JP2014142261A - レーダ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 レーダ観測において、一つの目標から複数の目標に分離したとき各目標位置の推定精度が低いことに起因して、目標の失検出や各目標の追尾移行に時間がかかる問題があった。
【解決手段】 目標に向けて電波を送信する電波送信手段と、上記目標で反射した電波を受信する電波受信手段と、近接する複数目標の運動状況を鑑みて目標の角度、距離、速度の内から一つの計測量を超分解能計測し、超分解能計測した計測値を用いて測角値及び測距値を求める超分解能処理手段と、上記超分解能処理手段で求められた測角値及び測距値を基に各目標に関する追尾処理を行う追尾手段と、を備える。
【選択図】 図1

Description

この発明は、目標位置を標定するためのレーダ装置に関するものである。
図30は従来のレーダ装置の処理構成を表している(例えば、非特許文献1、2参照)。図30において、1はチャープ変調された信号を生成する送信機、2は電波を所定の方向に送信する送信アンテナ、3は目標で反射した電波を受信する受信アンテナ、4は上記受信アンテナ3の受信信号に帯域制限や位相検波を施す受信機、5は上記受信機出力信号をサンプリングしてディジタル信号を生成するA/D変換器、13は上記A/D変換信号より受信ビームを形成しビーム方向の受信信号を出力する受信ビーム形成、14は目標の存在するレンジビンに目標信号成分を積み上げるパルス圧縮、15は目標信号のS/N(信号対雑音電力比)を改善しドップラー周波数を求めるパルスヒット方向FFT、16は雑音を目標信号と誤る確率(誤警報確率)を基準に定められたスレッショルドを用いて目標信号を検出しその測角値、測距値を出力する目標検出処理、12は上記測角値と測距値から追尾フィルタ処理を実施し目標の平滑位置と予測位置を出力する追尾処理部である。
次に動作について説明する。送信機1と送信アンテナ2によりチャープ変調の施された電波が、追尾フィルタ12にて予測された目標の存在方向に向けて送信される。時間TPRI間隔で、Npヒットの送受信を行った後測角値と測距値を算出する。目標で反射した電波がL個の受信アンテナ3(受信アンテナ3−#1〜受信アンテナ3−#L)にて受信される。受信アンテナ3−#lで受信された電波は受信機4−#lに伝達される。受信機4−#lでは入力信号に関して帯域制限、位相検波を施して出力する。受信機出力信号4−#lはA/D変換器5−#lに伝達される。A/D変換器5−#lでは、サンプリング信号が目標信号周波数成分の折り返しを含まない程度の受信帯域幅となるような周期でオーバーサンプリングされている。このA/D変換のサンプリング周期をTsampとする。パルスを送信したときパルス送信時刻を基準としてNrサンプリング行い1〜Nrレンジビンの目標を検出する。np(1≦np≦Np)パルスヒット目におけるnr(1≦nr≦Nr)レンジビンのA/D変換信号をxnp,nr,lとする。A/D変換信号xnp,nr,lは受信ビーム形成13に伝達される。受信ビーム形成13では、Nb種類の受信ビームを形成する。nb(1≦nb≦Nb)番目の受信ビームを生成する際の重みをwbnb,lとして次式(1)により受信ビーム形成信号xbnp,nr,nbを生成する。
Figure 2014142261
受信ビーム形成信号xbnp,nr,nbはパルス圧縮14に伝達される。パルス圧縮14では、受信ビーム形成信号xbnp,nr,nbに送信機から伝達された参照信号xsnrを乗算してビート信号xbnp,nr,nb xs*nr(xs*nrはxsnrの複素共役)を生成し、ビート周波数に対応する距離に目標信号成分を積分するパルス圧縮処理を行う。このパルス圧縮信号をxcnp,nr,nbとする。パルス圧縮信号xcnp,nr,nbはパルスヒット方向FFT15に伝達される。パルスヒット方向FFT15では、xc1,nr,nb, …, xcNp,nr,nb にパルスヒット方向FFTを施しパルスヒット方向FFT信号xd1,nr,nb, …, xdNd,nr,nbを算出する。パルスヒット方向FFT信号xd1,nr,nb, …, xdNd,nr,nbは目標検出処理16に伝達される。目標検出処理16では、雑音を目標信号と誤る誤警報確率を基準として定められたスレッショルドと信号振幅値|xdNd,nr,nb|を比較し目標信号の存在するビーム番号nb、レンジビンnr、ドップラービンndを検出する。検出したビーム番号を、レンジビンを、ドップラービンとする。ビーム番号に対応するビームの方向を測角値、レンジビンに対応する距離を測距値として追尾処理部12に伝達する。追尾処理部12ではNpTPRIを1フレームとして追尾処理が行われる。サンプリング間隔TsampとパルスヒットTPRIとフレームタイムの関係は図31のようになっている。また、図32は追尾処理部12の処理手順について表している。目標信号を探索する範囲のソフトウェアゲートを設定し、追尾目標の航跡とゲートに含まれる観測位置を組み合わせてカルマンフィルタ処理を実施し目標の平滑位置と次フレームにおける目標予測位置を算出する。ゲート内に観測データが得られなかった際は失検出として追尾終了する。ゲート内に2つ以上の観測データが得られた際は、航跡と観測データの各組み合わせに関してカルマンフィルタ処理を行いその予測値を基に航跡と観測データ組み合わせに関する信頼度を算出し、信頼度の最も高い組み合わせを現フレームの航跡とする。その航跡より平滑位置と予測位置を出力する。予測位置は送信機1に伝達される。
小菅義夫,松崎貴史,"目標追尾におけるゲートサイズ決定法及び最適なゲート形状",電子情報通信学会論文誌B, Vol.J88-B No.5,pp.987-996,April, 2001
小幡康,前川良二,亀田洋志,系正義,小菅義夫,"航跡型MHTを用いた分離目標の追尾",電子情報通信学会論文誌B,Vol.J91-B No.5,pp.626-635,May 2008.
追尾中の目標から他の目標が分離したとき、分離したことの検出と所望の目標への追尾移行、即ち各目標の観測データがソフトウェアゲートで分離されゲートごとに単一目標追尾が行える状況への移行を、短時間で行うことが望まれる。そのためには近接する複数目標を分離して高精度な測角及び測距を行うことが必要となる。
しかしながら、図30に示すような従来のレーダ装置の処理方式では、アンテナ開口長から定まる角度分解能、送受信帯域幅から定まる距離分解能、観測時間長から定まる速度分解能以上の精度では計測することができなかった。このため高精度な測角及び測距が困難となるという課題があった。
この発明は、係る課題を解決するためになされたものであり、高精度な測角及び測距を行い、近接する複数目標を分離することのできるレーダ装置を得ることを目的とする。
この発明によるレーダ装置は、目標に向けて電波を送信する電波送信手段と、上記目標で反射した電波を受信する電波受信手段と、近接する複数目標の運動状況を鑑みて目標の角度、距離、速度の内から一つの計測量を超分解能計測し、超分解能計測した計測値を用いて測角値及び測距値を求める超分解能処理手段と、上記超分解能処理手段で求められた測角値及び測距値を基に各目標に関する追尾処理を行う追尾手段と、を備えたものである。
この発明によれば、目標の運動状況に応じて、超分解能測距、超分解能測角、超分解能測速度のうちより適切な精度の得られる超分解能処理を選択し、選択した超分解能処理の処理結果を基に目標信号成分を再構成して、目標位置の推定に必要となる他の計測値を高精度計測することにより、高精度な測角値及び測距値を得て近接する複数目標を分離することができる。
実施の形態1に係るレーダ装置の構成を示す図である。 実施の形態1に係るレーダ装置における粗計測処理部の処理構成を示す図である。 実施の形態1に係るレーダ装置における超分解能測距及び高精度測角処理部の構成を示す図である。 実施の形態1に係るレーダ装置における超分解能測角及び高精度測距処理部の構成を示す図である。 実施の形態1に係るレーダ装置における超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部の構成を示す図である。 (a)測距や測速度に超分解能処理を適用することで測角・測距値の推定精度改善が期待できる状況を例示する図である。(b)測角を超分解能推定することで測角・測距値の推定精度改善が期待できる状況を例示する図である。 実施の形態1に係るデシメーションの内部構成を示す図である。 区分DFT処理の信号の分割と積分処理の状況を表す図である。 実施の形態1に係る距用MUSIC処理の内部構成を示す図である。 実施の形態1に係るレーダ装置における超分解能測角及び高精度測距処理部の構成を示す図である。 実施の形態1に係る測速度用MUSIC処理の内部構成を示す図である。 実施の形態2に係るレーダ装置の構成を示す図である。 実施の形態2に係る混信波抑圧性能改善型超分解能測距及び高精度測角処理部の構成を示す図である。 デシメーション信号の一例を示す図である。 実施の形態3に係るレーダ装置の構成を示す図である。 実施の形態3に係る混信波抑圧性能改善型超分解能測角及び高精度測距処理部の構成を示す図である。 パルスヒット方向FFT信号の角度方向の信号成分の一例を示す図である。 実施の形態4に係るレーダ装置の構成を示す図である。 実施の形態4に係る混信波抑圧性能改善型超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部の構成を示す図である。 A/D変換信号の速度方向の信号成分の一例を示す図である。 実施の形態5に係るレーダ装置の構成を示す図である。 実施の形態5に係る高速型超分解能測距及び高精度測角処理部の構成を示す図である。 実施の形態5に係る測距用ESPRIT処理の構成を示す図である。 実施の形態6に係るレーダ装置の構成を示す図である。 実施の形態6に係る高速型超分解能測角及び高精度測距処理部の構成を示す図である。 実施の形態6に係る測角用ESPRIT処理の構成を示す図である。 実施の形態7に係るレーダ装置の構成を示す図である。 実施の形態4に係る高速型超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部の構成を示す図である。 実施の形態7に係る測速度用ESPRIT処理の構成を示す図である。 従来のレーダ装置の処理構成を示す図である。 サンプリング間隔とパルスヒットとフレームタイムの関係を示す図である。 追尾処理部の処理手順を示す図である。
実施の形態1.
この発明に係る実施の形態1に係るレーダ装置について図を用いて説明する。図1は、実施の形態1によるレーダ装置の構成を示す図である。図1において、実施の形態1によるレーダ装置は、送信機1、送信アンテナ2、複数(L個。Lは{目標数N+1}個以上の整数)の受信アンテナ3、複数(L個)の受信機4、複数(L個)のA/D変換器5、粗計測処理部6、超分解能処理選択部7、切換スイッチ8、超分解能測距及び高精度測角処理部9、超分解能測角及び高精度測距処理部10、超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11、追尾処理部12を備えている。送信機1はチャープ変調された信号を生成する。送信アンテナ2は電波を所定の方向に送信するものである。送信機1及び送信アンテナ2は、目標に向けて電波を送信する電波送信手段を構成する。各受信アンテナ3は目標で反射した電波を受信する。各受信機4は上記それぞれの受信アンテナ3から得られた受信信号に帯域制限や位相検波を施す。各A/D変換器5は上記それぞれの受信機4の出力信号をサンプリングしてディジタル信号(A/D変換信号)を生成する。送信機1、送信アンテナ2、受信アンテナ3、受信機4、A/D変換器5は図30に示した従来のレーダ装置と同じものである。
粗計測処理部6は、送信機1によりチャープ変調された信号が参照信号として入力され、各A/D変換器5の生成した上記それぞれの受信機4の出力信号のディジタル信号を、目標の存在する角度、距離、速度をそれぞれビーム幅、受信帯域幅から定まる距離分解能、観測時間から定まる速度分解能の精度にて計測し、目標信号の緒元(ビーム番号、レンジビン、ドップラービン)を出力する。また、粗計測処理部6は、A/D変換器5の生成した上記受信機4の出力信号のディジタル信号を後段に出力する。
超分解能処理選択部7は、粗計測処理部6の出力する目標信号の緒元(ビーム番号、レンジビン、ドップラービン)によって予め得られる目標運動の事前情報により、超分解能測距及び高精度測角、超分解能測角及び高精度測距処理、超分解能測速度及び高精度測角・測距処理のうち、精度の高い超分解能計測値が期待できる処理を選択する。切換スイッチ8は、上記超分解能処理選択部7にて選択された処理に、上記各粗計測処理部6から出力されるA/D変換器5の生成した上記それぞれの受信機4の出力信号のディジタル信号を伝達する。
粗計測処理部6のパルス圧縮14、パルスヒット方向FFT15、目標検出処理16、超分解能測距及び高精度測角処理部9、超分解能測角及び高精度測距処理部10、超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11は、近接する複数目標の運動状況を鑑みて目標の角度、距離、速度の内から一つの計測量を超分解能計測し、超分解能計測した計測値を用いて測角値及び測距値を求める超分解能処理手段を構成する。超分解能測距及び高精度測角処理部9は、送信機1によりチャープ変調された信号が参照信号として入力され、切換スイッチ8から伝達された上記各受信機4の出力信号のディジタル信号(A/D変換信号の集合)について超分解能測距処理を行い、測距値を基に再構成した目標信号成分を用いてモノパルスによる高精度測角を行う。超分解能測角及び高精度測距処理部10は、切換スイッチ8から伝達された上記各受信機4の出力信号のディジタル信号(A/D変換信号の集合)について超分解能測角処理を行い、測角値を基に再構成した目標信号成分を用いて高精度測距を行う。超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11は、切換スイッチ8から伝達された上記各受信機4の出力信号のディジタル信号(A/D変換信号の集合)について超分解能測速度処理を行い、測速度値を基に再構成した目標信号成分を用いて高精度測角・測距を行う。追尾処理部12は上記超分解能測距及び高精度測角処理部9、超分解能測角及び高精度測距処理部10、超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11から得られる測角値と測距値から、追尾フィルタ処理を実施し目標の平滑位置と予測位置を出力する。
図2は実施の形態1による粗計測処理部6の処理構成を示す図である。図2において、粗計測処理部6は、受信ビーム形成13、パルス圧縮14、パルスヒット方向FFT15、目標検出処理16の各処理を行う。なお、各受信アンテナ3、各受信機4、各A/D変換器5、及び粗計測処理部6の受信ビーム形成13は電波受信手段を構成する。
受信ビーム形成13は、上記切換スイッチ8から伝達された上記各受信機4の出力信号のディジタル信号(A/D変換信号の集合)から受信ビームを形成し、ビーム方向の受信信号を出力する処理を行う。A/D変換器5の生成した上記受信機4の出力信号のディジタル信号の一部は、受信ビーム形成13を介さずに後段に出力される。パルス圧縮14は受信ビーム形成13にて形成された受信ビームについて、目標の存在するレンジビンに目標信号成分を積み上げる処理を行う。パルスヒット方向FFT15は、パルス圧縮14にてパルス圧縮された目標信号のS/N(信号対雑音電力比)を改善し、ドップラー周波数を求めるとともに、パルスヒット方向FFT信号を算出する処理を行う。目標検出処理16は雑音を目標信号と誤る確率(誤警報確率)を基準に定められたスレッショルドを用いて目標信号を検出しその測角値と測距値を求め、目標信号の緒元(ビーム番号、レンジビン、ドップラービン)として出力する処理を行う。受信ビーム形成13、パルス圧縮14、パルスヒット方向FFT15、目標検出処理16は図30に示した従来のレーダ装置と同様のものである。
図3は実施の形態1による超分解能測距及び高精度測角部9の処理構成を示す図である。図3において、超分解能測距及び高精度測角処理部9は、モノパルス用受信ビーム形成17、超分解能測距処理20、高精度測角用シグナルコピー21、測距値算出22、モノパルス測角23の各処理を行う。モノパルス用受信ビーム形成17は、上記切換スイッチ8から伝達された上記各受信機4の出力信号のディジタル信号(A/D変換信号の集合)を用いて、モノパルス処理するための2つのビーム受信信号を形成するモノパルス用受信ビーム形成の処理を行う。超分解能測距及び高精度測角処理部9は、粗計測処理部6から目標信号の緒元(ビーム番号、レンジビン、ドップラービン)が入力される。モノパルス用受信ビーム形成17の形成した2つのビーム受信信号は、2つの超分解能測距処理20にてそれぞれの処理がなされる。また、それぞれの超分解能測距処理20は、モノパルス用受信ビーム形成17の形成したそれぞれのビーム受信信号について、パルスヒット方向FFT15、デシメーション18、測距用MUSIC処理19の各処理を行うことで、近接する複数目標を分離し測距する。パルスヒット方向FFT15は図2で説明したものと同じである。デシメーション18は送信機1によりチャープ変調された参照信号に基づいて、上記粗計測処理部6で検出されたレンジビン(レンジ分解能の精度で計測される目標存在領域)の近辺の受信信号成分に制限する処理であり、デシメーション出力信号を出力する。測距用MUSIC処理19は、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)を用いてデシメーション18からのデシメーション出力信号を用いて超分解能測距を行い、暫定測距値を出力する処理である。2つの高精度測角用シグナルコピー21は、それぞれ上記測距用MUSIC処理19からの暫定測距値とデシメーション18からのデシメーション出力信号を用いて目標信号成分を再構成する。2つの測距値算出22は、測距用MUSIC処理19がそれぞれ算出した上記暫定測距値より測距値を算出する。モノパルス測角23は、2つの高精度測角用シグナルコピー21にてそれぞれ再構成された目標信号成分のモノパルス測角を行い、高精度な測角値を算出する。
図4は実施の形態1による超分解能測角及び高精度測距処理部10の構成を示す図である。超分解能測角及び高精度測距処理部10は、複数のパルス圧縮14、複数のパルスヒット方向FFT15、測角用MUSIC処理30、高精度測距用シグナルコピー32、高精度測距処理33の各処理を行う。超分解能測角及び高精度測距処理部10は、粗計測処理部6から目標信号の緒元(ビーム番号、レンジビン、ドップラービン)が入力される。パルス圧縮14は従来のレーダ装置と同じである。パルス圧縮14は、上記切換スイッチ8から伝達された上記各受信機4の出力信号のディジタル信号(A/D変換信号の集合)について、目標の存在するレンジビンに目標信号成分を積み上げる。パルスヒット方向FFT15は図2で説明したものと同様のものである。図4の上部に配置された複数のパルスヒット方向FFT15は、それぞれ上記切換スイッチ8から伝達された上記各受信機4の出力信号のディジタル信号(A/D変換信号の集合)について目標信号のS/N(信号対雑音電力比)を改善し、ドップラー周波数を求めるとともに、パルスヒット方向FFT信号を算出する処理を行う。図4の下部に配置された複数のパルスヒット方向FFT15は、上記各受信機4の出力信号のディジタル信号(A/D変換信号の集合)毎に、パルス圧縮14により目標の存在するレンジビンに積み上げられた目標信号成分について目標信号のS/N(信号対雑音電力比)を改善し、それぞれパルスヒット方向FFT信号を出力する。測角用MUSIC処理30は、MUSICを用いてパルスヒット方向FFT15から得られる各パルスヒット方向FFT信号について超分解能測角処理を行い、測角値を出力する。高精度測距用シグナルコピー32は、測角用MUSIC処理30により得られた測角値を用いて、上部に配置された各パルスヒット方向FFT15から得られる各パルスヒット方向FFT信号におけるビート周波数方向の目標信号成分(再構成信号)を再構成する。高精度測距処理33は、高精度測距用シグナルコピー32から得られるビート周波数方向の再構成信号について零詰め補間し、この零詰め補間したビート周波数方向の再構成信号(ビート信号)にFFTを施すことにより高精度測距を行い、測距値を出力する。
図5は実施の形態1による超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11の構成を示す図である。超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11は、受信ビーム形成13、パルス圧縮14、測速度用MUSIC処理34、高精度測角・測距用シグナルコピー36、高精度測角・測距処理37から構成される。超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11は、粗計測処理部6から目標信号の緒元(ビーム番号、レンジビン、ドップラービン)が入力される。受信ビーム形成13、パルス圧縮14は従来と同じである。超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11は、粗計測処理部6から目標信号の緒元(ビーム番号、レンジビン、ドップラービン)が入力される。測速度用MUSIC処理34はMUSICを用いて超分解能測速度処理を行い、測速度値を出力する。高精度測角・測距用シグナルコピー36は測速度用MUSIC処理34の出力する測速度値を用いて、切換スイッチ8から入力される上記各受信機4の出力信号のディジタル信号(A/D変換信号の集合)の目標信号成分を再構成し、受信アンテナ(#1〜#L)毎のビート周波数方向の再構成信号を出力する。高精度測角・測距処理37は、高精度測角・測距用シグナルコピー36から得られるビート周波数方向の再構成信号について零詰め補間し、この零詰め補間した受信アンテナ方向とレンジ方向の2次元データに2次元FFTを施し、測角値と測距値を高精度に推定する。
次に動作について説明する。送信機1と送信アンテナ2によりチャープ変調の施された電波が、追尾フィルタ12により予測された目標の存在方向に向けて送信される。追尾フィルタ12は、時間TPRI間隔で、Npヒットの送受信を行った後測角値と測距値を算出する。近接する複数の目標で反射した電波は、L個の受信アンテナ3(受信アンテナ3−#1〜受信アンテナ3−#L)にて受信される。
図31において、(a)は追尾処理部12と受信信号処理の時間関係を示し、(b)パルス送受信の時間関係を示し、(c)はA/D変換のサンプリングを示す。図31(a)(b)(c)に示すように、1フレーム分のパルス送受信が完了した段階で、粗計測処理部6、及びその後段の超分解能測距及び高精度測角処理部9、超分解能測角及び高精度測距処理部10、超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11の各処理が完了し、測角値及び測距値が追尾処理部12に入力された後に、追尾処理部12の処理が行われるようになっている。また、1フレーム分のパルス送受信の間、時間TPRI間隔で1パルスヒット目からNpパルスヒット目までのNpヒットの送受信が行われ、NサンプリングのA/D変換が行われ、1〜Nレンジビンの目標が検出される。
追尾処理部12の処理手順は、図32に示したようになっている。
ステップS1で、測角値と測距値から定まる目標の観測位置を算出する。ステップS2で、目標信号を探索する範囲のソフトウェアゲートを設定し、追尾目標の航跡とゲートに含まれる観測位置を組み合わせてカルマンフィルタ処理を実施し目標の平滑位置と次フレームにおける目標予測位置を算出する。このとき、ゲート中心は前フレームの予測位置とし、ゲート半径は前フレームの予測誤差として共分散行列を基に設定する。
ステップS3で、ゲート内の観測データ数が1以下である場合にステップS4でカルマンフィルタ処理を行って平滑位置と予測位置を出力し、またゲート内に観測データが得られなかった際は失検出として追尾終了する。また、ゲート内に2つ以上の観測データが得られた際は、ステップS5で信頼度を最大にする航跡と観測位置データ組み合わせを設定し、ステップS6で目標航跡と観測データの相関の調査を行う。ステップS6では、航跡と観測データの各組み合わせに関してカルマンフィルタ処理を行い、またその予測値を基に航跡と観測データの各組み合わせに関する信頼度を算出する。ステップS7では、信頼度を最大にする航跡と観測データの組み合わせを現フレームの航跡として選択する。その航跡より平滑位置と予測位置を出力する。追尾処理部12によって得られた予測位置(目標存在方向予測値)は送信機1に伝達される。
受信アンテナ3−#lで受信された電波は受信機4−#lに伝達される。受信機4−#lでは入力信号に関して帯域制限、位相検波を施して出力する。受信機出力信号4−#lはA/D変換器5−#lに伝達される。A/D変換器5−#lは、サンプリング信号が目標信号周波数成分の折り返しを含まない程度の受信帯域幅となるような周期でオーバーサンプリングを行う。このA/D変換のサンプリング周期をTsampとする。パルスを送信したときパルス送信時刻を基準としてNrサンプリング行い1〜Nrレンジビンの目標を検出する。np(1≦np≦Np)パルスヒット目におけるnr(1≦nr≦Nr)レンジビンのA/D変換信号をxnp,nr,lとする。A/D変換信号xnp,nr,lは粗計測処理部6の受信ビーム形成13に伝達される。受信ビーム形成13では、Nb種類の受信ビームを形成する。nb(1≦nb≦Nb)番目の受信ビームを生成する際の重みをwbnb,lとして上式(1)により受信ビーム形成信号xbnp,nr,nbを生成する。
受信ビーム形成信号xbnp,nr,nbはパルス圧縮14に伝達される。パルス圧縮14では、受信ビーム形成信号xbnp,nr,nbに送信機から伝達された参照信号xsnrを乗算してビート信号xbnp,nr,nb xs*nr(xs*nrはxsnrの複素共役)を生成し、ビート周波数に対応する距離に目標信号成分を積分するパルス圧縮処理を行う。このパルス圧縮信号をxcnp,nr,nbとする。パルス圧縮信号xcnp,nr,nbはパルスヒット方向FFT15に伝達される。パルスヒット方向FFT15では、xc1,nr,nb, …, xcNp,nr,nb にパルスヒット方向FFTを施しパルスヒット方向FFT信号xd1,nr,nb, …, xdNd,nr,nbを算出する。パルスヒット方向FFT信号xd1,nr,nb, …, xdNd,nr,nbは目標検出処理16に伝達される。目標検出処理16では、雑音を目標信号と誤る誤警報確率を基準として定められたスレッショルドと信号振幅値|xdnd,nr,nb|を比較し目標信号の存在するビーム番号nb、レンジビンnr、ドップラービンndを検出する。検出したビーム番号を、レンジビンを、ドップラービンとする。ビーム番号に対応するビームの方向を測角値、レンジビンに対応する距離を測距値として追尾処理部12に伝達する。追尾処理部12ではNpTPRIを1フレームとして追尾処理が行われる。サンプリング間隔TsampとパルスヒットTPRIとフレームタイムの関係は図31に示したようになっている。
かくして、受信ビーム形成13、パルス圧縮14、パルスヒット方向FFT15、目標検出処理16を行い、目標検出処理16から目標信号の検出されたビーム番号、レンジビンnr、ドップラービンが出力される。また、A/D変換信号xnp,nr,lは切換スイッチ8に伝達される。このとき、超分解能処理選択部7では、粗計測処理部6の出力する目標信号の緒元(ビーム番号、レンジビン、ドップラービン)によって予め得られる目標運動の事前情報により、単一目標または近接する複数目標の運動状況を鑑みて、超分解能測距及び高精度測角処理部9、超分解能測角及び高精度測距処理部10、超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11の中で、最も高精度な測角値・測距値が得られると期待できる何れか一つの処理方式を選択する。超分解能測距及び高精度測角処理部9、超分解能測角及び高精度測距処理部10、超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11のうち、超分解能処理選択部7により選択された何れか一つの処理方式は、切換スイッチ8から伝達された上記各受信機4の出力信号のディジタル信号(A/D変換信号の集合)を用いて、目標の角度、距離、速度の内から一つの計測量について超分解能測距処理もしくは超分解能測角処理もしくは超分解能測速度処理を行い、それぞれの計測値である測距値もしくは測角値もしくは測速度値を用いて再構成した目標信号成分から、測角値・測距値を求める。
図6(a)は、例えば超分解能測距及び高精度測角処理部9、超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11を用いて測距や測速度に超分解能処理を適用することで、測角・測距値の推定精度改善が期待できる状況例を表している。目標同士の角度差が小さい一方、距離差・速度差が大きいので超分解能測距・測速度を行った後、再構成した目標信号成分を用いて測角することで高精度な測角値・測距値が期待できる。図6(b)は、例えば超分解能測角及び高精度測距処理部10を用いて測角を超分解能推定することで、測角・測距値の推定精度改善が期待できる状況例を表している。図6(b)の状況では目標同士の距離差・速度差は小さい一方、角度差は大きいので超分解能測角を行った後、再構成した目標信号成分を用いて測距することで高精度な測角値・測距値が期待できる。
次に、超分解能測距及び高精度測角処理部9の動作について説明する。
超分解能処理選択部7で超分解能測距及び高精度測角処理部9が選択された場合、切換スイッチ8は超分解能測距及び高精度測角処理部9にA/D変換信号xnp,nr,lと目標信号の検出されたビーム番号、レンジビンを、ドップラービンを伝達する。また、送信機1からはビート信号を生成するための参照信号xs1,…, xsNrが伝達される。A/D変換信号xnp,nr,lはモノパルス用受信ビーム形成17に伝達される。モノパルス用受信ビーム形成17ではビーム番号に対応する方向に隣接する2つのビーム(ビーム1とビーム2)を生成する。
ビーム1を生成するための重みをwb1lとしてビーム1の出力信号(ビーム♯1受信信号)であるビーム1信号xb1np,nrを次式(2)により生成する。
Figure 2014142261
ビーム1信号xb1np,nrは超分解能測距処理20のパルスヒット方向FFT15に伝達される。パルスヒット方向FFT15では、ビーム1信号xb11,nr,…, xb1Np,nrにFFTを施して生成したパルスヒット方向FFT信号xd1,nr,…xdNd,nrをデシメーション18に伝達する。また、参照信号xsnrもデシメーション18に伝達される。図7はデシメーション18の内部構成を表している。パルスヒット方向FFT信号xd〜nd,nrと参照信号xsnrにはそれぞれFFTが施され、それぞれ変調帯域幅の成分に限定したFFT信号xdf〜nd,nf、xsfnf(1≦nf≦Nf)が生成される。FFT信号xdf〜nd,nf、xsfnfは除算処理25に伝達され、次式(3)により除算信号xj〜nd,nfが生成される。
Figure 2014142261
除算信号xj〜nd,nfは区分DFT26に伝達される。区分DFT26では次式により複数の目標信号成分が混信しているnrレンジビンに対応するビート周波数近辺の周波数成分が通過するフィルタ処理を行う。具体的には次式(4)で表される処理を行う。次式(4)でM’は領域の分割数、τ〜nrはレンジビンnの目標に対する時間遅延、Δfは隣接する周波数の差を表している。図8は区分DFT26の信号の分割と積分処理の状況を表している。
Figure 2014142261
デシメーション信号yd〜nd,mは測距用MUSIC処理19に伝達される。図9は測距用MUSIC処理19の内部構成を表している。デシメーション信号yd〜nd,mは相関行列生成27に伝達される。相関行列生成27では次式(5)により相関行列R’を生成する。
Figure 2014142261
次に、相関行列生成27は空間スムージング処理を行う。まず次式(6)で表される相関行列R’の部分行列R’nを(1≦n≦M’-M+1)生成する。Mは空間スムージング処理後の相関行列の次元を表している。また、M’-M+1は目標数K以上とする。
Figure 2014142261
次に、相関行列生成27は次式(7)により空間スムージングした相関行列Rを算出する。
Figure 2014142261
相関行列Rは固有値解析28に伝達される。固有値解析28では相関行列Rの固有値とその固有値に対応する固有ベクトルを算出する。算出された固有値をev1, ev2, …, evM(ev1 > ev2 > … > evM)とし、固有値evm(1 ≦ m ≦ M)に対応する固有ベクトルをemとする。固有ベクトルemは測距用ピーク検出29に伝達される。測距用ピーク検出29では、次式(8)により距離rに関する評価関数I(r)を算出する。次式(8)でcは光速、Bfは送受信帯域幅、rは目標距離を表している。
Figure 2014142261
次に、測距用ピーク検出29は、各目標に対応する評価関数I(r)のピークを探索する。k番目目標に対応するピークを発生するパラメータrを暫定測距値1、kとする。暫定測距値1、kは高精度測角用シグナルコピー21と測距値算出22に伝達される。高精度測角用シグナルコピー21では、次式(9)により目標信号成分を再構成する。
Figure 2014142261
ベクトルs1の成分s1,1,…,s1,Kは各目標の再構成信号となっている。高精度測角用シグナルコピー21は再構成信号s1,1,…,s1,Kをモノパルス測角23に伝達する。
上記ビーム1信号と同様にして、ビーム2の出力信号(ビーム♯2受信信号)であるビーム2信号が超分解能測距処理20に伝達され、超分解能測距処理20から暫定測距値2,Kが出力される。暫定測距値2,Kは測距値算出22と高精度測角用シグナルコピー21に伝達される。高精度測角用シグナルコピー21からは再構成信号s2,1,…,s2,Kを算出しモノパルス測角23に伝達する。測距値算出22では、暫定測距値1,k2,kの平均値(1,k2,k)/2を測距値kとして出力する。測距値kは追尾処理部12に伝達される。モノパルス測角23では、再構成信号s1,ks2,kを用いてモノパルス測角する。具体的にはk番目の目標信号成分に関する次式(10)のΔ/Σkを算出する。
Figure 2014142261
Δ/Σkと目標反射波入射角度の対応関係によりk番目目標の測角値を算出する。k番目目標の測角値をθとする。測角値θと測距値kは追尾処理部12に伝達される。追尾処理部12では、測角値θと測距値kを用いて図32で説明したように追尾処理を行う。
次に、超分解能処理選択部7により超分解能測角度及び高精度測距処理10が選択された場合、切換スイッチ8は超分解能測角及び高精度測距処理部10にA/D変換信号xnp,nr,lとビーム番号b、レンジビンr、ドップラービンdを伝達する。また、送信機1からは参照信号xs1,…, xsNrが伝達される。図4の超分解能測角及び高精度測距処理部10において、パルス圧縮14では切換スイッチ8から伝達されるA/D変換信号xnp,1,l, … , xnp,Nr,lについてそれぞれパルス圧縮処理が施され、そのパルス圧縮信号xcnp,1,l, … , xcnp,Nr,lがそれぞれパルスヒット方向FFT15に伝達される。パルスヒット方向FFT15でパルス圧縮信号xc1,nr,l, … , xcNp,nr,lにパルスヒット方向FFT処理が施されパルスヒット方向FFT信号xd1,nr,l, … , xdNd,nr,lが求まる。パルスヒット方向FFT信号xdnd,nr,l, … , xdNd,nr,lは測角用MUSIC処理30に伝達される。測角用MUSIC処理30では、パルスヒット方向FFT信号xdnd,nr,l, … , xdNd,nr,lドップラービン、レンジビンrの信号xd〜nd,〜nr,l, … , xd〜nd,〜nr,Lに関してMUSIC処理を施す。測角用MUSIC処理でも測距用MUSIC処理と同様にして相関行列生成27、固有値解析28が行われ、測角用ピーク検出31に固有ベクトルが伝達される。測角用ピーク検出31では、次式(11)で表されるステアリングベクトルを使用してピークを探索する。次式(11)でθは目標反射波の入射角度、dは素子間隔、λは送信波長、Mは空間スムージング後の相関行列の次元をそれぞれ表しており、入射角度θを変化させてピークを探索する。
Figure 2014142261
測角用MUSIC処理30でk番目目標の測角値θが求まり高精度測距用シグナルコピー32に伝達される。また、A/D変換信号x1,nr,l, …, xNp,nr,l に関してパルスヒット方向FFTを施したパルスヒット方向FFT信号xd’1,nr,l, …, xd’Nd,nr,lも伝達される。高精度測距用シグナルコピー32では、xd’〜nd,nr,l, …, xd’〜nd,nr,Lを用いて次式(12)により再構成信号をレンジビンnrごとに生成する。
Figure 2014142261
k番目目標に関する再構成信号s1,k,…, sNr,kと参照信号xs1,…, xsNrの相関をとりビート信号s1,kxs1 ,…, sNr,kxsNr を生成する。零詰め補間したビート信号にFFTを施すことにより高精度な測距値kを求める。各目標の測角値θkと測距値kは追尾処理部12に伝達される。
次に、超分解能処理選択部7で超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11が選択された場合、切換スイッチ8は超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11にA/D変換信号xnp,nr,lとビーム番号nb、レンジビンn、ドップラービンnを伝達する。また、送信機1からはビート信号を生成するための参照信号xs1,…, xsNrが伝達される。図10は超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11の内部構成を表している。A/D変換信号xnp,nr,1, … , xnp,nr,Lが受信ビーム形成13と高精度測角・測距用シグナルコピー36に伝達される。受信ビーム形成13はビーム番号nbの受信ビームxbnp,1,〜nb,…, xbnp,Nr,〜nbが出力される。受信ビーム信号xbnp,1,〜nb,…, xbnp,Nr,〜nbはパルス圧縮14と高精度測角・測距用シグナルコピー36に伝達される。また、パルス圧縮14からはパルス圧縮信号xcnp,1,〜nb,…, xcnp,Nr,〜nbが伝達される。
図11は測速度用MUSIC処理34の内部構成を表している。測速度用MUSIC処理34は測距用MUSIC処理19と同様に相関行列生成、固有値解析が行われ、測速度用ピーク検出35に固有ベクトルが伝達される。測速度用ピーク検出35では、次式(13)で表されるステアリングベクトルa(v)を使用してピークを探索する。次式(13)でvは速度、cは光速、fsは送信周波数をそれぞれ表しており、速度vを変化させることによりピークを探索する。
Figure 2014142261
測速度用MUSIC処理34では、k番目目標の測速度値が算出され、高精度測角・測距用シグナルコピー36に伝達される。また、A/D変換信号xnp,nr,l, … , xnp,nr,Lも伝達される。高精度測角・測距用シグナルコピー36では、x1,nr,l, … , xNd,nr,lを用いて次式(14)により再構成信号を生成する。
Figure 2014142261
再構成信号ベクトルsnr,lは高精度測角・測距処理37に伝達される。高精度測角・測距処理37では、まずk番目目標に関する再構成信号s1,l,k, … , sNr,l,kと参照信号の相関をとりビート信号sb1,l,k, … , sbNr,l,kを生成する。このときビート信号sbnr,l,kはk番目目標信号成分の素子アンテナ番号lとレンジビン番号nrに関する2次元データとなっている。そこでビート信号sbnr,l,kに零詰め補間を用いた2次元FFTを施し高精度な測角値θkと測距値rkを算出する。測角値θkと測距値rkは追尾処理部12に伝達される。
以上説明したとおり、実施の形態1によるレーダ装置は、目標に向けて電波を送信する電波送信手段と、上記目標で反射した電波を受信する電波受信手段と、近接する複数目標の運動状況を鑑みて目標の角度、距離、速度の内から一つの計測量を超分解能計測し、超分解能計測した計測値を用いて測角値及び測距値を求める超分解能処理手段と、上記超分解能処理手段で求められた測角値及び測距値を基に各目標に関する追尾処理を行う追尾手段を備えることにより、目標の運動状況を鑑みて超分解能処理を選択することで、より高精度な測角値・測距値が得られるという効果を奏する。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るレーダ装置について、図12と図13を用いて説明する。図12は実施の形態2に係るレーダ装置の構成を示す図である。図13は実施の形態2に係る混信波抑圧性能改善型超分解能測距及び高精度測角処理の構成を示す図である。図12において、送信機1、送信アンテナ2、受信アンテナ3、受信機4、A/D変換器5、粗計測処理部6、超分解能処理選択部7、切換スイッチ8、超分解能測角及び高精度測距処理部10、超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11、及び追尾処理部12は実施の形態1と同じである。
実施の形態2に係るレーダ装置では、図1の超分解能測距及び高精度測角処理部9の代わりに、混信波抑圧性能改善型超分解能測距及び高精度測角処理部38を備えたことを特徴とする。混信波抑圧性能改善型超分解能測距及び高精度測角処理部38は、超分解能処理により測距値を算出し、測距値を基に目標信号成分を再構成する際にナル幅を調整して他の目標信号成分の抑圧度を高めるとともに、再構成した目標信号成分を用いてモノパルスによる高精度測角を行い、測距値及び測角値を出力する。
図13は混信波抑圧性能改善型超分解能測距及び高精度測角処理部38の内部構成を表している。モノパルス受信ビーム形成17、パルスヒット方向FFT15、デシメーション18、測距用MUSIC処理19、超分解能測距処理20、測距値算出22、モノパルス測角23は、実施の形態1の図3で説明したものと同じである。高精度測角用ナル幅制御型シグナルコピー39は、測距用MUSIC処理19からの暫定測距値とデシメーション18からのデシメーション出力信号を基に受信ビームにおけるナルの位置を設定し、ナル幅を制御してナルの抑圧効果を高めつつ所望の目標信号成分を再構成する。
次に動作について説明する。送信機1と送信アンテナ2から電波が送信され、目標に反射した電波が受信アンテナ3で受信される。以降の受信機4、A/D変換器5、粗計測処理6、切換スイッチ8は実施の形態1と同様に動作する。ここで、超分解能処理選択部7で混信波抑圧性能改善型超分解能測距及び高精度測角処理部38が選択された場合、切換スイッチ8から混信波抑圧性能改善型超分解能測距及び高精度測角処理部38にA/D変換信号が伝達される。A/D変換信号は実施の形態1と同様にしてモノパルス用受信ビーム形成17に伝達され、ビーム1信号とビーム2信号が超分解能測距処理20に伝達される。
超分解能測距処理20で各目標の暫定測距値1,kが出力され、高精度測角用ナル幅制御型シグナルコピー39に伝達される。また、デシメーション18からのデシメーション信号yd1,…,ydMも伝達される。高精度測角用ナル幅制御型シグナルコピー39は、各目標信号成分のみ通過する特性のフィルタが用意されている。具体的には、暫定測距値r1,kのみ通過させ、その他の信号成分r1,1,…,r1,k-1,r1,k+1,…,r1,Kを抑圧するフィルタが用意されている。このフィルタの重みwSC,kは次式(15)により算出される。次式(15)で行列Rsurpress,kは、暫定測距値r1,k以外の測距値r1,1,…,r1,k-1,r1,k+1,…,r1,Kの近辺のナル幅範囲の成分と雑音成分からなるデシメーション信号の相関行列を表している。図14はこのデシメーション信号における距離方向の信号成分の一例を示す図であり、デシメーション信号は距離方向の信号成分が図14に示す状況となっている。ここで、ナル幅は測距誤差を考慮して目標信号成分が存在する可能性がある領域を鑑みて設定される。
Figure 2014142261
重みwSC,1,…, wSC,Kによりそれぞれ再構成された信号s1,l, … , sl,Kがモノパルス測角23に伝達される。同様にビーム2受信信号に関して処理が行われ、再構成信号がモノパルス測角23に伝達される。以降は実施の形態1と同様に動作し測角値θkが求まる。測距値rkと測角値θkは追尾処理部12に伝達される。
実施の形態2では、高精度測角用ナル幅制御型シグナルコピー39を備え、ナル幅の広いフィルタを用意することにより、測距誤差が発生しても高い抑圧効果が得られ、消え残りの信号成分に起因する測角誤差を低減できる。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係るレーダ装置について、図15と図16を用いて説明する。図15は実施の形態3に係るレーダ装置の構成を示す図である。図16は実施の形態3に係る混信波抑圧性能改善型超分解能測角及び高精度測距処理の構成を示す図である。図15において、送信機1、送信アンテナ2、受信アンテナ3、受信機4、A/D変換器5、粗計測処理部6、超分解能処理選択部7、切換スイッチ8、超分解能測距及び高精度測角処理部9、超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11、及び追尾処理部12は実施の形態1と同じである。
実施の形態3に係るレーダ装置では、図1の超分解能測角及び高精度測距処理部10の代わりに、混信波抑圧性能改善型超分解能測角及び高精度測距処理部40を備えたことを特徴とする。混信波抑圧性能改善型超分解能測角及び高精度測距処理部40は、超分解能処理により測角値を算出し、測角値を基に目標信号成分を再構成する際にナル幅を調整して他の目標信号成分の抑圧度を高めるとともに、再構成した目標信号成分に零補間処理を併用して高精度測距を行う。
図16は混信波抑圧性能改善型超分解能測角及び高精度測距処理部40の内部構成を表している。パルス圧縮14、パルスヒット方向FFT15、測角用MUSIC処理30、高精度測距処理33は実施の形態1の図4で説明したものと同じである。高精度測距用ナル幅制御型シグナルコピー41は、パルスヒット方向FFT15からのパルスヒット方向FFT出力信号について、測角用MUSIC処理30からの測角値を基にナルの位置を設定し、ナル幅を制御して、抑圧効果を高めつつ所望の目標信号成分を再構成する。
次に動作について説明する。送信機1と送信アンテナ2から電波が送信され、目標に反射した電波が受信アンテナ3で受信される。以降の受信機4、A/D変換器5、粗計測処理部6、切換スイッチ8は実施の形態1と同様に動作する。ここで、超分解能処理選択部7で混信波抑圧性能改善型超分解能測角及び高精度測距処理部40が選択された場合、切換スイッチ8から混信波抑圧性能改善型超分解能測角及び高精度測距処理部40にA/D変換信号が伝達される。パルスヒット方向FFT15は実施の形態1と同様にして動作して、高精度測距用ナル幅制御型シグナルコピー41にパルスヒット方向FFT出力信号xd’1,nr,l, …, xd’Nd,nr,lを伝達する。また、パルスヒット方向FFT15は、測角用MUSIC処理30から測角値θkが伝達される。
高精度測距用ナル幅制御型シグナルコピー41では、xd’〜nd,nr,1,…,xd’〜nd,nr,Lを用いて、次式(16)により再構成信号をレンジビンnrごとに生成する。次式(16)で行列Rsurpress-θ,kは、測角値θk以外の測角値θ1,…,θk-1,θk+1,…,θKの近辺のナル幅範囲の成分と雑音成分からなるパルスヒット方向FFT信号の相関行列を表している。ここで、パルスヒット方向FFT信号は、角度方向の信号成分が図17に示すような状況となり、ナル幅は測角誤差を考慮して目標信号成分が存在する可能性がある領域を鑑みて設定される。
Figure 2014142261
重みwsc-θ,1,…, wsc-θ,Kによりそれぞれ再構成された信号snr,1,…, snr,Kが高精度測距処理33に伝達される。以降は実施の形態1と同様に動作し測距値rkが求まる。測距値rkと測角値θkは追尾処理部12に伝達される。
実施の形態3では、ナル幅の広いフィルタを用意することにより、測角誤差が発生しても高い抑圧効果が得られ、消え残りの信号成分に起因する測距誤差を低減できる。
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係るレーダ装置について、図18と図19を用いて説明する。図18は実施の形態4に係るレーダ装置の構成を示す図である。図19は実施の形態4に係る混信波抑圧性能改善型超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部42の構成を示す図である。図18において、送信機1、送信アンテナ2、受信アンテナ3、受信機4、A/D変換器5、粗計測処理部6、超分解能処理選択部7、切換スイッチ8、超分解能測距及び高精度測角処理部9、超分解能測角及び高精度測距処理部10、追尾処理部12は実施の形態1と同じである。
混信波抑圧性能改善型超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部42は超分解能処理により測速度値を算出し、測速度値を基に目標信号成分を再構成する際にナル幅を調整して他の目標信号成分の抑圧度を高めるとともに、再構成した目標信号成分を用いて高精度測角・測距を行う。混信波抑圧性能改善型超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部42の内部構成を表す図19において、受信ビーム形成13、パルス圧縮14、測速度用MUSIC処理34、高精度測角・測距処理37は実施の形態1と同じである。高精度測角・測距用ナル幅制御型シグナルコピー43は、A/D変換信号x1,nr,l, … , x1,nr,l及び測速度値を基にナルの位置を設定しナル幅を制御して、抑圧効果を高めつつビート周波数方向の再構成信号(受信アンテナ#1〜#L)となる所望の目標信号成分を再構成する。
次に動作について説明する。送信機1と送信アンテナ2から電波が送信され、目標に反射した電波が受信アンテナ3で受信される。以降の受信機4、A/D変換器5、粗計測処理部6、切換スイッチ8は実施の形態1と同様に動作する。ここで、超分解能処理選択部7で混信波抑圧性能改善型超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部42が選択された場合、切換スイッチ8から混信波抑圧性能改善型超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部42にA/D変換信号が伝達される。以降は実施の形態1と同様に動作して高精度測角・測距用ナル幅制御型シグナルコピー43に、測速度用MUSIC処理34からの測速度値vkが伝達される。また、切換スイッチ8からのA/D変換信号xnp,nr,lも高精度測角・測距用ナル幅制御型シグナルコピー43に伝達される。高精度測角・測距用ナル幅制御型シグナルコピー43では、A/D変換信号x1,nr,l, ・・・ , x1,nr,lを用いて、次式(17)により再構成信号をレンジビンnrと素子番号lごとに生成する。次式(17)で行列Rsurpress-v,kは、測速度値vk以外の測速度値v1, ・・・ ,vk-1,vk+1,vKの近辺のナル幅範囲の成分と雑音成分からなるA/D変換信号の相関行列を表しており、A/D変換信号の速度方向の信号成分は図20に示すような状況となる。ここで、ナル幅は測速度誤差を考慮して目標信号成分が存在する可能性がある領域を鑑みて設定される。
Figure 2014142261
重みwsc-v,1, ・・・ ,wsc-v,Kによりそれぞれ再構成された信号snd,l,k’が高精度測角・測距処理37に伝達される。以降は実施の形態1と同様に動作し測角値θkと測距値rkが求まる。測角値θkと測距値rkは追尾処理部12に伝達される。
実施の形態4では、ナル幅の広いフィルタを用意することにより、測速度誤差が発生しても高い抑圧効果が得られ、消え残りの信号成分に起因する測角・測距誤差を低減できる。
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係るレーダ装置について図21と図22を用いて説明する。図21は実施の形態5に係るレーダ装置の構成を示す図である。図22は実施の形態5に係る高速型超分解能測距及び高精度測角処理部44の構成を示す図である。図21において、送信機1、送信アンテナ2、受信アンテナ3、受信機4、A/D変換器5、粗計測処理部6、超分解能処理選択部7、切換スイッチ8、超分解能測角及び高精度測距処理部10、超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11、追尾処理部12は実施の形態1と同じである。高速型超分解能測距及び高精度測角処理部44はESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotation Invariance Techniques)を用いて高速に超分解能測距処理を行い、測距値を基に再構成した目標信号成分を用いてモノパルスによる高精度測角を行う。
高速型超分解能測距及び高精度測角処理部44の内部構成を表す図22において、モノパルス受信ビーム形成17、パルスヒット方向FFT15、デシメーション18、高精度測角用シグナルコピー21、測距値算出22、モノパルス測角23は実施の形態1と同じである。高速型超分解能測距処理46はESPRITを用いて超分解能測距処理を行う測距用ESPRIT処理であって、パルスヒット方向FFT15、デシメーション18、測距用ESPRIT処理45から構成される。図23に示すように、測距用ESPRIT処理45は、相関行列生成27、固有値解析28、部分データ生成47、部分データ間位相回転量算出48、暫定測距値算出49から構成される。
次に動作について説明する。送信機1と送信アンテナ2から電波が送信され、目標に反射した電波が受信アンテナ3で受信される。以降の受信機4、A/D変換器5、粗計測処理部6、切換スイッチ8は実施の形態1と同様に動作する。ここで、超分解能処理選択部7で高速型超分解能測距及び高精度測角処理部44が選択された場合、切換スイッチ8から高速型超分解能測距及び高精度測角処理部44にA/D変換信号が伝達される。高速型超分解能測距及び高精度測角処理部44に入力されたA/D変換信号は、実施の形態1と同様にして、モノパルス用受信ビーム形成17によりビーム1信号(ビーム♯1受信信号)とビーム2信号(ビーム♯2受信信号)が生成される。
ビーム1信号は高速型超分解能測距処理46に伝達される。以降は実施の形態1と同様に動作し、パルスヒット方向FFT15及びデシメーション18により処理されたデシメーション信号ydmが測距用ESPRIT処理45に伝達される。以降は実施の形態1と同様に動作し、相関行列生成27で生成された相関行列が固有値解析28にて固有値解析される。固有値解析28から固有値evm(1 ≦ m ≦ M)と固有値evmに対応する固有ベクトルemが部分データ生成47に伝達される。部分データ生成47では、次式(18)により固有ベクトルの1〜M-1行目の要素からなるベクトルe'mと2〜M行目の要素からなるベクトルe''mを生成する。次式(18)でJ1とJ2はM行M+1列の行列を表している。
Figure 2014142261
部分データ生成47が生成する信号空間を張る固有ベクトルe'1〜e'K及びe''1〜e''Kは、部分データ間位相回転量算出48に伝達される。部分データ位相回転量算出48では、まず次式(19)により行列Eを算出する。
Figure 2014142261
次に、行列Eの固有値の偏角φ12,・・・,φKを算出し暫定測距値算出49に伝達する。暫定測距値算出49では次式(20)により暫定測距値r1,kを算出する。次式(20)でBfは送受信帯域幅、cは光速をそれぞれ表している。
Figure 2014142261
暫定測距値r1,kは測距値算出22と高精度測角用シグナルコピー21に伝達される。ビーム2受信信号に関しても同様にして暫定測距値r2,kが算出され測距値算出22と高精度測角用シグナルコピー21に伝達される。以降は実施の形態1と同様に動作し測角値θkと測距値rkが算出され追尾処理部12に伝達される。
実施の形態5では、超分解能測距処理にESPRITを用いたことにより、処理の高速化が図れるという効果がある。なお、実施の形態5では、暫定測距値算出49において式(19)で表される行列の固有値の偏角を求める際にLeast Square ESPRIT(LS-ESPRIT)処理を行い暫定測距値を求めることを前提としているが、行列E'とE''の誤差の総和を最小化するように測距値を求めるTotal Least Square ESPRIT(TLS-ESPRIT)を用いて暫定測距値を求めても良い。
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係るレーダ装置について、図24と図25を用いて説明する。図24は実施の形態6に係るレーダ装置の構成を示す図である。図25は実施の形態6に係る高速型超分解能測角及び高精度測距処理部50の構成を示す図である。図24において、送信機1、送信アンテナ2、受信アンテナ3、受信機4、A/D変換器5、粗計測処理部6、超分解能処理選択部7、切換スイッチ8、超分解能測距及び高精度測角処理部9、超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部11、追尾処理部12は実施の形態1と同じである。
高速型超分解能測角及び高精度測距処理部50は、ESPRITを用いて高速に測角値を算出し、測角値を基に再構成した目標信号を用いて高精度測距を行う。高速型超分解能測角及び高精度測距処理部50の内部構成を表す図25において、パルス圧縮14、パルスヒット方向FFT15、高精度測距用シグナルコピー32、高精度測距処理33は実施の形態1と同じである。測角用ESPRIT処理51はESPRITを用いて超分解能測角処理を行うものである。図26に示すように、測角用ESPRIT処理51は、相関行列生成27、固有値解析28、部分データ生成47、部分データ間位相回転量算出48、測角値算出52から構成される。測角値算出52はESPRIT処理の過程で測角値を求めるものである。
次に動作について説明する。送信機1と送信アンテナ2から電波が送信され、目標に反射した電波が受信アンテナ3で受信される。以降の受信機4、A/D変換器5、粗計測処理部6、切換スイッチ8は実施の形態1と同様に動作する。ここで、超分解能処理選択部7で高速型超分解能測角及び高精度測距処理部50が選択された場合、超分解能処理選択部7で高速型超分解能測角及び高精度測距処理部50にA/D変換信号が伝達される。
以降は実施の形態1と同様にして動作して測角用ESPRIT処理51にパルスヒット方向FFT出力xd〜nd,〜nr,l, … , xd〜nd,〜nr,Lが伝達される。測角用ESPRIT処理51では、実施の形態5と同様に動作して、部分データ間位相回転量算出48により行列Eの固有値の偏角φ2,・・・,φKが出力され測角値算出52に伝達される。測角値算出52では次式(21)により測角値θkを、暫定測角値として算出する。次式(21)でdは素子間隔、λは送信波長を表している。
Figure 2014142261
以降は実施の形態1と同様に測角値θkと測距値rkが算出され、追尾処理部12に伝達される。
実施の形態6では、超分解能測角処理にESPRITを用いた効果で、処理の高速化が図れる。また、実施の形態5と同様にLS-ESPRITの他にもTLS-ESPRITを用いることもできる。
実施の形態7.
この発明の実施の形態7に係るレーダ装置について図27と図28を用いて説明する。図27は実施の形態7に係るレーダ装置の構成を示す図である。図28は実施の形態4に係る高速型超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部53の構成を示す図である。図27において、送信機1、送信アンテナ2、受信アンテナ3、受信機4、A/D変換器5、粗計測処理部6、超分解能処理選択部7、切換スイッチ8、超分解能測距及び高精度測角処理部9、超分解能測角及び高精度測距処理部10、追尾処理部12は実施の形態1と同じである。高速型超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部53はESPRITを用いて高速に測速度値を算出し、測速度値を基に再構成した目標信号を用いて高精度測角・測距を行い、測角値及び測距値を出力する。
高速型超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部53の内部構成を表す図28において、受信ビーム形成13、パルス圧縮14、高精度測角・測距用シグナルコピー36、高精度測角・測距処理37は実施の形態1と同じである。測速度用ESPRIT処理54はESPRITを用いて超分解能測速度処理を行う。図29に示すように、測速度用ESPRIT処理54は、相関行列生成27、固有値解析28、部分データ生成47、部分データ間位相回転量算出48、測速度値算出55から構成される。相関行列生成27、固有値解析28、部分データ生成47、部分データ間位相回転量算出48は図23で説明したものと同じである。測速度値算出55はESPRIT処理の過程で測速度値を求めるものである。
次に動作について説明する。送信機1と送信アンテナ2から電波が送信され、目標に反射した電波が受信アンテナ3で受信される。以降の受信機4、A/D変換器5、粗計測処理部6、切換スイッチ8は実施の形態1と同様に動作する。ここで、超分解能処理選択部7で高速型超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部53が選択された場合、切換スイッチ8から高速型超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部53にA/D変換信号が伝達される。
以降は実施の形態1と同様に動作して、測速度用ESPRIT処理54にパルス圧縮14からのパルス圧縮出力信号xcnp,1,l, … , xcnp,Nr,lが伝達される。測速度用ESPRIT処理54は、実施の形態5と同様に動作して、部分データ間位相回転量算出48から固有値の偏角φ12,・・・,φKが出力される。測速度用ESPRIT処理54の測速度値算出55では、次式(22)により測角値vkを算出する。次式(22)でcは光速、fsは送信周波数、TPRIはパルス繰り返し周期をそれぞれ表している。
Figure 2014142261
以降では実施の形態1と同様に測角値θkと測距値rkが算出され、追尾処理部12に伝達される。
実施の形態7では、超分解能測速度処理にESPRITを用いた効果で、処理の高速化が図れる。また、実施の形態5と同様にLS-ESPRITの他にもTLS-ESPRITを用いることもできる。
1 送信機、2 送信アンテナ、3 受信アンテナ、4 受信機、5 A/D変換器、6 粗計測処理部、7 超分解能処理選択部、8 切換スイッチ、9 超分解能測距及び高精度測角処理部、10 超分解能測角及び高精度測距処理部、11 超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部、12 追尾処理部、13 受信ビーム形成、14 パルス圧縮、15 パルスヒット方向FFT、16 目標検出処理、17 モノパルス用受信ビーム形成、18 デシメーション、19 測距用MUSIC処理、20 超分解能測距処理、21 高精度測角用シグナルコピー、22 測距値算出、23 モノパルス測角、24 FFT、25 除算処理、26 区分DFT、27 相関行列生成、28 固有値解析、29 測距用ピーク検出、30 測角用MUSIC処理、31 測角用ピーク検出、32 高精度測距用シグナルコピー、33 高精度測距処理、34 測速度用MUSIC処理、35 測速度用ピーク検出、36 高精度測角・測距用シグナルコピー、37 高精度測角・測距処理、38 混信波抑圧性能改善型超分解能測距及び高精度測角処理部、39 高精度測角用ナル幅制御型シグナルコピー、40 混信波抑圧性能改善型超分解能測角及び高精度測距処理部、41 高精度測距用ナル幅制御型シグナルコピー、42 混信波抑圧性能改善型超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部、43 高精度測角・測距用ナル幅制御型シグナルコピー、44 高速型超分解能測距及び高精度測角処理部、45 測距用ESPRIT処理、46 高速型超分解能測距処理、47 部分データ生成、48 部分データ間位相回転量算出、49 暫定測距値算出、50 高速型超分解能測角及び高精度測距処理部、51 測角用ESPRIT処理、52 測角値算出、53 高速型超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部、54 測速度用ESPRIT処理、55 測速度値算出。

Claims (21)

  1. 目標に向けて電波を送信する電波送信手段と、
    上記目標で反射した電波を受信する電波受信手段と、
    近接する複数目標の運動状況を鑑みて目標の角度、距離、速度の内から一つの計測量を超分解能計測し、超分解能計測した計測値を用いて測角値及び測距値を求める超分解能処理手段と、
    上記超分解能処理手段で求められた測角値及び測距値を基に各目標に関する追尾処理を行う追尾手段と、
    を備えたことを特徴とするレーダ装置。
  2. 上記電波送信手段は、チャープ変調された信号を生成する送信機と、電波を所定の方向に送信する送信アンテナから構成されることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
  3. 上記電波受信手段は、目標で反射した電波を受信する受信アンテナと、上記受信アンテナ受信信号に帯域制限や位相検波を施す受信機と、上記受信機の出力信号をサンプリングしてディジタル信号を生成するA/D変換器と、上記A/D変換器のA/D変換信号より受信ビームを形成しビーム方向の受信信号を出力する受信ビーム形成から構成されることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
  4. 上記超分解能処理手段は、目標の存在方向を開口長から定まるビーム幅の精度、目標距離を送受信帯域幅から定まる距離分解能の精度、目標速度を観測時間長から定まる速度分解能の精度で計測する粗計測処理部と、
    超分解能測距を行い得られた測距値を基に再構成した目標信号成分を用いて高精度測角を行う超分解能測距及び高精度測角処理部と、
    超分解能測角を行い得られた測角値を基に再構成した目標信号成分を用いて高精度測距を行う超分解能測角及び高精度測距処理部と、
    超分解能測速度を行い得られた測速度値を基に再構成した目標信号成分を用いて高精度測角・測距を行う超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部と、
    目標の運動状況を鑑みて上記超分解能測距及び高精度測角処理部または上記超分解能測角及び高精度測距処理部または超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部のいずれか一つの処理方式を選択する超分解能処理選択部と、
    上記超分解能処理選択部にて選択された処理方式に上記A/D変換信号を伝達する切換スイッチを備えたことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
  5. 上記粗計測処理が所定の方向にビームを形成する受信ビーム形成と、目標の存在するレンジビンに目標信号成分を積み上げるパルス圧縮と、目標信号の信号対雑音電力比を改善しドップラー周波数を求めるパルスヒット方向FFTと、雑音を目標信号と誤る誤警報確率を基準に定められたスレッショルドを用いて目標信号を検出しその測角値と測距値を出力する目標検出処理から構成されることを特徴とする請求項4記載のレーダ装置。
  6. 上記超分解能測距及び高精度測角処理部は、モノパルス処理するためのビームを形成するモノパルス用受信ビーム形成と、近接する複数目標を分離し暫定測距を求める超分解能測距処理と、上記超分解能測距処理により得られた暫定測距値を用いて目標信号成分を再構成する高精度測角用シグナルコピーと、上記モノパルス用受信ビーム形成で生成された2つのビーム信号を用いてそれぞれ算出した上記暫定測距値より測距値を算出する測距値算出と、モノパルスにより高精度測角値を算出するモノパルス測角から構成されていることを特徴とする請求項4記載のレーダ装置。
  7. 上記超分解能測距処理は、目標信号の信号対雑音電力比を改善しドップラー周波数を求めるパルスヒット方向FFTと、上記追尾処理で予測された目標存在近辺領域の近辺からの受信信号成分に制限するデシメーションと、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)を用いて超分解能測距を行う測距用MUSIC処理から構成されることを特徴とする請求項6記載のレーダ装置。
  8. 上記測距用MUSIC処理は、上記測距用MUSIC処理入力信号の信号間の相関を表す相関行列を生成する相関行列生成と、上記相関行列の固有値と固有ベクトルを算出する固有値解析と、雑音成分の固有値に対応する固有ベクトルから生成される雑音空間と目標距離をパラメータとするステアリングベクトルを用いて目標距離を探索する測距用ピーク検出を備えたことを特徴とする請求項7記載のレーダ装置。
  9. 上記超分解能測角及び高精度測距処理部は、目標の存在するレンジビンに目標信号成分を積み上げるパルス圧縮処理と、目標信号の信号対雑音電力比を改善しドップラー周波数を求めるパルスヒット方向FFTと、MUSICを用いて超分解能測角を行う測角用MUSIC処理を備えたことを特徴とする請求項6記載のレーダ装置。
  10. 上記測角用MUSIC処理は、上記測角用MUSIC処理入力信号の信号間の相関を表す相関行列を生成する相関行列生成と、上記相関行列の固有値と固有ベクトルを算出する固有値解析と、雑音成分の固有値に対応する固有ベクトルから生成される雑音空間と入射角度をパラメータとするステアリングベクトルを用いて入射角度を探索する測角用ピーク検出を備えたことを特徴とする請求項9記載のレーダ装置。
  11. 上記超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部は、A/D変換器のA/D変換信号より受信ビームを形成しビーム方向の受信信号を出力する受信ビーム形成と、目標の存在するレンジビンに目標信号成分を積み上げるパルス圧縮と、MUSICを用いて超分解能測速度を行う測速度用MUSIC処理を備えたことを特徴とする請求項6記載のレーダ装置。
  12. 上記測速度用MUSIC処理は、上記測速度用MUSIC処理入力信号の信号間の相関を表す相関行列を生成する相関行列生成と、上記相関行列の固有値と固有ベクトルを算出する固有値解析と、雑音成分の固有値に対応する固有ベクトルから生成される雑音空間と目標速度をパラメータとするステアリングベクトルを用いて目標速度を探索する測速度用ピーク検出を備えたことを特徴とする請求項11記載のレーダ装置。
  13. 上記デシメーション処理は、信号の周波数成分を求めるFFTと、上記パルス圧縮処理する際に規準信号として参照する参照信号の周波数スペクトルと上記パルスヒット方向FFT出力信号の周波数スペクトルを除算する除算処理と、上記除算処理出力信号を上記測距用MUSIC処理で使用する相関行列の次元相当の数だけ領域分割し各々の領域ごとに目標信号成分が通過するようなDFTを行う区分DFTを備えたことを特徴とする請求項7記載のレーダ装置。
  14. 上記超分解能測角及び高精度測距処理部は、目標の存在するレンジビンに目標信号成分を積み上げるパルス圧縮と、目標信号の信号対雑音電力比を改善しドップラー周波数を求めるパルスヒット方向FFTと、MUSICを用いて超分解能測角処理を行う測角用MUSIC処理と、測角値を用いて目標信号成分を再構成する高精度測距用シグナルコピーと、零詰め補間したビート信号にFFTを施すことにより高精度測距を行う高精度測距処理を備えたことを特徴とする請求項4記載のレーダ装置。
  15. 上記超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部は、A/D変換器のA/D変換信号より受信ビームを形成しビーム方向の受信信号を出力する受信ビーム形成と、目標の存在するレンジビンに目標信号成分を積み上げるパルス圧縮と、MUSICを用いて超分解能測速度処理を行う測速度用MUSIC処理と、測速度値を用いて目標信号成分を再構成する高精度測角・測距用シグナルコピーと、零詰め補間した受信アンテナ方向とレンジ方向の2次元データに2次元FFTを施し測角値と測距値を高精度に推定する高精度測角・測距処理を備えたことを特徴とする請求項4記載のレーダ装置。
  16. 上記高精度測角用シグナルコピーは、測距値を基にナルの位置を設定しナル幅を制御して抑圧効果を高めつつ所望の目標信号成分を再構成する高精度測角用ナル幅制御型シグナルコピーであることを特徴とする請求項6記載のレーダ装置。
  17. 上記高精度測距用シグナルコピーは、測角値を基にナルの位置を設定しナル幅を制御して抑圧効果を高めつつ所望の目標信号成分を再構成する高精度測距用ナル幅制御型シグナルコピーであることを特徴とする請求項14記載のレーダ装置。
  18. 上記高精度測速度用シグナルコピーは、測速度値を基にナルの位置を設定しナル幅を制御して抑圧効果を高めつつ所望の目標信号成分を再構成する高精度測角・測距用ナル幅制御型シグナルコピーを備えたことを特徴とする請求項15記載のレーダ装置。
  19. 上記超分解能測距処理は、目標信号の信号対雑音電力比を改善しドップラー周波数を求めるパルスヒット方向FFTと、上記追尾処理で予測された目標存在近辺領域の近辺からの受信信号成分に制限するデシメーションと、ESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotation Invariance Techniques)を用いて超分解能測距を行う測距用ESPRIT処理から構成されることを特徴とする請求項6記載のレーダ装置。
  20. 上記超分解能測角及び高精度測距処理部は、目標の存在するレンジビンに目標信号成分を積み上げるパルス圧縮処理と、目標信号の信号対雑音電力比を改善しドップラー周波数を求めるパルスヒット方向FFTと、ESPRITを用いて超分解能測角を行う測角用ESPRIT処理を備えたことを特徴とする請求項6記載のレーダ装置。
  21. 上記超分解能測速度及び高精度測角・測距処理部は、A/D変換器のA/D変換信号より受信ビームを形成しビーム方向の受信信号を出力する受信ビーム形成と、目標の存在するレンジビンに目標信号成分を積み上げるパルス圧縮と、ESPRITを用いて超分解能測速度を行う測速度用ESPRIT処理を備えたことを特徴とする請求項6記載のレーダ装置。
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