JP2014135814A - 車両の走行制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蓄電装置が満充電付近であるときに、シフトポジションが、Dレンジから、より高い回生トルクが設定されるBレンジに切り替えられ、Bレンジでの目標回生トルクTbが、過充電を抑制するための制限値Tgに制限される場合には、Dレンジでの回生トルクTdから、制限値Tgを超えてBレンジでの回生トルクTbまで変化させた後、Bレンジでの定常値である制限値Tgに戻す。これにより、Bレンジでの目標回生トルクTbが制限されない場合と同様な回生トルクの変化を付与でき、係る回生トルクの変化による減速度の変化を運転者が体感することで、運転者は、DレンジからBレンジへの切り替え操作が、回生トルク制御に反映されていることを把握できる。
【選択図】図4
Description
そして、通常レベル設定時における回生量が抑制されると、通常レベル設定時におけるアクセル操作に対する運転感覚が変わって運転者に違和感を与えると共に、通常レベル設定時における回生量が抑制されることで、回収できるエネルギー量が減少するという課題が生じる。
図1は、本実施形態における電気自動車の構成を示す図である。
なお、電気自動車には、バッテリのみをエネルギー源とし、モータを駆動して走行する電気自動車、水素から生成した電気でモータを駆動して走行する燃料電池自動車、内燃機関とモータを併用して走行するハイブリッド電気自動車など、モータによる走行が可能な種々の自動車が含まれる。
複数の電子制御装置12,16,21,30は、それぞれマイクロコンピュータを備え、図中点線で示した車両制御ネットワーク40を介して相互に通信しながら車両の走行を制御する。
バッテリECU21は、蓄電装置20の端子間電圧、充放電電流、充放電電流の積算に基づく残容量(SOC:State of Charge)の演算や、バッテリ寿命、劣化度(SOH:State of Health)など蓄電装置20に関する情報の演算及び管理を行うと共に、車両制御ネットワーク40を介して他の電子制御ユニット(ECU)に対し、SOCなどの蓄電装置20の情報を出力する。
モータECU12は、車両制御ECU30からの指令に従って、走行モータ10の駆動動作(力行動作)及び制動動作(回生動作)を制御するための指令値を演算し、当該指令値に基づきインバータ11に対してPWM信号を出力する。
走行モータ10で車両を駆動する場合、モータECU12は、車両制御ECU30から入力された駆動信号(例えば、目標駆動トルク)に応じて、走行モータ10の各相の目標電流を算出し、電流センサ(図示省略)により検出した各相の実電流と目標電流とに基づくパルス信号(PWM信号)をインバータ11に出力する。
インバータ11は、モータECU12から入力されたPWM信号に従って、蓄電装置20と走行モータ10との間で電気エネルギー(電力)の授受を行わせる。即ち、車両駆動時(力行動作時)は、蓄電装置20の直流出力を三相交流出力に変換し、走行モータ10に電気エネルギーを供給し、逆に、車両制動時(回生動作時)は、走行モータ10が発生する三相交流電力を直流電力に変換して蓄電装置20に供給する。
このように、車両制御ECU30の駆動指令によって走行モータ10に駆動力を発生させ、発生した駆動力を、減速機1を介して車両の駆動輪2a、2bに伝達して車両を走行させることができる一方、減速時には、走行モータ10の回生制動力と機械式ブレーキ装置22の摩擦制動力とを適切に配分することで、必要な減速力を得る。
この図2に示すように、充電容量の下限(例えば、10%以下)や上限(例えば、90%以上)に近づくほど、充電容量の変化に対するセル電圧の変化が大きく、電源としての品質を確保することが困難となるので、充電容量の変化に対するセル電圧の変化が比較的小さい領域内に充電容量が維持されるように、蓄電装置20における充放電を制御する。
そして、車両制御ECU30やモータECU10などの制御装置は、実際の電池容量の20%〜80%を0%〜100%として制御を行う。つまり、制御装置が、略満充電(電池容量が略100%)であると認識しても、実際には容量として余裕分が残っていることになる。
つまり、蓄電装置20の充電容量が大きく変化しない程度の短時間であれば、車両制御ECU30などの制御装置が略満充電と判断する蓄電容量であっても、電池セルの端子間への印加電圧が所定範囲内(例えば、4.2V以下)であれば、蓄電装置20は電力を受け入れることができ、走行モータ10を回生動作することができる。
図3は、シフトポジション毎の目標回生トルクの一例を示す。図3において、横軸は走行モータ10の回転速度、縦軸は走行モータ10に指令されるモータトルク値であり、モータトルク値が正の場合は駆動(力行動作)、負の場合は制動(回生動作)を示す。
なお、回生トルクとは、図3に示す負のトルク値であり、以下、回生トルクの増加とは、負のトルク値の絶対値の増加(回生ブレーキ力の増加)を示し、回生トルクの減少とは、負のトルク値の絶対値の減少(回生ブレーキ力の減少)を示すものとする。
従って、例えば、Dレンジを選択していた運転者が、アクセルペダル24を離した際に減速度が不足であると感じ、DレンジからBレンジに切り替えるシフト操作を行うと、走行モータ10の目標回生トルクがΔTqだけ増加する。そして、走行モータ10の目標回生トルクがΔTqだけ増加することで、回生制動力が増して車両の減速度が増え、運転者は、係る減速度の増加変化を体感することで、DレンジからBレンジに切り替えるシフト操作が、制御(回生トルク制御)に反映されていることを把握する。
すなわち、シフトレバー(シフト操作部)23は、走行モータ(電動発電機)10の回生トルク(回生量)の切り替えを指令する操作部である。
図4のタイムチャートは、蓄電装置20が満充電に近く(例えば、図2の充電容量で80%付近以上)、過充電を抑制するために回生トルクが抑制される回生動作中に、シフトポジションがDレンジからBレンジに切り替えられた場合(シフトダウン操作が行われた場合)での回生トルク(回生量)の制御を示す。
また、図4のタイムチャートにおいて、Td,Tbは、それぞれ図3に示したDレンジ、Bレンジにおける回生トルクの目標値であり、Tgは、蓄電装置20の充電容量に基づき設定される、蓄電装置20の過充電を抑制するための回生トルク制限値(上限値)である。
この回生トルク制限値Tgを超える目標回生トルクを定常的に設定すると、蓄電装置20が過充電となり得るため、モータ回転速度及びシフトポジションから設定される目標回生トルクが、回生トルク制限値Tgを超える場合には、トルク指令値として、前記目標回生トルクに代えて回生トルク制限値Tgを設定し、回生トルク制限値Tgよりも高い回生トルクが定常的に設定されることを抑制する。
ここで、Dレンジの目標回生トルクTdと、Bレンジでの目標回生トルクTbとの間に、回生トルク制限値Tgが設定されており、Bレンジにおいては、定常的には、目標回生トルクTbを指令値として設定することができず、制限値Tgを指令値とする必要がある。
そして、時刻t2で回生トルクTbに達すると、その後の時刻t3までの間で、回生トルク指令値を回生トルクTbから徐々に減らし、時刻t3にて回生トルク指令値を回生トルク制限値Tgにまで戻す。
このときの回生トルクTdから回生トルクTbまでの変化に要する時間(例えば1〜2秒程度)と略同様の時間で、蓄電装置20が満充電付近である場合も、Dレンジでの回生トルクTdからBレンジでの回生トルクTbまで変化するように、つまり、時刻t1から時刻t2までの間で、回生トルクTbまで変化するように、時刻t1後における回生トルク指令値の増加速度を設定してある。
蓄電装置20が満充電付近である状態で、DレンジからBレンジに切り替えたときに、回生トルクTdから回生トルク制限値Tgまで変化させ、その後回生トルク制限値Tgを維持させるようにすると、DレンジからBレンジに切り替えに伴う回生トルクの増加変化量が、回生トルクTd、Tbの差ΔTqよりも小さくなり、運転者は、DレンジからBレンジへの切り替え操作に伴う減速度の増加変化を体感できず、シフト操作が制御に反映されていないと感じてしまう。
つまり、蓄電装置20が満充電付近で、回生トルクが抑制されると、回生トルクの切り替え指令に対する減速度の変化が回生トルクの抑制によって縮小するので、係る縮小を抑制するために、切り替え前の回生トルクTdと切り替え後の定常値である回生トルクTgとの差よりも大きな回生トルクの変化を生じさせる。
また、DレンジからBレンジへの切り替え操作に見合う回生トルクの変化を体感させるために、予めDレンジでの回生トルクTd(回生エネルギー量)を小さく変更することはないので、Dレンジでのアクセル操作に対する運転感覚は、蓄電装置20が満充電付近であるか否かで変化することがなく、また、Dレンジでの回生動作で回収されるエネルギー量が減少することを抑制できる。
図4のタイムチャートに示したように、DレンジからBレンジに切り替え操作されたときに、回生トルク指令値を、切り替え指令後の定常値(回生トルク制限値Tg)を超える値(回生トルクTb)にまで変化させた後に前記定常値(回生トルク制限値Tg)に戻すようにすると、時刻t1から時刻t3までの時間内で、車両の減速度が増加した後に減少することになる。そして、時刻t1から時刻t2の間での減速度の増加を、運転者は、シフト操作(Dレンジ→Bレンジ)が制御に反映された結果として体感することになる。
また、回生トルクの変更は、走行モータ(電動発電機)10から蓄電装置20への電流を変化させることになるから、図4に示した回生トルク指令値の変化に伴って、走行モータ(電動発電機)10から蓄電装置20への電流を、時刻t1から時刻t3までの時間内で、増加させた後減少させることになる。
このため、係る趣旨を逸脱しない範囲において、図4のタイムチャートに示した回生トルクの変化パターン以外のパターンを指令することができる。
例えば、図4のタイムチャートに示した例では、時刻t2にて回生トルク指令値がBレンジの目標回生トルクTbに到達した後、直ちに回生トルク制限値Tgに向けて回生トルク指令値を減少させるが、図2を用いて説明したように、蓄電装置20の充電容量に大きな変化を与えない程度の短時間であれば、図5のタイムチャートに示すように、時刻t2における回生トルクTbを、時刻t3までの数秒程度だけ維持した後で緩やかに回生トルク制限値Tgにまで減少させることができる。
蓄電装置20が満充電付近でなく、回生トルク指令値が回生トルク制限値Tgによる制限を受けない場合、Bレンジにおける回生トルクTbからDレンジにおける回生トルクTdに切り替えることで、Bレンジにおける回生トルクTbとDレンジにおける回生トルクTdの差ΔTqだけ回生トルクが減少する。
時刻t1で、シフトポジションがBレンジからDレンジに切り替えられると、時刻t1から時刻t2までの間において、回生トルク指定値を、回生トルクTgから、回生トルクTbと回生トルクTdの差ΔTqだけ減少させることで、回生トルク指令値を、回生トルクTd(切り替え後の定常値)よりも小さい値とする。
つまり、シフトポジションがBレンジの状態で、回生トルク指令値が本来の目標値Tbよりも小さい回生トルク制限値Tgに抑制されている場合、回生トルク制限値Tgから回生トルクTdに指令値を変化させると、回生トルクTbと回生トルクTdの差ΔTqよりも回生トルクの減少変化量が小さくなり、運転者は、シフト操作に見合う減速度変化を体感できず、シフト操作が制御に反映されていないと感じてしまう可能性がある。
また、トルク指令値をシフト操作後の定常値を超えるTg−ΔTqにまで変化させた後は、Dレンジでの回生トルクTd(定常値)に戻すから、Dレンジで回収されるエネルギー量が減少することを抑制できる。
また、回生トルクの変更は、走行モータ(電動発電機)10から蓄電装置20への電流を変化させることになるから、図6に示した回生トルク指令値の変化に伴って、走行モータ(電動発電機)10から蓄電装置20への電流を、時刻t1から時刻t3までの時間内で、減少させた後増加させることになる。
また、回生トルク制限値TgからΔTqだけ減少させた回生トルクを微小時間だけ保持させ、その後、Dレンジでの定常値である回生トルクTdにまで変化させることができる。
図7及び図8のフローチャートにおいて、ステップS101では、走行モータ10の回生動作中であるか否かを判定し、回生動作中であればステップS102へ進み、回生動作中でない場合には、そのまま回生トルク制御を終了させる。
DレンジからBレンジに切り替えるシフト操作が行われると、ステップS103へ進み、蓄電装置20の充電量が所定値よりも高く、|Tb|>|Tg|であって、Bレンジでの定常的な回生トルクが回生トルク制限値Tgに抑制されるか否かを判定する。
そこで、蓄電装置20が満充電付近でない場合(|Tb|≦|Tg|である場合)には、ステップS104へ進み、トルク指令値を回生トルクTdから回生トルクTbに変化させて、回生トルクTdと回生トルクTbとの差ΔTqに相当するトルク変化を発生させる。
そこで、ステップS103においてBレンジでの回生トルクが回生トルク制限値Tgに抑制されると判定すると、ステップS105へ進み、設定時間T1(図4の時刻t1から時刻t2までの時間)で、回生トルク指令値を、Dレンジでの目標回生トルクTdからBレンジでの目標回生トルクTbまで変化させることで、蓄電装置20が満充電付近でない場合と同じ、トルク変化ΔTqを発生させる。
これにより、蓄電装置20が満充電付近であるか否かに関わらずに、DレンジからBレンジへのシフト操作が行われたときに、ΔTqのトルク変化を発生させることができ、運転者は、シフト操作に見合う減速度変化を体感してシフト操作が制御に反映されている(正常にトルク制御が行われている)と感じ、また、シフト操作に対する車両挙動を容易に把握することができる。
ステップS107では、BレンジからDレンジへのシフトポジションを切り替えるシフト操作がなされたか否か、換言すれば、回生トルク(回生量、回生エネルギー、回生ブレーキ力)の減少が指令されたか否かを判定する。
一方、BレンジからDレンジへのシフト操作が行われると、ステップS108へ進み、蓄電装置20の充電量が所定値よりも高く、Bレンジでの回生トルクが制限値Tgに抑制されているか否か(Bレンジでの目標回生トルクTbが制限値Tgよりも大きいか否か)を判定する。
そこで、Bレンジでの回生トルクが抑制されていない場合には、ステップS109へ進み、回生トルク指令値を回生トルクTbから回生トルクTdに変化させて、回生トルクTbと回生トルクTdとの差ΔTqのトルク変化を発生させる。
そこで、ステップS108で、Bレンジでの回生トルクが抑制されていると判定すると、ステップS110へ進み、設定時間T1(図6の時刻t1から時刻t2までの時間)で、トルク指令値を、回生トルク制限値TgからΔTqだけ減少させて、時刻t2にてTg−ΔTq(|Tg−ΔTq|<|Td|)とすることで、蓄電装置20が満充電付近でない場合と同じ、トルク変化を発生させる。
なお、図5に示したように、シフト操作に伴ってΔTqだけ変化させたトルク指令値を一定時間保持させることができ、図7及び図8のフローチャートでは、ステップS105での処理で到達させた回生トルクTbを一定時間だけ保持させ、同様に、ステップS110での処理で到達させた回生トルクTg−ΔTqを一定時間だけ保持させることができる。
図9のタイムチャートは、アクセル操作による回生トルクの切り替え指令に対する、回生トルク制御の一例を示す。
つまり、蓄電装置20が満充電付近であるか否かに関わらず、アクセルペダル24を離した場合に、同じΔTq2だけのモータトルクの変化、引いては、車両加速度又は減速度の変化を生じさせ、アクセルペダル24を離す操作が制御に反映されている(アクセル操作に対するモータトルク制御が正常に行われている)と運転者が体感できるようにすると共に、蓄電装置20が満充電付近であるか否かによって運転感覚が変化することを抑制する。
なお、蓄電装置20が満充電付近で、回生トルクがBレンジでの目標値Tbよりも小さい回生トルク制限値Tgに制限される場合、時刻t1から時刻t3までの間で、トルク指令値を、回生トルク制限値Tg(切り替え後の定常値)を超えて変化させた後、回生トルク制限値Tgにまで戻す制御が行われるので、車両の減速度としては、増加した後減少することになり、走行モータ(電動発電機)10から蓄電装置20への電流としては、増加した後減少することになる。
図10のフローチャートにおいて、ステップS201では、アクセルON(アクセルペダル踏込み)による力行動作から、アクセルのOFF(アクセルペダル離し)によって回生動作に移行し、回生トルクの切り替え指令がなされたか否かを判定する。
なお、回生動作の継続状態でのシフト操作に対しては、図7及び図8のフローチャートに従って、回生トルクの制御が行われる。
ステップS202では、現時点のシフトポジションがBレンジであるか否かを判定し、BレンジでなくDレンジであって、蓄電装置20の充電容量に基づく回生トルクの制限が行われない場合には、ステップS203へ進んで、力行動作でのモータトルクからDレンジでの目標回生トルクTdに向けてトルク指令値を変化させる。
過充電を抑制するための回生トルクの抑制が行われず、Bレンジでの目標回生トルクTbをそのままトルク指令値とすることができる場合には、ステップS205へ進み、トルク指令値を力行動作でのモータトルクからBレンジでの目標回生トルクTbにまで変化させて、ΔTq2だけモータトルクを変化させる。
そこで、過充電を抑制するための回生トルクの抑制が行われる場合には、ステップS206へ進み、所定時間T3(図9の時刻t1から時刻t2までの時間)で、アクセルONでのモータトルクからBレンジでの目標回生トルクTbにまで変化させることで、蓄電装置20が満充電付近でない場合と同じΔTq2だけモータトルクを変化させる。
トルク指令値を目標回生トルクTbにまで変化させると、次にステップS207に進み、所定時間T4(図9の時刻t2から時刻t3までの時間)で、トルク指令値を、Bレンジでの目標回生トルクTbから回生トルク制限値Tg(定常値)まで変化させ、蓄電装置20が過充電となることを抑制する。
このため、回生トルクが制限値Tg2で抑制される状態では、回生トルクの制御だけでは、シフト操作或いはアクセル操作に対応する減速度変化を付与できなくなる場合があるが、その場合には、走行モータ10による回生トルク(回生ブレーキ)に加えて、機械式ブレーキ装置22による制動力を併用して、シフト操作或いはアクセル操作に見合う減速度の変化を付与することができる。
なお、図11のタイムチャートは、図4や図5のタイムチャートと同様に、回生動作中にシフトポジションをDレンジからBレンジに切り替える操作が行われた場合のモータトルク制御を示す。
図11のタイムチャートにおいて、時刻t1でシフトポジションがDレンジからBレンジに切り替えられ、その際のトルク変化としては、Dレンジでの目標回生トルクTdとBレンジでの目標回生トルクTbとの差であるΔTq(車両加速度の変化量としてΔAqに相当)を付与することが要求される。
従って、走行モータ10の回生トルク(回生ブレーキ)のみでは、必要なトルク変化ΔTq(減速度変化ΔAq)を付与できない。
つまり、回生トルク制限値Tg2とBレンジでの目標回生トルクTbとの差分ΔTbに相当する制動トルクを、時刻t2で発生させるべく、時刻t1から機械式ブレーキ装置22の制動トルクを零からΔTbに相当する値にまで徐々に増加させ、時刻t2における回生トルク(=Tg2)と制動トルクとの合計がTbに相当するようにしてある。
これにより、シフト操作に見合う回生トルク変化ΔTqを発生させたときと同等の減速度の変化(ΔAq)を、回生トルクと制動トルクとで付与できる。
このように、走行モータ10による回生トルクが、蓄電装置20の端子への印加電圧に起因する制限を受け、シフト操作に伴ってΔTqに相当する回生トルク変化を過渡的に付与できない場合には、一時的に機械式ブレーキ装置22を併用することで、トルク差ΔTqに相当する加速度変化量ΔAqを付与させる。
なお、アクセルペダルを離す操作を行ったときに、回生トルクの増大が回生トルク制限値Tg2で制限される場合に、回生トルク指令値の増加に並行して、機械式ブレーキ装置22の制動力を付与し、これにより、トルク差ΔTq2に相当する加速度変化量ΔAq2を付与することができる。
図12及び図13のフローチャートに示す回生トルク制御は、図7及び図8のフローチャートに示した回生トルク制御に対し、回生トルク制限値Tg2で回生トルク指令値が抑制される場合の制御を付加した点が異なる。
そこで、図12及び図13のフローチャートにおいて、図7及び図8のフローチャートに示したステップと同様の処理を行うステップについては、同じステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
そして、Bレンジでの回生トルクTbが回生トルク制限値Tgにより抑制される場合、つまり、|Tb|>|Tg|であれば、更に、ステップS103−2へ進み、Bレンジでの目標回生トルクTbが、蓄電装置20の端子への印加電圧の制限に基づく回生トルク制限Tg2に抑制されるか否か、つまり、|Tb|>|Tg2|であるか否かを判定する。
そこで、Bレンジでの目標回生トルクTbが回生トルク制限Tg2よりも大きいと判定すると、ステップS103−3へ進み、シフト操作された時点から所定時間T5(図11の時刻t1から時刻t2までの時間)で、トルク指令値(回生トルク指令値)を、Dレンジでの目標回生トルクTdから回生トルク制限値Tg2まで増加変化させると共に、係る回生トルクの増加制御に並行して、機械式ブレーキ装置22の制動力を、目標回生トルクTbと回生トルク制限値Tg2との差分ΔTb、つまり、回生トルクの増加量の不足分に相当する量だけ増加させ、Dレンジでの目標回生トルクTdからBレンジでの目標回生トルクTbに変化させた場合と同様の減速度の変化量ΔAqが付与されるようにする。
例えば、シフト操作による回生トルクの切り替えは、Dレンジでの回生トルクと、Bレンジでの回生トルクとの間での2段階切り替えに限定されず、3段階以上に切り替える場合にも、本発明に係る回生トルク制御を適用できる。
また、運転者による回生トルクの切り替え指令は、シフト操作、アクセル操作によるものに限定されず、例えば、回生トルク量(回生ブレーキの強さ)を選択するスイッチの操作によって回生トルクの切り替えを指令することができる。
同様に、図6におけるBレンジでの目標回生トルクTbと回生トルク制限値Tgとの差が設定値よりも小さい場合には、|Tb|>|Tg|であっても、一旦Tg−ΔTqまで回生トルクを減少させる制御をキャンセルし、回生トルク制限値TgからDレンジでの目標回生トルクTdにまで変化させることができる。
即ち、運転者が体感できる減速度の変化が、回生トルク制限値Tgによる抑制で大きく変わらない場合に、ΔTqのトルク変化を付与する制御をキャンセルすることができる。
Claims (8)
- 力行動作又は回生動作により車両の駆動力又は制動力を発生する電動発電機と、
前記電動発電機と電力授受を行う蓄電装置と、
前記電動発電機の回生量の切り替えを指令する操作部と、
を備えた車両に用いられる走行制御装置であって、
前記蓄電装置の充電量が所定値よりも高くかつ前記操作部により回生量の切り替えが指令された場合に、前記操作部が操作されてから所定時間内に、車両の減速度が、増加した後減少する、又は、減少した後増加するように前記電動発電機を制御する、車両の走行制御装置。 - 前記操作部が、シフト操作部とアクセル操作部との少なくとも一方である、請求項1記載の車両の走行制御装置。
- 前記所定時間内に、前記電動発電機から前記蓄電装置への電流が、増加した後減少する、又は、減少した後増加するように前記電動発電機を制御する、請求項1又は2記載の車両の走行制御装置。
- 前記操作部による回生量の増加指令に対し、前記所定時間内に、車両の減速度が、増加した後減少するように前記電動発電機を制御する、請求項1から3のいずれか1つに記載の車両の走行制御装置。
- 前記操作部による回生量の減少指令に対し、前記所定時間内に、車両の減速度が、減少した後増加するように前記電動発電機を制御する、請求項1から3のいずれか1つに記載の車両の走行制御装置。
- 前記蓄電装置の充電量が所定値よりも高い場合に前記電動発電機の回生量が抑制され、回生量の切り替え指令に対する減速度の変化が前記回生量の抑制によって縮小することを、回生量の切り替え指令に対する前記電動発電機の回生量の変化を過渡的に増加させることで抑制する、請求項1又は2記載の車両の走行制御装置。
- 前記所定時間内に、前記電動発電機の回生量を、回生量の切り替え指令後の定常値を超える値にまで変化させた後に前記定常値に戻す、請求項1又は2記載の車両の走行制御装置。
- 前記操作部による回生量の増加指令に対し、前記電動発電機の回生量の変化に並行して、機械式ブレーキ装置の制動力を変化させる、請求項6又は7記載の車両の走行制御装置。
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