JP2014134444A - 揺動型ステップモータ - Google Patents

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俊成 前田
Toshiaki Fukushima
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聡 塩田
Hikaru Izumi
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Abstract

【課題】
連続運針などに用いられるロータの揺動運動を一定方向の回転運動に変換する機構を用いたステップモータにおいて、ロータを大きなエネルギーの駆動パルスで駆動したり、長期間駆動した場合に、耐久性の確保が困難であって、また、運針ムラの少ない、安定した低消費電力での動作が困難であった。
【解決手段】
ロータの揺動角度を規制する部材を別途設けることなく、ロータは駆動車を送るカムと、揺動中心を挟んで、カムと反対側形成された突部とを有しており、突部は、ロータの揺動角度を規制するために、カムが送る側の駆動車とは異なる、他方の駆動車の歯底面、もしくは歯根近傍の面で衝突することで、ロータの揺動角度を規制する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、指針式電子時計等の電気−機械変換器として用いられる、ステップモータの構造に関する。更に詳しくは、ロータが所定の角度振幅で揺動運動しながら、出力歯車を一往復につき所定角度ずつ駆動するようにした揺動型ステップモータに関する。
指針式電子時計で一般的に用いられる2極に着磁された永久磁石を有するロータと、2極のヨークと、1相のコイルとよりなるステップモータは、毎秒1回コイルに通電することで、ロータが駆動されて180度ずつ回転し、秒針、分針、時針につながる輪列を駆動するもので、低消費電力化や動作の信頼性などにおいてかなりの成功を収めている。このような指針式電子時計は、秒針の運針は1秒に1回ずつ行われる。しかし、時計のユーザーの中には、機械式時計のような、秒針が流れ動くように見える連続運針(スイープ運針と称することもある。1秒間に数回〜10数回の小刻みの間欠運針であってもよい。)を好む層があり、近年その需要も増している。
一般的なステップモータを用いてそのような要求を満たすことは、駆動の時間間隔を短くし、秒針までの減速比を大きくすれば一応は実現できる。しかし、ロータは無視できない慣性能率を持ち、毎回の駆動ごとに加速されて輪列を駆動するが、余剰の運動エネルギーをロータの自由減衰振動の過程で捨てているので、駆動の頻度が増すと共に無駄になる消費エネルギーの比率が大きくなり、電源電池の消耗を早めることになる。
このような連続運針を行なう指針式電子時計のなかで、特に腕時計は、十分な電池寿命を持たせるために大型の電池を搭載せねばならず、時計の小型化や薄型化を図るには大きな支障があった。また、電池交換を不要にするために太陽電池等の発電機構を搭載することもあるが、上述の如く、一般的なステップモータを用いる連続運針の場合は消費電力が大きいため、腕時計に搭載できる発電機構では給電が十分ではなく、電池非交換式腕時計を実現することもできなかった。
本発明者は、連続運針用に減速比を大きく設定した場合には、秒針軸段階での出力エネルギー及び出力トルクが必要以上に十分すぎることに着目し、入力エネルギー、具体的には入力ストロークを減らすことで、高頻度の運動であってもエネルギー的な難点を克服できると考え、ロータを同じ方向に回転させずに所定の角度での往復運動、即ち揺動運動をさせることとした。
揺動運動を一定方向の回転運動に変換することによって時計の輪列を駆動する機構に関する揺動型ステップモータの従来技術は、下記特許文献1に記載されるようなものが知られている。左右方向に揺動運動するロータには送り歯が形成されており、また互いに噛み合う2つの従動車を設け、送り歯で一方の従動車を例えば時計回り方向に回転させると、噛み合っている他方の従動車も同量分、反時計回り方向に回転する。次に、送り歯は、他方の従動車を反時計回り方向に回転させると、噛合っている一方の従動車を同量分だけ時計回り方向に回転する。この運動の反復はコイルへの通電方向を切り替え、永久磁石に作用する磁界の方向を切り替えることで容易に実現でき、2つのうちの一つの従動車につながる輪列歯車を一定の方向に回転させる。
そして、ロータには送り歯とは別に二つの突部が設けられており、従動車の歯に衝突することでロータの揺動角度が規制されることも記載されている。
また、揺動型ステップモータにおいて、ロータの揺動角度を制限するその他の従来技術としては、下記特許文献2に記載されるようなものも知られている。ロータには送り歯以外に突部が形成されており、ロータと二つの従動車以外に別に設けられた回転規制部材に突部が衝突することで、ロータの揺動角度を規制されることが記載されている。
特開昭55−20461号公報(第3頁、第2図) WO2012/032993号公報(第54頁、第25図、第26図)
ところが、特許文献1に示した従来技術には、以下の問題点が存在する。近年電子時計の低消電力化のために、可能な限り少ない電流量で駆動し、非回転かどうかを判断し、非回転の場合には確実に動作できる十分大きなトルクを発生できる電流を流せる補正パルスによって、すぐに遅れ補正動作を行う負荷補償技術が一般的に使われている。
このように負荷に応じてコイルに流す電流量を調整し、重い負荷が作用するような場合であっても、十分大きなトルクで駆動することは、揺動型ステップモータにおいてももちろん可能だが、機構上、ロータの揺動角度を規制しているため、補正パルスで駆動した場合ロータは揺動角度の規制部材と大きな衝撃力で衝突する。この規制部材が特許文献1のように従動車の歯先の場合、歯先は欠けてしまうことがある。歯先が欠けるとロータの送り歯により、伝達効率良く駆動出来ないだけでなく、駆動すら出来ないこともある。つまり動作が非常に不安定なものとなってしまう。これは、従動車において、従動車を送る動作に必要な箇所と、ロータの回転を規制する箇所とを、従動車の歯先が兼ねていることが大きな問題要因である。特に、揺動モータを連続運針に適用する場合、1秒間に数回ロータの送り歯と従動車の歯先とが接触するため、特許文献1の構成では、長時間の安定動作のための耐久性を確保することはとても難しい。
また、特許文献2に示した従来技術には、以下の問題点が存在する。従動車を送る動作に必要な箇所である従動車の歯先と、ロータの回転を規制する箇所とは分かれているため、耐久性の点では問題ないものの、回転規制部材という余分な部品が増えてしまうために、コストが上がり、またモータの平面的な大きさも大きくなってしまう。
これらの問題以外にも問題点は存在する。揺動型ステップモータの場合、ロータの揺動運動により、二つの従動車をそれぞれ等しい所定角度分ずつ送る必要があるが、この角度の大きさが異なる場合には、秒芯に運針ムラとして表れてしまう。また、ロータの送り歯が二つの従動車のそれぞれの歯と、接触する歯面箇所が変わるため、伝達効率がそれぞれの従動車で異なることになり、一方の従動車を送る場合には少ないエネルギーの駆動パルスで送れるにもかかわらず、他方を送る場合には大きなエネルギーの駆動パルスでないと送れなくなる。結果として、両方の従動車を共通のエネルギーの駆動パルスで送るには、大きなエネルギーの駆動パルスで送る必要があり、低消費電力化が難しい。そのため、この二つの従動車を送るそれぞれの所定角度が等しくなるように、ロータと二つの従動車との位置に対し、ロータの揺動角度を規制する回転規制部材との2箇所の接触箇所を精度良く配置する必要がある。しかし、小さなロータ周辺の限られたスペースの中で、同時にこの2箇所の接触箇所を精度良く設けることは難しい。
本発明は、長時間、運針ムラの少ない安定動作を可能とし、ロータの揺動角度を規制するための構成を有する連続運針用ステップモータを提供することを目的とする。
本発明の揺動型ステップモータは、上記目的を達成するため、以下の構成を採用するものである。ロータが所定の揺動角度範囲内にて揺動運動を行うことにより、二つの駆動車を順次送られることで、出力歯車を所定の方向に所定角度ずつ回転する揺動型ステップモータにおいて、ロータは駆動車を送るカムと、揺動中心を挟んで、カムと反対側に形成された突部とを有しており、突部は、ロータの揺動角度を規制するために、カムが送る側の駆動車とは異なる、他方の駆動車の歯底面、もしくは歯根近傍の面に衝突するように形成されている。
このような揺動型ステップモータの構成にすることによって、ロータを大きなエネルギーの駆動パルスで駆動しても、揺動角度の規制によって従動車の歯が欠けたりせずに耐久性の高い機構とすることができる。また同時に、少ない部品で構成されるため省スペース化及び低コスト化が可能なだけでなく、ロータ揺動動作角度の精度が向上し、二つの駆動車を同じ大きさのトルクで、同じ所定角度分だけ送ることも可能となり、低消費電力で、運針ムラの少ない連続運針を実現できる。もちろん輪列の減速比を見直せば連続運針だけでなく、ステップ運針にも適用できることは明らかである。
本発明の揺動型ステップモータで全体の構成を説明する全体図(第1実施形態構成図)である。 ロータと二つの駆動車の構成を説明するための斜視図(第1実施形態構成図)である。 星車とロータ歯との関係のみを見やすくするために下面から見て、ロータ歯の部分のみを拡大した下面拡大図(第1実施形態構成図)である。 ロータ歯の動作により一方の駆動車を駆動し、ロータ歯の揺動角度が他方の駆動車により規制される動作をステップ毎に示した、ロータ歯と二つの駆動車のみの下面図(第1実施形態作用説明図)である。 ロータ歯の揺動角度が精度良く規制されずに、過剰にロータ歯が送られる場合の動作を示した、ロータ歯と二つの駆動車と回転規制部材の下面図(第1実施形態効果説明図)である。 ロータ歯の揺動角度が精度良く規制されずに、ロータ歯が送り不足の場合の動作を示した、ロータ歯と二つの駆動車と回転規制部材の下面図(第1実施形態効果説明図)である。 星車とロータ歯との関係のみを見やすくするために下面から見て、ロータ歯の部分のみを拡大した下面拡大図(第2実施形態構成図)である。
以下、各実施形態を、図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態の揺動型ステップモータの構成について説明する。第1実施形態の特徴は、ロータ歯の突部の衝突面が、星車の歯底にあたることで、揺動角度を規制する点である。
[第1実施形態の構成の説明]
第1実施形態の揺動型ステップモータの構成は、図1、図2、図3を用いて説明する。図1は、本発明の揺動型ステップモータで全体の構成を説明する全体図であり、図2はステータと出力歯車を除き、ロータと二つの駆動車の構成を説明するための斜視図であり、図3は第1実施形態のロータの揺動角度を規制する構成を説明するために、図2から更に
ロータの永久磁石を除き、星車とロータ歯との関係のみを見やすくするために下面から見て、ロータ歯の部分のみを拡大した下面拡大図である。
第1実施形態の揺動型ステップモータは、所定の揺動角度範囲内にて揺動運動するロータ1と、ロータ1により順次送られる二つの駆動車2A、2Bと、一方の駆動車2Aに歯が噛み合うことで連動して所定の方向に、所定角度ずつ回転する出力歯車30とからなり、また前記ロータ1は駆動車2A、2Bに当接することで駆動力を作用するロータ歯101と、それに同軸に固着した2極の永久磁石102とからなり、前記2極の永久磁石102に交番磁界を作用させるステータ4は、2極のヨーク401と1相のコイル402とからなる。
更に具体的に、前記ロータ歯101は、二つの送り歯面1011A、1011Bを有し、前記二つの送り歯面の歯先間を結ぶ前方曲面1011Cによって閉じて形成されたカム1011と、揺動中心aを挟んでカム1011と反対側に形成された突部1012とを有している。
また、前記駆動車2A、2Bは、それぞれにロータ歯101と当接することで所定の方向に駆動される星車2A1、2B1と、前記星車2A1、2B1と同軸に固着された連動歯車2A2、2B2とで構成されており、二つの連動歯車2A2、2B2同士は噛み合って互いに連動している。また、それぞれの前記星車2A1、2B1は前記ロータ歯101の送り歯面1011A、1011Bに当接する歯面201と、当接しない歯面202と、歯底面203とにより形成された複数の歯204を有している。そして、前記突部1012は、前記揺動中心aと、前記前方曲面1011cの中心bとを結ぶ中心線cを挟んで対称に二つの衝突面1012A、1012Bを有し、前記二つの衝突面1012A、1012Bを結ぶ後方曲面1012Cによって閉じて形成されている。
特に第1実施形態では、一方の送り歯面1011A、1011Bの一方、例えば今の場合1011Bが、一方の星車2B1を送る場合に、他方の星車2A1の歯底面203に、前記揺動中心aを挟んで、前記送り歯面1011Bと対角位置にある衝突面1012Aが、衝突することでロータ1の揺動角度を規制する構成である。fは衝突面1012Aと歯底面203との接触箇所である。
[第1実施形態の作用の説明]
第1実施形態の作用は図4を用いて説明する。図4は、第1実施形態のロータ歯の動作により一方の駆動車を駆動し、ロータ歯の揺動角度が他方の駆動車により規制される動作をステップ毎に示した、ロータ歯と二つの駆動車のみの下面図である。
STEP1は、ロータ歯101の送り歯面1011Bによって星車2B1が送られた状態であって、この状態からロータ歯101が反時計方向に回転して星車2A1を1ステップ送る動作について、STEP毎に説明していく。なお、ロータ歯101の揺動中心aを中心とした揺動運動により二つの駆動車2A、2Bを送る動作は左右対称であり、ロータ歯101が反時計方向に回転するか、時計方向に回転するかの違いであるので、ロータ歯101が時計方向に回転して星車2Bを送る動作の説明は省く。また、歯204の各歯面(歯面201、歯面202、歯底面203)については、各ステップの説明に必要な、対象としている箇所のみを番号で示す。
STEP2は、図示しないステータ4と永久磁石102の作用によって、ロータ歯101が反時計方向に回転している状態であって、送り歯面1011Aが星車2A1の歯204を送る直前の状態を示している。この際、ロータ歯101の駆動力が星車2A1に回転力として作用するには、歯204の歯先頂点近傍(図3のi)と送り歯面1011Aが当
たるよりも、歯面201の歯先側よりももう少し歯根側(図3のh)で当たる方が伝達効率良く、ロータ歯101の駆動力がより効率良く伝えられるのは明らかである。つまり、歯204がロータ歯101に対して左右とも安定した位置で停止していることが、重要である。
STEP3は、送り歯面1011Aが歯204の歯面201と当接して駆動力が作用することで、星車2A1が回転中心dに対して時計方向に回転している状態である。このとき、星車2A1と同軸に固着された連動歯車2A2も時計方向に回転し、連動している連動歯車2B2が回転中心eに対して反時計方向に回転している。そして連動歯車2B2と同軸に固着された星車2B1も反時計方向に回転している。
STEP3では、ロータ歯101の衝突面1012Bと星車2B1側の歯底面203とはまだ接触しておらず、ロータ歯101の揺動角度は規制されていない。
STEP4は、ロータ歯101の送り歯面1011Aが星車2A1側の歯204を送り、1ステップの動作を完了する状態を示している。STEP4において、ロータ歯101の衝突面1012Bが、星車2B1側の歯底面203に衝突することで、ロータ歯101の揺動角度が規制される。
この際、ロータ歯101の駆動力は星車2B1の歯底面203にあたることで、駆動車2Bの回転軸を回転摺動可能に保持している軸受部で受けるため、星車2B1には回転力は作用せず、軸受の摩擦力が増えるように作用する。そのため、万が一、過剰なエネルギーの駆動パルスでロータ駆動され、勢いのついた駆動車が、慣性力によって回転を続けようとしても、駆動車2Bは衝突面1012Bが歯底面203に衝突した位置でより安定的に停止する。つまり、ロータ歯101への回転規制力が、反作用として二つの駆動車2A、2Bの軸摩擦として作用する。
[第1実施形態の効果の説明]
ここで、第1実施形態の効果について説明する。まず、1つには回転規制部材など他部品を必要とせずに、ロータ歯101の揺動角度の精度は、二つの駆動車2A、2Bの部品の加工・組立精度、位置精度によってのみ決まり、揺動角度が精度良く安定した位置で規制されることで、ロータ歯101は次のステップで他方の星車2B1の歯204を伝達効率良く、送ることが可能となる。
ここでは、第1実施形態の効果について、もし他の構成であった場合に起こりうる不具合が、第1実施形態の構成にすることで不具合がおきないという説明を行う。仮に衝突面1012A、1012Bが無くて、先行技術文献として示した特許文献2のように回転規制部材でロータ歯101の揺動角度を規制する構成の場合に、起こりうる不具合動作を図5、図6を用いて説明する。図5はロータ歯の揺動角度が安定した位置で精度良く規制されずに、過剰にロータ歯が送られる場合の動作を示した、ロータ歯と二つの駆動車と回転規制部材の下面図である。図6は、ロータ歯の揺動角度が精度良く規制されずに、ロータ歯が送り不足の場合の動作を示した、ロータ歯と二つの駆動車と回転規制部材の下面図である。図5、図6ともロータの動作としては、図4のSTEP4の状態を示している。
図5に示すように、例えば、送り歯面1011Aが星車2A1側の歯204を更に送ってしまう場合、前方曲面1011Cが星車2A1と更にあたってしまうこととなり、噛み付いてしまうことがありうる。また、図6に示すように、例えば、送り歯面1011Bが星車2A1側の歯204を送り足らない場合、次のステップで星車2B1の歯204を伝達効率良く送ることができず、駆動力不足で歯204の歯先と送り歯面1011Bがあたった状態で停止してしまったり、更には歯204を送れずに空振りしてしまうこともあり
うる。しかし、第1実施形態の構成により、ロータ歯101が精度良く安定した位置で規制されるために、このような不具合が発生しない。
また更に、ロータ歯101の左右の揺動角度だけでなく、二つの駆動車2A、2Bの停止位置も安定することから、ロータ歯101は各ステップ毎に二つの駆動車2A、2Bを同じ大きさのトルクで、同じ所定角度だけ送ることが可能となり、運針ムラが少なくなる。つまり、伝達効率の悪い一方の駆動車だけ送るために大きなエネルギーの駆動パルスで送る必要がなく、二つの駆動車を共通の最小のエネルギーの駆動パルスで駆動できるため、低いエネルギーで駆動することができる。
もう1つには、ロータ歯101の揺動角度を規制する際、衝突面1012A、1012Bは、送り歯面1011A、1011Bにより当接する歯面201とは異なる箇所である歯底面203で衝突するため、星車2A1、2B1の歯204の形状が変形したり、欠けたりすることがなく、耐久性が向上し、ロータ歯101の揺動動作は安定する。そのため、特に連続運針など1秒間に数回送り動作をするような運針に適用した場合であっても長期間の安定的な動作が可能となる。
また、もちろんロータ歯101の揺動角度を規制する構成要件を別途必要としないため、省スペース化が可能となり、部品コストも下げられる。
[第2実施形態]
続いて、第2実施形態の揺動型ステップモータの構成について説明する。第2実施形態の特徴は、ロータ歯の突部の衝突面が、星車の歯根近傍、特にロータ歯の送り歯面が当接するとは異なる歯面の歯根近傍にあたることで、揺動角度を規制する点である。
[第2実施形態の構成と作用の説明]
第2実施形態の揺動型ステップモータの構成は、図7を用いて説明する。図7は第2実施形態のロータの揺動角度を規制する構成を説明するために、ロータ歯の部分のみを拡大した下面拡大図である。
第2実施形態の揺動型ステップモータは、第1実施形態とロータ1の揺動角度を規制するために衝突する箇所が異なるのみであり、他の構成やロータの動作は全く同じなので、第1実施形態と異なる箇所の構成と作用についてのみ記載する。
特に第2実施形態では、一方の送り歯面1011A、1011Bの一方、例えば1011Aが一方の星車2A1を送る場合、衝突面1012Bが、他方の星車2B1側の、送り歯面1011Bとは当接しない歯面202であって、歯根近傍に衝突することでロータ歯101の揺動角度を規制することを特徴(構成と作用)としている。gは衝突面1012Bと歯面202との接触箇所である。
[第2実施形態の効果の説明]
ここで、第2実施形態特有の効果について説明する。 ロータ歯101の駆動力は星車2A1、2B1の当接しない歯面202の歯根近傍にあたることで、星車2A1、2B1はロータ歯101の送り歯面1011A、1011Bによって送られる回転力とは、逆方向の回転力が発生して、星車2A1、2B1はロータ歯101の揺動角度が規制された瞬間に回転力が打ち消される。そのため、ロータ歯101の左右の揺動角度だけでなく、二つの駆動車2A、2Bの停止位置が第1実施形態より更に安定することから、より運針ムラが少なく、左右の動作共通の低いエネルギーの駆動パルスで駆動が可能となる。
また、衝突面1012A、1012Bは、ロータ歯101と当接しない歯面202の歯
根近傍で衝突するため、星車2A1、2B1の歯204の歯が曲げ力よって変形しにくい。また、第1実施形態と異なり、ロータ歯101の揺動角度の規制力を駆動車2A、2Bの回転摺動可能な回転軸と軸受で受けてない。そのため、回転軸の径を更に細くすることが可能となり、ロータ歯101で駆動2A、2B車を送る際の摺動摩擦負荷が減るため、更に消費電力を下げられる。
1 ロータ
101 ロータ歯
1011 カム
1011A、1011B 送り歯面
1011C 前方曲面
1012 突部
1012A、1012B 衝突面
1012C 後方曲面
a 揺動中心
b 前方曲面1011cの中心
c aとbを結ぶ中心線
d、e 駆動車回転中心
2A、2B 駆動車
2A1、2B1 星車
2A2、2B2 連動歯車
201 当接する歯面
202 当接しない歯面
203 歯底面
204 歯
3 回転規制部材
f、g、h、i 接触箇所

Claims (3)

  1. 凸部所定の揺動角度範囲内にて揺動運動するロータ(1)と、
    該ロータ(1)により順次送られる星車(2A1、2B1)と、
    を有する揺動型ステップモータにおいて、
    前記ロータ(1)は、該星車(2A1、2B1)を送るためのロータカム(1011)と、
    揺動中心(a)を挟んで、該ロータカム(1011)と反対側に形成された突部(1012)とを有し、
    前記ロータカム(1011)が一方の前記星車(2A1、2B1)の送りを完了する状態で、他方の前記星車(2B1、2A1)が前記突部(1012)と、他方の前記星車(2B1、2A1)の歯先以外の部分で当接する
    ことを特徴とする揺動型ステップモータ。
  2. 前記星車(2B1、2A1)の前記突部(1012)と当接する箇所は、
    前記星車(2B1、2A1)の歯底(204)である
    ことを特徴とする請求項1に記載の揺動型ステップモータ。
  3. 前記星車(2B1、2A1)の前記突部(1012)と当接する箇所は、
    前記星車(2B1、2A1)の歯根である
    ことを特徴とする請求項1に記載の揺動型ステップモータ。
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