JP2014141843A - 太陽電池パネル設置構造体及びその形成方法 - Google Patents

太陽電池パネル設置構造体及びその形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】架台脚部を固定するためのボルトを不要とし、防水層を損傷して雨漏りが発生するおそれを少なくすると共に、ボルト孔の位置出し作業、及びボルト孔の穿孔作業をなくし、太陽電池パネル設置構造体を容易に形成できるようにする。
【解決手段】太陽電池パネル設置構造体は、コンクリート製基礎ブロックと、該ブロック上に脚部を固定される架台と、該架台上に支持される太陽電池パネルを有し、前記基礎ブロックの底面が接着部において設置面に接着固定されており、前記接着部が、基礎ブロック底面と設置面との間に設けられ、弾性体でなり開口部を有するスペーサ板と、該開口部内に充填された接着剤を有するものである。
【選択図】 図9

Description

本発明は、建物の屋上スラブなどの設置面に設置する、太陽電池パネル設置構造体、及びその形成方法に関する。
建物の屋上に太陽電池パネルを設置する場合、金属製の架台を屋上のコンクリートスラブに固定し、この架台により太陽電池パネルを支持することが行われている。下記特許文献1は、このような太陽電池パネル設置構造体の例が示されている。金属製の架台で太陽電池パネルを支持した場合、風圧荷重に耐えるため、架台の脚部がボルトにより屋上のコンクリートスラブに固定される。なお、太陽電池パネルにかかる風圧荷重は、JIS C 8955に規定されている。
また、架台の脚部をコンクリート製の基礎に固定することが考えられる。この場合、コンクリート製基礎の重量によって風圧荷重に抵抗するため、屋上のコンクリートスラブにボルト穴を開ける必要がなく、防水層を損傷することはないが、コンクリート製基礎の重量は非常に大きい(通常、スラブの許容積載荷重よりも大きい)ため、スラブがこの重量に耐えられず現実的でない。
特開2012−104756号公報
金属製の架台を用いる場合、風圧荷重のほぼすべてを、屋上スラブに植設したボルトで持ちこたえるため、非常の多くのボルトを用いなければならい。
屋上のコンクリートスラブには、防水層が設けられており、防水層が屋上の表面に露出している露出防水と、防水層の上に防水押さえ層としてシンダーコンクリート等の層を設ける場合がある。
露出防水の場合、太陽電池パネルの架台脚部をスラブに固定するに際し、スラブ及び表面の防水層にボルト孔を穿設するので、多くのボルトを用いる場合は防水層を損傷して雨漏りが発生するおそれが大きくなる。また、ボルト孔の位置出し作業やボルト孔の穿孔作業に多くの労力を費やさなければならない。
表面に防水押さえ(シンダーコンクリート)層を設けた場合、シンダーコンクリートは通常のコンクリートに比べて強度が非常に弱く、ボルトの引抜強度も非常に弱いので、さらに多数のボルトを設けなければならず、ボルト孔の位置出し作業やボルト孔の穿孔作業に更に多くの労力を費やさなければならない。
本発明は、架台脚部を固定するためのボルトを不要とし、防水層を損傷して雨漏りが発生するおそれを少なくすると共に、ボルト孔の位置出し作業、及びボルト孔の穿孔作業をなくし、太陽電池パネル設置構造体を容易に形成できるようにすることを課題とするものである。
〔請求項1〕
本発明は、コンクリート製基礎ブロックと、
該ブロック上に脚部を固定される架台と、
該架台上に支持される太陽電池パネルを有し、
前記基礎ブロックの底面が接着部において設置面に接着固定されており、
前記接着部が、基礎ブロック底面と設置面との間に設けられ、弾性体でなり開口部を有するスペーサ板と、該開口部内に充填された接着剤を有するものであることを特徴とする太陽電池パネル設置構造体である。
基礎ブロックの総重量は、スラブの許容積載荷重よりも少ない範囲でなるべく重くすることが望ましい。太陽電池パネルの風圧荷重の一部は基礎ブロックの重量が負担するが、重量の不足分を接着部が負担するので、接着面積は非常に少なくてよい。設置面にボルトを植設しないので、ボルト孔の位置出し作業、及びボルト孔の穿孔作業がなくなり、太陽電池パネル設置構造体を容易に形成できる。
スペーサ板は、軟質プラスチック板、ブチルゴムシートなどの適度の弾性を有するものが好ましい。厚さは5mm〜15mm程度が適当である。大きさは任意であり、開口部の合計面積が必要な接着強度以上となるように設計される。スペーサ板の平面形状、開口部の形状は、正方形、長方形、円形、楕円形など自由である。接着剤は、必要な接着強度を得られるものであればどのようなものでもよいが、例えば、エポキシ系の接着剤を使用できる。
架台は、太陽電池パネルを支持するものであれば、どのような形状でもよい。
〔請求項2〕
また本発明は、前記設置面が表面に防水層を有し、
前記接着部において該防水層を切除した切除穴が形成され、
該切除穴が前記開口部の内側に完全に収まっており、
前記接着剤が該切除穴及び開口部内に充填されている請求項1に記載の太陽電池パネル設置構造体である。
本発明は、屋上スラブなどの設置面に防水層が露出している場合に関する。接着部において、防水層に切除穴を形成し、スペーサ板の開口部及び切除穴に接着剤が充填されるので、切除穴から防水層の下側に水が回り込むことがない。また、風圧荷重に対しては、切除穴に露出した下地構造材(コンクリートスラブなど)との接着により抵抗するので、風圧荷重により防水層が損傷するおそれもない。
〔請求項3〕
また本発明は、前記基礎ブロックが、複数個を一体的に連結可能である請求項1又は2に記載の太陽電池パネル設置構造体である。
基礎ブロックを連結することにより、基礎ブロックの総重量を容易に調整できる。このような基礎ブロックとしては、例えば、特許第4808543号公報に開示されているものを用いることができる。
〔請求項4〕
また本発明は、所定数の前記スペーサ板を設置面上の所定位置に載置するステップと、該スペーサ板の開口部内に接着剤を充填するステップと、該スペーサ板の上に前記基礎ブロックを載置するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池パネル設置構造体の形成方法である。
スペーサ板の上に前記基礎ブロックを載置すると、基礎ブロックの重量でスペーサ板が圧縮変形し、開口部内の接着剤が設置面及び基礎ブロック底面に密着し、接着が確実なものとなる。
スペーサ板は、載置された基礎ブロックの重量により1〜5mm程度圧縮変形する弾性を有することが望ましい。
〔請求項5〕
また本発明は、所定数の前記切除穴を設置面の前記防水層の所定位置に形成するステップと、該切除穴が前記開口部の内側に完全に収まるように前記スペーサ板を防水層上に載置するステップと、前記切除穴及び開口部内に接着剤を充填するステップと、該スペーサ板の上に前記基礎ブロックを載置するステップを有することを特徴とする請求項2に記載の太陽電池パネル設置構造体の形成方法である。
切除穴の合計面積が必要な接着強度以上となるように設計される。
本発明は、太陽電池パネルの風圧荷重の一部は基礎ブロックの重量が負担し、重量の不足分を、基礎ブロック下面と屋上スラブ等の設置面の間の接着剤が負担するので、設置面にボルトを植設する必要がなく、防水層を損傷して雨漏りが発生するおそれが少なくなると共に、ボルト孔の位置出し作業、及びボルト孔の穿孔作業がなくなり、太陽電池パネル設置構造体を容易に形成できる。
太陽電池パネル設置構造体の概略斜視図である。 太陽電池パネル設置構造体の側面図である。 図2の基礎ブロック部分の拡大図である。 基礎ブロックの側面図である。 基礎ブロックの上面図である。 太陽電池パネル設置構造体の形成方法の説明図である。 設置面に載置した基礎ブロックの断面説明図である。 太陽電池パネル設置構造体の形成方法の説明図である。 設置面に載置した基礎ブロックの断面説明図である。 基礎ブロックを重ねて連結一体化した断面説明図である。
図1〜3は、太陽電池パネル設置構造体を示している。この設置構造体において、太陽電池パネルSは、鋼製の架台2に支持される。架台2は脚部20及びその上端に設けられたフレーム状の梁部22により組み立てられている。脚部20の下端には、板材を断面U字状に折り曲げた底板21が固定されている。架台2の脚部20はコンクリート製の基礎ブロック3に載置、固定されている。基礎ブロック3は設置面(屋上スラブ)に固定される。
本例の場合、基礎ブロック3は、2個ずつ、連結版36で連結一体化されている。基礎ブロック3は、接着部4によって設置面に接着固定される。接着部4は、後述するように、スペーサ板40及び接着剤42を有する。接着部4は、1個所(2個)の基礎ブロックの4隅に設けられている。架台2の脚部20は、図3に示すように、底板21を介して、ボルト23及びナット24により基礎ブロック3に固定される。
基礎ブロック3は、図4,5に示すように、概略直方体形状をなし、上面に2本の溝30が形成されている。溝30はブロックの長手方向に平行で、両端側面に開口している。溝30の底部にはアルミ型材若しくは樹脂成型材のスライドレール31が埋め込まれている。溝30、スライドレール31内は、ワッシャーを嵌めたボルト23がスライドできるようになっている。ボルト23の頭部及びワッシャーはスライドレール31内をスライドする。ボルト23は架台の脚部(底板)を固定するためのもので、スライドすることにより、任意の位置で架台脚部を固定できる。脚部の固定は、底板21のボルト穴(図示せず)にボルト23の先端を挿入し、ナット24で固定する。
基礎ブロック3の上面には、アンカーナット34が2箇所埋設されている。これは、基礎ブロックを連結するときに、連結板を固定するボルトを螺着するためのものである。
また、基礎ブロック3には、上面から下面に貫通する貫通孔35が2個設けられている。これは、基礎ブロック3を上下に複数段重ねて連結一体化するときに、重ねたブロックをボルトで縫って一体化するためのものである。
図10は、基礎ブロック3を2段重ねて連結一体化した例である。上部のボルト35aと下部のボルト35bを中間のナット35cで連結し、下部のボルト35bの下端をナット35dで締め付けることで、上段の基礎ブロックと下段の基礎ブロックを一体化している。なお、図中の符号35eはスプリングワッシャー、35fはワッシャー、35gはワッシャー、35hはワッシャー、35iはスプリングワッシャーである。同様にして、基礎ブロックを何段でも連結一体化できる。
基礎ブロック3の側面には、アンカーナット33が2個埋設されている。これは、固定金具4を基礎ブロック3に固定するボルト45を螺着するため(図4)、及び連結板36で2個のブロックを連結するときのボルト37を螺着するため(図3)に用いられるものである。
また、基礎ブロック3の側面には手掛32が凹設されている。
本発明の実施にあたっては、必要な接着部の接着総面積を算定することが望ましい。接着総面積Sは、設置面が防水層でない場合は、スペーサ板の開口部の面積の総計、設置面が防水層の場合は、切除穴の面積の総計である。
先ず、基礎ブロック3の総重量Bを、設置面の許容積載荷重Lよりもやや小さく、例えば、安全率を見て0.6〜0.8L程度に設定する。次に、JIS C 8955に基づいて太陽電池パネルの風圧荷重Wを算定する。風圧荷重Wと基礎ブロックの総重量Bの差、W−Bよりも接着部の強度が大きければよい。設置面における接着剤の単位面積当たりの接着強度をg、必要な接着総面積をAとすると、
A>(W−B)/g
安全率を考慮すると、例えば、必要な接着総面積A=(1.1〜1.3)×(W−B)/gとすることができる。
その場合は、スペーサ板の開口部の総面積がAとなるように、スペーサ板の大きさ、個数を決定する。基礎ブロックが複数個所ある場合は、各個所に均等にスペーサ板が配置されるように考慮する。
出願人が行った実験によれば、スラブコンクリート強度が28N/mmの場合、エポキシ系接着剤の接着強度は1.24N/mm(0.126kgf/mm)程度が確保できる。そこで、仮に、風圧荷重−基礎ブロック重量=965kgf/基礎ブロック1個あたり、の条件の場合、965kgf÷0.126kgf=7658mmの接着面積が必要となり、これを基礎ブロックの四隅に割り振ると、7658mm÷4個所=1914mmとなる。仮に、1個のスペーサ板の接着面積を45mm×45mmとすると、2025mmが確保され、45mm角の僅かな接着面積で不足荷重を補うことができる。
次に、図6,7に基づいて基礎ブロック3を設置面に接着固定する方法を説明する。この場合は、設置面(屋上スラブ1の表面)に防水層が形成されていない場合である。
まず、図6の上段に示すように、設置面である屋上スラブ1の所定個所にスペーサ板40を載置する。スペーサ板40は開口部41を有するリング状である。開口部の面積は、必要な接着面積である。次に、同図の下段に示すように、開口部41に接着剤42を充填する。スペーサ板の載置及び接着剤の充填を、必要なスペーサ板の数行う。次に、図7に示すように、基礎ブロック3をスペーサ板40の上に載置する。すると、スペーサ板40が基礎ブロックの重量により圧縮変形し、接着剤42が基礎ブロック底面及び屋上スラブ1に密着し、接着力が確実に発揮される。
次に、図8,9に基づいて基礎ブロック3を設置面に接着固定する方法を説明する。この場合は、設置面(屋上スラブ1の表面)に防水層10が形成されている場合である。先ず、図8の上段に示すように、所定数の切除穴11を防水層10の所定位置に形成し、当該部分の防水層10を剥ぎ取る。切除穴11には、防水層10の下の屋上スラブ1が露出する。切除穴11の面積は、必要な接着面積である。次に、同図の中段に示すように、切除穴11部分の防水層10の上にスペーサ板40を載置する。このとき、切除穴11が開口部41の内側に完全に収まるようにする。次に、同図の下段に示すように、切除穴11及び開口部41の内部に接着剤42を充填する。次に、図9に示すように、基礎ブロック3をスペーサ板40の上に載置する。すると、スペーサ板40が基礎ブロックの重量により圧縮変形し、接着剤42が基礎ブロック底面及び屋上スラブ1に密着し、接着力が確実に発揮される。また、切除穴11が接着剤42によって完全に塞がれるので、防水層に切除穴を設けたことによる水漏れのおそれがない。
S 太陽電池パネル
1 屋上スラブ
10 防水層
11 切除穴
2 架台
20 脚部
21 底板
22 梁部
23 ボルト
24 ナット
3 基礎ブロック
30 溝
31 スライドレール
32 手掛
33 アンカーナット
34 アンカーナット
35 貫通孔
36 連結板
37 ボルト
4 接着部
40 スペーサ板
41 開口部
42 接着剤

Claims (5)

  1. コンクリート製基礎ブロックと、
    該ブロック上に脚部を固定される架台と、
    該架台上に支持される太陽電池パネルを有し、
    前記基礎ブロックの底面が接着部において設置面に接着固定されており、
    前記接着部が、基礎ブロック底面と設置面との間に設けられ、弾性体でなり開口部を有するスペーサ板と、該開口部内に充填された接着剤を有するものであることを特徴とする太陽電池パネル設置構造体。
  2. 前記設置面が表面に防水層を有し、
    前記接着部において該防水層を切除した切除穴が形成され、
    該切除穴が前記開口部の内側に完全に収まっており、
    前記接着剤が該切除穴及び開口部内に充填されている請求項1に記載の太陽電池パネル設置構造体。
  3. 前記基礎ブロックが、複数個を一体的に連結可能である請求項1又は2に記載の太陽電池パネル設置構造体。
  4. 所定数の前記スペーサ板を設置面上の所定位置に載置するステップと、該スペーサ板の開口部内に接着剤を充填するステップと、該スペーサ板の上に前記基礎ブロックを載置するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池パネル設置構造体の形成方法。
  5. 所定数の前記切除穴を設置面の前記防水層の所定位置に形成するステップと、該切除穴が前記開口部の内側に完全に収まるように前記スペーサ板を防水層上に載置するステップと、前記切除穴及び開口部内に接着剤を充填するステップと、該スペーサ板の上に前記基礎ブロックを載置するステップを有することを特徴とする請求項2に記載の太陽電池パネル設置構造体の形成方法。
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