JP2014138305A - 高周波電力増幅器 - Google Patents

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浩光 内田
Koji Yamanaka
宏治 山中
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Abstract

【課題】トランジスタの寄生キャパシタンスを相殺するインダクタを小型に実現しつつ、トランジスタの高調波処理を容易にすることができる高周波電力増幅器を得る。
【解決手段】トランジスタチップ1に設けられた電極パターン9と第1の誘電体基板2に設けられた電極パターン6aとを接続する第1のボンディングワイヤ4aと、電極パターン6aと第1の誘電体基板2に設けられて先端開放スタブを構成する電極パターン6bとを接続する第2のボンディングワイヤ4bと、電極パターン9と第2の誘電体基板3の出力端子8に接続した電極パターン7とを接続する第3のボンディングワイヤ5とを備え、先端開放スタブの長さを2倍波周波数において2分の1波長未満とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、トランジスタチップと、誘電体基板上に構成されたインピーダンス整合回路とから構成される高周波電力増幅器に関するものである。
トランジスタチップと、インピーダンス整合回路が形成された誘電体基板からなる高周波電力増幅器において、トランジスタの有するシャントの寄生キャパシタンス成分を打ち消すために、トランジスタと上記誘電体基板の間に微小なチップキャパシタを配置して、トランジスタとチップキャパシタとの間をインダクタとして機能する金属ワイヤにより結線していた。
特許文献1には、トランジスタ出力側の電極パターンとチップキャパシタとの間を第1のボンディングワイヤで結線し、トランジスタ出力側の電極パターンと整合回路として機能する伝送線路との間を第2のボンディングワイヤで結線した高周波電力増幅器が示されている。この高周波電力増幅器によると、チップキャパシタは直流電流を阻止するとともに、高周波で電気的短絡状態を形成しており、また、第1のボンディングワイヤはインダクタとして機能するため、これらは併せて電気的に一端が短絡されたインダクタとして機能する。そして、第1のボンディングワイヤがトランジスタに対してシャントに接続されることでトランジスタが有する寄生キャパシタンス成分がほぼ相殺される。第2のボンディングワイヤと伝送線路により、増幅器出力に接続される負荷抵抗(通常50Ω)に対してインピーダンス整合が取られる。
特表2005−516444号公報
上述した従来の構成によれば、トランジスタの寄生キャパシタンスを相殺するためのシャントのインダクタンスが大きくなった場合に当該ボンディングワイヤの長さを大きくする必要があり、増幅器全体の寸法が大きくなってしまうという問題があった。
また、増幅器においては、その動作効率を向上させるために、増幅信号の高調波に対する負荷インピーダンスを適切な値とするいわゆる「高調波処理」が施されることが多い。しかし、上述した従来の構成によれば、トランジスタから出力側を見込んだ負荷回路は直列およびシャントのインダクタが並列接続された形となるため、その負荷インピーダンスは不可避的に大きな誘導性の高インピーダンスにならざるを得ない。このため、増幅器の高効率な動作級として知られるF級や逆F級の動作にて必要となる偶高調波または奇高調波インピーダンスが0という条件を実現することが困難になってしまうという問題もあった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、トランジスタの寄生キャパシタンスを相殺するインダクタを小型に実現しつつ、トランジスタの高調波処理を容易にすることができる高周波電力増幅器を得ることを目的とする。
この発明に係る高周波電力増幅器は、トランジスタチップと、第1の先端開放スタブを有する第1の誘電体基板と、出力端子を有する第2の誘電体基板と、トランジスタチップの電極と第1の誘電体基板または第2の誘電体基板どちらか一方に設けられた折り返し用電極とを接続する第1のボンディングワイヤと、折り返し用電極と第1の先端開放スタブとを接続する第2のボンディングワイヤと、トランジスタチップの電極と第2の誘電体基板の出力端子に接続した電極とを接続する第3のボンディングワイヤとを備えるものである。
この発明によれば、トランジスタの寄生キャパシタンスを相殺するインダクタを小型に実現しつつ、トランジスタの高調波処理を容易にすることができる高周波電力増幅器を得ることができる。
この発明の実施の形態1に係る高周波電力増幅器を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る高周波電力増幅器を示す図である。 この発明の実施の形態2に係る高周波電力増幅器を示す図である。 この発明の変形例を示す図である。
実施の形態1.
図1に、この発明の実施の形態1に係る高周波電力増幅器を示す。図1(a)、(b)は、高周波電力増幅器の出力側のみを描いたもので、(a)に示すように、トランジスタチップ1、第1の誘電体基板2、第2の誘電体基板3、第1のボンディングワイヤ4a、第2のボンディングワイヤ4b、第3のボンディングワイヤ5、第1の電極パターン6a、第2の電極パターン6b、第3の電極パターン7、第4の電極パターン9、増幅器の出力端子8、地導体10が備えられている。
図1では、第1の誘電体基板2を挟むように、第2の誘電体基板3とトランジスタチップ1がそれぞれ第1の誘電体基板2に隣接して配置されている。
トランジスタチップ1には、第4の電極パターン9が備えられている。第1の誘電体基板2には、第1の電極パターン6a、第2の電極パターン6bが備えられている。第1の電極パターン6aは、第2の誘電体基板3側に位置し、第2の電極パターン6bは、その一部がトランジスタチップ1側に位置して備えられている。第2の誘電体基板3には、第3の電極パターン7、第3の電極パターン7と接続した増幅器の出力端子8が備えられている。
第1のボンディングワイヤ4aは、トランジスタチップ1上の第4の電極パターン9と第1の誘電体基板2上の第1の電極パターン6aとの間に配線されている。第2のボンディングワイヤ4bは、第1の誘電体基板2上の第1の電極パターン6aと第2の電極パターン6bのトランジスタチップ1側に位置する部分との間に配線されている。第3のボンディングワイヤ5は、トランジスタチップ1上の第4の電極パターン9と第2の誘電体基板3上の第3の電極パターン7との間に配線されている。
第1の誘電体基板2上の第2の電極パターン6bは、先端開放スタブを構成しており、その長さは、増幅器に入力されて増幅器が動作する周波数の2倍高調波において長さ1/2波長未満となっている。
図1(b)は、(a)に示す高周波電力増幅器のA方向から見た立面図を示し、トランジスタチップ1、第1の誘電体基板2及び第2の誘電体基板3は、地導体10の上に備えられている。(b)に示すように、第2の誘電体基板3の厚さは、それに隣接する第1の誘電体基板2の厚さよりも厚くなっている。
また、第1のボンディングワイヤ4a、第2のボンディングワイヤ4b、第3のボンディングワイヤ5は、第1の誘電体基板2または第2の誘電体基板3に備えられた各電極パターンとの接続点以外では、誘電体基板表面とは接触しないように配線される。
この発明の実施の形態1に係る高周波電力増幅器の動作について説明する。まずその基本波周波数において、第1の誘電体基板2、第1のボンディングワイヤ4a、第2のボンディングワイヤ4b、第1の電極パターン6a、第2の電極パターン6bにより構成される回路は、第1のボンディングワイヤ4aからみると第2のボンディングワイヤ4bが折り返されて配線された構造を有し、第1のボンディングワイヤ4aと第2のボンディングワイヤ4bとからなるインダクタンス値の高いインダクタが容量性の先端開放スタブにより終端された、全体として大きな誘導性を呈する回路となっている。つまり、第1の電極パターン6aは、折り返し用電極として機能している。
従って、該回路をトランジスタチップ1上に形成された第4の電極パターン9に接続することにより、トランジスタの寄生容量が比較的小さい場合においても該容量が上記インダクタンス成分により相殺され、第2の誘電体基板3、第3のボンディングワイヤ5、第3の電極パターン7からなる整合回路により広帯域なインピーダンス整合、ひいては広帯域な高出力増幅器を実現することが可能となる。
また、前述したように、第1のボンディングワイヤ4aからみると第2のボンディングワイヤ4bが折り返されて配線された構造とすることにより、第1のボンディングワイヤ4aと第2のボンディングワイヤ4bとからなるインダクタ部の占有面積を低減できるため、トランジスタの寄生キャパシタンスを相殺するインダクタを小型に実現することができる。
さらに、第2の誘電体基板3の厚さを第1の誘電体基板2よりも厚くすることにより、第1のボンディングワイヤ4a、第2のボンディングワイヤ4bと、第3のボンディングワイヤ5が極度に近接しないようにできるため、両者の不要な相互結合に起因する増幅器の設計、製造誤差を低減することも可能となる。
次に、この発明の実施の形態1に係る高周波電力増幅器の2倍波周波数における動作について説明する。該周波数において、前述した第1の誘電体基板2に備えられた第2の電極パターン6bからなる先端開放スタブは、その長さが1/2波長未満となり、かつ、基本波では前述した第1のボンディングワイヤ4aと第2のボンディングワイヤ4bと併せて誘導性のインピーダンスを呈するように設計されている。
従って、先端開放スタブは、2倍波周波数における長さが1/2波長未満ではあるが1/2波長にやや近くなっており、よって2倍波周波数において第1の誘電体基板2、第1のボンディングワイヤ4a、第2のボンディングワイヤ4b、第1の電極パターン6a、第2の電極パターン6bにより構成される回路は極めて高い誘導性インピーダンスを呈することになる。
従って、特許文献1に示されるような従来の高周波電力増幅器に比べて、2倍波周波数でのインピーダンスをより大きくすることができ、例えば2倍波周波数でのインピーダンスを無限大とする逆F級増幅器を、本実施の形態によればより容易に実現することが可能となる。
以上のように、実施の形態1によれば、基本波周波数におけるトランジスタの寄生キャパシタンスを小型な構成で効果的に相殺するとともに、2倍波周波数におけるトランジスタの負荷インピーダンスを十分大きくすることが可能となり、増幅器の動作効率を向上させるための高調波処理をより容易にすることが可能となる。
なお、図2に示すように、折り返し用電極である第1の電極パターン6aを、第3の電極パターン7と電気的に隔離した状態で第2の誘電体基板3上に設け、第1のボンディングワイヤ4aを第4の電極パターン9と第1の電極パターン6aとの間に配線し、第2のボンディングワイヤ4bを第1の電極パターン6aと第2の電極パターン6bとの間に配線してもよい。この場合、上記図1を用いて説明した構造よりも、インダクタとして働く第1のボンディングワイヤ4aと第2のボンディングワイヤ4bの総ワイヤ長を長くすることができる。図2(b)は、(a)においてA方向から見た立面図である。
第1のボンディングワイヤ4aと第2のボンディングワイヤ4bの総ワイヤ長に関し、十分な長さを確保できるのであれば、第1の電極パターン6aは、第1の誘電体基板2または第2の誘電体基板3の任意の場所に設けてよい。
実施の形態2.
図3に、この発明の実施の形態2に係る高周波電力増幅器を示す。図3(a)、(b)は、高周波電力増幅器の出力側のみを描いたもので、(a)に示すように、実施の形態2に係る高周波電力増幅器は、第1の誘電体基板2上に第5の電極パターン6cが備えられている。そして、第4のボンディングワイヤ4cが、トランジスタチップ1上の第4の電極パターン9と第1の誘電体基板2上の第5の電極パターン6cとの間に配線されている。
第1の誘電体基板2上の第5の電極パターン6cは、先端開放スタブを構成し、その長さは、増幅器に入力されて増幅器が動作する周波数の2倍高調波あるいは3倍高調波において長さ1/4波長未満となっている。具体的には、2倍高調波あるいは3倍高調波において長さ1/4波長未満として先端開放スタブが容量性リアクタンスを呈するようにしつつ、かつ第4のボンディングワイヤ4cと併せて所望の2倍高調波あるいは3倍高調波でほぼ直列共振となるような長さとなっている。
図3(b)は、(a)においてA方向から見た立面図である。
その他の構造については、前述の実施の形態1と同様であり、同一の符号を付し、その説明を省略する。
この発明の実施の形態2に係る高周波電力増幅器の動作について説明する。
実施の形態2では、前述したように、実施の形態1に対して、2倍波周波数あるいは3倍波周波数において電気的短絡点を形成するための先端開放スタブを構成する第5の電極パターン6cと、トランジスタチップ1上の第4の電極パターン9とが、第4のボンディングワイヤ4cを介して接続されている点が異なる。
なお、第4のボンディングワイヤ4cは、第1の誘電体基板2に備えられた第5の電極パターン6cとの接続点以外では、第1の誘電体基板2表面とは接触しないように配線される。
先端開放スタブの長さは、2倍波周波数あるいは3倍波周波数において長さが1/4波長未満に設定され、第4のボンディングワイヤ4cのインダクタンス分と併せて当該高調波にてトランジスタからみた負荷インピーダンスを0、すなわち電気的短絡状態とされており、それにより前述した実施の形態1では難しい高調波での電気的短絡点の実現が可能となり、増幅器の高調波処理の設計自由度を確保することが可能となる。
なお、基本波周波数における動作については実施の形態1と同様である。
以上のように、実施の形態2によれば、トランジスタに対して高調波での電気的短絡状態を実現するような開放先端スタブを接続することにより、基本波にてトランジスタの寄生容量を相殺するような回路を小型に構成しつつ、高調波にて増幅器の適切な高調波処理を行うことが可能となる。
なお、インダクタとして働くボンディングワイヤの構成に関し、図1、図2、図3に示したものでは、第1のボンディングワイヤ4aと第2のボンディングワイヤ4bとの2本のワイヤのみで第4の電極パターン9、第1の電極パターン6a、第2の電極パターン6bの間を電気的に接続した、ボンディングワイヤ折り返し1回とみなされる構成としたが、適宜第1のボンディングワイヤ4aと第2のボンディングワイヤ4bとの間にボンディングワイヤを追加して折り返しを複数回行ってもよい。つまり、図1、図2、図3に示す第1のボンディングワイヤ4aと第2のボンディングワイヤ4bとの電気的な接続が、追加したボンディングワイヤを介して行われるようにし、インダクタとして働くボンディングワイヤが複数回折り返されているとみなされる構成にしてもよい。折り返しが多いほど、インダクタとして働くボンディングワイヤの総ワイヤ長を長くすることができる。
図4に、図1に示した実施の形態1に係る構成において、インダクタとして働くボンディングワイヤを2回折り返した構成としたものを示す。第1のボンディングワイヤ4aが、第4の電極パターン9と第1の電極パターン6aとの間に配線され、複数回折返し用ボンディングワイヤ4dが、他の電極パターンと電気的に隔離された複数回折返し用電極パターン6dと第1の電極パターン6aとの間に配線され、第2のボンディングワイヤ4bが、複数回折返し用電極パターン6dと第2の電極パターン6bとの間に配線される。
複数回折返し用ボンディングワイヤ4dを追加するにせよしないにせよ、第4の電極パターン9と第1の電極パターン6aとに接続される第1のボンディングワイヤ4aが、第2の電極パターン6bに接続される第2のボンディングワイヤ4bと、最終的に電気的に接続される構成であればよい。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 トランジスタチップ、2 第1の誘電体基板、3 第2の誘電体基板、4a 第1のボンディングワイヤ、4b 第2のボンディングワイヤ、4c 第4のボンディングワイヤ、4d 複数回折返し用ボンディングワイヤ、5 第3のボンディングワイヤ、6a 第1の電極パターン、6b 第2の電極パターン、6c 第5の電極パターン、6d 複数回折返し用電極パターン、7 第3の電極パターン、8 出力端子、9 第4の電極パターン、10 地導体。

Claims (4)

  1. トランジスタチップと、
    第1の先端開放スタブを有する第1の誘電体基板と、
    出力端子を有する第2の誘電体基板と、
    前記トランジスタチップの電極と、前記第1の誘電体基板または前記第2の誘電体基板どちらか一方に設けられた折り返し用電極とを接続する第1のボンディングワイヤと、
    前記折り返し用電極と、前記第1の先端開放スタブとを接続する第2のボンディングワイヤと、
    前記トランジスタチップの電極と、前記第2の誘電体基板の出力端子に接続した電極とを接続する第3のボンディングワイヤとを備えることを特徴とする高周波電力増幅器。
  2. 前記第1の先端開放スタブの長さを、入力される信号の2倍波周波数において2分の1波長未満としたことを特徴とする請求項1記載の高周波電力増幅器。
  3. 前記第2の誘電体基板の厚さを前記第1の誘電体基板の厚さよりも厚くしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の高周波電力増幅器。
  4. 前記第1の誘電体基板は前記トランジスタチップの電極と第4のボンディングワイヤで接続される第2の先端開放スタブを有し、
    前記第2の先端開放スタブの長さを、入力される信号の2倍波周波数あるいは3倍波周波数において4分の1波長未満としたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の高周波電力増幅器。
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