JP2014143614A - 波長可変光フィルタのモニタ装置およびモニタ方法 - Google Patents

波長可変光フィルタのモニタ装置およびモニタ方法 Download PDF

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Abstract

【課題】波長可変光フィルタの透過波長帯を精度よくモニタする装置および方法を提供する。
【解決手段】周波数変調成分が付与されている光信号をフィルタリングする波長可変光フィルタをモニタするモニタ装置は、波長可変光フィルタから出力される光信号をフィルタリングする第1の光フィルタと、第1の光フィルタから出力される光信号に含まれている周波数変調成分の振幅を検出する第1の検出部と、第1の光フィルタの透過波長を掃引することにより、第1の検出部により検出される周波数変調成分の振幅の分布を表す出力側振幅分布を生成する生成部と、生成部により生成される出力側振幅分布に基づいて、光信号のスペクトルに対する波長可変光フィルタの透過波長帯の配置をモニタするモニタ部、を有する。
【選択図】図7

Description

本発明は、波長可変光フィルタをモニタする装置および方法、並びに波長可変光フィルタを有する光分岐挿入装置に係わる。
光通信ネットワークの大容量化を実現するための技術の1つとして、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)が普及している。WDMにおいては、互いに波長の異なる複数のチャネルが多重化される。
WDMを利用する光ネットワークにおいては、各光ノードに光分岐挿入装置(ROADM:Reconfigurable Optical Add-Drop Multiplexer)が設けられている。光分岐挿入装置は、WDM信号から指定された波長の光信号を分岐してクライアントへ導き、クライアントにより生成されるクライアント信号をWDM信号に挿入することができる。このため、光分岐挿入装置は、WDM信号中の複数の光信号の中から指定された波長の光信号を選択的に透過させる波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)を有する。
波長選択スイッチは、指定された波長のチャネルを選択する。したがって、波長選択スイッチは、波長可変光フィルタを有する。すなわち、波長選択スイッチは、指定された波長の光信号を選択するように、波長可変光フィルタの透過波長帯を制御する。ただし、波長可変光フィルタの透過波長帯が適切に制御されていないと、選択された光信号の品質が劣化してしまう。このため、光分岐挿入装置は、波長可変光フィルタの透過波長帯が適切に制御されているかをモニタする機能を有していることが好ましい。
関連技術として、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度よく検出する装置が提案されている。この装置は、信号選択部、入力側OCM(Optical Channel Monitor)、出力側OCM、検出部を有する。信号選択部は、光信号の波長多重を行う。入力側OCMは、波長多重フィルタへ入力される光信号のスペクトルを取得する。出力側OCMは、波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する。検出部は、入力側OCMおよび出力側OCMによって取得された各スペクトルの差分に基づいて波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する。(例えば、特許文献1)
他の関連技術として、特許文献2および非特許文献1が知られている。
特開2011−254309号公報 特開2004−364033号公報
Distance-Adaptive Spectrum Resource Allocation in Spectrum-Sliced Elastic Optical Path Network, Masahiko Jinno et. al., IEEE Communications Magazine, August 2010
近年、トラヒックの変動または予期しないネットワーク構成の更新などに柔軟に対応するために、フレキシブルな光ネットワークが要求されている。このような光ネットワークにおいては、各光チャネルのビットレートおよび/または変調方式は、要求される伝送容量および伝送距離に依存する。すなわち、各光チャネルのスペクトル帯域は、互いに同じではない。このため、限られたリソース(ここでは、波長)を効率的に利用するために、フレキシブルグリッドを採用するWDM伝送システムが実用化されている。
従来の固定グリッドシステムでは、WDMのチャネルは、予め決められた間隔で配置される。これに対して、フレキシブルグリッドシステムでは、WDMのチャネルは、任意の波長に配置可能である。このため、フレキシブルグリッドを採用するWDM伝送システムにおいては、WDM信号から指定された波長のチャネルを選択する波長可変光フィルタの透過帯域は、精度よく制御されていることが要求される。
本発明の目的は、波長可変光フィルタの透過波長帯を精度よくモニタする装置および方法を提供することである。
本発明の1つの態様のモニタ装置は、周波数変調成分が付与されている光信号をフィルタリングする波長可変光フィルタをモニタするために、前記波長可変光フィルタから出力される光信号をフィルタリングする第1の光フィルタと、前記第1の光フィルタから出力される光信号に含まれている周波数変調成分の振幅を検出する第1の検出部と、前記第1の光フィルタの透過波長を掃引することにより、前記第1の検出部により検出される周波数変調成分の振幅の分布を表す出力側振幅分布を生成する生成部と、前記生成部により生成される出力側振幅分布に基づいて、前記光信号のスペクトルに対する前記波長可変光フィルタの透過波長帯の配置をモニタするモニタ部と、を有する。
上述の態様によれば、波長可変光フィルタの透過波長帯を精度よくモニタすることができる。
固定グリッドおよびフレキシブルグリッドについて説明する図である。 波長デフラグについて説明する図である。 WDM伝送システムの一例を示す。 波長デフラグにおいて実行される波長制御について説明する図である。 光送信器の一例を示す図である。 周波数変調について説明する図である。 モニタ装置の一例を示す図である。 周波数変調成分の振幅を検出する方法を説明する図である。 光フィルタの透過波長の掃引について説明する図である。 振幅分布を生成する方法を説明する図である。 周波数変調成分の振幅分布の例を示す図である。 フィルタの透過波長帯が適切に制御されているケースおよび適切に制御されていないケースを説明する図である。 スペクトルの一部が除去された光信号について振幅分布を生成する方法を説明する図である。 光信号のスペクトルに対して得られる波長分布の例を示す図である。 実施形態のモニタ方法を示すフローチャートである。 波長デフラグの手順を示すフローチャートである。
本発明の実施形態に係わる波長可変光フィルタのモニタ装置およびモニタ方法は、WDMを利用する光ネットワークにおいて使用される。WDMにおいては、互いに波長の異なる複数のチャネルが多重化される。WDMの各チャネルは、例えば、予め決められた固定のグリッド上に配置される。また、近年では、フレキシブルグリッド上にWDMのチャネルが配置される構成が開発されている。
図1は、固定グリッドおよびフレキシブルグリッドについて説明する図である。固定グリッドは、たとえば、ITU(International Telecommunication Union)において勧告されている。ITUにおいて勧告されている固定グリッド(以下、ITU固定グリッド)においては、100GHz間隔または50GHz間隔でチャネルが配置される。図1に示す例では、6つの10Gbpsチャネル、1つの40Gbpsチャネル、2つの100GbpsチャネルがITU固定グリッド上に配置されている。
ところが、固定グリッドの光ネットワークにおいては、リソース(ここでは、波長または周波数)の利用効率が低いことがある。例えば、各チャネルの帯域幅が狭い場合(図1に示す例では、10Gbpsチャネル)、50GHzよりも狭い間隔でそれらのチャネルが配置されたとしても、チャネル間の干渉は十分に小さい。この場合、50GHzよりも狭い間隔でそれらのチャネルが配置できれば、リソースの利用効率が向上する。このため、WDMのチャネルを柔軟に配置したい、という要求が生じている。
フレキシブルグリッドにおいては、「スロット」を利用してWDMのチャネルが配置される。スロットは、例えば、ITU固定グリッドを分割することによって実現される。一例としては、スロットの帯域幅は、12.5GHzである。
図1に示す実施例では、フレキシブルグリッド上に10Gbpsチャネル、40Gbpsチャネル、100Gbpsチャネル、400Gbpsチャネル、1Tbpsチャネルが配置されている。10Gbpsチャネルには、2個のスロットが割り当てられている。40Gbpsチャネル及び100Gbpsチャネルには、それぞれ3個のスロットが割り当てられている。400Gbpsチャネルには、6個のスロットが割り当てられている。1Tbpsチャネルには、10個のスロットが割り当てられている。このように、フレキシブルグリッドの光ネットワークにおいては、低速のチャネルに対して少ないリソースが割り当てられ、高速のチャネルに対して多くのリソースが割り当てられるので、リソースの利用効率が高い。
ところが、フレキシブルグリッドの光ネットワークにおいて、光パスの設定、変更、切断が繰り返し行われると、チャネルを設定できない程度に帯域幅の狭い空きスロット(または、未使用スロット)が発生することがある。図2(a)に示す例では、チャネルch2とチャネルch3との間に空きスロットS1が存在している。同様に、チャネルch3とチャネルch4との間に空きスロットS2が存在し、チャネルch6とチャネルch7との間に空きスロットS3が存在し、チャネルch7とチャネルch8との間に空きスロットS4が存在し、チャネルch9とチャネルch10との間に空きスロットS5が存在している。これらの空きスロットS1〜S5は、帯域幅が狭いので、所望のチャネル(少なくとも、広帯域チャネル)を配置することはできない。
このような空きスロットを有効に利用できるようにするために、波長デフラグが実行される。波長デフラグは、フレキシブルグリッド上に配置されているチャネルの波長を適切にシフトさせることによって、複数の空きスロットを結合する。
図2(a)に示す例では、チャネルch3、ch4、ch5、ch6の中心波長がそれぞれ短波長側にシフトされる。一方、チャネルch7、ch8、ch9の中心波長はそれぞれ長波長側にシフトされる。この結果、図2(a)に示す複数の空きスロットが結合され、図2(b)に示すように、広い帯域幅の空きスロットS6が生成される。空きスロットS6は、帯域幅が十分に広いので、1または複数の所望のチャネルを配置することが可能である。
図3は、WDM伝送システムの一例を示す。WDM伝送システムのノードには、光分岐挿入装置(ROADM:Reconfigurable Optical Add-Drop Multiplexer)1が設けられている。図3においては、ROADM#1〜ROADM#3が示されている。
ROADM1は、図3に示すように、光アンプ11、光スプリッタ12、波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)13、光アンプ14、光カプラ15、光分配器16、複数の光送信器20(Tx1〜TxN)、および複数の複数の光受信器30(Rx1〜RxN)を有する。光アンプ11は、入力WDM信号を増幅する。光スプリッタ12は、光アンプ11により増幅されたWDM信号を、波長選択スイッチ13および光分配器16に導く。
波長選択スイッチ13は、波長可変光フィルタを有する。そして、波長選択スイッチ13は、波長可変光フィルタを利用して、入力WDM信号に含まれる複数の光信号の中から指定された波長の光信号を選択して出力する。このとき、波長選択スイッチ13は、ネットワーク管理システム100により指定される波長の光信号を選択する。また、波長選択スイッチ13は、光カプラ15から導かれてくる光信号をWDM信号に挿入することができる。光アンプ14は、波長選択スイッチ13から出力されるWDM信号を増幅する。
光送信器20は、光源(TLD)21および周波数変調制御回路22を有する。光送信器20は、光源21の出力光をデータ信号で変調することにより光信号を生成する。データ信号は、たとえば、クライアイントにより生成されるクライアント信号である。周波数変調制御回路22は、上述の光信号に周波数変調成分を付与する。なお、複数の光送信器20(Tx1〜TxN)により生成される光信号の光周波数(または、キャリア周波数)は、互いに異なるように制御されるものとする。
光カプラ15は、複数の光送信器20(Tx1〜TxN)からそれぞれ送信される光信号を合波する。そして、光カプラ15から出力される光信号は、波長選択スイッチ13に導かれる。なお、図3においては、ROADM#2、#3が有する光カプラ15および光送信器20(Tx1〜TxN)は省略されている。
光分配器16は、光アンプ11によって増幅された入力WDM信号を複数の光受信器30(Rx1〜RxN)に導く。なお、光分配器16は、特に限定されるものではないが、例えば、光カプラにより実現される。
光受信器30は、コヒーレント受信器であり、指定された波長の光信号を受信するための局発光源(LO)31を有する。局発光源31により生成される局発光の周波数は、指定された波長の光信号の周波数とほぼ一致するように制御される。例えば、ROADM#3の光受信器30(Rx1)が、ROADM#1の光送信器20(Tx1)から送信される光信号を受信するときは、ROADM#1の光送信器20(Tx1)の光源21の光周波数とほぼ同じになるように、ROADM#3の光受信器30(Rx1)の局発光源31の光周波数が制御される。なお、図3においては、ROADM#1、#2が有する光分配器16および光受信器30(Rx1〜RxN)は省略されている。
ネットワーク管理システム100は、上述のWDM伝送システムの動作を管理する。すなわち、ネットワーク管理システム100は、上述のWDM伝送システムにおいて、光パスの設定、変更、切断を管理する。このため、ネットワーク管理システム100は、各ROADM1に対して、光パスの設定、変更、切断のための光パス制御指示を与える。光パス制御指示は、例えば、波長選択スイッチ13が選択する波長の指示、各光送信器20の光源21の周波数の指示、各光受信器30の局発光の周波数の指示を含む。また、ネットワーク管理システム100は、波長デフラグを実現するための波長デフラグ指示を各ROADM1に与える。波長デフラグ指示は、例えば、波長選択スイッチ13の透過波長を制御する指示、各光送信器20の光源21の周波数の指示、各光受信器30の局発光の周波数の指示を含む。
図4は、波長デフラグにおいて実行される波長制御について説明する図である。ここでは、時刻T1において、光送信器20と光受信器30との間に波長λ1の光パスが設定されているものとする。この場合、光送信器20の光源21により生成される光の波長(以下、TLD波長)は、λ1に制御されている。また、光受信器30の局発光源31により生成される光の波長(以下、LO波長)も、λ1に制御されている。さらに、光送信器20と光受信器30との間に設けられている波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタの透過波長帯は、波長λ1を透過するように制御されている。なお、図3に示す例では、ROADM#1、#2において、波長λ1を透過するように波長可変光フィルタが制御されている。
波長デフラグは、ネットワーク管理システム100からの指示によって実行される。この例では、上述した光パスの波長がλ1からλ3へシフトされるものとする。ただし、波長デフラグによって通信が切断されることは好ましくない。
そこで、ネットワーク管理システム100は、通信を切断することなく波長デフラグを行うために、TLD波長、LO波長、波長選択スイッチ13の透過波長を、互いに同期させながらシフトさせる。この手順により、時刻T2において、TLD波長およびLO波長がそれぞれλ2に制御されている。また、波長選択スイッチ13の透過波長は、λ2を透過するように制御されている。さらに、時刻T3において、TLD波長およびLO波長がそれぞれλ3に制御されている。また、波長選択スイッチ13の透過波長は、λ3を透過するように制御されている。この結果、光パスの通信を切断することなく、その光パスの波長をλ1からλ3へシフトさせる波長デフラグが実現される。
このように、実施形態の波長デフラグにおいては、TLD波長、LO波長、波長選択スイッチ13の透過波長が実質的に並列に制御される。このとき、例えば、波長選択スイッチ13の透過波長が適切に制御されなかったものとすると、その波長選択スイッチ13において光信号のスペクトル一部が除去されてしまう。この場合、光信号の品質が劣化することになる。したがって、実施形態のROADM1は、波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタの透過波長が適切に制御されているか否かを判定するためのモニタ機能を有する。
すなわち、ROADM1は、図3に示すように、光スプリッタ41、42、モニタ装置43を有する。光スプリッタ41は、波長選択スイッチ13へ入力されるWDM信号を分岐してモニタ装置43に導く。光スプリッタ42は、波長選択スイッチ13から出力されるWDM信号を分岐してモニタ装置43へ導く。モニタ装置43は、波長選択スイッチ13へ入力されるWDM信号および波長選択スイッチ13から出力されるWDM信号に基づいて、波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタの透過波長帯の配置を監視する。ただし、モニタ装置43は、波長選択スイッチ13へ入力されるWDM信号を使用することなく、波長選択スイッチ13から出力されるWDM信号に基づいて波長可変光フィルタの透過波長帯の配置を監視してもよい。
モニタ装置43は、光信号に含まれている周波数変調成分を利用して、その光信号を透過させる波長可変光フィルタの透過波長が適切に制御されているか否かを判定する。したがって、実施形態のモニタ方法を使用するときは、光信号に周波数変調成分を付与するために、光送信器20において周波数変調制御回路32により周波数変調が行われる。
図5は、光送信器20の一例を示す。光送信器20は、図5に示すように、マッピング回路51、積算回路52、mod2π回路53、回転演算回路54、D/A変換器55、光変調器56、光源21を有する。なお、この実施例の光送信器20は、デジタル信号処理で周波数変調を実現する。ただし、光信号に周波数変調成分を付与する構成は、図5に示す構成または方法に限定されるものではない。
マッピング回路51は、送信データ信号をI成分データ列およびQ成分データ列にマッピングする。積算回路52は、低周波信号の振幅波形を表すデジタルデータ列f(t)を積分する。そして、積算回路52は、積分結果として、下記の位相情報θ(t)を出力する。
θ(t)=∫2πf(t)dt
mod2π回路53は、積算回路52の出力値を0〜2πの範囲内の値に変換する。ただし、積算回路52の値域が0〜2πとなるように設計されている場合は、mod2π回路53は省略可能である。
回転演算回路54は、下記の演算により、位相情報θ(t)を利用してI成分データ列およびQ成分データ列を回転させる。I、Qは、回転演算回路54の入力データである。また、I’、Q’は、回転演算回路54の出力データである。
I’=Icosθ(t)−Qsinθ(t)
Q’=Isinθ(t)+Qcosθ(t)
ここで、回転演算回路54による回転演算は、送信データ信号に対して周波数変調で低周波信号を重畳する処理に相当する。したがって、積算回路52、mod2π回路53、回転演算回路54は、図3に示す周波数変調制御回路22として動作することができる。
回転演算回路54により得られるデータI’およびデータQ’は、それぞれD/A変換器55によりアナログ信号に変換されて光変調器56に与えられる。そして、光変調器56は、光源21から出力される連続光をデータI’およびデータQ’で変調することにより変調光信号を生成する。この結果、周波数変調方式で低周波信号が重畳された光信号が生成される。すなわち、光送信器20は、低周波信号に対応する周波数変調成分が付与された光信号を生成する。
光源21は、この例では、周波数チューナブルレーザ光源である。光源21の発振周波数は、シフト指示により制御される。このシフト指示は、例えば、図3に示すネットワーク管理システム100により与えられる。
図6は、周波数変調について説明する図である。図6は、光送信器20により生成される光信号のスペクトルを表している。光スペクトルの幅および形状は、主信号データ列の変調方式および変調速度などに依存する。なお、図6に示す例では、光源21の光周波数はfcである。
時刻T0においては、低周波信号による周波数変調は行われていない。この場合、光信号の中心周波数はfcである。低周波信号による周波数変調が行われているときは、光信号の中心周波数は、図6に示すように、fc−Δf/2とfc+Δf/2との間で周期的に変動する。この周期は、低周波信号の周期と同じであり、例えば、数kHz〜数MHzである。また、光周波数の変動幅Δfは、特に限定されるものではないが、例えば、100MHz〜1GHz程度である。
図7は、モニタ装置43の一例を示す。モニタ装置43は、図7に示すように、光フィルタ61a、61b、受光器(PD)62a、62b、振幅検出器63a、63b、振幅分布生成部64、モニタ部65、WSS制御部66を有する。
光フィルタ61a、61bは、波長可変光フィルタであり、その透過波長は振幅分布生成部64によって制御される。光フィルタ61a、61bの透過帯域幅は、WDM信号に含まれている各光信号のスペクトル幅に対して十分に狭いものとする。例えば、光フィルタ61a、61bの透過帯域幅は、特に限定されるものではないが、10GHz程度である。光フィルタ61aは、波長選択スイッチ13の入力光信号をフィルタリングする。波長選択スイッチ13の入力光信号は、ROADM1に入力されるWDM信号および/またはクライアントから光カプラ15を介して導かれてくる光信号である。一方、光フィルタ61bは、波長選択スイッチ13の出力光信号をフィルタリングする。
受光器62a、62bは、それぞれ、光フィルタ61a、61bによってフィルタリングされた光信号を電気信号に変換する。なお、受光器62a、62bは、光信号に付与されている周波数変調成分を検出可能な帯域を有しているものとする。
振幅検出器63aは、受光器62aから出力される電気信号に基づいて、光フィルタ61aによってフィルタリングされた光信号に含まれている周波数変調成分の振幅を検出する。すなわち、振幅検出器63aは、波長選択スイッチ13の入力光信号について、光フィルタ61aによってフィルタリングされた光信号に含まれている周波数変調成分の振幅を検出する。同様に、振幅検出器63bは、受光器62bから出力される電気信号に基づいて、光フィルタ61bによってフィルタリングされた光信号に含まれている周波数変調成分の振幅を検出する。すなわち、振幅検出器63bは、波長選択スイッチ13の出力光信号について、光フィルタ61bによってフィルタリングされた光信号に含まれている周波数変調成分の振幅を検出する。
図8は、周波数変調成分の振幅を検出する方法を説明する図である。ここでは、光源21の発振周波数に対応する光波長(すなわち、光信号の中心波長)がλcであるものとする。ただし、光信号の中心波長は、光送信器20において付与された周波数変調成分により、λc−Δλ/2とλc+Δλ/2との間で周期的に変動する。図8(a)は、光信号の中心波長がλc+Δλ/2であるときのスペクトルを表している。図8(b)は、光信号の中心波長がλc−Δλ/2であるときのスペクトルを表している。
光フィルタ61(61a、61b)の透過波長は、λpに制御されているものとする。この場合、光フィルタ61によりフィルタリングされた光信号のパワーは、図8に示す斜線領域の面積で表される。なお、振幅検出器63(63a、63b)は、受光器62(62a、62b)から出力される電気信号に基づいて、光フィルタ61によりフィルタリングされた光信号のパワーを検出することができる。
そして、振幅検出器63は、例えば、光フィルタ61によりフィルタリングされた光信号のパワーの最大値と最小値との差分に基づいて、周波数変調成分の振幅を検出する。この例では、光信号の中心波長がλc+Δλ/2であるときに、光フィルタ61によりフィルタリングされた光信号のパワーが最大である。また、光信号の中心波長がλc−Δλ/2であるときに、光フィルタ61によりフィルタリングされた光信号のパワーが最小である。したがって、この場合、図8(a)に示す斜線領域S1の面積と図8(b)に示す斜線領域S2の面積との差分が、周波数変調成分の振幅に相当する。
図7に戻る。振幅分布生成部64は、光フィルタ61a、61bの透過波長を掃引しながら、振幅検出器63a、63bにより検出される周波数変調成分の振幅を表す振幅データを取得する。そして、振幅分布生成部64は、振幅検出器63aから取得する振幅データに基づいて、波長選択スイッチ13の入力光信号について、周波数変調成分の振幅の分布(以下、「入力側振幅分布」と呼ぶことがある。)を生成する。また、振幅分布生成部64は、振幅検出器63bから取得する振幅データに基づいて、波長選択スイッチ13の出力光信号について、周波数変調成分の振幅の分布(以下、「出力側振幅分布」と呼ぶことがある。)を生成する。
図9は、光フィルタ61(61a、61b)の透過波長の掃引について説明する図である。ここでは、中心波長λcの光信号が光フィルタ61によってフィルタリングされるものとする。なお、この光信号には、上述したように、光送信器20において周波数変調成分Δλが付与されている。図9において、実線は、周波数変調成分がゼロであるときのスペクトルを表す。破線は、周波数変調によって中心波長が−Δλ/2だけシフトしたスペクトルを表す。一点鎖線は、周波数変調によって中心波長が+Δλ/2だけシフトしたスペクトルを表す。
振幅分布生成部64は、光信号のスペクトルの全域に渡って光フィルタ61の透過波長を掃引する。図9に示す例では、光フィルタ61の透過波長は、λp1からλp2まで掃引されている。ここで、振幅分布生成部4は、周波数変調速度と比較して十分に低速で、光フィルタ61の透過波長を掃引する。そして、振幅分布生成部64は、振幅検出器63aおよび63bから取得する振幅データに基づいて、波長λp1〜λp2において入力側振幅分布および出力側振幅分布を生成する。
このとき、振幅分布生成部64は、例えば、波長λp1と波長λp2と間の領域おいて、複数の測定波長に対してそれぞれ周波数変調成分の振幅を検出する。この場合、各測定波長に対して周波数変調成分の振幅を検出するための検出時間は、周波数変調のために使用される低周波信号の周期よりも長く設定される。なお、波長λp1と波長λp2と間に設定される測定波長の数は、特に限定されるものではない。また、振幅分布生成部64は、波長λp1と波長λp2と間の領域おいて、測定波長を連続的に変化させながら、周波数変調成分の振幅を検出してもよい。
図10は、周波数変調成分の振幅分布を生成する方法について説明する図である。ここでは、光フィルタ61の透過波長λ1、λ2、λ3に対して、それぞれ、周波数変調成分の振幅が検出されるものとする。
T1、T2、T3、T4、T5は、光フィルタ61によりフィルタリングされた光信号のパワーを検出するタイミングを表す。T1、T3、T5においては、光信号の中心波長はλcである。T2においては、光信号の中心波長はλc+Δλ/2である。T4においては、光信号の中心波長はλc−Δλ/2である。なお、期間T1〜T5は、周波数変調のために使用される低周波信号の周期に相当する。
すなわち、図10は、T1〜T5において、光信号のスペクトルおよび光フィルタ61の透過波長帯の配置を示している。また、図10は、光フィルタ61の透過波長λ1、λ2、λ3に対して、それぞれ、T1〜T5において光フィルタ61によりフィルタリングされた光信号のパワーを示している。
光信号のスペクトルの傾きが小さい波長領域に光フィルタ61の透過波長帯が配置されているときは、光信号の中心波長の変動に対して、光フィルタ61の出力光信号のパワーの変動は小さい。図10に示す例では、光フィルタ61の透過波長がλ1に制御されているときは、光フィルタ61の出力光信号のパワーの変動は小さい。例えば、T1、T3、T5と比較すると、T2において検出される光パワーは少しだけ大きく、T4において検出される光パワーは少しだけ小さい。ここで、T1〜T5における光パワーの変動は、光送信器20において光信号に付与される周波数変調成分に起因する。したがって、光フィルタ61の透過波長がλ1に制御されているときの周波数変調成分の振幅は、図10に示すように、A1である。
光信号のスペクトルの傾きが大きい波長領域に光フィルタ61の透過波長帯が配置されているときは、光信号の中心波長の変動に対して、光フィルタ61の出力光信号のパワーの変動は大きい。図10に示す例では、光フィルタ61の透過波長がλ2に制御されているときは、光フィルタ61の透過波長がλ1に制御されているときと比較して、光フィルタ61の出力光信号のパワーの変動は大きくなる。この結果、光フィルタ61の透過波長がλ2に制御されているときの周波数変調成分の振幅は、図10に示すように、A2である。なお、振幅A2は振幅A1よりも大きい。
光信号のスペクトルの傾きがさらに大きい波長領域に光フィルタ61の透過波長帯が配置されているときは、光信号の中心波長の変動に対して、光フィルタ61の出力光信号のパワーの変動はさらに大きい。図10に示す例では、光フィルタ61の透過波長がλ3に制御されているときは、光フィルタ61の透過波長がλ2に制御されているときと比較して、光フィルタ61の出力光信号のパワーの変動はさらに大きくなる。この結果、光フィルタ61の透過波長がλ3に制御されているときの周波数変調成分の振幅は、図10に示すように、A3である。なお、振幅A3は振幅A2よりも大きい。
振幅分布生成部64は、振幅検出器63から取得する振幅データに基づいて、周波数変調成分の振幅の分布を生成する。このとき、振幅分布生成部64は、振幅検出器63aから取得する振幅データに基づいて入力側振幅分布を生成し、振幅検出器63bから取得する振幅データに基づいて出力側振幅分布を生成する。
図11(a)は、図10に示す振幅検出に基づいて生成された振幅分布の一例を示す。この例では、光フィルタ61の透過波長がλ1からλ3に向かって大きくなると、周波数変調成分の振幅も大きくなっている。そして、光フィルタ61の透過波長がλ3よりも大きくなると、周波数変調成分の振幅は急激に小さくなっている。
図7に戻る。モニタ部65は、振幅分布生成部64により生成される周波数変調成分の振幅の分布に基づいて、光信号のスペクトルに対する波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタの透過波長帯が適切に制御されているか否かをモニタする。このとき、モニタ部65は、入力側波長分布および出力側波長分布の双方を利用して、波長可変光フィルタの透過波長帯が適切に制御されているか否かをモニタする。ただし、モニタ部65は、入力側波長分布を利用することなく出力側波長分布に基づいて、波長可変光フィルタの透過波長帯が適切に制御されているか否かをモニタしてもよい。
WSS制御部66は、モニタ部65によるモニタ結果に基づいて、波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタの透過波長帯を制御する。例えば、波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタの透過波長帯が適切に制御されていないときは、WSS制御部66は、その波長可変光フィルタの透過波長帯を広くする制御信号を生成して波長選択スイッチ13に与える。
なお、振幅分布生成部64、モニタ部65、WSS制御部66は、例えば、プロセッサシステムにより実現される。この場合、プロセッサシステムは、プロセッサエレメントおよびメモリを含み、上述の機能を記述したプログラムを実行する。上述の機能を記述したプログラムは、例えば、プロセッサシステム内メモリに格納される。ただし、振幅分布生成部64、モニタ部65、WSS制御部66は、プロセッサシステムおよびハードウェア回路の組合せで実現してもよい。また、振幅検出器63(63a、63b)は、ハードウェア回路で実現してもよいし、上述のプロセッサシステムで実現してもよい。
図12は、フィルタの透過波長帯が適切に制御されているケースおよび適切に制御されていないケースを説明する図である。スペクトルSP1は、波長選択スイッチ13へ入力される光信号を表す。また、スペクトルSP2は、波長選択スイッチ13から出力される光信号を表す。そして、波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタは、透過波長帯Fを有する。
図12(a)は、透過波長帯Fが適切に制御されているときのフィルタリングを示している。「透過波長帯Fが適切」は、ここでは、光信号のスペクトルが実質的に透過波長帯Fの中に配置されていることを意味する。したがって、この場合、出力光信号のスペクトルSP2の形状は、入力光信号のスペクトルSP1と実質的に同じである。
図12(b)は、透過波長帯Fが適切に制御されていないときのフィルタリングを示している。図12(b)に示す例では、光信号のスペクトルSP1に対して透過波長帯Fの長波長側が十分に確保されていない。このため、波長選択スイッチ13において光信号のスペクトルの一部が除去されてしまう。この結果、出力光信号のスペクトルSP2は、長波長側の一部が除去されている。
図13は、スペクトルの一部が除去された光信号について、周波数変調成分の振幅分布を生成する方法について説明する図である。ここでは、図12(b)に示す例と同様に、波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタによって、光信号のスペクトルの長波長側の一部が除去されているものとする。なお、図13に示す例では、波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタの長波長側のカットオフ波長が、誤ってλxに制御されてしまっているものとする。
モニタ装置43の光フィルタ61の透過波長λ1は、波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタのカットオフ波長λxより短い。よって、光フィルタ61の透過波長がλ1であるときは、光フィルタ61から出力される光信号は、図10および図12に示す例において互いに実質的に同じである。すなわち、光フィルタ61の透過波長がλ1であるときは、図13において得られる振幅B1は、図10において得られる振幅A1と実質的に同じである。
また、モニタ装置43の光フィルタ61の透過波長λ2も、波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタのカットオフ波長λxより短い。したがって、光フィルタ61の透過波長がλ2であるときも、図13において得られる振幅B2は、図10において得られる振幅A2と実質的に同じである。
ところが、光フィルタ61の透過波長がλ3であるときは、その光フィルタ61の透過波長帯に存在する光信号の波長成分の一部が波長選択スイッチ13において除去されている。このため、光フィルタ61の透過波長がλ3であるときは、図13において得られる振幅B3は、図10において得られる振幅A3よりも小さい。
図11(b)は、図13に示す振幅検出に基づいて生成された振幅分布の一例を示す。図11(a)に示す例では、光フィルタ61の透過波長がλ1からλ3に向かって大きくなると、周波数変調成分の振幅も大きくなっている。すなわち、A1<A2<A3が得られている。これに対して、図11(b)に示す分布では、透過波長λ1に対して得られる振幅B1よりも透過波長λ2に対して得られる振幅B2の方が大きいが、透過波長λ2に対して得られる振幅B2よりも透過波長λ3に対して得られる振幅B3の方が小さい。すなわち、B1<B2、B2>B3が得られる。
このように、波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタの透過波長が光信号にスペクトルに対して適切に制御されていないときの振幅分布は、透過波長が光信号のスペクトルに対して適切に制御されているときの振幅分布とは異なっている。したがって、モニタ装置43は、波長選択スイッチ13から出力される光信号について周波数変調成分の振幅分布を取得すれば、波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタの透過波長が光信号のスペクトルに対して適切に制御されているか判定できる。
実施形態のモニタ装置43は、波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタの透過波長帯が、図12(a)に示すように適切に制御されているのか、或いは、図12(b)に示すように適切に制御されていないのかを判定する。この判定は、上述した周波数変調成分の振幅分布を利用して行われる。1つの実施例では、モニタ装置43は、入力側振幅分布の形状と出力側振幅分布の形状とを比較することにより、波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタの透過波長帯が光信号のスペクトルに対して適切に制御されているのかを判定する。例えば、図11(a)および図11(b)がそれぞれ入力側振幅分布および出力側振幅分布を表すものとする。このケースでは、波長λ1、λ2、λ3に対して、入力側振幅分布はA1<A2<A3し示し、出力側振幅分布はB1<B2、B2>B3を示している。この場合、2つの振幅分布の形状は互いに異なっていると判定され、波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタの透過波長帯が光信号のスペクトルに対して適切に制御されていないと判定される。
図14(a)は、波長選択スイッチ13の透過波長帯が適切に制御されているときに得られる波長分布の一例を示す。波長選択スイッチ13の透過波長帯が適切に制御されているときは、図12(a)に示すように、出力光信号のスペクトルSP2の形状は、入力光信号のスペクトルSP1と実質的に同じである。したがって、この場合、モニタ装置43により生成される入力側波長分布および出力側波長分布は、図14(a)に示すように、互いに類似することになる。なお、「分布が互いに類似」は、分布の形状またはパターンが互いに類似していることを意味し、振幅値は互いに近似していなくてもよい。
ここで、入力側振幅分布は、波長選択スイッチ13へ入力される光信号に対して得られる振幅分布を表す。すなわち、入力側振幅分布は、波長選択スイッチ13の透過波長帯が適切に制御されているかを判定するための基準振幅分布として使用することができる。したがって、モニタ部65は、入力側波長分布および出力側波長分布が互いに類似しているときは、波長選択スイッチ13の透過波長帯が適切に制御されていると判定する。なお、モニタ部65は、例えば、入力側波長分布および出力側波長分布の相関を計算することにより、入力側波長分布および出力側波長分布の類似度を検出することができる。
図14(b)は、波長選択スイッチ13の透過波長帯が適切に制御されていないときに得られる波長分布の一例を示す。波長選択スイッチ13の透過波長帯が適切に制御されていないときは、図12(b)に示すように、出力光信号のスペクトルSP2の形状は、入力光信号のスペクトルSP1と異なっている。したがって、この場合、モニタ装置43により生成される入力側波長分布および出力側波長分布は、図14(b)に示すように、互いに類似していない。
図14(b)に示す例では、波長選択スイッチ13の透過波長帯が適切に制御されていないことに起因して、光信号のスペクトルの長波長側の一部が波長選択スイッチ13において除去されてしまっている。このため、光信号のスペクトルの長波長側において、入力側波長分布および出力側波長分布は互いに類似していない。この場合、モニタ部65は、波長選択スイッチ13の透過波長帯が適切に制御されていないことを表すモニタ結果信号を出力する。このとき、モニタ部65は、光信号のスペクトルの長波長側に対して透過波長帯が適切に制御されていないことを表すモニタ結果信号を出力してもよい。
WSS制御部66は、モニタ部65によるモニタ結果に基づいて、波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタの透過波長帯を制御する。例えば、光信号のスペクトルの長波長側に対して透過波長帯が適切に制御されていないことを表すモニタ結果信号をモニタ部65から受信したときは、WSS制御部66は、波長可変光フィルタの透過波長帯を長波長側に広くする制御信号を生成して波長選択スイッチ13に与える。そうすると、波長選択スイッチ13は、この制御信号に応じて透過波長帯を長波長側に広くするので、光信号のスペクトルは波長選択スイッチ13において除去されなくなる。
図15は、実施形態のモニタ方法を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、モニタ装置43により実行される。例えば、図2および図4に示す波長デフラグが実行されるとき、モニタ装置43は、ネットワーク管理システム100からの指示に応じて図15に示すフローチャートの処理を実行する。なお、波長選択スイッチ13に入力される光信号には、光送信器20において周波数変調成分が付与されているものとする。
S1において、モニタ装置43は、モニタ装置43の光フィルタの透過波長を掃引しながら、周波数変調成分の振幅を検出する。このとき、振幅分布生成部64は、光フィルタ61(61a、61b)の透過波長を掃引する。そして、振幅検出器63(63a、63b)は、複数の透過波長に対してそれぞれ周波数変調成分の振幅を検出する。
S2において、モニタ装置43は、振幅検出器63(63a、63b)による検出結果に基づいて、周波数変調成分の振幅の分布を生成する。振幅分布は、例えば、光フィルタ61の透過波長に対して周波数変調成分の振幅をプロットすることによって生成される。このとき、振幅分布生成部64は、入力側振幅分布および出力側振幅分布を生成する。なお、モニタ装置43は、入力側振幅分布および出力側振幅分布を実質的に並列に生成することができる。
S3において、モニタ装置43は、振幅分布生成部64により生成された振幅分布に基づいて、光信号に対する波長選択スイッチ13の透過波長帯の配置をモニタする。「透過波長帯の配置」は、特に限定されるものではないが、一例としては、透過波長帯の短波長側のカットオフ波長および長波長側のカットオフ波長により表される。このとき、モニタ部65は、入力側振幅分布と出力側振幅分布とを比較することによって、波長選択スイッチ13の透過波長帯が光信号に対して適切に制御されているか(または、適切に配置されているか)を判定する。
このように、実施形態のモニタ装置43は、光信号に付与されている周波数変調成分の振幅の分布を利用して、その光信号に対して波長選択スイッチ13の波長可変光フィルタの透過波長帯が適切に制御されているかを判定できる。ここで、光信号のスペクトルの形状を直接的にモニタする方法と比較して、実施形態のモニタ方法は、光信号のスペクトルの変化を精度よく検出できることが見込まれるので、透過波長帯が適切に制御されているか否かを精度よく判定できる。
<他の実施形態>
上述の実施例では、モニタ装置43は、入力側振幅分布と出力側振幅分布とを比較することによって透過波長帯が適切に制御されているか否かを判定する。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、波長選択スイッチ13へ入力される光信号に対して得られる波長分布(基準波長分布)がシミュレーション等によって得られている場合には、モニタ装置43は、その基準波長分布と出力側振幅分布とを比較することによって透過波長帯が適切に制御されているか否かを判定してもよい。或いは、波長選択スイッチ13の透過波長帯が適切に制御されているときに波長選択スイッチ13から出力される光信号に対して得られる波長分布(基準波長分布)がシミュレーション等によって得られている場合は、モニタ装置43は、その基準波長分布と出力側振幅分布とを比較することによって透過波長帯が適切に制御されているか否かを判定してもよい。
光信号のスペクトルの形状は、中心波長(または、中心周波数)に対して実質的に対称である。したがって、モニタ装置43は、入力側振幅分布または基準振幅分布を使用することなく、出力側振幅分布の対称性に基づいて、透過波長帯が適切に制御されているか否かを判定してもよい。例えば、図14(a)に示すように、光信号の中心波長に対して出力側振幅分布が対称であれば、光信号に対して透過波長帯が適切に制御されていると判定される。一方、図14(b)に示すように、光信号の中心波長に対して出力側振幅分布が非対称であれば、光信号に対して透過波長帯が適切に制御されていないと判定される。
なお、入力側振幅分布を利用しない場合、モニタ装置43は、光フィルタ61a、受光器62a、振幅検出器63aを有していなくてもよい。この場合、モニタ装置43の構成が簡単になる。
また、上述の実施例では、光信号のスペクトルの全域に渡って光フィルタ61a、61bの透過波長が掃引されるが、本発明はこの構成に限定されるものではない。たとえば、モニタ装置43は、光信号のスペクトルの中心から長波長側のエッジまで光フィルタ61a、61bの透過波長を掃引することにより、光信号の長波長側において波長選択スイッチ13の透過波長帯が適切に制御されているかを判定してもよい。同様に、モニタ装置43は、光信号のスペクトルの中心から短波長側のエッジまで光フィルタ61a、61bの透過波長を掃引することにより、光信号の短波長側において波長選択スイッチ13の透過波長帯が適切に制御されているかを判定してもよい。
<波長デフラグ>
図16は、波長デフラグの手順を示すフローチャートである。ここでは、WDM伝送システムにおいて、ある1つの光パスを介して伝送される光信号の中心波長が現波長から目標波長にシフトされるものとする。なお、波長デフラグは、対象となる光パスの通信を切断することなく実行される。
以下の説明では、光送信器20は、光源21の波長を10pmずつ調整できるものとする。また、光受信器30は、局発光源31の波長を10pmずつ調整できるものとする。波長選択スイッチ31は、波長可変光フィルタの透過波長帯を0.1nmずつ調整できるものとする。すなわち、フレキシブルグリッドのスロット幅は、0.1nmである。ここで、波長選択スイッチ31は、波長可変光フィルタの透過波長帯の長波長側のカットオフ波長および短波長側のカットオフ波長を個々に調整できるものとする。
S11において、ネットワーク管理システム100は、波長デフラグの対象となる光パス上のROADM1に対して、波長デフラグの開始を指示する。図3に示す例では、ROADM#1の光送信器(Tx1)20からROADM#3に光受信器(Rx1)30へ光信号を伝送する光パスについて波長デフラグが実行される。この場合、波長デフラグ開始指示は、ROADM#1、#2に与えられる。また、波長デフラグ開始指示は、目標波長を表す情報を含む。図4に示す例では、波長デフラグ開始指示は「目標波長=λ3」を含む。なお、波長デフラグ開始指示を受信したROADM1は、波長デフラグにおいて波長がシフトする方向に向かって、波長選択スイッチ13の透過波長帯を1スロットだけ拡げておくことが好ましい。
なお、以下の説明では、「光送信器20」は、波長デフラグの対象となる光パスを介して伝送される光信号を生成する光送信器を表す。「光受信器30」は、波長デフラグの対象となる光パスを介して伝送される光信号を受信する光受信器を表す。「ROADM1」は、波長デフラグの対象となる光パス上に設けられているROADMを表す。「キャリア光」は、光送信器20から送信される信号を伝搬する光を表す。
S12において、ネットワーク管理システム100は、光送信器20に対して、キャリア光の波長を目標波長に向かって1ステップだけシフトさせるシフト指示を与える。この指示を受信すると、光送信器20は、光源21の波長をΔλstepだけシフトさせる。この実施例では、Δλstepは10pmである。
S13において、ネットワーク管理システム100は、光受信器30に対して、局発光の波長を目標波長に向かって1ステップだけシフトさせるシフト指示を与える。この指示を受信すると、光受信器30は、局発光源31の波長をΔλstepだけシフトさせる。なお、S12およびS13は、実質的に並列に実行するようにしてもよい。
S14において、キャリア光の波長および局発光の波長が適切に制御されているかが判定される。この判定は、例えば、光受信器30により行われる。例えば、光受信器30において、キャリア光の周波数と局発光周波数との誤差(すなわち、周波数オフセット)が所定の閾値よりも小さければ、キャリア光の波長および局発光の波長が適切に制御されていると判定される。キャリア光および局発光が適切に制御されていれば、波長デフラグの処理はS15へ進む。一方、キャリア光および局発光が適切に制御されていないときは、波長デフラグの処理は終了する。なお、S14の判定結果は、ネットワーク管理システム100に通知される。
S15において、ネットワーク管理システム100は、ROADM1の波長選択スイッチ13の透過波長帯をシフトさせるか否かを判定する。この実施例では、キャリア光の波長を調整するための波長ステップΔλstepは、10pmである。また、波長選択スイッチ13の透過波長帯を調整するためのスロット幅は、0.1nmである。よって、キャリア光の波長シフトを10回実行する毎に、波長選択スイッチ13の透過波長帯が1スロットだけシフトするように制御すれば、光信号のスペクトルは波長選択スイッチ13の透過波長帯の中に配置され続けるはずである。よって、ネットワーク管理システム100は、S12〜S18を10回実行する毎に、S16を1回実行する。
S16において、ネットワーク管理システム100は、波長選択スイッチ13の透過波長帯をシフトさせる指示をROADM1に与える。そうすると、ROADM1は、波長選択スイッチ13の透過波長帯を目標波長に向かって1スロットだけシフトさせる。この場合、透過波長帯の長波長側のカットオフ波長および短波長側のカットオフ波長がそれぞれ1スロットだけシフトする。
S17において、ROADM1のモニタ装置43は、波長選択スイッチ13の透過波長帯が光信号のスペクトルに対して適切に制御されているかを判定する。この判定は、図7〜図14を参照しながら説明した構成および方法により実現される。そして、波長選択スイッチ13の透過波長帯が適切に制御されているときは、波長デフラグの処理はS18へ進む。一方、波長選択スイッチ13の透過波長帯が適切に制御されていないときは、波長デフラグの処理は終了する。ただし、波長選択スイッチ13の透過波長帯が適切に制御されていないときは、WSS制御部66は、S17の判定が「Yes」となるように透過波長帯を拡げるようにしてもよい。この場合、ネットワーク管理システム100は、波長デフラグ処理を継続してもよい。
S18において、ネットワーク管理システム100は、キャリア光の波長が目標波長に到達したか否かを判定する。キャリア光の波長が目標波長に到達していれば、波長デフラグの処理はS19へ進む。一方、キャリア光の波長が目標波長に到達していなければ、波長デフラグの処理はS12へ戻る。すなわち、キャリア光の波長が目標波長に到達するまで、S12〜S18が繰り返し実行される。
S19において、ネットワーク管理システム100は、ROADM1に対して波長デフラグの終了を指示する。なお、S11において波長選択スイッチ13の透過波長帯を拡げたときは、ROADM1は、S19において、その透過波長帯の幅をもとの状態に戻す。例えば、図4に示す例では、波長デフラグの開始時のキャリア光の波長(即ち、λ1)よりも目標波長(即ち、λ3)の方が長い。この場合、ROADM1は、S11において、波長選択スイッチ13の透過波長帯の長波長側を1スロットだけ拡張させる。また、ROADM1は、S19において、その透過波長帯の短波長側を1スロットだけ狭くする。
このように、実施形態の波長デフラグにおいては、キャリア光の波長および/または波長選択スイッチ13の透過波長が調整される毎に、波長選択スイッチ13の透過波長帯が光信号のスペクトルに対して適切に制御されているかモニタされる。このため、光信号の品質が大きく劣化する前に、波長デフラグを停止することが出来る。したがって、波長デフラグによって通信が切断されることはない。
1 光分岐挿入装置(ROADM)
13 波長選択スイッチ(WSS)
20 光送信器
21 光源
22 周波数変調制御回路
30 光受信器
31 局発光源
43 モニタ装置
61(61a、61b) 光フィルタ
63(63a、63b) 振幅検出器
64 振幅分布生成部
65 モニタ部
100 ネットワーク管理システム

Claims (8)

  1. 周波数変調成分が付与されている光信号をフィルタリングする波長可変光フィルタをモニタするモニタ装置であって、
    前記波長可変光フィルタから出力される光信号をフィルタリングする第1の光フィルタと、
    前記第1の光フィルタから出力される光信号に含まれている周波数変調成分の振幅を検出する第1の検出部と、
    前記第1の光フィルタの透過波長を掃引することにより、前記第1の検出部により検出される周波数変調成分の振幅の分布を表す出力側振幅分布を生成する生成部と、
    前記生成部により生成される出力側振幅分布に基づいて、前記光信号のスペクトルに対する前記波長可変光フィルタの透過波長帯の配置をモニタするモニタ部と、
    を有するモニタ装置。
  2. 前記第1の光フィルタの透過波長帯の幅は、前記光信号のスペクトルの幅よりも狭い
    ことを特徴とする請求項1に記載のモニタ装置。
  3. 前記波長可変光フィルタの入力側で前記光信号をフィルタリングする第2の光フィルタと、
    前記第2の光フィルタから出力される光信号に含まれている周波数変調成分の振幅を検出する第2の検出部、をさらに有し、
    前記生成部は、前記第2の光フィルタの透過波長を掃引することにより、前記第2の検出部により検出される周波数変調成分の振幅の分布を表す入力側振幅分布を生成し、
    前記モニタ部は、前記入力側振幅分布と前記出力側振幅分布との比較に基づいて、前記波長可変光フィルタの透過波長帯が前記光信号のスペクトルに対して適切に制御されているかを判定する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のモニタ装置。
  4. 前記モニタ部は、前記出力側振幅分布と予め生成されている基準分布との比較に基づいて、前記波長可変光フィルタの透過波長帯が前記光信号のスペクトルに対して適切に制御されているかを判定する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のモニタ装置。
  5. 前記モニタ部は、前記出力側振幅分布の対称性に基づいて、前記波長可変光フィルタの透過波長帯が前記光信号のスペクトルに対して適切に制御されているかを判定する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のモニタ装置。
  6. 周波数変調成分が付与されている光信号をフィルタリングする波長可変光フィルタをモニタするモニタ方法であって、
    前記波長可変光フィルタから出力される光信号をフィルタリングする光フィルタの透過波長を掃引しながら、前記光フィルタから出力される光信号に含まれている周波数変調成分の振幅を検出することにより、前記周波数変調成分の振幅の分布を表す振幅分布を生成し、
    前記振幅分布に基づいて、前記光信号のスペクトルに対する前記波長可変光フィルタの透過波長帯の配置をモニタする、
    ことを特徴とするモニタ方法。
  7. 指定された波長の光信号を透過させる波長可変光フィルタを含む波長選択スイッチと、
    前記波長可変光フィルタをモニタするモニタ装置と、を有し、
    前記光信号には、周波数変調成分が付与されており、
    前記モニタ装置は、
    前記波長可変光フィルタから出力される光信号をフィルタリングする光フィルタと、
    前記光フィルタから出力される光信号に含まれている周波数変調成分の振幅を検出する検出部と、
    前記光フィルタの透過波長を掃引することにより、前記検出部により検出される周波数変調成分の振幅の分布を表す出力側振幅分布を生成する生成部と、
    前記生成部により生成される出力側振幅分布に基づいて、前記光信号のスペクトルに対する前記波長可変光フィルタの透過波長帯の配置をモニタするモニタ部と、を有する
    ことを特徴とする光分岐挿入装置。
  8. 送信器から光分岐挿入装置を介して受信器へ伝送される光信号の波長を制御する波長制御方法であって、
    前記送信器において、前記光信号に周波数変調成分を付与し、
    前記送信器において、前記光信号の中心波長を目標波長に向かって所定量だけシフトさせ、
    前記受信器において、前記光信号をコヒーレント受信するための局発光の波長を前記目標波長に向かって所定量だけシフトさせ、
    前記光信号の中心波長のシフトに応じて、前記光分岐挿入装置において前記光信号をフィルタリングする波長可変光フィルタの透過波長帯を制御し、
    前記波長可変光フィルタから出力される光信号をフィルタリングする光フィルタの透過波長を掃引しながら、前記光フィルタから出力される光信号に含まれている周波数変調成分の振幅を検出することにより、前記周波数変調成分の振幅の分布を表す振幅分布を生成し、
    前記振幅分布に基づいて、前記光信号のスペクトルに対する前記波長可変光フィルタの透過波長帯の配置をモニタし、
    前記波長可変光フィルタの透過波長帯が前記光信号のスペクトルに対して適切に制御されているときは、前記光信号の中心波長、前記局発光の波長、および前記波長可変光フィルタの透過波長を前記目標波長に向かってシフトさせる処理を継続する、
    ことを特徴とする波長制御方法。
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