[第1実施形態]
図1に示すように、固体撮像装置10はCMOS型イメージセンサであり、受光領域11と垂直走査回路13、水平走査回路14、出力回路16、制御回路17等を備える。
受光領域11は、複数の画素21が水平方向(X方向)及び垂直方向(Y方向)に沿って正方配列された領域である。受光領域11には、撮像レンズによって被写体の像が結像され、各画素21は光電変換により、入射光量に応じた電荷を蓄積する。
画素21は、フォトダイオード(以下、PDという)22、リセットトランジスタ(以下、Trという)23、アンプトランジスタ(以下、Taという)24、選択トランジスタ(以下、Tsという)25を備えている。Tr23,Ta24,Ts25は例えばn型のMOSトランジスタである。また、各画素21には、各画素21には、赤色(R),緑色(G),青色(B)のいずれかの色のカラーフィルタ41(図2参照)が設けられており、各画素21は対応するカラーフィルタ41の色の光を光電変換する。
なお、受光領域11に配列されている画素21は、通常画素、位相差画素、超高画素のいずれかである。通常画素は、撮影画像の生成に利用される画素であり、対称な形状に形成され、全方向からの入射光を偏りなく受光して光電変換する。位相差画素は、位相差AFに用いられる画素であり、入射光の一部を選択的に受光する。調光画素は、入射光量を調節可能な画素であり、少なくとも位相差画素に隣接する画素がこの調光画素になっている。これらの各画素は、立体的構造がそれぞれ異なっているが、光電変換をし、その電荷を読み出すための基本的な電気的構成は同じである。このため、図1では通常画素、位相差画素、調光画素の3種の画素を各々区別せずに、受光領域11内の画素を全て画素21としている。
PD22は光電変換により、入射光量に応じた電荷を生成する素子であり、アノードがグラウンドに接続されており、カソードがTa24のゲート電極に接続されている。PD22のカソードとTa24のゲート電極の接続部分がフローティングディフュージョン(以下、FDという)26であり、ここにPD22で生成された電荷が蓄積される。
Tr23は、ソース電極がFD26に接続され、ドレイン電極には電源電圧VDD(図示しない)が印加される。また、Tr23のゲート電極はリセット線27に接続されている。Tr23は、リセット線26を介して垂直走査線13からゲート電極にリセットパルスが印加されることによりオン状態になる。Tr23がオン状態になると、FD26に電源電圧VDDが印加され、FD26に蓄積された電荷が破棄される。
Ta24は、ゲート電極がFD26に接続され、ドレイン電極には電源電圧VDDが印加されている。また、信号電圧が出力されるソース電極は、Ts25のドレイン電極に接続されている。Ta24は、FD26に蓄積された電荷量に応じた信号電圧をソース電極に出力する。
Ts25は、ドレイン電極がTa24のソース電極に接続され、ソース電極は信号線28に接続されている。また、Ts25のゲート電極は、行選択線29に接続されている。Ts25は、行選択線29を介して垂直走査回路13から選択パルスが入力されるとオン状態になり、Ta24から出力された信号電圧を信号線28に出力する。
垂直走査回路13は、画素21の駆動回路であり、各行のリセット線27と行選択線29が接続されている。垂直走査回路13は、選択された行のリセット線27にリセットパルスを入力し、また、行選択線29に選択パルスを入力してTr23やTs25の動作を制御することにより、前述のように各画素21を動作させる。
水平走査回路14は、各信号線28上に設けられた列選択トランジスタ(Tc)32のうち1つをオンにすることにより、信号電圧の読み出しを行う列を選択する。
信号線28は、各画素21からの信号電圧を読み出すための配線であり、画素21の列毎に設けられている。また、信号線28の末端には、相関二重サンプリング(CDS)回路31と列選択トランジスタ32が設けられている。CDS回路31は、制御回路17から入力されるクロック信号に基づいて動作し、垂直走査回路13によって選択された行選択線29上の画素21から、読み出しに伴うノイズが除去されるように電圧信号をサンプリングし、保持する。水平走査回路14によって列選択トランジスタ32がオンにされることによって、CDS回路31が保持する電圧信号は出力バスライン33を介して出力回路16に出力される。
出力回路16は、CDS31から入力される電圧信号を増幅するアンプ34と、アンプ34で増幅された電圧信号をデジタルデータに変換するA/D変換回路35を備える。アンプ34のゲインは可変であり、撮影モード等の設定に応じて適宜調節される。
制御回路17は、垂直走査回路13や水平走査回路14等の各部と接続されており、固体撮像装置10の各部を統括的に制御する。例えば、垂直走査回路13や水平走査回路14の動作は制御回路17から入力されるクロック信号等の制御信号に基づいて動作する。また、CDS31の動作やアンプ34のゲイン等も制御回路17によって制御される。
図2に示すように、固体撮像装置10のカラーフィルタ41は、6×6画素の色配列を1単位とする長い周期性を有している。より詳しくは、カラーフィルタ41は、3×3画素の色配列からなる2種類のサブユニット41a,41bをそれぞれ対角の位置に配置した配列である。第1サブユニット41aは、3×3画素の中央及び対角位置に緑色(G)フィルタが配置され、左右中央に青色(B)フィルタを、上下中央に赤色(R)フィルタが配置されたサブユニットである。第2サブユニット41bは、3×3画素の中央及び対角位置にGフィルタが配置されている点は第1サブユニット41aと同様であるが、BフィルタとRフィルタが第1サブユニット41aとは逆になっており、左右中央にはRフィルタが配置され、上下中央にはBフィルタが配置される。
例えば、2×2画素の色配列を1単位としたベイヤー配列と比較すると、カラーフィルタ41は長い周期性を有するので、固体撮像装置10では光学的ローパスフィルタを用いなくてもモアレの発生を抑えることができる。また、カラーフィルタ41を採用した固体撮像装置10では、縦方向(垂直方向)及び横方向(水平方向)に必ずRGBの画素が存在するので、偽色が抑えられ、正確な色再現が可能である。
位相差画素42aは、入射光の右側(X方向正側)半分の光束を選択的に受光して光電変換をする画素であり、例えば、右上の第1サブユニット41aの左下に位置するG画素に形成される。位相差画素42bは、入射光の左側(X方向負側)半分の光束を選択的に受光して光電変換をする画素であり、例えば、左上の第2サブユニット41bの左下に位置するG画素に形成される。位相差AFを行う場合、これらの位相差画素42a,42bの対から得られた視差がある電圧信号(あるいはこれらの電圧信号に応じた画素値)に基づいて合焦評価が行われる。そして、合焦評価の結果に応じてベストピントになるように撮像レンズの位置が自動調節される。
一方、位相差画素42a,42bは上述のように入射光のうち左右いずれかの一部の光束を選択的に受光するので、通常画素と比較して受光量が少ない。このため、被写体の撮影画像を得る場合、位相差画素42a,42bの画素値は、例えば、いわゆるゲイン補正により、もとの画素値を所定倍して通常画素と同等の受光量に相当する画素値に補正して撮影画像の生成に用いられる。あるいは、周辺の通常画素44の画素値を用いて補間により生成した画素値が代替として用いられる。
調光画素43は各々に入射光量を調節可能な画素であり、少なくとも位相差画素42a,42bに隣接する画素が調光画素43になっている。すなわち、位相差画素42aの縦,横,斜め方向に隣接する8個の画素が調光画素43になっている。同様に、位相差画素42bに隣接する8個の画素も調光画素43になっている。位相差AFを行う場合、これらの調光画素43は遮光状態になり、入射光は対応するPS22には到達しない。一方、被写体を撮像する場合、調光画素43は透明状態になり、入射光は偏りなく対応するPS22に到達し、光電変換される。このため、被写体を撮像する場合、調光画素43は通常画素として機能する。
上述の位相差画素42a,42b及び調光画素43以外の画素は、通常画素44である。通常画素44は、位相差AFを行う場合も、被写体を撮像する場合も、上下左右の各方向の入射光を偏りなく受光して光電変換する。通常画素44の画素値は、そのままスルー画像や撮影画像の生成に使用される。
なお、位相差画素42a,42bは受光領域11の前面に満遍なく設けられているが、複数あるカラーフィルタ41の6×6画素の単位中に必ず位相差画素42a,42bが設けられているわけではない。受光領域11の各画素21をカラーフィルタ41の6×6画素の単位でみた場合、位相差画素42a,42bが設けられていない単位もある。但し、カラーフィルタ41の6×6画素の単位や受光領域11内での位相差画素42a,42bに関わらず、位相差画素42a,42bに隣接する画素は全て調光画素43になっている。このため、隣接する単位に位相差画素42a,42bが設けられている場合、位相差画素42a,42bが設けられていない単位でも場合でも、一部の画素が調光画素43になっていることがある。例えば、図2のように、位相差画素42bの左,左上,左下の画素は、位相差画素42bが属する破線で示す単位の画素ではないが、位相差画素42bが隣接する単位に設けられているために調光画素43になっている。
図3に示すように、固体撮像装置10は、裏面照射(BSI;back side illuminated)型のCMOSイメージセンサであり、支持基板51、配線層52、p型半導体基板53、調光層54、カラーフィルタ41、マイクロレンズ58等で構成される。p型半導体基板53に対して配線層52が設けられている側が固体撮像装置10の「表面」であり、カラーフィルタ41や調光層54,マイクロレンズ58が設けられている側が「裏面」である。固体撮像装置10には、マイクロレンズ58、カラーフィルタ41、調光層54を介して裏面側からPD22に光が入射される。
支持基板51は、例えばシリコン基板であり、裏面照射型の固体撮像装置10を製造する過程で、p型半導体基板53の裏面を露呈させ、p型半導体基板53を薄型化するために、配線層52の表面に接合される。
配線層52は、p型半導体基板53の表面に形成され、配線層52内に設けられた配線52aによって、各画素21(位相差画素42a,42b,調光画素43,及び通常画素44)を形成するトランジスタ(Tr23,Ta24,Ts25)や、各画素21を駆動するための垂直走査回路13,水平走査回路14,出力回路16,制御回路17,CDS31等の各種回路、リセット線27,信号線28,行選択線29、出力バスライン33等の各種配線が形成される。
PD22は、p型半導体基板53と、p型半導体基板53内に形成されたn型半導体領域のPN接合によって形成される。p型半導体基板53は薄型化されており、破線で示すPD22の光電変換領域は、p型半導体基板53の裏面近傍にまで達している。PD22が光電変換により生成した電荷は、配線層52との界面近傍に蓄積される。なお、各PD22は図示しない分離層(例えばp+層)によって分離されている。
調光層54は、p型半導体基板53の裏面側に設けられ、調光素子55,遮光膜56,絶縁膜57からなる。調光素子55は、可視光の透過光量(透過率)を調節することができる素子であり、例えば、所定電圧が印加されている場合にはほぼ透明であり、印加する電圧を下げると徐々に不透明になる。一方、電圧を印加しない状態にすると(あるいは透明電極55Aの電位をグラウンドにする等により電圧を印加しない状態にする)と、調光素子55の透過率はほぼ0%(〜数%程度)になる。調光素子55は、各々独立して制御できる状態で、各々の調光画素43のPD22を覆って設けられている。調光素子55が透明な場合には、マイクロレンズ58及びカラーフィルタ41を介して入射する光は調光素子55を透過してPD22に到達する。調光素子55が不透明な場合には、入射光は調光素子55によって遮られ、少なくとも減光されてPD22に入射する。
遮光膜56は、例えば金属薄膜からなり、常に遮る。遮光膜56は、位相差画素42a,42bのPD22の一部を覆って設けられている。また、位相差画素42aと位相差画素42bとでは遮光膜56の配置が左右対称になっている。すなわち、位相差画素42aでは、遮光膜56はPD22の左側半分を覆う位置に設けられ、位相差画素42bでは、遮光膜56はPD22の右側半分を覆う位置に設けられている。これにより、位相差画素42aでは入射光の左側半分が遮られるので、位相差画素42aは右側から入射する光を選択的に受光する。同様に、位相差画素42bは遮光膜56によって入射光の右側半分が遮られるので、位相差画素42bは左側から入射する光を選択的に受光する。
絶縁膜57は、透明電極5755A,55Bとp型半導体基板53の間を絶縁するとともに、透明電極55A,55B上を平坦化する平坦化膜でもある。このため、通常画素43上の調光層54は絶縁膜57のみで形成されている。絶縁膜57は、例えば、BPSG等の透明で導電性のない材料で形成される。なお、絶縁膜57は、調光素子55や遮光膜56とp型半導体基板53の間を絶縁する。また、絶縁膜57は、調光素子55や遮光膜56を設けたことによる凹凸を平坦化する平坦化膜を兼ねている。
カラーフィルタ41は調光層54上に、各色セグメントがPD22にそれぞれ対応するように設けられている。カラーフィルタ41の色配列については前述の通りであり、マイクロレンズ58によって集光される光束はカラーフィルタ41を通ることによってR,G,Bのいずれかの色になってPD22に入射する。
マイクロレンズ58は、各PD22に対応するように、カラーフィルタ41上に設けられており、形状は概ね半球であり、入射光を対応するPD22に集光する。なお、受光領域11の中心においては、マイクロレンズ58の中心はPD22の中心にほぼ一致しているが、受光領域11の周辺部分にあるものほど主光線角度に応じて受光領域11の中心方向にオフセットして配置(スケーリング)されている。これにより、受光領域11の周辺部分において、PD22に斜めに入射する光束も対応するPD22に効率良く集光される。
図4に示すように、固体撮像装置10は、調光制御部61と、調光制御部61と調光素子55をそれぞれ接続する配線63を有し、調光制御部61によって調光素子55に印加する電圧を制御する。
調光制御部61は、配線63を介し、必要に応じて調光素子55に電圧を印加するための回路であり、制御部17から入力される制御信号に基づいて調光素子55に電圧を印加するタイミングや印加する電圧の大きさを調節する。具体的には、調光制御部61は、位相差AFを行う場合に調光素子55に印加する電圧を零電圧にして、調光素子55を不透明な状態にする。一方、被写体を撮像する場合、調光制御部61は、調光素子55に所定電圧を印加し、調光素子55を透明な状態にする。これにより、位相差AFを行う場合、調光画素43は遮光画素になり、被写体を撮像する場合、調光画素43は通常画素として機能する。
なお、調光制御部61は、制御部17と同様に配線層52の配線52a等によって形成される。一方、調光制御部61と調光素子55を接続する配線63は、調光層54内に、例えばポリシリコン等によって形成される。このため、調光制御部61と配線63は、p型半導体基板53を貫通するビアホール(スルーホールとも言う。図示しない)を介して接続される。
図5に示すように、調光素子55は、例えば、SPD(Suspended Particle Device。懸濁粒子デバイスとも言う)であり、一対の透明電極71a,71bと、SPD層72からなる。透明電極71a,71bは、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)からなる。透明電極71aはp型半導体基板53側に設けられた下部電極であり、透明電極71bはカラーフィルタ41及びマイクロレンズ58側に設けられた上部電極である。第1調光制御部61はこれらの透明電極71a,71b間に所定電圧を印加することにより、SPD層72の透過光量を調節する。
SPD層72は、透明な樹脂72aにマイクロカプセル72bが分散配置された層である。樹脂72aは例えば紫外線硬化樹脂からなり、マイクロカプセル72bには配向粒子72c(例えば液晶分子)が封入されている。SPD層72の上下を挟み込む透明電極71a,71bに所定電圧が印加されている場合、図5(A)に示すように、各々の配向粒子72cの配向方向がほぼ整列され、入射光は調光素子55Aを透過する。一方、図5(B)に示すように、透明電極71a,71bに電圧が印加されていない場合、各々の配向粒子71a,71bの配向方向はほぼランダムになる。このため、透明電極71a,71b間に電圧が印加されていない場合、調光素子55への入射光は配向粒子72cに散乱されるので、調光素子55は不透明な状態になる。このように、透明電極71a,71bに印加する電圧を零電圧と所定電圧との間で調節し、配向粒子72cの配向方向の整列度合いを調節することによって、調光素子55は、透過光量(透過率,あるいは不透明度)を調節することができる。
以下、上述のように構成される固体撮像装置10の作用を説明する。まず、位相差AFを行う場合、固体撮像装置10は、調光制御部61によって調光素子55に印加する電圧を零電圧にし、不透明な状態にする。これにより、調光画素43への入射光はほぼ全て調光素子55によって遮られる(少なくとも減光される)ので、調光画素43では、隣接する位相差画素42a,42bに混入する可能性がある電荷自体が生じなくなる。したがって、固体撮像装置10は、位相差画素42a,42bへの混色を抑え、正確な位相差AFを行うことができる。
また、被写体を撮像する場合、固体撮像装置10は、調光制御部61によって調光素子55に所定電圧を印加し、透明な状態にする。これにより、調光画素43への入射光はPD22に到達するようになり、調光画素43は通常画素44と同様に機能し、調光画素43の画素値を撮影画像に使用することができる。
例えば、位相差AFを行う場合に位相差画素42a,42bへの混色を防ぐために、位相差画素42a,42bに隣接する画素を遮光しておけば、固体撮像装置10と同様に位相差画素42a,42bへの混色を抑えることができる。しかし、位相差画素42a,42bに隣接する画素を単に遮光画素にしておくと、被写体を撮像する場合にもこの遮光画素からは画素値が得られないので、撮影画像を生成する場合には、位相差画素42a,42bだけでなく、その周辺の遮光画素までもが、正常な画素値が得られない欠陥画素になる。もちろん、欠陥画素がある場合に被写体の画像を生成するには、周辺の通常画素に基づいた補間等により、欠陥画素の画素値を生成しなければならないが、位相差画素とその周囲の遮光画素というクラスタ状の大きな欠陥を補間等により正確に補正することは難しい。こうしたクラスタ状の欠陥を補間等によって補正が可能であるとしても、例えば、位相差画素1画素の画素値を補間等により補正する場合と比較すれば、少なくとも正確性に欠け、画質(欠陥部分の解像度等)が良くない。
この点、固体撮像装置10は、位相差画素42a,42bに隣接する画素を単に遮光画素にするのではなく、位相差AFを行う場合には遮光画素として機能し、被写体を撮像する場合には通常画素として機能する調光画素43にしたので、混色を抑えた正確な位相差AFと、画質が良い撮影画像の取得を両立することができる。
なお、上述の第1実施形態では、位相差画素42a,42bが入射光のうち左右いずれかの部分を選択的に受光するように遮光膜56を設けたが、位相差画素42a,42bは対称に形成されていればよく、入射光のうちどの方向の部分を選択的に受光するようにするかは任意に定めることができる。すなわち、対になる位相差画素42a,42bは対称に形成されていればよく、例えば、それぞれ対応するPD22の上側半分,下側半分を覆うように遮光膜56を設けたても良い。こうすれば、上下方向の視差に関する情報を得ることができる。また、例えば、PD22の右上半分,左下半分を覆うように遮光膜56を設けることにより、位相差画素42a,42bによって斜め方向の視差に関する情報を得るようにすることもできる。
なお、上述の第1実施形態では、位相差AFを行う場合に調光画素43を不透明にしたが、位相差AFを行う場合でも調光画素43を完全に不透明にしなくてもよく、調光画素43を半透明な状態にして位相差AFを行なっても良い。すなわち、位相差AFを行う場合に、通常画素44(るいは透明状態の調光画素43)よりも調光画素43への入射光量を減らすことができれば、その分、調光画素43から位相差画素42a,42bへの混色を抑えることができる。このため、調光画素43を半透明にした場合でも、位相差画素42a,42bに隣接する画素が通常画素44である場合と比較すれば、位相差AFの正確性を向上させることができる。調光画素43を半透明にするには、例えば、調光素子55に印加する電圧を、透明にするための所定電圧と不透明にするための零電圧の間の電圧を印加すれば良い。
なお、上述の第1実施形態では、カラーフィルタ41の6×6画素の単位において、右上の第1サブユニット41aの左下G画素と、左上の第2サブユニット41bの左下G画素を位相差画素42a,42bにしたが、位相差画素42a,42bにするG画素の位置は任意である。例えば、右上の第1サブユニット41aの中央のG画素と、左上の第2サブユニット41bの中央のG画素をそれぞれ位相差画素42a,42bにしてもよい。
[第2実施形態]
なお、上述の第1実施形態では、位相差画素42a,42bに隣接する画素に調光素子55を設けて調光画素43にしたが、図6に示す固体撮像装置80のように、遮光膜56の代わりに調光素子81を用いて位相差画素82a,82bを形成してもよい。
調光素子81は、調光画素43の調光素子55と同じ構造のものであるが(図5参照)、調光素子81は、PD22の全面を覆うのではなく、遮光膜56と同様に、位相差画素82a,82bのPD22の一部を覆って設けられる。すなわち、調光素子81は、位相差画素82aではPD22の左側半分を覆う位置に設けられ、位相差画素82bではPD22の右側半分を覆う位置に設けられる。また、位相差画素82a,82bの調光素子81は、調光画素43の配線63に接続され、調光制御部61によって印加される電圧の制御が行われる。
具体的には、位相差AFを行う場合、調光制御部61は位相差画素82a,82bの調光素子81及び調光画素43の調光素子55に印加する電圧を同時に零電圧にし、不透明な状態にする。この場合、位相差画素82a,82bでは、それぞれ左側半分,右側半分が調光素子81によって遮光され、入射光の一部を選択的に受光する。同時に、位相差画素82a,82bに隣接する調光画素43は調光素子55によってPD22の全面を遮光され、遮光画素になる。このため、調光素子81を用いて位相差画素82a,82bを形成する場合も、周辺の調光画素43からの混色を抑え、正確な位相差AFを行うことができる。
一方、被写体を撮像する場合、調光制御部61は位相差画素82a,82bの調光素子81及び調光画素43の調光素子55に、ともに所定電圧を印加し、透明な状態にする。この場合、調光画素43は、前述の第1実施形態と同様に、調光素子55が透明な状態になることによって通常画素44として機能する。さらに、位相差画素82a,82bは、調光素子81が透明になることによって、調光素子81が設けられている部分においても入射光がPD22に到達するようになるので、位相差画素82a,82bは入射光の全体を偏りなく受光する。すなわち、固体撮像装置80は、遮光膜56の代わりに調光素子81を用いて位相差画素82a,82bを形成したことによって、被写体を撮像する場合に全ての画素を通常画素として使用することができる。このため、固体撮像装置80では、位相差AFを正確に行うことができるとともに、被写体の撮影画像を生成する場合には、位相差画素82a,82bの画素値を補間等により補正する必要がないので(あるいは補正等が必要でも正確な補正が可能なので)、高画質な撮影画像を容易に得ることができる。
なお、上述の第1,第2実施形態では、位相差画素に隣接する画素を調光画素43にしたが、図7に示す固体撮像装置90のように、位相差画素82a,82b以外の全ての画素を調光画素43にしても良い。
固体撮像装置90では、位相差画素82a,82b以外の全画素が調光画素43になっているので、位相差AFを行う場合、位相差画素82a,82b以外の画素は全て遮光画素になる。そして、位相差画素82a,82bは、調光素子81が不透明になることによって、左または右からの入射光のみを選択的に受光する。一方、被写体を撮像する場合、固体撮像装置90は、位相差画素82a,82bを含め全ての画素が通常画素として機能する。
調光素子55は透過光量を自在に調節可能であるが、調光素子55を透明状態にした場合でもわずかに透過光量が損失し、調光素子55の有無によって、調光画素43と通常画素44にわずかに感度差が生じる場合があるが、図7の固体撮像装置90のように、位相差画素82a,82b以外の全ての画素を調光画素43にしておけば、このようなわずかな感度差による画質の低下を防止し、均質な撮影画像を得ることができる。
なお、図7では、第2実施形態の固体撮像装置80と同様に、調光素子81を用いて位相差画素82a,82bを形成しているが、第1実施形態の固体撮像装置10のように遮光膜56を用いて位相差画素42a,42bを形成しても良い。
[第3実施形態]
なお、上述の第1,第2実施形態では、位相差画素42a,42b,82a,82bと調光画素43の構造が異なっているが、位相差画素及び調光画素を同様の構造の画素にすることもできる。
図8に示すように、固体撮像装置100は、受光領域11内に、位相差画素101a,101bと調光画素102を有する。そして、これらの位相差画素101a,101bと調光画素102は、どちらも調光層54内に2つの調光素子を並べて配置した構造を有する。
位相差画素101aは、カラーフィルタ41の6×6画素の単位でみた場合、右上の第1サブユニット41aの左下G画素に形成され、2つの調光素子106,107が左右(X方向)に並べて配置される。位相差画素101aでは、右側(X方向正側)に調光素子106が配置され、左側(X方向負側)に調光素子107が配置される。
位相差画素101bは、カラーフィルタ41の6×6画素の単位でみた場合、左上の第2サブユニット41bの左下G画素に形成され、位相差画素101aと同様に2つの調光素子106,107が左右に並べて配置される。但し、位相差画素101bは、調光素子106,107の配列が位相差画素101aと逆順であり、左側に調光素子107が配置され、右側に調光素子106が配置される。
位相差画素101a,101bの各調光素子106,107は、第1調光制御部108及び第2調光制御部109によってそれぞれ独立に制御される。第1調光制御部108は、位相差画素101a,101bの調光素子106に接続され、位相差画素101aの右側及び位相差画素101bの左側の透過光量を制御する。第2調光制御部109は、位相差画素101a,101bの調光素子107に接続され、位相差画素101aの左側及び位相差画素101bの右側の透過光量を制御する。
調光画素102は、位相差画素101a,101bと同様に2つの調光素子110,111を有している。調光素子110は第3調光制御部112に、調光素子111は第4調光素子113にそれぞれ接続され、第3調光制御部112及び第4調光制御部113によって各々独立に、また、位相差画素101a,101bの調光素子106,107に対しても独立して透過光量を調節される。
また、調光画素102は、その位置によって調光素子110,111の配置順が異なる。具体的には、カラーフィルタ41の6×6画素の単位でみた場合、右上及び左下の第1サブユニット41aにおいては、第3調光制御部112で制御される調光素子110が右側に配置され、第4調光制御部113で制御される調光素子111が左側に配置される。一方、左上及び右下の第2サブユニット41bにおいては、右側に調光素子111が配置され、左側に調光素子110が配置される。
図9に示すように、固体撮像装置100は、被写体を撮像する場合、第1調光制御部108及び第2調光制御部109によって位相差画素101a,101bの調光素子106,107を両方とも透明な状態にする。同時に、固体撮像装置100は、第3調光制御部112及び第4調光制御部113によって、調光画素102の調光素子110,111もともに透明な状態にする。すなわち、固体撮像装置100は、被写体を撮像する場合、全画素の調光素子を透明な状態にするので、全画素が通常画素として機能する。このため、固体撮像装置100によれば、被写体を撮像する場合にも位相差画素101a,101bが欠陥にならないので、高画質な撮影画像が容易に得られる。
また、図10に示すように、位相差AFを行う場合、固体撮像装置100は、第1調光制御部108によって位相差画素101a,101bの調光素子106を透明な状態にし、第2調光制御部109によって調光素子107を不透明な状態にする。このため、位相差画素101aは右側からの光を選択的に受光し、位相差画素101bは左側からの光を選択的に受光する。また、位相差AFを行う場合、固体撮像装置100は、第3調光制御部112及び第4調光制御部113によって調光画素102の調光素子110,111を全て不透明な状態に制御する。
このため、位相差AFを行う場合、固体撮像装置100は位相差画素101a,101bによって左右の視差に関する情報を得るとともに、位相差画素101a,101bの周囲にある調光画素102は全て遮光画素になっているので、これらの画素102から位相差画素101a,101bへの混色は生じない。このため、固体撮像装置100は正確な位相差AFを行うことができる。
さらに、固体撮像装置100によれば、3D撮影を容易に行うことができる。図11に示すように、3D撮影を行う場合、固体撮像装置100は、第1調光制御部108によって位相差画素101a,101bの調光素子106を透明な状態に制御し、第2調光制御部109によって調光素子107を不透明な状態に制御する。そして、第3調光制御部112によって調光画素102の調光素子110を透明な状態にし、第4調光制御部113によって調光画素102の調光素子111を不透明な状態に制御する。こうすると、第1サブユニット41a内の画素は全て左側半分が遮光され、右側から入射する光のみを選択的に受光する画素になる。同様に、第2サブユニット41b内の画素は全て右側半分が遮光され、左側から入射する光のみを選択的に受光する画素になる。このため、第1サブユニット41a及び第2サブユニット41bの各画素から、右目用画像と左目用画像の各画像(3D画像)を生成することができる。もちろん、調光素子を透明にする画素と、不透明にする画素を逆にしてもよく、調光素子を透明及び不透明にする画素を入れ替えて撮像して得られた信号を合成して3D画像を生成しても良い。
なお、上述の第3実施形態では、位相差画素101a,101b以外の画素を全て調光画素102にしているが、少なくとも位相差画素101a,101bに隣接する画素が調光画素102になっていればよく、第1実施形態の固体撮像装置10や第2実施形態の固体撮像装置80のように、位相差画素101a,101bに隣接しない画素を通常画素44にしておいてもよい。
さらに、上述の第3実施形態では、第1調光制御部108と第2調光制御部109によって位相差画素101a,101bの調光素子106,107の透過光量をまとめて制御し、第3調光制御部112と第3調光制御部113によって調光画素102の調光素子110,111の透過光量をまとめて制御しているが、全画素の調光素子106,107,110,111の透過光量を各々個別に制御できるようにしても良い。
[第4実施形態]
なお、上述の第3実施形態では、左右に2つの調光素子を配置して位相差画素101a,101bを形成したが、右上,左上,左下,右下の4箇所にそれぞれ独立に透過光量を制御可能な調光素子を配置しても良い。
図12に示すように、固体撮像装置120は、カラーフィルタ41の6×6画素の単位のなかに、4つの位相差画素121a,121b,121c,121dを有する。また、少なくともこれらの位相差画素121a〜121dに隣接する画素は調光画素122になっている。
位相差画素121aは、右上の第1サブユニット41aの左下G画素であり、各々に透過光量が調節される4つの調光素子123A,123B,123C,123Dを備えている。位相差画素121aの場合、調光素子123A〜123Dはそれぞれ右上,左上,左下,右下に設けられる。
位相差画素121bは左上の第2サブユニット41bの左下G画素であり、位相差画素121aと同様に、各々に透過光量が調節される4つの調光素子123A〜123Dを備える。但し、位相差画素121bでは、調光素子123A〜123Dの配置が調光画素121aと異なっており、位相差画素121aと水平方向に左右対称に配置される。すなわち、位相差画素121bでは、調光素子123Aは左上に、調光素子123Bは右上に、調光素子123Cは右下に、調光素子123Dは左下にそれぞれ配置される。
また、位相差画素123cは左下の第1サブユニット41aの左下G画素であり、位相差画素123dは右下の第2サブユニット41bの左下G画素である。そして、これらも位相差画素121a,121bと同様の4つの調光素子123A〜123Dを有する。但し、これらの配列が異なっている。
位相差画素121cの調光素子123A〜123Dはそれぞれ左下,右下,右上,左上に配置される。すなわち、位相差画素121cは、調光素子123A〜123Dの配置が同列上方にある位相差画素121bと上下対称である。また、位相差画素121aのものと比較すれば、位相差画素121cの調光素子123A〜123Dの配列は斜め方向(約135度方向)に対称である。
また、位相差画素121dの調光素子123A〜123Dはそれぞれ右下,左下,左上,右上に配置され、同列上方にある位相差画素121aのものに対して上下対称な配列になっている。また、位相差画素121bのものと比較すれば、位相差画素121dの調光素子123A〜123Dの配列は、斜め方向(約45度方向)に対称な配列である。
これらの位相差画素121a〜121dは、各画素間に設けられた配線124a〜124dを介して、第1調光制御部126,第2調光制御部127,第3調光制御部128,第4調光制御部129にそれぞれ接続される。配線124a〜124dは、第1実施形態と同様にポリシリコン等を用いて調光層54に設けられる。第1〜第4調光制御部126〜129は、配線124a〜124dを介し、必要に応じて調光素子123A〜123Dにそれぞれ独立に電圧を印加するための回路である。第1〜第4調光制御部126〜129は、第1実施形態と同様に配線層52の配線52a等により形成され、配線124a〜124dとは図示しないビアホールを通じて接続される。また、第1〜第4調光制御部126〜129は、制御部17から入力される制御信号に基づいて調光素子123A〜123Dに電圧を印加するタイミングや印加する電圧の大きさをそれぞれ調節する。
調光画素122は、少なくとも位相差画素121a〜121dに隣接する画素に設けられており、PD22は1つの調光素子131で覆われている。調光画素122の調光素子131は、配線124cを介して第3調光制御部128に接続されている。このため、位相差画素121a〜121dの調光素子123Cと連動して透過光量が調節される。すなわち、位相差画素121a〜121dの調光素子123Cが透明状態に制御される場合には調光画素122の調光素子131も透明状態になり、位相差画素121a〜121dの調光素子123Cが不透明状態に制御される場合には調光画素122の調光素子131も不透明位状態になる。
上述のように構成される固体撮像装置120は、図13(A)に示すように、位相差画素121a〜121dの調光素子123A〜123Dに全て所定電圧を印加する場合、調光素子123A〜123Dは全て透明になり、位相差画素121a〜121dは通常画素として機能する。また、調光画素122の調光素子131も透明状態になるので、調光画素122も通常画素として機能する。したがって、位相差画素121a〜121dの調光素子123A〜123Dを透明にすることにより、高画質な被写体の画像を生成することができる。
一方、図13(B)に示すように、位相差画素121a〜121dの調光素子123Aと調光素子123Dを透明にし、調光素子123Bと調光素子123Cを不透明にすると、入射光が透過可能な領域は調光素子123A,123Dがある左側半分または右側半分の領域に制限される。すなわち、位相差画素121aと位相差画素121dは右側からの光を選択的に受光し、位相差画素121bと位相差画素121cでは左側からの光を選択的に受光する。また、この場合、調光画素122の調光素子131は位相差画素121a〜121dの調光素子123Cと連動して不透明になっているので、調光画素122は遮光画素である。したがって、位相差画素121a〜121dの調光素子123Aと調光素子123Dを透明にし、調光素子123Bと調光素子123Cを不透明にすると、位相差画素121a〜121dによって左右の視差に関する情報が得られるとともに、周辺の調光画素122が遮光画素になっていることによって、調光画素122から位相差画素121a〜121dへの混色もないので、左右の視差に基づいた正確な位相差AFを行うことができる。
また、図14に示すように、位相差画素121a〜121dの調光素子123Aと調光素子123Bを透明にし、調光素子123Cと調光素子123Dを不透明にすると、入射光が透過可能な領域は調光素子123A,123Bがある上側半分または下側半分の領域に制限される。すなわち、位相差画素121aと位相差画素121bでは、上側からの光を選択的に受光し、位相差画素121cと位相差画素121dでは下側からの光を選択的に受光する。また、この場合、調光画素122は不透明に制御されている。したがって、位相差画素121a〜121dの調光素子123Aと調光素子123Bを透明にし、調光素子123Cと調光素子123Dを不透明にすると、位相差画素121a〜121dによって上下の視差に関する情報が得られるとともに、周辺の調光画素122が遮光画素になっていることによって、調光画素122から位相差画素121a〜121dへの混色もないので、上下の視差に基づいた正確な位相差AFを行うことができる。上下の示唆に基づいた位相差AFは、例えば水平線等、上下方向に変化があるが、左右方向に変化が少ない被写体を撮像する場合に有用である。
上述のように、固体撮像装置120は、位相差AFのために得る視差の方向を容易に切り換えることができる。遮光膜等によって非対称性をつくりだしている従来の固体撮像装置で、左右方向と上下方向の視差に関する情報を両方とも得られるようにする場合、左右方向の視差を検出する位相差画素と、上下方向の視差を検出する位相差画素を予め配置しておかなければならない。このため、左右方向あるいは上下方向の一方向の視差だけを得られるようにする場合の2倍の位相差画素を予め設けなければならないので、ゲイン補正や補間をしなければならない画素が倍増し、感度や解像度の劣化はさらに顕著になりやすい。この従来の固体撮像装置と比較すると、固体撮像装置120では、左右方向と上下方向の示唆に関する情報を任意に切り替えて得ることができるうえに、被写体を撮像する場合には位相差画素121a〜121dは通常画素として機能するので、感度や解像度の劣化が特に少ない撮影画像を得ることができる。特に、位相差AFを行う場合には、位相差画素121a〜121dの周辺にある調光画素122が遮光画素になるようにしているので混色による位相差AFの精度の悪化もない。また、被写体を撮像する場合には調光画素122も通常画素として機能するので、調光画素122は欠陥にならないので、高画質な撮影画像を容易に得ることができる。
なお、上述の第4実施形態では、視差に関する情報を得る方向を左右と上下で切り換えるが、固体撮像装置120は、さらに斜め方向の視差に関する情報を得ることもできる。例えば、図15に示すように、位相差画素121a〜121dの調光素子123Aだけを透明にし、その他の調光素子123B〜123Dを不透明にする。この場合、位相差画素121a〜121dの入射光が透過可能な領域は調光素子123Aの部分に制限され、位相差画素121aは右上からの光を選択的に受光する。同様に、位相差画素121bは左上、位相差画素121cは左下、位相差画素121dは右下からの光をそれぞれ選択的に受光する。このため、位相差画素121aと位相差画素121cから、あるいは位相差画素121bと位相差画素121dから斜め方向の視差に関する情報を得ることができる。また、調光画素122は、位相差AFを行う場合、位相差画素121a〜121dの調光素子123Cと連動して不透明に制御されているので、調光画素122から位相差画素121a〜121dへの混色はなく、斜め方向の視差に基づく位相差AFを行う場合でも正確な位相差AFを行うことができる。
また、図15では調光素子123Aだけを透明にしているが、図16に示すように、調光素子123A,123B,123Dを透明にし、調光素子123Cだけを不透明にすることにより、入射光が透過可能な領域をL字型の領域にしても良い。この場合にも、前述と同様に位相差画素121aと位相差画素121cの対や、位相差画素121bと位相差画素121dの対から斜め方向の示唆に関する情報を得ることができる。また、このように、入射光が透過可能な領域をL字型にする場合も、周辺の調光画素122は調光素子123Cに連動して不透明になっているので、調光画素123Cから位相差画素121a〜121dへの混色は抑えられ、正確な位相差AFを行うことができる。
なお、上述の第4実施形態では、位相差画素121a〜121dの調光素子123Cと調光画素122の調光素子131を同じ第3調光制御部128によってまとめて制御しているが、位相差画素121a〜121dの調光素子123Cを制御するための第3調光制御部128とは別に、調光画素122の調光素子131を制御する調光制御部を別に設け、調光画素122の透過光量を位相差画素121a〜121dに対して独立して制御できるようにしても良い。
また、上述の第4実施形態では、1つの調光素子131でPD22の全面を覆って形成した調光画素122を用いているが、調光素子122も位相差画素121a〜121dと同様に4つの調光素子を用いても良い。
例えば、図17に示すように、固体撮像装置140は、第4実施形態の固体撮像装置120と同様に、4つの調光素子123A〜123Dを用いて形成された位相差画素121a〜121dを有する。図17では図示を省略しているが、これらの位相差画素121a〜121dの各調光素子123A〜123Dは第1〜第4調光制御部126〜129によって透過光量を制御される。
一方、固体撮像装置140は、4つの調光素子142E〜142Hを用いて調光画素141を形成している。調光画素141を形成するこれらの調光素子142E〜142Hは、図示しない4つの調光制御部によって各々独立に透過光量が調節される。
調光素子142E〜142Hの配列は、調光画素141の位置によって異なる。具体的には、カラーフィルタ41の6×6画素の単位でみた場合、左上の第2サブユニット41b内の調光素子141は、右上に調光素子142F,左上に調光素子142E,左下に調光素子142H,右下に調光素子142Gがそれぞれ配置される。また、左下の第1サブユニット41a内の調光画素141は、左上の第2サブユニット41内の調光画素141のものに対して調光素子142E〜142Hが上下対称に配置されている。すなわち、左下の第1サブユニット41a内にある調光画素141は、右上に調光素子142G,左上に調光素子142H,左下に調光素子142E,右下に調光素子142Fがそれぞれ配置される。
右下の第2サブユニット41bの調光画素141は、左下の第1サブユニット41bの調光画素141のものに対して調光素子142E〜142Hの配置が左右対称である。すなわち、右下の第2サブユニット41bの調光画素141は、右上に調光素子142H,左上に調光素子142G,左下に調光素子142F,右下に調光素子142Eが配置される。また、右上の第1サブユニット41aの調光画素141は、右下の第2サブユニット41bの調光画素141に対しては上下対称に、左上の第2サブユニット41bの調光画素に対しては左右対称に、調光素子142E〜142Hが配置されている。すなわち、右上の第1サブユニット41aの調光画素141では、右上に調光素子142E,左上に調光素子142F,左下に調光素子142G,右下に調光素子142Hが配置される。
上述のように構成される固体撮像装置140は、被写体を撮像する場合、位相差画素121a〜121dの調光素子123A〜123Dと、調光画素141の調光素子142E〜142Hを全て透明にする。このため、固体撮像装置140は、被写体を撮像する場合に欠陥になる画素がなく、容易に高画質の撮影画像を得ることができる。
また、図18に示すように、固体撮像装置140は、左右の視差に基づいて位相差AFを行う場合、位相差画素121a〜121dの調光素子123Aと調光素子123Dを透明にし、調光素子123Bと調光素子123Cを不透明にする。また、調光画素141では、調光素子142E〜142Hの全てを不透明にする。これにより、調光画素141から位相差画素121a〜121dへの混色を防ぎ、正確な位相差AFが可能である。上下の視差に基づいて位相差AFを行う場合や斜め方向の視差に基づいて位相差AFを行う場合も、第4実施形態に準じる。
さらに、固体撮像装置140は3D撮影が可能である。3D撮影を行う場合、図19に示すように、固体撮像装置140は、例えば、位相差画素121a〜121dの調光素子123A,123Dを透明に、調光素子123B,123Cを不透明にし、さらに、調光素子141の調光素子142E,142Hを透明にし、調光素子142F,142Gを不透明にする。こうすると、右上の第1サブユニット41aと右下の第2サブユニット41bの画素は、PD22の左側が遮光され、右側からの光を選択的に受光する。また、左上の第2サブユニット41bと左下の第1サブユニット41aの画素は、PD22の右側が遮光され、左側からの光を選択的に受光する。したがって、右上の第1サブユニット41aと右下の第2サブユニット41bの画素、左上の第2サブユニット41bと左下の第1サブユニット41aの画素からそれぞれ右目用画像と左目用画像を生成することができる。もちろん、調光素子を透明にする画素と、不透明にする画素を逆にしてもよく、調光素子を透明及び不透明にする画素を入れ替えて撮像して得られた信号を合成して3D画像を生成しても良い。
なお、上述の第1〜第4実施形態では、固体撮像装置の画素が正方配列されているが、画素の配列は任意である。例えば、図20及び図21に示すように画素の配列をはにかむ配列にしても良い。画素配列をハニカム配列にする場合のカラーフィルタの色配列は任意であるが、例えば、図20や図21の色配列にすることができる。図20の色配列は、G画素の列と、R画素及びB画素が2個ずつ交互に並んだ列を斜め45度方向に交互に配置した例である。このように画素の配列をハニカム配列にする場合も、上述の第1〜第4実施形態のように、少なくとも位相差画素152a,152bに隣接する画素を調光画素153にすれば、位相差画素152a、152bへの混色を防ぎ、正確な位相差AFが行えるようになる。もちろん、その他の通常画素154を全て調光画素153にしておいても良い。
また、上述の第1〜第4実施形態では、固体撮像装置の画素が正方配列している場合に、6×6画素を単位としたカラーフィルタ41を用いたが、カラーフィルタ41の色配列は任意である。例えば、画素を正方配列にする場合には、図22に示すように、破線で囲む2×2画素を上下左右に並べたいわゆるベイヤー配列にしてもよい。このようにベイヤー配列にする場合も、少なくとも位相差画素162a,162bに隣接する画素を調光画素163にしておけば、位相差画素162a,162bへの混色を抑え、正確な位相差AFが可能になる。もちろん、その他の通常画素164を全て調光画素163にしておいても良い。
なお、図20において太線で示すように、一対の位相差画素の開口部はできる限り離れている方が位相差画素同士でのクロストークを少なくなり、正確な位相差AFを行うことができる。すなわち、図20に示す一対の位相差画素とは逆に、隣接する側に各位相差画素の開口部を設ける場合よりも、図20に示す一対の位相差画素のように、互いに遠い側に開口部があることが好ましい。
なお、上述の第1〜第4実施形態では、対になる位相差画素が同じ行や同じ列に設けられているが、対になる2つの位相差画素が異なる行(列)に設けられていても良い。
なお、上述の第1〜第4実施形態では、3つのトランジスタTr23,Ta24,Ts25で画素を構成しているが(図1参照)、画素21(位相差画素42a,42b,調光画素43,及び通常画素44)は、入射光を各々光電変換し、撮影画像の形成や位相差AFに必要な信号を出力することができればよく、トランジスタの数等は任意である。例えば、画素21は、PD22とFDの間に転送用のトランジスタを設け、4つのトランジスタを用いて構成されていても良い。
なお、上述の第1〜第4実施形態では、p型半導体基板53の裏面に調光層54を設けているが、調光素子によって透過光量の分布を形成することができれば、調光層54の積層順は任意である。例えば、カラーフィルタ41とマイクロレンズ58の間に調光層54を設けても良い。但し、調光素子とPD22の距離が近いほど制御性が良いので、上述の第1〜第4実施形態のように調光層54はp型半導体基板53上に直接設けられていることが好ましい。
なお、上述の第1〜第4実施形態では、固体撮像装置がCMOSイメージセンサであるが、固体撮像装置はCCD型のイメージセンサでもよい。また、上述の第1〜第4実施形態では、固体撮像装置が裏面照射型であるが、図23に示すように、固体撮像装置は表面照射(FSI;front side illuminated)型のイメージセンサでもよい。表面照射型イメージセンサは、p型半導体基板53上に配線層52、カラーフィルタ41、マイクロレンズ58がこの順に積層された構造を有し、配線層52を介して表面側からPD22に光が入射するタイプのイメージセンサである。表面照射型の場合、調光層54は、例えばp型半導体基板53と配線層52の間(p型半導体基板53の表面上)に設ければよい。
なお、上述の第1〜第4実施形態では、調光素子としてSPDを用いたが、透過光量を調節できるものであればSPD以外のものを代わりに用いても良い。例えば、図24に示すエレクトロクロミック素子210をSPDの代わりに調光素子として用いることができる。エレクトロクロミック素子210は、印加する電圧を制御することにより色が変化する素子であり、例えば、下部電極211,酸化発色層212,イオン導電層213,還元発色層214,上部電極215をこの順に積層して形成される。
下部電極211及び上部電極215は、いずれも透明電極であり、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)からなる。下部電極211及び上部電極215にはSnO2やIn2Oを用いても良い。
酸化発色層212は、もともと透明であるが、酸化されることによって発色する層であり、例えば酸化イリジウムからなる。酸化発色層212には、イリジウム、ニッケル、クロム、バナジウム、ルテニウム、ロジウム等の酸化物あるいは水酸化物を用いることができる。酸化発色層212に酸化イリジウムを用いる場合、着色時には灰色になる。
イオン導電層213は、絶縁膜であるが、酸化発色層212と還元発色層214の着色に関与するイオンの良導体(あるいは供給体)である。イオン導電層213は例えば五酸化タンタル(Ta2O5)で形成される。イオン導電層213には、ケイ素、チタン、アルミニウム、ニオブ、ジルコニウム、ハフニウム、ランタン等の酸化物やフッ化マグネシウムを用いることもできる。
還元発色層214は、もともと透明であるが、還元されることによって発色する層であり、例えば、酸化タングステン(WO3)からなる。酸化モリブデン(MoO3)を用いることもできる。還元発色層214に酸化タングステンを用いる場合、着色時には青色になる。
上述のように構成冴えるエレクトロクロミック素子210は、下部電極211及び上部電極215に電圧を印加すると、酸化発色層212及び還元発色層214がそれぞれ酸化,還元され、着色し、不透明になる。
また、図25(A)及び図25(B)に示すように、高分子と液晶の複合デバイス220を調光素子として用いることもできる。高分子液晶複合デバイス220は、例えば、対向する2枚の透明電極221a,221b間に高分子と液晶の複合層222を配置して形成される。透明電極221a,221bは例えばITOからなる。複合層222は、網目状の高分子ネットワーク223の間隙に、ほぼ連続的に液晶分子224が充填されて形成される。
そして、図25(A)に示すように、透明電極221a,221b間に電圧を印加されると、液晶分子224の配向方向が整列され、透明な状態になる。一方、図25(B)に示すように、透明電極221a,221b間に電圧を印加しない場合には、液晶分子224は周辺の高分子ネットワーク223に応じてほぼランダムに配向し、入射光を散乱する。すなわち、透明電極221a,221b間に電圧を印加しない場合、高分子液晶複合デバイス220は不透明な状態になる。
なお、図25では、いわゆるPNLC(Polymer network Liquid Crystal)を示したが、高分子中に液晶分子224が不連続に分布したいわゆるPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)も同様に調光素子として用いることができる。
さらに、図26(A)及び図26(B)に示すように、ポピュラーな液晶表示装置とほぼ同様の構成を有する液晶デバイス230を、SPDの代わりに調光素子として用いても良い。液晶デバイス230は、偏光板231、下部電極232、配向膜233、液晶層234、配向膜235、上部電極236、偏光板237等をこの順に積層して形成される。偏光板231と偏光板237は透過軸が互いに垂直になるように、いわゆるクロスニコル配置されている。配向膜233,235は、下部電極232及び上部電極236間に電圧が印加されていない場合に、液晶層234の液晶分子234aの配向方向をほぼ垂直方向に整える。下部電極232及び上部電極236は透明電極であり、例えばITOで形成される。
上述のように構成される液晶デバイス230は、図26(A)に示すように、一対の電極232,236間に電圧を印加して液晶分子234aを回転させ、水平方向に配向させると、偏光板237を透過した入射光は、液晶分子234aの複屈折性により、偏光板231を透過する偏光面を有するようになる。このため、電極232,236間に電圧を印加した場合、液晶デバイス230は透明な状態になる。一方、図26(B)に示すように、電極232,236間に電圧を印加しない場合、液晶分子234aは配向膜233,235によってほぼ垂直方向に配向する。このため、偏光板237を透過した入射光は、液晶分子234aの複屈折性作用を受けないので、対向する偏光板231を透過することができない。すなわち、電極232,236間に電圧を印加しない場合、液晶デバイス230は不透明な状態になる。
なお、図26では、いわゆるVA型液晶を示したが、TN型、IPS型、MVA型、OCB型等、他の形式の液晶を用いても良い。
なお、上述の第1〜第4実施形態では、位相差画素に隣接する画素を全て調光画素にしているが、必ずしも位相差画素に隣接する全ての画素を調光素子にする必要はなく、位相差画素に隣接する少なくとも1つの画素が調光画素になっていればよい。例えば、上述の第1〜第4実施形態では、位相差画素の縦横に隣接する画素だけでなく、斜め方向に隣接する画素も調光画素にしているが、位相差画素の縦横に隣接する画素だけを調光画素にしても良い。また、受光領域の周辺部分では中心部分よりも主光線角が大きくなるので、位相差画素に対して受光領域の中心側に隣接する画素からの混色が多く、受光領域の周辺側に隣接する画素からの混色は少ない場合がある。このため、例えば、位相差画素に対して受光領域の中心側に隣接する画素だけを調光画素にしておくだけでも混色が概ね防止される場合もある。もちろん、第1〜第4実施形態のように、位相差画素に隣接する画素を全て調光画素にしておけば、位相差画素への混色はより確実に防止される。
なお、上述の第1〜第4実施形態では、原色系のカラーフィルタ41を用いているが、補色系のカラーフィルタを用いても良い。また、カラーフィルタには無色(透明)な色セグメントが含まれていてもよく、位相差画素がこの無色画素に形成されていてもよい。
なお、上述の第1〜第3実施形態では、受光領域11内に満遍なく位相差画素が複数設けられているが、位相差AFを行うためには位相差画素は少なくとも2個あればよい。3以上の位相差画素を設ける場合には、位相差画素の個数や配置の分布は任意である。
本発明の固体撮像装置は、位相差AFを行うものであれば任意の撮像装置に用いることができ、特に、薄型のデジタルカメラ、携帯電話機やPDA、スマーフォトン等に搭載されるカメラユニット等に好適である。