JP2014146935A - 撮像装置およびその制御プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】撮像装置において、省電力で使用者の所望の光学LPF効果を得ることができ、かつ撮像したいシーンの素早い撮像をも可能とする。
【解決手段】撮像装置100は、撮影光学系101により形成された被写体像を光電変換する撮像素子252と、撮影光学系と撮像素子との間に配置され、撮影光学系からの光を拡散させる拡散手段253と、拡散手段を撮像素子に対して近づく側および離れる側に移動させる駆動手段254と、使用者に拡散手段による光学ローパスフィルタ効果に関する設定のための操作を行わせる設定手段196,192と、拡散手段を光学ローパスフィルタ効果に関する設定に応じた位置に移動させるよう駆動手段を動作させる制御手段109とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】撮像装置100は、撮影光学系101により形成された被写体像を光電変換する撮像素子252と、撮影光学系と撮像素子との間に配置され、撮影光学系からの光を拡散させる拡散手段253と、拡散手段を撮像素子に対して近づく側および離れる側に移動させる駆動手段254と、使用者に拡散手段による光学ローパスフィルタ効果に関する設定のための操作を行わせる設定手段196,192と、拡散手段を光学ローパスフィルタ効果に関する設定に応じた位置に移動させるよう駆動手段を動作させる制御手段109とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置に関し、特に光学ローパスフィルタ効果を得るための拡散板を備えた撮像装置に関する。
撮像装置には、モアレや偽色の発生を予防するために水晶等で製造された光学ローパスフィルタ(以下、光学LPFと記す)を有するものがある。ただし、光学LPFは本来、高解像度で撮像したい被写体像における低周波数域の部分の解像度を低下させるため、モアレや偽色が発生しない状況では光学LPFを使用せずに撮像が可能であることが好ましい。
特許文献1には、光学LPFのカットオフ周波数を段階的に変化させながら複数回の撮像を行ってカットオフ周波数をモアレが生じないように最適化する撮像装置が開示されている。この撮像装置では、カットオフ周波数の最適化後に本撮像を行うことで、モアレを抑制しつつ良好な解像度での撮像を可能とする。
しかしながら、特許文献1にて開示された撮像装置では、光学LPFのカットオフ周波数を変化させた状態を維持するために電力が必要になる。しかも、常に本撮像の前に複数回の撮像を行う必要があるので、使用者が撮像したいシーンを素早く本撮像することができないという欠点がある。
本発明は、省電力で使用者の所望の光学LPF効果を得ることができ、撮像したいシーンの素早い撮像をも可能な撮像装置を提供する。
本発明の一側面としての撮像装置は、撮影光学系により形成された被写体像を光電変換する撮像素子と、撮影光学系と撮像素子との間に配置され、撮影光学系からの光を拡散させる拡散手段と、拡散手段を撮像素子に対して近づく側および離れる側に移動させる駆動手段と、使用者に拡散手段による光学ローパスフィルタ効果に関する設定のための操作を行わせる設定手段と、拡散手段を光学ローパスフィルタ効果に関する設定に応じた位置に移動させるよう駆動手段を動作させる制御手段とを有することを特徴とする。
また、本発明の他の一側面としての撮像装置の制御プログラムは、撮影光学系により形成された被写体像を光電変換する撮像素子と、撮影光学系と撮像素子との間に配置され、撮影光学系からの光を拡散させる拡散手段と、拡散手段を撮像素子に対して近づく側および離れる側に移動させる駆動手段と、使用者に前記拡散手段による光学ローパスフィルタ効果に関する設定のための操作を行わせる設定手段とを有する撮像装置のコンピュータに、 設定手段による光学ローパスフィルタ効果に関する設定を判定する処理と、拡散手段を光学ローパスフィルタ効果に関する設定に応じた位置に移動させるよう駆動手段を動作させる処理とを行わせることを特徴とする。
本発明によれば、省電力で使用者の所望の光学LPF効果を得ることが可能な撮像装置を実現できる。しかも、使用者が撮像したいシーンを素早く撮像することも可能である。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の実施例である撮像装置としてのデジタルスチルカメラ(以下、単にカメラという)100と、該カメラ100に対して取り外し可能に装着された交換レンズ102とを含むカメラシステムの電気的構成を示している。また、図2には、カメラ100における撮像素子およびその周辺の構成を示している。さらに、図3には、カメラ100を背面から見て示している。
カメラシステムは、撮像系、画像処理系、記録再生系および制御系を有する。撮像系は、交換レンズ102に設けられた撮影光学系101とカメラ100に設けられた撮像素子252とにより構成されている。画像処理系は、カメラ100に設けられたカメラCPU109に含まれた画像処理部109aにより構成されている。また、記録再生系は、カメラ100に設けられたメモリ197と表示部258とにより構成されている。制御系は、カメラCPU109と、交換レンズ102に設けられたレンズCPU103、ズームレンズ駆動部111およびAFレンズ駆動部121により構成されている。
撮影光学系101は、被写体からの光に被写体像を形成させ、CMOSセンサ又はCCDセンサにより構成された撮像素子252はその撮像面上に形成された被写体像を光電変換する。撮影光学系101は、ズームレンズ110を有する。ズームレンズ110は、振動型モータやステッピングモータ等のアクチュエータを駆動源とするズームレンズ駆動部111によって光軸Iに沿った方向である光軸方向に移動される。ズームレンズ電圧ドライバ113は、ズームレンズ駆動部111の駆動を制御するための電圧を発生する。ズーム位置検出部112は、光軸方向でのズームレンズ110の位置(ズーム位置)を検出するズームエンコーダである。ズーム位置検出部112は、ズーム位置、つまりは撮影光学系101の焦点距離に応じたパルス信号をズームレンズ制御部105に出力する。
ズームレンズ制御部105は、ズームレンズ駆動部111を制御し、使用者がカメラ100もしくはレンズ102に設けられた不図示のズームスイッチにより設定した焦点距離が得られる光軸方向での位置にズームレンズ110を移動させる。この際、ズームレンズ制御部105は、ズーム位置検出部112が出力する、ズームレンズ110の現在位置を示すパルス信号を取り込む。ズームレンズ制御部105は、使用者が設定した焦点距離が得られるズームレンズ110の目標位置と現在位置とに基づいてズーム駆動信号(電圧値)を演算し、このズーム駆動信号をズームレンズ電圧ドライバ113に出力する。
ズームレンズ電圧ドライバ113は、入力されたズーム駆動信号に応じてズームレンズ駆動部111に電力を供給する。ズームレンズ電圧ドライバ113は、ズーム駆動信号に対してスイッチングを行い、ズームレンズ駆動部111に電圧を印加してズームレンズ駆動部111を駆動する。
また、撮影光学系101は、AFレンズ120を有する。AFレンズ120は、振動型モータやステッピングモータ等のアクチュエータを駆動源とするAFレンズ駆動部121によって光軸方向に移動される。AFレンズ電圧ドライバ123は、AFレンズ駆動部121の駆動を制御するための電圧を発生する。
フォーカス位置検出部122は、光軸方向でのAFレンズ120の位置(フォーカス位置)を検出するフォーカスエンコーダである。フォーカス位置検出部122は、フォーカス位置、つまりは被写体距離に応じたパルス信号をAFレンズ制御部104に出力する。
AFレンズ制御部104は、AFレンズ駆動部121を制御して、後述する焦点検出ユニット204を用いて検出されたデフォーカス量に対応した光軸方向での合焦位置にAFレンズ120を移動させる。この際、AFレンズ制御部104は、フォーカス位置検出部122が出力する、AFレンズ120の現在位置を示すパルス信号を取り込む。AFレンズ制御部104は、AFレンズ120の合焦位置(目標位置)と現在位置とに基づいてAF駆動信号(電圧値)を演算し、このAF駆動信号をAFレンズ電圧ドライバ123に出力する。
AFレンズ電圧ドライバ123は、入力されたAF駆動信号に応じて、AFレンズ駆動部121に電力を供給する。AFレンズ電圧ドライバ123は、AF駆動信号に対してスイッチングを行い、AFレンズ駆動部121に電圧を印加してAFレンズ駆動部121を駆動する。
また、撮影光学系101は、絞り140を有する。絞り140は、ステッピングモータ等のアクチュエータを駆動源とする絞り駆動部141によってその開口(絞り開口)の大きさが変更される。絞り制御部106は、絞り駆動部141を制御して、被写体の明るさに応じた適正露光量が得られる絞り開口径(絞り値)を演算し、該絞り値が得られる絞り駆動信号を演算して、絞り駆動部141に出力する。また、絞り制御部106は、使用者が絞り設定スイッチ194にて設定した絞り値に応じた絞り駆動信号を演算して、絞り駆動部141に出力する。
レンズCPU103は、交換レンズ102における種々の制御を行うレンズ制御手段として機能する。レンズCPU103内には、ズームレンズ制御部105と、AFレンズ制御部104と、絞り制御部106とが設けられている。また、レンズCPU103は、交換レンズ102とカメラ100との間に設けられたレンズ接点190を介して、カメラCPU109との間で通信が可能である。
交換レンズ102に設けられたEEPROM131は、交換レンズ102に関する種々の固有情報であるレンズ識別データ等を格納する不揮発性の記憶部である。
カメラ100には、ハーフミラーであるメインミラー202と、サブミラー203と、撮影光学系101の結像面の近傍に配置された撮像素子252とが設けられている。メインミラー202は、図1および図2に示すように撮影光学系101からの光路内に配置されるダウン位置と光路外に退避するアップ位置202′との間で移動可能なハーフミラーである。撮像光学系101からの光束のうち、ダウン位置にあるメインミラー202によって反射された光束は光学ファインダ(プリズム210および接眼レンズ211)に導かれ、使用者による被写体像の観察を可能とする。
サブミラー203は、メインミラー202の背後(撮像素子側)に配置され、メインミラー202とともに、図1および図2に示すダウン位置とアップ位置203′との間で移動可能である。メインミラー202を透過した光束は、サブミラー203により反射されて焦点検出ユニット204に導かれる。
焦点検出ユニット204は、撮影光学系101の瞳における互いに異なる2つの領域を通過した被写体からの光束(メインミラー202を透過し、サブミラー203で反射した光束)に2つの像を形成させる2次結像光学系205を有する。また、焦点検出ユニット204は、2次結像光学系205により形成された2像を光電変換して2つの像信号を出力する焦点検出センサ206を有する。
カメラCPU109は、該2つの像信号のずれ量(位相差)を算出し、該ずれ量から被写体に対する撮影光学系101のデフォーカス量を算出する。さらに、カメラCPU109は、算出したデフォーカス量とフォーカス位置検出部122で検出されたAFレンズ120の現在位置とから、撮影光学系101を被写体に対して合焦させるためのAFレンズ120の位置である合焦位置を算出する。そして、カメラCPU109は、レンズCPU103(AFレンズ制御部104)を通じてAFレンズ120を合焦位置に移動させる。これにより、いわゆる位相差AFを行う。
この他、カメラCPU109は、カメラ100の動作だけでなく、交換レンズ102を含むカメラシステム全体の動作の制御を司る。カメラCPU109には、レリーズスイッチ191から、該レリーズスイッチ191が半押し操作(SW1_ON)または全押し操作(SW2_ON)されたことを示す信号が入力される。カメラCPU109は、SW1_ON信号の入力に応じて測光やAF等の撮像準備動作を行う。また、カメラCPU109は、SW2_ON信号の入力に応じて撮像動作を行う。撮像動作には、撮像素子252の駆動、該撮像素子252の出力信号からの記録用画像の生成処理、生成された記録用画像の圧縮処理およびメモリ197又は不図示の記録媒体への記録処理等が含まれる。
さらに、カメラCPU109は、液晶モニタ等の表示デバイスに撮像により生成された画像や撮像に関する各種情報(撮像情報)の表示を行う表示部258の動作を制御する。表示部258は、カメラ100の背面に取り付けられており、使用者は表示部258に表示された画像や情報を視認することができる。表示部258に表示される画像には、撮像動作が行われる前に被写体を使用者に観察させるために撮像素子252の出力信号から生成されるライブビュー画像と、撮像動作において生成される記録用画像とがある。
また、カメラCPU109は、その内部に画像処理部109aを有しており、画像処理手段としても機能する。画像処理部109aは、その内部にA/D変換器、ホワイトバランス回路、ガンマ補正回路および補間演算回路等を有しており、撮像素子252の出力信号から画像を生成する。
さらに、カメラCPU109は、その内部に、後述する拡散板253の光学ローパスフィルタ効果(以下、光学LPF効果と記す)による画像劣化成分を回復して通常の光学LPFの効果を受けた画像と同等の画像に戻すための回復フィルタ部109bを有する。これにより、カメラCPU109は、画像回復手段として機能する。
選択スイッチ192は、使用者が各種撮影メニューの項目を選択したり任意の光学LPF効果を設定したりする際に操作するスイッチである。決定スイッチ193は、使用者が選択スイッチ192で選択した撮影メニューや光学LPF効果を決定する際に操作するスイッチである。絞り設定スイッチ194は、使用者が不図示の操作ダイヤルの操作を通じて絞り値を設定するためのスイッチである。メインスイッチ195は、使用者がカメラ100の電源を投入(電源ON)/遮断(電源OFF)するために操作するスイッチである。電源ONによりカメラ100は起動し、電源OFFによりスリープ状態となる。
モードスイッチ196は、使用者が各種撮影モードを設定するために操作するスイッチである。モードスイッチ196の操作により、光学LPF効果に関する撮影モード(光学LPFモード)として、「光学LPF_OFF」モード(第1のモード)および「光学LPF_固定値」モード(第2のモード)を設定することができる。また、モードスイッチ196の操作により、「光学LPF_任意」モード(第3のモード)および「光学LPF_ON」モード(第4のモード)を設定することもできる。モードスイッチ196および選択スイッチ192により設定手段が構成される。
撮像素子252の前面(すなわち、撮影光学系101と撮像素子252との間)には、拡散板(拡散手段)253が配置されている。拡散板253は、モータ等のアクチュエータを含む拡散板駆動部(駆動手段)254によって光軸方向、すなわち撮像素子252に対して近づく側および離れる側に移動される。詳細については後述するが、拡散板253の位置を光軸方向に移動させて拡散板253と撮像素子252との間の距離を変えることにより、光学LPF効果を変更することができる。本実施例では、これを利用して、使用者が所望の光学LPF効果を設定できるようにしている。拡散板駆動部254の動作は、制御手段としてのカメラCPU109により制御される。
図4には、表示部258に表示されたライブビュー画像を示している。使用者は、ライブビュー画像が表示されている状態でモードスイッチ196や選択スイッチ192を操作して光学LPF効果を設定する。この図において、表示部258には、ライブビュー画像258aと、撮像情報(シャッタ速度、絞り値、ISO感度、露出レベル、電池残量等)258bとが表示されている。
使用者がモードスイッチ196を操作して、光学LPFモードとして、光学LPF果を使用者の任意に設定可能な「光学LPF_任意」モードが選択されると、光学LPF効果を示す目盛り301がライブビュー画像258a上に表示される。目盛り301上には、使用者が設定している光学LPF効果を示す指標302が表示される。この指標302は、使用者が選択スイッチ192を操作することにより目盛り301上を移動する。使用者が所望(任意)の光学LPF効果に対応する位置に指標302を移動させた後、決定スイッチ193を操作することにより、当該光学LPF効果を設定することができる。このように、ライブビュー画像258a上に、モードスイッチ196によって設定された光学LPFモードでの光学LPF効果に関する表示がなされていると、使用者が光学LPF効果の設定状態を容易に視認することができる。
なお、図4中では、目盛り301が光学LPF効果を強〜弱で表現している場合を示しているが、これ以外の表現方法を採用してもよく、例えば解像度を示す「本/mm」の数値を用いてもよい。
次に、図5を用いて、拡散板253を光軸方向に移動させることによる光学LPF効果の変化について説明する。
図5(a)には、光軸Iを含む断面において拡散板253の光軸方向での位置が変化することにより、該拡散板235を通過した被写体からの光(以下、被写体光という)Lの撮像素子252の撮像面での強度分布が変化することを示している。図5(a)において、θは拡散板253の拡散特性としての拡散角である。拡散角θは、拡散板253の表面形状等によって決まる。例えば、光軸I上を直線的に進む被写体光Lが位置P1に配置された拡散板253に入射すると、この被写体光Lは拡散角θで拡散され、撮像面での被写体光Lの強度分布はLI1のようになる。
一方、位置P1よりも撮像素子252の撮像面から被写体側に離れた位置P2にある拡散板253に光軸I上を直線的に進む被写体光Lが入射すると、同様に該被写体光Lは拡散角θで拡散される。ただし、撮像素子252と拡散板253との間の距離が増加したことから、被写体光Lの撮像面上での強度分布は、LI1よりも光軸I上での強度が低いが、周辺部での強度が高いLI2のようになる。
このように、拡散板253が被写体側に移動することで、撮像面では被写体光Lの強度分布の広がり幅Dが増加するように被写体光は拡散板253によって拡散される。逆に、拡散板253が撮像素子側に移動することで、被写体光の拡散板253による拡散の度合いが小さくなり、撮像面では被写体光の強度分布の広がり幅Dが狭くなる。
図5(b)には、拡散板253が配置される光軸方向での3つの位置(丸囲みの1,2,3で示す位置:以下、位置1、位置2および位置3という)を示す。位置1、位置2、位置3の順で撮像素子252までの距離が大きくなる。また、図5(c)には、位置1、位置2および位置3に配置されたときの撮像素子252の撮像面での周波数特性を示す。
なお、図5(c)には、比較例として、水晶で製造した従来の光学LPFを、拡散板253を位置2に配置したときの同じ強度分布の広がり幅Dが得られる位置に配置したときの撮像面での周波数特性も示している。
拡散板253が、撮像素子252(撮像面)に近接する位置1に配置されている場合には、位置2に配置されている場合よりも被写体光の撮像面での強度分布の広がり幅が狭まる。つまり、被写体光の拡散板253による拡散度合いが小さくなる。このため、拡散板253が位置1に配置されている場合の撮像面での周波数特性は、図5(c)中に一点鎖線で示すようになる。この周波数特性は、図5(c)中に実線で示す従来の光学LPFを用いた場合の周波数特性と比較すると、ほとんど光学LPF効果が得られない状態を示している。言い換えれば、位置1は、拡散板253が光軸方向にて移動可能な位置のうち光学LPF効果が最も小さくなる位置である。
拡散板253が、位置1よりも撮像面から離れた位置2に配置されている場合の撮像面での周波数特性は、図5(c)中に破線で示すようになる。この周波数特性は、図5(c)中に実線で示す従来の光学LPFを用いた場合の周波数特性に近い。つまり、拡散板253を位置2に配置することで、従来の光学LPFに近い光学LPF効果が得られる。
なお、拡散板253を位置2に配置した場合に従来の光学LPFよりも周波数特性が低くなる部分については、カメラCPU109内に設けられた回復フィルタ部109bにて補正(画像回復)を行う。これにより、従来の光学LPFとほぼ同等の光学LPF効果を得ることができ、回復フィルタ部109bから出力される画像を、従来の光学LPFを用いて得られる画像とほぼ等しいものとすることができる。図5(d)には、拡散板253および従来の光学LPFを用いた場合の周波数特性(破線および実線で示す)に対して、好ましい回復フィルタ部109bの周波数特性を実線で示す。
拡散板253が位置2よりもさらに撮像面から離れた位置3に配置されている場合の被写体光の撮像面での強度分布の広がり幅は、拡散板253が位置2に配置されている場合よりも広くなる。つまり、被写体光の拡散板253による拡散度合いが大きくなる。このため、拡散板253が位置3に配置されている場合の撮像面での周波数特性は、図5(c)中に二点鎖線で示すようになる。この周波数特性は、光学LPFを用いた場合の周波数特性と比較すると、低周波側もカットするより強い光学LPF効果が得られる状態を示している。
このように、拡散板253を光軸方向に移動させることにより、拡散板253による光学LPF効果を変化させることができる。このため、拡散板253を光軸方向に移動させて所望の光学LPF効果が得られる位置に停止させておけばよいので、拡散板253の位置を保持するための電力が不要になる。したがって、省電力でありながらも所望の光学LPF効果が得られる構成を実現することができる。
図6には、本実施例のカメラ100の動作について説明する。この動作(処理)は、主としてコンピュータとしてのカメラCPU109により、コンピュータプログラムとしての制御プログラムに従って行われる。
ステップ(図ではSと記す)1010では、カメラCPU109は、メインスイッチ195が操作されて電源ONになったか否かを判定する。電源ONであれば、カメラCPU109はステップ1020に進む。
ステップ1020では、カメラCPU109は、拡散板駆動部254を介して拡散板253を図5(b)に示した位置1(第1の位置)に移動させる。
次にステップ1030では、カメラCPU109は、レリーズスイッチ191の半押し操作によりSW1_ON信号が入力されたか否かを判定する。SW1_ON信号が入力されると、カメラCPU109はステップ1040に進む。
ステップ1040では、カメラCPU109は、不図示の測光センサまたは測光センサを兼ねる撮像素子252を用いて測光動作を行うとともに、前述した焦点検出ユニット204を用いた位相差AFによるAF動作を行う。
次にステップS1050では、カメラCPU109は、光学LPFモードが「光学LPF_OFF」モードに設定されているか否かを判定する。「光学LPF_OFF」モードが設定されていない場合は、カメラCPU109はステップ1060に進む。また、「光学LPF_OFF」モードが設定されている場合は、カメラCPU109は直接ステップ1400に進む。
ステップ1060では、カメラCPU109は、光学LPFモードが「光学LPF_固定値」モードに設定されているか否かを判定する。「光学LPF_固定値」モードが設定されていない場合は、カメラCPU109はステップ1070に進む。「光学LPF_固定値」モードが設定されている場合は、カメラCPU109はステップ1310に進む。
ステップ1310では、カメラCPU109は、拡散板駆動部254を介して、拡散板253を、撮像素子252の画素ピッチに応じた光学LPF効果が得られる所定位置(第2の位置)に移動させる。所定位置は撮像素子252の画素ピッチに応じて決まるので、該所定位置をカメラCPU109の内部に設けられた不図示の記憶部に固定値として記憶しておくことが可能である。これにより、所定位置の演算を行わずに済むので、好ましい。撮像素子252の所定位置への移動が完了すると、カメラCPU109はステップ1400に進む。
ステップ1070では、カメラCPU109は、光学LPFモードが「光学LPF_任意」モードに設定されているか否かを判定する。「光学LPF_任意」モードが設定されていない場合、すなわち「光学LPF_ON」モードが設定されている場合は、カメラCPU109はステップ1210に進む。「光学LPF_任意」モードが設定されている場合は、カメラCPU109はステップ1110に進む。
ステップ1110では、カメラCPU109は、使用者が選択スイッチ192を通じて任意に設定した光学LPF効果が得られる拡散板253の位置(第3の位置)を演算する。
そして、ステップ1120では、カメラCPU109は、拡散板駆動部254を介して、拡散板253をステップ1110にて演算した位置に移動させる。その後、カメラCPU109はステップ1400に進む。
ステップS1210では、判定手段としてのカメラCPU109は、「光学LPF_ON」モードでの動作として、図7に示す判定サブルーチンにより、これから撮像する被写体(シーン)に対して光学LPF効果が必要か否かを判定する。言い換えれば、撮像により取得される画像に偽色が発生するか否かを判定する。
図7におけるステップ1510では、カメラCPU109は、拡散板253が位置1(第1の位置)に配置された状態でプレ撮像1を行う。つまり、光学LPF効果がほとんどない状態で画像を取得する。
次にステップ1520では、カメラCPU109は、拡散板駆動部254を介して、拡散板253を、前述したステップ1310で拡散板253を移動させた所定位置(第2の位置)に移動させる。
次にステップ1530では、カメラCPU109は、拡散板253が所定位置に配置された状態でプレ撮像2を行う。つまり、撮像素子252の画素ピッチに応じた光学LPF効果が得られる状態で画像を取得する。
次にステップ1540では、カメラCPU109は、ステップ1510にて取得した画像とS1530にて取得した画像とを比較する。この比較により、ステップ1550では、カメラCPU109は、ステップ1510にて取得した画像における偽色の発生の有無を判定する。カメラCPU109は、偽色の発生が有ると判定した場合はステップ1560に進み、偽色の発生がないと判定した場合はステップ1610に進む。
ステップ1560では、カメラCPU109は、ステップS1550での判定結果から、これから行う撮像に偽色やモアレが発生すると予測されるため、拡散板253を、偽色やモアレを発生させない光学LPF効果が得られる所定位置(第2の位置)に保持する。なお、ここでの拡散板253の位置は、必ずしも上記所定位置でなくてもよく、偽色やモアレを低減できる光学LPF効果が得られる位置(第4の位置)であればよい。そして、図6のメインルーチンに戻る。
また、ステップ1610では、カメラCPU109は、ステップS1550での判定結果から、これから行う撮像に偽色やモアレが発生しないと予測されるため、拡散板253を、ほとんど光学LPF効果がない位置1(第1の位置)に移動させる。そして、図6のメインルーチンに戻る。
図6におけるステップ1400では、カメラCPU109は、レリーズスイッチ191の全押し操作によりSW2_ON信号が入力されたか否かを判定する。SW2_ON信号が入力されると、カメラCPU109はステップ1410に進む。
ステップ1410では、カメラCPU109は、本撮像としての撮像動作を行う。
続いてステップ1420では、カメラCPU109は、ステップ1410での撮像動作にて撮像素子252から得られた出力信号を用いて記録用画像を生成する。具体的には、「光学LPF_任意」モードまたは「光学LPF_OFF」モードが設定されている場合および「光学LPF_ON」モードが設定され、ステップ1550にて偽色が発生しないと判定された場合は、画像処理部109aにて記録用画像を生成する。この際、回復フィルタ部109bでの補正は行わない。「光学LPF_固定値」モードが設定されている場合および「光学LPF_ON」モードが設定され、ステップ1550にて偽色が発生すると判定された場合は、画像処理部109aで生成した画像を回復フィルタ部109bで補正して記録用画像を生成する。
ステップ1430では、カメラCPU109は、ステップ1420で生成した記録用画像をメモリ197又は不図示の記録媒体に記録するとともに、表示部258に表示する。
ステップS1440では、カメラCPU109は、レリーズスイッチ191の全押し操作が続行されてSW2_ON信号の入力が継続しているか否かを判定する。SW2_ON信号の入力が継続している場合は、カメラCPU109はステップ1050に戻り、そこからの動作を繰り返す。SW2_ON信号の入力が継続していない場合は、カメラCPU109はステップ1450に進む。
ステップ1450では、カメラCPU109は、レリーズスイッチ191の半押し操作によりSW1_ON信号が入力されているか否かを判定する。SW1_ON信号が入力されている場合は、カメラCPU109はステップ1040に戻り、そこからの動作を繰り返す。SW1_ON信号が入力されていない場合は、カメラCPU109はステップ1460に進む。
ステップ1460では、カメラCPU109は、インスイッチ195が操作されて電源OFFが指示されたか否かを判定する。電源OFFが指示されていない場合は、カメラCPU109はステップ1020に進む。電源OFFが指示された場合は、カメラCPU109は電源OFFのための動作を行う。前述したステップ1020に代えて、この電源OFFに際して、次にカメラ100の電源が投入されたときに拡散板253が位置1に配置されるように拡散板駆動部254を動作させてもよい。
以上説明したように、本実施例では、光学LPF効果を使用者が任意に設定できるとともに、設定した光学LPF効果を保持するために電力は不要である。このため、本実施例によれば、省電力で使用者の所望の光学LPF効果を得ることが可能な撮像装置を実現できる。さらに、「光学LPF_ON」モード以外の光学LPFモードでは、本撮像の前に光学LPF効果が要否を判定するためのプレ撮像を行わないので、使用者が撮像したいシーンを素早く撮像することも可能である。
なお、上記実施例ではレンズ交換型のデジタルスチルカメラ100について説明したが、レンズ一体型のデジタルスチルカメラやビデオカメラにおいても上記実施例(図6および図7)にて説明した拡散板に関する動作を適用することができる。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
使用者の任意の光学LPF効果が得られるデジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置を提供できる。
100 カメラ
102 交換レンズ
109 カメラCPU
252 撮像素子
253 拡散板
102 交換レンズ
109 カメラCPU
252 撮像素子
253 拡散板
Claims (6)
- 撮影光学系により形成された被写体像を光電変換する撮像素子と、
前記撮影光学系と前記撮像素子との間に配置され、前記撮影光学系からの光を拡散させる拡散手段と、
前記拡散手段を前記撮像素子に対して近づく側および離れる側に移動させる駆動手段と、
使用者に前記拡散手段による光学ローパスフィルタ効果に関する設定のための操作を行わせる設定手段と、
前記拡散手段を前記光学ローパスフィルタ効果に関する設定に応じた位置に移動させるよう前記駆動手段を動作させる制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。 - 前記設定手段の操作により前記光学ローパスフィルタ効果に関するモードとして第1のモードと第2のモードの設定が可能であり、
前記第1のモードでの前記拡散手段の位置は、該拡散手段が移動可能な位置のうち前記光学ローパスフィルタ効果が最も小さくなる第1の位置であり、
前記第2のモードでの前記拡散手段の位置は、前記撮像素子の画素ピッチに応じた固定値としての前記光学ローパスフィルタ効果が得られる第2の位置であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。 - 前記設定手段の操作により前記光学ローパスフィルタ効果に関するモードとして第3のモードの設定が可能であり、
該第3のモードでの前記拡散手段の位置は、前記設定手段の操作によって使用者が任意に設定した前記光学ローパスフィルタ効果が得られる第3の位置であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。 - 前記設定手段の操作により前記光学ローパスフィルタ効果に関するモードとして第4のモードの設定が可能であり、
該第4のモードが設定された場合は、前記制御手段は、前記撮像素子の出力信号から生成された画像における偽色の有無を判定し、
前記偽色が有りと判定されたときの前記拡散手段の位置は、該偽色を低減する前記光学ローパスフィルタ効果が得られる第4の位置であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置。 - 前記制御手段は、該撮像装置の電源が投入されたときに前記拡散手段が前記第1の位置に配置されるように前記駆動手段を動作させることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像装置。
- 撮影光学系により形成された被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮影光学系と前記撮像素子との間に配置され、前記撮影光学系からの光を拡散させる拡散手段と、前記拡散手段を前記撮像素子に対して近づく側および離れる側に移動させる駆動手段と、使用者に前記拡散手段による光学ローパスフィルタ効果に関する設定のための操作を行わせる設定手段とを有する撮像装置のコンピュータに、
前記設定手段による前記光学ローパスフィルタ効果に関する設定を判定する処理と、
前記拡散手段を前記光学ローパスフィルタ効果に関する設定に応じた位置に移動させるよう前記駆動手段を動作させる処理とを行わせることを特徴とするコンピュータプログラムであることを特徴とする撮像装置の制御プログラム。
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JP2013013667A JP2014146935A (ja) | 2013-01-28 | 2013-01-28 | 撮像装置およびその制御プログラム |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2013
- 2013-01-28 JP JP2013013667A patent/JP2014146935A/ja active Pending
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