JP2014133834A - 電線被覆材用樹脂組成物および絶縁電線ならびにワイヤーハーネス - Google Patents

電線被覆材用樹脂組成物および絶縁電線ならびにワイヤーハーネス Download PDF

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Abstract

【課題】高温耐油性、耐摩耗性、伸びに優れ、成形温度を低減できる電線被覆材用樹脂組成物とこれを被覆材として用いた絶縁電線ならびにワイヤーハーネスを提供する。
【解決手段】ポリサルホン系樹脂と、芳香族ポリエステル樹脂と、ポリエステルエラストマーと、からなるベース樹脂と、シリコーン粉末と、を有する電線被覆材用樹脂組成物とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電線被覆材用樹脂組成物および絶縁電線ならびにワイヤーハーネスに関し、さらに詳しくは、高温耐油性、耐摩耗性、伸びに優れる、自動車用電線の被覆材として好適な電線被覆材用樹脂組成物とこれを被覆材として用いた絶縁電線ならびにワイヤーハーネスに関するものである。
高温油中で使用可能な絶縁電線としては、耐熱性および耐油性に優れたフッ素ゴムやフッ素樹脂を被覆した絶縁電線が知られている(特許文献1〜3)。
また、自動車内などの振動環境下で使用可能な絶縁電線としては、耐摩耗性に優れたポリサルホンやポリエーテルサルホンを被覆した絶縁電線が知られている(特許文献4〜5)。
特開平11−66960号公報 特開平05−182543号公報 特開平08−241628号公報 特開平02−273411号公報 特開平02−183907号公報
フッ素ゴムやフッ素樹脂を被覆した絶縁電線は摩耗性に劣り、自動車内などの振動環境下での使用には適さない。特に、絶縁被覆の厚みを薄くして省スペース化を図る目的には適さない。また、フッ素樹脂は成形温度が高く、フッ素ゴムやフッ素樹脂は耐食性の成形機を用いる必要があるなど、製造困難な理由がある。
ポリサルホンやポリエーテルサルホンを被覆した絶縁電線は伸びが悪いため、自動車内などの配策時に曲げの力が加わるところでの使用には適さない。また、ポリサルホンやポリエーテルサルホンは、フッ素樹脂と同様、成形温度が高いなど、製造困難な理由がある。
本発明の解決しようとする課題は、高温耐油性、耐摩耗性、伸びに優れ、成形温度を低減できる電線被覆材用樹脂組成物とこれを被覆材として用いた絶縁電線ならびにワイヤーハーネスを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る電線被覆材用樹脂組成物は、ポリサルホン系樹脂と、芳香族ポリエステル樹脂と、ポリエステルエラストマーと、からなるベース樹脂と、シリコーン粉末と、を有することを要旨とするものである。
ポリエステルエラストマーはベース樹脂100質量部中に1〜50質量部含まれることが好ましい。芳香族ポリエステル樹脂はポリサルホン系樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とを合わせた合計質量中に1〜40質量%含まれることが好ましい。シリコーン粉末はベース樹脂100質量部に対し0.01〜3質量部含まれることが好ましい。
ポリサルホン系樹脂としては、ポリエーテルサルホンおよびポリフェニルサルホンから選択される1種または2種以上が好ましい。芳香族ポリエステル樹脂としては、繰り返し単位構造内にナフチル基を有するものが好ましい。ポリエステルエラストマーとしては、融点が200℃以上のものが好ましい。
本発明に係る絶縁電線は、上記の電線被覆材用樹脂組成物を電線被覆材に用いたことを要旨とするものである。また、本発明に係るワイヤーハーネスは、上記の絶縁電線を有することを要旨とするものである。
本発明に係る電線被覆材用樹脂組成物によれば、ポリサルホン系樹脂と、芳香族ポリエステル樹脂と、ポリエステルエラストマーと、からなるベース樹脂と、シリコーン粉末と、を有することから、高温耐油性、耐摩耗性、伸びに優れ、成形温度を低減できる。
ポリサルホン系樹脂としてポリエーテルサルホン、ポリフェニルサルホンあるいはこれらの組み合わせを用いると、耐摩耗性により優れる。芳香族ポリエステル樹脂として繰り返し単位構造内にナフチル基を有するものを用いると、ポリサルホン系樹脂およびポリエステルエラストマーとの相溶性および高温耐油性により優れる。ポリエステルエラストマーとして融点が200℃以上のものを用いると、高温耐油性により優れる。
本発明の一実施形態に係る絶縁電線の断面図である。
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明に係る電線被覆材用樹脂組成物は、ポリサルホン系樹脂と、芳香族ポリエステル樹脂と、ポリエステルエラストマーと、からなるベース樹脂と、シリコーン粉末と、を有する。
ポリサルホン系樹脂は、熱可塑性樹脂であり、繰り返し単位構造内(主鎖内)にスルホニル基を有するものである。具体的には、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニルサルホンなどが挙げられる。これらは、本発明に係る電線被覆材用樹脂組成物のポリサルホン系樹脂として、単独で用いられても良いし、2種以上が組み合わされて用いられても良い。耐摩耗性に特に優れるなどの観点からいうと、ポリサルホン系樹脂は、ポリエーテルサルホン、ポリフェニルサルホン、あるいは、これらの組み合わせであることが好ましい。さらに高温耐油性に特に優れるなどの観点からいうと、ポリフェニルサルホンが好ましい。
芳香族ポリエステル樹脂は、熱可塑性樹脂であり、ポリサルホン系樹脂とポリエステルエラストマーの相溶性を向上させることができる。また、繰り返し単位構造内(分子内)に芳香環を有することから、高温耐油性を向上させることができる。芳香族ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などが挙げられる。これらは、本発明に係る電線被覆材用樹脂組成物の芳香族ポリエステル樹脂として、単独で用いられても良いし、2種以上が組み合わされて用いられても良い。ポリサルホン系樹脂およびポリエステルエラストマーとの相溶性および高温耐油性に特に優れるなどの観点からいうと、芳香族ポリエステル樹脂としては、繰り返し単位構造内にナフチル基を有する、PEN、PBNあるいはこれらの組み合わせが好ましい。
ポリエステルエラストマーは、柔軟性成分として配合される。これにより、本発明に係る電線被覆材用樹脂組成物の伸びを向上させることができる。また、シリコーン粉末を配合したときの物性低下を抑えることができる。ポリエステルエラストマー自体がポリサルホン系樹脂との相溶性が低いため、ポリサルホン系樹脂に対してこれ単独で配合されても伸びは改善されず、シリコーン粉末を配合したときの物性低下を抑えることができない。芳香族ポリエステル樹脂とともに配合されることによりポリサルホン系樹脂との相溶性が改善され、電線被覆材用樹脂組成物の伸びを向上し、シリコーン粉末を配合したときの物性低下を抑えることができる。
ポリエステルエラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントとのブロック共重合体からなる。ハードセグメントは、PBTやPBNなどの芳香族ポリエステルや脂肪族ポリエステルなどが挙げられる。ソフトセグメントは、脂肪族ポリエーテルや脂肪族ポリエステルなどが挙げられる。ポリエステルエラストマーは、高温耐油性により優れるなどの観点から、融点が200℃以上のものが好ましい。
シリコーン粉末は、繰り返し単位構造内にシロキサン結合を有する粉末であり、樹脂組成物の流動性を改善する。シリコーン粉末にはシリコーン樹脂やシリコーンエラストマーが含まれる。シリコーン粉末の平均粒径は、成形時に組成物中で凝集しにくいなどの観点から0.1μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1.0μm以上である。また、物性低下が小さいなどの観点から、100μm以下であることが好ましい。より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。シリコーン粉末の平均粒径は、水分散液をレーザー回折式粒度分布測定器により測定したメジアン径により表される。
ポリエステルエラストマーは、ベース樹脂100質量部中に1〜50質量部含まれていることが好ましい。より好ましくは5〜30質量部である。ポリエステルエラストマーの含有量がベース樹脂100質量部中に1質量部以上であれば、伸びの向上効果が高く、シリコーン粉末を配合したときの物性低下を抑える効果が高い。また、ポリエステルエラストマーの含有量がベース樹脂100質量部中に50質量部以下であれば、優れた耐摩耗性が確保されやすい。
芳香族ポリエステル樹脂は、ポリサルホン系樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とを合わせた合計質量中に1〜40質量%含まれていることが好ましい。より好ましくは5〜30質量%である。芳香族ポリエステル樹脂の含有量がその合計質量中に1質量%以上であれば、ポリエステルエラストマーのポリサルホン系樹脂との相溶性が改善されやすく、これによる伸びの向上効果が高い。また、優れた耐摩耗性も確保されやすい。芳香族ポリエステル樹脂の含有量がその合計質量中に40質量%以下であれば、耐摩耗性の低下が抑えられやすいので、優れた耐摩耗性が確保されやすい。そして、伸びの向上効果が高い。
シリコーン粉末は、ベース樹脂100質量部に対し0.01〜3質量部含まれていることが好ましい。より好ましくは0.1〜1.0質量部である。シリコーン粉末の含有量がベース樹脂100質量部に対し0.01質量部以上であれば、樹脂組成物の流動性改善効果が顕著に現れ、成形温度を大きく低減できる。また、シリコーン粉末の含有量がベース樹脂100質量部に対し3質量部以下であれば、物性低下が比較的小さく、耐摩耗性や伸びを維持しつつ成形温度を低減できる。
シリコーン粉末は、ポリエステルエラストマーと併用することで樹脂組成物内に高分散させることができる。そして、ポリサルホン系樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリエステルエラストマー、シリコーン粉末をすべて配合することで、ポリサルホン系樹脂の優れた高温耐油性と耐摩耗性を維持しながら、伸びを改善し、さらには樹脂組成物の流動性を向上させることで成形温度を低減することができる。
電線被覆材用樹脂組成物には、ベース樹脂やシリコーン粉末以外にも、必要に応じて、電線被覆材に利用される一般的な添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、充填剤、顔料、酸化防止剤、老化防止剤などが挙げられる。
電線被覆材用樹脂組成物は、優れた高温耐油性と耐摩耗性と伸びを備えたものである。電線被覆材用樹脂組成物の伸びは、120%以上であることが好ましい。より好ましくは150%以上である。伸びは破断時の伸びである。
次に、本発明に係る電線被覆材用樹脂組成物を被覆材として用いた絶縁電線について説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る絶縁電線の構成を示す。図1に示すように、絶縁電線1は、金属導体2の外周に絶縁被覆層3が設けられたもので構成されている。特に限定されるものではないが、絶縁被覆層3は単層である。絶縁被覆層3の材料には、本発明に係る電線被覆材用樹脂組成物が用いられている。本発明に係る電線被覆材用樹脂組成物を被覆材として用いることにより、優れた高温耐油性と耐摩耗性を維持しながら、伸びを改善し、さらには樹脂組成物の流動性を向上させることで成形温度を低減することができる。
金属導体2は、銅を用いることが一般的であるが、銅以外にもアルミニウム、マグネシウム等を導体として用いることができる。また、銅に他の金属を含有してもよい。他の金属としては、例えば、鉄、ニッケル、マグネシウム、シリコン等が挙げられる。金属導体2は、この他にも、通常、導体として広く使用されている金属を、銅に添加あるいは単独で使用しても良い。また金属導体2は、単線を用いてもよいし、複数の線を撚り合わせた撚り線を使用してもよい。このとき撚り合わせて圧縮すると細径化することが可能である。
金属導体2の断面積、絶縁被覆層3の厚さ等は、絶縁電線1の用途等に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。絶縁電線1の用途としては、高温耐油性や耐摩耗性に優れることから、自動車内などの振動環境下や高温油中で使用される絶縁電線(例えば自動車用絶縁電線)などが挙げられる。
絶縁電線1は、例えば、押出機(単軸、二軸)、バンバリミキサー、加圧ニーダー、ロールなどの通常用いられる混練機を用いて絶縁被覆層3を構成する材料を混練し、通常の押出成形機などを用いて金属導体2の外周に絶縁被覆層3を押出被覆することで得られる。
絶縁電線1は、その端末に接続端子やコネクタが接続されることにより、ワイヤーハーネスとされる。また、複数本が束ねられることにより、ワイヤーハーネスとされる。
以下、本発明を実施例によって説明する。
実施例1〜24、比較例1〜8
〔電線の作製〕
表1の実施例1〜8、表2の実施例9〜16、表3の実施例17〜24、表4の比較例1〜8に示された樹脂組成物の成分組成(質量部)に従って、絶縁被覆層の樹脂組成物を二軸混合機により、ダイ付近の樹脂温度が最適成形温度となるよう混練した。混練した樹脂組成物を断面積0.35mmの撚線導体の周囲に被覆厚0.2mmの絶縁被覆層を押出成形して、実施例1〜24、比較例1〜8の絶縁電線を得た。押出成形では、直径が、それぞれ1.1mmのダイスと0.75mmのニップルを使用した。また押出成形は、ダイ付近の樹脂温度が最適成形温度となるような押出温度とし、線速度50m/min.で行った。得られた絶縁電線について、高温耐油性、絶縁伸び、耐摩耗性の評価を行った。各試験結果を表1〜4に示す。なお、各成分の具体的な使用材料、最適成形温度の決定方法および試験方法は下記の通りである。
〔使用材料〕
<ポリサルホン系樹脂>
・ポリサルホン(PSU):Udel P−1700NT(ソルベイアドバンスドポリマーズ社製)
・ポリエーテルサルホン(PES):スミカエクセル4100G(住友化学社製)
・ポリフェニルサルホン(PPSU):ウルトラゾーンP3010(BASF社製)
<芳香族ポリエステル樹脂>
・ポリブチレンテレフタレート(PBT):ジュラネックス800FP(ポリプラスチック社製)
・ポリブチレンナフタレート(PBN):TQB−OT(帝人化成社製)
・ポリエチレンナフタレート(PEN):テオネックスTN−8065S(帝人化成社製)
<ポリエステルエラストマー>
・ポリエステルエラストマー<1>:ハイトレル4047(東レ・デュポン社製、融点182℃)
・ポリエステルエラストマー<2>:ハイトレル5557(東レ・デュポン社製、融点208℃)
・ポリエステルエラストマー<3>:ハイトレル7277(東レ・デュポン社製、融点219℃)
・ポリエステルエラストマー<4>:ペルプレンEN−2034(東洋紡社製、融点224℃)
<シリコーン粉末>
・シリコーンレジン:KMP−590(信越シリコーン社製、平均粒径2.0μm)
・シリコーンエラストマー:KMP−600(信越シリコーン社製、平均粒径5.0μm)
〔最適成形温度決定方法〕
最適成形温度を決定するにあたり、各温度でのMI測定(JISK7210準拠)を実施し、MIが1.0g/10min.(荷重2.16kg)となる温度を最適成形温度とした。MIが1.0g/10min.を大きく超えると、ドローダウンなどを引き起こす可能性が高く、電線被覆材に向かない。MIが1.0g/10min.を大きく下回ると、流動性が低く、押出することができない。シリコーン粉末添加時と未添加時の両方についてMI測定を行った。
〔高温耐油性〕
絶縁電線を120℃×任意時間、ATF(日産純正ATF:NS−2)に浸漬後、自己巻き付け試験を行い、1kv×1min.の耐電圧試験を行った。浸漬時間が1000時間以上であっても絶縁破壊を生じないで耐電圧試験に耐えることができた場合を合格「○」とし、浸漬時間が2000時間以上であっても絶縁破壊を生じないで耐電圧試験に耐えることができた場合を合格「◎」とし、浸漬時間が1000時間未満で絶縁破壊を生じ、耐電圧試験に耐えられなかった場合を不合格「×」とした。
〔絶縁伸び〕
絶縁電線から導体を抜き取り所定の長さの絶縁被覆層を取り出して試験片とした。引張試験機にて標線間距離が20mm、引張速度が50mm/min.の条件で絶縁被覆層の引張試験を行った。絶縁伸びが120%以上の場合を○(合格)、150%以上の場合を◎(合格)、120%未満である場合を×(不合格)とした。
〔耐摩耗性〕
ISO6722に準拠し、ブレード往復法で行った。ブレードにかかる荷重を7Nとし、試験回数4回の最小値が300回以上を合格(○)、500回以上を合格(◎)、300回未満を不合格(×)とした。
Figure 2014133834
Figure 2014133834
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表4に示すように、比較例1は、電線被覆材用樹脂組成物がポリサルホン系樹脂のみからなるため、成形温度が高く、伸び(絶縁伸び)も低い。比較例2は、電線被覆材用樹脂組成物がポリエステルエラストマーのみからなるため、絶縁伸びには優れるが、高温耐油性、耐摩耗性に劣る。比較例3は、ポリサルホン系樹脂のみからなるベース樹脂にシリコーン粉末を配合しているため、成形温度は低減できるが、物性低下により高温耐油性、耐摩耗性が悪化する。比較例4は、芳香族ポリエステル樹脂のみからなるベース樹脂にシリコーン粉末を配合しているため、成形温度は低減できるが、物性低下により高温耐油性、絶縁伸び、耐摩耗性が悪化する。比較例5は、ポリエステルエラストマーのみからなるベース樹脂にシリコーン粉末を配合しており、成形温度は低減でき、ポリエステルエラストマーの物性低下は抑制できるが、比較例2と同様、高温耐油性、耐摩耗性に劣る。比較例6は、ポリサルホン系樹脂と芳香族ポリエステル樹脂の組み合わせからなるベース樹脂にシリコーン粉末を配合している。ベース樹脂としてポリエステルエラストマーが配合されていないため、比較例3、4と同様、成形温度は低減できるが、物性低下が生じる。比較例7は、ポリサルホン系樹脂とポリエステルエラストマーの組み合わせからなるベース樹脂にシリコーン粉末を配合している。ベース樹脂として芳香族ポリエステル樹脂が配合されていないため、ポリサルホン系樹脂とポリエステルエラストマーの相溶性が悪く、成形温度は低減できるものの、物性低下が生じる。比較例8は、芳香族ポリエステル樹脂とポリエステルエラストマーの組み合わせからなるベース樹脂にシリコーン粉末を配合している。ベース樹脂としてポリサルホン系樹脂が配合されていないため、成形温度は低減でき、高温耐油性、絶縁伸びに優れるが、耐摩耗性に劣る。
これに対し、実施例によれば、ポリサルホン系樹脂と、芳香族ポリエステル樹脂と、ポリエステルエラストマーと、からなるベース樹脂にシリコーン粉末が配合されているので、高温耐油性、耐摩耗性、伸びに優れ、成形温度を低減できる。成形温度が低減されることにより、窒化鋼などの安価な素材を使用した成形機を用いて成形することが可能である。また、耐摩耗性に優れるため、絶縁被覆の薄肉化による電線細径化、ワイヤーハーネスの省スペース化に貢献できる。
実施例1,2,3の比較から、ポリサルホン系樹脂がポリエーテルサルホン、ポリフェニルサルホンであると、耐摩耗性により優れる。さらに、ポリサルホン系樹脂がポリフェニルサルホンであると、高温耐油性により優れる。実施例1,4,5の比較から、芳香族ポリエステル樹脂が繰り返し単位構造内にナフチル基を有すると、高温耐油性により優れる。また、耐摩耗性、伸びにより優れる。これは、芳香族ポリエステル樹脂がナフチル基を有することにより、ポリサルホン系樹脂とポリエステルエラストマーの相溶性が向上するためと推察される。実施例1,6,7,8の比較から、ポリエステルエラストマーの融点が200℃以上であると、高温耐油性により優れる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 絶縁電線
2 金属導体
3 絶縁被覆層

Claims (9)

  1. ポリサルホン系樹脂と、芳香族ポリエステル樹脂と、ポリエステルエラストマーと、からなるベース樹脂と、シリコーン粉末と、を有することを特徴とする電線被覆材用樹脂組成物。
  2. 前記ベース樹脂100質量部中に、前記ポリエステルエラストマーが1〜50質量部含まれることを特徴とする請求項1に記載の電線被覆材用樹脂組成物。
  3. 前記ポリサルホン系樹脂と前記芳香族ポリエステル樹脂とを合わせた合計質量中に、前記芳香族ポリエステル樹脂が1〜40質量%含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の電線被覆材用樹脂組成物。
  4. 前記ベース樹脂100質量部に対し、前記シリコーン粉末が0.01〜3質量部含まれることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電線被覆材用樹脂組成物。
  5. 前記ポリサルホン系樹脂が、ポリエーテルサルホンおよびポリフェニルサルホンから選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電線被覆材用樹脂組成物。
  6. 前記芳香族ポリエステル樹脂が、繰り返し単位構造内にナフチル基を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電線被覆材用樹脂組成物。
  7. 前記ポリエステルエラストマーの融点が、200℃以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電線被覆材用樹脂組成物。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の電線被覆材用樹脂組成物を電線被覆材に用いたことを特徴とする絶縁電線。
  9. 請求項8に記載の絶縁電線を有することを特徴とするワイヤーハーネス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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