JP2014134568A - 凹面ブレーズ型回折格子の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブレーズ角がほぼ一定の断面鋸歯状の格子溝パターンを凹面全体に亘って形成することのできる凹面ブレーズ型回折格子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る凹面ブレーズ型回折格子の製造方法は、格子状のフォトレジストパターンが形成された表面が凹面である基板にイオンビームを照射することにより、該凹面に断面鋸歯状の格子溝パターンを形成する凹面ブレーズ型回折格子の製造方法において、一の点状又は線状の基点から放射状にイオンビームを放射し、前記イオンビームの放射範囲内に収まるように、且つ、前記凹面内の任意の点における法線ベクトルと該点から前記基点に向かう方向ベクトルの為す角が鋭角になるように、前記基板を配置することを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、ホログラフィック露光法を使用して作製する凹面ブレーズ型回折格子(ブレーズド・ホログラフィック・グレーティング)の製造方法及び製造装置に関する。
回折格子は分光器や分波器等に使用される波長分散素子である。回折格子には格子溝断面形状により様々な種類のものがあり、その1つに溝の断面形状が鋸歯状であるブレーズ型回折格子(ブレーズド・ホログラフィック・グレーティングとも呼ばれる)がある。
回折格子には基準面が平面のものと凹面のものがある。基準面が平面である平面ブレーズ型回折格子の一般的な製造方法は以下の通りである(特許文献1)。
まず、石英、ガラスなどの平面基板の表面にフォトレジストを塗布してフォトレジスト層を形成する。次に、コヒーレント性を有するレーザ光束をビームスプリッタにより2本の光束に分割し、分割した2本の光束をそれぞれ、スペイシャルフィルタとレンズにより幅広の平行光束に変換し、これら2本の平行光束を、フォトレジスト層の表面で重なるようにその表面に互いに異なる方向から照射する。これにより、2本の平行光束が干渉した空間中に干渉縞が形成され、その干渉縞内の光の強弱に応じてフォトレジストが感光する。このようにフォトレジストを感光させた後に現像すると、フォトレジスト層には干渉縞の強度パターンに応じて、基板が露出する部分とフォトレジストが残る部分が直線状に形成される(ホログラフィック露光法)。その後、このフォトレジストパターンをマスクとして、平面基板の表面に斜め上方向から所定の角度で平行イオンビームを照射し、フォトレジストが消失するまで所定のエッチングガスの下で反応性イオンビームエッチングを行う。これにより、基板上に断面が鋸歯状の格子溝が形成される。
一方、基準面が凹面である凹面ブレーズ型回折格子は、凹面鏡としての結像機能も備えることから、レンズ等を使用することなく波長分離しつつ集光する場合に利用される。凹面ブレーズ型回折格子の製造方法は、上記の平面ブレーズ型回折格子の製造方法において、平面基板に代えて凹面基板を用いるのが一般的である。なお、ここで言う凹面とは一般的に球状のものを指すが、円柱状のものやトロイダル状のものもある。
特開2005−157118号公報
この凹面ブレーズ型回折格子の製造方法では、図1(a)に示すように、基板の凹面の端点Sにおける接平面の傾斜に比較してイオンビームの傾斜が小さい場合、イオンビームが端点Sに遮られ、エッチングできない領域(非エッチング領域)が生じるという問題がある。また、非エッチング領域が生じないようにイオンビームの照射方向を設定したとしても、凹面の各点におけるイオンビームの入射角(以下、イオンビームの照射方向の逆方向のベクトルと凹面上の各点における法線ベクトルの為す角を入射角と定義する)が異なってしまう(図1(b))。図1(b)の例では、図面の右側から左側に向かうほど凹面の基準面各点におけるイオンビームの入射角θが小さくなる。一般的に、イオンビームの入射角はブレーズの形状を決定するため、図1(c)に示すように、凹面の右側から左側に向かうほどブレーズの形状、特にブレーズ角(基準面と回折面の為す角)が異なってしまう。このように面内でブレーズ角が異なると、各々のブレーズ波長(入射方向と回折方向の一致する波長)も異なるため、ブレーズ型回折格子の特徴である特定の波長で明るい(回折効率の高い)回折格子とならない。
本発明が解決しようとする課題は、凹面上に非エッチング領域を生じさせることなく、凹面全体に亘って断面鋸歯状の格子溝パターンを形成することのできる凹面ブレーズ型回折格子の製造方法を提供することである。また、格子溝間のブレーズ角のずれが小さい凹面ブレーズ型回折格子の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、
格子状のフォトレジストパターンが形成された表面が凹面である基板にイオンビームを照射することにより、該凹面に断面鋸歯状の格子溝パターンを形成する凹面ブレーズ型回折格子の製造方法において、
一の点状又は線状の基点から放射状にイオンビームを放射し、
前記イオンビームの放射範囲内に収まるように、且つ、前記凹面内の任意の点における法線ベクトルと該点から前記基点に向かう方向ベクトルの為す角が鋭角になるように、前記基板を配置する
ことを特徴とする。
本発明に係る凹面ブレーズ型回折格子の製造方法では、基板表面の凹面が球状である場合は一の点状の基点から、基板表面の凹面が円柱状である場合は一の線状の基点から、放射状にイオンビームを放射することを特徴とする。このようなイオンビームの放射は、例えば、イオンを生成するイオン源と、前記基点が曲率中心となるように球状又は円柱状に湾曲した多孔電極を備えるイオンビーム放射源を用いたり、複数のイオン銃を前記基点を中心に扇状に並べたりする等により行うことができる。
イオンビームを前記基点から放射状に放射することにより、凹面上に非エッチング領域が生じないようにすることができる(この詳細は実施例で述べる)。また、イオンビームを平行に照射する従来の方法よりも、基板の凹面の各点に、その法線に対してほぼ一定の角度でイオンビームを入射させることができる(この詳細も実施例で述べる)。そのため、本発明に係る凹面ブレーズ型回折格子の製造方法では、凹面全体に亘って断面鋸歯状の格子溝パターンを形成することができると共に、格子溝間のブレーズ角のずれ(偏差)が小さくなる。
前記基点からのイオンビームの放射を、上記のイオン源と湾曲多孔電極を備えるイオンビーム放射源により行う場合、湾曲多孔電極を基点よりもイオン源側に設けても良いし(図9(a))、基点を挟んでイオン源の反対側に設けても良い(図9(b))。湾曲多孔電極を基点よりもイオン源側に設ける方が、基板の配置の自由度が高くなる(詳細は実施例に記載する)。
本発明に係る凹面ブレーズ型回折格子の製造方法では、基点から放射状に放射されるイオンビームを用いることにより、凹面上に非エッチング領域が生じないようにすることができる。また、従来の平行に照射されるイオンビームを用いるよりも、基板の凹面の各点に、その法線に対してほぼ一定の角度でイオンビームを入射させることができる。そのため、本発明に係る凹面ブレーズ型回折格子の製造方法では、ブレーズ角のずれの小さい断面鋸歯状の格子溝パターンを凹面全体に亘って形成することができる。
従来の平行イオンビームによる凹面ブレーズ型回折格子の製造方法の説明図。 球面状の凹面に格子状のフォトレジストパターンが形成された基板を示す斜視図。 本発明に係る凹面ブレーズ型回折格子の製造方法の一実施例における基板とイオンビーム放射源の配置例を示す模式図。 本実施例の凹面ブレーズ型回折格子の製造方法において、基板の凹面とイオンビーム放射源の出射面(出射面の位置は、イオン源と基点の間)を対向配置した際の斜視図(a)、及び、xy平面に平行な、イオンビームの基点を含む平面による断面図(b)。 本実施例の凹面ブレーズ型回折格子の製造方法において、基板を放射イオンビームに対して傾けて配置したときの一配置例を示す断面図。 本発明に係る凹面ブレーズ型回折格子の製造方法の変形例であり、基板を放射イオンビームに対して傾けて配置したときの別の配置例を示す断面図。 円柱状の凹面に格子状のフォトレジストパターンが形成された基板を示す斜視図。 本実施例の凹面ブレーズ型回折格子の製造方法において、基板の円柱状の凹面とイオンビーム放射源の円柱状の出射面(出射面の位置は、イオン源と基点の間)を対向配置した際の斜視図。 イオン源と湾曲多孔電極とイオンビームの基点と基板の位置関係を示す模式図。
まず、凹面ブレーズ型回折格子をホログラフィック露光法により製造するための一般的な手順を述べる。ホログラフィック露光法による凹面ブレーズ型回折格子の製造は、大きく分けて、(1)フォトレジスト層の形成工程と、(2)レジストパターンの作製工程と、(3)イオンビームエッチング工程の3つの工程を有する。
(1)フォトレジスト層の形成工程
光学ガラス等から成る凹面基板(以下、「基板」とのみ称する)の凹面の表面を光学研磨し、超音波洗浄等により該表面を清浄化する。その後、フォトレジストを凹面上にほぼ一様な厚さに塗布し、コンベクションオーブンで焼成する。これにより、フォトレジスト層を凹面上に形成する。
(2)レジストパターンの作製工程
フォトレジスト層が凹面上に形成されたワークを、ホログラフィック露光装置にセットし、フォトレジスト層に二光束干渉による所定密度の干渉縞の潜像を露光する。そして、露光されたワークのフォトレジスト層を専用現像液で現像し、純水リンスを行うことにより、回折格子パターンが形成されたフォトレジストパターンを作製する。一般に二光束干渉の干渉縞の強度分布は正弦波状となるため、作製されたレジストパターンの形状も正弦波状となる。なお、フォトレジストパターンの溝深さは露光時間と現像時間とを制御することで決めることができる。
(3)イオンビームエッチング工程
フォトレジストパターンが形成されたワークをイオンビームエッチング装置にセットし、イオンビームを照射することにより、フォトレジストパターン及び基板に対する反応性イオンビームエッチングを行う。
本実施例の凹面ブレーズ型回折格子の製造方法は、上記3つの工程のうち、イオンビームエッチング工程に用いるイオンビームの発生源(イオンビーム放射源)と、該発生源に対する基板の配置に特徴を有する。
本発明に係る凹面ブレーズ型回折格子の製造方法の一実施例について、各図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、基板の凹面形状は球面状であるものとするが、該凹面形状は円柱状であっても良い。凹面形状が円柱状である例については後述する。
図2は、球面状の凹面にフォトレジスト11のパターンが形成された基板10を示す斜視図である。この図に示すように、基板10の凹面上には正弦波状のフォトレジスト11のパターンが格子状に形成されている。以下、フォトレジスト11の各格子が延びる方向を「緯度方向」、各格子が並ぶ方向を「経度方向」と呼ぶことにする。また、経度方向に延びる凹面上の線を「緯線」、緯度方向に延びる凹面上の線を「経線」と呼ぶことにする。
図3は、本実施例の凹面ブレーズ型回折格子の製造方法における基板10とイオンビーム放射源20の配置例を示す模式図である。基板10とイオンビーム放射源20は、真空引きされた真空容器(図示せず)内に収容されている。イオンビーム放射源20は、所定のエッチングガスをプラズマ化することによりイオンを生成するイオン源21と、イオン源21において生成されたイオンを加速し、イオンビームとして出射する引き出し電極22を有する。引き出し電極22は、点Cを曲率中心とする球面状に湾曲した2枚の多孔電極23、24を有する。多孔電極23、24の孔25は、多孔電極23の所定の孔の中心と多孔電極24の所定の孔の中心を結ぶ直線が前記曲率中心Cを通るように形成されている。また、多孔電極23は接地され、多孔電極24には負の電圧が印加される。また、イオン源21のイオン取り出し口を除く壁面は、正の電圧が印加される。これにより、イオン源21から引き出し電極22に向かう電場と、該引き出し電極22から基点Cに向かって集中する電場が形成され、イオン源21で生成されたイオンがこれらの電場によって基点Cに向かって移動し、加速される。これにより、点Cを基点として該基点から放射状にイオンビームを放射することができる。
基板10は、(A)基点Cから放射状に放射されるイオンビームの放射領域内に収まるように(図3参照)、且つ、(B)凹面内の任意の点における法線ベクトルと該点から前記基点に向かう方向ベクトルの為す角(以下、「入射角」と呼ぶ)が鋭角になるように、図示しない位置調整部により、所定の位置に配置される。以下、条件(B)を満たすように基板10を配置する方法について、図4及び図5を用いて説明する。
図4(a)は基板10の凹面とイオンビーム放射源20の出射面(出射面の位置は、イオン源21と基点Cの間)を対向配置した際の斜視図である。このように対向させた際には、イオンビームの基点Cと基板10の凹面の曲率中心Cが一致するように配置する。なお、説明の簡単化のため、図4では基板10の凹面上のフォトレジスト11が示されていないが、該凹面上には、経度方向(図中の経線の延びる方向)に沿って延びるフォトレジストの格子が、緯度方向(図中の緯線の延びる方向)に沿って並んでいる。
基板10の凹面の最深点をPとし、点Pから点C(C)に向かう方向をx軸方向、点Pを通る緯線の点Pにおける接線方向をy軸方向、点Pを通る経線の点Pにおける接線方向をz軸方向とする。また、点Pを通る緯線上の基板10の両端点を点Q及び点Rとする。xy平面に平行な、イオンビームの基点Cを含む平面(以下、これを「赤道面」とする)による断面図が図4(b)である。
凹面上に断面鋸歯状の格子溝パターンを形成する際には、以下のように基板10を放射イオンビームに対して傾けて配置する(図5)。すなわち、基板10を、点Pを通るz軸を回転軸に、所定の角度(図5中ではθ)だけ回転させる。そして、回転させた後の基板10の曲率中心C’を、赤道面内の、点Cを通るy軸上に位置させる。
このように基板10を傾けて配置すると、基板10の凹面内の各点における入射角が鋭角になる。ここでは、簡単のため、基板10を回転させた後の点Q(図5中の点Q’)における入射角が鋭角になることを証明する。
基板10をθだけ回転させた後の点P、点Q、点Rにそれぞれ対応する点をP’、Q’、R’とし、点Cの座標を(0,0)、点Cと点Pの距離を1、∠PCQ=α(>0)、∠CP’C’=θ(>0)、∠QCQ’=Δθ(>0)とする。このとき、点Q’の座標は(−cos(θ+α), sinθ−sin(θ+α))となる。なお、θ+α=90°の場合、点Q’は(0, sinθ)に位置することになり、イオンビームの放射領域から外れるため、θ+αは90°より小さいものとする。
点Q’の座標から∠Q’CPは逆正接関数を用いて
Figure 2014134568

となる。図5に示すように、Δθ=∠Q’CP−αであるから、式(1)よりΔθ
Figure 2014134568
で表される。
まず、点Q’における入射角∠C’Q’Cが正であることを証明する。図5に示すように、∠C’Q’C=θ−Δθであるので、式(2)から
Figure 2014134568
が成り立つことを証明すれば良い。式(3)を整理すると
Figure 2014134568
となる。上記のようにθ+α<90°であるから、式(4)の両辺のtanをとっても、両辺の大小関係は保たれる。従って、
Figure 2014134568
を証明すれば良い。式(5)を整理すると
sinθp>0 …(6)
となり、0<θ<90°より式(6)は必ず成立する。そのため、∠C’Q’Cは必ず正になる。点Q’における入射角∠C’Q’Cが必ず90°より小さくなることも同様に証明することができる。従って、点Qにおける入射角∠C’Q’Cは必ず鋭角になる。
凹面上の他の点についても、同様の計算により、入射角が必ず鋭角になることが示される。入射角が凹面上の任意の点において必ず鋭角になるということは、イオンビームが凹面上の各点の接平面に妨げられないということである。そのため、イオンビームの放射領域内で図5の配置を用いれば、凹面全体に亘ってイオンビームによるエッチングが可能となる。
なお、θからの入射角のずれは点Q’で最も大きく、例えばα=θ=10°としたときの点Q’におけるθからの入射角のずれΔθは、式(2)より、Δθ≒0.158°となる。また、同様の計算により、α=θ=10°としたときの点R’におけるθからの入射角のずれΔθはΔθ≒0.149°となる。
一方、図5に示す基板10の配置において、x軸に平行なイオンビームを点Q’と点R’に照射したときの点Q’と点R’におけるθからの入射角のずれは、α=θ=10°でそれぞれ10°、−10°である。
これらの比較から、本実施例の製造方法では、従来の平行イオンビームを用いた凹面ブレーズ型回折格子の製造方法よりも、凹面の最深点における入射角と凹面の各点における入射角とのずれを大幅に小さくできる(すなわち、凹面上の各点に、その法線に対してほぼ一定の角度でイオンビームを入射させることができる)ことが分かる。
従って、本実施例の凹面ブレーズ型回折格子の製造方法では、ブレーズ角がほぼ一定の断面鋸歯状の格子溝パターンを凹面全体に亘って形成することができる。
なお、上記実施例では、基板10を回転させた後、該基板10を基点Cに近づけているが、イオンビームの出射面が基点Cを挟んでイオン源21の反対側にある場合に上記の配置を用いると、出射面を超えて基板10を基点Cに近づけさせることができないため、基板10の配置の自由度が低くなる。従って、イオンビームの出射面は基点Cとイオン源21の間にある方が、基板10の配置の自由度が高くなるという効果が得られる。
本実施例の凹面ブレーズ型回折格子の製造方法を適用した製造装置では、例えば基板10の最深点Pへのイオンビームの入射角θがユーザに入力されると、位置調整部(図示せず)が、基板10をθだけ回転させたうえで、最深点Pが点P’の位置に来るように、基板10を移動させる。この点P’の位置は、図5に示す座標系において、(−cosθ, 0)となる。
図6は、本発明に係る凹面ブレーズ型回折格子の製造方法の変形例であり、基板10を放射イオンビームに対して傾けて配置したときの別の配置例を示す断面図である。この変形例では、基板10をθだけ回転させた後の端点Q’が点Cと点Qを結ぶ直線上に位置し、且つ、端点R’が点Cと点Rを結ぶ直線上に位置するように、基板10を放射イオンビームに対して傾けて配置したものである。
図6の配置では、点Q’と点R’における入射角がθで一致する一方、点P’付近で最も入射角がずれる。しかしながら、そのずれは、図5の配置を用いたときの点Q’におけるずれと同程度であると共に、この配置でも凹面内の任意の点において入射角が必ず鋭角になるため、イオンビームの放射領域内では、凹面全体に亘ってイオンビームによるエッチングが可能となる。
本実施例の凹面ブレーズ型回折格子の製造方法は、凹面が円柱状の凹面基板に対しても適用することができる。図7は、円柱状の凹面上にフォトレジスト11のパターンが形成された基板10を示す斜視図である。この図に示すように、基板10の凹面上には、正弦波状のフォトレジスト11の各格子が図中の直線方向に沿って延び、図中の円周方向に沿って並んでいる。
図8は、基板10の凹面とイオンビーム放射源20の出射面(出射面の位置は、イオン源21と基点Cの間)を対向配置した際の斜視図である。基板10の凹面が円柱状である場合には、多孔電極23、24として、線状基点C中心に円柱状に湾曲した電極を用いる。そして、多孔電極23、24の線状基点Cと基板10の凹面の線状の曲率中心Cが一致するようにこれらを対向配置し、点Pを通りz軸(線状基点Cが延びる方向)に平行な直線を中心に基板10を回転させる。基板10を回転させた後の該基板10の配置は、図5及び図6と同じで良い。
以下、本実施例の凹面ブレーズ型回折格子の製造方法を、具体例を用いて説明する。この例では、基板10として30mm×30mm×10mm、曲率半径80mmのBK7光学ガラスから成る凹面基板を用いた。なお、基板10は、BK7以外でもよく、例えばBSC2、パイレックス(コーニング社の登録商標)ガラス、石英を、好適に用いることができる。この基板10の凹面の表面を光学研磨した後、この表面にスピンナーを用いてフォトレジスト層を形成した。フォトレジストとしては、ホログラフィック露光が可能なものであれば何でも良く、例えばAZ1500シリーズ(AZエレクトロニックマテリアルズ社製)等を使用することができる。この例では、AZ1500を3000rpmの速度で40秒間、スピンコートを行った後、コンベクションオーブンで90℃、30分間ベーキングし、厚さが約0.3μmのフォトレジスト層を形成した。
その後、レーザ光の二光束干渉露光を行った後に現像をすることで、正弦波状の回折格子パターン11を基板10上に形成した。露光に使用したレーザはHe−Cdレーザ(波長:441.6nm)であるが、フォトレジストに感度のある波長(約350〜450nm)であれば、Ar+イオンレーザなどを用いることもできる。露光した後は、現像液ZED−500(日本ゼネオン社製)で現像した。これにより、基板10上に形成されたフォトレジスト11のパターンの格子溝は本数600本/mmで溝深さが0.2μmの正弦波状のパターンである。二光束干渉の干渉縞の強度分布は正弦波であるため、フォトレジストの格子溝パターンも正弦波状となる。
上記のように作製したワークをイオンビームエッチング装置の真空チャンバ内に装着し、真空チャンバ内部を2.6×10−2Paに減圧して反応性ビームエッチングを実行した。エッチングガスは、CFとArガスとを混合比Ar/(CF+Ar)=40[%]で混合したガスである。このときの選択比は2.1であり、1以上である。イオンビームの引き出し電極22は、イオン源21と基点Cの間にある。また、引き出し電極22の出射面の曲率半径は80mmである。そのため、イオンビーム放射源20から出射されたイオンビームは、80mm前方で一旦収束し、その後、発散する。基板10は、対向配置時にイオンビームの出射面の中心から160mm離れた位置に配置し、図5の配置例に従って、放射イオンビームに対して傾斜配置する。傾斜配置時の最深点P’における入射角θは、10°とした。その後、15分間エッチングすることにより、凹面全体に回折格子溝が形成された。
なお、この例で用いた基板10の凹面の開き角αは10.8°である。これらの条件の下では、点Q’と点R’においてそれぞれ入射角10.158°、9.851°でイオンビームが入射される。また、このように製造された凹面ブレーズ型回折格子の最大のブレーズ角は5.1°、最小のブレーズ角は4.9°であり、格子溝間のブレーズ角のずれ(偏差)は、最大のブレーズ角から4%以下の範囲に収まっている。更に、凹面全体に亘って格子溝が形成されるため、格子溝が形成されなかった領域を切除する必要がなく、元々の基板の平面形状(凹面を曲率中心から見たときの形状のこと。一般的には四角形)と同じ平面形状の凹面ブレーズ型回折格子を製造することができる。
これに対し、従来の平行イオンビームを用いた凹面ブレーズ型回折格子の製造方法では、点Q’と点R’における入射角はそれぞれ20.8°、−0.8°となる。従って、点R’の近傍では格子溝が形成されない。この製造方法により製造された凹面ブレーズ型回折格子の最大のブレーズ角は10.4°、最小のブレーズ角は0°(溝が形成されない)であり、格子溝間のブレーズ角の偏差は、最大のブレーズ角から100%以下となる。
以上から、本実施例の凹面ブレーズ型回折格子の製造方法は、従来の平行イオンビームを用いた凹面ブレーズ型回折格子の製造方法に比べ、ブレーズ角がほぼ一定の断面鋸歯状の格子溝パターンを、凹面全体に亘って形成することができる。また、四角形の平面形状を有する凹面ブレーズ型回折格子を製造することができる。
10…基板
11…フォトレジスト
20…イオンビーム放射源
21…イオン源
22…引き出し電極
23、24…多孔電極
25…孔

Claims (10)

  1. 格子状のフォトレジストパターンが形成された表面が凹面である基板にイオンビームを照射することにより、該凹面に断面鋸歯状の格子溝パターンを形成する凹面ブレーズ型回折格子の製造方法において、
    一の点状又は線状の基点から放射状にイオンビームを放射し、
    前記イオンビームの放射範囲内に収まるように、且つ、前記凹面内の任意の点における法線ベクトルと該点から前記基点に向かう方向ベクトルの為す角が鋭角になるように、前記基板を配置する
    ことを特徴とする凹面ブレーズ型回折格子の製造方法。
  2. 前記フォトレジストパターンの各格子が並ぶ方向に沿って前記基板を回転させ、前記基点と前記凹面の曲率中心を結ぶ直線と、該基点と該凹面の最深点を結ぶ直線が直交するように前記基板の位置を調整することを特徴とする請求項1に記載の凹面ブレーズ型回折格子の製造方法。
  3. 前記フォトレジストパターンの各格子が並ぶ方向に沿って前記基板を回転させ、該回転させた方向における前記凹面上の両端点の入射角が一致するように前記基板の位置を調整することを特徴とする請求項1に記載の凹面ブレーズ型回折格子の製造方法。
  4. 格子状のフォトレジストパターンが形成された表面が凹面である基板にイオンビームを照射することにより、該凹面に断面鋸歯状の格子溝パターンを形成する凹面ブレーズ型回折格子の製造装置において、
    一の点状又は線状の基点から放射状にイオンビームを放射するイオンビーム放射源と、
    前記イオンビーム放射源の放射範囲内に収まるように、且つ、前記凹面内の任意の点における法線ベクトルと該点から前記基点に向かう方向ベクトルの為す角が鋭角になるように、前記基板の位置を調整する位置調整手段と、
    ことを特徴とする凹面ブレーズ型回折格子の製造装置。
  5. 前記イオンビーム放射源が、イオンを生成するイオン源と、前記基点が曲率中心となるように球状又は円柱状に湾曲した2枚の多孔電極を備え、一方の多孔電極の所定の孔の中心と他方の多孔電極の所定の孔の中心を結ぶ直線が前記基点を通るように、該2枚の多孔電極の孔が形成されていると共に、出射側の多孔電極が接地され、他方の多孔電極に負の電圧が印加されることを特徴とする請求項4に記載の凹面ブレーズ型回折格子の製造装置。
  6. 前記2枚の多孔電極が、前記基点と前記イオン源の間にあることを特徴とする請求項5に記載の凹面ブレーズ型回折格子の製造装置。
  7. 前記位置調整手段が、前記フォトレジストパターンの各格子が並ぶ方向に沿って前記基板を回転させ、前記基点と前記凹面の曲率中心を結ぶ直線と、該基点と該凹面の最深点を結ぶ直線が直交するように前記基板の位置を調整することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の凹面ブレーズ型回折格子の製造装置。
  8. 前記位置調整手段が、前記フォトレジストパターンの各格子が並ぶ方向に沿って前記基板を回転させ、該回転させた方向における前記凹面上の両端点の入射角が一致するように前記基板の位置を調整することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の凹面ブレーズ型回折格子の製造装置。
  9. 凹面上に断面が鋸歯状の格子溝パターンが形成された凹面ブレーズ型回折格子であって、格子溝間のブレーズ角の偏差が、最大のブレーズ角の50%以下であることを特徴とする凹面ブレーズ型回折格子。
  10. 前記凹面の平面形状が四角形であり、その凹面全体に亘って前記格子溝パターンが形成されていることを特徴とする請求項9に記載の凹面ブレーズ型回折格子。
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