱を行った後で、被着体(SUS板)から塗装マスキング用粘着テープを剥がす際の糊残りの有無を目視で確認した。
<発生ガス量>
得られた塗装マスキング用粘着テープから、剥離ライナーを剥がした状態で、120℃で10分間加熱し、その際に発生した全体のアウトガス量及びシロキサンガス量をGC−MSで測定した。
Figure 2014148646
本発明のフッ素樹脂フィルムと粘着層、シリコーンフリー剥離ライナーを積層した塗装マスキング用粘着テープは、様々な塗装環境において良好な塗装品質を提供でき、その工業的価値は大である。
1 基材
2 粘着剤層
3 剥離ライナー
4 支持基材
5 非シリコーン系剥離剤層
6 塗装マスキング用粘着テープ

Claims (7)

  1. 基材の片側に粘着剤層および剥離ライナーを有する塗装マスキング用粘着テープであって、
    該基材がフッ素樹脂フィルムからなり、剥離ライナーが非シリコーン系剥離ライナーであることを特徴とする塗装マスキング用粘着テープ。
  2. 塗装マスキング用粘着テープを120℃で10分間加熱した際のシロキサン由来のアウトガス量が0.005μg/cm以下である請求項1に記載の塗装マスキング用粘着テープ。
  3. フッ素樹脂フィルムが、ポリテトラフルオロエチレンフィルムである請求項1又は2に記載の塗装マスキング用粘着テープ。
  4. 粘着剤層の層間に、補強用プラスチックフィルムを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗装マスキング用粘着テープ。
  5. 補強用プラスチックフィルムが、ポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項4に記載の塗装マスキング用粘着テープ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の塗装マスキング用粘着テープから剥離ライナーを剥離し、前記塗装マスキング用粘着テープの粘着剤層を被塗物に貼付することを特徴とする、マスキング方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の塗装マスキング用粘着テープから剥離ライナーを剥離し、前記塗装マスキング用粘着テープの粘着剤層を被塗物に貼付する工程、
    塗装マスキング用粘着テープが貼付された被塗物に塗料を塗布して塗膜を形成する工程、
    形成した塗膜を加熱して塗膜を硬化させる工程、及び
    被塗物から塗装マスキング用粘着テープを剥離する工程を含む塗装方法。
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