JP2014144603A - 型内発泡成形体の成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱可塑性樹脂を基材とする予備発泡粒子を用いる内発泡成形法において、加熱用の蒸気の圧力制御の精度向上、すなわち、設定値に対する蒸気圧力のズレや振動を解消することができる、発泡体の成形方法を提供する。
【解決手段】 両面加熱工程時の蒸気供給量をPID制御により加熱用蒸気弁の弁開度を決定する方法において、昇圧工程から定値制御への移り変わり時に、前成形時の同工程中の制御目標値に近い加熱用蒸気弁の開度を初期値として与える。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱可塑性樹脂を基材とする樹脂を予備発泡し、これを金型内に充填し、蒸気を吹き込むことにより、発泡融着させ、所望する製品形状に成形する、いわゆる、ビーズ法による型内発泡成形法における成形時の蒸気供給量の自動制御に関する。
熱可塑性樹脂を基材とする樹脂に発泡剤を含浸させた後に予備発泡し、これを金型内に充填し、蒸気を吹き込むことにより、発泡融着させ、所望する製品形状に成形する、いわゆるビーズ法による型内発泡成形法においては、成形時の蒸気供給量に関して、自動制御が行われている。
型内発泡成形法における成形工程は、以下に示す4工程より成り立っており、ここでの蒸気供給量の自動制御手法としては、タイマーとフィードバック制御による蒸気圧の定値制御により、行なわれている。
4工程とは、(1)金型加熱工程、(2)一方加熱工程、(3)逆一方加熱工程、(4)両面加熱工程である。
各工程の機能について簡便に述べると、
(1)金型加熱工程は、予備発泡ビーズを金型に充填する前に、蒸気室の空気を蒸気に置換すると共に金型を予熱する工程であり、タイマーで工程は終了する。
(2)一方加熱工程は、金型の一方から蒸気を供給し、ビーズ間に蒸気を通過させ加熱する工程であり、キャビティー間の空気を蒸気に置換すると共に、加熱蒸気によりビーズ発泡が開始する。ビーズが発泡するとビーズ間の粒間が閉塞し、蒸気の通過を妨げるので、蒸気を供給している側の蒸気チャンバーの圧力が上昇する。蒸気チャンバー内の圧力を圧力計で検知し工程を終了させるか、あるいはタイマーで工程は終了する。
(3)逆一方加熱工程は、(2)一方加熱工程と反対の面から同様に蒸気を通過させ発泡させる工程であり、必要に応じて採用される。
(4)両面加熱工程は、凹凸両方の金型側から同時に蒸気を供給し、キャビティーの温度を高め、ビーズ融着を完了させ、製品表面層を形成する工程である。温度を上げることにより、製品表面近傍の発泡した基材樹脂を軟化させ、製品内部からの発泡圧により金型平面に押し付けることにより、表面層を形成する工程である。
その他の加熱工程として、両面加熱終了後、製品の融着状態や表面層の形成状態により、ドレン弁を閉止した条件で、融着や表面層の劣る片側から蒸気を供給する補助加熱工程、あるいはドレン弁を閉止した状態でキャビティー内の蒸気圧力、温度を保持する保熱工程が用いられる場合もある。
これら各工程のタイマー値は、金型により異なる。例えば、金型が大きくて熱容量が大きければ、タイマー値は長く、逆に、金型の熱容量が小さければタイマー値は短くなる。これは、成形工程では、金型の昇温を管理しているのであり、原料である予備発泡ビーズにとっての適正成形範囲とは関係なく、成形工程の熱履歴が異なってしまうことを意味している。
本願発明が適用される(4)両面加熱工程では、金型の蒸気圧力を設定値一定に保つ定値制御が主体であるが、その前に、設定値まで昇圧させる過程がある。この昇圧過程では、金型熱容量の大小により、蒸気圧力の上昇速度が異なる。すなわち、金型の熱容量が大きければ、昇圧速度は遅く、昇圧に時間がかかる。また、金型の熱容量が小さく、金型熱容量に対して蒸気供給能力が大きく過剰であれば、短時間で昇圧できることになる。特に蒸気供給能力が過剰な場合、定値制御に移行する時点でオーバーシュート(蒸気圧力が設定値を大きく超える)することになり、その後も大きくハンチング(設定値を中心に蒸気圧力が上下に震動する)するといった課題がある。
また、もうひとつの課題は、ビーズ法による型内発泡成形の成形操作が数分のサイクルで加熱、冷却を繰り返す、いわゆるバッチ操作であり、定常状態を想定したフィードバック制御手法を適用しにくいことが挙げられる。すなわち 金型が冷えている成形工程の初期は、多量の蒸気を必要とするが、金型が温まってくる後半には、必要とする蒸気量は大きく減少する。これは、最も普及しているフィードバック手法であるPID制御の制御パラメーターが、刻々と変化して定まらないことを意味している。
以上まとめると、ビーズ法による型内発泡成形では、秒単位の短時間に異なる工程へ切り替わる非定常な操作が主体であり、かつ、製品毎に熱容量が大きく異なる金型を載せ換えて成形するため、しばしば蒸気の供給能力と消費量との間に大きな乖離を生じる点に問題がある。そのため、先に述べたように、金型の熱容量に依存して、原料樹脂に対する熱履歴が異なり、品質の悪化を招いたり、制御の精度が悪く、しばしば蒸気圧が不安定になったりする課題が存在する。
これらの課題を解決するため、従来、金型の熱容量の変化に対しては、加熱用蒸気供給ラインにバイパスラインを設け、バイパスラインの開閉により、蒸気供給能力を変化させる方法を採る場合があった(特許文献1参照)。
ただし、この方法では、自動弁およびバイパスラインを追加するため、機械の構造が複雑になり、コストもかかといった課題がある。一方、バイバスラインの開閉だけでは、きめ細かな操作が難しい等の問題点もあった。
また、両面加熱工程のオーバーシュートを防止することを目的とした自動制御の手法に関して、ダイヤフラム制御装置を用いた制御方法の範疇において、定値制御値に金型内の圧力が近づいた時点で、圧力フィードバックの位置をドレン部から蒸気バルブ直近に切り替えることでバルブの応答性を高める成形方法が開発されている(特許文献2参照)。
近年は、蒸気チャンバーの圧力デジタルを制御盤で演算し、蒸気弁の弁開度を制御する、いわゆる、デジタル制御がビーズ型内発泡成形方法に採用されるようになってきている。
デジタル制御のメリットとしては、フィードバック時の応答遅れがない点であり、より精密に制御可能となることである。デジタル制御を用いた非定常操作方法としては、両面加熱工程における蒸気圧設定値に到達させる場合の操作可能な圧力上昇の経路を予め求め、加熱工程を複数に分割し、前分割区間から次の分割区間のフィードバックパラメーターを設定すするフィードバック制御自動制御方法が開発されている(特許文献3参照)。
ただし、該制御方法においては、蒸気供給能力と消費量の間に大きな乖離がない範囲であれば有効な方法であるが、その乖離が大きい場合、フィードバック制御であることには変わりない為、大きくハンチングすることは避けられず、特に両面加熱工程時の昇圧から定値制御への移り変わり時の圧力ハンチングを抑制できないという問題があった。
通常、PID制御法は、化学プラントに汎用的に採用されている技術であるが、ビーズ法の型内発泡成形法にそのまま適用した場合には、各加熱工程はおおよそ5〜10秒と非常に短い為、各加熱工程期間内でPID制御法でのオートチューニング機能を用いた蒸気圧力のハンチング抑制を行うことは非常に困難であった。
特開平11−34172号 特開平9−117925号 特許第3995334号
本願発明は、ビーズ法による型内発泡成形法における蒸気圧制御の精度向上、特に両面加熱工程での圧力オーバーシュート、ハンチングが抑制可能となるように、蒸気弁の操作量、すなわち、弁開度を求める方法を提供することを目的とする。
本発明者は、以上の課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
先に種々の観点から述べた蒸気圧制御の課題は、金型の熱容量が大きく異なっても、蒸気供給設備は、成形機に装備された単一のものであることに起因する為、金型の熱容量にあわせて、蒸気供給能力を変化させることができれば、蒸気圧制御の精度は向上し、成形工程での予備発泡ビーズに対する熱履歴を一定にすることが可能となり、品質向上に繋がることを見出した。
さらに、定値制御方法としては、一般的なプロセス制御技術であるPID制御を基本とすることにより、特殊な数値演算アルゴリズムを開発する必要もなく、容易に型内発泡成形方法にデジタル技術を導入可能とした。
すなわち、本発明の型内発泡成形体の成形方法は、
熱可塑性樹脂を基材とする予備発泡ビーズを金型内に充填し、蒸気を吹き込むことにより、発泡融着させ、所望する製品形状に成形する熱可塑性樹脂発泡体の型内発泡成形方法であって、両面加熱工程時の蒸気供給量をフィードバック制御する加熱用蒸気弁の弁開度の決定において、昇圧工程から定値制御への移り変わり時に、前成形時の同工程中における制御目標値に近い弁開度を初期固定値として与え、続いて、PID制御に移行することを特徴とする、熱可塑性樹脂発泡体の成形方法である。
本発明の型内発泡成形体の成形方法のように、両面加熱工程での加熱用蒸気弁の蒸気供給方法において、一方加熱工程あるいは逆一方加熱工程での蒸気圧の昇圧工程から定値制御への移り変わり時に、前成形時の同工程中の制御目標値に近い加熱用蒸気弁の開度を初期固定値として与え、続いてPID制御に移行することにより、目標制御値と偏差が殆どない状態で定値制御を開始することができる為、両面加熱工程初期のオーバーシュートや、過剰なハンチングを防止することができ、発泡体の収縮等の不良品の発生を防ぐことができる。
本発明に係る成形方法を記載した図である。 本発明の実施例1に係る、両面加熱工程での蒸気圧力制御結果を示す図である。 本発明の実施例2に係る、両面加熱工程での蒸気圧力制御結果を示す図である。 両面加熱工程で初期固定値を与えなかった比較例1に関する蒸気圧力制御結果を示す図である。
図1に、本発明の成形方法(蒸気圧の制御方法)を、ビーズ型内発泡成形法において実施する為の形態について、記載する。
発泡成形機の金型は、固定型金型4と移動型金型5からなる金型で、両者を閉じた場合の中央空間部(斜線部分)に原料ビーズが供給され、その後、減圧弁12を通じて、例えば0.5MPa程度に調圧された蒸気が蒸気弁8、9から金型内に供給される構造を有している。図1においては、冷却水ライン、充填装置、離型ピンを含む離型装置等、本願発明と直接関係しない部分は図示していない。
蒸気弁8、9は、それぞれ固定側金型4、移動側金型5に配置されており、空気圧により弁の開閉が行われ、さらに、コントローラー1から発せられる空気圧を調整することで弁開度が調整可能な構造となっている。コントローラー1を用いた弁開度の調整方法をさらに詳しく説明すると、まず、コントローラー1より電気信号(弁開度信号)が電空変換器6、7に送られ、ここで弁開度信号に対応した空気圧に変換される。この調整された空気圧により蒸気弁8、9の弁開度を適性に調整することで蒸気圧力が制御される。
また、固定側金型4、移動側金型5には、それぞれドレンラインが設けられており、各工程において必要に応じてドレン弁10、11は開閉される。
ドレン弁の上流側には導圧管が接続されており、圧力センサー2、3に導かれている。圧力センサー2、3が検知した圧力は、電気信号としてコントローラー1へ送られる。ドレン弁が閉であれば、圧力センサーが検知する圧力は、金型内部の圧力と考えてよい。
次に、本発明の型内発泡成形体の成形方法における、両面加熱工程時の蒸気圧力制御方法について、説明する。
両面加熱工程時の定値制御時に圧力センサー2、3で検知された圧力は、電気信号としてコントローラー1に送られ、コントローラー1にて下記式(1)〜式(3)を用いた演算が行なわれ、弁開度信号(MV)が計算される。
コントローラー1で計算された弁開度信号(MV)は、電気信号(弁開度信号)として電空変換器6、7に送られ、電空変換器にて、弁開度信号に対応した空気圧に変換される。変換された空気圧により、蒸気バルブ8、9の弁開度が調整されて蒸気圧が制御されることになる。
さらに、詳細に説明すると、
まず、式(1)により、制御の目標圧力(SP値)と、測定時点での圧力センサーでの圧力測定値(PV値)との差、すなわち、偏差(ε)が計算される。
Figure 2014144603
次いで、偏差εを用いる式(2)により、弁開度MVCが決定される。
Figure 2014144603
式(2)は、いわゆる、PID方式によるフィードバック制御の計算式であり、式(2)の第1項が比例要素P、第2項が積分要素I、第3項が微分要素Dである。各項の弁開度への影響を決める定数は、それぞれ比例帯P、積分時間Ti、微分時間Tdから構成される。
式(2)で計算される弁開度MVCは、蒸気弁の弁開度0〜100%に対応する。
ここで、ビーズ型内発泡成形のようなバッチ式の成形方式に、PID制御を適用しようとする場合には、前述したように、大きく2つの問題がある。
PID方式のフィードバック制御は、偏差を小さくするように弁開度を調整し、目標値に漸近させていく方法であるが、ビーズ型内成形方法では、刻々と金型に必要とされる熱量が変化していく系である為、系が安定する前に工程が終了してしまうという不安定な系であるという問題がある。
さらに、定値制御に移行する前の工程は、急激な昇圧工程である為、この状態でPID制御に移行した場合には、初期の圧力ハンチングが大きく、ハンチングの圧力振動が残ったまま成形が終了してしまうという問題もある。
これに対して、本発明では、前の成形データの定値制御工程の終了付近の、蒸気圧力が安定化した状態での弁開度(MVC)を、次回の成形での定値制御初期値(固定値)として与えることにより、バッチ式であっても安定した定値制御が可能となる。
定値制御の初期値の弁開度MVCは、式(3)にて計算される。
Figure 2014144603
ここで、式(3)について説明する。
定値制御の開始時は、金型への熱量供給が不足しており、安定した状態とはなっていない為、MVCの弁開度では蒸気量が若干不足する。これを補う為に、補正値(α)を導入したのが、式(3)である。
αを導入しない制御であっても、定値制御の安定は得られるが、より高精度に制御を行なう為には、αでの補正を行なうことが好ましい。
αは、現時点よりも以前の成形データを用いて演算され、iショット目のαの値であるα(i)の値は、式(4)にて演算される。
Figure 2014144603
ここでは、初期値の弁開度MICを与えた際に定値制御開始から終了までの間に生じる偏差の平均値(ε)に、重みパラメーターのβを掛ける補正方法を用いる。βは比例定数であり、蒸気バルブの特性、配管径、金型熱容量等から経験的に決定されるパラメーターである。
ただし、ここで示すαの補正方法は一例であり、これに限定されるものではない。
続いて、式(2)で示されるPID制御の各パラメーターの設定について、説明する。
式(2)中の比例要素P、積分要素I、微分要素Dは、金型の熱容量、蒸気弁の流量特性、配管径等より経験的に決定されるものである。
ビーズ型内発泡成形方法に適用した場合には、必要蒸気量が刻々と変化する為、微分要素Dの設定により変動が助長されることがある。そのため、式(2)において、微分要素Dを除くか、あるいは、微分要素Dの影響を小さくする設定を行なうことが好ましい。
積分要素Tiは、金型熱容量、蒸気弁の流量特性、配管径により異なるが、おおよそ0.5秒以上30秒以下に設定することが好ましく、1秒以上20秒以下に設定することがより好ましい。
比例要素Pは、金型熱容量、蒸気弁の流量特性、配管系に応じて適性値があり、定値制御時のハンチング特性を見ながら、経験的に設定することになる。
以上、制御に用いるパラメーターは、金型と成形機(配管径、バルブの流量特性)の組み合わせで決まる固有の数値であり、金型交換の都度、成形条件の一つとして運転員が入力する。または、入力操作を簡略化する為、成形機の制御装置に記憶させたり、外部記憶媒体に記憶させて入力することも有用である。
先に述べた、熱可塑性樹脂の型内発泡成形法における両面加熱工程での、本発明の効果に関して、説明する。
両面加熱工程では、固定、移動双方の蒸気チャンバーに、同時に蒸気を供給し、かつドレン弁は閉じられる。この状態で5〜20秒前後、自動制御により蒸気圧は一定に保たれる。
両面加熱工程では、蒸気圧を一定に保つことにより、金型表面を加熱し、金型に接する発泡体の表面を平滑化する。
ところで、両面加熱工程の前工程である一方加熱工程あるいは逆一方加熱では、固定側金型のドレン弁が開いている為、金型蒸気チャンバーの蒸気圧は、大気圧、すなわちゼロである。 そのため、両面加熱工程では、工程が始まると、まず蒸気圧ゼロから両面加熱の設定値の圧力まで、圧力を上昇させる。蒸気圧が設定値に達する迄は、蒸気弁は全開で操作される為、金型熱容量に対して蒸気供給能力が過大であると、蒸気圧は、設定値に対して大きく行き過ぎる、いわゆる、オーバーシュートすることになる。オーバーシュートが生じると、その後、蒸気圧は、設定値に収束せず、上下に大きく振動する、いわゆる、ハンチング状態になる。
このように、オーバーシュートやハンチングを生じると、一時的であっても蒸気圧設定値に対して、蒸気圧が過大となる、すなわち、金型温度が上がりすぎることを意味する。
両面加熱工程では、金型温度を上げることにより、製品表面近傍の基材樹脂を軟化させて表面層を形成する。そのため、発泡体の基材樹脂の温度が上がりすぎると、表面層の樹脂が溶融し、発泡体は収縮して不良品を生じる。
本発明の型内発泡成形体の成形方法を用いることにより、すなわち前記の如く、一方加熱工程や逆一方加熱工程での昇圧工程から、両面加熱工程での定値制御工程に移る際に、蒸気弁の弁開度を、制御安定可能な初期値MVCで与え、その後、通常のPID制御に移行することにより、蒸気弁の過剰な動作を抑制することができる。
その結果、一般的なPID制御を用いた場合であっても、蒸気圧力のハンチング(すなわち、設定圧力に対して大きく上下変動すること)を防止し、蒸気圧力を安定化することが可能となる。すなわち、金型熱容量に見合った蒸気供給能力に調整することにより、オーバーシュートやハンチングを防止することになり、不良品の発生を防ぐことができる。
このように、蒸気供給能力を、必要量に近い量を初期値として与えることにより、PID定数の設定がラフであっても蒸気圧は安定するという効果もある。
本発明の型内発泡成形体の成形方法に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等があげられる。
次に、本発明の実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本願発明を、ポリエチレン系予備発泡ビーズを用いる型内発泡成形法に適用した。
成形機としては、DAISEN製EP−900の機械部分を活用し、図1に示すコントローラー部は専用装置を製作した。該専用成形機に、成形品形状400mm×350mm×40mmの板状製品用の金型を搭載し、ポリエチレン系予備発泡ビーズ[(株)カネカ製、XL35、嵩密度21g/L]を用いて成形を行った。成形機の蒸気弁は口径50Aであり、蒸気の元圧は0.35MPaである。
型内発泡成形の成形条件としては、金型にポリエチレン系予備発泡粒子を充填した後、
金型加熱工程3秒、一方加熱工程として3秒、逆一方加熱工程3秒、両面加熱工程15秒として、最終的な金型内蒸気圧力設定を0.11MPaとした。
ここで、両面加熱工程以外の工程では、蒸気弁の弁開度は一定(70%)とし、両面加熱工程では、蒸気圧力が設定値に到達した時点で初期値弁開度に切り替え、続いて、通常のPID制御に切り替えて弁開度を調整した。
コントローラー部でのPID制御におけるPID定数は、P=30(%)、Ti=1(秒)、Td=0(秒)の値を用いた。なお、微分時間Tdを0(ゼロ)としているが、これは微分動作を作動させないことを意味しており、実質的にはPI制御であることを意味する。
また、弁開度制御は、両面加熱工程初期の弁開度MVC値35(%)にて2秒間保持した後、PID制御に移行するように行った。
これらのPID定数は、予め試運転を行い、制御が安定した時の値である。
以上のPID制御定数を用いた場合の両面加熱工程での固定側金型内での蒸気圧変化を、図2に示す。なお、蒸気圧測定は、図1の圧力センサー2にて測定した。
図2から明らかなように、ほぼ0.11MPaに制御されていることが判る。
(実施例2)
実施例1と同様の成形機、金型、成形条件を用い、MVC値に対して式(3)および式(4)で示される補正機能を適用した場合の適用例を示す。
MVC値は35でスタートし、最終的なMVC値は34となった。このときの式(4)中の補正係数βは3とした。
この場合の蒸気圧力変化を、図3に示す。
図3から明らかなように、実施例1よりも目標値である0.11MPaに制御されていることが判る。
(比較例1)
実施例1と同様の成形機、金型、成形条件を用い、逆一方加熱工程から、初期弁開度MVCを経ずに、直接的にPID制御の両面加熱工程に移行した場合の例を示す。
この場合の蒸気圧力変化を、図4に示す。
図4から明らかなように、PID移行時に圧力がオーバーシュートし、この影響により、ハンチングが発生している。両面加熱工程が進むにつれて、偏差は小さくなる傾向にあるが、本願発明のような高い制御精度は得られなかった。
1. コントローラー
2. 圧力センサ(固定側)
3. 圧力センサ(移動側)
4. 金型(固定側)
5. 金型(移動側)
6. 電空変換器(固定側)
7. 電空変換器(移動側)
8. 蒸気バルブ(固定側)
9. 蒸気バルブ(移動側)
10.ドレン弁(固定側)
11.ドレン弁(移動側)
12.蒸気減圧弁

Claims (1)

  1. 熱可塑性樹脂を基材とする予備発泡ビーズを金型内に充填し、蒸気を吹き込むことにより、発泡融着させ、所望する製品形状に成形する熱可塑性樹脂発泡体の型内発泡成形方法であって、
    両面加熱工程時の蒸気供給量をPID制御により、加熱用蒸気弁の弁開度を決定する方法において、
    昇圧工程から定値制御への移り変わり時に、前成形時の同工程中の制御目標値に近い蒸気弁の開度を初期値として与え、続いてPID制御に移行することを特徴とする、熱可塑性樹脂発泡体の成形方法。
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