JP2014133511A - 車速制限装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車速制限装置に関し、車速制限に伴って発生する加速度変動の違和感を低減させる。
【解決手段】車両の実車速Vが設定車速VSETを超えないように、実車速Vを制御する車速制限装置において、設定車速VSETよりも低い判定車速VTHから設定車速VSETまでの速度範囲における目標車速VTGT(t)を時間の関数で表現したものに対応する目標曲線を設定する目標曲線設定手段16を設ける。
また、目標曲線設定手段16で設定された目標曲線に沿って実車速Vが変化するように、実車速Vを制御する制御手段20を設ける。
目標曲線設定手段16での目標曲線の設定に際し、実車速Vが判定車速VTH以上になった第一時刻での実車速Vの変化勾配と第一時刻での目標曲線の傾きとを一致させるとともに、目標車速VTGT(t)が設定車速VSETに達する第二時刻での目標曲線の傾きをゼロに設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の実車速が設定車速を超えないように、駆動源の出力や制動力を自動的に調節して実車速を制御する車速制限装置に関する。
従来、アクセル操作の有無に関わらず、車両の走行速度を自動的に制限する車速制限装置が知られている。すなわち、車両の最高速度が所定の設定速度を超えないように、駆動源(エンジン,走行用モーター等)の出力や制動力を制御するものである。近年では、設定速度を運転者が任意に設定できるようにした調整式の車速制限装置(アジャスタブルスピードリミッター)も開発されている。
典型的な車速制限装置は、車両の実車速が設定車速に近づいたときに車両の出力を低減させて、それ以上の加速を抑制するように機能する。一方、実車速が設定車速と比較して十分に小さいときには、出力に制限が加えられることはなく、アクセル操作量に応じて通常通りに車両の加速の度合いが調節される。このように、車速制限装置は、低速走行時の車両の出力を制限しないという点で定速走行装置(クルーズコントロール装置)とは相違する。したがって、一定の巡航速度を維持しにくい一般道路での速度超過を未然に防ぐうえで、あるいは、車両の燃費を向上させるうえで有用である。
ところで、車速制限装置による車速制限は、加速しようとしている車両の加速度を減少させるように作用する。このとき、車両は運転者の走行意思に反する方向に制御されることになる。そのため、車速制限に伴う加速度変動が運転者にとって不自然に感じられやすく、ドライブフィーリングが損なわれやすいという課題がある。
このような課題に対し、車速制限時のトルク変動を抑制することで、車速制限に由来するトルクショックを緩和する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、車両の走行速度の上昇を抑制するための目標トルクに対し、フィルタリング処理を施すことによってトルクの急変を緩和する制御が記載されている。このような制御により、トルクショックに伴うドライバビリティの悪化を抑制できるとされている。
特開2008-144594号公報
しかしながら、上記のような従来の車速制限装置では、車速制限の開始直後や、車速が設定速度に達したときの加速度変動を抑制することができない。
例えば、車両に実際に作用する加速度の大きさは、瞬間的な車速の値には依存せず、車速の時間変化勾配に対応したものとなる。一方、特許文献1に記載されたような従来の車速制限装置では、車速制限が開始された時点での加速度や、車速が設定速度に達した時点での加速度の大きさが考慮されていない。そのため、車速制限の開始直後に加速度変動が生じ、運転者が車両の引っ掛かり感やもたつき感を覚える場合がある。また、車速が設定速度に達したときも同様であり、ドライブフィーリングが低下しやすい。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、車速制限に伴って発生する加速度変動の違和感を低減させることができるようにした、車速制限装置を提供することである。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示する車速制限装置は、車両の実車速が設定車速を超えないように、前記実車速を制御する車速制限装置である。この車速制限装置は、前記設定車速よりも低い判定車速から前記設定車速までの速度範囲における目標車速を時間の関数で表現したものに対応する目標曲線を設定する目標曲線設定手段を備える。また、前記目標曲線設定手段で設定された前記目標曲線に沿って前記実車速が変化するように、前記実車速を制御する制御手段を備える。
前記目標曲線設定手段は、前記実車速が前記判定車速以上になった第一時刻での前記実車速の変化勾配(実加速度)と前記第一時刻での前記目標曲線の傾き(目標加速度)とを一致させるとともに、前記目標車速が前記設定車速に達する第二時刻での前記目標曲線の傾き(目標加速度)をゼロに設定する。
つまり、前記目標曲線設定手段での前記目標曲線の設定では、前記第一時刻での傾きと前記第二時刻での傾きとが拘束される。前記第一時刻での拘束条件が「前記実車速の変化勾配(実加速度)に傾きが一致すること」であり、前記第二時刻での拘束条件が「前記目標車速の変化勾配(目標加速度)がゼロであること」である。
(2)また、前記車両の実加速度に基づき、前記判定車速を設定する判定車速設定手段と、前記車両の実加速度に基づき、前記目標車速を時間について二階微分したものに相当する目標ジャークを設定する目標ジャーク設定手段と、を備えることが好ましい。
この場合、前記目標曲線設定手段が、前記第一時刻に前記判定車速設定手段で設定された前記判定車速と前記設定車速との車速偏差(速度差)と、前記目標ジャーク設定手段で設定された前記目標ジャークとに基づき、前記目標曲線を設定することが好ましい。
(3)また、前記目標ジャーク設定手段は、前記第一時刻における前記車両の実加速度が大きいほど、前記目標ジャークの絶対値を増大させることが好ましい。つまり、前記実車速が前記速度範囲内に入ったときの実加速度が大きいほど、その後の目標加速度の変化勾配の絶対値を大きくすることが好ましい。
なお、前記実車速が前記判定車速から前記設定車速に至るまでの間は、前記目標ジャークが一定の値(固定値)とされることが好ましい。
(4)また、前記目標曲線設定手段が、時間の二次関数として表現される前記目標車速に対応する前記目標曲線を設定することが好ましい。
例えば、前記判定車速と前記設定車速との車速偏差をDとし、前記目標ジャークをJとして、時間tの関数である前記目標車速VTGT(t)をVTGT(t)=(J/2)t2+(-2JD)1/2t+VSET−Dと表現することが考えられる。
(5)また、前記制御手段が、前記実車速と前記目標車速との差に基づき、前記実車速をフィードバック制御することが好ましい。
(6)また、前記制御手段が、前記車両のアクセル操作量に基づいて算出されるドライバー要求トルクが、前記目標車速と前記実車速との差に基づいて算出される車速制限用要求トルク以上である場合に、前記フィードバック制御を実施することが好ましい。
つまり、前記実車速が前記目標車速以上まで増大しない程度に前記ドライバー要求トルクが小さい場合には、運転者の意思を尊重して、前記ドライバー要求トルクに基づく出力制御を実施することが好ましい。一方、前記ドライバー要求トルクが比較的大きく、前記実車速が前記目標車速以上まで増大するおそれがある場合には、前記装置要求トルクに基づく出力制御を実施することが好ましい。
なお、前記ドライバー要求トルクは、前記アクセル操作量と前記エンジンの回転速度とに基づいて算出されることが好ましい。一方、前記装置要求トルクは、前記実車速と前記目標車速との速度差に基づいて算出されることが好ましい。
開示の車速制限装置では、第一時刻での目標曲線の傾きと実車速の変化勾配(実加速度)とが一致するため、制御手段による制御開始時における加速度変動を抑制することができ、車両走行の引っ掛かり感や加速度変動の違和感を軽減することができる。
また、第二時刻での目標曲線の傾きがゼロに設定されるため、実車速が設定車速に到達したときの加速度変動を抑制することができる。なお、目標車速に対する実車速の上昇の遅れ(すなわち、応答遅れや誤差)がないものと仮定すれば、第二時刻の加速度変動はゼロとなり、実車速が滑らかに設定車速に一致する。また、たとえ目標車速に対する実車速の上昇の遅れがあったとしても、実車速が設定車速に到達したときの加速度変動は極めてゼロに近い値となる。
このように、実車速が設定車速を超えないように速度上昇を抑制しつつ、制御手段による制御の前後での不自然な加速度変動を抑制することができ、運転者に与えうる違和感を軽減できるとともにドライブフィーリングを向上させることができる。また、装置構成や制御構成が簡素であり、例えば従来の車速制限装置に対して目標曲線を設定するための演算構成を適用するだけで、開示の車速制限装置を実現することもできる。したがって、例えば車両の加減速度をリアルタイムに検知してエンジン出力を制御するような手法を採用した場合と比較して、開発工数や実車両への適合工数を大幅に削減することができ、製品コストを安価にすることができる。
一実施形態に係る車速制限装置とその適用車両の構成を説明するための模式図である。 本車速制限装置で実施される車速制限制御の内容を説明するための模式的なグラフである。 車速制限制御で用いられるマップの例であり、(a)は実加速度と車速偏差との関係を示し、(b)は実加速度と目標ジャークとの関係を示す。 車速制限制御で用いられる目標曲線を説明するためのグラフであり、(a)は目標値WTGT(t)のグラフ、(b)は(a)の傾きを示すグラフ、(c)は(b)の傾きを示すグラフである。 本車速制限装置での通常制御の手順を例示するフローチャートである。 本車速制限装置での車速制限制御の手順を例示するフローチャートである。 本車速制限装置による制御作用を説明するためのグラフであり、(a)は実車速の変化を示し、(b)は実加速度の変化を示すものである。
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
[1.装置構成]
本実施形態の車速制限装置は、図1に示す車両1に適用される。この車両1には、エンジン2及びブレーキ装置3と、これらの作動状態を制御する電子制御装置としてのエンジンECU4(ENG-ECU)及びブレーキECU5(BRK-ECU)とが設けられる。エンジン2は、駆動輪に対して車両1を加速させる駆動力を付与するように機能するものであれば、その種類や形式は任意である。同様に、ブレーキ装置3は、駆動輪に対して車両1を減速させる制動力を付与するように機能するものであれば、その種類や形式は問わない。エンジンECU4,ブレーキECU5は、運転者による運転操作や車両1の走行環境,車載装置の作動状態等に基づき、それぞれエンジン2,ブレーキ装置3を制御する。
また、この車両1には、エンジンECU4及びブレーキECU5の動作に割込可能な電子制御装置として、車速制限ECU9(車速制限装置)が設けられる。これらの各ECU4,5,9は、例えばマイクロプロセッサやCPU,ROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成され、車両に設けられた車載ネットワーク網の通信ラインを介して互いに通信可能に接続される。
車速制限ECU9は、車両1の実車速Vが設定車速VSETを超えないように、エンジン2の出力やブレーキ装置3の制動力を自動的に調節して実車速Vを制御する。つまり、車速制限ECU9は、エンジンECU4及びブレーキECU5で実施される通常の制御に優先して、車両1の最高速度を制限するように機能する。このような車速制限ECU9で実施される制御のことを、車速制限制御と呼ぶ。
ここでいう設定車速VSETは、予め設定された固定値(例えば、100[km/h],120[km/h]等)であってもよいし、運転者がその値を自由に設定可能な可変値であってもよい。前者の場合、図示しないカーナビゲーションシステムで特定される車両1の走行位置に基づいて、道路の区間毎に設定されている法定最高速度を検索し、これを設定車速VSETとすることが考えられる。また、後者の場合、インストルメントパネル上やステアリングホイールに付設される入力装置を介して、運転者が任意の速度値を設定できるようにし、これを設定車速VSETとすればよい。
また、この車速制限ECU9には、車速制限制御で用いられる情報を取得するためのセンサーとして、エンジン回転速度センサー6,アクセル開度センサー7及び車速センサー8が接続される。エンジン回転速度センサー6は、エンジン2の回転速度Ne(又はこれに相当する情報)を取得するものであり、例えばクランク軸の角速度に基づき、エンジン2の回転速度Neを検出,算出する。アクセル開度センサー7は、運転者による加速意思に相当する情報を取得するものであり、例えばアクセルペダルの踏み込み量をアクセル開度APSとして検出する。ここで検出された回転速度Ne及びアクセル開度APSの情報は、車速制限ECU9に伝達される。
また、車速センサー8は、車両1の実車速V(実際の走行速度)に相当する情報を取得するものであり、例えば駆動輪の回転軸の角速度を検出する。ここで検出された角速度の情報は、車速制限ECU9に伝達され、実車速Vの値に変換される。なお、車速制限ECU9で実車速Vを算出する代わりに、車速センサー8で実車速Vを算出する構成としてもよい。
[2.制御構成]
車速制限制御は、図2に示すように、設定車速VSETよりも低い値に設定される判定車速VTHを閾値として、車両1の実車速Vが判定車速VTH以上の範囲内にあるときに実施される。この車速制限制御では、判定車速VTHから設定車速VSETまでの速度範囲で目標車速VTGT(t)が設定されるとともに、実車速Vを目標車速VTGT(t)に近づけるためのフィードバック制御が実施される。目標車速VTGT(t)は、時間が経過するに連れて判定車速VTHから設定車速VSETへと漸近するように設定される。これにより、仮にアクセルペダルが最大まで踏み込まれた状態が長時間続いたとしても、実車速Vが設定車速VSETを超えないように制御され、最終的には実車速Vが設定車速VSETとほぼ同一の速度に制御される。
ただし、車両1の実車速Vが判定車速VTH以上であっても、車両1が減速している最中であれば、改めて車速制限を実施する必要がない場合も考えられる。そこで、本実施形態では実車速Vだけでなくアクセル開度APSを考慮して、車速制限制御を実施する。
車速制限ECU9には、算出部10及び制御部20が設けられる。これらの各要素に含まれる諸機能は、電子回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアとしてプログラミングされたものとしてもよく、あるいはこれらの機能のうちの一部をハードウェアとして設け、他部をソフトウェアとしたものであってもよい。
[2−1.算出部]
算出部10は、車速制限制御で用いられる各種のパラメーター等を算出するものである。ここには、実車速算出部11,実加速度算出部12,車速偏差算出部13,判定車速算出部14,目標ジャーク算出部15及び目標曲線算出部16が設けられる。
実車速算出部11は、車速センサー8で取得された情報に基づき、実車速Vを算出するものである。ここでは例えば、駆動輪の回転軸の角速度及び周長に基づいてその時点での実車速Vが算出される。また、実車速算出部11には、実車速Vの最新の値とその直前の演算周期で求められた過去の値との少なくとも二つの実車速Vの値を保持,記憶するメモリが設けられる。これらの二つの実車速Vの値は、続いて説明する実加速度Aの算出に用いられる。
実加速度算出部12は、実車速算出部11で算出された二つの実車速Vに基づき、実加速度Aを算出するものである。ここでは例えば、二つの実車速Vの差とそれぞれの実車速Vが算出された時刻の差とに基づいて、その時点での実加速度Aが算出される。なお、実車速Vの変化量に基づいて実加速度Aを算出する代わりに、図示しない前後加速度センサーの検出値に基づいて車両1の実加速度Aを算出するような構成としてもよい。
車速偏差算出部13は、実加速度算出部12で算出された実加速度Aに基づいて、車速偏差Dを算出するものである。この車速偏差Dとは、車速制限制御を開始するための速度閾値である判定車速VTHと設定車速VSETとの差に相当するものであり、正の値を持つ。ここでは、実加速度Aが大きいほど車速偏差Dも大きな値として算出される。本実施形態では、図3(a)に示すように、実加速度Aと車速偏差Dとの関係が予めマップ化されており、このマップに基づいて車速偏差Dが算出される。また、車速偏差Dの値は、実加速度Aが正の範囲でゼロに近づくほど、最小車速偏差D0に漸近するような設定とされる。なお、実加速度Aが負の範囲は、車両1の減速時に対応する領域である。このことから、減速中に車速制限制御を開始しない場合には、実加速度Aが負のときの車速偏差Dの設定を省略することも可能である。
判定車速算出部14(判定車速設定手段)は、設定車速VSETと車速偏差Dとに基づいて判定車速VTHを算出するものである。ここでは、設定車速VSETから車速偏差算出部13で算出された車速偏差Dを減じた速度が判定車速VTH(すなわち、VTH=VSET-D)として算出される。ここで算出される判定車速VTHは、実加速度Aが大きいほど低く、実加速度Aが小さいほど高い(すなわち、設定車速VSETに近い)値となる。判定車速VTHが取り得る最大値は、設定車速VSETから最小車速偏差D0を減じた速度である。なお、車速偏差Dは実加速度Aに基づいて算出されるものであるから、判定車速算出部14は、実加速度Aに基づいて判定車速VTHを設定する判定車速設定手段として機能している。
目標ジャーク算出部15(目標ジャーク設定手段)は、実加速度Aに基づいて目標ジャークJを算出するものである。目標ジャークJとは、目標車速VTGT(t)を時間について二階微分したものに相当し、負の値を持つ。ここでは、実加速度Aが大きいほど、目標車速VTGT(t)が素早く設定車速VSETに接近するように、目標ジャークJの絶対値が大きく設定される。また、ここで算出される目標ジャークJの値は、実車速Vが判定車速VTH以上になった後、再び判定車速VTH以下になるまでの間は、再計算されることなく固定値(一定の値)として保持される。
本実施形態では、図3(b)に示すように、実加速度Aと目標ジャークJとの関係が予めマップ化されており、このマップに基づいて目標ジャークJが算出される。ここでは、車速偏差D,目標ジャークJ及び実加速度Aが以下の式1を満たすように、目標ジャークJの値が与えられる。
Figure 2014133511
図3(b)に示すように、目標ジャークJは、車速制限制御が開始される時点での実加速度Aに応じた絶対値を持つ負の値である。また、目標ジャークJの値は、実加速度Aが正の範囲でゼロに近づくほど、最大目標ジャークJ0に漸近するような設定とされる。なお、車速偏差Dの設定と同様に、実加速度Aが負の範囲では目標ジャークJを設定しなくてもよい。目標ジャーク算出部15は、実加速度Aに基づいて目標ジャークJを設定する目標ジャーク設定手段として機能している。
目標曲線算出部16(目標曲線設定手段)は、車速偏差算出部13で算出された車速偏差Dと、目標ジャーク算出部15で算出された目標ジャークJとに基づき、車速制限制御時の目標車速VTGT(t)を算出するものである。ここでは、目標車速VTGT(t)の値が時間経過とともに判定車速VTHから設定車速VSETへと漸近するように、目標車速VTGT(t)が時間tの関数として算出される。本実施形態では、まず、以下の式2に示す時間tの二次関数として車速の目標値WTGT(t)が算出され、この目標値WTGT(t)に基づいて目標車速VTGT(t)が算出される。
Figure 2014133511
図4(a)は、式2の関数をグラフ化したものである。このグラフは、tが0又は2(-2D/J)1/2のときに目標値WTGT(t)の値が0となる「上に凸」の放物線であり、その頂点の座標は((-2D/J)1/2,D)である。この放物線のうち、0≦t≦(-2D/J)1/2の部分が、車速制限制御時における目標車速VTGT(t)に対応する目標曲線となる。言い換えると、t=0,VTGT(t)=0に対応する点と頂点とを結ぶ曲線が目標曲線とされる。
上記の目標値WTGT(t)は、車速偏差D及び目標ジャークJが算出された時刻の速度を基準(原点)として算出されたものであり、そのままの値を実車速Vと比較することはできない。そこで、目標曲線算出部16は、以下の式3に示すような変換式を用いて、目標値WTGT(t)を車両1の実際の目標車速VTGT(t)に変換する。また、目標曲線の頂点のWTGT(t)座標がDであることから、時刻tが(-2D/J)1/2であるときの目標車速VTGT(t)の値は設定車速VSETに一致する。そこで、目標曲線算出部16は、以下の式4に示すように、時刻tが(-2D/J)1/2以降の目標車速VTGT(t)の値を設定車速VSETに固定する。目標車速VTGT(t)が設定車速VSETと同一値に固定される期間は、通常制御が開始されるまでの間とする。
Figure 2014133511
図4(b)のグラフは、図4(a)に示す目標値WTGT(t)を時間tで微分したもの〔WTGT′(t)=Jt+(-2JD)1/2〕のグラフであり、図4(c)のグラフは、これをさらに時間tで微分したもの〔WTGT″(t)=J〕のグラフである。これらの図4(a)〜(c)のグラフ中の時間軸の値tについて、t=0は、図2中の実車速Vが判定車速VTH以上になった時刻(第一時刻)に対応し、t=(-2D/J)1/2は、実車速Vが設定車速VSETに達する時刻(第二時刻)に対応する。
図4(b)のグラフから、車速制限制御の開始時点(第一時刻)での目標値WTGT(t)の変化勾配は、その時点での実加速度Aに一致することがわかる。つまり、目標車速VTGT(t)の変化勾配(すなわち、目標加速度)は、その時点での実加速度Aに一致する。また、目標車速VTGT(t)と設定車速VSETとが一致するとき(第二時刻)には、目標値WTGT(t)の変化勾配がゼロとなることがわかる。つまり、目標車速VTGT(t)が設定車速VSETに達したときの目標車速VTGT(t)の変化勾配はゼロとなる。
このように、目標曲線算出部16は、第一時刻での実車速Vの変化勾配と目標曲線の傾きとを一致させるとともに、第二時刻での目標曲線の傾きをゼロに設定するように機能する。本実施形態の車速制限制御では、この目標曲線に対応する目標車速VTGT(t)のグラフに沿って実車速Vが変化するように、フィードバック制御が実施される。ここで算出された目標車速VTGT(t)の情報は、制御部20に伝達される。
[2−2.制御部]
制御部20は、算出部10で算出された目標車速VTGT(t)と実車速Vとに基づいて、車速制限制御を実施するものである。ここには、フィードバック制御部21,ドライバー要求トルク算出部22及び車速制限用要求トルク算出部23が設けられる。
フィードバック制御部21は、実車速Vを目標車速VTGT(t)に近づけるべく制御量にフィードバックをかけながら車速制限制御を実施するものである。ここでは、たとえ運転者がアクセル開度を全開に操作したままであっても、実車速Vが設定車速VSETを超えることなく安定的に設定車速VSETに一致するように、車両1の駆動輪に作用する駆動トルクの大きさが制御される。
ここでいう駆動トルクとは、エンジン2で発生するエンジントルクを駆動輪のトルクに換算したものとブレーキ装置3で発生する制動トルクとの加算値である。フィードバック制御部21は、エンジントルク,制動トルク少なくとも何れか一方を制御することで、駆動トルクの大きさを制御するように機能する。また、目標車速VTGT(t)は、目標曲線算出部16において時間tの関数として与えられる。これを受けて、フィードバック制御部21は、時々刻々と変化する目標車速VTGT(t)に対して実車速Vを追従させるように機能する。
フィードバック制御の具体的な手法は任意であり、PID制御やカスケード制御等を適用することが考えられる。例えば、PID制御を適用する場合には、実車速Vと目標車速VTGT(t)との速度差ΔVを制御量(エンジントルクや制動トルク)に反映させるとともに、速度差ΔVの時間微分値及び積分値についても制御量に反映させればよい。フィードバック制御の具体的な手法に応じて、実車速Vが目標車速VTGT(t)にほぼ一致するまでの時間や、収束性,外乱に対する応答性等が変化する。
フィードバック制御部21におけるフィードバック制御の実施条件は、実車速Vが判定車速VTH以上であり、かつ、ドライバー要求トルクT1が車速制限用要求トルクT2以上であることとする。この条件中のドライバー要求トルクT1,車速制限用要求トルクT2は、続いて説明するドライバー要求トルク算出部22,車速制限用要求トルク算出部23で算出される。
ドライバー要求トルク算出部22は、エンジン回転速度センサー6で検出された回転速度Neとアクセル開度センサー7で検出されたアクセル開度APSとに基づき、運転者の加速要求に対応するドライバー要求トルクT1を算出するものである。ここでは例えば、回転速度Ne,アクセル開度APS及びドライバー要求トルクT1の三者の関係が規定されたマップに基づき、回転速度Ne及びアクセル開度APSを引数としてドライバー要求トルクT1の値が算出される。ここで算出されたドライバー要求トルクT1の値は、フィードバック制御部21に伝達される。
車速制限用要求トルク算出部23は、目標車速VTGT(t)と実車速Vとの速度差ΔVに基づき、実車速Vを目標車速VTGT(t)に沿って変化させるのに要する車速制限用要求トルクT2を算出するものである。車速制限用要求トルクT2の大きさは、例えば予め設定されたマップに基づき、目標車速VTGT(t)と実車速Vとの速度差ΔVが大きいほど、あるいは目標車速VTGT(t)の勾配が大きいほど、大きな値に設定される。
もしも、車速制限用要求トルクT2がドライバー要求トルクT1よりも大きければ、たとえエンジントルクがドライバー要求トルクT1に応じた大きさに制御されたとしても、実車速Vが目標車速VTGT(t)を超えることはない。一方、車速制限用要求トルクT2がドライバー要求トルクT1よりも大きいときに、エンジントルクがドライバー要求トルクT1に応じた大きさに制御されると、実車速Vが目標車速VTGT(t)を超え、ひいては設定車速VSETを大きく超える可能性が生じる。そこで、フィードバック制御部21では、ドライバー要求トルクT1が車速制限用要求トルクT2以上であることをフィードバック制御の実施条件の一つとして判定し、実車速Vが目標車速VTGT(t)を超える可能性がある場合に車両1の出力制限をかける。
[3.フローチャート]
[3−1.通常制御]
図5は、車速制限ECU9で通常制御が実施されているときの制御手順を例示するフローチャートである。ここでは、運転者によって任意に設定された設定車速VSETが予め与えられているものとする。このフローは、車両1の実車速Vが判定車速VTH未満であるときに繰り返し実施される。
ステップA10では、実車速算出部11で車両1の実車速Vが算出されるとともに、実加速度算出部12で実加速度Aが算出される。続くステップA20では、車速偏差算出部13において、実加速度Aに基づいて車速偏差Dが算出される。ここでは、例えば図3(a)に示すようなマップに基づいて、車速偏差Dが算出される。また、ステップA30では、判定車速算出部14で設定車速VSETから車速偏差Dが減算され、判定車速VTHが算出される。
ステップA40では、フィードバック制御部21において、実車速Vが判定車速VTH以上であるか否かが判定される。ここでV≧VTHが成立する場合には、車速制限制御の実施条件の一つが成立するため、ステップA50に進む。一方、V≧VTHが成立しない場合には、その実施条件が不成立となるため、本フローを終了する。この場合、次回の演算周期では制御が再びステップA10から実施され、通常制御が継続される。このように、車両1の実車速Vが判定車速VTH未満の状態では車速制限制御が不実施とされる。また、例えばエンジンECU4では、エンジン2の回転速度Neとアクセル開度APSとに基づいて、エンジントルクの大きさが制御される。
ステップA50では、目標ジャーク算出部15において、実加速度Aに基づいて目標ジャークJが算出される。ここでは、例えば図3(b)に示すようにマップに基づいて、目標ジャークJが算出される。この目標ジャークJは、目標車速VTGT(t)を時間について二階微分したものに相当し、すなわち、目標加速度の時間変化勾配に相当する。
ステップA60では、目標曲線算出部16において、車速偏差D及び目標ジャークJに基づき、目標車速VTGT(t)が算出される。ここでは、例えば式2〜式4に示すような時間tの二次関数として目標車速VTGT(t)が算出される。これにより、車速制限制御の開始時点で、目標加速度の時間変化勾配が実加速度Aに一致するとともに、目標車速VTGT(t)と設定車速VSETとが一致するときの目標加速度の時間変化勾配が0となる。また、ステップA70では、目標車速VTGT(t)の値を特定するための時間tの計測が開始され、図6に示す車速制限制御のフローへと制御が進む。
[3−2.車速制限制御]
図6は、車速制限ECU9で実施される車速制限制御の制御手順を例示するフローチャートである。このフローは、車両1の実車速Vが判定車速VTH以上であるときに繰り返し実施される。
ステップB10では、ドライバー要求トルク算出部22において、エンジン2の回転速度Neとアクセル開度APSとに基づいてドライバー要求トルクT1が算出される。ここでいうドライバー要求トルクT1をエンジンECU4で算出する制御構成としてもよい。また、ステップB20では、実車速算出部11で車両1の実車速Vが算出される。
ステップB30では、フィードバック制御部21でその時点の目標車速VTGT(t)から実車速Vが減算され、速度差ΔVが算出される。そして、ステップB40では、車速制限用要求トルク算出部23において、速度差ΔVと目標車速VTGT(t)とに基づいて車速制限用要求トルクT2が算出される。速度差ΔVは、その時点での実車速Vと目標車速VTGT(t)とのずれに相当し、車速制限用要求トルクT2は、実車速Vをその時点の目標車速VTGT(t)に変化させるのに要するトルクに相当する。
ステップB50では、ドライバー要求トルクT1が車速制限用要求トルクT2以上であるか否かが判定される。ここで、T1≧T2が成立する場合には車速制限制御の実施条件が成立するため、ステップB60に進み、エンジントルクの大きさを強制的に車速制限用要求トルクT2に変更する制御信号が車速制限ECU9からエンジンECU4に伝達される。これにより、運転者がアクセルペダルを踏み込んだままの状態であってもエンジントルクの上限値が制限されることになり、実車速Vの上昇が抑制される。
一方、ステップB50でT1≧T2が成立しない場合には、車速制限制御の実施条件が成立しないため、ステップB70に進む。このステップB70では、エンジンECU4でエンジントルクの大きさがドライバー要求トルクT1に応じて制御される。これにより、通常制御時と同様に、運転者の意思に応じた車両挙動が実現される。このとき、ドライバー要求トルクT1は車速制限用要求トルクT2未満となっているため、実車速Vがその時点の目標車速VTGT(t)を超えるようなことも回避される。
ステップB80では、フィードバック制御部21において、実車速Vが判定車速VTH以上であるか否かが判定される。ここでV≧VTHが成立する場合には、車速制限制御の実施条件の一つが引き続き成立しているため、そこままこのフローを終了する。この場合、次回の演算周期では制御が再びステップB10から実施され、車速制限制御が継続される。次回以降の演算周期では、実車速Vがその時間t(時刻)に応じた値の目標車速VTGT(t)に近づくようにフィードバック制御が実施される。
一方、ステップB80でV≧VTHが成立しない場合には、車速制限制御の実施条件の一つが不成立となり、ステップB90に進む。このステップB90で時間tの計測が終了し、目標ジャークJの値が0にリセットされた後、図5に示す通常制御のフローへと制御が進む。
[4.作用,効果]
図7(a),(b)はそれぞれ、上記の車両1で車速制限制御が実施されたときの実車速V,実加速度Aの経時変化を例示するグラフである。上記の車速制限制御では、判定車速VTHが設定車速VSETよりも低く設定され、その値は実加速度Aに応じた大きさとされる。例えば、時刻t1の実加速度AがA1であり、これに対応する車速偏差DがD1のとき、判定車速VTHは設定車速VSETよりもD0だけ低い値となる。
時刻t1に実車速Vが判定車速VTH以上になると、目標曲線算出部16で目標車速VTGT(t)が時間tの関数として算出され、図7(a)中に破線で示すような目標曲線が設定される。この目標曲線は時間tの二次関数で表現されるものであるから、これを時間tについて微分した目標加速度のグラフは、図7(b)中に破線で示すように直線状となり、すなわち目標加速度の変化勾配が一定となる。また、車速偏差Dと実加速度Aとが与えられたとき、目標ジャークJは式1を満たすように設定されるため、時刻t1での目標曲線の傾きと実加速度Aとが一致する。
ここで、目標曲線の頂点に対応する時刻をt2とおくと、時刻t2での目標車速VTGT(t)の値は、式2に示すように車速偏差Dに一致する。つまり、目標車速VTGT(t)が設定車速VSETに達する時点での目標曲線の傾きが0となる。したがって、目標車速VTGT(t)は、図7(a)中に破線で示すように、判定車速VTHから設定車速VSETに向かって滑らかに漸近するものとなる。
このような目標曲線を描く目標車速VTGT(t)が設定された後に、フィードバック制御部21では、実車速Vが目標車速VTGT(t)に一致するように駆動トルク(エンジントルク,制動トルク)の大きさが制御される。一方、駆動輪の角加速度は駆動トルクの大きさに比例する。したがって、車両1の実加速度Aは、図7(b)中に破線で示す目標加速度に追従するように変化する。
(1)上記のように、上記の車速制限制御では、時刻t1での目標曲線の傾きと実加速度Aとが一致するように実車速Vが制御される。これにより、車速制限制御の開始時における加速度変動を抑制することができ、車両走行の引っ掛かり感や加速度変動の違和感を軽減することができる。また、時刻t2での目標曲線の傾きがゼロに設定されるため、実車速Vが設定車速VSETに到達する直前での加速度変動を抑制することができる。なお、実際の実車速Vが設定車速VSETに到達する時刻と時刻t2との間の時間(遅れ時間)は、フィードバック制御の収束性に依存する。しかし、時刻t2での実車速Vと設定車速VSETとの差は僅かである。このことから、時刻t2を、実車速Vが設定車速VSETに到達する時刻であると見なしてもよい。
このように、上記の車速制限ECU9(車速制限装置)によれば、車速制限制御の前後での不自然な加速度変動を抑制しつつ、実車速Vが設定車速VSETを超えないようにすることができ、ドライブフィーリングを向上させることができる。また、制御構成が簡素であり、開発工数や実車両への適合工数を削減することができ、製品コストを安価にすることができる。
(2)また、上記の車速制限制御では、判定車速VTHと設定車速VSETとの差に相当する車速偏差Dが実加速度Aに基づいて算出されるとともに、車速抑制制御時の目標加速度の勾配に相当する目標ジャークJについても、実加速度Aに基づいて算出される。これらの車速偏差Dと目標ジャークJとに基づいて目標曲線を設定することで、実車速Vが設定車速VSETに達するまでの時間的な余裕や速度の余裕に応じた目標曲線を設定することができる。
例えば、車速偏差Dが比較的大きいときや、実車速Vが判定車速VTH以上になったときの実加速度Aが比較的小さいときには、時間的な余裕や速度の余裕が比較的大きいと考えられる。このような場合には、目標曲線の傾きをなだらかに設定することで、加速度変動をより小さくすることができる。反対に、時間的な余裕や速度の余裕が比較的小さい場合であっても、それぞれの状況に応じた目標曲線が設定されるため、実車速Vを精度よく設定車速VSET以下の範囲に抑えることができる。したがって、実車速Vの上昇抑制精度を向上させつつ、加速度変動の抑制効果を高めることができる。
(3)特に、上記の車速制限制御では、図3(b)に示すように、実加速度Aが大きいほど目標ジャークJの絶対値が大きく設定される。つまり、車速制限制御を開始した時点で車両1の加速が強いほど、目標車速VTGT(t)が設定車速VSETに到達するまでに要する時間が短めに見積もられ、その短い期間で無理なく目標加速度が0まで減少するように目標ジャークJが定められる。したがって、車両1の加速挙動に応じた適切な目標車速VTGT(t)を求めることができ、実車速Vが設定車速VSETを超えるようなオーバーシュートをより確実に抑制することができるとともに、ドライブフィーリングを向上させることができる。
また、上記の車速制限制御中には目標ジャークJが一定の値となるため、加速度を徐々に減少させることができ、実車速Vを自然に設定車速VSETへと収束させることができる。
(4)上記の車速制限制御では、式2に示すように、時間tの二次関数として車速の目標値WTGT(t)が算出され、0≦t≦(-2D/J)1/2の範囲のグラフが目標曲線として設定される。また、目標車速VTGT(t)は、式3に示すように、目標曲線のグラフ形状と同じように変化するように設定され、すなわち、目標車速VTGT(t)も時間tの二次関数で表現される。このとき、目標加速度は、図7(b)中に破線で示すように、時間の一次関数で与えられることになる。
これにより、車速制限制御を実施している間の加速度変動をほぼ一定にすることができ、車両1の実加速度Aをほぼ一定の割合で減少させながら実車速Vを制限することができる。したがって、実車速Vを適切に抑制しつつ、ドライブフィーリングをさらに向上させることができる。また、目標曲線の設定が容易であり、演算構成をさらに簡素化することができる。
(5)また、上記の車速制限制御では、実車速Vと目標車速VTGT(t)との差に基づいてフィードバック制御が実施されるため、実車速Vを急激に変化させることなく、滑らかに設定車速VSETに近づけることができ、ドライブリーリングを向上させることができる。また、例えば路面勾配の変化によって実車速Vと目標車速VTGT(t)との差が増大したような場合であっても、その制御結果を制御量に容易に反映させることができ、容易に実車速Vを目標車速VTGT(t)に近づけることができる。
(6)また、上記の車速制限制御では、ドライバー要求トルクT1が車速制限用要求トルクT2以上であることが、フィードバック制御の実施条件の一つとして判定される。これにより、ドライバーの加速意思よりも車速制限を優先的に実施することができ、実車速Vを確実に設定車速VSET以下の範囲に抑えることができる。一方、ドライバー要求トルクT1が車速制限用要求トルクT2未満のときには、このような制限がなされないため、例えばアクセルペダルの踏み込み操作が緩められた場合には、ドライバーの減速意思に応じて車両1の駆動トルクを減少させることができ、車速を低下させることができる。
[5.変形例]
上述の実施形態は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができ、上述の実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択してもよく、あるいは適宜組み合わせてもよい。
例えば、上述の実施形態では、式2,式3に示すように時間tの二次関数として目標値WTGT(t)及び目標車速VTGT(t)が設定されているが、具体的な関数の種類はこれに限定されない。すなわち、楕円や双曲線等の二次曲線の一部分として目標車速VTGT(t)を表現してもよいし、あるいは時間tの三次関数として設定してもよい。少なくとも、図7(a)中の時刻t1での破線グラフの傾きと実車速Vのグラフの傾きとが一致し、かつ、時刻t2での破線グラフの傾きがゼロになるように、目標車速VTGT(t)を設定すればよい。
また、実加速度A,車速偏差D及び目標ジャークJの対応関係は、図3(a),(b)に示すようなものに限らず、任意に設定可能である。例えば、実加速度Aの変化に対して車速偏差Dが線形に変化するような設定としてよい。目標ジャークJの設定に関しても同様である。
なお、実加速度Aが大きいほど、設定車速VSETを超えやすくなると考えられるため、実加速度Aが増大するに連れて車速偏差Dを増大させることが好ましい。このような設定により、実車速Vが設定車速VSETを超える可能性が高い(車速制限の緊急度が高い)ほど、車速制限を早めに実施する(開始時刻を早める)ことができる。同様に、実加速度Aが大きいほど、目標ジャークJの絶対値を増大させることが好ましい。これにより、実車速Vが設定車速VSETを超える可能性が高い(車速制限の緊急度が高い)ほど、車速制限を強める(目標加速度の減少勾配を大きくする)ことができる。
また、上述の実施形態では、駆動トルク(エンジントルク,制動トルク)の大きさをフィードバック制御の制御対象としたものを示したが、制御対象はこれらに限定されない。少なくとも、車両1の実車速Vを増減させるものであればよい。なお、フィードバック制御の代わりにフィードフォワード制御を実施するような制御構成とすることも可能である。
また、上述の実施形態では、実車速Vとアクセル開度APSとを車速制限制御の実施条件としたものを例示したが、具体的な車速制限制御の開始条件や終了条件はこれらに限定されない。車速制限制御は、少なくとも車両の実車速が設定車速を超えないように、実車速を制御するものであればよい。
また、上述の実施形態ではエンジン2を搭載した車両1の車速制限制御について詳述したが、この車速制限制御は、エンジン2の代わりに電動機を搭載した電気自動車や、エンジン2及び電動機を併用して走行するハイブリッド自動車等にも適用可能である。例えば、電気自動車に適用する場合には、電動機で発生するモータートルクや回生発電によって吸収される回生トルクの大きさをフィードバック制御の制御対象とすればよい。
9 車速制限ECU
10 算出部
14 判定車速算出部(判定車速設定手段)
15 目標ジャーク算出部(目標ジャーク設定手段)
16 目標曲線算出部(目標曲線設定手段)
20 制御部(制御手段)
V 実車速
A 実加速度
D 車速偏差
J 目標ジャーク
VSET 設定車速
VTH 判定車速
VTGT(t) 目標車速

Claims (6)

  1. 車両の実車速が設定車速を超えないように、前記実車速を制御する車速制限装置において、
    前記設定車速よりも低い判定車速から前記設定車速までの速度範囲における目標車速を時間の関数で表現したものに対応する目標曲線を設定する目標曲線設定手段と、
    前記目標曲線設定手段で設定された前記目標曲線に沿って前記実車速が変化するように、前記実車速を制御する制御手段と、を備え、
    前記目標曲線設定手段は、前記実車速が前記判定車速以上になった第一時刻での前記実車速の変化勾配と前記第一時刻での前記目標曲線の傾きとを一致させるとともに、前記目標車速が前記設定車速に達する第二時刻での前記目標曲線の傾きをゼロに設定する
    ことを特徴とする、車速制限装置。
  2. 前記車両の実加速度に基づき、前記判定車速を設定する判定車速設定手段と、
    前記車両の実加速度に基づき、前記目標車速を時間について二階微分したものに相当する目標ジャークを設定する目標ジャーク設定手段と、を備え、
    前記目標曲線設定手段が、前記第一時刻に前記判定車速設定手段で設定された前記判定車速と前記設定車速との車速偏差と、前記目標ジャーク設定手段で設定された前記目標ジャークとに基づき、前記目標曲線を設定する
    ことを特徴とする、請求項1記載の車速制限装置。
  3. 前記目標ジャーク設定手段は、前記第一時刻における前記車両の実加速度が大きいほど、前記目標ジャークの絶対値を増大させる
    ことを特徴とする、請求項2記載の車速制限装置。
  4. 前記目標曲線設定手段が、時間の二次関数として表現される前記目標車速に対応する前記目標曲線を設定する
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の車速制限装置。
  5. 前記制御手段が、前記実車速と前記目標車速との差に基づき、前記実車速をフィードバック制御する
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の車速制限装置。
  6. 前記制御手段は、前記車両のアクセル操作量に基づいて算出されるドライバー要求トルクが、前記目標車速と前記実車速との差に基づいて算出される車速制限用要求トルク以上である場合に、前記フィードバック制御を実施する
    ことを特徴とする、請求項5記載の車速制限装置。
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