JP2004306276A - マスキングテープ用フィルム - Google Patents

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Shinya Nakamura
信也 中村
Kazuya Hori
和也 堀
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Abstract

【課題】被塗装体にマスキングテープをスムーズに貼着することができ、被塗装体からマスキングテープを剥離する際に、マスキングテープが破断しにくく、しかも塗装片の飛散が抑制され、鮮明な見切り線を与えることができるマスキングテープ用フィルムの提供。
【解決手段】主としてポリオレフィン系樹脂から成る基材の一方の面側に背面層を有するマスキングテープ用フィルムにおいて、該背面層が20〜90℃のガラス転移点を有するアクリル系樹脂を少なくとも含むマスキングテープ用フィルム。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として塗装の際に使用されるマスキングテープの基体として用いられるマスキングテープ用フィルムに関する。より詳しくは、被塗装体にマスキングテープを貼る際の作業性が改善され、マスキングテープを剥離する際にテープの破断がなく、塗装片の飛散が少なく、鮮明な見切り線を与えることができるマスキングテープ用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
マスキングテープは、車両や建築物の塗装に広く利用されている。通常、マスキングテープは、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等のプラスチック、或いは紙をテープ基材とし、その片面には被塗装体と密着するための粘着剤層を有している。
【0003】
このようなマスキングテープを塗装用として使用し、種々の色彩や模様を施した製品は、需要者の目を引くので商品価値が向上する。このため、マスキングテープには、塗装箇所と非塗装箇所の境界線、或いは異なった色が塗り分けられた部分の境界線が鮮明であるという、いわゆる“見切り線”の鮮明さが要求されている。さらに、マスキングテープには、テープを被着部に貼る際の取扱が簡便で、テープを剥離する場合にテープが簡単に破断しないこと、また、テープの剥離の際にテープ周囲の塗料が飛散しないことが必要である。
【0004】
このような要求を満たすため、従来から、基材の粘着剤層が形成されていない面、いわゆる基材の背面に、樹脂層を形成したマスキングテープが広く知られており、例えば、ポリオレフィンフィルム基材の背面に塩素化ポリオレフィンを塗布形成したマスキングテープが公知である(例えば、特許文献1を参照)。このマスキングテープは、塩素化ポリオレフィンによりテープ表面と塗料の密着性が向上し、塗料が飛散することがなく塗装面を汚染しない効果を奏することが特許文献1には記載されている。一方、紙基材の背面に特定のビニル共重合体を塗布形成したマスキングテープも知られている(例えば、特許文献2を参照)。このマスキングテープは、特定のビニル共重合体をその背面に形成することにより、マスキングテープ全体に柔軟性を付与し、テープを剥離する際のテープの破断を防止し、曲線部の見切り線が鮮明になる効果を奏することが特許文献2には記載されている。
【0005】
また、車両用の焼付け塗装での塗膜層の硬化に伴うテープの破断を改良するために、テープの背面層にウレタン樹脂とエポキシ樹脂又はアジリジン環を含む成分とを含むマスキングテープが提案されており(例えば、特許文献3又は4を参照)、特定の初期弾性率を有する当該マスキングテープにより焼付け塗装でのテープ破断を防止し、見切り線が鮮明になる効果を奏することがこれらの公知文献には記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−247272号公報
【特許文献2】
特開平7−82536号公報
【特許文献3】
特開平10−298515号公報
【特許文献4】
特開平10−306261号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した公報に記載されているマスキングテープを車両に使用した場合、マスキングテープを被塗装体の被着部(以下、「被着部」という)に貼り付ける際にスムーズ貼ることが困難であるという問題が生じていた。
【0008】
この原因を本発明者等が詳細に検討したところ、通常、マスキングテープを被着部に貼る際には、テープと被着部間に気泡が入ることを防ぐため、作業者はテープ表面を手又は専用の冶具で押し付けて滑らせながら被着部にテープを貼り付けていくが、このとき、マスキングテープ表面(背面)での滑り性が悪いと、手又は冶具が引っかかりスムーズにテープを貼ることが出来ないばかりか、テープ/被着部間に気泡が入り込み、良好な外観が得られないという問題が生じるためであることが解った。
【0009】
更に、車両用にマスキングテープを用いる場合は、曲面を有する部位で使用されることが多いため、マスキングテープの曲面に対する追従性も重要な特性の1つとなる。
【0010】
本発明は、以上の従来の技術の問題を解決しようとするものであり、マスキングテープを被塗装体に貼る際の滑り性に優れ、曲面への追従性も良好で、かつマスキングテープを剥離する際にも容易に被着部から剥離することができ、更に被塗装体に塗装後、塗装片の飛散が抑制され、鮮明な見切り線を与えるマスキングテープ用フィルムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、塗料が塗布されるマスキングテープの基材の背面に、特定のアクリル系樹脂を含む層を形成させることにより、上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明は、主としてポリオレフィン系樹脂から成る基材の一方の面側に背面層を有するマスキングテープ用フィルムにおいて、該背面層が20〜90℃のガラス転移点を有するアクリル系樹脂を少なくとも含むことを特徴とするマスキングテープ用フィルム及び該フィルムの基材の他方の面側(背面層を設けた側と反対側)に粘着剤層を設けてなるマスキングテープを提供することを目的とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明のマスキングテープ用フィルムは、基材の一方の面側に背面層を有するフィルムであって、該背面層は20〜90℃のガラス転移点を有するアクリル系樹脂を少なくとも含むことを特徴とする。このように、背面層がアクリル系樹脂を含むことにより、マスキングテープを被着部に貼る際の滑り性に優れ、しかも曲面への追従性も良好で、かつマスキングテープを剥離する際にも容易に被着部から剥離することができる。
【0015】
本発明に用いるマスキングテープ用フィルムの基材は、主としてポリオレフィン系樹脂フィルムから構成される。基材のポリオレフィン系樹脂の含有量は50〜100重量%であるのが曲面への追従性等の諸性能が良好となるので好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン系樹脂及びこれらの混合物いずれも用いることができる。
【0016】
ポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とするエチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体(低密度ポリエチレン(LDPE)、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン系触媒を用いて重合して得られたエチレン−α−オレフィン共重合体(メタロセン系ポリエチレン)等)及びこれらの混合物等が例示できる。
【0017】
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンの共重合体、リアクター型のポリプロピレン系エラストマー及びこれらの混合物等が例示できる。該共重合体としてはプロピレンとエチレンまたは他のα−オレフィンとのランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)、またはブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)、ゴム成分を含むブロック共重合体あるいはグラフト共重合体等が挙げられる。上記プロピレンと共重合可能な他のα−オレフィンとしては、炭素原子数が4〜12のものが好ましく、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン等が挙げられ、その1種または2種以上の混合物が用いられる。通常、α−オレフィンの混合割合はプロピレンに対して1〜10重量%、特に2〜6重量%とするのが好ましい。リアクター型のポリプロピレン系エラストマーとしては、結晶融解熱(ΔH)が100g/J以下である低結晶性プロピレン単独重合体(出光石油化学(株)製 出光TPO、宇部興産(株)製 CAP、宇部レキセン社製 UT2115等)や、多段重合法により製造されたポリプロピレン系エラストマー(サンアロマー(株)製 キャタロイ、三菱化学(株)製 ゼラス、(株)トクヤマ P.E.R.等)が挙げられる。
【0018】
また、ポリエチレン系樹脂及び/またはポリプロピレン系樹脂に他の合成樹脂を混合することもできる。混合する他の樹脂として、例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム及びアクリロニトリル−イソプレンゴム等のジエン系ゴム(エラストマー)、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)やスチレン−ブタジエンブロック共重合体等のスチレン−ブタジエン系熱可塑性エラストマー及びスチレン−イソプレン共重合ゴム等のスチレン系熱可塑性エラストマー(これらの水素添加物を含む)が挙げられる。
【0019】
基材としては、ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂からなるもの、特に上記ポリプロピレン系樹脂の中でも、ホモポリプロピレン及び/またはリアクター型のポリプロピレン系エラストマーを50〜100重量%含むポリプロピレン系樹脂が基材の加工性の点やマスキングテープの施工性の点から好ましい。基材としては更に、ホモポリプロピレン60〜90重量%と、リアクター型のポリプロピレン系エラストマー、ジエン系エラストマー、スチレン−ブタジエン系熱可塑性エラストマー(これらの水素添加物を含む)及びスチレン系熱可塑性エラストマー(これらの水素添加物を含む)からなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマー40〜10重量%とからなるものが耐熱性の点から好ましい。
【0020】
基材には、その他必要に応じて紫外線吸収剤、及び/またはヒンダードアミン系光安定剤(HALS)等の光安定剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤、スリップ剤(滑剤)、アンチブロッキング剤等をその目的・性能を損なわない範囲内で添加することが出来る。
【0021】
紫外線吸収剤としては、例えばサリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系及びトリアジン系等の紫外線吸収剤が挙げられる。具体的には、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤としては、サリチル酸フェニル、4−t−ブチル−フェニル−サリシレート等が挙げられる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等の2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホンベンゾフェノン等の2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス−(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等が挙げられる。
【0022】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(分子量388)、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(分子量448)、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール](分子量659)等が挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、2−エチル−ヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
【0023】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−((ヘキシル)オキシ)−フェノール、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(オクチロキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(オクチロキシ)フェノール、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシロシキ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−((メチル)オキシ)フェノールが挙げられる。中でも、経時後基材表面へ吹き出しにくいという点で、ベンゾトリアゾール系またはトリアジン系の紫外線吸収剤でかつ、分子量が300以上であるものが好ましい。紫外線吸収剤の配合量は、特に制限されるものではなく基材から吹き出さない範疇であれば良く、好ましくは、基材中の樹脂成分100重量部に対して0.05〜5重量部程度である。
【0024】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−ベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ホスファイト(チバ・ガイギー(株)製「キマソープ944」)、1,3,8−トリアザ−7,7,9,9−テトラメチル−3−n−オクチルピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン(チバ・ガイギー(株)製「チヌビン144」)、1,2,3,4−テトラ(4−カルボニルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−ブタン、1,3,8−トリアザ−7,7,9,9−テトラメチル−2,4−ジオキソ−スピロ[4,5]デカン、トリ(4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)アミン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェニルカルバモイルオキシ−2,2,6,6テトラメチルピペリジン、4−p−トルエンスルホニルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート等が挙げられる。中でも経時後基材表面へ吹き出しにくいという点や長期耐候性が良好であるということから分子量が1000以上のものを用いることが好ましく、特に、ポリオレフィンにヒンダードアミン骨格を有する化合物を共重合させたものが吹き出しにくく好ましい。配合量は、特に制限されるものではなく基材から吹き出さない範疇であれば良く、好ましくは、基材中の樹脂成分100重量部に対して0.05〜5重量部程度である。
【0025】
酸化防止剤としては、フェノール系、サルファイド系、リン系、イソシアヌレート系酸化防止剤が挙げられる。
【0026】
着色剤としては、一般的な有機及び無機顔料が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂の通常の成形温度である300℃前後の温度で耐熱性を有するものであればその目的に応じて適宜選択可能であり、例えば、(ポリ)アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系、キナクリドン系、ジオキサジン系などの各種有機顔料、酸化チタンなどの酸化物系、クロム酸モリブデン酸系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系、炭酸カルシウム、カーボンブラックなどの各種無機顔料が挙げられる。配合量は基材中の樹脂成分100重量部に対して通常1〜30重量部程度である。
【0027】
基材を成形する方法としては、例えば、Tダイ成形法等の押出し成形法、インフレーション成形法及びカレンダー成形法等一般に公知のフィルム成形法が挙げられる。
【0028】
基材が内層、中間層及び外層を有する場合、各層を積層する方法として成形した個々のフィルム(層)をラミネーターで貼り合わせる方法やフィルム成形と同時に圧着ラミネートする方法を用いることが出来るが、多層Tダイ押出法によって成形と同時に積層フィルムを作製する方法が工程数も減らすことができて好ましい。
【0029】
基材の厚みは、一般に、25〜200μmであるが、基材の厚みが厚くなると見切り線の鮮明さが低下する傾向にあるので、本発明においては、50〜150μmが好ましい。
【0030】
更に、基材の引張弾性率が、400〜900MPaであるのが好ましい。400MPa未満であると、粘着層を設ける際や加工時、更に施工性にシワ発生等の不具合を生じる恐れがあり、900MPaを超えると施工時に曲面追従性に劣る恐れがある。
【0031】
本発明において、背面層は、マスキングテープを被着部に貼付する際の滑り性を付与し、更にマスキングテープ上に付着する塗料を保持(キャッチ)する働きがあり、かつマスキングテープを剥離する際のマスキングテープの破断を防止するものである。
【0032】
本発明においては、このような背面層は少なくともアクリル系樹脂を含有する。
【0033】
背面層のアクリル系樹脂の含有量は50〜100重量%であるのが好ましい。
【0034】
ここで、アクリル系樹脂は、マスキングテープを被着部に貼付する際に滑り性を付与する働きがあり、この観点からは、アクリル系樹脂のTg(ガラス転移点(温度))は20〜90℃であり、特に20〜80℃であることが好ましい。アクリル系樹脂のTgが20℃より低い場合、マスキングテープの曲面への追従性は優れ、塗装後の剥離時のテープ破断が抑えられる。しかし、この場合、アクリル系樹脂の粘着性が増すことにより、マスキングテープ貼付の際の滑り性が低下して、被着部へのスムーズな貼付が困難となる。一方、アクリル系樹脂のTgが90℃より高くなると、平滑性は非常に優れるが、曲面への追従性が損なわれるとともに、塗装後にマスキングテープ剥離する際に破断し易くなる。従って、マスキングテープを貼付する際の滑り性、曲面への追従性、及び塗装後にマスキングテープを剥離する際の破断の防止の観点から、アクリル系樹脂のTgは20〜90℃であり、特に20〜80℃であることが好ましく、30〜60℃が更に好ましく、35〜50℃が最も好ましい。
【0035】
また、本発明に用いるアクリル系樹脂中のモノマー成分及びその成分比は、用いるアクリル系樹脂のTgが上記の範囲に含まれるように適宜選択される。モノマーの種類としては、例えば、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリル酸、メタアクリル酸、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート等が挙げられるが、これらに限定されることはなく、アクリル系樹脂塗料用に一般的に用いられているその他のモノマーも使用することができる。ここで、マスキングテープ貼付の際の滑り性を高め、塗料が良好に保持(キャッチ)されるためには、メチルメタアクリレート及びブチルアクリレートを必須成分として用いることが好ましい。メチルメタアクリレートのアクリル系樹脂全体に対する含有量は、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは60〜80重量%である。また、ブチルアクリレートのアクリル系樹脂全体に対する含有量は、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%である。この場合、これら以外のモノマーは、要望されるマスキングテープの特性に応じて適宜選択される。
【0036】
本発明における背面層は、アクリル系樹脂を含むものであるが、上記のマスキングテープの要求特性を損なわない限り、必要に応じてアクリル系樹脂以外の樹脂成分、及び/又は任意の配合剤を含んでもよい。アクリル系樹脂以外の樹脂成分としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。また、任意の配合剤としては、架橋剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、抗菌剤、充填剤等が挙げられる。
【0037】
背面層の厚さは、0.3〜5μm、好ましくは0.5〜3μmである。厚さが薄いと塗膜強度が不充分で、焼き付け塗装時の耐溶剤性及び耐熱性が満足されない恐れがある。一方、厚いと曲面追従性及び塗装後のマスキングテープ剥離時の破断に悪影響を及ぼし好ましくない。
【0038】
本発明において、粘着剤層は被塗装体にマスキングテープを貼着するためのものであり、ベース成分と粘着付与成分とから構成されている。
【0039】
ベース成分としては、例えば、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体等のスチレン系共重合体や、アクリル酸エステル共重合体等の公知の材料を使用することができる。
【0040】
粘着付与成分としては、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、水添テルペン等の公知の粘着性樹脂を使用することができる。
【0041】
このような粘着剤層の厚みは、一般的には20〜50μmである。
【0042】
本発明のマスキングテープは、常法により製造することができる。例えば、アクリル系樹脂を公知の有機溶剤に溶解し、必要により架橋剤を配合した混合物をグラビアコータ、ナイフコータ、コンマコータ等のコーティング装置を使って、基材の一方の面上に塗布し、次いで熱風乾燥機等を用いて、通常50〜200℃で数秒間〜数分加熱して乾燥及び/又は硬化させることにより背面層を形成する。次に、基材の他方の面上に粘着剤層を形成し、必要に応じて粘着剤層上に剥離シートをラミネートすることにより、目的のマスキングテープを製造することができる。
【0043】
以上説明した本発明のマスキングテープは、従来のマスキングテープと同様に使用することができる。本発明のマスキングテープを車両の表面塗装時に使用する場合を例として説明する。
【0044】
まず、マスキングテープの粘着剤層側に配された剥離シートを剥離し、粘着剤層の表面を露出させて車両の所定箇所に貼着する。
【0045】
次に、スプレーにより車両の表面及びマスキングテープ上に、メラミン系、メラミン−アルキッド系、アクリル−メラミン系等の熱硬化性塗料をコーティングし、焼き付け作業を行い、塗料を硬化させる。
【0046】
焼き付け作業が終了すると、表面が常温に戻るのを確認し、背面層の表面に塗料が付着したマスキングテープを剥離し、目的の表面塗装を得る。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0048】
<基材の作製>
メルトフローレート2.4g/10分、融点165℃のホモポリプロピレン70重量部、水素添加SBR共重合体エラストマー30重量部、酸化チタン2重量部を混合したポリプロピレン系樹脂組成物を用い、三菱重工(株)製押し出し機により厚さ100μmのフィルムを作製した。
【0049】
次に、このフィルムの両面にコロナ処理をした。
【0050】
<塗料の作製>
実施例1〜2、比較例1〜2の背面層用アクリル系樹脂塗料を以下のように作製した。
【0051】
攪拌装置、滴下装置、環流冷却機を備える反応容器中に、メチルエチルケトン100重量部、ベンゾイルパーオキシド0.5重量部、および表−1記載のそれぞれのアクリル組成単量体を加え、窒素ガス気流下80℃10時間の重合反応を行った。それぞれの共重合体溶液にメチルエチルケトンを加えて、固形分濃度25重量%に調節してアクリル系樹脂塗料を得た。
【0052】
<マスキングテープの作製>
ロールコーターを用いて、基材の片面にアクリル系樹脂塗料を塗布し、温度110℃で30秒加熱処理し、厚さ0.7μmの背面層を得た。
【0053】
剥離紙の離型処理がなされた面に、スチレン系粘着剤をロールコーターで塗布し厚み30μmの剥離紙上に粘着剤層を形成した。次に、上記基材の背面層が形成された面と反対側の面に離型紙の粘着剤層面を対向させ、ラミネートすることによりマスキングテープを作製した。
【0054】
<塗装サンプルの作製>
上記で作製したマスキングテープの剥離紙を剥離し、金属板にマスキングテープを貼り付けた。さらに、表面塗装用の塗料としてメラミン系塗料(日本ペイント(株)製 オルガセレクト)をスプレーを用いて厚み50μmになるよう塗装し、乾燥温度150℃で1時間焼き付け処理し、塗装サンプルを得た。
得られたマスキングテープ及び塗装サンプルにつき、以下の項目の評価を行った。
【0055】
(1)施工性
金属板にマスキングテープを貼り付け施工する際のテープ背面層の滑り性を評価した。
○:背面層の滑り性がよく、施工面も良好である。
△:僅かに背面層の滑り性が劣り、施工しづらい。
×:背面層の滑り性が著しく劣り、施工・貼付が困難である。
【0056】
(2)剥離試験
塗装サンプルに貼り付けたマスキングテープを、手作業により約180°の剥離角度で長さ20cm程度引っ張り、テープの破断有無を評価した。
○:テープが破断せず、スムーズに全て剥離できる。
△:テープの剥離直後は破断しないが、所定の長さを剥離する前に破断した。
×:テープが剥離後すぐに破断し、使用に耐えない。
【0057】
(3)塗装塗膜の剥離
剥離試験を実施したときに、剥離後のテープ背面層からの塗装塗膜の剥離状態を評価した。
○:塗装塗膜にクラック発生するが、塗装片がテープから脱落、飛散しない。
×:塗装片がテープから脱落、飛散する。
【0058】
【表1】
Figure 2004306276
【0059】
【発明の効果】
本発明のマスキングテープ用フィルムは、被塗装体にマスキングテープをスムーズに貼着することができ、被塗装体からマスキングテープを剥離する際に、マスキングテープが破断しにくく、しかも塗装片の飛散が抑制され、鮮明な見切り線を与えることができる。

Claims (3)

  1. 主としてポリオレフィン系樹脂から成る基材の一方の面側に、背面層を有するマスキングテープ用フィルムにおいて、該背面層が20〜90℃のガラス転移点を有するアクリル系樹脂を少なくとも含むことを特徴とするマスキングテープ用フィルム。
  2. アクリル系樹脂が、20〜80℃のガラス転移点を有する請求項1に記載のマスキングテープ用フィルム。
  3. 請求項1または2に記載のマスキングテープ用フィルムの基材の他方の面側に粘着剤層を設けてなるマスキングテープ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007013209A1 (ja) * 2005-07-26 2007-02-01 Lintec Corporation マスキングテープ
JP2014148646A (ja) * 2013-02-04 2014-08-21 Nitto Denko Corp 塗装マスキング用粘着テープ、マスキング方法及び塗装方法

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