JP2014135799A - 電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、製造が容易な構成の電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置10は、3レベルインバータ10a〜10dを、2n(n=2)個直列に接続してある直列3レベルインバータ群と、直列3レベルインバータ群のうちの2個の3レベルインバータの出力を選択する2個のスイッチ回路21,22と、スイッチ回路21,22の出力を選択するスイッチ回路23とを備える。3レベルインバータ10a〜10dは、直列に接続したスイッチ素子S1,S3,S5,S7およびスイッチ素子S2,S4,S6,S8と、直列に接続したコンデンサC1およびコンデンサC2と、接続点P1と接続点P2とを接続するスイッチ素子S11,S12,S13,S143とを備え、スイッチ素子S1,S3,S5,S7およびスイッチ素子S2,S4,S6,S8と、コンデンサC1およびコンデンサC2とが並列に接続してある。
【選択図】図1
【解決手段】電力変換装置10は、3レベルインバータ10a〜10dを、2n(n=2)個直列に接続してある直列3レベルインバータ群と、直列3レベルインバータ群のうちの2個の3レベルインバータの出力を選択する2個のスイッチ回路21,22と、スイッチ回路21,22の出力を選択するスイッチ回路23とを備える。3レベルインバータ10a〜10dは、直列に接続したスイッチ素子S1,S3,S5,S7およびスイッチ素子S2,S4,S6,S8と、直列に接続したコンデンサC1およびコンデンサC2と、接続点P1と接続点P2とを接続するスイッチ素子S11,S12,S13,S143とを備え、スイッチ素子S1,S3,S5,S7およびスイッチ素子S2,S4,S6,S8と、コンデンサC1およびコンデンサC2とが並列に接続してある。
【選択図】図1
Description
本発明は、電力変換装置に関し、特に、異なる複数の電圧レベルを出力することが可能な電力変換装置に関する。
複数の直流電源から直流電圧の積重ねを1周期の間で変化させ、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置が提案されている。この電力変換装置は、1つの直流電源を持つインバータのように一定のパルス状の電圧を生成するのではなく、電位の異なる複数の直流電圧を積重ねて、直流電力を交流電力に変換する。そのため、この電力変換装置は、電位の異なる複数の直流電圧をきめ細かく無駄なく積重ねることで、1つの直流電源を持つ電力変換装置に比べて、直流電力を高調波の少ない交流電力に変換することができる。
具体的に、特許文献1に、前述の電力変換装置であるマルチレベルインバータが開示してある。
特許文献1に開示してあるマルチレベルインバータは、直列に接続されマルチレベル端子電圧を構成するレドックスフロー型2次電池と、マルチレベル端子の電位の積重ねを制御して交流電力を構成するインバータ部とを備えている。インバータ部は、合計8個のスイッチ素子と、6個のダイオードとを備え、制御部の指示によってスイッチ素子の開閉を制御している。
図6は、特許文献1に開示してある従来の電力変換装置の回路構成を示す回路図である。図6に示す電力変換装置100は、異なる5個の電圧レベルを出力することが可能な5レベルインバータである。電力変換装置100は、4個の直流電源V、8個のスイッチ素子S101〜S108、6個のダイオードD101〜D106を備えている。
電力変換装置100は、4個の直流電源Vの中間点を中点V0とし、中点V0の電圧レベルを“0V”とする。そのため、電力変換装置100は、中点V0より1個の直流電源V分だけプラス電位の電圧レベルが“+1V”となり、中点V0より2個の直流電源V分だけプラス電位の電圧レベルが“+2V”となる。逆に、電力変換装置100は、中点V0より1個の直流電源V分だけマイナス電位の電圧レベルが“−1V”となり、中点V0より2個の直流電源V分だけマイナス電位の電圧レベルが“−2V”となる。
電力変換装置100は、スイッチ素子S101,S102,S103,S104をオン状態にすることで出力端子に“+2V”の電圧レベルの電位を出力し、スイッチ素子S102,S103,S104,S105をオン状態にすることで出力端子に“+1V”の電圧レベルの電位を出力することができる。また、電力変換装置100は、スイッチ素子S103,S104,S105,S106をオン状態にすることで出力端子に“0V”の電圧レベルの電位を出力することができる。さらに、電力変換装置100は、スイッチ素子S104,S105,S106,S107をオン状態にすることで出力端子に“−1V”の電圧レベルの電位を出力し、スイッチ素子S105,S106,S107,S108をオン状態にすることで出力端子に“−2V”の電圧レベルの電位を出力することができる。したがって、電力変換装置100は、出力端子から異なる5個の電圧レベル(“−2V”,“−1V”,“0V”,“+1V”,“+2V”)を出力することができる。
しかし、電力変換装置100では、出力端子から“−2V”の電圧レベルの電位を出力するために、スイッチ素子S105,S106,S107,S108をオン状態にすると、ダイオードD102,D104,D106のアノード端子の電圧レベルが“−2V”となり、ダイオードD102は、カソード端子が“+1V”の電圧レベルに接続されているので、3個の直流電源V分の電圧が印加されることになる。同様に、ダイオードD104には、2個の直流電源V分の電圧が印加され、ダイオードD106には、1個の直流電源V分の電圧が印加されることになる。
また、電力変換装置100では、出力端子から“+2V”の電圧レベルの電位を出力するために、スイッチ素子S101,S102,S103,S104をオン状態にすると、ダイオードD101,D103,D105のアノード端子の電圧レベルが“+2V”となり、ダイオードD105は、カソード端子が“−1V”の電圧レベルに接続されているので、3個の直流電源V分の電圧が印加されることになる。同様に、ダイオードD103には、2個の直流電源V分の電圧が印加され、ダイオードD101には、1個の直流電源V分の電圧が印加されることになる。
このように、特許文献1に開示してあるマルチレベルインバータは、直流電源とスイッチ素子との間を接続するダイオードD102,D105にダイオードD101,D106に比べて3倍の耐圧、ダイオードD103,D104にダイオードD101,D106に比べて2倍の耐圧がそれぞれ必要である。そのため、特許文献1に開示してあるマルチレベルインバータでは、耐圧の異なるダイオードを使用するか、ダイオードを2個または3個直列に接続して耐圧を高める必要があり、装置が複雑になるので製造が困難であった。
また、特許文献1に開示してあるマルチレベルインバータは、出力する電圧レベルの数がより多くなると、ダイオードにさらに高い耐圧が必要となり、直流電源とスイッチ素子との間に接続するダイオードの構成が複雑となり、さらに製造が困難になる。
それゆえに、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、製造が容易な構成の電力変換装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、直列に接続した第1のスイッチ素子および第2のスイッチ素子と、直列に接続した第1電荷蓄積要素および第2電荷蓄積要素と、第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子との第1接続点と、第1電荷蓄積要素と第2電荷蓄積要素との第2接続点とを接続する第3のスイッチ素子とを備え、第1のスイッチ素子および第2のスイッチ素子と、第1電荷蓄積要素および第2電荷蓄積要素とを並列に接続し、第1スイッチ素子から第3のスイッチ素子のオン状態とオフ状態とを組合わせ、3個の電圧レベルを出力することが可能な3レベルインバータを、nを2以上の整数とした場合に、2n個直列に接続してある直列3レベルインバータ群と、直列3レベルインバータ群のうちの2個の3レベルインバータの出力を選択する少なくとも1個のスイッチ回路とを備える電力変換装置である。直列3レベルインバータ群は、隣合う一方の3レベルインバータの第2のスイッチ素子と第2電荷蓄積要素との第4接続点と、隣合う他方の3レベルインバータの第1のスイッチ素子と第1電荷蓄積要素との第5接続点との接続を繰返して2n個の3レベルインバータを直列に接続する。スイッチ回路は、直列3レベルインバータ群の隣合う2個の3レベルインバータの出力のうち、いずれか一方を選択することが可能なように2n−1個接続し、スイッチ回路が2個以上の場合、前段に接続された2個のスイッチ回路の出力のうち、いずれか一方を選択することが可能なように次段のスイッチ回路を順に接続して1つの出力を得る。
本発明に係る電力変換装置によれば、複数の3レベルインバータを直列に接続した直列3レベルインバータ群と、複数の3レベルインバータの出力を選択する少なくとも1個のスイッチ回路とを備える構成にすることで、出力する電圧レベルの数によらず、耐圧の必要な素子をスイッチ回路に集中させることができるため、製造が容易な構成とすることができる。
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る電力変換装置の回路構成を示す回路図である。図1に示す電力変換装置10は、異なる9個の電圧レベルを出力することが可能な9レベルインバータである。電力変換装置10は、8個の直流電源V(コンデンサC1〜C8)、18個のスイッチ素子S1〜S8,S11〜S14,S21〜S26、接続端子In1,In2、出力端子Outを備えている。なお、スイッチ素子S1〜S8,S21〜S26には、フリーホイールダイオードをそれぞれ接続してある。
図1は、本発明の実施の形態に係る電力変換装置の回路構成を示す回路図である。図1に示す電力変換装置10は、異なる9個の電圧レベルを出力することが可能な9レベルインバータである。電力変換装置10は、8個の直流電源V(コンデンサC1〜C8)、18個のスイッチ素子S1〜S8,S11〜S14,S21〜S26、接続端子In1,In2、出力端子Outを備えている。なお、スイッチ素子S1〜S8,S21〜S26には、フリーホイールダイオードをそれぞれ接続してある。
電力変換装置10は、異なる3個の電圧レベルを出力することが可能な4個の3レベルインバータ10a,10b,10c,10dが直列接続された直列3レベルインバータ群と、2個の3レベルインバータ10a,10bの出力を選択する1個のスイッチ回路21と、2個の3レベルインバータ10c,10dの出力を選択する1個のスイッチ回路22と、前段に接続された2個のスイッチ回路21,22の出力のうち、いずれか一方を選択することが可能なように次段のスイッチ回路23とを備える。
3レベルインバータ10aは、直列接続された2個のスイッチ素子S1,S2、直列接続された直流電源VであるコンデンサC1,C2、スイッチ素子S1とスイッチ素子S2との接続点P1(第1接続点)と、コンデンサC1とコンデンサC2との接続点P1(第2接続点)とを接続するスイッチ素子S11を含んでいる。スイッチ素子S1,S2とコンデンサC1,C2とは並列に接続してある。なお、3レベルインバータ10b,3レベルインバータ10cおよび3レベルインバータ10dは、3レベルインバータ10aと同じ回路構成であるため、詳細な説明を繰返さない。
スイッチ回路21は、スイッチ素子S21およびスイッチ素子S22で構成され、スイッチ素子S21またはスイッチ素子S22がオン状態となることで、3レベルインバータ10aまたは3レベルインバータ10bの出力を選択する。スイッチ回路22は、スイッチ素子S23およびスイッチ素子S24で構成され、スイッチ素子S23またはスイッチ素子S24がオン状態となることで、3レベルインバータ10cまたは3レベルインバータ10dの出力を選択する。スイッチ回路23は、スイッチ素子S25およびスイッチ素子S26で構成され、スイッチ素子S25またはスイッチ素子S26がオン状態となることで、スイッチ回路21またはスイッチ回路22の出力を選択する。
電力変換装置10は、8個の直流電源Vの中間点を中点V0とし、中点V0の電圧レベルを“0V”とする。そのため、中点V0より上側の4個の直流電源Vの接続点の電圧レベルは、中点V0の側から順に“+1V”,“+2V”,“+3V”となり、中点V0より下側の4個の直流電源Vの接続点の電圧レベルは、中点V0の側から順に“−1V”,“−2V”,“−3V”となる。また、直流電源Vとスイッチ素子S1との接続点の電圧レベルは“+4V”となり、直流電源Vとスイッチ素子S8との接続点の電圧レベルは“−4V”となる。
そして、3レベルインバータ10aは、スイッチ素子S1をオン状態にすることで、直列接続されたコンデンサC1のプラス側電位“+4V”を出力することができ、スイッチ素子S11をオン状態にすることで、直列接続されたコンデンサC1,C2同士の接続点P2の電位“+3V”を出力することができる。さらに、3レベルインバータ10aは、スイッチ素子S2をオン状態にすることで、直列接続されたコンデンサC2のマイナス側電位“+2V”を出力することができる。したがって、3レベルインバータ10aは、“+4V”,“+3V”,“+2V”の3つの電圧レベルを出力することができる。
3レベルインバータ10bは、3レベルインバータ10aと同じ動作が可能であるため、“+2V”,“+1V”,“0V”の3つの電圧レベルを出力することができる。3レベルインバータ10cも、3レベルインバータ10aと同じ動作が可能であるため、“0V”,“−1V”,“−2V”の3つの電圧レベルを出力することができる。3レベルインバータ10dも、3レベルインバータ10aと同じ動作が可能であるため、“−2V”,“−3V”,“−4V”の3つの電圧レベルを出力することができる。
よって、電力変換装置10は、スイッチ回路21〜スイッチ回路23のスイッチ素子のオン状態とオフ状態とを切替え、直列接続された3レベルインバータ10a〜10dのいずれか一つの出力を選択することで、出力端子Outから異なる9個の電圧レベル(“−4V”,“−3V”,“−2V”,“−1V”,“0V”,“+1V”,“+2V”,“+3V”,“+4V”)を出力することができる。
次に、電力変換装置10の動作について説明する。図2は、図1に示す電力変換装置10が出力する電圧レベルの波形を示す波形図である。
まず、電力変換装置10は、スイッチ素子S4をオン状態、スイッチ回路21のスイッチ素子S22をオン状態、スイッチ回路23のスイッチ素子S25をオン状態にして、出力端子Outから電圧レベル“0V”を出力する。その後、電力変換装置10は、時刻t1に、スイッチ素子S12をオン状態、スイッチ回路21のスイッチ素子S22をオン状態、スイッチ回路23のスイッチ素子S25をオン状態にして、出力端子Outから電圧レベル“+1V”を出力する。
そして、電力変換装置10は、時刻t2に、スイッチ素子S3をオン状態、スイッチ回路21のスイッチ素子S22をオン状態、スイッチ回路23のスイッチ素子S25をオン状態にして、出力端子Outから電圧レベル“+2V”を出力する。
なお、電力変換装置10は、スイッチ素子S2をオン状態、スイッチ回路21のスイッチ素子S21をオン状態、スイッチ回路23のスイッチ素子S25をオン状態にして、出力端子Outから電圧レベル“+2V”を出力してもよい。
その後、電力変換装置10は、時刻t3に、スイッチ素子S11をオン状態、スイッチ回路21のスイッチ素子S21をオン状態、スイッチ回路23のスイッチ素子S25をオン状態にして、出力端子Outから電圧レベル“+3V”を出力する。
そして、電力変換装置10は、時刻t4に、スイッチ素子S1をオン状態、スイッチ回路21のスイッチ素子S21をオン状態、スイッチ回路23のスイッチ素子S25をオン状態にして、出力端子Outから電圧レベル“+4V”を出力する。その後、電力変換装置10は、出力端子Outから電圧レベルを“+3V”、“+2V”、“+1V”、“0V”と順に下げる。
なお、電力変換装置10は、スイッチ素子S5をオン状態、スイッチ回路22のスイッチ素子S23をオン状態、スイッチ回路23のスイッチ素子S26をオン状態にして、出力端子Outから電圧レベル“0V”を出力してもよい。
電力変換装置10は、時刻t5に、スイッチ素子S13をオン状態、スイッチ回路22のスイッチ素子S23をオン状態、スイッチ回路23のスイッチ素子S26をオン状態にして、出力端子Outから電圧レベル“−1V”を出力する。
そして、電力変換装置10は、時刻t6に、スイッチ素子S6をオン状態、スイッチ回路22のスイッチ素子S23をオン状態、スイッチ回路23のスイッチ素子S26をオン状態にして、出力端子Outから電圧レベル“−2V”を出力する。
なお、電力変換装置10は、スイッチ素子S7をオン状態、スイッチ回路22のスイッチ素子S24をオン状態、スイッチ回路23のスイッチ素子S26をオン状態にして、出力端子Outから電圧レベル“−2V”を出力してもよい。
その後、電力変換装置10は、時刻t7に、スイッチ素子S14をオン状態、スイッチ回路22のスイッチ素子S24をオン状態、スイッチ回路23のスイッチ素子S26をオン状態にして、出力端子Outから電圧レベル“−3V”を出力する。
そして、電力変換装置10は、時刻t8に、スイッチ素子S8をオン状態、スイッチ回路22のスイッチ素子S24をオン状態、スイッチ回路23のスイッチ素子S26をオン状態にして、出力端子Outから電圧レベル“−4V”を出力する。その後、電力変換装置10は、出力端子Outから電圧レベルを“−3V”、“−2V”、“−1V”、“0V”と順に上げる。
電力変換装置10は、前述のように異なる9個の電圧レベル(“−4V”,“−3V”,“−2V”,“−1V”,“0V”,“+1V”,“+2V”,“+3V”,“+4V”)を切替え出力する動作を行なうことで、図2に示す破線のような交流電圧を出力することができ、直流電力を交流電力に変換することができる。
3レベルインバータ10a〜10dは、構成するスイッチ素子S1〜S8,S11〜S14,S21〜S26において、スイッチ素子がオフ状態のときにそれぞれの素子の両端に最大でコンデンサ2個分の電圧が印加されるのみである。たとえば、3レベルインバータ10aは、スイッチ素子S1がオン状態で、スイッチ素子S2,S11がオフ状態のとき、スイッチ素子S2の両端にコンデンサ2個分の電圧、スイッチ素子S11の両端にコンデンサ1個分の電圧がそれぞれ印加される。
スイッチ回路21は、出力端子Outから“+4V”を出力する場合、スイッチ素子S21がオン状態、スイッチ素子S22がオフ状態となり、スイッチ素子S22の一端に“+4V”の電圧が印加される。しかし、スイッチ回路21は、3レベルインバータ10bのスイッチ素子S3をオン状態にすることで、スイッチ素子S22の他端に“+2V”の電圧が印加して、スイッチ素子S22の両端に最大でコンデンサ2個分の電圧が印加されるように制限することが可能である。スイッチ回路22についても、同様に最大でコンデンサ2個分の電圧が印加されるように制限することが可能である。
なお、スイッチ回路23は、出力端子Outから“+4V”または“−4V”を出力する場合、スイッチ素子S25またはスイッチ素子S26の両端にコンデンサ4個分の電圧が印加される。すなわち、スイッチ回路23は、最大でスイッチ回路21または22に印加される電圧の2倍の電圧が印加されるように制限することが可能である。
以上のように、本発明の実施の形態に係る電力変換装置10は、3レベルインバータ10a,10bが4つ直列に接続された特別に耐圧の大きな素子が不要な直列3レベルインバータ群と、スイッチ回路21〜23とを備える構成とすることで、高い電圧が印加される素子をスイッチ回路21〜23を構成する素子に限定することができる。すなわち、電力変換装置10は、既存の耐圧の素子を用いた3レベルインバータを4個以上直列に接続し、各3レベルインバータの出力を選択するスイッチ回路を設けるだけで、9レベル以上の電圧レベルを出力することが可能なマルチレベルインバータを容易に製造することができる。
具体的には、図3は、本発明の実施の形態に係る電力変換装置の別の回路構成を示す回路図である。図3に示す電力変換装置20は、図1に示す電力変換装置10を2個直列に接続するとともに、2個の電力変換装置10の出力のうち、いずれか一方を選択するためのスイッチ回路24を設けたものである。2個の電力変換装置10の間の接続は、一方の電力変換装置10の接続端子Cn1と他方の電力変換装置10の接続端子Cn2とを結合することで実現できる。スイッチ回路24は、スイッチ素子S27およびスイッチ素子S28で構成され、スイッチ素子S27またはスイッチ素子S28がオン状態となることで、2個の電力変換装置10の出力の一方を選択する。このようにして、電力変換装置20は、異なる17個の電圧レベルを出力することが可能な17レベルインバータを実現する。
上述したように、本発明の実施の形態に係る電力変換装置は、直列に接続されるマルチレベルインバータおよびスイッチ回路を増やすことで、出力する電圧レベルの数を増やすことについて、以下のように一般化して表わすことができる。
つまり、本発明の実施の形態に係る電力変換装置は、2n個直列に接続してある直列3レベルインバータ群(nは2以上)と、直列3レベルインバータ群のうちの2個の3レベルインバータの出力を選択する少なくとも1個のスイッチ回路とを備える。そして、スイッチ回路は、直列3レベルインバータ群の隣合う2個の3レベルインバータの出力のうち、いずれか一方を選択することが可能なように2n−1個接続し、スイッチ回路が2個以上の場合、前段に接続された2個のスイッチ回路の出力のうち、いずれか一方を選択することが可能なように次段のスイッチ回路を順に接続して、電力変換装置が1つの出力を得る。
なお、本発明の実施の形態に係る電力変換装置では、スイッチ動作の説明を簡単にするため、交流1周期に電圧レベルを選択する回数を限定して説明したが、交流1周期に複数回スイッチングして電圧レベルを複数回選択することで、よりきめ細かい交流電圧を出力することができ、高周波のより少ない電力変換装置とすることができる。
また、本発明の実施の形態に係る電力変換装置では、電荷蓄積要素としてコンデンサを用いたが、これに限定されるものではなく、たとえば直流電源やバッテリを接続してもよい。
さらに、本発明の実施の形態に係る電力変換装置では、電荷蓄積要素とスイッチ素子またはダイオードとの間を直結しているが、これに限定されるものではなく、たとえばスイッチ素子がオン−オフの過渡状態の電流の急変を抑制するスナバ回路などを設ける構成であってもよい。
また、スイッチ素子S11〜S14は、2つの半導体スイッチを逆直列に組合わせた交流スイッチや、逆耐圧の半導体スイッチを2つ逆並列接続した交流スイッチであってもよい。図4は、2つの半導体スイッチを逆直列に組合わせた交流スイッチの構成の一例を示した回路図である。図4に示す交流スイッチは、半導体スイッチQ11,Q12を逆直列接続してある。一方、図5は、逆耐圧の半導体スイッチを2つ逆並列接続した交流スイッチの構成の一例を示した回路図である。図5に示す交流スイッチは、逆耐圧の半導体スイッチである逆阻止形IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を2つ逆並列接続してある。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10,20 電力変換装置、10a〜10d レベルインバータ、21〜23 スイッチ回路、C1〜C8 コンデンサ、S1〜S8,S11〜S14,S21〜S28 スイッチ素子。
Claims (3)
- 3個の電圧レベルを出力することが可能な3レベルインバータを、nを2以上の整数とした場合に、2n個直列に接続してある直列3レベルインバータ群と、
前記直列3レベルインバータ群のうちの2個の前記3レベルインバータの出力を選択する少なくとも1個のスイッチ回路とを備え、
前記3レベルインバータは、
直列に接続した第1のスイッチ素子および第2のスイッチ素子と、
直列に接続した第1電荷蓄電要素および第2電荷蓄積要素と、
前記第1のスイッチ素子および前記第2のスイッチ素子の第1接続点と、前記第1電荷蓄積要素および前記第2電荷蓄積要素の第2接続点とを接続する第3のスイッチ素子とを含み、前記第1のスイッチ素子および前記第2のスイッチ素子と、前記第1電荷蓄積要素および前記第2電荷蓄積要素とを並列に接続し、前記第1のスイッチ素子から前記第3のスイッチ素子のオン状態およびオフ状態の組合わせにより3個の電圧レベルを出力することが可能に構成され、
前記直列3レベルインバータ群は、隣合う一方の前記3レベルインバータの前記第2のスイッチ素子および前記第2電荷蓄積要素の第4接続点と、隣合う他方の前記3レベルインバータの前記第1のスイッチ素子および前記第1電荷蓄積要素の第5接続点との接続を繰返すことによって2n個の前記3レベルインバータを直列に接続し、
前記スイッチ回路は、前記直列3レベルインバータ群の隣合う2個の前記3レベルインバータの出力のうち、いずれか一方を選択することが可能なように2n−1個接続し、
前記スイッチ回路が2個以上の場合、前段に接続された2個の前記スイッチ回路の出力のうち、いずれか一方を選択することが可能なように次段の前記スイッチ回路を順に接続することによって1つの出力を得る、電力変換装置。 - 前記第1のスイッチ素子と前記第1電荷蓄積要素との間、前記第2のスイッチ素子と前記第2電荷蓄積要素との間に、電流の急変を抑制するスナバ回路をさらに備える、請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記隣合う2個の3レベルインバータの出力を選択するための前記スイッチ回路には、隣合う一方の前記3レベルインバータ中の電荷蓄積要素の電圧の和、および隣合う他方の前記3レベルインバータ中の電荷蓄積要素の電圧の和のうちの大きいほうの電圧以下の電圧が印加されるように、かつ、前記前段に接続された2個の前記スイッチ回路の出力を選択するための前記スイッチ回路には、前記前段に接続された前記スイッチ回路に印加される電圧の2倍以下の電圧が印加されるように、前記第1のスイッチ素子から前記第3のスイッチ素子のオンオフ状態を選択することを特徴とする、請求項1または2に記載の電力変換装置。
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