JP2014146450A - 碍子バインド - Google Patents

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Abstract

【課題】間接活線工具を用いて電線を高圧ピン碍子に容易に固定できるようにする碍子バインド1を提供する。
【解決手段】針金部材からなる弧状の上側部材14及び下側部材12の両端部をそれぞれ回動自在に連結してなる環状の本体10と、下側部材12の中央部に回動自在に設けられる係合部材20と、上側部材14の中央部に設けられ係合部材20に連結される被係合部材30とを備え、上側部材14をピン碍子に挿入し、本体10上に電線を配置した後に、下側部材12を回動させてピン碍子に挿入して、係合部材20と被係合部材30とを連結することにより、電線をピン碍子に固定する碍子バインド1であって、係合部材20は、上側部材14がピン碍子に挿入された状態において先端が上方に向けられ、更に、係合部材20は、係合部材20と被係合部材30とが連結された後、先端が水平方向に向けられる。
【選択図】図9

Description

本発明は、電線を高圧ピン碍子に支持させるために用いる碍子バインドに関する。
配電線路における高圧電線引留箇所の縁線部分は、電柱に固定された腕金に縁線が接触することを防止するために高圧ピン碍子を介して電線に支持されている。一般的に、高圧ピン碍子は中心軸が鉛直方向を向くように腕金に設置されており、電線は、高圧ピン碍子の頭部に形成されたくびれ部に配置され、バインドを用いて高圧ピン碍子に固定される。
従来、バインドとしては巻付バインドが知られている。巻付バインドは、電線に巻き付けるとともに、巻き付けた一部を高圧ピン碍子のくびれ部に巻き付けることによって、電線を高圧ピン碍子に固定するものである。
しかしながら、巻付バインドを電線に巻き付ける作業は、作業員にとって負担が大きい作業であった。そこで、従来、特許文献1に記載されているような電線緊縛具が提案されている。この電線緊縛具は、合成ゴムの枠状体と、枠状体から延出する耳部と、枠状体における係合片の対向部位から延在する孔付き耳部とを備え、枠状体は係合片側の第1嵌合部と、係合枠側の第2嵌合部に対向する部位に設けられた第2嵌合部を備え、第1嵌合部を碍子に嵌合させ、電線を巻き付けるようにして第2嵌合部を碍子に嵌合させ、耳部と孔付き耳部とを係合させる、というものである。このような電線緊縛具を用いることによって、電線を高圧ピン碍子に容易に固定することが可能になる。
実開昭49−125300公報
特許文献1に記載されている電線緊縛具は、合成ゴムによって構成されているため、作業員の手作業の場合には電線を高圧ピン碍子に容易に固定することが可能になる。しかしながら、間接活線工具で電線緊縛具を把持した場合に電線緊縛具が下方に垂れ下がり、嵌合部を高圧ピン碍子の頭部に被せることが困難である。このため、間接活線工具を用いて電線を高圧ピン碍子に固定する作業に適用することは困難である。
本発明は、このような問題点を解決し、間接活線工具を用いて電線を高圧ピン碍子に容易に固定できるようにした碍子バインドを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備えている。
(1) 針金部材からなる弧状の上側部材及び下側部材からなり、前記上側部材の両端部と前記下側部材の両端部とを回動自在に連結して環状に形成された本体と、前記下側部材の中央部に設けられ、間接活線工具によって把持される第1把持部と、前記上側部材の中央部に設けられ、間接活線工具によって把持されるとともに前記第1把持部に連結される第2把持部とを備え、前記上側部材をピン碍子に挿入し、前記上側部材の両端部に跨がるように前記本体上に電線を配置した後に、前記下側部材を回動させて前記下側部材を前記ピン碍子に挿入して、前記第1把持部と前記第2把持部とを連結することにより、電線を挟持した状態で前記ピン碍子に固定する碍子バインドであって、前記第1把持部は、基端側が回動自在に支持され、前記上側部材が前記ピン碍子に挿入された場合に先端側が前記ピン碍子の中心軸方向に沿って上下動可能な係合部材を有し、前記第2把持部は、前記係合部材が嵌挿される孔部、及び前記上側部材の中央部が挿通される貫通孔を有し、前記貫通孔の開口は、前記孔部における開口から内部に向かう方向に沿って延びる長孔形状であり、前記係合部材は、前記上側部材が前記ピン碍子に挿入された後に先端が前記ピン碍子の中心軸方向における上方に向けられ、更に、前記係合部材は、前記係合部材が前記孔部に嵌挿されて前記第1把持部と前記第2把持部とが連結された後、前記ピン碍子の中心軸方向に対して垂直方向に向けられることを特徴とする碍子バインド。
(1)によれば、間接活線工具を操作して第1把持部を把持し、下側部材をピン碍子に取り付け、係合部材をピン碍子の中心軸方向における上方に向け、下側部材に電線を載せ、上側部材を回動させてピン碍子100に取り付け、第1把持部と第2把持部とを連結し、第2把持部を回動させて係合部材をピン碍子の中心軸方向に対して垂直方向に向けることにより、電線が下側部材と上側部材とに挟み付けられた状態でピン碍子に固定される。このように、従来におけるバインドの巻付作業が不要になるため、間接活線作業によって容易かつ確実に電線をピン碍子に固定することが可能になる。
また、電線に巻き付けられる部分が少ないために碍子バインドにおける充電部が少なくなり、充電状態の本体が腕金等に接触して地絡故障となることが防止できる。
また、第1把持部と第2把持部とが連結した状態で、第2把持部を回動させて係合部材20を水平方向に向けることにより、第2把持部の上方への移動が係合部材によって規制される。このため、例えば電線が風圧を受けることによって上下動して、上側部材が開く方向に力が加わった場合に、係合部材20が被係合部材30から外れ難くすることが可能になる。
(2) (1)において、前記係合部材の表面及び前記孔部の内面に凹凸が形成されていることを特徴とする碍子バインド。
(2)によれば、係合部材を孔部30aに嵌挿した場合に凹凸が互いにかみ合う。これにより、第1把持部が第2把持部から外れ難くなり、電線をピン碍子に固定した状態を維持することが可能になる。
(3) (1)、(2)において、前記係合部材は、基端側から先端側に向かって幅が小さくなるように形成され、前記孔部は、開口から内部に向かって幅が小さくなるように形成されていることを特徴とする碍子バインド。
(3)によれば、係合部材を孔部に嵌挿することが容易に可能になる。
(4) (1)〜(3)において、前記第1把持部は、前記下側部材の中央部に固定される固定部及び前記係合部材の基端側を回動自在に支持する支持部を備える固定部材を、更に有することを特徴とする碍子バインド。
(4)によれば、間接活線工具を操作して、下側部材に固定されている固定部材を把持することが可能になり、碍子バインドの移動中に、下側部材が下方に回動することがなくなる。これにより、下側部材をピン碍子に取り付けることが容易に可能になる。
本発明によれば、間接活線工具を用いて電線を高圧ピン碍子に容易に固定することが可能になる。
本発明の第1実施形態における碍子バインド1の外観を示す斜視図である。 第1実施形態における碍子バインド1の外観を示す分解斜視図である。 係合部材20の外観を示す斜視図である。 被係合部材30の断面図である。 第1実施形態における碍子バインド1を用いて電線をピン碍子に固定する作業手順を示す説明図である。 第1実施形態における碍子バインド1を用いて電線をピン碍子に固定する作業手順を示す説明図である。 第1実施形態における碍子バインド1を用いて電線をピン碍子に固定する作業手順を示す説明図である。 第1実施形態における碍子バインド1を用いて電線をピン碍子に固定する作業手順を示す説明図である。 第1実施形態における碍子バインド1を用いて電線をピン碍子に固定する作業手順を示す説明図である。 本発明の第2実施形態における碍子バインド1の外観を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態における碍子バインド1の外観を示す斜視図である。図2は、第1実施形態における碍子バインド1の外観を示す分解斜視図である。
碍子バインド1は、本体10と、係合部材20と、第2把持部に相当する被係合部材30とを備えている。
本体10は、針金部材からなる略円弧状の下側部材12と、針金部材からなり下側部材12と略同型の上側部材14とからなる。下側部材12の両端部及び上側部材14の両端部には、孔部が形成されており、下側部材12の孔部と上側部材14の孔部とが一致した状態でリベット16が挿入され、リベット16の先端部がつぶされることによって、下側部材12の両端部と上側部材14の両端部とが回動自在に連結される。これにより、本体10は、下側部材12と上側部材14との連結部分においてくぼんでいる略ひょうたん形の環状に形成されている。
図2に示すように、下側部材12の中央部には突出部12aが形成されている。突出部12aは、曲げ加工によって外側に向かってコ字状に突出している。同様に、上側部材14の中央部には突出部14aが形成されている。突出部14aは、曲げ加工によって外側に向かってコ字状に突出している。突出部12aの中央部分12b及び突出部14aの中央部分14bは直線状に形成されており、中央部分12b及び中央部分14bは、下側部材12及び上側部材14の両端部を通る回動軸Aに対してそれぞれ平行である。
また、突出部12aの突出幅は、図6に示すように下側部材12をピン碍子100のくびれ部100bに係合させた場合に、突出部12aの中央部分12bがピン碍子100の頭部100aの外側に位置するように設定されている。
また、図2に示す、突出部12aの根元部分を繋ぐ仮想線の中央部から回動軸Aまでの長さL1は、ピン碍子100(図5参照)の頭部100a(図5参照)の直径よりも長く設定されている。また、下側部材12における長さL1の方向に対して垂直方向の最大幅は、くびれ部100b(図5参照)の直径よりも短く設定されている。同様に、図2に示す、突出部14aの根元部分を繋ぐ直線状の仮想線の中央部から回動軸Aまでの長さL2は、頭部100a(図5参照)の直径よりも長く設定されている。また、上側部材14における長さL2の方向に対して垂直方向の最大幅は、くびれ部100b(図5参照)の直径よりも短く設定されている。
また、下側部材12及び上側部材14は、下側部材12及び上側部材14の両端部を開く方向に弾性変形可能であり、通常状態において、下側部材12及び上側部材14の両端部の間隔は、ピン碍子100のくびれ部100bの径よりも短く設定されており、弾性変形させることによって、下側部材12及び上側部材14の両端部の間隔がピン碍子100のくびれ部100bの径より大きくなるように広げることが可能である。
このため、図6に示すように下側部材12をピン碍子100のくびれ部100bに係合させた場合に、回動軸Aがピン碍子100の頭部100aの外側に位置付けられる。
また、図1、図2に示すように、係合部材20は、板状の直方体型おける表裏面を傾斜面とすることによって、基端側から先端側に向かって細くなるように形成されたくさび形の部材であり、下側部材12の突出部12aに設けられる。係合部材20は、絶縁部材によって構成されることが望ましい。このように第1実施形態においては、第1把持部が係合部材20によって構成されている。
図3は、係合部材20の外観を示す斜視図であり、図3に示すように、係合部材20の側面における基端側には貫通孔20aが形成されている。また、係合部材20の裏面の基端側には、貫通孔20aの中心軸に平行に切り欠いてなる切欠20bが形成されている。この切欠20bは、係合部材20の裏面から貫通孔20a及び両側面まで切り欠いている。また、切欠20bの幅は下側部材12の径よりも若干狭く形成されており、切欠20bに対して基端側に立設している壁面部20cは弾性変形可能に形成されている。また、係合部材20の表裏面には、凹凸20dが形成されている。
下側部材12に係合部材20を取り付ける際に、中央部分12bは、下側部材12の突出部12aの切欠20bに挿入され、押し込まれることによって貫通孔20aに嵌合される。これにより、係合部材20の基端側が、下側部材12の中央部分12bに回動自在に支持される。係合部材20が下側部材12の中央部分12bに支持された状態において、貫通孔20aの内面は下側部材12に当接している。このため、係合部材20は、下側部材12を軸として回動させて先端を所定方向に向けた場合、貫通孔20aの内面と下側部材12との摩擦力によって、先端が所定方向を向いた状態で維持される。
また、図1、図2に示すように、被係合部材30は、上側部材14の突出部14aの中央部分14bに設けられる略直方体形状の部材であり、孔部30aと、貫通孔30bと、溝30cと、スリット30d(図4参照)とを備えている。被係合部材30は、絶縁部材によって構成されることが望ましい。
孔部30aは、被係合部材30における略直方体形状の表面の中央部に形成されており、係合部材20の大きさに略一致した大きさである。貫通孔30bは、被係合部材30における略直方体形状の両側面の一方の端部を貫通している。また貫通孔30bの開口は、孔部30aにおける開口から内部に向かう方向に沿った方向に延びる長孔形状である。また、貫通孔30bにおける内部壁面間の幅は上側部材14を構成する針金部材よりも大きく設定されている。また、孔部30aの内面には、凹凸30fが形成されている。
溝30cは、被係合部材30における略直方体形状の裏面の中央部に形成されており、貫通孔30bの中心軸に沿った方向に延びるとともに、略直方体形状の両側面を切り欠いている。
スリット30dは、図4に示すように、略直方体形状の表面における孔部30aの開口の側方の部位から貫通孔30bまで切り欠いた部分である。このスリット30dにより、貫通孔30bの側方の壁面部30eは弾性変形可能になる。
そして、壁面部30eを弾性変形させてスリット30dの幅を広げ、上側部材14の中央部分14bを、スリット30dを介して貫通孔20aに挿入することにより、この貫通孔30b内に上側部材14の中央部分14bが挿通される。
このため、被係合部材30は、上側部材14の中央部分14bを軸として回動可能であり、中央部分14bは貫通孔30bの内部を移動可能である。
また、下側部材12を固定した状態で上側部材14を回動させて本体10を折り畳んだ場合、被係合部材30の孔部30aが係合部材20に挿入可能な位置に位置付けられる。
次に、第1実施形態の碍子バインド1を用いてピン碍子100に電線150を固定する手順について説明する。ピン碍子100は中心軸(図5のB線)周りに回転させてなる略回転体形状である。また、ピン碍子100は、電柱の腕金に中心軸が鉛直方向を向くように設置されているものとする。なお、以下の説明について、ピン碍子100の中心軸方向を、上下方向と称する場合がある。
まず、図5に示すように、ヤットコ型の間接活線工具200を用いて、係合部材20を把持する。この時、孔部30aが上方を向くようにする。次に、間接活線工具200を操作して、ピン碍子100の頭部100aに本体10を被せて、図6に示すように、下側部材12をくびれ部100bに配置する。この時、下側部材12は、バネ性によってくびれ部100bを把持した状態で維持される。この状態において、係合部材20の先端は上下動可能になる。
次に、図6に示すように、間接活線工具200を操作して係合部材20を回動させ、係合部材20の先端を上方に向ける。次に、間接活線工具200を操作して、下側部材12の両端部に跨がるように電線150を載置する。この時、電線150はくびれ部100bに近接配置される。
次に、間接活線工具200を操作して被係合部材30を把持し、上側部材14を上方に回動させて、図7に示すように、上側部材14をピン碍子100の頭部100aに被せるとともに、被係合部材30の孔部30aに係合部材20を仮挿入する。そして、間接活線工具200を操作して、被係合部材30と係合部材20とを挟み付ける。これにより、図8に示すように、被係合部材30の孔部30aに係合部材20が嵌挿され、係合部材20と被係合部材30とが連結される。この時、係合部材20の凹凸20d(図3参照)と被係合部材30の凹凸30f(図4参照)とが互いにかみ合うように係合することにより、係合部材20と被係合部材30とは強固に連結される。
次に、図8に示す状態において、間接活線工具200を操作して被係合部材30を把持し、被係合部材30を90度傾ける。この時、係合部材20及び被係合部材30は、下側部材12の中央部分12bを軸として90度回転することにより、図9に示すように、係合部材20は、ピン碍子100の中心軸に対して垂直な方向(以下、水平方向と称する)に向けられる。同時に、被係合部材30の貫通孔30bも上下方向に延びる状態から水平方向に延びる状態となる。
ここで、図8に示すように、係合部材20と被係合部材30とが連結された時点では、上側部材14の中央部分14bが貫通孔30bの上端側に位置している。この状態から、係合部材20及び被係合部材30を回動させると、中央部分14bが孔部30aの下端側に移動して、やがて中央部分14bが孔部30aの下端に当接する。そして、被係合部材30が更に回動することにより、中央部分14bは被係合部材30によってピン碍子100の外側に引っ張られる。これにより、図9に示すように、電線150はくびれ部100bに押し付けられて密着した状態で維持される。
以上の作業手順によって、電線150が碍子バインド1によってピン碍子100に固定される。
以上、説明したように構成された第1実施形態によれば、次に記載する効果を奏する。
第1実施形態によれば、間接活線工具200を操作して係合部材20を把持し、下側部材12をピン碍子100に取り付け、係合部材20を上方に向け、下側部材12に電線を載せ、上側部材14を回動させてピン碍子100に取り付け、係合部材20と被係合部材30とを連結し、被係合部材30を回動させて係合部材20を水平方向に向けることにより、電線150がピン碍子100に固定される。このように、従来のような、バインド線の巻付作業が不要になるため、間接活線作業によって容易かつ確実に電線150をピン碍子100に固定することが可能になる。
また、電線150に巻き付けられる部分が少ないため充電部が少なくなり、作業中に本体10が腕金等に接触して地絡故障となることが防止できる。
また、係合部材20と被係合部材30とを連結した後、被係合部材30を回動させて係合部材20を水平方向に向けることにより、被係合部材30の回動が係合部材20によって規制される。このため、電線150が風圧を受けることによって上下動して、上側部材14が開く方向に力が加わった場合に、係合部材20が被係合部材30から外れ難くすることが可能になる。
また、第1実施形態によれば、係合部材20の表裏面及び孔部30aの内面に凹凸が形成されているため、係合部材20を孔部30aに嵌挿した場合に凹凸が互いにかみ合う。これにより、係合部材20が被係合部材30から外れ難くなり、電線150をピン碍子100に固定した状態を維持することが可能になる。
また、第1実施形態によれば、係合部材20は、基端側から先端側に向かって幅が小さくなるくさび形に形成され、孔部30aは、開口から内部に向かって幅が小さくなるように形成されているため、係合部材20を孔部30aに嵌挿することが容易に可能になる。
[第2実施形態]
図10は、本発明の第2実施形態における碍子バインド1の外観を示す斜視図である。なお、図10に示す第2実施形態において、図1に示す第1実施形態における部材と同一の部材もしくは同一機能の部材については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
図10に示す第2実施形態の碍子バインド1は、図1に示す第1実施形態の碍子バインド1における係合部材20の代わりに、図10に示す係合部材50を下側部材12の中央部分12b(図2参照)に取り付けたものである。
係合部材50は、係合片52と、固定片54と、固定具56とからなる。係合片52は、図1に示す係合部材20における切欠20bを省略した構成である。なお、図示していないが、係合部材50の基端部には、図1に示す係合部材20における貫通孔20aに対応する貫通孔が形成されている。このように、係合片52及び固定片54は、第2把持部に相当する。
固定片54は、下側部材12の中央部分12b(図2参照)に固定されるともに係合片52を回動自在に支持する部材であり、略直方体型の本体54aと、支持部に相当する一対の延在片54b、54bと、固定部に相当する貫通孔54cとを備えている。
一対の延在片54b、54bは、固定片54の先端側の両側部から側面の長手方向に沿って延在しており、延在片54b、54bの先端部には孔部が形成されている。また、貫通孔54cは、本体54aの側面における基端側に形成されている。また、図示していないが、本体54aの基端部には貫通孔54cに連通する切欠が形成されており、下側部材12の中央部分12b(図2参照)がこの切欠を介して貫通孔54cに挿入され、貫通孔54cの内部に固定される。なお、この切欠から接着剤を注入して、貫通孔54cに下側部材12の中央部分12b(図2参照)を確実に固定してもよい。固定具56は、ボルト56aとナット56bとからなる。
そして、一対の延在片54b、54bの先端部の孔部と係合片52の基端部の貫通孔とが一致するように、一対の延在片54b、54bの間に係合片52を配置し、一対の延在片54b、54b先端部の孔部にボルト56aを差し込み、ボルト56aの端部にナット56bを螺合することにより、固定片54に係合片52がボルト56aを軸として回動自在に設けられる。ここで、固定具56は、係合片52が回動した状態を維持できる程度に締め付けることが望ましい。
なお、第2実施形態の碍子バインド1に係る被係合部材30における孔部30aは、下側部材12を固定しながら上側部材14を回動させて本体10を折り畳んだ場合に、係合片52が嵌挿可能な位置に配置されるように設定されている。第2実施形態においては、固定片54の回動軸となるボルト56aが貫通孔54cよりも外側に離れた位置にあるため、被係合部材30においても孔部30aが貫通孔30bから離れた部位に形成されている。
次に、第2実施形態の碍子バインド1を用いて、ピン碍子100(図5参照)に電線150(図6参照)を固定する手順について説明する。
まず、ヤットコ型の間接活線工具200を用いて、係合部材50を把持し、第1実施形態と同様に、下側部材12をくびれ部100bに配置する。次に、間接活線工具200を操作して係合片52を回動させ、係合片52の先端を上方に向ける。次に、間接活線工具200を操作して、下側部材12の両端部に跨がるように電線150を載置する。
次に、間接活線工具200を操作して被係合部材30を把持し、上側部材14を回動させて、上側部材14をピン碍子100の頭部100aに被せるとともに、被係合部材30の孔部30aに係合片52を仮挿入する。そして、間接活線工具200を操作して、被係合部材30と係合片52とを挟み付ける。これにより、被係合部材30の孔部30aに係合片52が嵌挿され、係合部材50と被係合部材30とが連結される。
次に、間接活線工具200を操作して被係合部材30を把持し、被係合部材30を90度傾ける。この時、係合片52及び被係合部材30は、下側部材12の中央部分12bを軸として90度回転することにより、係合片52は水平方向に向けられる。同時に、被係合部材30の貫通孔30bも上下方向に延びる状態から水平方向に延びる状態となる。
このように、被係合部材30が回動することにより、中央部分14bは被係合部材30によってピン碍子100の外側に引っ張られ、電線150はくびれ部100bに押し付けられて密着した状態で維持される。
最後に、間接活線工具200を操作してナット56bを締め付けることにより、係合片52が回動しないように固定片54に固定する。
以上の作業手順によって、電線150が碍子バインド1によってピン碍子100に固定される。
以上、説明したように構成された第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の作用効果を奏するとともに、更に、間接活線工具200を操作して、下側部材12に固定されている固定片54を把持することが可能になり、碍子バインド1の移動中に、下側部材12が下方に回動することがなくなる。これにより、本体10の形状が安定した状態で、碍子バインド1をピン碍子100に移動させることが可能になり、下側部材12をピン碍子100に取り付けることが容易に可能になる。
また、ナット56bを締め付けることによって、係合片52が回動しないように固定片54に固定することにより、電線150がピン碍子100に固定された後に、係合片52が回動して電線150をピン碍子100側に引っ張る力が低下するといった不具合の発生を防止することが可能になる。
1 碍子バインド
10 本体
12 下側部材
12a 突出部
12b 中央部分
14 上側部材
14a 突出部
14b 中央部分
16 リベット
20 係合部材
20a 貫通孔
20b 切欠
20c、30e 壁面部
20d、30f 凹凸
30 被係合部材
30a 孔部
30b 貫通孔
30c 溝
30d スリット
50 係合部材
52 係合片
54 固定片
54a 本体
54b 延在片
54c 貫通孔
56 固定具
56a ボルト
56b ナット
100 ピン碍子
100a 頭部
100b くびれ部
150 電線
200 間接活線工具
(1) 針金部材からなる弧状の上側部材及び下側部材からなり、前記上側部材の両端部と前記下側部材の両端部とを回動自在に連結して環状に形成された本体と、前記下側部材の中央部に設けられ、間接活線工具によって把持される第1把持部と、前記上側部材の中央部に設けられ、間接活線工具によって把持されるとともに前記第1把持部に連結される第2把持部とを備え、前記側部材をピン碍子に挿入し、前記側部材の両端部に跨がるように前記本体上に電線を配置した後に、前記側部材を回動させて前記側部材を前記ピン碍子に挿入して、前記第1把持部と前記第2把持部とを連結することにより、電線を挟持した状態で前記ピン碍子に固定する碍子バインドであって、前記第1把持部は、基端側が回動自在に支持され、前記側部材が前記ピン碍子に挿入された場合に先端側が前記ピン碍子の中心軸方向に沿って上下動可能な係合部材を有し、前記第2把持部は、前記係合部材が嵌挿される孔部、及び前記上側部材の中央部が挿通される貫通孔を有し、前記貫通孔の開口は、前記孔部における開口から内部に向かう方向に沿って延びる長孔形状であり、前記係合部材は、前記側部材が前記ピン碍子に挿入された後に先端が前記ピン碍子の中心軸方向における上方に向けられ、更に、前記係合部材は、前記係合部材が前記孔部に嵌挿されて前記第1把持部と前記第2把持部とが連結された後、前記ピン碍子の中心軸方向に対して垂直方向に向けられることを特徴とする碍子バインド。

Claims (4)

  1. 針金部材からなる弧状の上側部材及び下側部材からなり、前記上側部材の両端部と前記下側部材の両端部とを回動自在に連結して環状に形成された本体と、
    前記下側部材の中央部に設けられ、間接活線工具によって把持される第1把持部と、
    前記上側部材の中央部に設けられ、間接活線工具によって把持されるとともに前記第1把持部に連結される第2把持部とを備え、
    前記上側部材をピン碍子に挿入し、前記上側部材の両端部に跨がるように前記本体上に電線を配置した後に、前記下側部材を回動させて前記下側部材を前記ピン碍子に挿入して、前記第1把持部と前記第2把持部とを連結することにより、電線を挟持した状態で前記ピン碍子に固定する碍子バインドであって、
    前記第1把持部は、基端側が回動自在に支持され、前記上側部材が前記ピン碍子に挿入された場合に先端側が前記ピン碍子の中心軸方向に沿って上下動可能な係合部材を有し、
    前記第2把持部は、前記係合部材が嵌挿される孔部、及び前記上側部材の中央部が挿通される貫通孔を有し、
    前記貫通孔の開口は、前記孔部における開口から内部に向かう方向に沿って延びる長孔形状であり、
    前記係合部材は、前記上側部材が前記ピン碍子に挿入された後に先端が前記ピン碍子の中心軸方向における上方に向けられ、更に、前記係合部材は、前記係合部材が前記孔部に嵌挿されて前記第1把持部と前記第2把持部とが連結された後、前記ピン碍子の中心軸方向に対して垂直方向に向けられることを特徴とする碍子バインド。
  2. 前記係合部材の表面及び前記孔部の内面に凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1記載の碍子バインド。
  3. 前記係合部材は、基端側から先端側に向かって幅が小さくなるように形成され、
    前記孔部は、開口から内部に向かって幅が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の碍子バインド。
  4. 前記第1把持部は、前記下側部材の中央部に固定される固定部及び前記係合部材の基端側を回動自在に支持する支持部を備える固定部材を、更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の碍子バインド。
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