JP2014147867A - 樹脂皮膜の形成方法及び樹脂皮膜の形成システム - Google Patents

樹脂皮膜の形成方法及び樹脂皮膜の形成システム Download PDF

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Abstract

【課題】 コールドスプレー方法においては、用いるガスの如何にかかわらず、特に空気を用いても、樹脂粉末を確実且つ強固に固体基材に固着できるようにして結合強度の向上を図る。
【解決手段】
樹脂粉末Wを固体基材Kの表面に固着させて樹脂皮膜を形成するもので、先ず、固体基材Kの対象部位に原料ガスをプラズマ化して生成される大気圧熱非平衡プラズマPを照射し、それから、樹脂粉末Wを、コールドスプレー方法(CS)を用い、樹脂粉末Wの融点より低い温度に加温したガスに投入し、ガスを亜音速ないし超音速流にして固体基材Kに対して噴射して固体基材Kの表面に樹脂を付着し、その後、固体基材Kに付着された樹脂を加温処理する。必要に応じ、大気圧熱非平衡プラズマPの照射とコールドスプレー方法による樹脂粉末Wの噴射とを、繰り返し行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂粉末を固体基材の表面に固着させて樹脂皮膜を形成する樹脂皮膜の形成方法及び樹脂皮膜の形成システムに関する。
従来、この種の樹脂皮膜の形成方法として、例えば、本願発明者らが先に提案したもので、特開2009−226329号公報(特許文献1)に掲載された技術が知られている。これは、樹脂粉末を固体基材の表面に固着させて樹脂皮膜を形成する樹脂皮膜の形成方法であって、樹脂粉末の表面にトリアジンチオール誘導体を結合させる処理を行ない、コールドスプレー方法を用い、この樹脂粉末をその融点より低い温度に加温したガスに投入しガスを亜音速ないし超音速流にして固体基材に対して噴射して固体基材の表面に樹脂を付着し、その後、固体基材に付着された樹脂を加温処理するものである。コールドスプレー方法においては、例えば、ガスとしてヘリウムガスを用いる。ヘリウムガスは軽い作動ガスなので流速を早くすることができ、スプレー粒子の高い運動エネルギーを得て、付着効率を高めることができる。
特開2009−226329号公報
ところで、このような樹脂皮膜の形成方法にあっては、コールドスプレー方法においては、例えば、ガスとしてヘリウムを用いるが、ヘリウムは比較的高価なので、ガスとして例えば安価な空気を用いて行うことができれば、より望ましい。しかしながら、空気をガスとして用いると、粉末樹脂の固着状態が著しく悪く、そのため、この従来方法では、空気を実質的に用いることができないという問題があった(図8の実験例参照)。
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、コールドスプレー方法において、用いるガスの如何にかかわらず、特に空気を用いても、樹脂粉末を確実且つ強固に固体基材に固着できるようにして結合強度の向上を図った樹脂皮膜の形成方法及び樹脂皮膜の形成システムを提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の樹脂皮膜の形成方法は、図1に示すように、樹脂粉末Wを固体基材Kの表面に固着させて樹脂皮膜を形成する樹脂皮膜の形成方法であって、樹脂粉末Wを、コールドスプレー方法(CS)を用い、該樹脂粉末Wの融点より低い温度に加温したガスに投入し該ガスを亜音速ないし超音速流にして固体基材Kに対して噴射して該固体基材Kの表面に樹脂を付着し、その後、上記固体基材Kに付着された樹脂を加温処理する樹脂皮膜の形成方法において、上記コールドスプレー方法により樹脂粉末Wを噴射する前に、上記固体基材Kの対象部位に原料ガスをプラズマ化して生成される大気圧熱非平衡プラズマPを照射する構成としている。
大気圧熱非平衡プラズマとは、例えば、低圧中のグロー放電により生成され、電子や分子衝突に関する自由行程が長いため高エネルギーを有しているが、プラズマ自体の温度が低いプラズマである。
これにより、固体基材に樹脂被膜を形成するときは、先ず、固体基材の表面の対象部位に大気圧熱非平衡プラズマを照射する。それから、この固体基材の表面の対象部位にコールドスプレー方法により樹脂粉末を噴射する。その後、固体基材に付着された樹脂を加温処理し、固体基材の表面に樹脂を付着する。この場合、図2(a)に示すように、対象部位には熱非平衡の大気圧熱非平衡プラズマが照射されているので、固体基材の表面には電子の照射による物理的な繊細な凹凸は形成されず、イオンの照射により、例えば、窒素酸化物に−OH,−NH2 ,−COOH等の官能基が化学的に形成され、化学的な効果としての樹脂との親和力が高められ、界面の接着強度が向上させられる。そのため、コールドスプレー方法に用いるガスが、例えば、窒素,ヘリウムなど通常用いられているガスは勿論のこと、空気であっても確実に付着が行われ、樹脂を確実且つ強固に固体基材に固着できるようになる。また、ガスとして、空気を用いた場合には、ヘリウムガス等と比較して安価であり、経済効果も奏する。
また、図2(a)(b)に示すように、例えば、固体表面上の窒素酸化物に形成したアミン、アミド化合物等は、電子供与性の官能基であり、例えば、電子吸引性能があるフッ素樹脂等の樹脂粉末では、固体表面と樹脂表面では親和力が作用し付着を促進すると考えられる。
以上から、樹脂粉末を低温溶射により固体基材に付着させ、その後、熱処理するので、樹脂に過剰な熱負荷をかけなくてもすむことから、樹脂の劣化をできるだけ抑止することができるとともに、固体表面と樹脂表面に形成した官能基により化学反応が促進され、固体基材に確実に固着できるようになる。
そして、必要に応じ、上記大気圧熱非平衡プラズマの照射と上記コールドスプレー方法による樹脂粉末の噴射とを、繰り返し行う構成としている。即ち、先ず、固体基材の表面の対象部位に大気圧熱非平衡プラズマを照射する。それから、この固体基材の表面の対象部位にコールドスプレー方法により樹脂粉末を噴射する。更に、この固体基材に付着された樹脂の表面に大気圧熱非平衡プラズマを照射する。それからまた、この表面にコールドスプレー方法により樹脂粉末を噴射する。このように、この大気圧熱非平衡プラズマ照射と樹脂粉末噴射とを交互に2回以上行う。最後に固体基材に付着された樹脂を加温処理する。これにより、図2(c)に示すように、樹脂層にも熱非平衡である大気圧熱非平衡プラズマが照射されるので、物理的に樹脂表面を損傷させることなく、例えば、窒素酸化物に例えば−OH,−NH2 ,−COOH等の官能基が化学的に形成され、重ねて付着させられる樹脂との親和力が高められ、界面の接着強度が向上させられる。そのため、樹脂膜を確実に成長させて厚く形成し易くすることができ、樹脂を確実且つ強固に固体基材に固着できるようになる。
また、必要に応じ、上記コールドスプレー方法で用いるガスとして、空気を用いた構成としている。ヘリウムガス等と比較して安価にすることができる。また、ガスとして空気を用いると、大気圧熱非平衡プラズマ照射をしない場合には、粉末樹脂の固着状態が著しく悪く、そのため、空気を実質的に用いることができないが、大気圧熱非平衡プラズマ照射をすることにより、樹脂の付着する表面と樹脂との親和力が高められ界面の接着強度が向上させられることから、樹脂を確実且つ強固に固体基材に固着できるようになる。
更に、必要に応じ、上記大気圧熱非平衡プラズマの原料ガスに水素を含む構成としている。水素を含むことで、大気圧熱非平衡プラズマがより活性化し、固体表面には特にアミン系(−NH2 )の官能基の形成が促進され、固体表面と樹脂との親和力がより一層高められることから、界面の接着強度が向上させられ、樹脂の付着量を増して、確実且つ強固に固体基材に固着できるようになる。
更にまた、必要に応じ、上記コールドスプレー方法により噴射する樹脂粉末の表面にトリアジンチオール誘導体を結合させる処理を行なう粉末表面処理工程を備えた構成としている。これにより、粉末表面処理工程において、樹脂粉末の表面にトリアジンチオール誘導体を結合させる処理を行なう。そのため、樹脂に結合されたトリアジンチオール重合膜が、固体基材の表面に化学結合するようになり、樹脂の固着性が向上させられる。その理由は、トリアジンチオール重合膜の末端のチオール基は、固体との接合の際、固体から電子を授受する。電子が過剰となったトリアジンチオールは、トリアジン環に存在する水素を固体に供与し、すぐにチオール基はチイルラジカルとなる。チイルラジカルの形成は、固体表面との化学反応を促進すると考えられる。これにより、固体基材に対して樹脂がより一層確実且つ強固に固着される。
また、必要に応じ、上記粉末処理工程で、樹脂粉末に、量子ビームを照射し、該樹脂をトリアジンチオール誘導体を分散させた分散液に浸漬し、該樹脂表面にトリアジンチオール誘導体を結合させる構成としている。量子ビームは、広義には全ての電磁波および粒子線を示すが、ここでは、照射される樹脂に対して電離作用をもつものである。X線,γ線短波長の紫外線、高速荷電粒子線、高速中性子線などの放射線、電子線、イオンビームなどをいう。これにより、トリアジンチオール誘導体が確実に樹脂粉末に結合させられる。即ち、樹脂粉末に量子ビームを照射すると、その樹脂表面は活性化する。その理由は、量子ビームが照射された樹脂表面は、電子を放出しイオンになったり、分解してラジカルを生成したりする。生成したイオンやラジカルが反応開始剤として作用し、イオン重合あるいはラジカル重合を開始し易くなるからである。また、量子ビームを照射した樹脂表面は活性化するので、分散液中で、樹脂表面にはトリアジンチオールが確実に結合していく。量子ビームを照射された樹脂表面は、電子を放出しイオンになったり、分解してラジカルを生成したりする。生成したイオンやラジカルが反応開始剤として作用する。溶媒中のトリアジンチオール誘導体は、樹脂表面の反応開始剤によって、チイルラジカルを形成する。チイルラジカルは、樹脂表面上で、ジスルフィド結合、あるいはアリル基への付加により、アリル基の2重結合開裂反応を引き起こす。このようにチイルラジカルとのカップリングや他の分子のアリル基への付加反応などを引き起こし、樹脂表面に化学反応した重合膜を形成すると考えられる。
また、上記目的を達成するための本発明の樹脂皮膜の形成システムは、機台のテーブルに設置された固体基材の表面に樹脂粉末を固着させて樹脂皮膜を形成する樹脂皮膜の形成システムにおいて、
上記固体基材の表面に原料ガスをプラズマ化して生成される大気圧熱非平衡プラズマを照射する照射ノズルを有した大気圧プラズマ装置と、上記樹脂粉末を該樹脂粉末の融点より低い温度に加温したガスに投入し該ガスを亜音速ないし超音速流にして上記固体基材の表面に噴射ノズルから噴射して該固体基材の表面に樹脂を付着するコールドスプレー装置とを備え、
上記照射ノズル及び噴射ノズルをこれらの噴射口が上記テーブル上の固体基材の表面に対峙し且つ互いに所定間隔離間するように保持するノズル保持部と、該ノズル保持部を上記固体基材の表面に沿うXYの平面方向に対して相対移動させる移動機構と、上記固体基材の対象部位に先に照射ノズルから大気圧熱非平衡プラズマを照射した後上記噴射ノズルから上記対象部位に対して樹脂粉末を噴射するように上記移動機構,上記大気圧プラズマ装置及びコールドスプレー装置を制御する制御部とを備えた構成としている。
これにより、固体基材に樹脂被膜を形成するときは、制御部が移動機構,大気圧プラズマ装置及びコールドスプレー装置を制御し、ノズル保持部をテーブル上の固体基材の表面に沿うXYの平面方向に対して相対移動させながら、照射ノズルから固体基材の表面の対象部位に大気圧熱非平衡プラズマを照射するとともに噴射ノズルからこの固体基材の表面の対象部位に樹脂粉末を噴射する。例えば、先ず、ノズル保持部をX方向の一方向に移動し、この際に、照射ノズルから大気圧熱非平衡プラズマを照射する。次に、大気プラズマの照射幅の分、あるいは、それ以下の幅の分、Y方向の一方向(噴射ノズルから照射ノズルに向かう方向)にノズル保持部を移動し、それから、ノズル保持部をX方向の他方向に移動する。次にまた、大気プラズマの照射幅の分、あるいは、それ以下の幅の分、Y方向の一方向(噴射ノズルから照射ノズルに向かう方向)にノズル保持部を移動し、それから、ノズル保持部をX方向の一方向に移動する。このようにして、大気圧熱非平衡プラズマをX方向に帯状に照射し、Y方向にこの帯状の照射部位が縞状になるようにノズル保持部を移動させる。そして、この移動の際に、大気圧熱非平衡プラズマの照射部位に噴射ノズルが対峙するときに、噴射ノズルから樹脂粉末を噴射する。このようにして順次ノズル保持部の移動,照射及び噴射を行うと、樹脂の被膜がX方向に帯状になり、Y方向にこの帯が縞状になって付着させられていく。そのため、樹脂の被膜形成を自動的に行うことができるようになるとともに、大気圧熱非平衡プラズマ及び樹脂粉末を同時照射及び噴射を可能にし、樹脂の付着効率を向上させることができる。
この場合、上述したように、大気圧熱非平衡プラズマが照射された表面においては、例えば、窒素酸化物に−OH,−NH2 ,−COOH等の官能基が化学的に形成され、樹脂との親和力が高められ、界面の接着強度が向上させられる。そのため、コールドスプレー方法に用いるガスが、例えば、窒素,ヘリウムなど通常用いられているガスは勿論のこと、空気であっても確実に付着が行われ、樹脂を確実且つ強固に固体基材に固着できるようになる。また、ガスとして、空気を用いた場合には、ヘリウムガス等と比較して安価であり、経済効果も奏する。
本発明によれば、樹脂が付着する対象部位には大気圧熱非平衡プラズマが照射されているので、例えば、窒素酸化物に−OH,−NH2 ,−COOH等の官能基が化学的に形成され、樹脂との親和力が高められ、界面の接着強度が向上させられる。そのため、コールドスプレー方法に用いるガスが、例えば、窒素,ヘリウムなど通常用いられているガスは勿論のこと、空気であっても確実に樹脂の付着が行われ、樹脂を確実且つ強固に固体基材に固着できるようになる。また、ガスとして、空気を用いた場合には、ヘリウムガス等と比較して安価であり、経済効果も奏する。
本発明の実施の形態に係る樹脂皮膜の形成方法を示す工程図である。 本発明の樹脂皮膜の形成方法において、大気圧熱非平衡プラズマ照射による樹脂の付着原理を示す図である。 本発明の実施の形態に係る樹脂皮膜の形成方法で用いる電子線照射装置を示す図である。 本発明の実施の形態に係る樹脂皮膜の形成方法で用いる本発明の実施の形態に係る樹脂被膜の形成システムの概略を示す図である。 本発明の実施の形態に係る樹脂被膜の形成システムの要部を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る樹脂被膜の形成システムにおいて、照射ノズル及び噴射ノズルの固体基材に対する移動制御について示す固体基材の平面図である。 本発明の実施の形態に係る樹脂被膜の形成システムによって固体基材に樹脂を付着させた状態を示す固体基材の断面図である。 実験例に係り、大気圧熱非平衡プラズマ処理を行わない固体基材について、コールドスプレーをその作動ガスとしてヘリウムガスと空気とで行ったときの樹脂皮膜厚の測定結果を示すグラフ図である。 実験例に係り、大気圧熱非平衡プラズマ処理の有無による樹脂皮膜厚を比較して示すグラフ図である。 実験例に係り、大気圧熱非平衡プラズマ処理の有無による樹脂皮膜の形成状態を比較して示す固体基材の表面の光学顕微鏡写真である。 実験例に係り、固体基材に付着した樹脂被膜の耐久試験の方法を示す図である。 実験例に係り、大気圧熱非平衡プラズマ処理の有無による樹脂皮膜の耐久性(離型荷重の測定結果)について比較して示すグラフ図である。 実験例に係り、コールドスプレーによる樹脂の繰り返し噴射と樹脂皮膜厚との関係を大気圧熱非平衡プラズマ処理の有無で比較して示すグラフ図である。 実験例に係り、大気圧熱非平衡プラズマ処理及びコールドスプレーの繰り返し回数の違いによる固体基材の断面を比較して示す光学顕微鏡写真である。 実験例に係り、大気圧熱非平衡プラズマ処理を行わない固体基材において、コールドスプレーの繰り返し回数の違いによる固体基材の表面を比較して示す光学顕微鏡写真である。 実験例に係り、大気圧熱非平衡プラズマ処理及びコールドスプレーの繰り返し回数の違いによる固体基材の表面を比較して示す光学顕微鏡写真である。 実験例に係り、大気圧熱非平衡プラズマの原料ガスの違いによる樹脂皮膜厚の測定結果を比較して示すグラフ図である。 本発明の実施の形態に係る樹脂皮膜の形成方法において、大気圧熱非平衡プラズマ処理及びコールドスプレーの別の例を示す図である。
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る樹脂皮膜の形成方法及び樹脂皮膜の形成システムについて詳細に説明する。
実施の形態に係る樹脂粉末の基本的形成方法は、図1に示すように、先ず、固体基材Kの対象部位に原料ガスをプラズマ化して生成される大気圧熱非平衡プラズマを照射し、次に、コールドスプレー方法を用い、樹脂粉末Wを、その融点より低い温度に加温したガスに投入し、ガスを亜音速ないし超音速流にして固体基材Kに対して噴射して、固体基材Kの表面に樹脂を付着する。必要に応じ、大気圧熱非平衡プラズマの照射とコールドスプレー方法による樹脂粉末Wの噴射とは、繰り返し行う。その後、固体基材Kに付着された樹脂を加温処理(熱処理)する。
本発明の実施の形態に係る樹脂被膜の形成方法が対象とする樹脂としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の何れでも良く、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレンなどの炭化水素系樹脂,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン、四フッ化ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),4フッ化エチレン・6フッ化ポリピレン共重合体(FEP),4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)の何れかの含フッ素樹脂などの含ハロゲン系樹脂,ナイロン等のポリアミド型樹脂、ポリアセタールなどのポリエーテル樹脂,ポリサルホン、ポリカーボネートポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸系樹脂などが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、ポリイミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,ポリエーテルイミド樹脂,エポキシ樹脂,メラミン樹脂,シリコン樹脂,フラン樹脂などが挙げられる。
樹脂粉末Wの平均径Dは、D=5μm〜1mmの範囲である。望ましくは、平均径DがD=10μm〜500μmの範囲である。より望ましくは平均径DがD=10μm〜200μmの範囲である。数μmの微細な粉末は、粉末自体の凝集が起こり易く、後述の溶媒への均一分散が困難である。また、大きすぎると、粉末の改質面積の比率が小さくなり、皮膜形成時の固着強度が得られ難い。また、後述のコールドスプレーの装置において、微細な粉末は、粉末自体の凝集が起こり易く、大きいと目詰まりを生じやすくなり、供給が不安定になる。均一な粉末供給により、安定した皮膜が得られる。
また、固体基材Kとしては、鉄,銅,ニッケル,錫,鉛,コバルト,チタン,アルミニウム,クロム,金,銀,白金,パラジウム,亜鉛の何れかの金属、鋳鉄,ステンレス,パーマロイ,黄銅,リン青銅,キュプロニッケルなどの合金、あるいはこれら金属の酸化物、リン酸塩処理金属、クロム酸塩処理金属等が挙げられる。
更に、本発明の実施の形態に係る樹脂皮膜の形成方法においては、樹脂粉末Wの表面にトリアジンチオール誘導体を結合させる処理を行なう粉末表面処理工程を備えている。この粉末表面処理工程は、樹脂粉末Wに量子ビームを照射し、次に、樹脂粉末Wをトリアジンチオールを分散させた分散液に浸漬して樹脂表面にトリアジンチオールを結合させ、その後、トリアジンチオールを結合させた樹脂粉末Wを乾燥する。
先ず、樹脂表面への量子ビームの照射においては、量子ビームとして、電子線を用いた。図3に示すように、電子線照射装置1は、フィラメントで加熱される電子線発生部2を配し、高真空で封止した構造である。熱カソードで発生した電子は、照射窓との間の電位差(例えば加速電圧60kV)によって加速され、窓を透過して、照射室3の樹脂Wに電子線を照射する。電子線の照射線量は、30〜200kGyの範囲にした。
詳しくは、改質に用いる粉末を透明袋へ投入し、10Pa程度に真空引きし、シーラーで密封した。粉末Wの入った透明袋(図示せず)を、1回の吸収線量が約20kGyに設定した電子線発生部2の下で、照射室3内で搬送装置4により所定回数通過させ、電子線を照射して照射吸収線量を調整した。
次に、量子ビームを照射した樹脂を、トリアジンチオール誘導体を分散させた分散液に浸漬して樹脂表面にトリアジンチオールを結合した。10〜45℃とした分散液に樹脂を8時間以上浸漬処理した。
トリアジンチオール誘導体は、下記の一般式で示されるトリアジンジチオール誘導体から選択した。
式中、R1 は、CH2=CHCH2−, CH2=CH−(CH28−, CH2=CH−(CH29−, CH2=CH(CH24COOCH2CH2−, CH2=CH(CH28COOCH2CH2−,CH2=CH(CH29COOCH2CH2−,の何れかであり、R2 はCH2=CHCH2−, CH2=CH−(CH28−, CH2=CH−(CH29−, CH2=CH(CH24COOCH2CH2−, CH2=CH(CH28COOCH2CH2−,CH2=CH(CH29COOCH2CH2−,の何れかである。また、MはH,Li, Na, K, Ceの何れかからなるアルカリである。
トリアジンチオール誘導体を分散させた分散液は、6−アリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール-ナトリウム塩を0.5gを秤量し、500mlの水溶液とした。十分に攪拌して、溶解した分散処理液を準備した。この処理液は、室温に1時間放置し、23℃であることを確認した。照射した樹脂を、この処理液に入れ、攪拌しながら1昼夜(12時間)放置した。ここで1度処理した液は、廃棄した。
最後に、トリアジンチオールを結合させた樹脂粉末Wを乾燥する。この樹脂乾燥は、先ず、分散液を濾紙でろ過し、樹脂粉末Wと液を分離した。それから、濾紙上の樹脂粉末Wを、真空乾燥機にて10Pa程度まで真空引きし、約40℃にて4時間行なった。
そして、本発明の実施の形態に係る樹脂皮膜の形成方法においては、図4及び図5に示すように、本発明の実施の形態に係る樹脂皮膜の形成システムSを用いる。これは、樹脂粉末Wを固体基材Kの表面に固着させて樹脂皮膜を形成するものである。
樹脂皮膜の形成システムSにおいて、機台10に、固体基材Kが設置されるテーブル11を備えている。また、この樹脂皮膜の形成システムSは、固体基材Kの表面に原料ガスをプラズマ化して生成される大気圧熱非平衡プラズマを照射する大気圧プラズマ装置20と、樹脂粉末Wをその樹脂粉末Wの融点より低い温度に加温したガスに投入し、ガスを亜音速ないし超音速流にして固体基材Kの表面に噴射してこの固体基材Kの表面に樹脂を付着するコールドスプレー装置30とを備えている。
大気圧プラズマ装置20は、図4に示すように、原料ガスを供給する原料ガス供給部21と、原料ガスをプラズマ化して生成される大気圧熱非平衡プラズマを照射する照射ノズル22と、照射ノズル22の高周波高圧電源を備え原料ガス供給部21からの原料ガスをコントロールして照射ノズル22に送給する制御器23とを備えて構成されている。
原料ガス供給部21は、原料ガスとしての窒素,窒素と水素(5%)の混合ガス,窒素と水素(20%)の混合ガス等を夫々独立して供給可能なガスボンベ群24と、原料ガスとしての空気を供給するするコンプレッサ25とを備えている。これらのガスボンベ及びコンプレッサ25は何れかが選択されて供給管を通して制御器23に送られる。実施の形態では、窒素と水素(20%)の混合ガスを選択している。
照射ノズル22は、例えば、低圧中のグロー放電により、大気圧熱非平衡プラズマを照射する。
コールドスプレー装置30は、図4に示すように、高圧の作動ガスを供給するガス供給部31と、ガス供給部31から供給されるガスを送給する主配管32と、主配管32の途中に設けられ作動ガスを樹脂粉末Wの融点または軟化温度よりも低い温度に加温するガス加熱器33と、主配管32から分岐された枝配管34と、枝配管34に介装され作動ガスにより樹脂粉末Wを搬送せしめる粉末供給装置35と、主配管32及び枝配管34が合流し枝配管34からの樹脂粉末Wを加温されたガスに投入させる粉末投入管36と、粉末投入管36に接続され固体基材Kに樹脂粉末Wをガスとともに吹き付ける噴射ノズル37とから構成されている。ガス供給部31は、原料ガスとしての窒素,ヘリウムガス等を夫々独立して供給可能なガスボンベ群38と、作動ガスとしての高圧空気を供給するコンプレッサ39とを備えている。これらのガスボンベ及びコンプレッサ39は何れかが選択されて供給管を通して制御器40に送られる。実施の形態では、空気を選択している。また、噴射ノズル37では作動ガス及び樹脂粉末Wは亜音速ないし超音速流となって噴出される。
また、樹脂皮膜の形成システムSは、図4及び図5に示すように、照射ノズル22及び噴射ノズル37をこれらの噴射口がテーブル11上の固体基材Kの表面に対峙し且つ互いに所定間隔離間するように保持するノズル保持部12と、ノズル保持部12を固体基材Kの表面に沿うXYの平面方向に対して相対移動させる移動機構13と、固体基材Kの対象部位に先に照射ノズル22から大気圧熱非平衡プラズマを照射した後、噴射ノズル37から対象部位に対して樹脂粉末Wを噴射するように移動機構13,大気圧プラズマ装置20及びコールドスプレー装置30を制御する制御部(図示せず)とを備えて構成されている。
実施の形態では、移動機構13は、図5に示すように、例えば、X−Y−Zの直交座標型ロボットで構成され、ロボットの作用部に照射ノズル22及び噴射ノズル37を備えたノズル保持部12が設けられている。
制御部は、実施の形態では、移動機構13,大気圧プラズマ装置20及びコールドスプレー装置30を制御し、ノズル保持部12を、テーブル11上の固体基材Kの表面に沿うXYの平面方向に対して相対移動させながら、照射ノズル22から固体基材Kの表面の対象部位に大気圧熱非平衡プラズマを照射するとともに噴射ノズル37からこの固体基材Kの表面の対象部位に樹脂粉末Wを噴射する。
詳しくは、図6及び図7に示すように、例えば、先ず、ノズル保持部12をX方向の一方向に移動し、この際に、照射ノズル22から大気圧熱非平衡プラズマを照射する。次に、大気プラズマの照射幅の分、あるいは、それ以下の幅の分(実施の形態では照射幅の半分のピッチL)、Y方向の一方向(噴射ノズル37から照射ノズル22に向かう方向R(図4))にノズル保持部12を移動し、それから、ノズル保持部12をX方向の他方向に移動する。次にまた、大気プラズマの照射幅の分、あるいは、それ以下の幅の分(実施の形態では照射幅の半分のピッチL)、Y方向の一方向(噴射ノズル37から照射ノズル22に向かう方向R(図4))にノズル保持部12を移動し、それから、ノズル保持部12をX方向の一方向に移動する。このようにして、大気圧熱非平衡プラズマをX方向に帯状に照射し、Y方向にこの帯状の照射部位が縞状になるようにノズル保持部12を移動させる。そして、この移動の際に、大気圧熱非平衡プラズマの照射部位に噴射ノズル37が対峙するときに、照射ノズル22の大気圧熱非平衡プラズマの照射と同時に噴射ノズル37から樹脂粉末Wを噴射する。このようにして順次ノズル保持部12の移動,照射及び噴射を行うと、樹脂の被膜がX方向に帯状になり、Y方向にこの帯が縞状になって付着させられていく。そのため、樹脂の被膜形成を自動的に行うことができるようになる。
即ち、実施の形態に係る樹脂粉末Wの形成方法は、先ず、固体基材Kの表面の対象部位に大気圧熱非平衡プラズマを照射する。それから、この固体基材Kの表面の対象部位にコールドスプレー方法により樹脂粉末Wを噴射する。この場合、図2(a)に示すように、対象部位には大気圧熱非平衡プラズマが照射されているので、例えば、窒素酸化物に−OH,−NH2 ,−COOH等の官能基が化学的に形成され、樹脂との親和力が高められ、界面の接着強度が向上させられる。そのため、コールドスプレー方法に用いるガスが、例えば、窒素,ヘリウムなど通常用いられているガスは勿論のこと、実施の形態で用いる空気であっても確実に付着が行われ、樹脂を確実且つ強固に固体基材Kに固着できるようになる。また、ガスとして、空気を用いるので、ヘリウムガス等と比較して安価であり、経済効果も奏する。
また、図2(b)に示すように、例えば、固体表面上の窒素酸化物に形成したアミン、アミド化合物等は、電子供与性の官能基であり、例えば、電子吸引性能があるフッ素樹脂等の樹脂粉末では、固体表面と樹脂表面では親和力が作用し付着を促進すると考えられる。さらに、引き続き行う加熱によりトリアジンジチオール重合膜の末端のチオール基は、固体との接合の際、固体から電子を授受する。電子が過剰となったトリアジンジチオールは、トリアジン環に存在する水素を固体に供与し、すぐにチオール基はチイルラジカルとなる。チイルラジカルの形成は、固体表面との化学反応を促進すると考えられる。これにより、固体基材に対して樹脂がより一層確実且つ強固に固着される。
また、実施の形態では、大気圧熱非平衡プラズマの照射とコールドスプレー方法による樹脂粉末Wの噴射とを、繰り返し行う。即ち、先ず、固体基材Kの表面の対象部位に大気圧熱非平衡プラズマを照射する。それから、この固体基材Kの表面の対象部位にコールドスプレー方法により樹脂粉末Wを噴射する。更に、この固体基材Kに付着された樹脂の表面に大気圧熱非平衡プラズマを照射する。それからまた、この表面にコールドスプレー方法により樹脂粉末Wを噴射する。このように、この大気圧熱非平衡プラズマ照射と樹脂粉末W噴射とを交互に2回以上行う。これにより、図2(c)に示すように、樹脂層にも大気圧熱非平衡プラズマが照射されるので、例えば、窒素酸化物に−OH,−NH2 ,−COOH等の官能基が化学的に形成され、重ねて付着させられる樹脂との親和力が高められ、界面の接着強度が向上させられる。そのため、樹脂膜を確実に成長させて厚く形成し易くすることができ、樹脂を確実且つ強固に固体基材Kに固着できるようになる。
また、この場合、コールドスプレー方法で用いるガスとして、空気を用いた構成としているので、ヘリウムガス等と比較して安価にすることができる。また、ガスとして空気を用いると、大気圧熱非平衡プラズマ照射をしない場合には、粉末樹脂の固着状態が著しく悪く、そのため、空気を実質的に用いることができないが、大気圧熱非平衡プラズマ照射をすることにより、樹脂の付着する表面と樹脂との親和力が高められ界面の接着強度が向上させられることから、樹脂を確実且つ強固に固体基材Kに固着できるようになる。
更に、大気圧熱非平衡プラズマの原料ガスに水素を含む構成としているので、水素を含むことで、大気圧熱非平衡プラズマがより活性化し、樹脂の付着する表面と樹脂との親和力がより一層高められることから、界面の接着強度が向上させられ、樹脂の付着量を増して、確実且つ強固に固体基材Kに固着できるようになる。
最後に、固体基材Kに付着された樹脂を加温処理する。熱処理雰囲気は、大気あるいは真空中等適宜に設定してよい。熱源としては、抵抗加熱型のヒータ,加熱ランプなど、適宜のものが用いられる。実施の形態では、ヒータプレートに固体基材Kを載せて加温した。
熱処理温度は、樹脂と固体基材Kとの界面において、トリアジンチオール誘導体の化学反応に適した温度に設定される。
熱処理温度は280℃以下で、樹脂粉末Wの変形が起こる温度が適宜選択される。粉末樹脂温度が変形する温度により表面のトリアジンチオール誘導体が会合しやすくなり界面で、化学反応しやすくなると考えられる。熱処理温度が280℃以上では、トリアジンチオール誘導体が分解することから、処理温度として好ましくない。
加温時間は、界面での化学反応に必要な時間が設定される。例えば、含フッ素樹脂での熱処理温度は、230℃〜270℃、処理時間は30分程度が好ましい。
これにより、図4に示すように、これらの樹脂粉末Wにはトリアジンチオール誘導体が結合されているので、このトリアジンチオール誘導体が固体基板と、あるいは樹脂粉末間で化学結合し、結合強度が向上させられ、固着性の向上が図られた。
更に、樹脂粉末Wを低温噴射(コールドスプレー)により固体基材Kに付着させ、その後、熱処理するので、樹脂に過剰な熱負荷をかけなくてもすむことから、樹脂の劣化をできるだけ抑止することができるとともに、固体基材Kに確実に固着できるようになった。この結果、皮膜が形成された固体基材Kは、金属基板に防汚、防錆あるいは離型性等に優れたものとなる。
次に、実験例について示す。尚、各実験例では、大気圧熱非平衡プラズマの照射ノズル22と、樹脂粉末Wの噴射ノズル37とは、夫々、別の移動機構13で個別に移動を行った(図18参照)。
[実験例1]
実験例1では、樹脂として、平均径DがD=150μm(粒径範囲:100〜200μm)の4フッ化エチレン・6フッ化ポリピレン共重合体(FEP)の粉末を用いた。
改質に用いる粉末を透明袋へ投入し、10Pa程度に真空引きし、シーラーで密封した。粉末の入った透明袋を1回の吸収線量が約20kGyに設定した電子線照射装置1に入れ、電子線照射管1の下にある搬送装置のついた照射室3を2回通過させ、電子線を照射した。このときの実際の照射吸収線量は、37kGyであった。また、電子線照射は、外部委託処理した。
それから、電子線照射した樹脂粉末Wを、それぞれ6−アリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール-モノナトリウム塩の水溶液(0.5g/l、温度 23℃ )に一昼夜(12時間)浸漬し、その後、エタノールで洗浄し、乾燥して改質樹脂粉末Wを得た。
固体基材Kとしては、ステンレスにハードクロムめっきした基板を用いた。固定基材の大きさは、50×50mm、厚さ0.5mmとした。
そして、この固定基材をエタノール洗浄し、これに対して、大気圧熱非平衡プラズマ処理を行わないで、コールドスプレーを、その作動ガスとして、ヘリウムと空気の夫々について行った。
コールドスプレーにおいて、粉末供給量は、供給器からの1分間当たりの粉末落下重量を計測し、2g/分の供給量に調整した。噴射ノズル37と固体基材Kとの距離は30mmとした。キャリアガス(作動ガス)の圧力は、ヘリウムでは、ガスボンベの元栓を開け、圧力調整器により調節した。空気では、コンプレッサで高圧化したガスを圧力調整器により調節した。
そして、図8に示すように、キャリアガスの圧力を順次変えて、予め準備した固体基材Kに噴射し、コールドスプレー皮膜を得た。圧力を変えて得られたスプレー粒子速度は、レーザー検出による速度計測器により計測した。
そして、得られたコールドスプレー皮膜厚を測定した、結果を、図8に示す。この結果から、空気では、粒子速度が得られないことに起因し、未処理の固体基板に対しては、ヘルリウムガスに比べて1/4程度と粉末樹脂の固着状態が著しく悪く、空気を実質的に用いることができないことが分かった。
[実験例2]
実験例2は、固体基材Kとして、ステンレスにハードクロムめっきした基板を用い、
(1)エタノール洗浄(未処理基板と呼ぶ)のみのもの
(2)大気圧熱非平衡プラズマ処理をしたもの
(3)ブラスト処理をしたもの
の3種類用意した。
プラズマ処理は、市販の装置(日本プラズマトリート株式会社製)を用い、原料ガスとしての空気を用いた。圧力を0.3Pa、電圧を230V、電流を2.3Aでえられる熱非平衡プラズマを100mm/s、ピッチ2mm、距離10mmで走査し、基板表面を処理した。
また、ブラスト処理は、市販の装置(不二製作所株式会社製)を用い、研磨粉は、平均粒径が約2μmのゴム状弾性体にSiCが混合されたものを用いた。圧縮空気の圧力を60KPaとして、約20mm程度の距離で2分間、基板表面に均一に照射して処理を行った。
コールドスプレーは以下のとおり行なった。粉末供給量は、供給器からの1分間当たりの粉末落下重量を計測し、2.0g/minに調整した。作動ガスとして空気を用い、圧力は、ガスボンベの元栓を開け、圧力調整器により800KPaとした。キャリアガス温度145℃、スプレーノズル角度60度、トラバース速度200mm/sec、ノズル基板距離30mm、ピッチ1.0mmとして、パス数を1回として基板に粉末を噴射し膜形成を行った。
そして、各試料について、樹脂皮膜厚を測定した、結果を図9に示す。この結果から、エタノール洗浄のみの未処理基板では約1.8μm、大気圧熱非平衡プラズマ処理基板では、約3.7μm、そしてブラスト処理基板では約1.6μmであり、大気圧熱非平衡プラズマ処理が有効であることが分かる。
また、図10に、樹脂皮膜の形成状態を比較して示す固体基材Kの表面の光学顕微鏡写真を示す。この結果から、写真で黒く見える部分が樹脂皮膜を示し、真ん中写真の大気圧熱非平衡プラズマ処理基板が他の基板に比べて面内に均一に樹脂皮膜が付着していることが分かる。
更に、図11に示すように、各試料について樹脂被膜の剥離試験を行った。この試験は、ホットプレートで160℃に加熱した離型膜形成基板上にエポキシ樹脂(日東電工株式会社製NT−600)を置き、2分間加熱した。2分後ホットプレートから離型膜形成基板を取り出して空冷した。室温になったところでエポキシ樹脂が離反する荷重を計測した。これを繰り返し行い、離反する荷重が5N以上となったら接着したと判断して、試験を中止した。
結果を図12に示す。この結果から、大気圧熱非平衡プラズマ処理をしたものは、300回以上離反しているのに比べ、未処理基板では52回で接着し、ブラスト処理基板では3回で接着したことがわかる。このことから、大気圧熱非平衡プラズマ処理基板に形成した樹脂皮膜が固体基材Kに強固に付着したことが分かる。
[実験例3]
実験例3は、コールドスプレーによる樹脂の繰り返し噴射と樹脂皮膜厚との関係を大気圧熱非平衡プラズマ処理の有無で比較した。
固体基材Kとして、ステンレスにハードクロムめっきした基板(50×50mm、厚さ0.5mm)を用いた。
プラズマ処理は、市販の装置(日本プラズマトリート株式会社製)を用い、原料ガスとしてのコンプレッサで圧縮した空気を用いた。圧力を0.3Pa、電圧を230V、電流を2.3Aで得られる熱非平衡プラズマを100mm/s、ピッチ2mm、ノズル−基板の距離を10mmの間隔とし走査する条件で行った。
コールドスプレーは以下のとおり行なった。
粉末供給量は、供給器からの1分間当たりの粉末落下重量を計測し、2.0g/minに調整した。作動ガスとして空気を用い、圧力は、ガスボンベの元栓を開け、圧力調整器により800KPaとした。キャリアガス温度145℃、スプレーノズル角度60度、トラバース速度200mm/sec、ノズル基板距離30mm、ピッチ1.0mmとして、パス数を1回として基板に粉末を噴射し膜形成を行った。
そして、各試料について、大気圧熱非平衡プラズマ処理とコールドスプレーを繰り返し、膜形成回数ごとに、樹脂皮膜厚を測定した、結果を図13に示す。この結果から、大気圧熱非平衡プラズマ処理を行わないと8回の繰り返しで約2μmであったが、大気圧熱非平衡プラズマ処理とコールドスプレーを繰り返すと膜形成しやすく、特に2回目以降に急激に膜厚が増加することがわかる。
2回目で基板全面に樹脂皮膜が形成され、樹脂皮膜上では、粉末の衝突緩和により、より膜形成が促進しやすいと考えられる。
また、図14に、大気圧熱非平衡プラズマ処理及びコールドスプレーの繰り返し回数の違いによる固体基材Kの断面を比較して示す電子顕微鏡写真を示す。この結果から、膜厚は2回で約0.5μm、4回で約5.5μm、および8回では約18μmの膜厚が得られたことが分かる。
図15には、大気圧熱非平衡プラズマ処理を行わない固体基材Kにおいて、コールドスプレーの繰り返し回数の違いによる固体基材Kの表面を比較して示す光学顕微鏡写真を示す。
図16には、大気圧熱非平衡プラズマ処理及びコールドスプレーの繰り返し回数の違いによる固体基材Kの表面を比較して示す光学顕微鏡写真を示す。
写真で黒く見える部分が樹脂皮膜を示す。この結果から、大気圧熱非平衡プラズマ処理を行わない固体基材では、8回の繰り返しでも固体基板が確認され、面内全体に樹脂皮膜が形成されていないことが分かる。
大気圧熱非平衡プラズマ処理およびコールドスプレーを繰り返した場合は、2回目で樹脂皮膜が固体表面を覆っている。このことから、基板全面に均一に樹脂皮膜が形成されていることがわかる。
[実験例4]
実験例4は、大気圧熱非平衡プラズマの原料ガスの違いによる樹脂皮膜厚の違いを見た。
大気圧熱非平衡プラズマ処理は、市販の装置(日本プラズマトリート株式会社製)を用い、原料ガスは、圧縮空気および市販のボンベに入ったガスを用いた。市販原料ガスは、窒素(N2 )、5%水素が混合された窒素、20%水素が混合された窒素を用いた。それぞれガス圧力を0.3Pa、電圧を230V、電流を2.3Aで得られる熱非平衡プラズマを100mm/s、ピッチ2mm、ノズル−基板の距離を10mmの間隔とし走査する条件で行った。比較として大気圧熱非平衡プラズマ処理を実施しないものを準備した。
樹脂皮膜厚の測定結果を図17に示す。この結果から、窒素ガス単独よりも水素を含む原料ガスの方が、樹脂皮膜の付着効率を高めることが分かった。原料ガスに水素を含むことで、大気圧熱非平衡プラズマがより活性化し、固体表面には特にアミン系(−NH2 )の官能基の形成が促進され、固体表面と樹脂との親和力がより一層高められることから、界面の接着強度が向上させられ、樹脂の付着量を増して、確実且つ強固に固体基材に固着できるようになったと考察される。空気の場合には、水素はもとより水分が含まれていることから、固体表面のアミン系(−NH2 )官能基が形成され同様の効果がみられたと考えられる。
尚、上記実施の形態では、大気圧熱非平衡プラズマを照射する照射ノズル22と樹脂粉末Wを噴射する噴射ノズル37とをノズル保持部12に保持して、移動機構13で移動制御し、同時照射及び噴射を可能にしたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、図18に示すように、先に、照射ノズル22で大気圧熱非平衡プラズマを固体基材Kの全面に照射し、次に、噴射ノズル37で樹脂粉末Wを固体基材Kの全面に噴射するようにしても良く、適宜変更して差し支えない。
本発明によれば、各種金型表面へ離型膜形成、塗装冶具への離反膜形成、各種工業製品への非粘着膜形成等、種々の分野への有効利用が可能になる。
K 固体基材
P 大気圧熱非平衡プラズマ
W 樹脂粉末
1 電子線照射装置
S 樹脂皮膜の形成システム
10 機台
11 テーブル
12 ノズル保持部
13 移動機構
20 大気圧プラズマ装置
21 原料ガス供給部
22 照射ノズル
23 制御器
24 ガスボンベ群
25 コンプレッサ
30 コールドスプレー装置
31 ガス供給部
32 主配管
33 ガス加熱器
34 枝配管
35 粉末供給装置
36 粉末投入管
37 噴射ノズル
38 ガスボンベ群
39 コンプレッサ
40 制御器

Claims (7)

  1. 樹脂粉末を固体基材の表面に固着させて樹脂皮膜を形成する樹脂皮膜の形成方法であって、樹脂粉末を、コールドスプレー方法を用い、該樹脂粉末の融点より低い温度に加温したガスに投入し該ガスを亜音速ないし超音速流にして固体基材に対して噴射して該固体基材の表面に樹脂を付着し、その後、上記固体基材に付着された樹脂を加温処理する樹脂皮膜の形成方法において、
    上記コールドスプレー方法により樹脂粉末を噴射する前に、上記固体基材の対象部位に原料ガスをプラズマ化して生成される大気圧熱非平衡プラズマを照射することを特徴とする樹脂皮膜の形成方法。
  2. 上記大気圧熱非平衡プラズマの照射と上記コールドスプレー方法による樹脂粉末の噴射とを、繰り返し行うことを特徴とする請求項1記載の樹脂皮膜の形成方法。
  3. 上記コールドスプレー方法で用いるガスとして、空気を用いたことを特徴とする請求項1または2記載の樹脂皮膜の形成方法。
  4. 上記大気圧熱非平衡プラズマの原料ガスに水素を含むことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の樹脂皮膜の形成方法。
  5. 上記コールドスプレー方法により噴射する樹脂粉末の表面にトリアジンチオール誘導体を結合させる処理を行なう粉末表面処理工程を備えたことを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の樹脂皮膜の形成方法。
  6. 上記粉末処理工程で、樹脂粉末に、量子ビームを照射し、該樹脂をトリアジンチオール誘導体を分散させた分散液に浸漬し、該樹脂表面にトリアジンチオール誘導体を結合させることを特徴とする請求項5記載の樹脂皮膜の形成方法。
  7. 機台のテーブルに設置された固体基材の表面に樹脂粉末を固着させて樹脂皮膜を形成する樹脂皮膜の形成システムにおいて、
    上記固体基材の表面に原料ガスをプラズマ化して生成される大気圧熱非平衡プラズマを照射する照射ノズルを有した大気圧プラズマ装置と、上記樹脂粉末を該樹脂粉末の融点より低い温度に加温したガスに投入し該ガスを亜音速ないし超音速流にして上記固体基材の表面に噴射ノズルから噴射して該固体基材の表面に樹脂を付着するコールドスプレー装置とを備え、
    上記照射ノズル及び噴射ノズルをこれらの噴射口が上記テーブル上の固体基材の表面に対峙し且つ互いに所定間隔離間するように保持するノズル保持部と、該ノズル保持部を上記固体基材の表面に沿うXYの平面方向に対して相対移動させる移動機構と、上記固体基材の対象部位に先に照射ノズルから大気圧熱非平衡プラズマを照射した後上記噴射ノズルから上記対象部位に対して樹脂粉末を噴射するように上記移動機構,上記大気圧プラズマ装置及びコールドスプレー装置を制御する制御部とを備えたことを特徴とする樹脂皮膜の形成システム。
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