JP2014136303A - 構造物、構造物の製造方法、及び成形品の製造方法 - Google Patents

構造物、構造物の製造方法、及び成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】その一部に微細加工面が形成されるとともに、全体として複雑な3次元構造をもつ構造物を提供する。
【解決手段】構造物10は、凹部11と、凹部11に連通する第1流路12と、凹部11に連通する第2流路13とを有している。構造物10は、凹部11の下部21と第1流路12の底面22とを有する第1基材20と、第1基材20上に積層され、第1凹部貫通孔31と第1流路貫通孔32と第2流路13の底面33とを有する第2基材30と、第2基材30上に積層され、第2凹部貫通孔41と第2流路貫通孔42と第3流路貫通孔43とを有する第3基材40とを備えている。第1基材20の第1流路12の底面22および第2基材30の第2流路13の底面33に、それぞれ微細加工面24、34が設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、微細加工面を有する構造物、このような構造物の製造方法、及び成形品の製造方法に関する。
従来、構造物に対して大きさが1μm以下の凹凸パターンを形成する場合、フォトリソグラフィ法が多用されている。しかしながら、フォトリソグラフィ法を用いた場合、その形成するパターン形状がいかなる場合であれ、加工深さには限界が有る。このため、フォトリソグラフィ法を用いた加工は、平面的な加工に限定される事が多い。
一方、一般に切削加工では、構造物に、深さが大きい複雑な3次元形状を加工することが可能であるが、工具サイズの制限等により、その微細度には限界がある。このため、大きさが1μm以下の凹凸面を有する3次元構造物を製造する場合、フォトリソグラフィ法と切削加工方法とをうまく組み合わせる方法を考慮する必要がある。しかしながら、予め形状が付与された3次元構造物に対して、3次元構造物の表面よりも窪んだ位置にある部位に選択的にフォトリソグラフィ法を行い、その一部に1μm以下の凹凸パターンを形成する事は事実上不可能であり、フォトリソグラフィ法と切削加工方法と組み合わせる事は従来困難な作業であった。
特表2000−506432号公報 特開2011−53334号公報
特許文献1には、複数のプレートを積層して構成される多層部品の製造方法に関する発明が記載されている。この場合、第1のプレートを射出成型で成形した後、第1のプレート上に第2のプレートを射出成型し、以降同様の動作を繰り返して多層部品を製造することようになっている。しかしながら、特許文献1には、多層部品に微細加工面を設けることに関する記載はない。
一方、特許文献2には、材料表面に微細な凹凸を形成することで濡れ性を変化させることが開示されている。しかしながら、このような微細な凹凸を例えば流路の底面など複雑な3次元構造をもつ構造物に形成する方法については一切記載されていない。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、その一部に微細加工面が形成されるとともに、全体として複雑な3次元構造をもつ構造物を容易に作製することが可能な、構造物、構造物の製造方法、及び成形品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、凹部と、前記凹部に連通する第1流路とを有する構造物を製造する、構造物の製造方法であって、前記凹部の下部を有する第1基材を準備する工程と、前記第1基材のうち前記第1流路の底面に対応する箇所に、微細加工面を設ける工程と、前記凹部の上部を構成する第1凹部貫通孔と、前記第1流路を構成する第1流路貫通孔とを有する第2基材を準備する工程と、前記第1基材上に前記第2基材を積層する工程とを備えたことを特徴とする構造物の製造方法である。
本発明は、凹部と、前記凹部に連通する第1流路と、前記凹部に連通する第2流路とを有する構造物を製造する、構造物の製造方法であって、前記凹部の下部を有する第1基材を準備する工程と、前記第1基材のうち前記第1流路の底面に対応する箇所に、微細加工面を設ける工程と、前記凹部の中間部を構成する第1凹部貫通孔と、前記第1流路を構成する第1流路貫通孔とを有する第2基材を準備する工程と、前記第2基材のうち前記第2流路の底面に対応する箇所に、微細加工面を設ける工程と、前記凹部の上部を構成する第2凹部貫通孔と、前記第1流路の上部を構成する第2流路貫通孔と、前記第2流路を構成する第3流路貫通孔とを有する第3基材を準備する工程と、前記第1基材上に前記第2基材を積層するとともに、前記第2基材上に前記第3基材を積層する工程とを備えたことを特徴とする構造物の製造方法である。
本発明は、前記第2基材の前記第2流路の前記底面は、前記第2基材の他の面よりも親液性又は撥液性が高められていることを特徴とする構造物の製造方法である。
本発明は、前記第1基材の前記第1流路の前記底面は、前記第1基材の他の面よりも親液性又は撥液性が高められていることを特徴とする構造物の製造方法である。
本発明は、前記微細加工面は、1μm以下の開口寸法をもつ微細凹部を有することを特徴とする構造物の製造方法である。
本発明は、構造物の製造方法により構造物を作製する工程と、前記構造物を用いて、前記構造物を反転した形状を有する金型を作製する工程と、前記金型を用いて合成樹脂製の成形品を成形する工程とを備えたことを特徴とする成形品の製造方法である。
本発明は、凹部と、前記凹部に連通する第1流路とを有する構造物であって、前記凹部の下部と、前記第1流路の底面とを有する第1基材と、前記第1基材上に積層され、前記凹部の上部を構成する第1凹部貫通孔と、前記第1流路を構成する第1流路貫通孔とを有する第2基材とを備え、前記第1基材の前記第1流路の前記底面の少なくとも一部に、微細加工面を設けたことを特徴とする構造物である。
本発明は、凹部と、前記凹部に連通する第1流路と、前記凹部に連通する第2流路とを有する構造物であって、前記凹部の下部と、前記第1流路の底面とを有する第1基材と、前記第1基材上に積層され、前記凹部の中間部を構成する第1凹部貫通孔と、前記第1流路を構成する第1流路貫通孔と、前記第2流路の底面とを有する第2基材と、前記第2基材上に積層され、前記凹部の上部を構成する第2凹部貫通孔と、前記第1流路の上部を構成する第2流路貫通孔と、前記第2流路を構成する第3流路貫通孔とを有する第3基材とを備え、前記第1基材の前記第1流路の前記底面の少なくとも一部および前記第2基材の前記第2流路の前記底面の少なくとも一部に、それぞれ微細加工面を設けたことを特徴とする構造物である。
本発明は、前記第2基材の前記第2流路の前記底面は、前記第2基材の他の面よりも親液性又は撥液性が高められていることを特徴とする構造物である。
本発明は、前記第1基材の前記第1流路の前記底面は、前記第1基材の他の面よりも親液性又は撥液性が高められていることを特徴とする構造物である。
本発明は、前記微細加工面は、1μm以下の開口寸法をもつ微細凹部を有することを特徴とする構造物である。
本発明によれば、その一部に微細加工面が形成されるとともに、全体として複雑な3次元構造をもつ構造物を容易に作製することができる。
図1は、本発明の一実施の形態による構造物を示す斜視図。 図2は、本発明の一実施の形態による構造物を示す分解斜視図。 図3(a)〜(b)は、微細加工面を示す拡大概略斜視図。 図4(a)〜(h)は、構造物の製造方法を示す断面図。 図5(a)〜(b)は、構造物の製造方法を示す断面図。 図6は、構造物を用いて作製された金型を示す斜視図。 図7は、金型を用いて作製された成形品を示す斜視図。 図8は、本発明の一変形例による構造物を示す斜視図。 図9は、本発明の一変形例による構造物を示す分解斜視図。
以下、図面を参照しながら本発明の各実施形態について説明する。図面は例示であり、説明のために特徴部を誇張することがあり、実物とは異なる場合がある。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
(構造物)
まず本発明の一実施形態に係る構造物の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る構造物の斜視図であり、図2は、本発明の一実施形態に係る構造物の分解斜視図である。
図1に示すように、構造物10は、全体として略直方体形状を有しており、その略中央部に設けられた凹部11と、凹部11に連通する第1流路12と、凹部11に連通する第2流路13とを備えている。
このうち凹部11は、平面円形状を有するとともに、構造物10の厚み方向(Z方向)に貫通しない凹形状を有している。なお、凹部11の深さは任意であり、フォトリソグラフィで作れる深さであっても良いし(例えば10μm)、フォトリソグラフィで作れない深さであっても良い(例えば1mm)。凹部11の径は、例えば200mm以下(フォトリソグラフィで作製可能な径)としても良い。なお、凹部11の平面形状は、円形状に限られるものではなく、例えば楕円形状や、正方形状等の多角形状等としても良い。
第1流路12は、凹部11から一方向(X軸プラス方向)に延びるとともに、構造物10の厚み方向(Z方向)に貫通しない凹形状を有している。第1流路12は平面直線(長方形)形状を有しているが、これに限られるものではなく、湾曲した形状や、蛇行した形状であっても良い。なお、第1流路12の深さは任意であり、フォトリソグラフィで作れる深さであっても良いし(例えば10μm)、フォトリソグラフィで作れない深さであっても良い(例えば1mm)。
第2流路13は、凹部11を挟んで第1流路12の反対方向(X軸マイナス方向)に延びるとともに、構造物10の厚み方向(Z方向)に貫通しない凹形状を有している。第2流路13は平面直線形状(長方形)を有しているが、これに限られるものではなく、湾曲した形状や、蛇行した形状であっても良い。なお、第2流路13の深さは、第1流路12の深さより浅い任意の深さであり、フォトリソグラフィで作れる深さであっても良いし(例えば10μm)、フォトリソグラフィで作れない深さであっても良い(例えば1mm)。また第2流路13の幅は、第1流路12の幅より狭くしても良く、例えば200mm以下(フォトリソグラフィで作製可能な幅)としても良い。なお、第1流路12と第2流路13との関係は、図示するように一直線状に並ぶように配置される態様に限ることなく、任意の位置関係を採用してもよい。
図2を参照すると、構造物10は、平板状の基材20、30、40を三層積層した構造を有している。すなわち、構造物10は、裏面側(Z軸マイナス側)に位置する第1基材20と、第1基材20上に積層された第2基材30と、第2基材30上に積層され、表面側(Z軸プラス側)に位置する第3基材40とを有している。これら第1基材20、第2基材30および第3基材40は、いずれもその外周は長方形であり、互いに同一の外周形状を有している。
このうち第1基材20は、凹部11の下部21と、第1流路12の底面22とを有している。下部21は、平面円形状の凹部底面21aと、凹部底面21aの周囲に位置する側面21bとを有している。なお、第1基材20の厚みは任意であり、例えば100μm〜1mmとしてもよく、下部21の深さも任意である。
また、底面22には、微細加工面24が設けられている。この微細加工面24は、図3(a)〜(b)に示すように、1μm以下(ナノオーダー)の開口寸法をもつ多数(複数)の微細凹部51、52が形成されている。
このような微細凹部は、図3(a)に示すように、それぞれ微細孔51からなっていても良い。図3(a)において、多数(複数)の微細孔51は、互いに同一形状を有するとともに、縦横それぞれ均等な間隔でマトリックス状に配置されている。具体的には、微細孔51のピッチpは1μm以下であり、好ましくは500nm〜1μmである。また、微細孔51の幅wは、1μm以下であり、800nm以下とすることが更に好ましい。また、微細孔51の深さdは、50nm〜1μmとすることが好ましい。なお、微細孔51の平面形状は、正方形状に限られるものではなく、円形状、楕円形状、多角形状等としても良い。
あるいは、図3(b)に示すように、微細加工面24に形成された多数の微細凹部は、それぞれ微細溝52からなっていても良い。図3(b)において、多数(複数)の微細溝52は、縦横それぞれ均等な間隔でマトリックス状に配置されている。具体的には、微細溝52のピッチpは1μm以下であり、好ましくは500nm〜1μmである。また、微細溝52の幅wは、1μm以下であり、800nm以下とすることが更に好ましい。また、微細溝52の深さdは、50nm〜1μmとすることが好ましい。なお、微細溝52は、縦横に配置される場合に限らず、斜め方向に延びていても良い。
なお、微細加工面24は、底面22の全域に形成されていても良く、底面22の一部の領域のみに形成されていても良い。
再度図2を参照すると、第2基材30は、凹部11の中間部を構成する第1凹部貫通孔31と、第1流路12を構成する第1流路貫通孔32と、第2流路13の底面33とを有している。このうち第1凹部貫通孔31は、第1基材20の下部21と同一の平面形状(円形状)を有しており、第1流路貫通孔32は、第1基材20の底面22と同一の平面形状(長方形形状)を有している。なお、第2基材30の厚みは任意であり、例えば100μm〜1mmとしても良い。
また、底面33には、微細加工面34が設けられている。この微細加工面34には、図3(a)〜(b)に示すように、1μm以下の開口寸法をもつ多数(複数)の微細凹部51、52が形成されている。なお、第2基材30の微細加工面34に形成される微細凹部51、52の構成は、上述した第1基材20の微細加工面24に形成される微細凹部51、52の構成と略同様とすることができるので、ここでは詳細な説明を省略する。ただし、微細加工面24と微細加工面34とで、微細凹部51、52のピッチp、p、幅w、wおよび/または深さd、dを互いに異ならせても良い。
なお、微細加工面34は、底面33の全域に形成されていても良く、底面33の一部の領域のみに形成されていても良い。
さらに、第3基材40は、凹部11の上部を構成する第2凹部貫通孔41と、第1流路12の上部を構成する第2流路貫通孔42と、第2流路13を構成する第3流路貫通孔43とを有している。このうち第2凹部貫通孔41は、第1基材20の下部21と同一の平面形状(円形状)を有しており、第2流路貫通孔42は、第1基材20の底面22および第2基材30の第1凹部貫通孔31と同一の平面形状(長方形形状)を有している。また、第3流路貫通孔43は、第2基材30の底面33と同一の平面形状(長方形形状)を有している。なお、第3基材40の厚みは、第1基材20および第2基材30より薄くすることが好ましい。この第3基材40の厚みは任意であり、例えば100μm〜1mmとしても良い。
このような第1基材20、第2基材30および第3基材40は、例えば、それぞれ合成石英、サファイア、無アルカリガラス等の二酸化ケイ素を含む無機材料から作製されても良い。また、全ての基材が同一の材料により構成されてもよいし、異種の材料により構成されてもよい。第1基材20、第2基材30および第3基材40の表面を二酸化珪素で被覆したものであれば、その全体が均一の材料からなっていなくてもよい。たとえば、自然酸化膜で覆われたシリコンウェハでもよい。
なお、第1基材20、第2基材30および第3基材40が無機材料から作製される場合、第1基材20と第2基材30との接合、および第2基材30と第3基材40との接合は、それぞれ接着剤又は直接接合法を用いて行っても良い。
あるいは、第1基材20、第2基材30および第3基材40は、それぞれシクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)等の熱可塑性樹脂、ウレタンアクリリレート、ポリエステルアクリレート、オキセタン樹脂等の光硬化性樹脂等の合成樹脂材料から作製されても良い。なお、第1基材20、第2基材30および第3基材40が合成樹脂材料から作製される場合、合成樹脂材料としては透明な材料を用いることが好ましい。この場合、構造物10の裏面から光を照射することにより、凹部11、第1流路12および第2流路13の内部を観察することが可能になる。
なお、第1基材20、第2基材30および第3基材40が合成樹脂材料から作製される場合、第1基材20と第2基材30との接合、および第2基材30と第3基材40との接合は、それぞれ接着剤、超音波溶融法、又はレーザー溶着法を用いて行っても良い。
このように第1流路12の底面22に微細加工面24を設けたことにより、第1流路12の底面22は、第1基材20の他の面よりも親液性又は撥液性が高められている。同様に、第2流路13の底面33は、第2基材30の他の面よりも親液性又は撥液性が高められている。このため、第1流路12の底面22および第2流路13の底面33に、フッ素樹脂などのコーティング層を設けることなく、第1流路12の底面22および第2流路13の底面33の微細凹凸構造だけを用いて、親液性又は撥液性を発現できるようになっている。また、第1流路12、第2流路13の深さが、第1基材20、第2基材30の厚さを利用して規定されるため、従来のフォトリソグラフィによって作製されるものに比べて深さの制御が容易となる。
以上説明した構造物10は、例えば医療用の検査チップや培養チップの様な高度な液体制御が要求されるマイクロ流路として好適に用いることができる。この場合、凹部11、第1流路12および第2流路13が、それぞれ液体の収容部、液体の導入路および液体の排出路に対応しても良い。
(構造物の製造方法)
次に、図1および図2に示す構造物10を製造する方法について、図4(a)〜(h)および図5(a)〜(b)を用いて説明する。なお、図4(a)〜(h)および図5(a)〜(b)は、それぞれ構造物10の製造方法を示す断面図(図1および図2のX方向に沿う断面図)である。
まず、例えば無機材料または合成樹脂材料からなる(未加工の)第1基材20を準備する(図4(a))。次に、第1基材20に対して、例えば精密切削加工機を用いて切削加工を施すことにより、第1基材20に対して凹部11の下部21を形成する(図4(b))。あるいは、第1基材20が合成樹脂材料からなる場合、例えば射出成形などの成形法により、下部21を有する第1基材20を直接作製しても良い。
次に、第1基材20のうち第1流路12の底面22に対応する箇所に、微細加工面24を設ける(図4(c))。この場合、微細加工面24は、下部21を形成する方法とは異なる手法であって、例えばフォトリソグラフィ法または電子線リソグラフィ法を用いて作製される。また、第1基材20が合成樹脂材料からなる場合、例えばナノインプリント法を用いることにより、微細加工面24を形成しても良い。微細構造が形成される微細加工面24が第1基材20の上面から窪んだ位置にはないため、フォトリソグラフィ法、電子線リソグラフィ法、ナノインプリント法などによる加工が容易となる。
このようにして、凹部11の下部21と、第1流路12の底面22とを有する第1基材20が得られる(図4(c))。
続いて、(未加工の)第2基材30を準備する(図4(d))。次に、第2基材30に対して例えば精密切削加工機を用いて切削加工を施すことにより、第2基材30に第1凹部貫通孔31と第1流路貫通孔32とを形成する(図4(e))。なお、第2基材30が合成樹脂材料からなる場合、例えば射出成形などの成形法を用いて、第1凹部貫通孔31と第1流路貫通孔32とを有する第2基材30を作製しても良い。
次に、第2基材30のうち第2流路13の底面33に対応する箇所に、微細加工面34を設ける(図4(f))。この場合、微細加工面34は、上述した微細加工面24と同様に、例えばフォトリソグラフィ法または電子線リソグラフィ法を用いて作製される。また、第2基材30が合成樹脂材料からなる場合、例えばナノインプリント法を用いても良い。微細構造が形成される微細加工面34が第2基材30上面から窪んだ位置にはないため、フォトリソグラフィ法、電子線リソグラフィ法、ナノインプリント法などによる加工が容易となる。
このようにして、凹部11の中間部を構成する第1凹部貫通孔31と、第1流路12を構成する第1流路貫通孔32とを有する第2基材30が得られる(図4(f))。
続いて、(未加工の)第3基材40を準備する(図4(g))。次に、第3基材40に対して例えば精密切削加工機を用いて切削加工を施すことにより、第3基材40に第2凹部貫通孔41と、第2流路貫通孔42と、第3流路貫通孔43とを形成する(図4(h))。なお、第3基材40が合成樹脂材料からなる場合、例えば射出成形などの成形法を用いて、第2凹部貫通孔41と第2流路貫通孔42と第3流路貫通孔43とを有する第3基材40を作製しても良い。
このようにして、凹部11の上部を構成する第2凹部貫通孔41と、第1流路12の上部を構成する第2流路貫通孔42と、第2流路13を構成する第3流路貫通孔43とを有する第3基材40が得られる(図4(h))。
その後、第1基材20上に第2基材30を積層するとともに、第2基材30上に第3基材40を積層する(図5(a)〜(b))。
このとき、第1基材20の下部21と、第2基材30の第1凹部貫通孔31と、第3基材40の第2凹部貫通孔41とが上下に重ね合わされることにより、凹部11が構成される。また、第1基材20の底面22と、第2基材30の第1流路貫通孔32と、第3基材40の第2流路貫通孔42とが上下に重ね合わされることにより、第1流路12が構成される。さらに、第2基材30の底面33と、第3基材40の第3流路貫通孔43とが上下に重ね合わされることにより、第2流路13が構成される。
なお、第1基材20、第2基材30および第3基材40を積層する際の位置決め方法については、各種方法を用いることができる。例えば、これら基材20、30、40に図示しない雄又は雌の突起を予め設けておき、この突起を互いに嵌め合わせることにより基材20、30、40を位置決めしても良い。または、図示しない画像処理装置により基材20、30、40の位置を画像認識することにより、基材20、30、40を位置決めしても良い。
第1基材20、第2基材30および第3基材40が無機材料から作製される場合、これらの接合は、接着剤又は直接接合法を用いて行っても良い。また、第1基材20、第2基材30および第3基材40が合成樹脂材料から作製される場合、これらの接合は、接着剤、超音波溶融法、又はレーザー溶着法を用いて行っても良い。
なお、第1基材20、第2基材30および第3基材40が透明な材料からなる場合、直接接合法、超音波溶融法、又はレーザー溶着法を用いることが好ましい。この場合、構造物10内を光が透過可能となるので、凹部11、第1流路12および第2流路13の内部を観察することが可能になる。
このようにして、凹部11と、凹部11に連通する第1流路12と、凹部11に連通する第2流路13とを有する構造物10(図1)が作製される(図5(b))。
なお、第1基材20、第2基材30および第3基材40を作製する順番は問わない。例えば、第1基材20、第2基材30および第3基材40を順次作製し、これらをまとめて積層しても良い。あるいは、まず第1基材20および第2基材30を作製し、第2基材30を第1基材20上に積層した後、第3基材40を作製し、この第3基材40を第2基材30上に積層しても良い。
このように、本実施の形態によれば、第1基材20の第1流路12の底面22および第2基材30の第2流路13の底面33に、それぞれ微細加工面24、34を設け、その後、第1基材20、第2基材30および第3基材40を互いに積層している。これにより、例えばフォトリソグラフィ法により作製された、1μm以下の開口寸法をもつ構造(微細凹部51、52)と、例えば切削加工により作製された、大きく複雑な3次元構造(例えば凹部11、第1流路12および第2流路13)との両方を有する構造物10を容易に作製することができる。
とりわけ、任意の一定の深さを有する第1流路12および第2流路13の流路の底面22、33に、それぞれ1μm以下の開口寸法をもつ多数の微細凹部51、52を形成することができる。このような多数の微細凹部51、52を含む微細加工面24、34を設けることにより、第1流路12の底面22および第2流路13の底面33の親液性又は撥液性を高められる。これにより、構造物10において、第1流路12および第2流路13を流れる液体の流れ易さを制御することができる。また、第1流路12、第2流路13の深さが、第1基材20、第2基材30の厚さを利用して規定されるため、従来のフォトリソグラフィによる作製されるものに比べて深さの制御が容易となる。
(成形品の製造方法)
次に、図1および図2に示す構造物を用いて成形品を製造する方法について説明する。
まず、図4(a)〜(h)および図5(a)〜(b)に示す方法により、合成石英等の無機材料からなる構造物10(原版またはマスター型)を作製する。この場合、構造物10の表面にはチタンなどの導電性薄膜を形成しても良い。
次に、構造物10を用いて、構造物10の形状を反転した形状を有する金型65を作製する(図6)。この際、例えば構造物10に電気めっきを施し、この電気めっき品(電鋳品)を構造物10から離型することにより金型65が得られる。図6において、金型65は、構造物10の凹部11、第1流路12および第2流路13にそれぞれ対応する凸部66、67、68を有している。
その後、金型65の凸部66、67、68を、図示しない合成樹脂材料に転写することにより、合成樹脂製の成形品60(図7)を成形する。成形品60を成形する方法としては、例えば熱ナノインプリント法や光ナノインプリント法を挙げることができる。
このようにして、構造物10と同一の形状を有し、凹部61と、凹部61に連通する第1流路62と、凹部61に連通する第2流路63とを備えた合成樹脂製の成形品60(図7)が得られる。
この場合、金属製の金型65を用いて合成樹脂製の成形品60を作製するため、成形品60を多数製造する場合に適している。
(変形例)
次に、図8および図9を参照して本発明の変形例について説明する。図8は、本発明の変形例に係る構造物の斜視図であり、図9は、本発明の変形例に係る構造物の分解斜視図である。図8および図9に示す形態は、構造物10Aが第1基材20と第2基材30との二層を積層した構造である点が異なるものであり、他の構成は上述した実施の形態と略同一である。図8および図9において、図1乃至図7に示す実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図8および図9に示す構造物10Aは、凹部11と、凹部11に連通する第1流路12とを有している。この構造物10Aは、第1基材20と、第1基材20上に積層された第2基材30とを備えている。
このうち第1基材20は、図9に示すように、凹部11の下部21と、第1流路12の底面22とを有している。このうち底面22には、微細加工面24が設けられている。また、第2基材30は、凹部11の上部を構成する第1凹部貫通孔31と、第1流路12を構成する第1流路貫通孔32とを有している。
図8および図9に示す構造物10Aを作製する場合、まず凹部11の下部21を有する第1基材20を準備する。次に、第1流路12の底面22に対応する箇所に、微細加工面24を形成する。同様に、凹部11の上部を構成する第1凹部貫通孔31と、第1流路12を構成する第1流路貫通孔32とを有する第2基材30を準備する。その後、第1基材20上に第2基材30を積層することにより、構造物10Aが得られる。
このほか、構造物10Aの構成、構造物10Aの製造方法、および構造物10Aを用いて成形品を製造する方法については、図1乃至図7に示す上記実施の態様と略同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
なお、構造物は、2層または3層の基材を積層する場合に限らず、4層以上の基材を積層して構成されても良い。この場合、積層数に応じて多種類の深さの値が異なる流路を作製することが可能となる。
上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組み合わせることも可能である。あるいは、上記実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
10、10A 構造物
11 凹部
12 第1流路
13 第2流路
20 第1基材
21 下部
22 底面
24 微細加工面
30 第2基材
31 第1凹部貫通孔
32 第1流路貫通孔
33 底面
34 微細加工面
40 第3基材
41 第2凹部貫通孔
42 第2流路貫通孔
43 第3流路貫通孔
51 微細孔(微細凹部)
52 微細溝(微細凹部)
60 成形品

Claims (11)

  1. 凹部と、前記凹部に連通する第1流路とを有する構造物を製造する、構造物の製造方法であって、
    前記凹部の下部を有する第1基材を準備する工程と、
    前記第1基材のうち前記第1流路の底面に対応する箇所に、微細加工面を設ける工程と、
    前記凹部の上部を構成する第1凹部貫通孔と、前記第1流路を構成する第1流路貫通孔とを有する第2基材を準備する工程と、
    前記第1基材上に前記第2基材を積層する工程とを備えたことを特徴とする構造物の製造方法。
  2. 凹部と、前記凹部に連通する第1流路と、前記凹部に連通する第2流路とを有する構造物を製造する、構造物の製造方法であって、
    前記凹部の下部を有する第1基材を準備する工程と、
    前記第1基材のうち前記第1流路の底面に対応する箇所に、微細加工面を設ける工程と、
    前記凹部の中間部を構成する第1凹部貫通孔と、前記第1流路を構成する第1流路貫通孔とを有する第2基材を準備する工程と、
    前記第2基材のうち前記第2流路の底面に対応する箇所に、微細加工面を設ける工程と、
    前記凹部の上部を構成する第2凹部貫通孔と、前記第1流路の上部を構成する第2流路貫通孔と、前記第2流路を構成する第3流路貫通孔とを有する第3基材を準備する工程と、
    前記第1基材上に前記第2基材を積層するとともに、前記第2基材上に前記第3基材を積層する工程とを備えたことを特徴とする構造物の製造方法。
  3. 前記第2基材の前記第2流路の前記底面は、前記第2基材の他の面よりも親液性又は撥液性が高められていることを特徴とする請求項2記載の構造物の製造方法。
  4. 前記第1基材の前記第1流路の前記底面は、前記第1基材の他の面よりも親液性又は撥液性が高められていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の構造物の製造方法。
  5. 前記微細加工面は、1μm以下の開口寸法をもつ微細凹部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の構造物の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項記載の構造物の製造方法により構造物を作製する工程と、
    前記構造物を用いて、前記構造物を反転した形状を有する金型を作製する工程と、
    前記金型を用いて合成樹脂製の成形品を成形する工程とを備えたことを特徴とする成形品の製造方法。
  7. 凹部と、前記凹部に連通する第1流路とを有する構造物であって、
    前記凹部の下部と、前記第1流路の底面とを有する第1基材と、
    前記第1基材上に積層され、前記凹部の上部を構成する第1凹部貫通孔と、前記第1流路を構成する第1流路貫通孔とを有する第2基材とを備え、
    前記第1基材の前記第1流路の前記底面の少なくとも一部に、微細加工面を設けたことを特徴とする構造物。
  8. 凹部と、前記凹部に連通する第1流路と、前記凹部に連通する第2流路とを有する構造物であって、
    前記凹部の下部と、前記第1流路の底面とを有する第1基材と、
    前記第1基材上に積層され、前記凹部の中間部を構成する第1凹部貫通孔と、前記第1流路を構成する第1流路貫通孔と、前記第2流路の底面とを有する第2基材と、
    前記第2基材上に積層され、前記凹部の上部を構成する第2凹部貫通孔と、前記第1流路の上部を構成する第2流路貫通孔と、前記第2流路を構成する第3流路貫通孔とを有する第3基材とを備え、
    前記第1基材の前記第1流路の前記底面の少なくとも一部および前記第2基材の前記第2流路の前記底面の少なくとも一部に、それぞれ微細加工面を設けたことを特徴とする構造物。
  9. 前記第2基材の前記第2流路の前記底面は、前記第2基材の他の面よりも親液性又は撥液性が高められていることを特徴とする請求項8記載の構造物。
  10. 前記第1基材の前記第1流路の前記底面は、前記第1基材の他の面よりも親液性又は撥液性が高められていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項記載の構造物。
  11. 前記微細加工面は、1μm以下の開口寸法をもつ微細凹部を有することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項記載の構造物。
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