近年、画像表示装置として液晶を用いた表示パネル装置(すなわち、液晶表示装置)の躍進が著しい。この液晶表示装置は、ビデオカムコーダのビューファインダや液晶表示パネル、自動車用のテレビや、ナビゲーションシステムの表示パネル、ノート型パソコンのディスプレイ等に広く使われている。この液晶表示装置は、本来アナログ映像信号を表示する装置である。しかし、高精細度、高画質の液晶表示装置の駆動回路は、非常に大規模で、多数のチップを必要とし、かつ精度の高い回路が必要とされ、表示画質は表示パネルのコストを制約する大きな要素の一つとなっている。
一方、近年、周辺回路のデジタル化が進み、それに伴い映像信号としてデジタルデータを液晶素子に入力するのがシステム全体として好都合である。そこで、上記の表示パネルのコストの制約を満足するためにも、回路規模を増大させずに高画質化を実現するために、デジタル映像信号をアナログ映像信号に変換するDA変換回路を備える液晶表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1記載の従来の液晶表示装置では、黒から白までの全映像信号の成分を持った単純な1水平走査期間周期のランプ信号をアナログスイッチに供給すると共に、所定周波数のクロックでカウンタをカウントアップしていく。カウンタは1水平走査期間内で最小値から最大値まで順次変化するカウンタ値を出力する。そして、このカウント値とラインバッファにラッチされている水平方向の各画素値とをコンパレータにおいて画素単位で比較し、カウント値が上記のラインバッファにラッチされた画素値と同じ値になったら、その画素に対応するアナログスイッチを、カウント値と一致している期間のみオンとし、このときのランプ信号の電圧をアナログスイッチを通して画素に供給することでアナログ映像信号への変換が行われる。
しかし、特許文献1記載の液晶表示装置は、前記のような利点を持つ反面、基準となるランプ信号からデジタルデータに応じた所定の電圧をサンプル・ホールドする方式であることから、表示する絵柄によっては複数の画素で同時に同じ電圧をサンプルホールドしたり、あるいは全くサンプルホールドされない電圧があったりと、ランプ信号に対する負荷状態が大きく変化することが多い。この変動によって表示画像に階調劣化(を発生してしまうという課題がある。
図11は、この階調劣化が生じた表示画像を示す。図11(a)は元画像であり、黒背景であるイメージ1a上に50%グレー階調のボックス(イメージ2a)と、イメージ2aと同一階調であって水平方向に大きいボックス(イメージ3a)とが配置された画像である。この元画像を特許文献1記載の液晶表示装置で表示した場合、図11(b)に示す画像が表示される。この図11(b)に示す表示画像は、黒背景であるイメージ1b上にグレー階調のボックス(イメージ2b)と、イメージ2bと本来同一階調であるにも拘らず、若干明るさが暗いボックス(イメージ3b)とが配置された画像となる。これはイメージ3bの方がイメージ2bよりもグレー階調の水平方向の幅が広いため、1水平走査期間で同時にオンになっているアナログスイッチの数が多いためである。
この原因を図12及び図13を用いて説明する。図12は、特許文献1記載の液晶表示装置の要部の一例の等価回路図を示す。図12において、変換用アナログ信号発生回路の出力等価回路は、デジタルデータのランプ信号データをアナログ信号のランプ信号に変換するDA変換器の内部のバッファとその出力インピーダンスZ0を示す。変換用アナログ信号発生回路の出力側にはn個のアナログスイッチが並列に接続されている。
ここで、n個のアナログスイッチは画面水平方向の画素数に対応しており、デジタル映像信号の各画素値と1水平走査期間内で最小値から最大値までカウントアップするn個のカウンタのカウント値とを同時に比較し、両者が一致したときにカウンタから出力される一致パルスにより、カウンタ値が一致したカウンタに対応した画素位置のアナログスイッチを、一致パルスの出力期間のみオンとする。アナログスイッチは、1水平走査期間の最初に最小階調値からスタートして1水平走査期間の終了直前に最大階調値に達するレベルのランプ信号をオン時にサンプリングしてそのランプ信号電圧を対応する画素回路に出力する構成である。
図12において、各アナログスイッチの等価回路は、1個のアナログスイッチと入力インピーダンスZ1との直列回路で表される。V0はデジタルデータのランプ信号データからアナログ信号のランプ信号を生成するDA変換器内のバッファの出力電圧、V1は上記DA変換器から出力されてn個のアナログスイッチへ共通に供給されるアナログのランプ信号の入力電圧である。
ここで、あるタイミングで同時にオンになっているアナログスイッチの数をa個としたときのアナログスイッチ部の入力電圧V1(a)は次式で表せる。
図11(b)に示した黒い背景(イメージ1b)ではV0=0で、このときオンとされるアナログスイッチ数aは0個であるので、(1)式によれば、アナログスイッチ部の入力電圧V1(0)は0ボルトである。また、Z0=1、Z1=100、n=256とし、図11(b)に示したイメージ2bのある1ライン表示時に同時にオンとされるアナログスイッチ数aを「64」、イメージ3bのある1ライン表示時に同時にオンとされるアナログスイッチ数aを「128」とする。また、イメージ2b及び3bはいずれも本来は50%グレーの画像であるので、バッファ出力電圧V0は上記「1」の50%の「0.5」である。なお、イメージ2a及び3aは図示の便宜上、50%グレーよりも明るい輝度で図示している。
このとき、(1)式から、イメージ2bの表示時のアナログスイッチ部の入力電圧V1(64)は「0.305」、イメージ3bの表示時のアナログスイッチ部の入力電圧V1(128)は「0.219」である。従って、本来同一階調で表示されるべきイメージ2bとイメージ3bとは、水平方向のグレー階調のイメージの長さが互いに異なることから同時にオンとされるアナログスイッチ数aが異なり、その結果、上記のように階調差が生じる。また、イメージ2b及び3bのいずれの表示も、入力電圧V1は0.5(50%)となるべきだが、低い階調表示となることがわかる。以上から、1ライン表示期間(1水平走査期間)におけるオンのアナログスイッチの数に応じてバッファ負荷が変動し、階調劣化が生じることが説明できる。
図13は、オンのアナログスイッチ数aに対する入力電圧V1の変化を示すグラフである。同図に示すグラフは、V0=0.5、Z0=1、Z1=100のときのグラフである。このグラフから、オンのアナログスイッチ数aが多くなるほど、アナログスイッチ部の入力電圧V1(a)は、バッファから出力される階調を示す電圧V0との差が大きくなり、本来の階調からずれていくことが分かる。
そこで、上記の課題を解決するために、画素部の一画素列に対応した数のダミー画素を設け、そのダミー画素が接続されている1本の信号線に、ランプ信号線を介して供給されるランプ信号による上記信号線の寄生容量の充電電流を流し、その充電電流を検出する少なくとも一以上の電流検出手段と、複数のアナログスイッチ(ビデオスイッチ)とランプ信号線との各接続点にそれぞれ一端が接続された配線を備え、その配線に上記電流検出手段により検出された充電電流を流す複数のダミー負荷手段を設けた液晶表示装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この特許文献2記載の液晶表示装置では、1ラインの画素数に等しい数のビデオスイッチ(アナログスイッチ)を各水平走査期間の初めで同時にすべてオンとする。その後水平走査期間内で表示される映像信号のデジタルデータとカウンタのカウンタ値とを比較するコンパレータから出力される一致パルスで、そのコンパレータに対応して設けられたアナログスイッチを一致パルス出力時点以降継続してオフとする。これにより、アナログスイッチのオフ時点のランプ信号のレベルをサンプリングホールドして画素に供給する。この特許文献2記載の液晶表示装置では、オフになったアナログスイッチに接続されたデータ線に流れていた充電電流と同じ値の電流を、オフになったアナログスイッチに対応したダミー負荷に流すことで、ランプ信号線の電流変化を精度良く補償することができ、その結果、ランプ信号線の電圧変動を精度良く抑圧することができる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明になる画像表示装置の一実施の形態のブロック図を示す。同図に示すように、本実施の形態の画像表示装置100は、反射型液晶プロジェクタなどに用いる液晶表示装置で、変換用アナログ信号発生部101、駆動パルス生成部102、シフトレジスタ回路103、1ラインラッチ回路104、階調カウンタ105、コンパレータ1061〜106n、アナログスイッチ1071〜107n、画素部108及び垂直駆動回路109を備え、特に変換用アナログ信号発生部101に特徴がある。
変換用アナログ信号発生部101は、表示すべきデジタル映像信号ID、垂直同期信号VD、水平同期信号HD、クロックCLKを入力信号として受け、後述する所定の処理を施して、互いに同期した表示用デジタル映像信号SVDとランプ信号VREFとを発生する。表示用デジタル映像信号SVDはシフトレジスタ回路103へ出力され、ランプ信号VREFはランプ信号線Lsを介してアナログスイッチ1071〜107nの入力端子に出力される。ランプ信号VREFは、黒レベル及び白レベルのうち一方のレベルからスタートして1水平走査期間の終了時点直前には他方のレベルに達するように1水平走査期間周期でレベルが漸次変化する傾斜波である。
駆動パルス生成部102は、上記垂直同期信号VD、水平同期信号HD及びクロックCLKを入力信号として受け、表示用デジタル映像信号SVDとランプ信号VREFに同期した駆動信号を発生し、垂直駆動回路109へ出力する。
シフトレジスタ回路103は、供給される表示用デジタル映像信号SVDを画素単位で順次シフトする。1ラインラッチ回路104は、シフトレジスタ回路103から並列に出力されるデジタル映像信号(以下、画素データともいう)を、1ライン単位で一時保持する。シフトレジスタ回路103及び1ラインラッチ回路104は、表示用デジタル映像信号SVDにおける1ライン分の各画素の画像データを保持する保持手段を構成している。
階調カウンタ105は、デジタル映像信号IDの同期信号に同期した所定周波数のクロックCKをカウントし、1ライン周期で一巡し、かつ、表示階調の最小値から最大値まで変化するカウント値(基準階調データ)を出力する。n個のコンパレータ1061〜106nは、画素部108の水平方向のn個の画素毎に対応して設けられており、階調カウンタ105のカウント値と、1ラインラッチ回路104からの1ラインのn個の画素データとを比較し、両者が一致したときに一致パルスを出力する。
アナログスイッチ1071〜107nは、コンパレータ1061〜106n、及び画素部108の水平方向のn個の画素毎にそれぞれ対応して設けられている。アナログスイッチ1071〜107nは、オンのときはランプ信号VREFをデータ線D1〜Dnを介して対応して設けられた、画素部108の垂直方向のm個の画素に供給する。
画素部108は、画面水平方向の画素数n個、画面垂直方向の画素数m個(すなわち、m行n列)の2次元マトリクス状に配置された画素から構成されている。画素部108は、同じ垂直方向のm個の画素単位でn本のデータ線D1〜Dnに別々に接続されており、また、同じ水平方向のn個の画素単位でm本のゲート線G1〜Gmに別々に接続されている。すなわち、画素部108は、n本のデータ線D1〜Dnとm本のゲート線G1〜Gmとが交差する各交差部にそれぞれ設けられた、n×m個の画素からなる。
各画素は、その構成自体は本発明の要旨ではないのでその構成の図示を省略したが、ゲート線G1〜Gmを介して入力される画素選択信号(ゲート信号)により選択され、アナログスイッチ1071〜107nのうちオンとされたアナログスイッチに接続されたデータ線を介して入力されるDA変換されたアナログ映像信号(具体的には、サンプリングされたランプ信号電圧)が供給され、そのアナログ映像信号を画素選択トランジスタを経由して信号保持容量に書き込み保持した後、液晶素子の反射電極に印加する構成である。
表示素子の一例としての液晶素子は、互いに対向して配置された反射電極と、共通電極(透明電極)との間に液晶層が挟持された構造で、反射電極をアナログ映像信号電圧(ここでは、サンプリングされたランプ信号電圧)に応じた電圧で駆動することで、液晶層の光透過率を制御し、映像として表示する。
垂直駆動回路109は、垂直方向駆動手段を構成しており、駆動信号を入力として受け、m本のゲート線G1〜Gmに、水平同期信号HDに同期した1水平走査期間(1H)単位で1本ずつ順次に画素選択信号を供給して、画素部108の同じ水平方向のn個の画素を同時に選択することを繰り返すことで、1フレーム期間で全画素を選択する。
次に、画像表示装置100の概略動作について説明する。シフトレジスタ回路103は、変換用アナログ信号発生部101が発生した、複数ビットの画素データが時系列的に合成された表示用デジタル映像信号を1ライン分ずつ順次展開する。1ラインラッチ回路104は、シフトレジスタ回路103で1ライン分の表示用デジタル映像信号の展開が終了した時点で、シフトレジスタ回路103から並列に出力されるn個の画素データを一時保持した後、コンパレータ1061〜106nの第1のデータ入力端子に供給する。
コンパレータ1061〜106nは、第1のデータ入力端子に画素単位に供給される画素データと、第2のデータ入力端子に階調カウンタ105から共通に供給される基準階調データとを互いに独立して比較し、両者が一致したときに一致パルスを出力し、アナログスイッチ1071〜107nのうち、対応して設けられたアナログスイッチに供給してオンとする。階調カウンタ105及びコンパレータ1061〜106nは、本発明におけるアナログスイッチの制御手段を構成している。
アナログスイッチ1071〜107nは、水平同期信号HDに同期した図示しないスタート信号を受けて、各水平走査期間の開始時点毎にすべて同時にオフとされた後、コンパレータ1061〜106nのうち、対応して設けられたコンパレータから一致パルスを受けた期間のみオンとなるように開閉制御される。アナログスイッチ1071〜107nは、オンの期間はデータ線D1〜Dnのうち接続されているデータ線を介してランプ信号VREFを画素部108の垂直方向のm個の画素に供給する。
そして、アナログスイッチ1071〜107nのうち、オンとなったアナログスイッチに接続されたデータ線を介して接続された画素部108内の垂直方向に配列されたm個の画素のうち、そのときのゲート線G1〜Gmで選択されている一画素の信号保持容量に、オンとなったアナログスイッチに接続されたデータ線の容量に保持されたランプ信号の電圧が供給されてサンプリング保持される。この時保持されたランプ信号の電圧は、その画素のデジタル映像信号の画素値(階調レベル)に対応している。すなわち、入力された表示用デジタル映像信号の画素データは、アナログ映像信号に変換されて画素の信号保持容量に蓄積される。このようにして、各画素にはアナログスイッチ1071〜107nがオンになった期間のランプ信号の電圧が、それぞれの画素の信号保持容量で次のフレームまで保持されてそれぞれの画素の液晶素子を駆動する。
この画像表示装置100では、アナログスイッチ1071〜107nがオンになるタイミング、すなわちランプ信号の電圧をサンプリング保持するタイミングはそのときに表示しようとする映像信号の絵柄によって異なり、すべて同時の時もあれば別々のときもある。オンになる順序も固定されているわけではなく、黒レベル(液晶層の光透過率ゼロ相当)から白レベル(液晶層の光透過率100%相当)へ向かって漸次レベルが変化するランプ信号を入力した場合であれば、黒側のレベルを表示しようとする画素に繋がるアナログスイッチから順にオンになり、絵柄によってその都度オンの順番は異なる。このような本実施の形態の画像表示装置100では、ランプ信号を用いたDA変換方式の動作により直線性が良いなどの特長がある。なお、本実施の形態の画像表示装置100における上記のランプ信号を用いたDA変換方式の動作自体は、特許文献1記載の発明と基本的には同様である。
次に、本実施形態の画像表示装置100の要部の変換用アナログ信号発生部101の構成及び動作について更に詳細に説明する。
図2は、本発明になる画像表示装置の要部の変換用アナログ信号発生部の一実施形態の回路系統図、図3は、図2の概略動作説明用タイミングチャートを示す。なお、図3(A)〜(D)と(E)〜(O)とは便宜上、時間軸を変えて図示してある。図1の変換用アナログ信号発生部101は、図2に示すように、表示すべきデジタル映像信号ID、垂直同期信号VD、水平同期信号HD、クロックCLKを入力信号として受け、奇数ラインランプ信号データ生成部201A及び偶数ラインランプ信号データ生成部201B、1ビットラインカウンタ202、アドレスカウンタ203、NOT回路204、画像データセレクタ210、ヒストグラム値セレクタ211、ランプ信号生成部212、及びDA変換器213を有し、表示用デジタル映像信号SVDとランプ信号VREFとを生成して出力する。
奇数ラインランプ信号データ生成部201Aは、奇数1ラインデータメモリ205a、奇数ラインヒストグラムメモリ206a、AND回路207a、加算器208a、及びスイッチ209aからなる。偶数ラインランプ信号データ生成部201Bは、奇数ラインランプ信号データ生成部201Aと同様の構成であり、偶数1ラインデータメモリ205b、偶数ラインヒストグラムメモリ206b、AND回路207b、加算器208b、及びスイッチ209bからなる。なお、データメモリ205a及び205b、並びにヒストグラムメモリ206a及び206bは、書き込みと読み出しを独立に実行できるデュアルポートメモリである。
ここで、奇数ラインと偶数ラインとに処理を分けるのは、ヒストグラムを生成するのに1ラインの時間期間が必要であり、この期間はヒストグラムが確定していないためである。すなわち、奇数ライン側処理及び偶数ライン側処理のうち一方の側の処理でヒストグラム値を生成している間は、もう一方の側の処理でヒストグラム値を読み出し、これを1ラインごとに交互に切り換えるためである。また、データメモリ205a及び205bは、このヒストグラム生成で生じる1ライン分の時間遅延にタイミングを合わせるために用いる。
1ビットラインカウンタ202は、図3(B)に示す垂直同期信号VDと、同図(C)及び(G)に示す水平同期信号HDとが供給され、入力される同図(A)、(E)に示す入力デジタル映像信号の画像データIDが奇数ライン画像データID(1)、ID(3)、・・・であるか、偶数ライン画像データID(2)、ID(4)、・・・であるかを示す判定信号LINEを生成する。ここでは、一例として判定信号LINEは、図3(D)、(H)に示すように、画像データが奇数ラインの場合「1」、偶数ラインの場合「0」とする。1ビットラインカウンタ202は、判定信号LINEをライトイネーブル信号として、奇数1ラインデータメモリ205a及び奇数ラインヒストグラムメモリ206aの各ライトイネーブル端子WEに供給し、また、NOT回路204で極性反転した判定信号をライトイネーブル信号として偶数1ラインデータメモリ205b及び偶数ラインヒストグラムメモリ206bの各ライトイネーブル端子WEに供給する。
AND回路207aは、この判定信号LINEと水平同期信号HDとを論理積演算して奇数ラインヒストグラムメモリ206aのクリア端子CLRにクリア信号として供給する。一方、AND回路207bは、NOT回路204で判定信号LINEを極性反転した信号と水平同期信号HDとを論理積演算して偶数ラインヒストグラムメモリ206bのクリア端子CLRにクリア信号として供給する。
アドレスカウンタ203は、水平同期信号HDと図3(F)に示すクロックCLKとから画像データIDに同期した、同図(I)に模式的に示すカウンタ値ACを生成し、奇数1ラインデータメモリ205a及び偶数1ラインデータメモリ205bの各書き込みアドレス端子WADRSと読み出しアドレス端子RADRSにそれぞれ供給する。これらのデータメモリ205a及び205bは、ライトイネーブル信号が「1」のとき、その端子WDATAに入力される画像データIDを書き込み、ライトイネーブル信号が「0」のとき、その端子RDATAから書き込まれている画像データを読み出す。
データメモリ205a及び205bには、前述したように互いに逆極性で、奇数ラインのとき「1」、偶数ラインのとき「0」であるライトイネーブル信号が供給されるので、データメモリ205aは奇数1ラインの画像データを書き込み、その奇数1ラインの画像データを図3(J)に模式的に示すように次の偶数1ライン入力期間に読み出す。一方、データメモリ205bは偶数1ラインの画像データを書き込み、その偶数ラインの画像データを図3(L)に模式的に示すように次の奇数1ライン入力期間に読み出す。
画像データセレクタ210は、セレクト端子SELに供給される判定信号LINEが「1」のとき、端子Aに供給されている奇数1ラインデータメモリ205aから読み出された奇数1ラインの画像データID_ODDを選択して出力し、判定信号LINEが「0」のとき、端子Bに供給されている偶数1ラインデータメモリ205bから読み出された偶数1ラインの画像データID_EVENを選択して出力する。
これにより、画像データセレクタ210は、図3(N)に模式的に示すように、入力画像データIDの奇数1ライン入力期間は偶数1ラインの画像データを選択し、偶数1ライン入力期間は奇数1ラインの画像データを選択し、これら選択した画像データを表示用デジタル映像信号SVDとして、図1のシフトレジスタ回路103へ出力する。すなわち、データメモリ205a及び205bと画像データセレクタ210からなる構成は、1ライン遅延回路であって、奇数、偶数ラインを選択的に出力する機能を有する。
一方、奇数ラインヒストグラムメモリ206aは奇数1ラインデータメモリ205aが奇数1ラインの画像データの書き込み中の期間、また、偶数ラインヒストグラムメモリ206bは偶数1ラインデータメモリ205bが偶数1ラインの画像データ書き込み中の期間、それぞれその1ライン分のヒストグラムを書き込む。つまり、ヒストグラムメモリ206a及び206bは、入力画像データIDが書き込みアドレス端子WADRSに供給され、加算器208a、208bにおいてそれぞれ読み出しデータに「1」を加算した値、つまり以前そのアドレスである階調に記憶した値を読み出した結果に加算して書き込むことでヒストグラム値を生成する。
なお、ヒストグラムメモリ206a及び206bは、クリア信号により1ライン書き込み開始前に、以前記憶した別ラインのヒストグラム値をすべてクリアする。ヒストグラムメモリ206a及び206bは、読み出しアドレス端子RADRSにスイッチ209a、209bを通して互いに逆論理値の読み出しアドレス信号が供給され、書き込みを行わない各ラインで読み出し動作を行う。
ヒストグラム値セレクタ211は、セレクト端子SELに供給される判定信号LINEが「1」のとき、端子Aに供給されている奇数ラインヒストグラムメモリ206aから読み出された図3(K)に模式的に示す奇数ラインのヒストグラムデータHISTD_ODDを選択して出力し、判定信号LINEが「0」のとき、端子Bに供給されている偶数ラインヒストグラムメモリ206bから読み出された図3(M)に模式的に示す偶数ラインのヒストグラムデータHISTD_EVENを選択して出力する。これにより、ヒストグラム値セレクタ211は、図3(O)に模式的に示すように、画像データセレクタ210から出力されている1ラインの画像データID_Qと同じラインのヒストグラム値を示すヒストグラム値データHISTD_Qを出力する。なお、図3(O)において、HISTD(1)で示すa1,b1,c1,d1,・・・は、ACで示す各階調の出現頻度(ヒストグラム値)である。
次に、ヒストグラムメモリ206a及び206bの動作について、図4のタイミングチャートと共に更に詳細に説明する。
図4(A)に示す入力画像データIDは、垂直同期信号(垂直リセット信号)VD、同図(C)に示す水平同期信号(水平リセット信号)HD、及び同図(B)に示すクロックCLKに同期して入力される。また、図2に示した1ビットラインカウンタ202の出力信号は、図3(D)、(H)と共に説明したラインの判定信号LINEであり、図4(D)に示される。ここでは、判定信号LINEは、図4(D)に示すように、入力画像データIDが奇数ラインの画像データID(11)のとき「1」、偶数ラインの画像データID(12)のとき「0」である。また、アドレスカウンタ203は、図4(E)に示すように、一例として1H期間内で「0」から「7」まで1ずつカウントアップするカウント値ACを出力するものとする。つまり、図4では説明の簡単のため、1H期間の画像データ数(画素数)を「8」としている。
判定信号LINEが「1」である奇数ラインの画像データ入力期間では、奇数ラインヒストグラムメモリ206aはヒストグラムを作成する。この期間では、奇数ラインヒストグラムメモリ206aは、その書き込みイネーブル端子WEに図4(H)に示すように、判定信号LINEがライトイネーブル信号として入力され、その読み出しアドレス端子RADRSに、端子1側に接続されたスイッチ209aを通して図4(J)に模式的に示すように入力画像データID(11)が入力される。
これにより、奇数ラインヒストグラムメモリ206aは、その書き込みアドレス端子WADRSに入力される図4(I)に模式的に示す入力画像データID(11)を書き込みアドレスとし、そのデータつまり表示レベルに相当するアドレスに、端子WDATAに供給される図4(L)に模式的に示すデータを書き込む。この書き込みデータは、それ以前にその書き込みアドレスが選択された回数を端子RDATAから読み出し、図4(K)に示すその読み出しデータに加算器208aで「1」を加算した回数である。
すなわち、入力画像データID(11)の8つの画素が、例えば図4(A)に示すように、「2」、「5」、「3」、「2」、「7」、「2」、「5」、「3」の各値(階調)で順番に入力されるとき、奇数ラインヒストグラムメモリ206aは、その階調を示すアドレスを書き込みアドレスとして選択し、更にその選択した書き込みアドレスの回数に「1」を加算した値を書き込む。従って、奇数ラインヒストグラムメモリ206aは、そのアドレス“0”〜“7”のうち、アドレス“2”の書き込みデータ値が「3」、アドレス“3”と“5”の各書き込みデータ値が「2」、アドレス“7”の書き込みデータ値が「1」で、それ以外のアドレス“0”、“1”、“4”、“6”は「0」となる。つまり、この書き込みデータ値は、8つの画素の各階調毎の累計値であるヒストグラム値を示している。
なお、この期間では、奇数ラインヒストグラムメモリ206aは、クリア端子CLRにAND回路207aを通して水平同期信号HDがクリア信号として入力され、図4(G)に示すように、水平同期信号HDの立ち上がりエッジで、記憶しているヒストグラム値をすべて0にクリアする。上記動作によって、奇数ラインヒストグラムメモリ206aは、判定信号LINEが「1」であるとき、奇数ラインの入力画像データの各階調のヒストグラム値を作成する。
続いて、判定信号LINEが「0」である偶数ラインの画像データ入力期間では、偶数ラインヒストグラムメモリ206bはヒストグラムを作成する。これと同時に、奇数ラインヒストグラムメモリ206aは、奇数ラインヒストグラムメモリ206aは、「1」のライトイネーブル信号が供給されないので読み出し動作のみを行うとともに、メモリしたヒストグラム値を用いて負荷変動を補正する。この期間では、スイッチ209aが端子0側に切り換え接続されるため、奇数ラインヒストグラムメモリ206aは、その端子RADRSに図4(J)に示すように、同図(E)に示す信号ACがスイッチ209aを通して供給される。
これにより、奇数ラインヒストグラムメモリ206aは、水平同期信号をリセットとしてACの値、つまり階調レベルを順次インクリメントし、図4(K)に示すような、その階調のヒストグラム値(HISTD_ODD)を出力する。すなわち、このヒストグラム値(HISTD_ODD)は、アドレス“2”から読み出される階調値「2」が3、アドレス“3”と“5”からそれぞれ読み出される階調値「3」と「5」がそれぞれ2、アドレス“7”から読み出される階調値「7」が1で、それ以外の階調値「0」、「1」、「4」、「6」は0であるヒストグラム値を示している。
なお、このヒストグラム値は1ライン遅延しており、この期間に対応した奇数ラインの画像データも、奇数1ラインデータメモリ205aから1ライン遅延されてID_ODDとして出力される。ヒストグラム値セレクタ211は、この期間は端子Aに入力される奇数ラインヒストグラムメモリ206aから読み出されたヒストグラム値HISTD_ODDを選択して、ヒストグラム値データHISTD_Qとしてランプ信号生成部212に供給する。
この期間で出力される入力画像データID(11)のヒストグラム値は下記の表1の通りである。
また、偶数ラインの画像データ入力時も上記の奇数ラインの画像データ入力時と同一構成であり、動作が1H期間奇数ラインの動作とずれているだけであり、その動作は容易に類推できるのでその説明は省略する。すなわち、偶数ラインヒストグラムメモリ206bは、偶数ラインのヒストグラム値HISTD_EVENを出力し、ヒストグラム値セレクタ211は、奇数ラインの画像データ入力期間中に偶数ラインのヒストグラム値HISTD_EVENを選択して、ヒストグラム値データHISTD_Qとして出力する。また、画像データセレクタ210は、奇数ラインの画像データ入力期間中に偶数ラインの入力画像データを選択して出力する。
図2のランプ信号生成部212は、ヒストグラム値セレクタ211から選択されて出力されたヒストグラム値データHISTD_Qと、クロックCLKと、水平同期信号HDとが供給され、1H期間の最初で最小の階調値からスタートして1H期間の終了直前で最大の階調値を示す傾斜波であり、かつ、その傾斜がヒストグラム値に応じて可変制御された非線形の傾斜を示すデジタル値のランプ信号VREFDを生成する。DA変換器213は、バッファを内蔵しており、デジタル信号であるランプ信号VREFDをクロックCLKに基づきアナログ信号のランプ信号VREFに変換し、図1のランプ信号線Lsを介してアナログスイッチ1071〜107nにそれぞれ供給する。
ここで、本実施形態のランプ信号生成部212は、傾斜がヒストグラム値に応じて可変制御された非線形の傾斜を示すデジタル値のランプ信号VREFDを生成することで、DA変換器213の出力インピーダンスと、アナログスイッチ1071〜107nを代表とする入力インピーダンスとでダイナミックに生じる負荷変動に起因するランプ信号の電圧変動を抑制することができる。
このことについて、もう少し具体的に説明する。DA変換器213及びアナログスイッチ1071〜107nからなる回路部の等価回路は従来と同様に図12で表される。ここで、図2に示したDA変換器213内のバッファの出力インピーダンスをZ0、図1に示したアナログスイッチ1071〜107n1個当たりの入力インピーダンスをZ1とし、また入力された階調を表示するためにオンされるアナログスイッチの数をaとすると、負荷変動率は次式で表される。
負荷変動率=V1(a)/V0=Z1/(aZ0+Z1) (2)
ただし、上式中、V0はDA変換器213内のバッファの出力電圧、V1(a)はDA変換器213からランプ信号線Lsを介してa個のオンとされたアナログスイッチ部へ供給されるランプ信号電圧を示す。
例えば、上記Z0=1、Z1=100、アナログスイッチの総数n=256とした場合、アナログスイッチのオンの数aに応じて(2)式の負荷変動率は図5に示すように非線形的に変化する。すなわち、負荷変動率はアナログスイッチのオンの数aが多くなるほど小さくなる。なお、上記のパラメータは視覚的に分かりやすいように設定したもので、実際のパラメータは若干異なる。
図5に示す負荷変動率は、オン状態のアナログスイッチの数aが多いほど小さい(階調が劣化している)ことを示している。1ライン表示期間において、同時にオンになっているアナログスイッチの数aは、同じ階調の画素数に対応している。従って、1ラインの画像データのヒストグラム値の分布によって、アナログスイッチが同時にオンになっている数を推定できる。そこで、本実施形態の画像表示装置100では、ランプ信号生成部212において、ヒストグラム値に応じて、上記の負荷変動率を抑制したランプ信号データVREFDを生成することを特徴とする。このランプ信号データVREFDは、アナログ波形としたときのランプ信号がヒストグラム値に応じて可変制御されて非線形の傾斜を示す、デジタルデータである。
このように、本実施の形態の画像表示装置100によれば、ヒストグラム値に応じて可変制御された非線形の傾斜を示すデジタル値のランプ信号VREFDを生成するようにしたため、表示用デジタル映像信号の各ライン単位でダイナミックに変動するランプ信号生成部の負荷変動に起因するランプ信号の電圧変動による階調劣化を抑制することができる。
この本実施の形態の効果について説明する。図6は、本実施の形態の画像表示装置100による表示画像と元画像の一例を対比して示す。図6(a)は、図11(a)に示した元画像と同一の元画像を示す。従来は、図11(b)に示したように、1ラインの表示期間で同時にオンになっているアナログスイッチの数が多い方が負荷変動率が小さく階調が低下していた。
この元画像を本実施の形態の表示装置100で表示した場合、図6(b)に示す画像が表示される。この図6(b)に示す表示画像は、黒背景であるイメージ1c上に50%グレー階調のボックス(イメージ2c)と、イメージ2cと本来同一階調であるにも拘らず、若干明るさが暗いボックス(イメージ3c)とが配置された画像となる。これはイメージ3cの方がイメージ2cよりもグレー階調の水平方向の幅が広いため、1水平走査期間で同時にオンになっているアナログスイッチの数が多いためである。しかし、本実施の形態では、負荷変動補正を行ってランプ信号を生成しているため、そのランプ信号をサンプルホールドして得られる表示画像は、従来の図11(b)の表示画像におけるイメージ2b、3bに比べて、図6(b)にイメージ2c、3cで示すように、階調劣化が抑えられて本来の50%グレー階調に近い階調表示が可能になる。なお、イメージ2a及び3aは図示の便宜上、50%グレーよりも明るい輝度で図示している。
次に、本発明におけるランプ信号データ生成手段を構成する、図2中のランプ信号生成部212の各実施形態について説明する。
(ランプ信号生成部の第1の実施形態)
図7は、ランプ信号生成部212の第1の実施形態のブロック図を示す。同図に示す第1の実施形態のランプ信号生成部212Aは、カウンタ301及びランプ信号データ生成器302から構成される。カウンタ301は、クロックCLKをカウントアップ又はカウントダウンし、水平同期信号HDによりリセットされることで、1水平走査期間内で最小階調から最大階調までを示すカウント値を生成する。
ランプ信号データ生成器302は、カウンタ301のカウンタ値とヒストグラム値(前記HISTD_Q)とをアドレスとして入力され、それに対応したデジタル信号であるランプ信号データVREFDを出力する。ランプ信号データ生成器302は、ルックアップテーブル(LUT:Look Up Table)により構成されている。そのLUTは、アドレスとして入力されるカウンタ値とヒストグラム値とに対応して、図5の負荷変動率を示す特性を補正し、かつ、カウンタ値が示す三角波や信号デガンマ、液晶のVT特性を補正する特性も加味したランプ信号データを記憶している。
本実施形態のランプ信号生成部212Aは、図5に示した特性が特に非線形であり、許容できない場合や、階調データが単調増加関数のうちの単なる三角波ではなく、信号のデガンマも実施する非線形性を持たせる場合や、液晶素子のVT特性を一挙にまとめて補正する場合に最適な構成である。また、アナログスイッチ1071〜107nのインピーダンスばらつき、ヒストグラム値とは非線形のバッファ負荷となった場合でも、その特性に合わせたLUTデータとすることで、様々なケースに対応できる点で更なる階調劣化抑制を可能とする点で有効である。
(ランプ信号生成部の第2の実施形態)
図8は、ランプ信号生成部212の第2の実施形態のブロック図を示す。同図中、図7と同一構成部分には同一符号を付してある。図8に示す第2の実施形態のランプ信号生成部212Bは、図7のランプ信号データ生成器302の代わりに乗算器304を用いると共に、負荷変動補正データ生成部303を追加した構成である。
負荷変動補正データ生成部303は、例えばLUTから構成され、ヒストグラム値(前記HISTD_Q)をアドレス入力として受け、図9に示すような特性の負荷変動補正データを出力して乗算器304に供給する。図9に示す負荷変動補正データは、図2に示したDA変換器213内のバッファの出力インピーダンスをZ0、アナログスイッチ1個当たりの入力インピーダンスをZ1とし、図1に示したアナログスイッチ1071〜107nのうち、入力された階調を表示するためにオンされるアナログスイッチの数をaとすると下記の式
(aZ0+Z1)/Z1
で表される。この負荷変動補正データは、アナログスイッチのオンの数aが多いほど、大なる値を示すデータであり、図5に示した負荷変動率と逆数のデータである。なお、負荷変動補正データ生成部303を構成するLUTは、アドレスとして入力されるヒストグラム値に応じたアナログスイッチ数aに対応したデータ値の負荷変動補正データを出力する。
乗算器304は、負荷変動補正データを乗算値とし、カウンタ301からの駆動信号に同期したカウンタ値を被乗算値として乗算を行い、その乗算結果をランプ信号データVREFDとして図2のDA変換器213へ出力する。このランプ信号データVREFは、1H期間の最初で最小の階調値からスタートして1H期間の終了直前で最大の階調値を示す傾斜波であり、かつ、その傾斜がヒストグラム値に応じて可変制御された非線形の傾斜を示すデジタル値のランプ信号である。
この構成のランプ信号生成部212Bは、水平画素数nがそれほど多くない場合や、アナログスイッチ1071〜107nの入力インピーダンスZ1に対して、DA変換器213内のバッファの出力インピーダンスZ0が十分に小さい(すなわち、Z0≪Z1)場合に有効で
(ランプ信号生成部の第3の実施形態)
図10は、ランプ信号生成部212の第3の実施形態のブロック図を示す。同図中、図8と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図10に示すランプ信号生成部212Cは、ランプ信号生成部212Aと212Bとを組み合わせた構成で、ランプ信号データ生成器305から出力されるLUTデータと負荷変動補正データ生成部303から出力される負荷変動補正データとを乗算器306で乗算する。ランプ信号データ生成器305は、LUTにより構成されており、駆動信号に同期したカウンタ301のカウンタ値をアドレスとして入力され、信号デガンマ、液晶素子のVT特性を補正するLUTデータを記憶している。乗算器306は、負荷変動補正データを乗算値とし、ランプ信号データ発生器305からのLUTデータを被乗算値として乗算を行い、その乗算結果をランプ信号データVREFDとして図2のDA変換器213へ出力する。
このランプ信号生成部212Cは、液晶素子のVT特性、信号のデガンマといった補正を実施するとともに、負荷変動がヒストグラム値に対して略線形とみなせる場合に有効な構成である。すなわち、液晶素子のVT特性、信号のデガンマといった補正は一般的に各階調に対して非線形であり、その補正パラメータ(例えば、生産時の液晶膜厚ばらつきで生じる表示素子単位で異なる補正パラメータ)が必要な場合、2.2乗、1.8乗、2.6乗といった映像コンテンツで異なる信号ガンマ値をキャンセルするための補正値(デガンマ特性)を適宜変更する場合に有効な構成である。ランプ信号生成部212Cは、ランプ信号データ生成器305でこれらの補正を実施し、負荷変動抑制は後段の乗算器306で負荷変動補正データと乗算することで実施し、増大するLUTメモリ容量を大幅に削減し、低コスト、装置小型化が図れる構成である。
以上説明した本実施形態の画像表示装置100によれば、ランプ信号を用いたDA変換方式の画像表示装置において、ダミー画素を画素内に設けることなく、表示用デジタル映像信号の各ライン単位でダイナミックに変動するランプ信号生成部の負荷変動に起因するランプ信号の電圧変動による階調劣化(波形妨害)を高精度に抑制でき、更には表示素子のアナログスイッチ特性ばらつきに応じてその抑制効果を調整することで階調性に優れた高画質表示ができる。また、本実施形態の画像表示装置100では、ダミー画素を画素内に設ける必要がないので、回路増大に伴う歩留まり低下、更にはコストアップを低減できる。
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、例えば、ランプ信号は1水平走査期間内で最大階調値のレベルから最小階調値のレベルまで変化する傾斜波であってもよい。また、本発明は液晶表示素子以外の同様な表示素子を用いてDA変換方式にて画像表示を行う画像表示装置にも適用可能である。