JP2014129973A - 空気調和機の制御装置および空気調和システム - Google Patents

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Abstract

【課題】それぞれが蓄熱ユニットを備える一群の空気調和機について、各空気調和機の消費電力の合計を上限電力以下に抑える。
【解決手段】制御装置(110)は、通信回線を介して複数の空気調和機に接続される。各空気調和機は、蓄熱ユニットに冷熱を蓄える蓄熱運転と、蓄熱ユニットの冷熱を利用する利用冷房運転と、蓄熱ユニットの冷熱を利用しない通常冷房運転とを行う。制御装置(110)の予測部(113)は、一日の各空気調和機の消費電力を予測する。制御装置(110)の設定部(114)は、各空気調和機の消費電力の予測値に基づき、各空気調和機が利用冷房運転を行う利用時間帯を、空気調和機毎に個別に設定する。制御装置(110)の指令部(115)は、利用時間帯を含む指令信号を各空気調和機に出力する。
【選択図】図2

Description

本発明は、蓄熱ユニットを備えた空気調和機の制御装置と、それを備えた空気調和システムに関するものである。
従来より、蓄熱ユニットを備えた空気調和機が知られている。特許文献1には、いわゆる氷蓄熱を行う空気調和機が開示されている。この空気調和機の蓄熱ユニットは、水が蓄熱媒体として貯留された蓄熱タンクを備えている。この空気調和機は、夜間に蓄熱タンク内の水を凍結させて蓄熱ユニットに冷熱を蓄える蓄熱運転と、昼間に蓄熱ユニットの冷熱を利用して室内を冷房する利用冷房運転と、蓄熱ユニットの冷熱は利用せずに冷凍サイクルによって得られた冷熱だけで室内を冷房する通常冷房運転とを行う。この空気調和機は、真夏でも朝晩のような冷房負荷の比較的低い時間帯には通常冷房運転を行う一方、真夏の昼間のような冷房負荷の高い時間帯は利用冷房運転を行う。その結果、空気調和機の消費電力の最大値が低く抑えられる。
特開2005−337664号公報
ここで、蓄熱ユニットを備えた空気調和機の設置場所を確保し易くする観点からは、蓄熱ユニットの大きさはなるべく小さい方が望ましい。ところが、蓄熱ユニットを小型化すると、蓄熱ユニットに蓄えられる冷熱の量が少なくなり、その結果、冷房負荷の高い時間帯の一部でしか利用冷房運転を実行できなくなって消費電力の最大値を抑えられない可能性がある。
一方、例えばオフィスビル等の建物には、蓄熱ユニットを備えた空気調和機が複数台設置される場合がある。この場合、各空気調和機は、同じ時間帯に利用冷房運転を行うのが通常である。このため、各空気調和機に小型の蓄熱ユニットを設けた場合は、全ての空気調和機において冷房負荷の高い時間帯の一部でしか利用冷房運転が行われず、その結果、建物全体の消費電力の最大値を低下させることができなくなるおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ビル等に設置された一群の空気調和機について、それぞれが冷房負荷の高い時間帯の一部でしか利用冷房運転を行えない程度の小型の蓄熱ユニットを備える場合でも、各空気調和機の合計の消費電力の最大値を低下させることにある。
第1の発明は、蓄熱媒体を有する蓄熱ユニット(70)をそれぞれが備え、上記蓄熱ユニット(70)の蓄熱媒体を冷却する蓄熱運転と、上記蓄熱ユニット(70)が蓄える冷熱を利用して室内を冷房する利用冷房運転と、上記蓄熱ユニット(70)が蓄える冷熱を利用せずに室内を冷房する通常冷房運転とをそれぞれが実行可能である複数の空気調和機(10)の運転を制御する制御装置を対象とする。そして、一日の各時間帯の上記空気調和機(10)の消費電力を、上記複数の空気調和機(10)のそれぞれについて個別に予測する予測部(113)と、上記予測部(113)が予測した上記各空気調和機(10)の消費電力に基づいて、全ての上記空気調和機(10)の消費電力の合計が所定の上限電力以下に保たれるように、上記各空気調和機(10)が上記利用冷房運転を行う時間帯である利用時間帯を、上記複数の空気調和機(10)のそれぞれについて個別に設定する設定部(114)と、上記各空気調和機(10)が該空気調和機(10)について設定された上記利用時間帯に上記利用冷房運転を行うように、上記複数の空気調和機(10)のそれぞれに対して個別に指令信号を出力する指令部(115)とを備えるものである。
第1の発明の制御装置(110)は、それぞれが蓄熱ユニット(70)を備えた複数の空気調和機(10)の運転を制御する。制御装置(110)によって制御される複数の空気調和機(10)について、それぞれの設置場所や、それぞれが空気調和を行う部屋の用途は、必ずしも一致しない。このため、一日の各時間帯において、各空気調和機(10)の消費電力は必ずしも一致しない。そこで、制御装置(110)の予測部(113)は、複数の空気調和機(10)のそれぞれについて、一日の各時間帯毎の消費電力を予測する。設定部(114)は、各空気調和機(10)の消費電力の予測値を考慮して、全ての空気調和機(10)の消費電力の合計が所定の上限電力以下に保たれるように、空気調和機(10)毎に利用時間帯を個別に設定する。指令部(115)は、全ての空気調和機(10)がそれぞれについて設定された利用時間帯に利用冷房運転を行うように、各空気調和機(10)に対して指令信号を出力する。例えば夏季において、指令信号を受信した各空気調和機(10)は、それぞれについて設定部(114)が設定した利用時間帯に利用冷房運転を行い、それ以外の時間帯には冷房運転を行うか停止する。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記予測部(113)は、一日の各時間帯の気温の予測値を少なくとも含む気象予測データと、過去の上記各空気調和機(10)の運転状態を示す運転実績データとに基づいて、上記各空気調和機(10)の消費電力を予測するものである。
第2の発明の制御装置(110)において、予測部(113)は、気象予測データと運転実績データとを考慮して、各空気調和機(10)の消費電力を予測する。一般に、気温が上昇すると、それに伴って室内の冷房負荷が増大する。また、例えば、在室者の変動の少ないオフィスと、在室者が時間帯によって大幅に変動する店舗とでは、一日における冷房負荷の変化の様子が大きく異なる。そこで、この発明の予測部(113)は、一日の各時間帯における室内の冷房負荷に大きな影響を与える因子を含んだ気象予測データおよび運転実績データを考慮して、各空気調和機(10)の消費電力を予測する。
第3の発明は、蓄熱媒体を有する蓄熱ユニット(70)をそれぞれが備え、上記蓄熱ユニット(70)の蓄熱媒体を冷却する蓄熱運転と、上記蓄熱ユニット(70)が蓄える冷熱を利用して室内を冷房する利用冷房運転と、上記蓄熱ユニット(70)が蓄える冷熱を利用せずに室内を冷房する通常冷房運転とをそれぞれが実行可能である複数の空気調和機(10)と、上記複数の空気調和機(10)の運転を制御する制御装置(110)とを備えた空気調和システムを対象とする。そして、上記制御装置(110)は、一日の各時間帯の上記空気調和機(10)の消費電力を、上記複数の空気調和機(10)のそれぞれについて個別に予測する予測部(113)と、上記予測部(113)が予測した上記各空気調和機(10)の消費電力に基づいて、全ての上記空気調和機(10)の消費電力の合計が所定の上限電力以下に保たれるように、上記各空気調和機(10)が上記利用冷房運転を行う時間帯である利用時間帯を、上記複数の空気調和機(10)のそれぞれについて個別に設定する設定部(114)と、上記各空気調和機(10)が該空気調和機(10)について設定された上記利用時間帯に上記利用冷房運転を行うように、上記複数の空気調和機(10)のそれぞれに対して個別に指令信号を出力する指令部(115)とを備える一方、上記各空気調和機(10)は、上記上記指令信号を受信し、上記利用時間帯において該空気調和機(10)が利用冷房運転を実行するように該空気調和機(10)の運転を制御する制御器(80)を備えるものである。
第3の発明では、複数の空気調和機(10)と、それらの運転を制御する制御装置(110)とによって、空気調和システム(100)が構成される。この発明の制御装置(110)は、第1の発明の制御装置(110)と同様に構成される。この発明の各空気調和機(10)には、制御器(80)が設けられる。制御器(80)は、制御装置(110)の指令部(115)から出力された指令信号を受信し、それに基づいて空気調和機(10)の運転を制御する。例えば夏季において、指令信号を受信した各空気調和機(10)は、それぞれについて設定部(114)が設定した利用時間帯に利用冷房運転を行い、それ以外の時間帯には冷房運転を行うか停止する。
本発明の制御装置(110)において、設定部(114)は、各空気調和機(10)の消費電力の予測値を考慮して、全ての空気調和機(10)の消費電力の合計が所定の上限電力以下に保たれるように、空気調和機(10)毎に利用時間帯を個別に設定する。
ここで、各空気調和機(10)の蓄熱ユニット(70)は、各空気調和機(10)の消費電力が最大となる時間帯の一部だけで利用冷房運転を行える程度の冷熱しか蓄えられないと仮定する。この場合、各空気調和機(10)が同時に利用冷房運転を行うと、各空気調和機(10)の消費電力が最大となっているにも拘わらず全ての空気調和機(10)が通常冷房運転を行う時間帯ができてしまい、各空気調和機(10)の合計の消費電力の最大値は低下しない。
これに対し、本発明の制御装置(110)の設定部(114)は、空気調和機(10)毎に利用時間帯を個別に設定する。このため、各空気調和機(10)が利用冷房運転を行う時間帯を分散させることができ、各空気調和機(10)の利用時間帯を適切に設定すれば、全ての空気調和機(10)の消費電力の合計を所定の上限電力以下に保つことが可能となる。従って、本発明によれば、各空気調和機(10)の蓄熱ユニット(70)が冷房負荷の高い時間帯の一部でしか利用冷房運転を行えないものである場合であっても、各空気調和機(10)の利用時間帯を適切に設定することによって、全ての空気調和機(10)の消費電力の合計の最大値を上限電力以下に抑えることが可能となる。
図1は、実施形態の空気調和システムを示す概略構成図である。 図2は、実施形態の制御装置の構成を示すブロック図である。 図3は、実施形態の空気調和機の概略構成を示す配管系統図である。 図4は、実施形態の空気調和機の概略構成を示す配管系統図であって、蓄熱運転時の冷媒及び蓄熱媒体の流れを表したものである。 図5は、実施形態の空気調和機の概略構成を示す配管系統図であって、利用冷房運転時の冷媒及び蓄熱媒体の流れを表したものである。 図6は、実施形態の空気調和機の概略構成を示す配管系統図であって、通常冷房運転時の冷媒及び蓄熱媒体の流れを表したものである。 図7は、実施形態の空気調和機の概略構成を示す配管系統図であって、暖房運転時の冷媒及び蓄熱媒体の流れを表したものである。 図8は、一時間毎の各空気調和機の消費電力を示す棒グラフであって、(A)は南側に設置された空気調和機の消費電力を示し、(B)は東側に設置された空気調和機の消費電力を示し、(C)は西側に設置された空気調和機の消費電力を示し、(D)は北側に設置された空気調和機の消費電力を示す。 図9は、一時間毎の各空気調和機の消費電力を示す一覧表である。 図10は、空気調和機が利用冷房運転を行う場合の一時間毎の各空気調和機の消費電力を示す棒グラフであって、(A)は南側に設置された空気調和機の消費電力を示し、(B)は東側に設置された空気調和機の消費電力を示し、(C)は西側に設置された空気調和機の消費電力を示し、(D)は北側に設置された空気調和機の消費電力を示す。 図11は、空気調和システムの全ての空気調和機の消費電力の一時間毎の合計を示す棒グラフであって、(A)は空気調和機が利用冷房運転を行わない場合を示し、(B)は全ての空気調和機が同じ時間帯に利用冷房運転を行う場合を示し、(C)は各空気調和機が制御装置の定めた利用時間帯に利用冷房運転を行う場合を示す。 図12は、空気調和システムの全ての空気調和機の消費電力の一時間毎の合計を示す一覧表である。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本実施形態は、複数の空気調和機(10)と一つの制御装置(110)とを備えた空気調和システム(100)である。
−空気調和システムの構成−
図1に示すように、空気調和システム(100)は、複数の空気調和機(10)と、全ての空気調和機(10)の運転を制御するための一つの制御装置(110)とを備えている。複数の空気調和機(10)は、一つのビルディングに設置されている。制御装置(110)は、インターネット等の通信回線(120)を介して、制御対象となる一群の空気調和機(10)の全てと通信可能に接続されている。
各空気調和機(10)は、蓄熱ユニット(70)を一つずつ備えている。各空気調和機(10)は、蓄熱ユニット(70)の蓄熱媒体を冷却する蓄熱運転と、蓄熱ユニット(70)が蓄える冷熱を利用して室内を冷房する利用冷房運転と、蓄熱ユニット(70)が蓄える冷熱を利用せずに室内を冷房する通常通常冷房運転と、室内を暖房する暖房運転とを選択的に実行する。空気調和機(10)の構成と運転動作については、後ほど詳しく説明する。
図2に示すように、制御装置(110)は、受信部(111)と、記憶部(112)と、予測部(113)と、設定部(114)と、指令部(115)とを備えている。受信部(111)、記憶部(112)、予測部(113)、設定部(114)、及び指令部(115)は、それぞれ下記の動作を行うように構成されている。
受信部(111)は、通信回線(120)を介して気象予測データを受信する。受信部(111)が受信する気象予測データには、一日の各時間帯の気温および日射量の予測値が少なくとも含まれている。
記憶部(112)は、過去の各空気調和機(10)の運転状態を示す運転実績データを、空気調和システム(100)を構成する空気調和機(10)のそれぞれについて個別に記憶する。例えば、記憶部(112)は、前年の各日について、その日の各時間帯における各空気調和機(10)の消費電力と、その日の各時間帯における気温及び日射量とを、運転実績データとして記憶する。
予測部(113)は、一日の各時間帯毎の空気調和機(10)の消費電力を、空気調和システム(100)を構成する空気調和機(10)のそれぞれについて個別に予測する。設定部(114)は、各空気調和機(10)が利用冷房運転を行う時間帯である利用時間帯を、空気調和システム(100)を構成する空気調和機(10)のそれぞれについて個別に設定する。指令部(115)は、空気調和システム(100)を構成する空気調和機(10)のそれぞれに対し、通信回線(120)を介して指令信号を個別に出力する。なお、予測部(113)、設定部(114)、及び指令部(115)が行う動作については、後ほど詳しく説明する。
−空気調和機の構成−
図3に示すように、空気調和機(10)は、室外ユニット(20)と、2台の室内ユニット(60)と、蓄熱ユニット(70)を備えている。なお、室内ユニット(60)の台数は、単なる一例である。室外ユニット(20)及び蓄熱ユニット(70)は、ビルディングの屋上に設置されている。室内ユニット(60)は、ビルディングの屋内の例えば天井に設置されている。室外ユニット(20)と、複数の室内ユニット(60)とは、2本の連絡配管(液管(11)及びガス管(12))を介して互いに接続されている。これにより、空気調和機(10)では、冷媒が充填された冷媒回路(15)が構成される。冷媒回路(15)では、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。液管(11)及びガス管(12)は、比較的長い全長(例えば150m)を有している。
〈室外ユニット〉
室外ユニット(20)には、室外回路(21)が設けられている。室外回路(21)には、液閉鎖弁(22)とガス閉鎖弁(23)とが設けられる。液閉鎖弁(22)には、液管(11)の一端が接続され、ガス閉鎖弁(23)には、ガス管(12)の一端が接続される。
室外回路(21)には、圧縮機(24)と、室外熱交換器(25)とが接続されている。圧縮機(24)は、インバータの出力周波数を調節することで、モータの回転速度(運転周波数)が可変に構成される。室外熱交換器(25)は、例えばフィン・アンド・チューブ式の熱交換器で構成される。室外熱交換器(25)の近傍には、室外ファン(26)が設置される。室外熱交換器(25)では、室外ファン(26)が搬送する室外空気と冷媒とが熱交換する。
室外回路(21)には、四方切換弁(27)が接続されている。四方切換弁(27)は、第1から第4までのポートを有している。四方切換弁(27)では、第1ポートが圧縮機(24)の吐出側に繋がり、第2ポートがガス閉鎖弁(23)に繋がり、第3ポートが圧縮機(24)の吸入側に繋がり、第4ポートが室外熱交換器(25)のガス側端部に繋がっている。四方切換弁(27)は、第1ポートと第4ポートとが連通し且つ第2ポートと第3ポートとが連通する第1状態(図3に実線で示す状態)と、第1ポートと第2ポートとが連通し且つ第3ポートと第4ポートとが連通する第2状態(図3に破線で示す状態)とに切換可能に構成される。
室外回路(21)には、蓄熱用熱交換器(30)の第1流路(31)と、室外膨張弁(28)とが接続されている。蓄熱用熱交換器(30)は、冷媒回路(15)と接続する上記第1流路(31)と、蓄熱回路(71)と接続する第2流路(32)とを有している。第1流路(31)は、室外回路(21)において、室内ユニット(60)の室内熱交換器(62)と、室外熱交換器(25)との間に直列に接続される。室外膨張弁(28)は、室外回路(21)において、室外熱交換器(25)と第1流路(31)との間に接続される。室外膨張弁(28)は、開度が調節可能な電子膨張弁で構成される。
室外回路(21)には、第1液配管(41)と、第2液配管(42)と、バイパス配管(43)とが接続される。第1液配管(41)は、その一端が室外熱交換器(25)の液側端部に接続している。第2液配管(42)は、その一端が第1液配管(41)の他端に接続している。第2液配管(42)の他端は、液閉鎖弁(22)に接続している。第2液配管(42)には、第1開閉弁(44)が接続されている。第1開閉弁(44)は、例えば開閉自在な電磁開閉弁で構成される。バイパス配管(43)は、その一端が第1液配管(41)と第2液配管(42)の接続部に接続している。バイパス配管(43)の他端は、四方切換弁(27)の第2ポートに接続している。バイパス配管(43)には、第2開閉弁(45)が接続されている。第2開閉弁(45)は、例えば開閉自在な電磁開閉弁で構成される。
バイパス配管(43)は、第1流路(31)と圧縮機(24)の吸入側とを繋ぐバイパス流路を構成する。第2液配管(42)は、蓄熱用熱交換器(30)の第1流路(31)と液管(11)とを繋ぐ液ラインを構成する。第1開閉弁(44)及び第2開閉弁(45)は、第2液配管(42)及びバイパス配管(43)と、第1流路(31)の連通状態を切り換える流路切換機構を構成する。
第2液配管(42)には、第1開閉弁(44)の前後を繋ぐ連通管(46)(連通路)が接続されている。連通管(46)には、圧力逃がし弁(47)が接続される。圧力逃がし弁(47)は、液管(11)側の圧力が上昇すると開放され、該液管(11)側の冷媒を蓄熱用熱交換器(30)側へ放出する。
〈室内ユニット〉
各室内ユニット(60)には、室内回路(61)がそれぞれ設けられている。室内回路(61)の液側端部には、液管(11)の他端が接続され、室内回路(61)のガス側端部には、ガス管(12)の他端が接続される。室内回路(61)には、ガス側端部から液側端部に向かって順に、室内熱交換器(62)と、室内膨張弁(63)とが接続されている。室内熱交換器(62)は、例えばフィン・アンド・チューブ式の熱交換器で構成される。室内熱交換器(62)の近傍には、室内ファン(64)が設置される。室内熱交換器(62)では、室内ファン(64)が搬送する室内空気と冷媒とが熱交換する。室内膨張弁(63)は、例えば開度が調節可能な電子膨張弁で構成される。
〈蓄熱ユニット〉
蓄熱ユニット(70)には、流動性を有する蓄熱媒体が充填される蓄熱回路(71)の一部が設けられる。蓄熱回路(71)には、蓄熱媒体が貯留されるタンク(72)と、蓄熱媒体を搬送するポンプ(73)と、蓄熱用熱交換器(30)の第2流路(32)とが接続される。タンク(72)は、中空の密閉型に構成され、室外ユニット(20)の近傍に設置される。タンク(72)には、蓄熱回路(71)の流出管(74)と、蓄熱回路(71)の流入管(75)とが接続される。流出管(74)は、タンク(72)の上部に接続し、流入管(75)は、タンク(72)の下部に接続している。ポンプ(73)は、流出管(74)に接続している。ポンプ(73)が作動すると、蓄熱回路(71)内を蓄熱媒体が循環する。蓄熱用熱交換器(30)は、第1流路(31)を流れる冷媒と、第2流路(32)を流れる蓄熱媒体とを熱交換させる。蓄熱用熱交換器(30)は、例えば2重管式の熱交換器で構成される。
本実施形態の蓄熱媒体は、臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)水溶液及びその包接水和物である。臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、0℃よりも高い所定の温度(例えば約10℃)の状態において、臭化テトラnブチルアンモニウムを中心とした水との包接水和物を含むスラリー状になる。このため、蓄熱回路(71)では、包接水和物を含む蓄熱媒体を循環させることができる。これにより、蓄熱用熱交換器(30)では、包接水和物の潜熱を利用して冷媒を冷却することができる。
〈制御器〉
各空気調和機(10)は、圧縮機(24)、ポンプ(73)、四方切換弁(27)、及び各弁(27,28,44,45,63)を制御するための制御器(80)を備えている。制御器(80)は、蓄熱運転と、利用冷房運転と、通常通常冷房運転と、暖房運転とが選択的に実行されるように、これらの機器を制御する。また、各空気調和機(10)の制御器(80)は、制御装置(110)の指令部(115)が出力した指令信号を受信する。そして、各空気調和機(10)の制御器(80)は、それの設けられた空気調和機(10)が制御装置(110)の設定部(114)により設定された利用時間帯に利用冷房運転を行うように、空気調和機(10)の運転を制御する。
−空気調和機の運転動作−
実施形態1に係る空気調和機(10)は、蓄熱運転と、利用冷房運転と、通常冷房運転と、暖房運転とを切り換えて行うように構成される。以下、各運転について説明する。
〈蓄熱運転〉
蓄熱運転では、冷媒回路(15)の冷媒によって蓄熱媒体が冷却され、蓄熱ユニット(70)に冷熱が蓄えられる。蓄熱運転では、制御器(80)によって、四方切換弁(27)が第1状態に設定され、第1開閉弁(44)が閉鎖され、第2開閉弁(45)が開放され、室外膨張弁(28)が所定開度に調節される。また、蓄熱運転では、制御器(80)によって、圧縮機(24)、室外ファン(26)、及びポンプ(73)が運転される。
図4に示すように、蓄熱ユニット(70)のポンプ(73)が運転されると、タンク(72)内の蓄熱媒体が流出管(74)へ流出し、蓄熱用熱交換器(30)の第2流路(32)を流れる。一方、冷媒回路(15)では、圧縮機(24)で圧縮された冷媒が、室外熱交換器(25)を流れる。室外熱交換器(25)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(25)で凝縮した冷媒は、室外膨張弁(28)で減圧された後、蓄熱用熱交換器(30)の第1流路(31)を流れる。蓄熱用熱交換器(30)では、蓄熱媒体が第2流路(32)を流れている。このため、第1流路(31)を流れる低圧の冷媒が、第2流路(32)の蓄熱媒体から吸熱して蒸発する。この結果、第2流路(32)を流れる蓄熱媒体は、冷媒によって冷却され、微粒子状の包接水和物を含むスラリー状に変化する。第2流路(32)で冷却された蓄熱媒体は、流入管(75)よりタンク(72)内に流入し、貯留される。また、蓄熱用熱交換器(30)の第1流路(31)で蒸発した冷媒は、バイパス配管(43)を経由して圧縮機(24)に吸入される。
〈利用冷房運転〉
利用冷房運転では、蓄熱媒体によって冷媒が冷却されながら、室内の冷房が行われる。利用冷房運転では、制御器(80)によって、四方切換弁(27)が第1状態に設定され、第1開閉弁(44)が開放され、第2開閉弁(45)が閉鎖され、室外膨張弁(28)が全開状態となる。また、利用冷房運転では、制御器(80)によって、圧縮機(24)、室外ファン(26)、及びポンプ(73)が運転される。また、室内ユニット(60)では、室内膨張弁(63)の開度が調節され、室内ファン(64)が運転される。
図5に示すように、蓄熱ユニット(70)のポンプ(73)が運転されると、タンク(72)内のスラリー状の蓄熱媒体が流出管(74)へ流出し、蓄熱用熱交換器(30)の第2流路(32)を流れる。一方、冷媒回路(15)では、圧縮機(24)で圧縮された冷媒が、室外熱交換器(25)を流れる。室外熱交換器(25)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(25)で凝縮した冷媒は、室外膨張弁(28)を通過後に蓄熱用熱交換器(30)の第1流路(31)を流れる。蓄熱用熱交換器(30)では、蓄熱媒体が第2流路(32)を流れている。このため、第1流路(31)を流れる高圧冷媒が、蓄熱媒体によって冷却される。第2流路(32)で冷媒を冷却した蓄熱媒体は、流出管(74)よりタンク(72)内に流入する。蓄熱用熱交換器(30)の第1流路(31)で冷却された過冷却状態の冷媒は、第2液配管(42)、液管(11)を経由して各室内ユニット(60)へ送られる。
室内ユニット(60)に流入した冷媒は、室内膨張弁(63)で減圧された後、室内熱交換器(62)を流れる。室内熱交換器(62)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。室内ユニット(60)は、室内熱交換器(62)において冷却された空気を室内へ吹き出す。室内熱交換器(62)で蒸発した冷媒は、ガス管(12)を経由して室外ユニット(20)へ送られ、圧縮機(24)に吸入される。
〈通常冷房運転〉
通常冷房運転では、蓄熱媒体で冷媒を冷却せずに、室内の冷房が行われる。通常通常冷房運転では、制御器(80)によって、四方切換弁(27)が第1状態に設定され、第1開閉弁(44)が開放され、第2開閉弁(45)が閉鎖され、室外膨張弁(28)が全開状態となる。また、通常冷房運転では制御器(80)によって、圧縮機(24)、室外ファン(26)が運転される一方、ポンプ(73)は停止状態となる。また、室内ユニット(60)では、室内膨張弁(63)の開度が調節され、室内ファン(64)が運転される。
図6に示すように、蓄熱ユニット(70)では、ポンプ(73)が停止状態となる。このため、蓄熱回路(71)では、蓄熱媒体が循環することはなく、蓄熱用熱交換器(30)を蓄熱媒体が流れることもない。一方、冷媒回路(15)では、圧縮機(24)で圧縮された冷媒が、室外熱交換器(25)を流れる。室外熱交換器(25)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(25)で凝縮した冷媒は、室外膨張弁(28)と蓄熱用熱交換器(30)の第1流路(31)とを順に通過する。蓄熱用熱交換器(30)では、上述のように蓄熱媒体が第2流路(32)を流れていない。このため、第1流路(31)を流れる高圧冷媒は、蓄熱媒体によって実質的に冷却されず、第1流路(31)を通過する。第1流路(31)を通過した冷媒は、第2液配管(42)、液管(11)を経由して各室内ユニット(60)へ送られる。
室内ユニット(60)に流入した冷媒は、室内膨張弁(63)で減圧された後、室内熱交換器(62)を流れる。室内熱交換器(62)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。室内ユニット(60)は、室内熱交換器(62)において冷却された空気を室内へ吹き出す。室内熱交換器(62)で蒸発した冷媒は、ガス管(12)を経由して室外ユニット(20)へ送られ、圧縮機(24)に吸入される。
〈暖房運転〉
暖房運転では、室内の暖房が行われる。暖房運転では、制御器(80)によって、四方切換弁(27)が第2状態に設定され、第1開閉弁(44)が開放され、第2開閉弁(45)が閉鎖され、室外膨張弁(28)の開度が調節される。また、暖房運転では、制御器(80)によって、圧縮機(24)、室外ファン(26)が運転される一方、ポンプ(73)は停止状態となる。また、室内ユニット(60)では、室内膨張弁(63)が全開状態となり、室内ファン(64)が運転される。
図7に示すように、蓄熱ユニット(70)では、ポンプ(73)が停止状態となる。このため、蓄熱回路(71)では、蓄熱媒体が循環することはなく、蓄熱用熱交換器(30)を蓄熱媒体が流れることもない。一方、冷媒回路(15)では、圧縮機(24)で圧縮された冷媒が、ガス管(12)を経由して各室内ユニット(60)へ送られる。室内ユニット(60)に流入した冷媒は、室内熱交換器(62)を流れる。室内熱交換器(62)では、冷媒が室内空気へ放熱して凝縮する。室内ユニット(60)は、室内熱交換器(62)において加熱された空気を室内へ吹き出す。室内熱交換器(62)で凝縮した冷媒は、室内膨張弁(63)をそのまま通過し、液管(11)を経由して室外ユニット(20)へ送られる。
室外ユニット(20)に流入した冷媒は、蓄熱用熱交換器(30)の第1流路(31)を流れる。蓄熱用熱交換器(30)では、上述のように蓄熱媒体が第2流路(32)を流れていない。このため、第1流路(31)を流れる高圧冷媒は、蓄熱媒体と実質的に熱交換せず、第1流路(31)を通過する。第1流路(31)を通過した冷媒は、室外膨張弁(28)で減圧された後、室外熱交換器(25)を流れる。室外熱交換器(25)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(25)で蒸発した冷媒は、圧縮機(24)に吸入される。
−制御装置の動作−
制御装置(110)の予測部(113)、設定部(114)、及び指令部(115)が行う動作について説明する。
なお、この説明では、ビルディングの部屋の用途がオフィスであり、ビルディングの東側と西側と南側と北側のそれぞれに空気調和機(10)が5台ずつ設置されていると仮定する。つまり、空気調和システム(100)に20台の空気調和機(10)が設けられていると仮定する。また、各空気調和機(10)の蓄熱ユニット(70)は、空気調和機(10)の消費電力を一時間当たり2kWの割合で二時間に亘って削減できるだけの冷熱を蓄えられるように、そのタンク(72)の容量が設定されていると仮定する。また、設定部(114)の上限電力が180kWに設定されていると仮定する。なお、以下に示す空気調和機(10)の消費電力は、いずれも単なる一例である。
〈予測部の動作〉
予測部(113)は、一日の一時間毎の空気調和機(10)の消費電力を、空気調和システム(100)を構成する空気調和機(10)のそれぞれについて個別に予測する。その際、予測部(113)は、受信部(111)が受信した気象予測データと、記憶部(112)が記憶する運転実績データとに基づいて、各空気調和機(10)の消費電力を予測する。
受信部(111)が受信する気象予測データには、一日における所定時間毎(例えば、一時間毎)の気温および日射量の予測値が含まれる。通常、部屋の冷房負荷は、気温が高いほど高くなり、日射量が多いほど高くなる。また、日射量が多い晴天時には、ビルディングの南側に位置する部屋と北側に位置する部屋の冷房負荷の差が大きくなる。一方、日射量の少ない曇天時には、どの方角に位置する部屋の冷房負荷も概ね等しくなる。また、部屋の冷房負荷が高いほど、その部屋を冷房する空気調和機(10)の消費電力が多くなる。そこで、予測部(113)は、各空気調和機(10)の一時間毎の消費電力を予測する際に、所定時間毎の気温および日射量の予測値を含む気象予測データを考慮する。
記憶部(112)が記憶する運転実績データには、例えば、前年の各日の各時間帯における各空気調和機(10)の消費電力と、その日の各時間帯における気温及び日射量とが含まれる。例えば、ある日の部屋の冷房負荷を予測する際には、前年の同時期に空気調和機(10)が発揮していた冷房能力が参考になる。また、ビルディングの部屋の用途がオフィスであるため、平日には空気調和機(10)の運転時間が長く、休日は空気調和機(10)の運転時間が短くなる。従って、過去の各曜日毎の空気調和機(10)の運転状態も、ある日の部屋の冷房負荷を予測する際に参考となる。また、部屋の冷房負荷が高いほど、その部屋を冷房する空気調和機(10)の消費電力が多くなる。そこで、予測部(113)は、各空気調和機(10)の一時間毎の消費電力を予測する際に、記憶部(112)が記憶する運転実績データを考慮する。
予測部(113)において得られた一時間毎の空気調和機(10)の消費電力の予測値の一例を、図8及び図9に示す。図8(A)に示すように、南側に設置された空気調和機(10)については、11時から12時までの時間帯と13時から15時までの時間帯とに部屋の冷房負荷が最大になるため、この時間帯に空気調和機(10)の消費電力が最大値(10kW)となる。図8(B)に示すように、東側に設置された空気調和機(10)については、10時から12時までの時間帯と13時から14時までの時間帯とに部屋の冷房負荷が最大になるため、この時間帯に空気調和機(10)の消費電力が最大値(10kW)となる。図8(C)に示すように、西側に設置された空気調和機(10)については、13時から16時までの時間帯に部屋の冷房負荷が最大になるため、この時間帯に空気調和機(10)の消費電力が最大値(10kW)となる。図8(D)に示すように、北側に設置された空気調和機(10)については、11時から12時までの時間帯と13時から15時までの時間帯とに部屋の冷房負荷が最大になるため、この時間帯に空気調和機(10)の消費電力が最大値(9kW)となる。なお、この例では、ビルディングの部屋の用途がオフィスであるため、オフィスが昼休みとなる12時から13時の時間帯には、各空気調和機(10)の消費電力が低くなる。
このように、予測部(113)は、一時間毎の空気調和機(10)の消費電力の予測値を、空気調和システム(100)を構成する空気調和機(10)のそれぞれについて個別に算出する。そして、予測部(113)は、算出した予測値を設定部(114)へ出力する。
〈設定部の動作〉
設定部(114)は、予測部(113)が予測した各空気調和機(10)の消費電力に基づいて、各空気調和機(10)が利用冷房運転を行う時間帯である利用時間帯を、空気調和システム(100)を構成する空気調和機(10)のそれぞれについて個別に設定する。その際、設定部(114)は、空気調和システム(100)を構成する空気調和機(10)の消費電力の合計が所定の上限電力以下に保たれるように、各空気調和機(10)の利用時間帯を設定する。
ここでは、設定部(114)が各空気調和機(10)の利用時間帯を設定する動作について、予測部(113)が各空気調和機(10)について図8及び図9に示すような消費電力の予測値を算出した場合を例に説明する。
上述したように、ビルディングには、その東側と西側と南側と北側のそれぞれに空気調和機(10)が5台ずつ設置されている。このため、仮に各空気調和機(10)が利用冷房運転を行わずに通常冷房運転だけを行ったとすると、空気調和システム(100)を構成する20台の空気調和機(10)の消費電力の合計は、図11(A)及び図12に示すようになる。つまり、全ての空気調和機(10)の消費電力の合計は、13時から14時までの時間帯において最大値(195kW)となる。
また、図8に示すように、各空気調和機(10)の消費電力は、3時間に亘って最大値となる。ところが、各空気調和機(10)の蓄熱ユニット(70)が蓄えられる冷熱の量は、空気調和機(10)の消費電力を一時間当たり2kWの割合で二時間に亘って削減できるだけの量しかない。このため、仮に全ての空気調和機(10)が11時から12時までの時間帯と12時から13時までの時間帯とにおいて利用冷房運転を行ったとすると、空気調和システム(100)を構成する20台の空気調和機(10)の消費電力の合計は、図11(B)及び図12に示すようになる。
つまり、全ての空気調和機(10)の消費電力の合計は、各空気調和機(10)が利用冷房運転を行う11時から12時までの時間帯と12時から13時までの時間帯とにおいて減少するが、14時から15時の時間帯は減少しない。そして、14時から15時の時間帯において、全ての空気調和機(10)の消費電力の合計は、最大値(192.5kW)となる。つまり、この場合には、空気調和機(10)が利用冷房運転を行ったにも拘わらず、全ての空気調和機(10)の消費電力の合計は、空気調和機(10)が利用冷房運転を行わなかった場合と殆ど同じになる。
そこで、設定部(114)は、一時間毎の各空気調和機(10)の消費電力の予測値に基づいて、空気調和システム(100)を構成する空気調和機(10)のそれぞれについて、利用時間帯を個別に設定する。例えば、設定部(114)は、図10に示すように、各空気調和機(10)の利用時間帯を設定する。
図10(A)に示すように、南側に設置された5台の空気調和機(10)について、制御部は、13時から15時までの時間帯を利用時間帯に設定する。この場合、南側に設置された各空気調和機(10)の消費電力の予測値は、13時から15時までの時間帯において、10kWから8kWに減少する。
図10(B)に示すように、東側に設置された5台の空気調和機(10)について、制御部は、10時から12時までの時間帯を利用時間帯に設定する。この場合、東側に設置された各空気調和機(10)の消費電力の予測値は、10時から12時までの時間帯において、10kWから8kWに減少する。
図10(C)に示すように、西側に設置された5台の空気調和機(10)について、制御部は、14時から16時までの時間帯を利用時間帯に設定する。この場合、西側に設置された各空気調和機(10)の消費電力の予測値は、14時から16時までの時間帯において、10kWから8kWに減少する。
図10(D)に示すように、北側に設置された5台の空気調和機(10)について、制御部は、11時から12時までの時間帯と、13時から14時までの時間帯とを利用時間帯に設定する。この場合、西側に設置された各空気調和機(10)の消費電力の予測値は、11時から12時までの時間帯と、13時から14時までの時間帯とにおいて、9kWから7kWに減少する。
各空気調和機(10)が図10に示す利用時間帯に利用冷房運転を行ったとすると、空気調和システム(100)を構成する20台の空気調和機(10)の消費電力の合計は、図11(C)及び図12に示すようになる。つまり、全ての空気調和機(10)の消費電力の合計は、11時から16時の時間帯において殆ど一定となり、12時から13時までの時間帯において最大値(177.5kW)となる。従って、各空気調和機(10)が図10に示す利用時間帯に利用冷房運転を行えば、全ての空気調和機(10)の消費電力の合計の最大値は、上限電力(本実施形態では180kW)以下となる。そこで、設定部(114)は、図10に示すように設定した各空気調和機(10)の利用時間帯を、指令部(115)へ出力する。
指令部(115)は、設定部(114)によって設定された利用時間帯を含む指令信号を、各空気調和機(10)に対して出力する。つまり、指令部(115)は、各空気調和機(10)に対して、その空気調和機(10)について設定部(114)が設定した利用時間帯を含む指令信号を出力する。
南側に設置された各空気調和機(10)に対して指令部(115)が出力する指令信号には、13時から15時までの時間帯を利用時間帯とする旨の情報が含まれる。東側に設置された各空気調和機(10)に対して指令部(115)が出力する指令信号には、10時から12時までの時間帯を利用時間帯とする旨の情報が含まれる。西側に設置された各空気調和機(10)に対して指令部(115)が出力する指令信号には、14時から16時までの時間帯を利用時間帯とする旨の情報が含まれる。北側に設置された各空気調和機(10)に対して指令部(115)が出力する指令信号には、11時から12時までの時間帯および13時から14時までの時間帯を利用時間帯とする旨の情報が含まれる。
指令部(115)から出力された指令信号は、各空気調和機(10)の制御器(80)へ入力される。そして、各制御器(80)は、その制御器(80)の設けられた空気調和機(10)が指令信号に含まれる利用時間帯に利用冷房運転を行うように、空気調和機(10)の運転を制御する。8時から22時の時間帯において、南側に設置された各空気調和機(10)は、13時から15時までの時間帯に利用冷房運転を行い、残りの時間帯に通常冷房運転を行う。また、8時から22時の時間帯において、東側に設置された各空気調和機(10)は、10時から12時までの時間帯に利用冷房運転を行い、残りの時間帯に通常冷房運転を行う。また、8時から22時の時間帯において、西側に設置された各空気調和機(10)は、14時から16時までの時間帯に利用冷房運転を行い、残りの時間帯に通常冷房運転を行う。また、8時から22時の時間帯において、北側に設置された各空気調和機(10)は、11時から12時までの時間帯および13時から14時の時間帯に利用冷房運転を行い、残りの時間帯に通常冷房運転を行う。
そして、各空気調和機(10)がそれぞれについて設定された利用時間帯に利用冷房運転を行うことによって、空気調和システム(100)を構成する20台の空気調和機(10)の実際の消費電力の合計が、上限電力である180kW以下に抑えられる。
−実施形態の効果−
本実施形態の制御装置(110)において、設定部(114)は、各空気調和機(10)の消費電力の予測値を考慮して、全ての空気調和機(10)の消費電力の合計が所定の上限電力以下に保たれるように、空気調和機(10)毎に利用時間帯を個別に設定する。
ここで、本実施形態の各空気調和機(10)の蓄熱ユニット(70)は、各空気調和機(10)の消費電力が最大となる時間帯の一部だけで利用冷房運転を行える程度の冷熱しか蓄えられない。この場合、各空気調和機(10)が同時に利用冷房運転を行うと、各空気調和機(10)の消費電力が最大となっているにも拘わらず全ての空気調和機(10)が通常冷房運転を行う時間帯ができてしまう。このため、各空気調和機(10)が利用冷房運転を行ったにも拘わらず、各空気調和機(10)の合計の消費電力の最大値は、各空気調和機(10)が利用冷房運転を行わない場合よりも僅かしか低くならない(図11(A)及び(B)を参照)。
これに対し、本実施形態の制御装置(110)の設定部(114)は、空気調和機(10)毎に利用時間帯を個別に設定する。このため、各空気調和機(10)が利用冷房運転を行う時間帯を分散させることができ、各空気調和機(10)の利用時間帯を適切に設定すれば、全ての空気調和機(10)の消費電力の合計を所定の上限電力以下に保つことが可能となる(図11(C)を参照)。従って、本実施形態によれば、各空気調和機(10)の蓄熱ユニット(70)が冷房負荷の高い時間帯の一部でしか利用冷房運転を行えないものである場合であっても、各空気調和機(10)の利用時間帯を適切に設定することによって、全ての空気調和機(10)の消費電力の合計の最大値を低下させることが可能となる。
以上説明したように、本発明は、蓄熱ユニットを備えた空気調和機の制御装置と、それを備えた空気調和システムについて有用である。
10 空気調和機
70 蓄熱ユニット
80 制御器
100 空気調和システム
110 制御装置
113 予測部
114 設定部
115 指令部

Claims (3)

  1. 蓄熱媒体を有する蓄熱ユニット(70)をそれぞれが備え、上記蓄熱ユニット(70)の蓄熱媒体を冷却する蓄熱運転と、上記蓄熱ユニット(70)が蓄える冷熱を利用して室内を冷房する利用冷房運転と、上記蓄熱ユニット(70)が蓄える冷熱を利用せずに室内を冷房する通常冷房運転とをそれぞれが実行可能である複数の空気調和機(10)の運転を制御する制御装置であって、
    一日の各時間帯の上記空気調和機(10)の消費電力を、上記複数の空気調和機(10)のそれぞれについて個別に予測する予測部(113)と、
    上記予測部(113)が予測した上記各空気調和機(10)の消費電力に基づいて、全ての上記空気調和機(10)の消費電力の合計が所定の上限電力以下に保たれるように、上記各空気調和機(10)が上記利用冷房運転を行う時間帯である利用時間帯を、上記複数の空気調和機(10)のそれぞれについて個別に設定する設定部(114)と、
    上記各空気調和機(10)が該空気調和機(10)について設定された上記利用時間帯に上記利用冷房運転を行うように、上記複数の空気調和機(10)のそれぞれに対して個別に指令信号を出力する指令部(115)とを備えている
    ことを特徴とする制御装置。
  2. 請求項1において、
    上記予測部(113)は、一日の各時間帯の気温の予測値を少なくとも含む気象予測データと、過去の上記各空気調和機(10)の運転状態を示す運転実績データとに基づいて、上記各空気調和機(10)の消費電力を予測する
    ことを特徴とする制御装置。
  3. 蓄熱媒体を有する蓄熱ユニット(70)をそれぞれが備え、上記蓄熱ユニット(70)の蓄熱媒体を冷却する蓄熱運転と、上記蓄熱ユニット(70)が蓄える冷熱を利用して室内を冷房する利用冷房運転と、上記蓄熱ユニット(70)が蓄える冷熱を利用せずに室内を冷房する通常冷房運転とをそれぞれが実行可能である複数の空気調和機(10)と、
    上記複数の空気調和機(10)の運転を制御する制御装置(110)とを備えた空気調和システムであって、
    上記制御装置(110)は、
    一日の各時間帯の上記空気調和機(10)の消費電力を、上記複数の空気調和機(10)のそれぞれについて個別に予測する予測部(113)と、
    上記予測部(113)が予測した上記各空気調和機(10)の消費電力に基づいて、全ての上記空気調和機(10)の消費電力の合計が所定の上限電力以下に保たれるように、上記各空気調和機(10)が上記利用冷房運転を行う時間帯である利用時間帯を、上記複数の空気調和機(10)のそれぞれについて個別に設定する設定部(114)と、
    上記各空気調和機(10)が該空気調和機(10)について設定された上記利用時間帯に上記利用冷房運転を行うように、上記複数の空気調和機(10)のそれぞれに対して個別に指令信号を出力する指令部(115)とを備える一方、
    上記各空気調和機(10)は、上記上記指令信号を受信し、上記利用時間帯において該空気調和機(10)が利用冷房運転を実行するように該空気調和機(10)の運転を制御する制御器(80)を備えている
    ことを特徴とする空気調和システム。
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