以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<1.第1実施形態>
<1−1.構成概要>
図1および図2は、本発明の第1実施形態に係る撮像装置1(1A)の外観構成を示す図である。ここで、図1は、撮像装置1の正面外観図であり、図2は、撮像装置1の背面外観図である。この撮像装置1Aは、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルカメラとして構成されている。
図1に示すように、撮像装置1Aは、カメラ本体部(カメラボディ)2を備えている。このカメラ本体部2に対して、交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)3が着脱可能である。
撮影レンズユニット3は、主として、鏡胴36、ならびに、鏡胴36の内部に設けられるレンズ群37(図3参照)及び絞り等によって構成される。レンズ群37(撮影光学系)には、光軸方向に移動することによって焦点位置を変更するフォーカスレンズ等が含まれている。
カメラ本体部2は、撮影レンズユニット3が装着される円環状のマウント部Mtを正面略中央に備え、撮影レンズユニット3を着脱するための着脱ボタン89を円環状のマウント部Mt付近に備えている。
また、カメラ本体部2は、その正面左上部にモード設定ダイヤル82を備え、その正面右上部に制御値設定ダイヤル86を備えている。モード設定ダイヤル82を操作することによって、カメラの各種モード(各種撮影モード(人物撮影モード、風景撮影モード、およびフルオート撮影モード等)、撮影した画像を再生する再生モード、および外部機器との間でデータ交信を行う通信モード等を含む)の設定動作(切替動作)を行うことが可能である。また、制御値設定ダイヤル86を操作することによれば、各種撮影モードにおける制御値を設定することが可能である。
また、カメラ本体部2は、正面左端部に撮影者が把持するためのグリップ部14を備えている。グリップ部14の上面には露光開始を指示するためのレリーズボタン11が設けられている。グリップ部14の内部には電池収納室とカード収納室とが設けられている。電池収納室にはカメラの電源として、例えば4本の単3形乾電池が収納されており、カード収納室には撮影画像の画像データを記録するためのメモリカード90(図3参照)が着脱可能に収納されるようになっている。
レリーズボタン11は、半押し状態(S1状態)と全押し状態(S2状態)との2つの状態を検出可能な2段階検出ボタンである。レリーズボタン11が半押しされS1状態になると、被写体に関する記録用静止画像(本撮影画像)を取得するための準備動作(例えば、AF制御動作およびAE制御動作等)が行われる。また、レリーズボタン11がさらに押し込まれてS2状態になると、当該本撮影画像の撮影動作(撮像素子5(後述)を用いて被写体像(被写体の光像)に関する露光動作を行い、その露光動作によって得られた画像信号に所定の画像処理を施す一連の動作)が行われる。
図2において、カメラ本体部2の右下部には、AFモードの切替スイッチ87が設けられている。この切替スイッチ87は、3段式のスライドスイッチとして構成されており、複数のモード(ここでは3つのモードMD1,MD2,MD3)のいずれかをAFモードとして選択することが可能な操作部材である。具体的には、当該切替スイッチ87のスライド部の位置に応じて、位相差AF方式を固定的に用いる位相差AF固定モードMD1と、コントラストAF方式を固定的に用いるコントラストAF固定モードMD2と、位相差AF方式とコントラストAF方式とを自動的に切替可能な自動切替モードMD3とを含む3つのモードの中から所望のAFモードが設定される。
また、図2において、カメラ本体部2の背面略中央上部には、ファインダ窓(接眼窓)10が設けられている。撮影者は、ファインダ窓10を覗くことによって、撮影レンズユニット3から導かれた被写体の光像を視認して構図決定を行うことができる。すなわち、光学ファインダを用いて構図決めを行うことが可能である。
また、この実施形態に係る撮像装置1Aにおいては、撮像素子によって取得された時系列の複数の画像(ライブビュー画像)が背面モニタ12(後述)に表示される。操作者は、動画的態様のライブビュー画像を用いて構図決めを行うことが可能である。
なお、後述するように、光学ファインダによる構図決め動作とライブビュー表示による構図決め動作とは、その時点で採用されるAF方式等に応じて切り替えられる。
図2において、カメラ本体部2の背面の略中央には、背面モニタ12が設けられている。背面モニタ12は、例えばカラー液晶ディスプレイ(LCD)として構成される。背面モニタ12は、撮影条件等を設定するためのメニュー画面を表示したり、再生モードにおいてメモリカード90に記録された撮影画像を再生表示したりすることができる。また、AFモードの選択状況によっては、背面モニタ12には、撮像素子5によって取得された時系列の複数の画像(すなわち動画像)が「ライブビュー画像」として表示される。
背面モニタ12の左上部にはメインスイッチ81が設けられている。メインスイッチ81は2点スライドスイッチからなり、接点を左方の「OFF」位置に設定すると、電源がオフになり、接点の右方の「ON」位置に設定すると、電源がオンになる。
背面モニタ12の右側には方向選択キー84が設けられている。この方向選択キー84は円形の操作ボタンを有し、この操作ボタンにおける上下左右の4方向の押圧操作と、右上、左上、右下及び左下の4方向の押圧操作とが、それぞれ検出されるようになっている。なお、方向選択キー84は、上記8方向の押圧操作とは別に、中央部のプッシュボタンの押圧操作も検出されるようになっている。
背面モニタ12の左側には、メニュー画面の設定、画像の削除などを行うための複数のボタンからなる設定ボタン群83が設けられている。
<1−2.機能ブロック>
つぎに、図3を参照しながら、撮像装置1Aの機能の概要について説明する。図3は、撮像装置1Aの機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、撮像装置1Aは、位相差AFモジュール(以下、単にAFモジュールとも称する)20、測光センサ40、操作部80、全体制御部101、ミラー機構6、シャッタ4、撮像素子5、A/D変換回路52、デジタル信号処理回路50、および画像メモリ56等を備える。
AFモジュール20は、被写体からの光(詳細にはミラー機構6を介して進入してきた光)を受光して、被写体像の合焦度合いに応じた位相差検出信号を発生させる位相差検出機能を有している。
測光センサ40は、被写体像の明るさ、換言すれば、被写体からの光の強度を測定する機能を有している。測光センサ40の出力に基づいてAE制御動作が行われ、撮影画像の明るさが調整される。
操作部80は、レリーズボタン11(図1参照)を含む各種ボタンおよびスイッチ等を備えて構成される。操作部80に対するユーザーの入力操作に応答して、全体制御部101が各種動作を実現する。
全体制御部101は、マイクロコンピュータとして構成され、主にCPU、メモリ、及びROM等を備える。全体制御部101は、ROM内に格納されるプログラムを読み出し、当該プログラムをCPUで実行することによって、各種機能を実現する。
全体制御部101は、上述のプログラムの実行によって、AF制御部120、表示制御部125,警告制御部126およびミラー制御部127等を機能的に実現する。
AF制御部120は、複数のAF方式の中から現時点での被写体の撮影状況に対して最適なAF方式であると判定されたAF方式を採用して、撮影レンズの駆動を伴うAF動作を実行する制御部である。AF制御部120は、位相差AF制御部121、コントラストAF制御部122、判定部123および駆動制御部124を有している。
位相差AF制御部121は、位相差AF方式による自動合焦(AF)動作を行う。具体的には、位相差AF制御部121は、AFモジュール20による位相差検出信号に基づいて、合焦時の撮影レンズ(より詳細にはフォーカスレンズ)の位置(合焦レンズ位置)を特定する合焦レンズ位置特定動作を行う。また、位相差AF制御部121は、駆動制御部124と協動して、当該合焦レンズ位置に撮影レンズ(フォーカスレンズ)を移動するAF駆動動作(レンズ駆動動作)をも実行する。
コントラストAF制御部122は、コントラストAF方式による自動合焦(AF)動作を行う。具体的には、コントラストAF制御部122は、異なるレンズ位置にそれぞれ対応する複数の撮影画像について被写体像のコントラストに応じた評価値をそれぞれ求める評価値算出動作と、当該評価値を最適化(例えば最小化)するレンズ位置を合焦レンズ位置として特定する合焦レンズ位置特定動作とを実行する。また、コントラストAF制御部122は、駆動制御部124と協動して、当該合焦レンズ位置に撮影レンズ(フォーカスレンズ)を移動するAF駆動動作をも実行する。
また、判定部123は、被写体の撮影状況に応じて、位相差検出信号を用いた位相差AF方式と撮影画像に関する評価値を用いたコントラストAF方式とを含む複数のAF方式の中から、最適なAF方式を決定する。判定部123による判定結果(すなわち最適なAF方式がいずれの方式であるか)は背面モニタ12に「オススメ表示(推奨表示)」などとして表示され、操作者に視認され得る。なお、判定部123における決定動作については後に詳述する。
駆動制御部124は、レンズ駆動を制御する制御部である。駆動制御部124は、判定部123によって複数のAF方式の中から現時点での被写体の撮影状況に対して最適なAF方式であると判定されたAF方式を採用して、位相差AF制御部121および/またはコントラストAF制御部122と協動して、実際に撮影レンズを駆動する。
位相差AF制御部121およびコントラストAF制御部122は、駆動制御部124を介して撮影レンズユニット3のレンズ側制御部31と通信して、制御信号を伝達してレンズ駆動部38を駆動することによって、撮影レンズユニット3のレンズ群37に含まれるフォーカスレンズをその光軸方向に移動する。また、フォーカスレンズの位置は、撮影レンズユニット3のレンズ位置検出部39によって検出され、フォーカスレンズの位置を示すデータがレンズ側制御部31から本体側の全体制御部101に送られる。
表示制御部125は、背面モニタ12などの表示部における表示内容を制御する。例えば、上述のオススメ表示は、この表示制御部125の制御下で表示される。
警告制御部126は、AF方式が切り替わる旨の警告を発する制御部である。警告制御部126は、例えば表示制御部125と協動して警告表示を制御する。具体的には、現時点で採用されているAF方式とレリーズボタン11が半押し状態S1にされたことに応答して採用される予定のAF方式とが異なる状況において、操作者(撮影者)に当該状況を報知するための表示を背面モニタ12に出力するように制御する。操作者は、この警告によって、AF方式が切り替わることを知得することができる。また、後述するように、AF方式と構図決め方式との対応関係に基づけば、AF方式が切り替わることは、構図決め方式が切り替わることを意味することが判る。したがって、AF方式が切り替わる旨の警告は、構図決め方式が切り替わる旨の警告に相当する。
ミラー制御部127は、ミラー機構6が光路から退避した状態(ミラーアップ状態)とミラー機構6が光路を遮断した状態(ミラーダウン状態)との状態切替を制御する。ミラー制御部127は、ミラー切り替え用モータ(不図示)を駆動することによって、ミラーアップ状態とミラーダウン状態とを切り替える。
撮像素子(ここではCCDセンサ(単にCCDとも称する))5は、その撮像面で受光された被写体像を光電変換作用により電気的信号に変換して、本撮影画像に係る画像信号を生成する。撮像素子5は、撮影画像取得用のセンサ(イメージセンサ)であるとも表現される。
撮像素子5は、タイミング制御回路(不図示)から入力される駆動制御信号(蓄積開始信号および蓄積終了信号)に応答して、受光面(撮像面)に結像された被写体像の露光(光電変換による電荷蓄積)を行い、当該被写体像に係る画像信号を生成する。
撮像素子5で取得された画像信号(アナログ信号)はA/D変換回路52によってデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された画像信号は、デジタル信号処理回路50に入力される。
デジタル信号処理回路50は、A/D変換回路52から入力される画像信号に対してデジタル信号処理を行う。具体的には、黒レベル補正処理、ホワイトバランス(WB)処理、γ補正処理等の信号処理を行う。当該信号処理後の画像信号(画像データ)は、画像メモリ56に格納される。
画像メモリ56は、生成された画像データを一時的に記憶するための、高速アクセス可能な画像メモリであり、複数フレーム分の画像データを記憶可能な容量を有する。
本撮影時には、画像メモリ56に一時記憶される画像データは、全体制御部101において適宜画像処理(圧縮処理等)が施された後、メモリカード90に記憶される。
<1−3.各構図決めの際における各部材の配置>
つぎに、この撮像装置1Aにおける構図決め動作を含む撮影動作について説明する。上述したように、この撮像装置1Aにおいては、ファインダ光学系等で構成される光学ファインダ(光学ビューファインダ(OVF)とも称される)を用いて構図決め(フレーミング)を行うことが可能であるとともに、背面モニタ12(後述)に表示されるライブビュー画像を用いて構図決めを行うことも可能である。なお、撮像素子5および背面モニタ12を利用して実現されるファインダ機能は、被写体の光像を電子データに変換した後に可視化するものであることから電子ビューファインダ(EVF)とも称される。
また、この撮像装置1Aにおいては、操作者が切替スイッチ87を操作することによってAFモードを選択すると、その選択結果に応じてAFモードが設定されるとともに、選択されたAFモードに応じて構図決め方式が自動的に決定されることになる。
具体的には、位相差AF固定モードMD1が選択された場合には、位相差AF方式が固定的にAF方式として選択され、常に光学ファインダによる構図決め動作が行われる。なお、この場合、ライブビュー表示による構図決め動作を行うことはできない。
また、コントラストAF固定モードMD2が選択された場合には、コントラストAF方式が固定的にAF方式として選択され、常にライブビュー表示による構図決め動作が行われる。なお、この場合、光学ファインダによる構図決め動作を行うことはできない。
また、自動切替モードMD3が選択された場合には、撮像装置1Aが被写体の撮影状況に応じて適切なAF方式を選択する。そして、選択されたAF方式に応じて、構図決め方式も決定されることになる。具体的には、位相差AF動作が行われている期間においては光学ファインダによる構図決め動作のみが可能になり、ライブビュー表示による構図決め動作を行うことはできない。一方、コントラストAF動作が行われている期間においてはライブビュー表示による構図決め動作のみが可能になり、光学ファインダによる構図決め動作を行うことはできない。
撮像装置1Aにおいては、AF方式と構図決め方式との間に上述のような対応関係が存在する。
図4および図5は、撮像装置1Aの断面図である。図4は、光学ファインダ(ないしOVF)を用いた構図決め動作を示しており、図5は、ライブビュー表示(ないしEVF)を用いた構図決め動作を示している。
光学ファインダによる構図決め動作が行われる場合には、レリーズボタン11が全押し状態S2にされるまで、ミラー機構6はミラーダウン状態となるように配置される(図4参照)。
具体的には、図4に示すように、撮影レンズユニット3から撮像素子5に至る光路(撮影光路)上にミラー機構6が配置される。ミラー機構6は、撮影光学系からの光を上方に向けて反射する主ミラー61(主反射面)を有している。この主ミラー61は、例えばハーフミラーとして構成され、撮影光学系からの光の一部を透過する。また、ミラー機構6は、主ミラー61を透過した光を下方に反射させるサブミラー62(副反射面)をも有している。サブミラー62で下方に反射された光は、AFモジュール20へと導かれて入射し、位相差検出信号を検出する。
図4に示すように、ミラー機構6の主ミラー61およびサブミラー62が、撮影レンズユニット3からの被写体像の光路上に配置されると、被写体像が主ミラー61とペンタミラー65と接眼レンズ67とを介してファインダ窓10へと導かれる。このように、主ミラー61とペンタミラー65と接眼レンズ67とを含むファインダ光学系は、撮影光学系からの光束であって主ミラー61で反射された光束である観察用光束をファインダ窓10へと導くことが可能である。なお、ペンタミラー65と接眼レンズ67との間に配置された光学素子68(ハーフミラー)に到達した一部の光は当該光学素子68で反射され、測光センサ40に到達する。
一方、ライブビュー表示による構図決め動作が行われる場合には、レリーズボタン11が全押し状態S2にされるまで、ミラー機構6はミラーアップ状態となるように配置される(図5参照)。そして、この際には、撮影レンズユニット3からの被写体像は、撮像素子5に入射する。
具体的には、図5に示すように、ミラー機構6は、撮影光路から待避する。詳細には、撮影光学系からの光(被写体像)を遮らないように主ミラー61とサブミラー62とが上方に待避する。そして、撮影レンズユニット3からの光が開放されたシャッタ4を通過して撮像素子5に到達し、撮像素子5は、光電変換によって、受光した光束に基づいて被写体の画像信号を生成する。このように、被写体からの光が撮影レンズユニット3を介して撮像素子5に導かれることによって、被写体に係る撮影画像(撮影画像データ)が得られる。
撮像素子5は、入射光に基づいて被写体像に関する撮影画像を所定の時間間隔で取得する。この時系列の撮影画像を用いてライブビュー表示が行われる。また、コントラストAF動作時においては、異なるレンズ位置に応じて撮影された複数の撮影画像に基づいてAF動作が行われる。
また、構図決めがいずれの方式で行われる場合においても、レリーズボタン11が全押し状態S2にされると、ミラー機構6はミラーアップ状態となるように配置され(図5参照)、露光動作が開始される。これによって、被写体に係る記録用静止画像(本撮影画像とも称する)の取得動作が実行される。
具体的には、図5に示すように、露光時には、ミラー機構6は、撮影光路から待避する。詳細には、撮影光学系からの光(被写体像)を遮らないように主ミラー61とサブミラー62とが上方に待避し、撮影レンズユニット3からの光がシャッタ4の開放タイミングに合わせて撮像素子5に到達する。撮像素子5は、光電変換によって、受光した光束に基づいて被写体の画像信号を生成する。このように、被写体からの光が撮影レンズユニット3を介して撮像素子5に導かれることによって、被写体に係る撮影画像(撮影画像データ)が得られる。
<1−4.動作>
<概要>
図6〜図11は、撮像装置1Aにおける動作を示すフローチャートである。図6は全体動作を示すフローチャートであり、図7〜図11は、それぞれ、一部(ステップSP11,SP30,SP40,SP12,SP14)の詳細動作を示すフローチャートである。
まず、図6を参照して、動作の概要について説明する。
図6の動作は、メインスイッチ81の操作によって電源がオンにされるとともにモード設定ダイヤル82の操作によって「撮影モード」が設定されている状態の動作を想定している。
さらに、AFモード選択設定、推奨モード表示(オススメ表示)設定、および警告設定に関しても、所定の操作に応じて、各設定内容が予め決定(更新)されているものとする。
具体的には、上述したように、操作者によるAFモード選択操作に応じて、AFモード選択設定が決定(更新)される。
なお、ここでは、切替スイッチ87を用いて、AFモードの選択設定を行う場合を例示しているが、これに限定されず、図12に示すような表示画面(AFモード選択設定画面)G1と方向選択キー84とを用いたAFモード選択操作に応じて、AFモード選択設定を更新するようにしてもよい。図12の画面G1においては、位相差AF方式を固定的に用いる位相差AF固定モード(図では「位相差AF方式」と表記)MD1と、コントラストAF方式を固定的に用いるコントラストAF固定モード(図では「ビデオAF方式」と表記)MD2と、位相差AF方式とコントラストAF方式とを含む複数のAF方式を自動的に切替可能な自動切替モード(図では「自動選択方式」と表記)MD3とを含む3つのモードの中から、自動切替モードMD3が選択されている状態が示されている。
また、この撮像装置1Aにおいては、図13に示すような表示画面(オススメ表示設定に関する設定画面)G2と方向選択キー84とを用いたオススメ表示選択操作に応じて、オススメ表示設定が決定(更新)される。具体的には、方向選択キー84の左右上下方向のボタン操作によってカーソルCRを移動させて画面G2内の選択項目を選択し、さらに方向選択キー84の中央のプッシュボタンを押下することによって所望の選択項目を選択することができる。図13においては、オススメ表示をオンに設定する状態が示されている。
同様に、警告表示(後述)のオン・オフに関する設定(警告設定)も、操作者による設定操作に応じて更新される。
以上のような各種の設定がなされた状態で、図6の動作が実行される。
図6に示すように、ステップSP17でレリーズボタン11が半押し状態S1にされたと判定されるまでは、ステップSP11〜ステップSP16の動作が繰り返し実行される。ステップSP17でレリーズボタン11が半押し状態S1にされたと判定されるまで、換言すれば、ステップSP11〜ステップSP16が繰り返し実行される期間においては、撮影レンズを駆動するAF駆動動作は行われない。一方、レリーズボタン11が半押し状態S1にされたと判定されると、撮影レンズを実際に駆動するAF駆動動作(ステップSP18)が実行される。その後、ステップSP19でレリーズボタン11が全押し状態S2にされたか否かが判定される。全押し状態S2にされていないと判定される場合には、再びステップSP11に戻り、ステップSP11〜SP18の動作が繰り返される。一方、全押し状態S2にされたと判定される場合には、ステップSP20に進み、露光動作を伴う本撮影動作が実行される。
<AF方式の判定処理>
まず、図6のステップSP11においては、最適なAF方式の判定処理が行われる。ステップSP11では、被写体の撮影状況を反映した様々な検出結果に応じて、複数のAF方式のうち何れのAF方式が最適なAF方式であるかが判定される。この判定処理の内容については後に詳述する。
<AF方式の修正処理>
ステップSP12においては、AFモード選択操作によって予め決定されたAFモード選択設定の設定内容に応じて、ステップSP11の判定結果が修正されて、ステップSP18のAF駆動動作で実際に利用されるAF方式が決定される。
具体的には、図10に示すように、AFモード選択設定において、位相差AF固定モードMD1またはコントラストAF固定モードMD2が設定されている場合には、ステップSP11での判定処理を反映することなく、既定のAF方式を、実際のAF制御動作(ステップSP18)に用いられるAF方式として採用する。具体的には、位相差AF固定モードMD1が設定されている場合には、実際のAF制御動作(ステップSP18)に用いられるAF方式として、位相差AF方式が決定される(ステップSP51,SP54)。また、コントラストAF固定モードMD2が設定されている場合には、実際のAF制御動作(ステップSP18)に用いられるAF方式として、コントラストAF方式が決定される(ステップSP51,SP55)。
一方、AFモード選択設定において自動切替モードMD3が設定されている場合には、ステップSP11での判定処理の結果をそのまま用いる。詳細には、ステップSP11で位相差AF方式が最適AF方式として決定されている場合には、実際のAF制御動作(ステップSP18)に用いられるAF方式として、「位相差AF方式」が決定される(ステップSP51,SP52,SP54)。また、ステップSP11でコントラストAF方式が最適AF方式として決定されている場合には、実際のAF制御動作(ステップSP18)に用いられるAF方式として、「コントラストAF方式」が決定される(ステップSP51,SP53,SP55)。さらに、ステップSP11で併用方式(次述)が最適AF方式として決定されている場合には、実際のAF制御動作(ステップSP18)に用いられるAF方式として、併用AF方式が決定される(ステップSP51,SP56)。
ここで、「併用方式」は、端的に言えば、位相差AF方式とコントラストAF方式との双方を併用する方式である。併用方式によるAF動作としては、位相差AF方式によるAF駆動動作(図4参照)を実行した後に、ミラー機構6の配置を変更して、コントラストAF方式によるAF駆動動作(図5参照)を実行するものが例示される。
この「併用方式」は、AFモジュール20による位相差検出信号とコントラストに応じた評価値とを複合的に用いる方式であるとも表現される。これに対して、「位相差AF方式」は、AFモジュール20による位相差検出信号とコントラストに応じた評価値とのうち、AFモジュール20による位相差検出信号を選択的に用いるAF方式であるとも表現される。また、「コントラストAF方式」は、AFモジュール20による位相差検出信号とコントラストに応じた評価値とのうち、コントラストに応じた評価値を選択的に用いるAF方式であるとも表現される。
<オススメ表示>
再び図6を参照する。ステップSP11,SP12の処理が行われると、「オススメ表示設定」がオンに設定されていることを条件に、オススメ表示が行われる(ステップSP13,SP14)。なお、「オススメ表示設定」がオフに設定されている場合には、オススメ表示は行われない。
図11は、オススメ表示処理(ステップSP14)の詳細動作を示すフローチャートである。ステップSP14では、ステップSP11における判定結果が背面モニタ12に表示される。
図11に示すように、位相差AFが最適なAF方式である、と判定される場合には、最適なAF方式が「位相差AF」である旨を、背面モニタ12に表示する(ステップSP61,SP64)。
また、コントラストAFが最適なAF方式であると判定される場合には、最適なAF方式が「コントラストAF」である旨を、背面モニタ12に表示する(ステップSP62,SP65)。
また、位相差AFとコントラストAFとを併用する併用方式が最適なAF方式である、と判定される場合には、最適なAF方式が「併用方式(位相差AF+コントラストAF)」である旨を、背面モニタ12に表示する(ステップSP63,SP66)。
図14は、「オススメ表示」の一例を示す図である。図14においては、背面モニタ12の上縁部付近の表示欄D1に「位相差AF」の文字が表示されており、「位相差AF」が推奨AF方式であることが示されている。ライブビュー表示が実行される場合には、この「位相差AF」の文字がライブビュー画像に重畳して表示される。一方、光学ファインダによる構図決めが行われる場合には、表示欄D1以外の部分に様々な撮影情報を表示するようにしてもよい。
また、他の方式が推奨AF方式である場合には、同様に、その推奨AF方式の名称が表示欄D1に表示される。
なお、「オススメ表示」は、このような態様のものに限定されない。例えば、図15に示すように、3つの選択肢の全てを表示した上で、各選択肢の左横に付されたチェック欄にチェックマーク(例えば赤丸)を付すことによって、チェックマーク付きの選択肢が選択されていることを示すものであってもよい。あるいは、図16に示すように、3つの選択肢の全てを表示した上で、そのうち選択された選択肢を最も大きく表示することによって、選択された選択肢を示すものであってもよい。
このようなオススメ表示によれば、操作者は、現在の被写体の撮影状況に応じて最適なAF方式がいずれの方式であるかを認識することができるので、AF方式を適切に切り替えることが可能になる。
例えば、位相差AF固定モードMD1あるいはコントラストAF固定モードMD2が選択されている場合において、判定部123によって最適なAF方式を求めた後、その判定結果である最適なAF方式をオススメ表示して、操作者の切替操作を促すことができる。これによれば、位相差AF固定モードMD1またはコントラストAF固定モードMD2が選択されている場合に、現在選択中のAFモードに対応するAF方式よりも好適なAF方式が存在するときには、操作者の切替操作によって、当該最適なAF方式である他方のAF方式を固定的に選択するモードに切り替えることが可能になる。
また、自動切替モードMD3においても、いずれのAF方式でAF動作が実行することが好ましいかが判るので、必要に応じて位相差AF固定モードMD1またはコントラストAF固定モードMD2への切替動作を行うことが可能になる。
<警告表示>
次のステップSP15では、警告表示設定がオンであるか否かが判定される。警告表示設定がオンである場合にはステップSP16で警告表示が行われ、警告表示設定がオフである場合には警告表示は行われずにステップSP17に進む。ステップSP16の警告動作は、自動切替モードMD3が選択されている場合にのみ実行されるものとし、他のモードMD1,MD2が選択されている場合には警告動作は実行されないものとする。
また、この撮像装置1Aにおいては、自動切替モードMD3における主たる構図決め動作として、ライブビュー表示を用いるか或いは光学ファインダを用いるかを、別途の設定操作によって設定することが可能である。以下の説明においては、操作者の設定操作等によって、いずれか一方の所望の構図決め動作が選択されているものとする。
この撮像装置1Aにおいては、図5に示すように、ライブビュー表示を行う際には、ミラー機構6の主ミラー61およびサブミラー62を光路から退避させて被写体からの光を撮像素子5に到達させる必要がある。また、AFモジュール20は、図4の状態においては位相差信号を検出できるが、図5の配置状態においては位相差検出信号を検出できない。そのため、この撮像装置1Aにおいては、ライブビュー表示動作と位相差AF方式によるAF動作とを同時に実行することができない。この撮像装置1Aにおいては、自動切替モードMD3に設定されており且つ位相差AF方式が最適なAF方式であるとステップSP11で判定される場合に、ライブビュー表示中にレリーズボタン11の半押し操作に応答してAF動作が開始されると、ライブビュー表示実行状態(図5)から位相差AFを行う状態(図4)への移行動作が実行されてライブビュー表示が中断する。
そこで、この撮像装置1Aは、ライブビュー表示実行状態(図5)で、自動切替モードMD3に設定されており且つ位相差AF方式が最適なAF方式であるとステップSP11で判定されるときには、AF方式が位相差AF方式に切り替えられる旨の警告(すなわち、ライブビュー表示中断の警告)を発する。このような警告によれば、レリーズボタン11の半押し操作に応答してAF動作が開始されると、ライブビュー表示が中断することを、操作者が予測できる。したがって、ライブビュー表示が突然中断する「不意打ち」を回避できる。
また、この撮像装置1Aにおいては、主ミラー61が光路から退避したとき(図5)には、被写体像をファインダ窓10を介して視認することができない。換言すれば、光学ファインダによる構図決定動作を行うためには、図4に示すように、ミラー機構6の主ミラー61およびサブミラー62を光路上に配置して被写体からの光をペンタミラー65を介してファインダ窓10へと向かわせる必要がある。ただし、撮像素子5は図5の状態では被写体像を得ることができるが、図4の状態では被写体からの光が撮像素子5に到達せず撮像素子5は被写体像を得ることができない。そのため、この撮像装置1Aにおいては、光学ファインダによる構図決め動作とコントラストAF方式によるAF動作とを同時に実行することができない。したがって、この撮像装置1Aにおいては、自動切替モードに設定されており且つコントラストAF方式が最適なAF方式であるとステップSP11で判定される場合に、光学ファインダによる構図決めの実行中にレリーズボタン11の半押し操作に応答してAF動作が開始されると、光学ファインダによる構図決め実行状態(図4)からコントラストAFを行う状態(図5)への移行動作が実行されて光学ファインダによる構図決めが出来なくなる。
そこで、この撮像装置1Aは、光学ファインダによる構図決め実行状態(図4)で、自動切替モードに設定されており且つコントラストAF方式が最適なAF方式であるとステップSP11で判定されるときには、AF方式がコントラストAF方式に切り替えられる旨の警告(すなわち、光学ファインダによる構図決め中断の警告)を発する。このような警告によれば、レリーズボタン11の半押し操作に応答してAF動作が開始されると、光学ファインダによる構図決めが出来なくなることを、操作者が予測できる。したがって、光学ファインダによる構図決めが突然出来なくなるという「不意打ち」を回避できる。
また、図14には、警告表示の一例が示されている。図14の表示欄D1の右横には点状光源を模した略円形状の警告欄D2が設けられており、当該警告欄D2の点状光源部分が点灯(ないし点滅)することによって、上述の警告表示を行うことが可能である。
なお、図4の光学ファインダによる構図決め動作時には、操作者は背面モニタ12を視認することが困難である。そのため、別途の警告表示をファインダ窓10を通して視認することが可能となるように、光学ファインダによる被写体像の視認領域の周囲に警告表示灯などを設けることが好ましい。あるいは、「警告」を表示で行うのではなく音声出力で行うようにしてもよい。
また、この撮像装置1Aにおいては、位相差AF方式とコントラストAF方式とが併用される自動合焦動作(AF動作)が実行されると、図4の状態と図5の状態との双方が順次に実現される。そのため、現在の状態が図4の状態および図5の状態のいずれであっても、一方の構図決めしかできない期間が発生することになる。そこで、この実施形態においては、併用方式が最適なAF方式として決定された場合にも上記のような警告を発するものとする。
<AF駆動動作および撮影動作>
その後、ステップSP17でレリーズボタン11が半押し状態S1にされたと判定されると、撮影レンズを実際に駆動するAF駆動動作(ステップSP18)が実行される。
このAF駆動動作は、実際に使用するAF方式としてステップSP12で決定されたAF方式にしたがって実行される。例えば、ステップSP12で位相差AFが選択されているときには、このステップSP18では位相差AFによるAF駆動動作が実行される(図4参照)。また、ステップSP12でコントラストAFが選択されているときには、このステップSP18ではコントラストAFによるAF駆動動作が実行される(図5参照)。また、ステップSP12で併用方式が選択されているときには、このステップSP18では併用方式によるAF駆動動作が実行される。
このように、被写体の撮影状況に応じた最適なAF方式によって、フォーカスレンズを駆動するAF駆動動作が実現されるので、AF方式を適切に切り替えることが可能である。
その後、ステップSP19でレリーズボタン11が全押し状態S2にされたと判定されるまでは、再びステップSP11に戻り、ステップSP11〜SP18の動作が繰り返される。一方、ステップSP19でレリーズボタン11が全押し状態S2にされたと判定される場合には、ステップSP20に進み、図5の状態において、露光動作を伴う本撮影動作が実行される。
<1−5.判定処理>
<AF方式に応じた分岐処理>
次に、ステップSP11の判定処理について図7の詳細フローチャートを参照しながら説明する。この判定処理によれば、現在の被写体の撮影状況に応じて最適なAF方式が決定される。なお、上述したように、この判定処理の判定結果は、「オススメ表示」(ステップSP14)、警告動作(ステップSP16)、およびAF駆動動作(ステップSP18)に利用される。
まず、ステップSP21,SP22においては、位相差AFが可能な状態であるのか、或いは、コントラストAFが可能な状態であるのかが判定される。
上述したように、この撮像装置1Aにおいては、操作者の設定操作によって、主たる構図決め動作として、光学ファインダを用いるか或いはライブビュー表示を用いるかが設定されている。そして、レリーズボタン11が半押し状態S1にされるまでは、この設定内容に応じた構図決め動作が行われる。
光学ファインダを用いて構図決めを行う旨が設定されている場合には、図4に示すように、AFモジュール20を用いた位相差検出方式による合焦レンズ位置の決定処理が可能である。端的に言えば、位相差AFが可能な状態である。ただし、図4の状態(ミラーダウン状態)においては撮像素子5に被写体からの光が入射しないため、撮像素子5に入射する被写体光を用いたコントラスト方式による合焦レンズ位置の決定処理は不意可能である。端的に言えば、コントラストAFが不可能な状態である。
一方、ライブビュー表示用いて構図決めを行う旨が設定されている場合には、図5に示すように、撮像素子5に入射する被写体光を用いたコントラスト方式による合焦レンズ位置の決定処理が可能である。端的に言えば、コントラストAFが可能な状態である。ただし、図5の状態(ミラーアップ状態)においてはAFモジュール20に被写体からの光が入射しないため、AFモジュール20を用いた位相差検出方式による合焦レンズ位置の決定処理は不可能である。端的に言えば、位相差AFが不可能な状態である。
そして、撮像装置1Aが図4の状態を有している場合(光学ファインダを用いて構図決めを行う旨が設定されている場合等)には、ステップSP21において位相差AFが可能であると判定され、ステップSP30に進む。
一方、撮像装置1Aが図5の状態を有している場合(ライブビュー表示用いて構図決めを行う旨が設定されている場合等)には、ステップSP22においてコントラストAFが可能であると判定され、ステップSP40に進む。
なお、図4の状態と図5の状態との両状態間の遷移中においては、非常に微小な時間ではあるが、位相差AFもコントラストAFも不可能な期間が存在する。この微小期間においては、「AF不可」(ステップSP23)と判定して例外処理を行うものとする。例えば、「AF不可」と判定された場合には、以降のオススメ表示および警告表示を行わないものとすればよい。
また、この撮像装置1Aにおいては、自動切替モードMD3においてレリーズボタン11が半押し状態S1にされた後は、ステップSP12で決定されたAF方式が採用される。そして、位相差AFが採用される場合には撮像装置1Aは図4の状態に変更され、コントラストAFが採用される場合には撮像装置1Aは図5の状態に変更されて、それぞれ、AF駆動動作が実行される。したがって、レリーズボタン11が半押し状態S1になっている期間においては、ステップSP12で決定されたAF方式に応じて、ステップSP30に進むかステップSP40に進むかが決定されることになる。
なお、ここでは、レリーズボタン11の半押し状態S1が解除された後には、再び、操作者の設定操作によって決定された主たる構図決め動作に復帰するものとし、復帰後の状態が図4の状態であるか図5の状態であるかに応じて、ステップSP30に進むかステップSP40に進むかが決定される。
<ステップSP30>
つぎに、図8を参照しながらステップSP30の詳細動作について説明する。
このステップSP30は、撮像装置1Aが図4の状態を有する場合に実行される。判定部123は、当該状態において利用可能なセンサ(具体的には、AFモジュール20および測光センサ40)による検出情報を用いて被写体の撮影状況を判定し、当該撮影状況に応じた最適なAF方式を決定する。
まず、ステップSP31においては、AFモジュール20での受光量が所定の閾値TH1よりも小さく、且つ、測光センサ40での受光量が所定の閾値TH2よりも小さい、という条件C1を満たすか否かを判定する。そして、当該条件C1を満たす場合には、被写体の撮影状況が非常に暗い、と判定してステップSP36に進み、位相差AF方式を最適なAF方式として決定する。これによれば、被写体が暗いときには、光量不足に比較的強い位相差AF方式を最適なAF方式として決定することが可能である。特に、AFモジュール20と測光センサ40とで、被写体の複数の異なる部分からの光を受光している場合には、当該複数の異なる部分の明るさを用いて判定することによって、コントラストAF方式による合焦動作が明るさ不足の影響で困難な状況であるか否かを、より正確に判断することが可能である。一方、当該条件を満たさない場合には、ステップSP32に進む。
ステップSP32においては、AFモジュール20の位相差検出信号によって検出される合焦レンズ位置が複数存在する、という条件C2を満たすか否かが判定される。例えば格子状の被写体に対して位相差AF方式を用いると、位相差AF方式の原理上、近接する格子部分の影響でその合焦レンズ位置を適切に特定することができず、合焦レンズ位置として複数の候補位置が併存したままとなることが有る。そこで、条件C2を満たす場合には、このような状況が発生していると判定して、ステップSP37に進み、コントラストAF方式を最適なAF方式として決定する。コントラストAF方式によれば、合焦レンズ位置を位相差AF方式よりも正確に特定することが可能である。これによれば、被写体が格子状のものである場合など、被写体の階調値が高い周波数(空間周波数)で周期的に変化するものである場合に、コントラストAFを最適なAF方式として決定することができる。一方、当該条件C2を満たさないときには、ステップSP33に進む。
ステップSP33においては、デフォーカス量DFが所定の閾値TH3よりも大きい、という条件C3を満たすか否かが判定される。具体的には、AFモジュール20を用いた位相差AF方式によって合焦レンズ位置として特定されるレンズ位置と、撮影レンズの現在のレンズ位置との差(ずれ)を、デフォーカス量DFとして算出する。そして、当該デフォーカス量DFが所定の閾値TH3よりも大きいか否かを判定する。条件C3を満たす場合には、デフォーカス量DFが比較的大きいという被写体の撮影状況を考慮して、ステップSP36に進み、比較的高速な位相差AF方式を最適なAF方式として決定する。これによれば、被写体のピントのぼけ状態が比較的大きく合焦状態に到達するまでにレンズ位置を比較的大きく移動させることになる場合には、比較的高速な位相差AF方式を最適なAF方式として決定し、高速なAF動作を実現することが可能である。一方、条件C3を満たさない場合には、ステップSP34に進む。
ステップSP34においては、AFモジュール20で受光される被写体像のコントラストが所定の閾値TH4よりも大きい、という条件C4を満たすか否かが判定される。条件C4を満たす場合には、AFモジュール20による被写体像が比較的鮮明な画像であり位相差AF方式でも十分に合焦レンズ位置を特定することが可能であると判断して、ステップSP36に進み、比較的高速な位相差AF方式を最適なAF方式として決定する。一方、条件C4を満たさない場合には、ステップSP35に進む。
ステップSP35においては、AFモジュール20で受光される被写体像のコントラストが所定の閾値TH5(<TH4)よりも小さい(ローコントラスト)、という条件C5を満たすか否かが判定される。条件C5を満たす場合には、AFモジュール20による被写体像が不鮮明であるため位相差AF方式では合焦レンズ位置を特定することが不可能であると判断して、ステップSP37に進み、より高精度のコントラストAF方式を最適なAF方式として決定する。一方、条件C5を満たさない場合には、ステップSP38に進む。
ステップSP38に進むのは、AFモジュール20による被写体像が、位相差AF方式を用いることができない程度にまで不鮮明ではないが、位相差AF方式だけで合焦判定を十分に行うことができる程度までは鮮明ではない、と判定される場合である。すなわち、AFモジュール20による被写体像の鮮明度が中程度の場合である。
ステップSP38においては、このような状況であることを判定して、「併用方式」を最適なAF方式として決定する。
なお、ステップSP18のAF駆動動作において「併用方式」が採用される場合には、例えば、まず位相差AF方式を採用して合焦レンズ位置を求め当該合焦レンズ位置付近へと撮影レンズを移動し、その後にコントラストAF方式を採用してフォーカスレンズを移動する動作が行われる。
詳細には、図4の状態において位相差AF方式による合焦レンズ位置の若干手前の位置にまでフォーカスレンズを移動した後に、ミラー機構6の配置を図5の状態に変更する。そして、フォーカスレンズを引き続き移動させつつ、当該各レンズ位置でのコントラストAF用の評価値を求めておき、コントラストAF用の評価値の変化曲線のピークに対応するレンズ位置(ピークレンズ位置)を最終的な合焦レンズ位置として決定し、当該ピークレンズ位置にフォーカスレンズを移動する。このように、比較的高速な位相差AFで本来の合焦レンズ位置付近にまで撮影レンズを移動しておき、さらにコントラストAFでレンズ位置を微調整することによって、より効率的なAF動作を行うことが可能である。
また、AFモードが自動切替モードMD3に設定されている場合において、ステップSP30で「位相差AF方式」が最適なAF方式であると決定(ステップSP36)されたときには、ステップSP18のAF駆動動作においてもミラー機構6の状態を変更しなくて済み、ひいては構図決め方式を変更しなくて済む。一方、このステップSP30において「コントラストAF方式」もしくは「併用方式」が最適なAF方式であると決定(SP37,SP38)されたときには、ステップSP18のAF駆動動作において図4の状態から図5の状態へとミラー機構6の状態も変更され、ひいては構図決め方式も変更されることになる。上述のような警告動作によれば、このような状態変更を予測することが可能になる。
<ステップSP40>
つぎに、図9を参照しながらステップSP40の詳細動作について説明する。
このステップSP40は、撮像装置1Aが図5の状態を有する場合に実行される。判定部123は、当該状態において利用可能なセンサ(具体的には、撮像素子5)による検出情報を用いて被写体の撮影状況を判定し、当該撮影状況に応じた最適なAF方式を決定する。
まず、ステップSP41においては、撮像素子5での受光量が所定の閾値TH6よりも小さい、という条件C6を満たすか否かを判定する。そして、当該条件C6を満たす場合には、被写体の撮影状況が非常に暗い、と判定してステップSP36に進み、位相差AF方式を最適なAF方式として決定する。これによれば、被写体が暗いときには、光量不足に比較的強い位相差AF方式を最適なAF方式として決定することが可能である。一方、当該条件C6を満たさない場合には、ステップSP42に進む。
ステップSP42においては、撮像素子5によって或る時点で取得された1枚の撮影画像(被写体画像)について、2種類の空間周波数の差分フィルタによるコントラスト情報を取得する。そして、高周波差分フィルタFAによるコントラスト情報(高周波コントラスト成分)と低周波差分フィルタFBによるコントラスト情報(低周波コントラスト成分)との比較結果を用いて被写体の合焦度合いを検出し、合焦度合いが所定レベルより大きいか否かを判定する。この判定手法については後述する。
このような比較結果に基づき合焦度合いが所定レベルより大きいと判定される、という条件C7を満たす場合には、ステップSP37に進み、コントラストAF方式を最適なAF方式として決定する。コントラストAF方式によれば、撮影レンズをさらに正確な合焦レンズ位置に移動させることが可能である。
一方、当該条件C7を満たさないときは、ステップSP43に進み、原則として位相差AF方式を採用する。したがって、合焦度合いが所定レベルより小さいときには、原則として、比較的高速な位相差AF方式が最適なAF方式として決定されることになる。
ステップSP43においては、撮像素子5で受光される被写体像のコントラストが所定の閾値TH8よりも小さい(ローコントラスト)、という条件C8を満たすか否かが判定される。
条件C7を満たさず且つ条件C8をも満たさない場合には、ステップSP38に進み、位相差AF方式だけでなくコントラストAF方式をも利用する併用方式を最適なAF方式として決定する。
一方、条件C7を満たさないが条件C8を満たす場合には、撮像素子5による被写体像が不鮮明であるため、撮像素子5による撮影画像を用いるコントラストAF方式では合焦レンズ位置を特定することが不可能であると判断して、ステップSP36に進み、位相差AF方式を最適なAF方式として決定する。
また、AFモードが自動切替モードMD3に設定されている場合において、ステップSP40において「コントラストAF方式」が最適なAF方式であると決定(ステップSP37)されたときには、ステップSP18のAF駆動動作においてもミラー機構6の状態を変更しなくて済み、ひいては構図決め方式を変更しなくて済む。一方、このステップSP40において「位相差AF方式」もしくは「併用方式」が最適なAF方式であると決定(SP36,SP38)されたときには、ステップSP18のAF駆動動作において図5の状態から図4の状態へとミラー機構6の状態も変更され、ひいては構図決め方式も変更されることになる。上述のような警告動作によれば、このような状態変更を予測することが可能になる。
<異種コントラスト情報に基づく合焦判定動作>
ここで、1枚の撮影画像から取得される2種類のコントラスト情報(低周波成分および高周波成分)を用いて合焦度合いを判定する手法(ステップSP42)について説明する。
図17は、この判定手法の詳細動作(ステップSP70)を示すフローチャートである。図18は、数値例を示す表を示す図であり、図19は当該数値例に関するグラフを示す図である。また、図20は、合焦度合いに応じた、高周波コントラスト成分と低周波コントラスト成分との関係を示す図である。
図17に示すように、撮影画像Gを取得する(ステップSP71)と、撮影画像Gに対して比較的高周波の差分フィルタ(高周波フィルタとも称する)FAによるフィルタ処理を施してデータDAを取得する(ステップSP72)とともに、撮影画像Gに対して比較的低周波の差分フィルタ(低周波フィルタとも称する)FBによるフィルタ処理を施してデータDBを取得する(ステップSP73)。そして、データDAにおける最大値とデータDBにおける最大値との比RCを求める(ステップSP74)。
この比RCが閾値THeよりも小さく、且つ、データDAの代表値(例えば最大値)が閾値THdよりも大きいという条件を満たす場合に、合焦度合いが所定レベルよりも大きい(端的に言えば合焦付近である)と判定する(ステップSP75,SP76,SP77)。一方、当該条件が満たされない場合には、合焦度合いが所定レベルよりも低い(端的に言えば合焦付近ではない)と判定する(ステップSP78)。
図18は、3つのレンズ位置のそれぞれにおける画像の状態を示す数値例である。ここでは、簡単化のため、1次元の画素配列を示している。
図18の最も左側の欄L1には、「合焦状態」を示す数値例が示されている。また、中央の欄L2には、少しぼけた状態(「少しぼけ状態」)を示す数値例が示されており、最も右側の欄L3には、さらにぼけた状態(「ぼけ状態」)を示す数値例が示されている。
たとえば、欄L1のうち最も左側の列には、1番目の画素位置から15番目の画素位置までの画素値(階調値)が、それぞれ、30,45,68,...,38と変化する様子が示されている。図19のグラフにおいては、この合焦状態の画素配列が曲線LC1として示されている。また、この画素配列に対して高周波フィルタFA(1,0,−1)によるフィルタ処理を施して得られたデータDAが、図18の欄L1の中央の列に示されているとともに、図19の曲線LH1として示されている。さらに、曲線LC1の画素配列に対して低高周波フィルタFB(1,0,0,0,−1)によるフィルタ処理を施して得られたデータDBが、図18の欄L1の最も右側の列に示されているとともに、図19の曲線LL1として示されている。また、この合焦状態におけるデータDAの最大値(具体的には285)と、データDBの最大値(具体的には411)との比RC(値1.44)が図18の欄L1の下から2番目の行に示されている。
同様に、欄L2のうち最も左側の列には、1番目の画素位置から15番目の画素位置までの画素値(階調値)が示されている。図19のグラフにおいては、「少しぼけた状態」の画素配列が曲線LC2として示されている。また、この画素配列に対して高周波フィルタFAによるフィルタ処理を施して得られたデータDAが、図18の欄L2の中央の列に示されているとともに、図19の曲線LH2として示されている。さらに、曲線LC2の画素配列に対して低高周波フィルタFBによるフィルタ処理を施して得られたデータDBが、図18の欄L2の最も右側の列に示されているとともに、図19の曲線LL2として示されている。また、この「少しぼけた状態」におけるデータDAの最大値(具体的には129)と、データDBの最大値(具体的には195)との比RC(値1.51)が図18の欄L2の下から2番目の行に示されている。
また、欄L3のうち最も左側の列には、1番目の画素位置から15番目の画素位置までの画素値(階調値)が示されている。図19のグラフにおいては、「ぼけ状態」の画素配列が曲線LC3として示されている。また、この画素配列に対して高周波フィルタFAによるフィルタ処理を施して得られたデータDAが、図18の欄L3の中央の列に示されているとともに、図19の曲線LH3として示されている。さらに、曲線LC3の画素配列に対して低高周波フィルタFBによるフィルタ処理を施して得られたデータDBが、図18の欄L3の最も右側の列に示されているとともに、図19の曲線LL3として示されている。また、この「ぼけ状態」におけるデータDAの最大値(具体的には51)と、データDBの最大値(具体的には82)との比RC(値1.60)が図18の欄L3の下から2番目の行に示されている。
図20は、レンズ位置の変更に伴うデータDAとデータDBとの変化の様子を示す概念図である。図20に示すように、レンズ位置が合焦レンズ位置XP付近のときは、データDAとデータDBとが比較的近い値となるのに対して、レンズ位置が合焦レンズ位置XPから離れていくにつれて、データDAとデータDBとの差が大きくなっていく。このためレンズ位置が合焦レンズ位置XPからずれていくにつれて、高周波コントラスト成分と低周波コントラスト成分との比が大きくなる。例えば、2つの周波数コントラスト成分の代表値として例えば最大値を採用すると、高周波コントラスト成分の最大値MAと低周波コントラスト成分の最大値MBとの比RC(=MB/MA)は、レンズ位置が合焦レンズ位置XPからずれていくにつれて大きくなる。図18においても、比RCは、合焦状態では値1.44であるのに対して、合焦度合いが低下するにつれて、1.51,1.60と徐々に大きな値になっていくことが示されている。
そこで、ここでは、上述のような原理を利用して、当該比RCが所定の閾値THe(例えば1.50)よりも小さい場合に、合焦度合いが所定レベルより大きいと判定するものとする。
また、ここでは、さらに、データDAの代表値(ここでは最大値)が閾値THdよりも大きいという条件をも考慮している。これによれば、撮影画像が比較的高いコントラストを有することをも確認することができる。図20では閾値THdを可変値とする場合を示しているが、閾値THdとして固定値を採用するようにしてもよい。
なお、上記においては、各周波数コントラスト成分の代表値として例えば最大値を採用する場合を例示したが、これに限定されず、当該代表値として、各周波数コントラストの合計値を採用するようにしてもよい。図18の最下段には、データDAの合計値とデータDBの合計値との比RDが、各状態についてそれぞれ示されている。この比RDが所定の閾値THe(例えば1.57)よりも小さい場合に、合焦状態であると判定するようにしてもよい。
<2.第2実施形態>
<2−1.構成>
上記の第1実施形態においては、位相差AFとコントラストAFとを同時に実行できない構成を有する撮像装置1Aを例示した。この第2実施形態においては、位相差AFとコントラストAFとを同時に実行することが可能な構成を有する撮像装置1Bを例示する。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図21は、第2実施形態に係る撮像装置1Bの構成概要を示す断面図であり、図22は、撮像装置1Bの機能構成を示すブロック図である。
図21および図22に示すように、この撮像装置1Bは、ファインダ光学系の一部に撮像素子(サブイメージセンサ)7をさらに備えている。この撮像素子7は、メインイメージセンサである撮像素子5とは別個に設けられる撮像素子である。この撮像素子7による撮影画像を用いることによって、ライブビュー表示およびコントラストAFを実現することが可能である。
撮像装置1Bは、レリーズボタン11が全押し状態S2にされるまでの期間において、すなわち構図決め動作時において、図21に示すような状態となる。具体的には、図4と同様に、撮影レンズユニット3から撮像素子5に至る光路(撮影光路)上に主ミラー61が配置され、主ミラー61での反射光がペンタミラー65でその進行方向がさらに変更されてファインダ窓10に到達する。したがって、光学ファインダによる構図決め動作が可能である。
また、撮像装置1Bは、ペンタミラー65からファインダ窓10へ向かう光路上に光学素子(ハーフミラー)68を備えている。主ミラー61での反射光は、ペンタミラー65でその進行方向が変更された後に、光学素子68でその一部の光の進路が変更されファインダ窓10とは別の方向に進行し、光学素子(ハーフミラー)69を透過して撮像素子7に到達する。なお、光学素子69に到達した一部の光は当該光学素子69で反射され、測光センサ40に到達する。
撮像素子7は、撮像素子5と同様の構成を有しており、ライブビュー用の画像信号(動画像)を生成するためなどに用いられる。ただし、撮像素子7は、撮像素子5と同じ数の画素数を有していることを要さず、撮像素子5よりも少ない数の画素で構成されるものであってもよい。
撮像素子7で取得された画像信号に対しても、撮像素子5で取得された画像信号と同様の信号処理が施される。すなわち、撮像素子7で取得された画像信号は、A/D変換回路52でデジタルデータに変換された後、デジタル信号処理回路50で所定の画像処理が施され、画像メモリ56に格納される。
画像メモリ56に格納される時系列の撮影画像は、画像メモリ56から順次に読み出され、背面モニタ12に順次に表示される。これによって動画的態様の表示(ライブビュー表示)が実現される。すなわち、ライブビュー表示による構図決め動作が可能である。
また、撮像素子7による複数の撮影画像のそれぞれについてコントラストに関する評価値を求めることによって、当該評価値を最適化するレンズ位置を合焦レンズ位置として求める合焦レンズ位置特定動作と、当該合焦レンズ位置にフォーカスレンズを移動するAF駆動動作とが実現される。すなわち、撮像装置1Bは、撮像素子7で取得される撮影画像を用いることによって、コントラストAFを行うことが可能である。
また、主ミラー61を透過した光は、サブミラー62で下方に反射され、AFモジュール20へと導かれて入射する。AFモジュール20は、入射光を用いて位相差検出信号を発生する。この位相差検出信号を用いることによって、合焦レンズ位置を求める合焦レンズ位置特定動作と、当該合焦レンズ位置へとフォーカスレンズを移動するAF駆動動作とが実現される。すなわち、撮像装置1Bは、AFモジュール20で取得される位相差検出信号を用いることによって、位相差AFを行うことが可能である。
以上のように、レリーズボタン11が半押し状態S2にされるまでの期間においては、ライブビュー表示による構図決め動作と光学ファインダによる構図決め動作とが同時に実現可能である。また、同期間において、位相差AF方式とコントラストAF方式との双方のAF方式を採用することが可能である。
また、レリーズボタン11が全押し状態S2にされると、図5と同様、ミラー機構6はミラーアップ状態となるように配置され、撮像素子5による露光動作が可能となる。撮像素子5は、シャッタ4の開放タイミングに合わせて受光した被写体像を光電変換して、被写体の画像信号を生成する。このようにして、被写体に係る本撮影画像(撮影画像データ)が得られる。
<2−2.動作>
図23および図24は、撮像装置1Bにおける動作を示すフローチャートである。図23は全体動作を示すフローチャートであり、図24は、一部(ステップSP80)の詳細動作を示すフローチャートである。
図23の動作は、第1実施形態(図6参照)と同様の動作であるが、ステップSP11の処理に代えてステップSP80の処理が実行される点、およびステップSP15,SP16の処理が実行されない点において、第1実施形態の動作と相違する。
この撮像装置1Bは、上述のような構成を有するため、AF方式を切り替えた場合でも構図決め動作の方式を変更する必要がない。そこで、第2実施形態においては、図23に示すように、警告動作(ステップSP15,SP16)を行わないものとする。
また、この第2実施形態の撮像装置1Bにおいては、上述の2種類の構図決め方式のうち何れの構図決め方式を採用する場合でも、AFモジュール20による位相差検出信号と撮像画像に関するコントラスト評価値との両方を用いることが可能である。そこで、第2実施形態においては、最適なAF方式を決定する判定処理として、ステップSP80の処理(ステップSP11の処理とは異なる)を採用するものとする。
以下では、図24を参照しながら、ステップSP80の処理について説明する。なお、ステップSP80の処理は、基本的には位相差AF方式を優先的に採用するという概念に基づいている。なお、コントラストAF方式においては、合焦レンズ位置を挟んでその前後の範囲にわたってレンズが移動する必要があるため、被写体像が非常に鮮明になった後に一旦少しぼけて再度非常に鮮明になるという動作(端的に言えば行き戻り動作)が行われる。これに対して、位相差AF方式においては、このような行き戻り動作は行われない。したがって、位相差AF方式の方が、操作者の違和感が少ない。また、位相差AF方式は、コントラストAF方式に比べて高速であるという利点も有している。
ステップSP81は、ステップSP31と同様の処理であるが、AFモジュール20の受光量および測光センサ40での受光量に加えて、撮像素子7での受光量をも考慮する点で相違する。具体的には、AFモジュール20での受光量が所定の閾値TH1よりも小さく、且つ、測光センサ40での受光量が所定の閾値TH2よりも小さく、且つ、撮像素子7での受光量が所定の閾値TH11よりも小さい、という条件C11を満たすか否かを判定する。そして、当該条件C11を満たす場合には、被写体の撮影状況が非常に暗い、と判定してステップSP88に進み、位相差AF方式を最適なAF方式として決定する。一方、当該条件C11を満たさない場合には、ステップSP82に進む。
ステップSP82においては、ステップSP32と同様の処理が行われる。AFモジュール20の位相差検出信号によって検出される合焦レンズ位置が複数存在する、という上述の条件C2を満たす場合には、ステップSP89に進み、コントラストAF方式を最適なAF方式として決定する。コントラストAF方式によれば、合焦レンズ位置を位相差AF方式よりも正確に特定することが可能である。一方、当該条件C2を満たさないときには、ステップSP33に進む。
ステップSP83においては、ステップSP33と同様の処理が行われる。デフォーカス量DFが所定の閾値TH3よりも大きい、という条件C3を満たすか否かが判定される。
条件C3を満たす場合には、ステップSP88に進み、比較的高速な位相差AF方式を最適なAF方式として決定する。これによれば、被写体のピントのぼけ状態が比較的大きい場合には、比較的高速な位相差AF方式を最適なAF方式として決定し、高速なAF動作を実現することが可能である。
一方、条件C3を満たさない場合には、ステップSP84に進む。
ステップSP84においては、2つの条件を考慮した判定処理が行われる。
まず、1つの条件として、デフォーカス量DFが所定の閾値TH12(<TH3)よりも小さい、という条件C12を満たすか否かが判定される。上述のように、デフォーカス量DFは、AFモジュール20を用いた位相差AF方式によって合焦レンズ位置として特定されるレンズ位置と、撮影レンズの現在のレンズ位置との差(ずれ)として算出される。この条件C12は、位相差AF方式によって合焦状態であることを判定するための条件である、とも表現される。なお、閾値TH12は、閾値TH3と同じ値であってもよい。
また、もう1つの条件として、上述の2種類の空間周波数フィルタFA,FBによる各コントラスト情報に基づいて合焦度合いが所定レベルより小さいと判定される、という条件C13を満たすか否かが判定される。この条件C13は、異種(ここでは2種類)のコントラスト情報を用いて、非合焦状態であるか合焦状態であるかを判定する合焦判定動作を行うための条件である、とも表現される。
そして、条件C12と条件C13との両方を満たす、という条件C14を満たすか否かが判定される。条件C14を満たす場合には、ステップSP89に進み、コントラストAF方式を最適なAF方式として決定する。なお、条件C14を満たす場合とは、具体的には、AFモジュール20による位相差検出結果に基づくデフォーカス量DFが閾値TH12よりも小さく、且つ、2種類の空間周波数フィルタFA,FBによる各コントラスト情報に基づいて合焦度合いが所定レベルより小さいと判定される場合である。端的には、位相差AF方式により合焦状態であると判定され、且つ、異種コントラスト情報に基づく合焦判定動作により非合焦状態であると判定される場合である、とも表現される。
条件C12を考慮することによって、コントラストAF方式の採用頻度を低減すること(換言すれば、位相差AF方式の利用頻度を増大させること)が可能になる。例えば、位相差AF方式で算出されるデフォーカス量DFが閾値TH12より大きく非合焦状態であると判定される場合には、ステップSP84〜SP87の判定において位相差AFが原則として採用されることになるからである。
また、条件C13をさらに考慮することによって、コントラストAF方式の採用頻度をさらに低減できる。異種コントラスト情報に基づく合焦判定動作によって合焦状態であると判定される場合には、十分に合焦範囲内に入っているので、コントラストAF方式によるAF動作を敢えて行う必要性が少ない。そこで、最適なAF方式として、コントラストAF方式ではなく位相差AF方式を原則として採用する方向で処理を進める。一方、異種コントラスト情報に基づく合焦判定動作により非合焦状態であると判定される場合には、位相差AF方式よりも正確なコントラストAF方式を用いることによって、合焦度合いの改善を試みることができる。
一方、条件C14を満たさない場合には、ステップSP85に進む。
ステップSP85は、ステップSP34と同様の処理である。具体的には、AFモジュール20で受光される被写体像のコントラストが所定の閾値TH4よりも大きい、という条件C4を満たすか否かが判定される。条件C4を満たす場合には、ステップSP88に進み、位相差AF方式を最適なAF方式として決定する。一方、条件C4を満たさない場合には、ステップSP86に進む。
ステップSP86は、ステップSP43と同様の処理である。具体的には、ステップSP86においては、撮像素子7で受光される被写体像のコントラストが所定の閾値TH16よりも小さい(ローコントラスト)、という条件C16を満たすか否かが判定される。条件C16を満たす場合には、撮像素子7による被写体像が不鮮明であるため、撮像素子7による撮影画像を用いるコントラストAF方式では合焦レンズ位置を特定することが不可能であると判断して、ステップSP88に進み、位相差AF方式を最適なAF方式として決定する。一方、条件C16を満たさない場合には、ステップSP87に進む。
ステップSP87は、ステップSP35と同様の処理である。具体的には、ステップSP87においては、AFモジュール20で受光される被写体像のコントラストが所定の閾値TH5(<TH4)よりも小さい(ローコントラスト)、という条件C5を満たすか否かが判定される。条件C5を満たす場合には、AFモジュール20による被写体像が不鮮明であるため位相差AF方式では合焦レンズ位置を特定することが不可能であると判断して、ステップSP89に進み、より高精度のコントラストAF方式を最適なAF方式として決定する。一方、条件C5を満たさない場合には、ステップSP90に進む。
ステップSP90においては、位相差AF方式だけでなくコントラストAF方式をも利用する併用方式を最適なAF方式として決定する。ステップSP90で決定される「併用方式」としては、ステップSP38で決定される「併用方式」と同じ態様のものを用いることができる。また、上記のステップSP38においては、位相差AFとコントラストAFとが同時に実行できない場合の併用方式について説明したが、これに限定されず、この第2実施形態のように位相差AFとコントラストAFとが同時に実行可能である場合には、次のような併用方式も可能である。
具体的には、位相差AFによって特定された合焦レンズ位置付近に向けてフォーカスレンズを移動するとともに、移動中において各レンズ位置でのコントラストAF用の評価値をも取得しておく。そして、コントラストAF用の評価値の変化曲線のピークに対応するレンズ位置を最終的な合焦レンズ位置として決定し、当該ピークレンズ位置にフォーカスレンズを移動する。位相差AFによって特定された合焦レンズ位置に到達しても評価値のピークに対応するピークレンズ位置を未だ検出できない場合には、コントラストAF動作を続行する。すなわち、さらにレンズを移動しながら評価値算出動作を行って、ピークレンズ位置を検出するAF駆動動作を行う。一方、位相差AFによって特定された合焦レンズ位置に到達するまでにピークレンズ位置を検出した場合には、そのピークレンズ位置に移動することによってAF駆動動作を終了する。これによれば、より高速にAF駆動動作を完了することが可能である。
このような併用方式によるAF動作を行うようにしてもよい。
<3.第3実施形態>
第3実施形態は、第2実施形態と同様に、位相差AFとコントラストAFとを同時に実行することが可能な構成を有する撮像装置を例示する。以下では、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
図25は、第3実施形態に係る撮像装置1Cの構成概要を示す断面図である。撮像装置1Cにおいては、光学ファインダは設けられておらず、構図決めはライブビュー表示を用いて行う。
撮像装置1Cは、レリーズボタン11が全押し状態S2にされるまでの期間において、すなわち構図決め動作時において、図25に示すような状態となる。具体的には、撮影レンズユニット3から撮像素子5に至る光路(撮影光路)上に主ミラー61が配置され、主ミラー61での反射光がペンタミラー65でその進行方向がさらに変更されて、撮像素子5に到達する。撮像素子5は、撮影レンズユニット3から撮像素子5に至る光路(撮影光路)に対して平行に配置されており、主ミラー61からの反射光の光軸に対して垂直となるように配置されている。
撮像装置1Cは、構図決め状態において、撮像素子5による撮影画像を常時得ることが可能である。撮像装置1Cは、この撮像素子5による撮影画像を用いてライブビュー表示を行う。
また、撮像素子5による複数の撮影画像のそれぞれについてコントラストに関する評価値を求めることによって、当該評価値を最適化するレンズ位置を合焦レンズ位置として求める合焦レンズ位置特定動作が実現される。また、当該合焦レンズ位置にフォーカスレンズを移動するAF駆動動作も実現される。すなわち、撮像装置1Cは、撮像素子5で取得される撮影画像を用いることによって、コントラストAFを行うことが可能である。
また、主ミラー61を透過した光は、サブミラー62で下方に反射され、AFモジュール20へと導かれて入射する。AFモジュール20は、入射光を用いて位相差検出信号を発生する。この位相差検出信号を用いることによって、合焦レンズ位置を求める合焦レンズ位置特定動作と、当該合焦レンズ位置へとフォーカスレンズを移動するAF駆動動作とが実現される。すなわち、撮像装置1Bは、AFモジュール20で取得される位相差検出信号を用いることによって、位相差AFを行うことが可能である。なお、サブミラー62とAFモジュール20と間には光学素子(ハーフミラー)72が設けられており、当該光学素子72に到達した一部の光は当該光学素子72で反射され、測光センサ40に到達する。また、測光センサ40は、これに限定されず、主ミラー61から撮像素子5へと向かう光の一部を受光するものであってもよい。
以上のように、レリーズボタン11が全押し状態S2にされるまでの期間においては、位相差AF方式とコントラストAF方式との双方のAF方式を採用することが可能である。
レリーズボタン11が全押し状態S2にされると、撮像素子5は、シャッタ4の開放タイミングに合わせて受光した被写体像を光電変換して、被写体の画像信号を生成する。このようにして、被写体に係る本撮影画像(撮影画像データ)が得られる。
また、第3実施形態に係る撮像装置1Cの動作は、基本的には第2実施形態に係る撮像装置1Bと同様である。ただし、撮像素子7によって取得される撮影画像を利用するのではなく、撮像素子5によって取得される撮影画像を利用して、ライブビュー表示およびコントラストAFを行う点で第2実施形態と相違する。
このような撮像装置1Cによっても第2実施形態に係る撮像装置1Bと同様の効果を得ることが可能である。
<4.変形例>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
たとえば、上記第1実施形態においては、撮影レンズユニット3側に設けられたレンズ駆動部38を用いて、撮影レンズユニット3のレンズ群37を駆動する場合を例示したが、これに限定されない。具体的には、図26に示すように、撮像装置1Cの本体側にメカ駆動部(機械的駆動機構)48を設け、当該メカ駆動部48を駆動することによって、撮影レンズユニット3内のレンズ群37を駆動するようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、自動切替モードがAFモードとして選択されている場合には、判定部123によって最適なAF方式を求めた後、その判定結果である最適なAF方式をオススメ表示するとともに、当該最適なAF方式を自動的に採用してAF制御動作を行う場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、判定部123によって最適なAF方式を求めた後、判定結果をオススメ表示することなく、当該最適なAF方式を自動的に採用してAF制御動作を行うようにしてもよい。あるいは、判定部123によって最適なAF方式を求めた後、判定結果をオススメ表示するだけであってもよい。
また、上記各実施形態においては、AFモジュール20による位相差検出信号とコントラストに応じた評価値とをそれぞれ選択的に用いる「位相差AF方式」および「コントラストAF方式」と、両者を複合的に用いる「併用方式」との3つのAF方式から、最適なAF方式を決定する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、「位相差AF方式」および「コントラストAF方式」の2つのAF方式の中から、最適なAF方式を決定するようにしてもよい。あるいは、「位相差AF方式」および「併用方式」の2つのAF方式の中から最適なAF方式を決定するようにしてもよい。あるいは、逆に、「コントラストAF方式」および「併用方式」の2つのAF方式の中から最適なAF方式を決定するようにしてもよい。