JP2014140835A - ロジウム分離剤及びロジウムイオンの分離方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、複数の金属イオンを含有する溶液からロジウムイオンを選択的に吸着し、ロジウムの分離回収を可能にする分離剤及びロジウムイオンの分離方法に関する。
工業用触媒、自動車排ガス浄化触媒及び多くの電化製品には、パラジウム、白金、ロジウム等の貴金属が用いられている。これらの貴金属は高価であり、資源としても有用であることから、従来から使用後に回収して再利用する、すなわちリサイクルすることが行われている。最近では、資源保全の要求が高まり、貴金属のリサイクルの重要性が一層増加している。
貴金属を回収するために、沈殿分離法、イオン交換法、電解析出法、溶媒抽出法、吸着法等の方法が開発されており、これらのうち溶媒抽出法が経済性及び操作性の点から広く採用されている。
溶媒抽出法は、貴金属イオンが溶解した水相と貴金属イオン抽出剤が溶解した有機相を液−液接触させることで貴金属イオンを有機相側に抽出する抽出工程と、有機相側に抽出された貴金属イオンと逆抽出剤が溶解した水相とを接触させることで貴金属イオンを水相側に逆抽出する逆抽出工程からなる。
この方法によれば、貴金属イオンを高選択率で回収できるため、工業的に利用されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、当該溶媒抽出法では、多量の有機溶媒を使用することから、安全性や環境負荷の面で課題を有する。また、溶媒抽出法による貴金属の分離において、ロジウムは有効な分離試薬が存在しないため、他金属を分離した後の抽出残液から回収する必要があった。
よって、複数の金属イオンを含有する溶液からロジウムイオンを選択的に分離回収可能なロジウムイオンの分離方法の開発が望まれている。
本件出願人は、特定のアミド含有硫黄官能基を担体表面に有する白金族金属吸着剤について特許出願している(特許文献2参照)。しかしながら、パラジウム、白金、及びロジウムを各々含む溶液に対してこの吸着剤を適用しても、パラジウムが優先的に吸着され、ロジウムはほとんど吸着されないことから、ロジウムを高選択率で分離可能な分離剤、分離方法という点では未だ十分ではなかった。
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであって、複数の金属イオンを含有する溶液からロジウムイオンを選択的に分離回収可能な分離剤、及びその分離剤を使用するロジウムイオンの分離方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、本発明で示す新規の分離剤を用いることで、複数の金属イオンを含有する溶液からロジウムイオンを選択的に分離できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の要旨を有するものである。
[1]下記一般式(1)で示される官能基が担体に結合するロジウム分離剤。
[2]一般式(1)で示される官能基が、下記一般式(2)で示される官能基であることを特徴とする上記[1]に記載の分離剤。
[3]一般式(1)又は(2)で示される官能基が、メチレン基、エチレン基、炭素数3〜8の直鎖、分岐若しくは環状のアルキレン基、又は炭素数6〜14のアリーレン基を介して担体に結合していることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の分離剤。
[4]担体が無機担体であることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の分離剤。
[5]上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の分離剤と、ロジウムイオンを含有する溶液とを接触させることを特徴とするロジウムイオンの吸着方法。
[6]上記[5]に記載のロジウムイオンの吸着方法により得られた、ロジウムイオンを吸着した分離剤と脱離剤とを接触させることを特徴とするロジウムイオンの分離方法。
[7]脱離剤が、アンモニア、チオ尿素、メチオニン、及びエチレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記[6]に記載の分離方法。
[8]ロジウムイオンを含有する溶液からロジウムイオンを吸着し分離する剤としての上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の分離剤の使用。
本発明の分離剤は、繰返し利用が可能であり、且つ有機溶媒を必須としない。その結果、ロジウムイオンの分離回収が、環境負荷を掛けることなく、経済的に実施される。
また、本発明の分離方法によれば、複数の金属イオンを含有する溶液からロジウムイオンを選択的に分離回収することができる。
本発明の分離剤は、上記一般式(1)で示される官能基が担体に結合していることをその特徴とする。
上記一般式(1)で示される官能基としては、特に限定するものではないが、例えば、上記一般式(2)で示される官能基であることが好ましい。
上記一般式(1)で示される官能基において、Zはアミド結合を表す。ここで、「アミド結合」とは、−CO−NH−で表わされる結合を示し、結合の向きに特に限定はないが、好ましくは一般式(2)で示される向きである。
上記一般式(1)又は(2)で示される官能基は、メチレン基、エチレン基、炭素数3〜8の直鎖、分岐若しくは環状のアルキレン基、又は炭素数6〜14のアリーレン基を介して担体に結合していることが好ましい。
上記の炭素数3〜8の直鎖若しくは分岐状のアルキレン基としては特に限定するものではないが、例えば、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等が挙げられる。これらは直鎖状であっても分枝状であっても良い。アミド基の結合位置は、アルキレン基の炭素上であれば特に限定するものではないが。
炭素数3〜8の環状のアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロヘキセニレン基、シクロヘキサジエニレン基、シクロオクテニレン基、シクロオクタジエニレン基等が挙げられる。アミド基の結合位置は、シクロアルキレン基の炭素上であれば特に限定するものではないが。
また、炭素数6〜14のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、トリレン基、キシリレン基、クメニレン基、ベンジレン基、フェネチレン基、スチリレン基、シンナミレン基、ビフェニリレン基、フェナントリレン基等が挙げられる。アミド基の結合位置は、アリーレン基の炭素上であれば特に限定するものではないが。
上記一般式(1)又は(2)で示される官能基は、これらのうち、n−プロピレン基を介して担体と結合することが特に好ましい。
上記一般式(1)又は(2)で示される官能基において、Rは、置換基を有してもよい炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、炭素数3〜12の複素環基、カルボキシメチル基、又はカルボキシエチル基を表す。
炭素数1〜18の鎖式炭化水素基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基(セチル基)、ヘプタデシル基、オクタデシル基(ステアリル基)、オレイル基、エライジル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、1−ヘプチニル基、1−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、1−オクテニル基、2−メチル−1−プロペニル基等が挙げられる。これらのうち、炭素数1〜4の鎖式炭化水素基が好ましい。
炭素数3〜10の脂環式炭化水素基としては、特に限定するものではないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基等が挙げられる。
炭素数6〜14の芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ビフェニリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
炭素数3〜12の複素環基としては、特に限定するものではないが、例えば、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピロリジニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフェニル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の五員複素環基、ピラジニル基、モルホリニル基、チアジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピペリジニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、ピリジル基等の六員複素環基、プリニル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、プテリジニル基、シンノリル基、キノキサリニル基、キノリル基、イソキノリル基、クロメニル基、イソクロメニル基、アクリジニル基、キサンテニル基、カルバゾリル基等の縮合複素環基等が挙げられる。
上記一般式(1)又は(2)中のRにおける「置換基」としては、例えば、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、炭素数3〜12の複素環基が好適なものとして挙げられる。これらについては、具体的には、上述した「炭素数3〜10の脂環式炭化水素基」、「炭素数6〜14の芳香族炭化水素基」、「炭素数3〜12の複素環基」の説明を援用することができる。これらのうち、複素環基が好ましい。
上記一般式(1)又は(2)で示される官能基において、Rとしては、これらのうち、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、フェニル基、ベンジル基、ピリジルメチル基が好ましく、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、ベンジル基、ピリジルメチル基がより好ましく、エチル基、プロピル基、ピリジルメチル基が特に好ましい。
上記一般式(1)又は(2)で示される官能基において、nは1〜4の整数を表し、好ましくは1である。
担体としては、溶媒に不溶性のものであれば特に制限なく用いることができる。使用できる担体としては、特に限定するものではないが、例えば、シリカゲル、アルミナ、チタニア、マグネシア、ジルコニア、酸化鉄、酸化銅、ガラス、珪砂、タルク、マイカ、クレイ、ウォラスナイト等の無機担体のほか、スチレンポリマー、スチレン−ジビニルベンゼン架橋体等のポリスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン;ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系ポリマー;ポリリジン粒子、ポリビニルアミン粒子、ポリメチルグルタミン酸、ポリビニルアルコール等の有機担体等が挙げられる。これらの担体のうち、耐薬品性や価格の点で、無機担体が好ましく、汎用性が高い点でシリカゲルが特に好ましい。
担体の形状としては、球状(例えば、球状粒子等)、粒状、繊維状、顆粒状、モノリスカラム、中空糸、膜状(例えば、平膜)等の、一般的に分離基材として使用される形状が利用可能である。特に限定するものではないが、これらのうち、球状、膜状、粒状、顆粒状又は繊維状のものが好ましい。球状、粒状又は顆粒状担体は、カラム法やバッチ法で使用する際、その使用体積を任意に設定できることから、特に好ましく用いられる。
球状、粒状又は顆粒状担体の粒子サイズとしては、特に限定するものではないが、例えば、平均粒径1μm〜10mmの範囲のものを用いることができ、このうち、操作性と吸着容量の点で2μm〜1mmの範囲が好ましい。
本発明の分離剤に含まれるS元素とN元素の元素比(S/N)は、例えば元素分析を行うことにより算出することができる。元素比(S/N)は特に限定するものではないが、0.94〜1.00のものが好ましい。元素比(S/N)を0.94以上とすることで、ロジウムイオンの選択率が向上する。
担体の平均細孔径は、例えば、水銀圧入法で算出することができる。平均細孔径は特に限定するものではないが、2μm以上のものが好ましい。担体の平均細孔径を2μm以上とすることで、ロジウムイオン吸着量が向上する。
本発明の分離剤の製造法としては、特に限定するものではないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。すなわち、後述するアミノ基を有する担体(以下、「アミノ化担体」という)と、下記一般式(3)で示されるスルフィド含有カルボン酸化合物とを反応させる(以下、「固定化反応」という)ことによって製造することができる。
上記一般式(3)で示されるスルフィド含有カルボン酸化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩等のスルフィド含有カルボン酸塩、カルボン酸メチルエステル、カルボン酸エチルエステル等のエステル化物、2分子のスルフィド含有カルボン酸化合物が脱水縮合した酸無水物等が挙げられる。
アミノ化担体としては、特に限定するものではないが、例えば、アミノ化シリカゲル、アミノ化アルミナ、アミノ化ジルコニア、アミノ化チタニア、アミノ化マグネシア、アミノ化ガラス等のアミノ化無機担体、アミノ化スチレン−ジビニルベンゼン架橋体、ポリアリルアミン粒子、ポリリジン粒子、ポリビニルアミン粒子、アミノ化ポリメチルグルタミン酸、アミノ化ポリビニルアルコール等のアミノ化有機担体等を挙げることができる。
アミノ化担体としては、市販品を用いることもできるし、前述した担体を一般公知の方法によってアミノ化したものを用いることもでき、特に限定されない。
担体のアミノ化方法としては、特に限定するものではないが、例えば、前述した担体とアミノ基を有するシランカップリング剤とを混合し、反応させること(以下、「シランカップリング反応」という)等によって製造することができる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(4)で示されるシランカップリング剤が挙げられる。
上記一般式(4)において、Yで表されるアミノアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基、6−アミノヘキシル基、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピル基、N−6−(アミノヘキシル)−3−アミノプロピル基等が挙げられる。
シランカップリング反応におけるアミノ基を有するシランカップリング剤の使用量としては、特に限定するものではないが、例えば、担体1kgに対し、0.1〜10モルの範囲から選ばれる。このうち、アミノ基の導入効率及び経済性の点で、0.5〜5モルの範囲が好ましい。
上記のシランカップリング反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、この反応を阻害するものでなければ特に制限はないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒が好ましく用いられる。溶媒の使用量は、特に限定するものではないが、アミノ基を有するシランカップリング剤に対し、通常、2〜40重量部、好ましくは4〜15重量部の範囲である。
シランカップリング反応における反応温度は、0〜200℃の範囲が好ましく、30〜110℃がより好ましい。この温度範囲にすることで、シランカップリング反応が十分に進行する。
シランカップリング反応における反応時間は、アミノ基を有するシランカップリング剤の濃度、反応温度等によって変化するため、特に限定するものではないが、通常、数分〜24時間の範囲で行われる。
シランカップリング反応によって得られたアミノ化担体は、ろ過、洗浄操作によって、反応液中の他の成分から容易に分離することができる。
固定化反応における、上記一般式(3)で示されるスルフィド含有カルボン酸化合物の使用量は、アミノ化担体の窒素含有量に対し1〜10倍モルとすることが好ましく、1.2〜3倍モルがより好ましい。当該スルフィド含有カルボン酸化合物の使用量が、アミノ化担体の窒素含有量に対し1倍モル以上であれば、固定化反応が十分に進行し、10倍モル以下であれば、経済的に好ましい。
固定化反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に制限はないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒が好ましく用いられる。溶媒の使用量は、特に限定するものではないが、上記一般式(3)で示されるスルフィド含有カルボン酸化合物に対し、通常、2〜40重量部、好ましくは3〜15重量部の範囲である。
固定化反応においては、反応液に反応促進剤を添加することもできる。反応促進剤としては、特に限定するものではないが、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジフェニルリン酸アジド、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスジメチルアミノホスホニウムクロリド、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド等の脱水縮合剤、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸、4−トリフルオロメチルフェニルボロン酸、3,4,5−トリフルオロフェニルボロン酸、3−ニトロフェニルボロン酸等のボロン酸誘導体等が挙げられる。これらの脱水縮合剤又はボロン酸誘導体としては、市販の試薬をそのまま使用することができる。
脱水縮合剤の使用量としては、特に限定するものではないが、例えば、上記一般式(3)で示されるスルフィド含有カルボン酸化合物1モルに対し、通常1〜10倍モルの範囲から選ばれる。反応促進効果と経済性の点からは1〜3倍モルの範囲が好ましい。脱水縮合剤を用いる場合は、反応性を向上させる目的で、さらに1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド等の添加剤を添加しても良い。
これら添加剤の使用量としては、特に限定するものではないが、例えば、上記一般式(3)で示されるスルフィド含有カルボン酸化合物1モルに対し、1〜10倍モルの範囲から選ばれる。反応促進効果と経済性の点からは1〜3倍モルの範囲が好ましい。
また、ボロン酸誘導体の使用量としては、特に限定するものではないが、上記一般式(3)で示されるスルフィド含有カルボン酸化合物1モルに対し、0.0001〜1倍モルの範囲から選ばれる。反応促進効果と経済性の点からは0.001〜0.5倍モルの範囲が好ましく、0.005〜0.1倍モルの範囲がさらに好ましい。
固定化反応における反応温度は、特に限定するものではないが、例えば、0〜200℃の範囲が好ましく、100〜180℃の範囲がより好ましい。
固定化反応における反応時間は、上記一般式(3)で示されるスルフィド含有カルボン酸化合物及び反応促進剤の濃度、並びに反応温度等によって変化するが、通常、数分〜24時間の範囲である。
上記の固定化反応によって得られた本発明の分離剤は、ろ過、洗浄、乾燥等の操作によって、反応液中の他の成分から、容易に分離することができる。
本発明の分離剤は、上記した方法以外の製造法でも製造することができる。
上記した方法以外の製造法としては、例えば、下記一般式(5)
上記一般式(5)で示されるスルフィド含有アミン化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、2−アミノエチルメチルスルフィド、2−アミノエチルエチルスルフィド、3−アミノプロピルメチルスルフィド等が挙げられる。
この反応条件としては、一般的な反応条件を用いることができ、特に限定するものではないが、上述した固定化反応の条件と同様の反応条件を採用することが好ましい。
上記一般式(5)で示されるスルフィド含有アミン化合物は、例えば、塩酸塩や臭素酸塩等の塩類として用いても良い。
カルボキシル基を有する担体としては、公知のカルボキシル基を有する担体を用いても良い。また、公知の方法を用いて、公知の担体表面にカルボキシル基を導入した担体を用いることもできる。このとき、カルボキシル基はカルボキシメチル基やカルボキシエチル基のようにエステル化されていても良い。
公知のカルボキシル基を有する担体としては、特に限定するものではないが、例えば、カルボキシル基を有するシリカゲル(具体的には、SCカルボキシル基修飾シリカマイクロスフィア、ニップンテクノクラスタ社製)、カルボキシル基を有するイオン交換樹脂等を挙げることができる。
また、上記以外の製造法として、例えば、上記一般式(1)又は(2)で示される置換基を有するスルフィド含有カルボン酸化合物を、公知の方法で、担体に化学結合させる方法を用いることもできる。例えば、上記一般式(3)で示されるスルフィド含有カルボン酸化合物と上記一般式(4)で示されるアミノ基を有するシランカップリング剤との反応物を無機担体と反応させる方法が挙げられる。
次に、本発明の分離剤を使用するロジウムイオンの吸着方法について説明する。
本発明において、ロジウムイオンの吸着方法は、本発明の分離剤とロジウムイオンを含有する溶液とを接触させることにより行われる。
ロジウムイオンを含有する溶液と本発明の分離剤とを接触させる方法としては、特に限定するものではないが、例えば、ロジウムイオンを含有する溶液と本発明の分離剤とを混合したスラリーを調製し、これを攪拌する方法(流動床)が挙げられる。また、本発明の分離剤をカラム等に充填し、ロジウムイオンを含有する溶液を流通して接触させる方法(固定床)が挙げられる。
上記したロジウムの吸着方法において、本発明の分離剤と接触させるロジウムイオンを含有する溶液としては、特に限定するものではないが、例えば、自動車排ガス処理触媒や宝飾品を溶解した溶液や、白金族金属の湿式精錬工程における酸浸出後の溶液が挙げられる。
上記したロジウムイオンを含む溶液は、ロジウムイオンの他に、銅イオン、鉄イオン、ニッケルイオン、亜鉛イオン等の卑金属イオンを含有していても良い。この溶液を本発明のロジウムイオンの分離方法で分離すると、ロジウムイオンを選択的に分離することが可能となる。
一方、上記したロジウムイオンを含む溶液は、白金イオン、パラジウムイオン、又はそれらの両方を実質的に含有しないことが望ましい。
このため、例えば、ロジウムイオンと白金イオンとを含有する溶液からロジウムイオンを選択的に分離する場合は、この溶液と白金分離剤とを接触させ、白金イオンを吸着させて分離し、事前に白金イオンを除去することが好ましい。
また、ロジウムイオンとパラジウムイオンとを含有する溶液からロジウムイオンを選択的に分離する場合は、この溶液とパラジウム分離剤とを接触させ、白金イオンを吸着させて分離し、事前に白金イオンを除去することが好ましい。
なお、本発明において、「白金イオン、パラジウムイオン、又はそれらの両方を実質的に含有しない」とは、本発明の分離剤によるロジウムイオンの吸着に悪影響を及ぼさない程度に白金イオン、パラジウムイオン、又はそれらの両方が除去されていることをいう。
ここで、白金分離剤、パラジウム分離剤としては、特に限定されず、例えば、従来公知の白金分離剤、パラジウム分離剤を使用することができる。また、上記一般式(1)で示される官能基が担体に結合している分離剤を白金分離剤、パラジウム分離剤としても使用することができる。
ロジウムイオンを含有する溶液としては、特に限定されず、水溶液、有機溶媒の溶液のいずれであってもよいが、環境負荷の点で、水溶液が好ましく用いられる。
ロジウムイオンを含む溶液の液性としては、特に限定するものではないが、例えば、水溶液である場合は、酸性であることが好ましい。ロジウムイオンを含む溶液を酸性にするために用いられる酸としては、特に限定するものではないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸が挙げられる。これらのうち、硝酸がロジウムイオンの吸着速度を考慮した場合、特に好ましい。また、上記一般式(1)又は(2)で示される官能基において、Rが複素環基を有する場合は、塩酸が好適に用いられる。
ロジウムイオンを含む溶液における酸濃度としては、特に限定するものではないが、0.1〜10mol/L(リットル)の範囲が好ましく、0.1〜5mol/Lの範囲がより好ましい。この範囲の酸濃度であれば、本発明の分離剤の吸着効率を損なうことなくロジウムイオンの吸着を行うことができる。
また、ロジウムイオンを含む溶液が有機溶媒の溶液である場合、有機溶媒の種類は特に限定されず、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、N,N´−ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、アセトン、メタノール、エタノール等の一般的な有機溶媒を用いることができる。
ロジウムイオンの分離方法において、本発明の分離剤の使用量は、上記ロジウムイオンを含む溶液中のロジウムイオン1モルに対し、本発明の分離剤中の硫黄量が0.1〜100倍モルになる量とすることが好ましく、0.5〜10倍モルになる量とすることがより好ましい。
次に、本発明の分離剤を使用するロジウムイオンの分離方法について説明する。
本発明において、ロジウムイオンの分離方法は、上記したロジウムイオンの吸着方法により、ロジウムイオンを吸着した本発明の分離剤と脱離剤とを接触させ、ロジウムイオンを脱離させることにより行われる。
ロジウムイオンを吸着した本発明の分離剤と脱離剤とを接触させる方法としては、特に限定するものではないが、例えば、ロジウムイオンの吸着方法と同じ条件下での接触方法を挙げることができる。
ロジウムイオンの分離方法において用いられる脱離剤としては、特に限定するものではないが、例えば、アンモニア、チオ尿素、メチオニン、エチレンジアミン等が挙げられる。これらのうち、脱離効率及び脱離速度の点でチオ尿素が特に好ましい。これらの脱離剤は、担体の物性によって適切なものを選択することが好ましい。
脱離剤は、液体の場合は市販品をそのまま用いることもできるし、任意の溶媒に溶解した溶液として用いることもできる。脱離剤溶液として用いる場合、特に限定するものではないが、例えば、有機溶液、有機−水混合溶液、水溶液又は酸性水溶液等として用いることができる。このうち、環境負荷の点で水溶液又は酸性水溶液として用いることが好ましい。また、酸性水溶液とする場合は、特に限定するものではないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸を用いることができる。酸性水溶液の酸濃度としては、0.1〜10mol/Lの範囲が好ましく、0.1〜5mol/Lの範囲がより好ましい。
脱離剤溶液の脱離剤濃度としては、特に限定するものではないが、例えば、1〜99重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲が選ばれる。
脱離剤の使用量は、特に限定するものではないが、例えば、本発明の分離剤中の硫黄量1モルに対して、2〜10000倍モルの範囲であり、5〜1000倍モルの範囲が、脱離効率及び経済性の点で好ましい。
上記の分離方法を行うことによって、脱離したロジウムイオンを含む脱離液(以下、「ロジウムイオン脱離液」という)が得られる。
次に、ロジウムイオン脱離液からロジウムを回収する方法について説明する。
ロジウムイオン脱離液中のロジウムイオンは、例えば、還元処理やキレート剤の添加等の従来公知の方法により、金属ロジウム又はロジウム錯体として沈殿させることができ、さらに、ろ過等の方法により、回収することができる。
ロジウムイオン脱離液の還元処理方法としては、特に制限はなく、目的や設備に応じて種々の方法を用いることができる。例えば、電気分解による電解還元法やヒドラジン等の還元剤を添加する化学的還元方法が挙げられる。
ロジウムイオン脱離液の還元処理は、酸性条件、中性条件、又は塩基性条件のいずれの条件でも実施可能であるが、ロジウムイオンの還元効率及び設備の腐食性を抑える点から、pH6以上8以下の中性条件が好ましい。ロジウムイオン脱離液の中和剤としては、特に限定するものではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重曹、消石灰などの無機塩基化合物を好ましく用いることができる。中でも水酸化ナトリウムが中和剤としてより好ましく用いられる。
ロジウムイオン脱離液の還元処理の操作は、通常、常圧、大気雰囲気下で実施されるが、加圧又は減圧条件、不活性ガス雰囲気下で実施することもできる。該還元処理の操作は、通常4〜100℃の温度範囲で実施されるが、10〜50℃の温度範囲がより好ましい。
金属ロジウム又はロジウム錯体の沈殿物のろ過方法としては、例えば、メンブレンフィルター、ろ紙、ろ布、グラスフィルター等を用いる方法が挙げられるが、操作の容易性から、メンブレンフィルター又はろ紙によるろ過が好ましい。
ろ過により得られた金属ロジウム又はロジウム錯体の沈殿物は、ロジウムの融点以上に加熱して溶融させることで、99.9%以上の高純度の金属ロジウムとして分離することができる。
以上の操作によって、本発明の分離剤を用いて、ロジウムの分離回収が行われる。
本発明の分離剤を使用するロジウムイオンの分離方法では、操作性、輸送性、及び繰り返し利用の点から、本発明の分離剤はカラム等に充填して用いることが好ましい。
本発明の分離剤を充填するカラムとしては、耐酸性、耐塩基性、及び耐薬品性に優れる素材のものが好ましく、例えば、ガラス製、アクリル樹脂製等が好ましく用いられる。当該カラムとしては、市販品を用いることができる。
本発明のロジウムイオンの分離方法では、本発明の分離剤は、既存又は市販の吸着分離装置と組み合わせて使用することもでき、さらには、任意に送液装置などと組み合わせて使用することもできる。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定して解釈されるものではない。
(分析方法)
1.水溶液中の金属イオン濃度は、ICP発光分光分析装置(OPTIMA3300DV、Perkin Elmaer社製)で測定した。また、有機溶媒中の金属濃度は、有機溶媒を留去して得られた残渣を王水に溶解してICP発光分光分析装置で測定した。
1.水溶液中の金属イオン濃度は、ICP発光分光分析装置(OPTIMA3300DV、Perkin Elmaer社製)で測定した。また、有機溶媒中の金属濃度は、有機溶媒を留去して得られた残渣を王水に溶解してICP発光分光分析装置で測定した。
2.窒素含有量は、全自動元素分析装置(2400II、パーキンエルマージャパン社製)で測定した。
3.硫黄含有量は、イオンクロマトグラフィー法で測定した。イオンクロマトグラフィー測定は、以下の前処理、装置、及び測定条件で行った。
前処理:試料を自動試料燃焼装置(AQF−100、三菱化学アナリティック社製)に導入し、燃焼生成したSO42−を吸着液(内部標準物質PO4−)で捕集した。
測定装置:東ソー社製 IC−2001,
分離カラム:TSKgel SuperIC−AP(4.6mmΦ×150mm),
検出器:電気伝導検出器,
溶離液:2.7mmol/L NaHCO3 及び 1.8mmol/L Na2CO3。
分離カラム:TSKgel SuperIC−AP(4.6mmΦ×150mm),
検出器:電気伝導検出器,
溶離液:2.7mmol/L NaHCO3 及び 1.8mmol/L Na2CO3。
4.分離剤の平均細孔径は、日本BEL社製の測定装置(型式:BELSORP−mini)を用い、BET法に則り、窒素吸着法で測定した。
5.分離剤の平均粒子径は、日機装社製のマイクロトラックMT3300を用い、レーザー回折法で測定した。
実施例1 実施例2〜5で使用した分離剤の調製.
官能基の担体への結合を含めて模式的に表した下記式(6)で示される分離剤を、以下の方法に従って調製した。
官能基の担体への結合を含めて模式的に表した下記式(6)で示される分離剤を、以下の方法に従って調製した。
次に、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸 0.005g、及び48gの(エチルチオ)酢酸を量り取り、激しく攪拌しながら、24時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応混合物をろ過し、ろ取した固体をメタノールで洗浄して、以下の特徴を有する分離剤を得た。
硫黄含有量1.34mmol/g、窒素含有量1.43mmol/g,
平均細孔径4μm、平均粒子径60μm。
平均細孔径4μm、平均粒子径60μm。
得られた分離剤を用いて、以下に示すとおり、ロジウム吸着率、分離剤へのロジウム吸着量の評価を行った。
ロジウム吸着率は、以下の計算式により算出した。
ロジウム吸着率(%)=[(ロジウムイオン初濃度−分離剤によるロジウム吸着後の液中のロジウムイオン濃度)÷ロジウムイオン初濃度]×100%。
実施例2.
ロジウムイオンを100mg/L含む5mol/L硝酸溶液10mLに、実施例1で調整した分離剤を0.1g添加して室温で24時間攪拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液中の残存金属濃度を測定した。残存金属濃度と初濃度からロジウムイオンの吸着率を求めた結果、ロジウム吸着率は95.0%であった。
ロジウムイオンを100mg/L含む5mol/L硝酸溶液10mLに、実施例1で調整した分離剤を0.1g添加して室温で24時間攪拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液中の残存金属濃度を測定した。残存金属濃度と初濃度からロジウムイオンの吸着率を求めた結果、ロジウム吸着率は95.0%であった。
実施例3.
ロジウムイオン、銅イオン、鉄イオン、ニッケルイオン、及び亜鉛イオンを各々100mg/L含む5mol/L硝酸溶液10mLに、実施例1で調製した分離剤を0.1g添加して室温で24時間攪拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液中の残存金属濃度を測定した。残存金属濃度と初濃度から各金属イオンの吸着率を求めた結果、ロジウム吸着率は89.8%、銅吸着率は1.8%、鉄吸着率は4.7%、ニッケル吸着率は0%、亜鉛吸着率は0.2%であり、ロジウムイオンが選択的に吸着された。
ロジウムイオン、銅イオン、鉄イオン、ニッケルイオン、及び亜鉛イオンを各々100mg/L含む5mol/L硝酸溶液10mLに、実施例1で調製した分離剤を0.1g添加して室温で24時間攪拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液中の残存金属濃度を測定した。残存金属濃度と初濃度から各金属イオンの吸着率を求めた結果、ロジウム吸着率は89.8%、銅吸着率は1.8%、鉄吸着率は4.7%、ニッケル吸着率は0%、亜鉛吸着率は0.2%であり、ロジウムイオンが選択的に吸着された。
実施例4.
様々な濃度のロジウムイオンを含む5mol/L硝酸溶液10mLに、実施例1で調製した分離剤を0.1g添加して室温で24時間攪拌した。その結果、図1に示すようなロジウム吸着量と吸着後に水溶液中に残存しているロジウムイオン濃度との関係が得られた。この結果から、分離剤に対するロジウムイオンの飽和吸着量は65mg/gと求められた。
様々な濃度のロジウムイオンを含む5mol/L硝酸溶液10mLに、実施例1で調製した分離剤を0.1g添加して室温で24時間攪拌した。その結果、図1に示すようなロジウム吸着量と吸着後に水溶液中に残存しているロジウムイオン濃度との関係が得られた。この結果から、分離剤に対するロジウムイオンの飽和吸着量は65mg/gと求められた。
実施例5.
ロジウムイオンを500mg/L含む5mol/L硝酸溶液50mLに、実施例1で調製した分離剤を0.5g添加して室温で24時間攪拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液中の残存ロジウムイオン濃度と初濃度からロジウムイオンの吸着量を吸着剤1g当たり44.4mgと算出した。次に、ろ取した分離剤を水洗後、乾燥した後、その内の20mgを、チオ尿素濃度5重量%の1mol/L塩酸溶液として調製した脱離剤10mL中に加え、室温で2時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液中のロジウムイオン濃度からロジウムイオンの脱離量を求めた結果、ロジウムイオンの脱離率は36%であった。
ロジウムイオンを500mg/L含む5mol/L硝酸溶液50mLに、実施例1で調製した分離剤を0.5g添加して室温で24時間攪拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液中の残存ロジウムイオン濃度と初濃度からロジウムイオンの吸着量を吸着剤1g当たり44.4mgと算出した。次に、ろ取した分離剤を水洗後、乾燥した後、その内の20mgを、チオ尿素濃度5重量%の1mol/L塩酸溶液として調製した脱離剤10mL中に加え、室温で2時間撹拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液中のロジウムイオン濃度からロジウムイオンの脱離量を求めた結果、ロジウムイオンの脱離率は36%であった。
実施例6.
官能基の担体への結合を含めて模式的に表した下記式(7)で示される分離剤を、以下の方法に従って調製した。
官能基の担体への結合を含めて模式的に表した下記式(7)で示される分離剤を、以下の方法に従って調製した。
硫黄含有量1.18mmol/g、窒素含有量1.42mmol/g,
平均細孔径4μm、平均粒子径60μm。
平均細孔径4μm、平均粒子径60μm。
実施例7.
官能基の担体への結合を含めて模式的に示した下記式(8)で示される分離剤を、以下の方法に従って調製した。
官能基の担体への結合を含めて模式的に示した下記式(8)で示される分離剤を、以下の方法に従って調製した。
硫黄含有量1.10mmol/g、窒素含有量2.33mmol/g,
平均細孔径4μm、平均粒子径60μm。
平均細孔径4μm、平均粒子径60μm。
ロジウムイオンを100mg/L含む1mol/L塩酸溶液10mLに、この分離剤を0.1g添加して室温で24時間攪拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液中の残存金属濃度を測定した。残存金属濃度と初濃度からロジウムイオンの吸着率を求めた結果、ロジウム吸着率は46.0%であった。
実施例8.
クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)をジクロロメタンに溶解し、ロジウムイオンを200mg/L含むジクロロメタン溶液20mLを調製した。実施例7で調製した分離剤を0.15g添加して室温で1時間攪拌した。残存金属濃度と初濃度からロジウムイオンの吸着率を求めた結果、ロジウム吸着率は89.8%であった。
クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)をジクロロメタンに溶解し、ロジウムイオンを200mg/L含むジクロロメタン溶液20mLを調製した。実施例7で調製した分離剤を0.15g添加して室温で1時間攪拌した。残存金属濃度と初濃度からロジウムイオンの吸着率を求めた結果、ロジウム吸着率は89.8%であった。
実施例9.
酢酸ロジウム(II)ダイマーをテトラヒドロフランに溶解し、ロジウムイオンを200mg/L含むテトラヒドロフラン溶液20mLを調製した。実施例7で調製した分離剤を0.15g添加して室温で1時間攪拌した。残存金属濃度と初濃度からロジウムイオンの吸着率を求めた結果、ロジウム吸着率は83.7%であった。
酢酸ロジウム(II)ダイマーをテトラヒドロフランに溶解し、ロジウムイオンを200mg/L含むテトラヒドロフラン溶液20mLを調製した。実施例7で調製した分離剤を0.15g添加して室温で1時間攪拌した。残存金属濃度と初濃度からロジウムイオンの吸着率を求めた結果、ロジウム吸着率は83.7%であった。
比較例1.
実施例1で調製した分離剤の代わりに三菱化学製ダイヤイオンSA10Aをロジウム分離剤として用い、ロジウムイオンを100mg/L含む5mol/L硝酸溶液10mLに、当該分離剤を0.1g添加して室温で24時間攪拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液中の残存金属濃度を測定した。残存金属濃度と初濃度から各金属イオンの吸着率を求めた結果、ロジウム吸着率は5%と低かった。
実施例1で調製した分離剤の代わりに三菱化学製ダイヤイオンSA10Aをロジウム分離剤として用い、ロジウムイオンを100mg/L含む5mol/L硝酸溶液10mLに、当該分離剤を0.1g添加して室温で24時間攪拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液中の残存金属濃度を測定した。残存金属濃度と初濃度から各金属イオンの吸着率を求めた結果、ロジウム吸着率は5%と低かった。
比較例2.
実施例1で調製した分離剤の代わりにオルガノ製アンバーライトIRA96SBをロジウム分離剤として用いた以外は比較例1と同様に行った。その結果、ロジウム吸着率は1%と低かった。
実施例1で調製した分離剤の代わりにオルガノ製アンバーライトIRA96SBをロジウム分離剤として用いた以外は比較例1と同様に行った。その結果、ロジウム吸着率は1%と低かった。
比較例3.
実施例7で調製した分離剤の代わりに三菱化学製ダイヤイオンSA10Aをロジウム分離剤として用い、ロジウムイオンを100mg/L含む1mol/L塩酸溶液10mLに、当該分離剤を0.1g添加して室温で24時間攪拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液中の残存金属濃度を測定した。残存金属濃度と初濃度からロジウムイオンの吸着率を求めた結果、ロジウム吸着率は15.0%と低かった。
実施例7で調製した分離剤の代わりに三菱化学製ダイヤイオンSA10Aをロジウム分離剤として用い、ロジウムイオンを100mg/L含む1mol/L塩酸溶液10mLに、当該分離剤を0.1g添加して室温で24時間攪拌した。その後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ろ液中の残存金属濃度を測定した。残存金属濃度と初濃度からロジウムイオンの吸着率を求めた結果、ロジウム吸着率は15.0%と低かった。
比較例4.
酢酸ロジウム(II)ダイマーをテトラヒドロフランに溶解し、ロジウムイオンを200mg/L含むテトラヒドロフラン溶液20mLを調製した。実施例6で調製した分離剤の代わりにReaxa社製QuadraSil MPを分離剤として0.13g添加して室温で1時間攪拌した。残存金属濃度と初濃度からロジウムイオンの吸着率を求めた結果、ロジウム吸着率は10.6%と低かった。
酢酸ロジウム(II)ダイマーをテトラヒドロフランに溶解し、ロジウムイオンを200mg/L含むテトラヒドロフラン溶液20mLを調製した。実施例6で調製した分離剤の代わりにReaxa社製QuadraSil MPを分離剤として0.13g添加して室温で1時間攪拌した。残存金属濃度と初濃度からロジウムイオンの吸着率を求めた結果、ロジウム吸着率は10.6%と低かった。
本発明の分離剤は、複数の金属イオンを含有する溶液からロジウムイオンを選択的に分離でき、さらに、繰り返し使用が可能であり、経済的にも環境保全上からも貴金属回収分野において広範に使用することができる。
Claims (8)
- 一般式(1)又は(2)で示される官能基が、メチレン基、エチレン基、炭素数3〜8の直鎖、分岐若しくは環状のアルキレン基、又は炭素数6〜14のアリーレン基を介して担体に結合していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分離剤。
- 担体が無機担体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の分離剤。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の分離剤と、ロジウムイオンを含有する溶液とを接触させることを特徴とするロジウムイオンの吸着方法。
- 請求項5に記載のロジウムイオンの吸着方法により得られた、ロジウムイオンを吸着した分離剤と脱離剤とを接触させることを特徴とするロジウムイオンの分離方法。
- 脱離剤が、アンモニア、チオ尿素、メチオニン、及びエチレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項6に記載の分離方法。
- ロジウムイオンを含有する溶液からロジウムイオンを吸着し分離する剤としての請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の分離剤の使用。
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-
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