JP2014143983A - 抑泡剤、抑泡方法および増粘多糖類含有組成物 - Google Patents

抑泡剤、抑泡方法および増粘多糖類含有組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 増粘多糖類を含有する溶液の起泡現象を抑制するための抑泡剤、抑泡方法および増粘多糖類含有組成物を提供する。
【解決手段】 本発明は、下記(A)〜(F)のいずれか1種または2種以上を含む、増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤を提供する:(A)ショ糖分子上の平均1.1〜3個の水酸基がエステル化されており、かつ脂肪酸の炭素数が16〜18である、ショ糖脂肪酸エステル;(B)エステル化率が7〜30%であり、ポリグリセリン部分の重合度が2〜12であり、かつ脂肪酸の炭素数が16〜18である、ポリグリセリン脂肪酸エステル;(C)エステル化率が30%以下であり、かつ脂肪酸の炭素数が16〜18である、ソルビタン脂肪酸エステル;(D)脂肪酸の炭素数が16〜18である有機酸モノグリセライド;(E)乳酸ステアリン酸ナトリウム;(F)リゾレシチン。
【選択図】 なし

Description

本発明は、増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤、抑泡方法および増粘多糖類含有組成物に関する。より詳細には、飲料、冷菓、ゼリー、プリンおよび調味料等の、増粘多糖類を含有する、もしくは製造工程中に増粘多糖類を含む水溶液を使用する食品または食品添加物の製造において、増粘多糖類に起因する泡立ち現象を効率的に抑制し、製造効率を上げ、また気泡による製品品質の低下を防ぐことができる抑泡剤、抑泡方法および増粘多糖類含有組成物に関する。
食品製造における起泡現象は、ホイップクリームなどのようにそれを積極的に利用する場合もあるが、逆に製造効率を下げ、または最終製品の外観や食感に悪影響を与えるなどの問題点となる場合も数多くある。増粘多糖類は、加工食品製造において、食感の改良、食品への形状の付与、乳化安定性の付与および保存性の向上など、種々の目的で使用されているが、これらの水溶液も起泡して製造上のトラブルを起こすことがある。
これらの起泡現象に対する工業的対処法として、消泡剤を使用することが一般に行われている。たとえば、特許文献1には、「タンパク質及び/又はタンパク加水分解物を剪断力のある分散手段で、分散粒子の体積分布のメジアン径が0.1〜10μmになるまで水性液中に分散し、安定剤を加えてさらに混合して原料Aを得、これとジェランガムを含むゲル化剤を加熱溶解した原料Bを混合して、その後、冷却してゲル化することを特徴とするpHが3.0〜4.6である酸性ゲル状食品の製造方法」が記載されている。そして、上記安定剤が大豆多糖類であること、並びに乳化剤および消泡剤等を添加することも記載されている。
しかし、特許文献1では、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルの名前が列記されているが、それらの構造的な規定はされておらず、また、実施例でも乳化剤の特定はない。シリコン系の消泡剤を併用していることからも、乳化剤は、明細書に記載のあるように「(タンパク質の)熱変性防止効果、乳化安定効果」を求めて添加されると考えるのが妥当である。シリコン系消泡剤や、油系または親油性の乳化剤を主体とする消泡剤を添加することは、すなわち水と親和性の低い物質を添加することであり、添加により濁りが生じてしまう。そのため透明性および色合いを重視する製品においては使用が制限される。
また、特許文献2には、「飲料の主原料を混合し、均質機により均質化を行う均質化工程と、均質化後の主原料に消泡剤を添加する消泡剤添加工程とを有し、前記消泡剤が下記(A)と(B)を含むことを特徴とする飲料の製造方法。
(A):炭素数が6〜12の飽和脂肪酸トリグリセライド。
(B):エタノール及びプロピレングリコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種。」が記載されている。そして、上記飲料の主原料の一つが多糖類であることが記載されている。すなわち、均質化後の主原料に、短鎖脂肪酸のトリグリセライドとアルコール類を破泡剤的に添加するものである。
しかし、特許文献2において消泡剤に含まれる短鎖脂肪酸のトリグリセライドは、加水分解されると強烈な異味を生じるため、添加できる食品の種類は制限され、また、添加量も多くはできないのが通常である。また、アルコールの添加は、感受性の高い消費者にとっては望ましくないことがある。さらに、特許文献2に記載のような添加方法では、効果を得るために消泡剤の逐次投入が行われ、添加量が一定にならないという問題も起きうる。
さらに、特許文献3には「(a)共処理されたコロイド状ミクロ結晶性セルロース(MCC)とヒドロコロイドからなる安定剤、及び(b)タンパク質、フルーツジュース、野菜ジュース、フルーツ芳香性物質、又はそれらの組み合わせのいずれかからなる可食性食品」が記載されている。そして、特許文献3には、加熱処理及び/又は均質化する前に消泡剤を添加することが記載されている。
特許文献3には、消泡剤の種類が明確に記載されていない。また、起泡現象自体が、タンパク質に起因するのか、増粘多糖類に起因するのかも不明である。したがって、特許文献1と同様に、増粘多糖類の添加により生じる起泡現象に対処するために、どのような種類の消泡剤をどの程度使用すれば効果が得られるのか不明である。
特開2010−35517号公報 特開2008−99609号公報 特表2007−531522号公報
本発明は、かかる問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、増粘多糖類を含有する溶液の起泡現象を抑制するための抑泡剤、抑泡方法および増粘多糖類含有組成物を提供することである。
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する乳化剤が、分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類による起泡現象を効率的に抑制しうることを見出した。
また、これらの特定の構造を有する乳化剤は、増粘多糖類に対して微量の添加であっても抑泡の効果を発揮することを見出した。そして、これらの知見に基づき本発明に至った。
本発明は、分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤であって、下記(A)〜(F)のいずれか1種または2種以上を含む、抑泡剤を提供する:
(A)ショ糖分子上の平均1.1〜3個の水酸基がエステル化されており、かつ脂肪酸の炭素数が16〜18である、ショ糖脂肪酸エステル
(B)エステル化率が7〜30%であり、ポリグリセリン部分の重合度が2〜12であり、かつ脂肪酸の炭素数が16〜18である、ポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)エステル化率が30%以下であり、かつ脂肪酸の炭素数が16〜18である、ソルビタン脂肪酸エステル
(D)脂肪酸の炭素数が16〜18である有機酸モノグリセライド
(E)乳酸ステアリン酸ナトリウム
(F)リゾレシチン。
また、本発明は、上記増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤において、添加量が増粘多糖類に対して0.01〜5重量%である抑泡剤を提供する。
また、本発明は、上記増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤において、前記増粘多糖類が、ハイメトキシペクチン、カラヤガム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、大豆多糖類およびアラビヤガムからなる群より選択される抑泡剤を提供する。
また、本発明は、上記増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤において、前記有機酸モノグリセライドが、コハク酸モノグリセライド、クエン酸モノグリセライドおよびジアセチル酒石酸モノグリセライドからなる群より選択される1種または2種以上の混合物である抑泡剤を提供する。
さらに、本発明は、分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類および上記のいずれかの増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤を含有する、増粘多糖類含有組成物を提供する。
さらに、本発明は、分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類および上記のいずれかの増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤を含有する、食品または食品添加物を提供する。
さらに、本発明は、分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類に上記のいずれかの増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤を添加することを含む、増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡方法を提供する。
本発明により、分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類を含有する溶液において生じる起泡現象を効率的に抑制することができる。したがって、当該増粘多糖類を含有する食品などの製造効率を向上させることができる。また、起泡混入による製品品質の低下を防ぐことが可能である。さらに、水に分散させた際に起泡を抑えることができる増粘多糖類含有組成物を得ることができる。
本発明に係る抑泡剤は、分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤である。
本明細書において使用される「増粘多糖類」の用語は、分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類を意味する。また、本明細書において使用される増粘多糖類は、増粘剤として使われる多糖類を1種または2種類以上含むものを意味する。「分子内に極性部分および非極性部分を有する」の語句において、「極性部分」とは、増粘多糖類である化合物のうち、親水性の基および親水性が高い部分を意味し、たとえば水酸基またはカルボキシル基などを持つ部分であってもよい。極性部分は、たとえば親水性の糖鎖などを含む。「非極性部分」とは、増粘多糖類である化合物のうち、疎水性の基および親油性が高い部分であり、たとえば水酸基またはカルボキシル基などが脂肪酸等の疎水性の基によってエーテル化、エステル化等されている部分であってもよい。また、非極性部分は、多糖類に対して共有結合、またはイオン結合した、疎水性のタンパク質部分であっても良い。
分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類には、ハイメトキシペクチン、カラヤガムおよびアルギン酸プロピレングリコールエステルが含まれる。また、親水性の糖鎖(極性部分)に対して疎水性のタンパク質(非極性部分)が結合した増粘多糖類、たとえば大豆多糖類およびアラビヤガムなども、「分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類」に含まれる。
本発明に係る抑泡剤は、下記(A)〜(F)のいずれか1種または2種以上の乳化剤を含有する:
(A)ショ糖分子上の平均1.1〜3個の水酸基がエステル化されており、かつ脂肪酸の炭素数が16〜18である、ショ糖脂肪酸エステル
(B)エステル化率が7〜30%であり、ポリグリセリン部分の重合度が2〜12であり、かつ脂肪酸の炭素数が16〜18である、ポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)エステル化率が30%以下であり、かつ脂肪酸の炭素数が16〜18である、ソルビタン脂肪酸エステル
(D)脂肪酸の炭素数が16〜18である有機酸モノグリセライド
(E)乳酸ステアリン酸ナトリウム
(F)リゾレシチン。
ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖分子と脂肪酸とがエステル結合した化合物である。本発明に使用されるショ糖脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が16〜18である。また、本発明に使用されるショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖分子上の8つの水酸基のうち平均1.1〜3個の水酸基がエステル化されている。ショ糖分子上のエステル化された水酸基が1.1個未満、すなわちほぼ純粋なモノエステルになると、それ自体が極めて高価であることから産業的に利用すること自体難しく、またエステル自体の親水性の高さから起泡性を高めてしまう。ショ糖分子上のエステル化された水酸基が3個を超えると、ショ糖脂肪酸エステル自体が水に溶けにくくなり、増粘多糖類に対して作用しにくくなるため好ましくない。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと脂肪酸とがエステル結合した化合物である。本発明に使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が16〜18である。また、本発明に使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、エステル化率が7〜30%であり、またポリグリセリンの重合度が2〜12である。ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率が7%未満であると、ポリグリセリン脂肪酸エステル自体の親水性が高くなり、起泡性を高めてしまうおそれがある。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率が7%未満のポリグリセリン脂肪酸エステルを製造する際には、原料となるポリグリセリンに対して少ないモル数の脂肪酸を反応させることとなり、結果として未反応のポリグリセリンが多くなり、界面活性を担うエステル結合が少なくなってしまう。そのため、所定の効果を得ようとすれば、添加量が多くなるため経済的に好ましくない。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率が30%を超えると、ポリグリセリン脂肪酸エステル自体が水に溶けにくくなり、増粘多糖類に対して作用しにくくなるため好ましくない。
本明細書において「エステル化率」とは、原料に含まれる水酸基のうちエステル化されているものの割合を表す数値であり、たとえば水酸基価またはけん化価から計算することができる。たとえばポリグリセリン脂肪酸エステルの場合は、ポリグリセリン分子に含まれる水酸基のうちエステル化されているものの割合を表す数値である。
ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンと脂肪酸とがエステル結合した化合物である。本発明に使用されるソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が16〜18である。また、本発明に使用されるソルビタン脂肪酸エステルは、エステル化率が30%以下である。ソルビタン脂肪酸エステルには、親水基としてソルビタンまたはソルバイドを中心とするソルビタン型と、ソルビトールを多く残しているソルビトール型とが含まれ、いずれもが使用可能である。通常モノエステル(エステル化率=17〜25%)と称されるものが利用できる。エステル化率が30%を超えると、ソルビタン脂肪酸エステル自体が水に溶けにくくなり、増粘多糖類に対して作用しにくくなるため好ましくない。
有機酸モノグリセライドは、グリセリンと脂肪酸とがエステル結合したモノグリセライドに、さらに有機酸がエステル結合した化合物である。
有機酸モノグリセライドは、たとえばコハク酸モノグリセライド、クエン酸モノグリセライド、ジアセチル酒石酸モノグリセライド、乳酸モノグリセライド、酢酸モノグリセライドなどを含み、特にコハク酸モノグリセライド、クエン酸モノグリセライドまたはジアセチル酒石酸モノグリセライドが好ましい。有機酸モノグリセライドは、これらの有機酸モノグリセライド類の1種または2種以上の混合物であってもよい。
ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよび有機酸モノグリセライドのいずれについても、疎水基である脂肪酸の炭素数は、16〜18が好ましい。16未満であると、エステルの親水性が増し起泡に働く傾向が強くなる。また、18を超えると融点が高くなり系に対して均一に溶解するときに80℃以上の高温を必要とし、また、水への溶解性が低くなるため好ましくない。脂肪酸は、飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸のいずれを使用することができる。すなわち、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸およびオレイン酸が好適であることができる。
乳酸ステアリン酸ナトリウムは、食品製造に用いられるもの、たとえばパン製造に用いられるものを好適に使用できる。
リゾレシチンは、たとえばレシチンを酵素により加水分解し、脂肪酸の1つが取り除かれたものであってもよい。リゾレシチンは、任意の材料に含まれるレシチンに由来することができる。たとえば、リゾレシチンは、卵黄レシチンおよび大豆レシチンに由来するリゾレシチンであることができる。
本発明の抑泡剤は、上記(A)〜(F)以外の物質をさらに含んでいてもよい。本発明の抑泡剤は、たとえば、糖、水および種々の添加剤などを含むことができる。
本発明の抑泡剤の添加量は、増粘多糖類に対して0.01〜5重量%であってもよく、より好ましくは、0.02〜2重量%、さらに好ましくは、0.04〜1重量%である。抑泡剤の添加量が0.01重量%未満であると、抑泡効果は十分でなくなる。また、抑泡剤の添加量が5重量%を超えると、乳化剤が溶けきらず系の濁りが大きくなったり、また増粘多糖類分子に吸着しなかった余剰の乳化剤が起泡的に働いたりするため、好ましくない。
抑泡剤は、粉末状、固体状および液体状のいずれであってもよい。不飽和脂肪酸を疎水基とする乳化剤、すなわちリゾレシチンや、各種のオレイン酸エステルなどは、常温で液状〜半固体であるが、これらをデキストリン等の粉末に吸着させ粉末化して、増粘多糖類粉末に添加することもできる。
また、本発明は、分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類と上述した抑泡剤とを含有する増粘多糖類含有組成物をも包含する。増粘多糖類含有組成物は、粉末状であってもよいし、液体状であってもよい。増粘多糖類含有組成物は、食品の製造のための原料として提供することができる。また、増粘多糖類含有組成物は、最終製品として提供することもできる。
増粘多糖類含有組成物の製造方法は、最終形態に応じ、種々の方法を用いることが可能である。たとえば、増粘多糖類と抑泡剤とを粉体で混合して提供することができる。必要であれば、さらに糖類などの食品素材を添加して提供することもできる。増粘多糖類含有組成物を液体状の製品形態とする場合、糖濃度を高くする、アルコールを添加する、または凍結で流通させるなどの方法により、製品の微生物的変敗を防ぐことが望ましい。
本発明の増粘多糖類含有組成物は、抑泡剤を含有するため、水に分散させた際に増粘多糖類による起泡を抑えることができる。
さらに、本発明は、分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類と上述した抑泡剤を含有する食品または食品添加物をも包含する。食品は、特に限定されいが、たとえば飲料、冷菓、ゼリー、プリンおよび調味料等の、増粘多糖類を含有する食品または製造工程中に増粘多糖類を含む水溶液を使用する食品が含まれる。
本発明は、分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類に上述した抑泡剤を添加する工程を含む、増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡方法をも包含する。
本発明の抑泡剤を増粘多糖類に対して添加する条件は、特に制限されない。抑泡剤は、たとえば増粘多糖類を含有する溶液に対し添加してもよい。また、粉末状の抑泡剤と増粘多糖類とを予め混合しておいてもよい。また、必要に応じて、増粘多糖類と抑泡剤との混合物を、砂糖およびぶどう糖等の糖と混合しておいてもよい。このようにして準備した混合物は、水の中に分散させることができる。混合物を水に分散させた溶液は、必要に応じて増粘多糖類が十分に膨潤する温度まで加温する。また、抑泡剤と増粘多糖類とを別々の溶液として調製しておいて、後に混合することも可能である。この場合、両液を混合する際の温度は、抑泡剤溶液の均一性が保たれる範囲の温度であれば、室温であってもよいが、40〜90℃であることが好ましい。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、本実施例において、部は重量部を表す。表中、抑泡剤以外に関する数値は配合物全体に対する重量%を示し、抑泡剤に関する数値は増粘多糖類に対する重量%を示す。また、起泡性に関して「-」は起泡が観察されなかったことを示し、「+」は起泡が観察されたことを示し、起泡性の強さを「+」の数で表した。
〔モデル水溶液〕
実験区1〜30では、以下の方法を用いて、増粘多糖類、抑泡剤、ぶどう糖および水のみを含むモデル水溶液にて実験を行った。実験区1〜30の水溶液の組成および結果を表1〜4に示す。増粘多糖類は、最終溶液において表に示した割合となるように使用した。抑泡剤は、最終溶液において表に示した割合となるように使用した。ブドウ糖は、最終溶液において15.0部となるように使用した。
(方法)
増粘多糖類は、ぶどう糖粉末に混合させた。その後、実験区2、3、10および12では、この増粘多糖類粉末を抑泡剤と混合した後に冷水中に分散させた。また、実験区2、3、10および12以外の実験区では、この増粘多糖類粉末を冷水中に分散させた分散液に、予め調製した抑泡剤の水溶液を抑泡剤が所定量となるように添加した。いずれの溶液も80℃まで加温後、氷水にて5℃まで冷却した。これらの供試液は、それぞれ100mlを200mlガラス製ビーカーに入れ、プライミクス社製TKロボミクスのホモディスパー2.5型にて、3000rpm、1分間攪拌し、起泡の高さを目視観察した。
(結果)
エステル化度が1.2、1.5または2.2であり、脂肪酸の炭素数が18であるショ糖ステアリン酸エステルを、それぞれハイメトキシペクチンに添加したところ、添加量が増粘多糖類に対して0.01重量%〜5重量%の範囲内である場合には、いずれも起泡が観察されなかった(実験区2、4、5および6)。一方、エステル化度1.2のショ糖ステアリン酸エステルをハイメトキシペクチンに対して10重量%添加した場合(実験区3)およびエステル化度1.5のショ糖ステアリン酸エステルをアルギン酸プロピレングリコールエステルに対して0.005重量%添加した場合(実験区14)には、いずれも起泡が観察された。また、脂肪酸の炭素数が14であるショ糖ミリスチン酸エステルを添加した場合には、起泡が観察された(実験区7)。
エステル化率が8%または23%であり、ポリグリセリン部分の重合度が10であり、かつ脂肪酸の炭素数が18であるデカグリセリンステアリン酸エステルをカラヤガムに添加したところ、いずれも起泡が観察されなかった(実験区9および10)。また、エステル化率が25%であり、ポリグリセリン部分の重合度が2であり、かつ脂肪酸の炭素数が18であるジグリセリンモノオレイン酸エステルを、カラヤガムとアルギン酸プロピレングリコールエステルとにそれぞれ添加した場合には、いずれも起泡が観察されなかった(実験区12および15)。一方、エステル化率が40%であるデカグリセリンオレイン酸エステルをカラヤガムに添加した場合(実験区11)には、起泡が観察された。
エステル化度20%であり、脂肪酸の炭素数が18であるソルビタンステアリン酸エステルおよびソルビタンオレイン酸エステルを、それぞれハイメトキシペクチンに添加した場合には、いずれも起泡が観察されなかった(実験区16および17)。
一方、ポリソルベート60およびポリソルベート80をそれぞれアラビヤガムに対し添加した場合には、いずれも起泡が観察された(実験区29および30)。ここで、ポリソルベートは、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであり、ポリソルベート60はステアリン酸エステルであり、ポリソルベート80はオレイン酸エステルである。
クエン酸モノグリセライドをハイメトキシペクチンおよび大豆多糖類にそれぞれ添加した場合には、いずれも起泡が観察されなかった(実験区18、19および23)。
乳酸ステアリン酸ナトリウムをハイメトキシペクチンに対し0.01重量%で添加した場合(実験区20)および大豆多糖類に対し0.1重量%で添加した場合(実験区24)には、起泡が観察されなかった。一方、乳酸ステアリン酸ナトリウムをハイメトキシペクチンに対し0.005重量%で添加した場合には起泡が観察された(実験区21)。
グリセリンモノステアレートをアラビヤガムに添加した場合(実験区26)には、いずれも起泡が観察された。リゾレシチンをアラビヤガムに添加した場合には、起泡が観察されなかった(実験区27)が、レシチンをアラビヤガムに添加した場合には、起泡が観察された(実験区28)。
なお、抑泡剤を添加しない場合(実験区1、8、13、22および25)には、いずれも起泡が観察された。
Figure 2014143983
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〔果汁飲料系〕
実験区31〜43は、果汁飲料系にて実験を行った。増粘多糖類はショ糖と粉体混合し、50部の水に分散させた。抑泡剤は、予め水溶液として調製しておいて、抑泡剤が所定の濃度になるように、前記増粘多糖類溶液に添加した。得られた抑泡剤を含有した増粘多糖類溶液は70℃まで加温後、他の原料を投入し、さらに水分を補正した。調製した液は、氷水で冷却後、モデル水溶液と同様の方法で起泡性を評価した。
表5および表6に示すように、エステル化度1.5のショ糖ステアリン酸エステル、エステル化率8%のデカグリセリンステアリン酸エステル、エステル化率25%のジグリセリンモノオレイン酸エステル、エステル化度20%のソルビタンオレイン酸エステルおよびクエン酸モノグリセライドは、果汁飲料系においても起泡を抑制した。
Figure 2014143983
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(考察)
上記実験より、乳化剤が増増粘多糖類を含有する溶液に対して優れた抑泡作用を有することが明らかとなった。また、本発明の抑泡剤は、通常使用される量と比較して、非常に少量の乳化剤を含有することにより、非常に優れた抑泡作用を有することが明らかとなった。
本発明の抑泡剤の機能発現機構については、以下のように推測する。すなわち、抑泡剤分子の疎水基部分が、増粘多糖類の非極性部分に吸着することにより、その部分を親水的に変化させ、結果として分子内の分極が少なくなるため、増粘多糖類が界面活性能を失い、起泡性が抑えられたと考えられる。よって、本発明において起泡を抑制する機構は、発生した泡に対する消泡および破泡ではなく、起泡性の物質の本体自体の物性変化による抑泡であると考えられる。
本発明は、増粘多糖類を含有する溶液において生じる起泡現象を効率的に抑制することができるので、増粘多糖類を用いて製造される食品、食品添加物およびその製造に好適に利用することができる。
Figure 2014143983
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Claims (7)

  1. 分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤であって、下記(A)〜(F)のいずれか1種または2種以上を含む、抑泡剤:
    (A)ショ糖分子上の平均1.1〜3個の水酸基がエステル化されており、かつ脂肪酸の炭素数が16〜18である、ショ糖脂肪酸エステル
    (B)エステル化率が7〜30%であり、ポリグリセリン部分の重合度が2〜12であり、かつ脂肪酸の炭素数が16〜18である、ポリグリセリン脂肪酸エステル
    (C)エステル化率が30%以下であり、かつ脂肪酸の炭素数が16〜18である、ソルビタン脂肪酸エステル
    (D)脂肪酸の炭素数が16〜18である有機酸モノグリセライド
    (E)乳酸ステアリン酸ナトリウム
    (F)リゾレシチン。
  2. 前記増粘多糖類に対して0.01〜5重量%で添加される、請求項1に記載の増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤。
  3. 前記増粘多糖類が、ハイメトキシペクチン、カラヤガム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、大豆多糖類およびアラビヤガムからなる群より選択される、請求項1または2に記載の増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤。
  4. 前記有機酸モノグリセライドが、コハク酸モノグリセライド、クエン酸モノグリセライドおよびジアセチル酒石酸モノグリセライドからなる群より選択される1種または2種以上の混合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤。
  5. 分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類および請求項1〜4のいずれか1項に記載の増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤を含有する、増粘多糖類含有組成物。
  6. 分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類および請求項1〜4のいずれか1項に記載の増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤を含有する、食品または食品添加物。
  7. 分子内に極性部分および非極性部分を有する増粘多糖類に請求項1〜4のいずれか1項に記載の増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡剤を添加することを含む、増粘多糖類を含有する溶液のための抑泡方法。

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