JP2014129758A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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浩樹 池辺
Takeshi Fukunaga
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Abstract

【課題】クランク軸内の給油通路を介した潤滑油の給油が過剰になることを抑制することができるスクロール圧縮機を提供する。
【解決手段】ケーシング10、スクロール圧縮機構部15、クランク軸17、モータ16、下方油溜め部P、給油ポンプ79、および、回転数追従構造5を備えたスクロール圧縮機1であって、以下の構成を有している。給油通路17aは、クランク軸17の内部において軸方向に伸びるように形成されている。給油ポンプ79は、クランク軸の回転数が高いほど、下方油溜め部Pの潤滑油をより多く給油通路17a内に送る。回転数追従構造5は、クランク軸17の回転数が高いほど給油流路17aの軸方向における閉鎖程度が増し、クランク軸17の回転数が低いほど給油流路17aの軸方向における開放程度が増す構造である。
【選択図】図2

Description

本発明は、スクロール圧縮機に関する。
従来より、例えば、特許文献1(特開2011−1854号公報)に記載のように、鉛直方向に伸びたクランク軸を有し、ケーシング内の底部分に潤滑油(冷凍機油)を貯留させる形式のスクロール圧縮機がある。
このスクロール圧縮機では、容積式ポンプが設けられることで、クランク軸の下端に形成された開口から、クランク軸内部を上下に伸びる給油通路を介して、クランク軸の上端に形成された開口から、上部軸受およびその周辺に対して給油する構成が採用されている。
上述のようなスクロール圧縮機においては、クランク軸の駆動回転数が高ければ高いほど摺動部分に生じる摩擦発熱が大きいため、給油ポンプからの潤滑油の給油量をクランク軸の回転数に応じて増大するように構成することが考えられる。
ところが、このようにクランク軸の回転数に応じて給油量を増大させる構成を採用すると、圧縮機構部の周りに対する潤滑油の供給量が過剰になることがあり、潤滑油の供給先の空間から冷媒流れが生じている空間に向けて潤滑油が漏れ出てしまい、スクロール圧縮機の外部に潤滑油が流出してしまうことがある。
本発明は上述した点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、クランク軸内の給油通路を介した潤滑油の給油が過剰になることを抑制することができるスクロール圧縮機を提供することにある。
本発明の第1観点に係るスクロール圧縮機は、ケーシング、圧縮機構部、クランク軸、モータ、下方油溜め部、給油ポンプ、および、回転数追従構造を備えている。圧縮機構部は、ケーシング内に収納されており、固定スクロールと、固定スクロールとの間に圧縮室を形成する可動スクロールと、を有している。クランク軸は、上部軸受部と下部軸受部に対して回転可能に連結されている。モータは、クランク軸を回転駆動させる。下方油溜め部は、ケーシング内における下部軸受部の下方の空間に設けられ、潤滑油を溜める。クランク軸は、内部において軸方向に伸びるように形成された給油通路を有している。給油ポンプは、クランク軸の回転数が高いほど、下方油溜め部の潤滑油をより多く給油通路内に送る。回転数追従構造は、クランク軸の回転数が高いほど給油流路の軸方向における閉鎖程度が増し、クランク軸の回転数が低いほど給油流路の軸方向における開放程度が増す。
このスクロール圧縮機では、クランク軸の回転数が増すほど、給油ポンプは、クランク軸の給油通路に対してより多くの潤滑油を供給しようとする。ここで、このスクロール圧縮機には、回転数追従構造が設けられているため、クランク軸の回転数が高いほど給油流路の軸方向における閉鎖程度を増すことができ、クランク軸の回転数が低いほど給油流路の軸方向における開放程度を増すことができる。
このため、クランク軸の回転数に応じて給油ポンプからの給油量が多くなった場合であっても、回転数追従構造によって潤滑油の供給量を制限することができる。これにより、供給先の空間において潤滑油が過剰になることで冷媒流れが生じている空間に向けて漏れ出してスクロール圧縮機の外部に潤滑油が流出することを抑制することができる。
本発明の第2観点に係るスクロール圧縮機は、第1観点に係るスクロール圧縮機において、回転数追従構造は、第1回転部材、弾性部材、および、第2回転部材を有して構成されている。第1回転部材は、下方油溜め部の上方であって、下方油溜め部よりも下部軸受部に近い位置もしくは上部軸受部に近い位置において、クランク軸の外周よりも径方向内側のクランク軸の内部に、クランク軸とは別体として設けられている。弾性部材は、第1回転部材が回転駆動した場合における遠心力による移動を抑制する方向に弾性力を生じさせる。第2回転部材は、第1回転部材が弾性部材の弾性力に勝って移動することに伴い、給油通路の開放程度を低減させるように移動する。
このスクロール圧縮機では、回転数追従構造が第1回転部材、第2回転部材および弾性部材を有している。このため、クランク軸の回転数が高い場合に第1回転部材に作用する遠心力が増大し、弾性部材の弾性力に打ち勝って移動することで、第2回転部材を移動させ、給油通路の開放程度を低減させることができる。これにより、簡易な構成によって、過剰な給油を抑制することが可能になる。
本発明の第3観点に係るスクロール圧縮機は、第1観点または第2観点に係るスクロール圧縮機において、クランク軸の給油通路の軸心は、クランク軸の外周に対する軸心に対して偏心している。
このスクロール圧縮機では、クランク軸の給油通路の軸心が、クランク軸の外周に対する軸心に対して偏心しているため、クランク軸の給油通路を流れる潤滑油には、遠心力が作用する。このため、クランク軸を回転させるだけで、潤滑油を当該遠心力によって容易に上方に引き上げることが可能になる。
本発明の第1観点に係るスクロール圧縮機では、「供給先の空間において潤滑油が過剰になることで冷媒流れが生じている空間に向けて漏れ出してスクロール圧縮機の外部に潤滑油が流出すること」を抑制することができる。
本発明の第2観点に係るスクロール圧縮機では、簡易な構成によって、過剰な給油を抑制することが可能になる。
本発明の第3観点に係るスクロール圧縮機では、クランク軸を回転させるだけで、潤滑油を当該遠心力によって容易に上方に引き上げることが可能になる。
本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 第1実施形態の回転数追従構造の停止時の状態を示す図1のX部分の部分拡大縦断面図である。 第1実施形態の回転数追従構造の駆動時の状態を示す図1のX部分の部分拡大縦断面図である。 第1実施形態の回転数追従構造の停止時の状態を示す上面視概略図である。 第1実施形態の回転数追従構造の駆動時の状態を示す上面視概略図である。 他の実施形態(5−1)の回転数追従構造の停止時の状態を示す縦断面図である。 他の実施形態(5−1)の回転数追従構造の駆動時の状態を示す縦断面図である。 他の実施形態(5−1)の回転数追従構造の停止時の状態を示す上面視概略図である。 他の実施形態(5−1)の回転数追従構造の駆動時の状態を示す上面視概略図である。 他の実施形態(5−2)の回転数追従構造の停止時の状態を示す縦断面図である。 他の実施形態(5−2)の回転数追従構造の駆動時の状態を示す縦断面図である。 他の実施形態(5−3)に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 他の実施形態(5−3)の回転数追従構造の停止時の状態を示す縦断面図である。 他の実施形態(5−3)の回転数追従構造の駆動時の状態を示す縦断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係るスクロール圧縮機を、図面を参照しながら説明する。
(1)第1実施形態
図1に示すスクロール圧縮機1は、高低圧ドーム型のスクロール圧縮機であり、蒸発器や、凝縮器、膨張機構などと共に冷媒回路を構成する。このスクロール圧縮機1は、冷媒回路中において、冷媒ガスを圧縮する役割を担う。
スクロール圧縮機1は、主として、縦長円筒状の密閉ドーム型の本体ケーシング10、ピン軸受部22、上部軸受部32、下部軸受部27、モータ16、容積式ポンプ79、吸入管19、吐出管20と、スクロール圧縮機構部15、上部軸受ハウジング23、駆動軸であるクランク軸17、ガスガイド71等を有して構成されている。以下、このスクロール圧縮機1の構成部品についてそれぞれ詳述していく。
(1−1)本体ケーシング
本体ケーシング10は、縦長の密閉容器であり、略円筒状の胴部ケーシング部11と、胴部ケーシング部11の上端部に気密状に溶接される椀状の上壁部12と、胴部ケーシング部11の下端部に気密状に溶接される椀状の底壁部13とを有する。そして、この本体ケーシング10には、主に、冷媒ガスを圧縮するスクロール圧縮機構部15と、スクロール圧縮機構部15の下方に配置されるモータ16とが収容されている。このスクロール圧縮機構部15とモータ16とは、本体ケーシング10内を上下方向に伸びるように配置されるクランク軸17によって連結されている。なお、スクロール圧縮機構部15とモータ16との間には、高圧空間18になっている。
(1−2)ピン軸受部
ピン軸受部22は、いわゆるすべり軸受であり、クランク軸17の上端のピン軸部17bを径方向外側から支持している。ピン軸受部22は、後述する可動スクロール26の中央近傍から軸方向下方に向けて筒状に伸びたボス部26cと、当該ボス部26cの径方向内側の内周面に嵌められたピン軸軸受メタル87と、によって構成されており、ピン軸軸受メタル87の内周面がクランク軸17のピン軸部17bの外周面に接触するように設けられている。
(1−3)上部軸受部
上部軸受部32は、いわゆるすべり軸受であり、ケーシング10内の中央よりやや上方に位置しており、クランク軸17のピン軸部17bの下方の部分を径方向外側から支持している。上部軸受部32は、後述する上部軸受上部軸受上部軸受ハウジング23の径方向内側の上部内周部分23aと、上部内周部分23aの径方向内側の内周面に嵌められた上部軸受メタル88と、よって構成されている。上部軸受メタル88の内周面は、クランク軸17のうちピン軸部17bの下方の部分の外周面に接触するように設けられている。上部軸受部32の上部軸受上部軸受上部軸受ハウジング23との関係は、後述する。
(1−4)下部軸受部
下部軸受部27は、いわゆるすべり軸受であり、ケーシング10内の下方に位置しており、クランク軸17の下方の部分を径方向外側から支持している。下部軸受部27は、下部軸受ハウジング28の径方向内側の下部内周部分28aと、下部内周部分33の径方向内側の内周面に嵌められた下部軸受メタル89と、によって構成されており、下部軸受メタル89の内周面がクランク軸17の下方の部分の外周面に接触するように設けられている。下部軸受ハウジング28は、モータ16の下方の下部空間に配設されている。この下部軸受ハウジング28は、その径方向外側端部が胴部ケーシング部11の内周部分に固定されている。
(1―5)モータ
モータ16は、主に、本体ケーシング10の内壁面に固定された環状の固定子51と、固定子51の内側に僅かな隙間(エアギャップ通路)をもって回転自在に収容された回転子52とから構成されている。
固定子51には、上方および下方に銅線が巻回されており、コイルエンド53が形成されている。固定子51のコイルエンド53の上端は、後述する上部軸受ハウジング23の上部軸受部32の下端とほぼ同じ高さ位置になるように配置されている。固定子51の外周面には、固定子51の上端面から下端面に亘って鉛直方向に伸びる溝状のコアカット部51aが、周方向に所定間隔をおいて複数個所に設けられている。そして、このコアカット部51aにより、胴部ケーシング部11の内周側と固定子51の外周側との間に上下方向に伸びるモータ冷却通路が構成されている。
回転子52は、上下方向に伸びるように胴部ケーシング部11の軸心に配置されたクランク軸17を介してスクロール圧縮機構部15の可動スクロール26に駆動連結されている。
(1−6)容積式ポンプ
クランク軸17の下端には、クランク軸17の給油通路17aに下方油溜め部Pの潤滑油を吸い上げる容積式ポンプ79が設けられている。本第1実施形態では、容積式ポンプ79としては、いわゆるトロコイドポンプが採用されている。当該トロコイドポンプでは、下方油溜め部Pの潤滑油をローターや歯車の回転運動によって容積変化させ、吸込・吐出作用を行うことで、潤滑油を吸い上げる構成となっている。
(1−7)吸入管
吸入管19は、冷媒回路の冷媒をスクロール圧縮機構部15に導くための配管であって、本体ケーシング10の上壁部12に気密状に嵌入されている。吸入管19は、ケーシング10内部の上方の空間である低圧空間29を上下方向に貫通すると共に、下端部が固定スクロール24に嵌入されている。
(1−8)吐出管
吐出管20は、本体ケーシング10内の冷媒を本体ケーシング10外に吐出させるための配管であって、本体ケーシング10の胴部ケーシング部11に気密状に嵌入されている。そして、この吐出管20の端部は、胴体ケーシング部11の内周面からさらに内側に突き出した位置となるように設けられている。
(1−9)スクロール圧縮機構部
スクロール圧縮機構部15は、図1に示すように、主に、後述する上部軸受ハウジング23の上方に密着して配置される固定スクロール24と、固定スクロール24に噛合する可動スクロール26とから構成されている。
以下、このスクロール圧縮機構部15の構成部品についてそれぞれ詳述していく。
(1−9−1)固定スクロール
固定スクロール24は、図1に示すように、平板状の鏡板24a、および、鏡板24aの下面から下方に伸びて形成された下面視が渦巻き状(インボリュート状)のラップ24bを有している。
鏡板24aは、上面側の略軸中心において軸方向に貫通した吐出口41を有している。なお、この吐出口41は、後述する圧縮室40に連通している。吐出口41は、上下方向に伸びるように形成されている。
鏡板24aの上面側において吐出口41のさらに上部には、吐出口41の上端開口部分をさらに水平方向に拡大して上方に伸びる拡大凹部42が形成されている。この拡大凹部42には、上方から塞ぐように、蓋体44が固定されている。拡大凹部42と蓋体44とによって上下方向に囲われた空間は、マフラー空間45を形成している。このマフラー空間45は、スクロール圧縮機構部15の運転音を消音させる膨張室として機能する。固定スクロール24と蓋体44との間には、図示しないガスケットを介して密着されることでシール構造が採用されている。
なお、スクロール圧縮機構部15の吐出口41から吐出された冷媒は、マフラー空間45を通過し、上部軸受ハウジング23の外周付近に形成された上下方向に貫通するように形成された連絡通路25を下方に通過して、ガスガイド71に導かれるようにして一部が分流し、特定のコアカット部51aを下方に向けて通過し、モータ16の下方周辺の空間に到達した後、別のコアカット部51a等の通路を上方に向けて通過することで、高圧空間18に送られる。また、他の一部は、遠心力によって潤滑油が分離され、ガスガイド71に設けられた孔を介して、高圧空間18に送られる。
(1−9−2)可動スクロール
可動スクロール26は、図1に示すように、鏡板26aと、鏡板26aの上面側に伸びるようにして形成された上面視が渦巻き状(インボリュート状)のラップ26bと、鏡板26aの下面側に円筒状に伸びるように形成されておりクランク軸17の上端を受けるピン軸受部22を構成するボス部26cとを有している。
可動スクロール26は、特に限定されないが、本実施形態ではインナードライブの可動スクロールを採用している。可動スクロール26のボス部26cは、クランク軸17の上端近傍を構成するピン軸部17bを、径方向外側から覆っている。このようにして、可動スクロール26とクランク軸17とは、回転自在に連結されている。
可動スクロール26の上方に伸びるラップ26bは、固定スクロール24の下方に伸びるラップ24bと、径方向に重なるようにして、上下方向から噛み合わされている。ここで、固定スクロール24のラップ24bと可動スクロール26のラップ26bとは、各接触部分の間に圧縮室40が形成されるようにして、噛み合わされている。
可動スクロール26は、自転運動が防止されるようにして、上部軸受ハウジング23の上面によって支持されている。ボス部26cには、上述のように、径方向内側に、クランク軸17の上端のピン軸部17bが挿入されている。
クランク軸17が回転駆動することで、ピン軸部17bに対して回転駆動力が伝わるように連結されているボス部26cがクランク軸17からの力の作用を受けて、可動スクロール26は、自転することなく上部軸受ハウジング23内を公転する。その際に、可動スクロール26の公転に伴って、固定スクロール24のラップ24bと可動スクロール26のラップ26bとによって形成されている圧縮室40は、回転進行方向に進みながら吐出口41との径方向の距離が短くなっていくことで、容積が中心に向かいながら収縮される。本実施形態に係るスクロール圧縮機1では、このようにして冷媒ガスを圧縮している。
また、図1に示すように、可動スクロール26の鏡板26aの板厚部分には、径方向外側に向かって伸び、内側端部がボス部26cの内側に連通し、圧縮室40よりも径方向外側近傍まで伸びた外側端部が鏡板26aの上面側に連通している給油微小通路81が形成されている。
以上の構造によって、容積式ポンプ79により加圧された潤滑油は、クランク軸17の内部を軸方向に貫通する給油通路17aを通して上昇し、可動スクロール26のボス部26cの内周面の内側の連結空間の一部であるクランク軸17上端のピン軸上方空間37を経由して、ピン軸受部22の摺動部分に供給される。具体的には、可動スクロール26のボス部26cの内周面に嵌められているピン軸軸受メタル87の内周面と、クランク軸17のピン軸部17bの外周面との間の摺動部分に対して潤滑油が供給される。また、ピン軸上方空間37に送られた潤滑油は、可動スクロール26の鏡板26aの給油微小通路81を経由して、可動スクロール26の鏡板26aと固定スクロール24の鏡板24aの間に給油される。
(1−10)上部軸受ハウジング
上部軸受ハウジング23は、その外周面において周方向の全体に亘って胴部ケーシング部11の内周面に対して圧入固定されている。これにより、胴部ケーシング部11の径方向内側と上部軸受ハウジング23の径方向外側とは、全周に亘って気密状に密着されている。このため、本体ケーシング10の内部は、上部軸受ハウジング23下方の高圧空間18と上部軸受ハウジング23上方の低圧空間29とに区画されていることになる。また、この上部軸受ハウジング23には、上端面が固定スクロール24の下端面と密着するように、固定スクロール24がボルト(図示せず)により締結固定されている。
この上部軸受ハウジング23には、上面中央において下方に凹設されたクランク室31を有している。なお、上部軸受ハウジング23の下方部分は、その外周が、下端から上方に向かうにつれて径方向長さが長くなるように形成されており、その内周が、軸方向を鉛直方向にとする筒状となるように形成されている。当該筒状となる部分は、上部軸受部32を構成する上部内周部分23aである。この上部内周部分23aは、その径方向内側に嵌め込まれた軸方向を共通とする円筒状の上部軸受メタル88と共に、上部軸受部32を構成している。この上部軸受メタル88の内周面が、クランク軸17のピン軸部17bの下方の部分を径方向外側から回転自在に支持している。
また、上部軸受ハウジング23には、クランク室31の下端近傍から外周面に通じるように径方向外側に伸びた径方向油通路(図示せず)が形成されている。クランク室31内部まで供給された潤滑油は、この径方向油通路を通過し、胴部ケーシング部11と固定子51の間の隙間を下降して、本体ケーシング10の下部の下方油溜め部Pに戻される。
さらに、上部軸受ハウジング23の上面のうちクランク室31よりも径方向外側の部分には、可動スクロール26の下方のうちの内側の圧力が高い部分と、可動スクロール26の下方のうち外側の圧力が低い部分との間をシールして、クランク室31内部の高圧を保つために、環状のシール部材86が設けられている。
(1−11)その他
また、スクロール圧縮機構部15の吐出口41から吐出された冷媒は、上述のように、マフラー空間45を通過して、一部が、特定のコアカット部51aを下方に向けて通過し、モータ16の下方周辺の空間に到達した後、別のコアカット部51a等の通路を上方に向けて通過することで、高圧空間18に送られる。他の一部が、ガスガイド71の孔を通過して、高圧空間18に送られる。そして、高圧空間18に送られた冷媒ガスは、吐出管20から本体ケーシング10外に吐出される。
(1−12)クランク軸
クランク軸17は、モータ16の駆動力をスクロール圧縮機構部15へ伝達する駆動軸であり、クランク軸17の内部には、クランク軸17の軸方向に貫通して給油通路17aが形成されている。この給油通路17aの軸心と、クランク軸17の外周面における軸心とは、異なる位置となるように形成されている。すなわち、給油通路17aの軸心は、クランク軸17の外周に対する軸心に対して偏心している。これにより、クランク軸17が回転した際に、給油通路17a内の潤滑油には遠心力が作用するため、上方に供給される。
クランク軸17は、上部軸受ハウジング23の上部軸受部32および下部軸受ハウジング28の下部軸受部27によって本体ケーシング10内部に回転自在に支持されている。クランク軸17の中間部分は、モータ16の回転子52に同心状に連結されている。
また、クランク軸17の上端のピン軸部17bは、クランク軸17の中間部分から偏心するように設けられている。このピン軸部17bは、可動スクロール26のボス部26cの内周空間に挿入されているため、クランク軸17がモータ16の駆動力により回転することにより、可動スクロール26を公転運動させることが可能である。
また、クランク軸17のピン軸部17bの内部には、給油通路17aの途中から径方向外側に向けて分岐して伸び出し、外部のピン軸軸受メタル87の内周面の手前まで連通しているピン軸受給油横穴17cが形成されている。潤滑油は、このピン軸受給油横穴17cを介して、可動スクロール26のボス部26cの内側に設けられたピン軸軸受メタル87の内周面とピン軸部17bの外周面との間の摺動部分に供給される。
なお、クランク軸17のうち下部軸受部27によって支持されている部分には、給油通路17aの途中から径方向外側に向けて分岐して伸び出し、外部の下部軸受メタル89の内周面の手前まで貫通するように伸びた下部軸受給油横穴17dが形成されている。下部軸受部27の下部軸受メタル89の内周面とクランク軸17の下端近傍の外周面との間の摺動部分には、この下部軸受給油横穴17dを介して給油が行われる。
また、クランク軸17のうち上部軸受部32によって支持されている部分には、給油通路17aの途中から径方向外側に向けて分岐して伸び出し、外部の上部軸受メタル88の内周面の手前まで貫通するように伸びた上部軸受給油横穴17eが形成されている。上部軸受部32の上部軸受メタル88の内周面とクランク軸17のピン軸部17bの下方の外周面との間の摺動部分には、この上部軸受給油横穴17eを介して給油が行われる。
なお、ピン軸部17bの下方の上方軸受34の上方部分には、運転時におけるクランク軸17の回転数が低い低速回転状態よりも、回転数が高い高速回転状態の方が、給油通路17aの開放程度が下がることで、潤滑油の上方への流れを抑制させるための、回転数追従構造5が採用されている(図2参照)。回転数追従構造5の詳細構成については、後述する。
図1に示すように、可動スクロール26のボス部26c内部には、クランク軸17先端のピン軸部17bの上端面と可動スクロール26の鏡板26aの下面との間の空間であるピン軸上方空間37と、クランク軸17先端のピン軸部17bの外周面と可動スクロール26のボス部26cの内側に設けられたピン軸軸受メタル87の内周面との間の空間であるピン軸周方向空間38(クランク室31の一部)と、がそれぞれ形成されている。そして、クランク軸17内部の給油通路17aを介して供給される潤滑油の一部は、ピン軸上方空間37、上述の給油微小通路81を介して、可動スクロール26と固定スクロール24との間に供給される。なお、ピン軸周方向空間38は、径方向の数十ミクロン程度の幅が上下方向に伸びるようにして形成されている。
(1−13)ガスガイド
ガスガイド71は、図1に示すように、上部軸受ハウジング23の径方向外側の下方であって、モータ16の上方の空間に配置され、胴体ケーシング部11に対して固定され、胴体ケーシング部11の内周面との間で流路を形成させる金属薄板状の部材である。
このガスガイド71は、上部軸受ハウジング23に形成された上下方向に貫通する連絡通路25を通過したガス冷媒の一部を分離させて、固定子51の外周面と胴部ケーシング部11内周面との間を通過するように導く。他の一部の冷媒は、ガスガイド71の図示しない孔を通過して、高圧空間18に送られる。
(2)回転数追従構造の詳細構成
図1のX部分の部分拡大断面図である図2に示すように、回転数追従構造5は、クランク軸17の内部の給油通路17aの途中に、ピン軸部17bのピン軸受給油横穴17cの下方であって、上部軸受部32の上方の高さ位置に形成された給油量調整空間60と、当該給油量調整空間60の内部に配置された第1回転部材90と、当該給油量調整空間60内の第1回転部材90の上方に配置された第2回転部材95と、弾性部材66とを有して構成されている。
なお、図3は、図2で示す部分のクランク軸17が回転した状態での様子を示す図である。図4は、図2の状態の上面視概略構成図である。図5は、図3の状態の上面視概略構成図である。
給油量調整空間60は、図2、図3に示すように、ピン軸部17bのピン軸受給油横穴17cの下方であって、上部軸受部32の上方の高さ位置の給油通路17aの側面から径方向外側に向けて凹んだ溝によって形成される空間である。この給油量調整空間60は、径方向に広がる下端面のうち径方向外側端部から上方に向けて広がっている溝底61と、溝底61の上端部から上方に向かうにつれて径方向内側に伸びるように広がる傾斜面62と、傾斜面62の上端部から径方向内側に広がる上面63とを有している。なお、溝底61は、上面視において、クランク軸17の給油通路17aの径方向外側であって、クランク軸17の外周の内側に位置している。
第1回転部材90は、給油量調整空間60内の下端面上に配置されている。この第1回転部材90は、径方向外側を向いており給油量調整空間60の溝底61と対面している外側側面91と、外側側面91の上端部から上方に向かうにつれて径方向内側に向けて伸びるようにして広がっている第1傾斜面92を有している。この第1傾斜面92は、給油量調整空間60の傾斜面62よりも傾斜がなだらかであり、上方に向かうにつれて、傾斜面62よりもさらに径方向内側に多く伸びるように傾斜している。
弾性部材66は、第1回転部材90の外側側面91と、給油量調整空間60の溝底61とを繋いでおり、両者が近づこうとする動きに対して弾性力を生じさせて、両者を離す方向に力を作用させる。この弾性部材66の材質は、特に限定されないが、例えば、バネやゴム等の種々のものを採用することができる。
第2回転部材95は、給油量調整空間60内の第1回転部材90の上方に配置されている。この第2回転部材95は、第1回転部材90の第1傾斜面92に対して面接触している第2内側傾斜面96と、給油量調整空間60の傾斜面62に対して面接触している第2外側傾斜面97と、第2外側傾斜面97の上端部から径方向内側に向けて広がっている上面98とを有している。なお、第2回転部材95の径方向内側は、図4、図5に示すように、クランク軸17の給油通路17aの側面に対応した円弧状の曲面となるように構成されている。
以上の構成において、クランク軸17の停止時には、第1回転部材90は、図2および図4に示すように、弾性部材66が間に介在することで、給油量調整空間60の溝底61からは径方向内側に遠く離れて位置している。なお、このクランク軸17が停止した状態では、第1回転部材90の重心は、クランク軸17の回転中心よりも外側に位置している。また、クランク軸17の停止時には、第2回転部材95は、自重によって、第1回転部材90の上面92を下方に押し、かつ、給油量調整空間60の傾斜面62を外側に押すように位置している。
また、クランク軸17の駆動時には、第1回転部材90は、クランク軸17の回転数が所定の回転数に達するまでは、弾性部材66の弾性力に打ち勝つことができず、図2、図4で示した状態を維持する。このため、第2回転部材95についても、同様に、図2、図4で示した状態を維持する。
そして、クランク軸17の回転数が所定の回転数を超えるまで増大した場合には、第1回転部材90に作用する遠心力が弾性部材66の弾性力に勝り、図3および図5に示すように、弾性部材66の弾性力とバランスする位置まで、給油量調整空間60内を径方向外側に向けて移動する。この際、第2回転部材95は、移動した第1回転部材90の上面92と第2回転部材95の第2内側傾斜面96との間でスライド移動が生じ、第2回転部材95の第2外側傾斜面97が給油量調整空間60の傾斜面97によって径方向内側に押されることで、第2回転部材95は、径方向内側の上方に向けて押し出される。
これにより、クランク軸17の給油通路17aは、第2回転部材95の径方向内側端部によって閉鎖程度が増大し、給油通路断面積が小さくなる。
(3)スクロール圧縮機の運転動作
次に、スクロール圧縮機1の運転動作について図1から図5を参照しながら簡単に説明する。
まず、モータ16の駆動が開始されると、クランク軸17が回転し、可動スクロール26が自転することなく公転運転を行う。このとき、回転数追従構造5の第1回転部材90は、遠心力が作用するが、弾性部材66の径方向内側に押される力に勝ることができず、図2、図4に示す状態を維持する。
なお、クランク軸17からの回転力を受けたスクロール圧縮機構部15では、低圧の冷媒ガスが、吸入管19を通って圧縮室40の周縁側から圧縮室40に吸引され、圧縮室40の容積変化に伴って圧縮され、高圧の冷媒ガスとなる。
この高圧の冷媒ガスは、圧縮室40の中央部から吐出口41を通ってマフラー空間45へ吐出され、その後、上部軸受ハウジング23の連絡通路25を下方に流れ、一部が分流して、胴部ケーシング部11内周面に沿って円周方向に流れて、ガスガイド71の孔を介して、高圧空間18に送られる。このとき、冷媒ガスに混入している潤滑油が分離され、下方油溜め部Pに貯留される。また、分流した冷媒ガスの他の一部は、固定子51に形成された特定のコアカット部51aを下方に向けて通過し、モータ16の下方周辺の空間に到達した後、反転し、別のコアカット部51aおよび固定子51と回転子52の間のエアギャップ通路を上方に向けて通過することで、高圧空間18に送られる。高圧空間18に送られて合流した冷媒ガスは、吐出管20を通じて本体ケーシング10外に吐出される。
そして、本体ケーシング10外に吐出された冷媒ガスは、冷媒回路を循環した後、再度吸入管19を通ってスクロール圧縮機構部15に吸入されて圧縮される。
また、スクロール圧縮機1の駆動時には、本体ケーシング10内部において、容積式ポンプ79のポンプ作用により下方油溜め部Pの潤滑油が吸い上げられることで、クランク軸17の給油通路17a、上述のように開放された回転数追従構造5、および、ピン軸受給油横穴17cを通して、ピン軸受部22の摺動部分に対する給油が行われる。それとともに、ピン軸上方空間37、可動スクロール26の板厚部分の給油微小通路81を介して、固定スクロール24と可動スクロール26の鏡板26aの間に給油することができる。
なお、クランク軸17の下部軸受部27の摺動部分への給油は、クランク軸17内部の給油通路17aから分岐した下部軸受給油横穴17dを通して適宜給油され、クランク軸17の上部軸受部32の摺動部分への給油は、クランク軸17内部の給油通路17aから分岐した上部軸受給油横穴17eを通して適宜給油される。
なお、容積式ポンプ79は、クランク軸17の回転数が増大するほどより多くの潤滑油を上方に送りだそうとする。
これに対して、スクロール圧縮機1の運転時に、クランク軸17の回転数が所定の回転数を超えるまで増大すると、第1回転部材90に作用する遠心力が、弾性部材66の径方向内側に向かう弾性力に勝り、図3、図5に示すように、弾性力とバランスする位置まで径方向外側に向けて移動する。これにより、給油通路17aのうち回転数追従構造5が設けられている部分の通過断面積が狭くなるため、容積式ポンプ79の駆動によって多くの潤滑油が供給されようとする場合であっても、ピン軸上方空間37やピン軸受給油横穴17cに対する過剰な潤滑油の供給が抑制されている。
(4)第1実施形態の特徴
第1実施形態に係るスクロール圧縮機1では、モータ16が駆動してクランク軸17が回転駆動している状態では、容積式ポンプ79が駆動することで、下方油溜め部Pに貯留されている潤滑油が、給油通路17aを通過して、上方に送り上げられることで、上方のスクロール圧縮機構部15周辺やボス部26cとピン軸部17bとの間や上方軸受34周辺等の摺動部に対して供給され、摺動部分の焼き付け等を防止することができている。
さらに、上記第1実施形態のスクロール圧縮機1では、回転数追従構造5が採用されており、モータ16の駆動が停止してクランク軸17の回転駆動も停止している状態、および、クランク軸17の回転数が所定の回転数に達していない状態では、第1回転部材90は弾性部材66の弾性力に勝ることができず、図2、図4に示すように、給油通路17aの開放程度が大きい状態で維持される。この状態では、クランク軸17の回転数が増大するほど、容積式ポンプ79による給油通路17aへ送り出す給油量が増大する。これにより、クランク軸17の回転数が増大することで摺動部分の摩擦を低減させるために必要な潤滑油の量が多くなる状態になっても、ピン軸上方空間37、ピン軸受給油横穴17c、可動スクロール26等およびその周辺の摺動部分等に対して、容積式ポンプ79が十分な量の潤滑油を供給することができる。
他方、クランク軸17の回転数がさらに増大して、所定の回転数を超えると、第1回転部材90に作用する遠心力が弾性部材66による弾性力に勝り、両力がバランス位置まで第1回転部材90が径方向外側に向けて移動する。これにより、上述したように第2回転部材95によって給油通路17aの閉鎖程度が増大するため、容積式ポンプ79による摺動部分への給油量が過剰になることが防止されている。これにより、ピン軸上方空間37や可動スクロール26等およびその周辺の摺動部分等に対して過剰に供給された潤滑油が、高圧空間18に対して漏れ出ることにより、吐出管20を介してスクロール圧縮機1の外部へ潤滑油が流出してしまうことを抑制することができる。これにより、下方油溜め部Pにおける潤滑油不足を回避することが可能になる。
(5)他の実施形態
上記第1実施形態においては、本発明の一実施形態を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して得られる実施形態も当然に含まれる。
(5−1)
上記第1実施形態では、給油通路17aの軸に対して一方向に第1回転部材90および第2回転部材95が配置されて構成されている回転数追従構造5について例に挙げて説明した。
しかし、本発明は、これに限られるものではなく、例えば、図6、図7、図8、図9に示すように、給油量調整空間260内に第1回転部材290a、第2回転部材295a、弾性部材266a、第3回転部材290b、第4回転部材295b、弾性部材266b・・・が設けられた回転数追従構造205を有するスクロール圧縮機201であってもよい(なお、図8、図9では、他の回転部材や弾性部材について簡単のために参照符号の記載を省略する。)。
このスクロール圧縮機201では、クランク軸17の停止時やクランク軸17の回転数が所定の回転数に満たない状況では、図6、図8に示すように、2つの第1回転部材290aおよび第2回転部材290bは移動することなく、給油通路17aを開放した状態となる。
また、クランク軸17の回転数が所定の回転数を超えた場合には、図7、図9に示すように、2つの第1回転部材290aおよび第3回転部材290bにそれぞれ遠心力が作用することで、弾性部材266aおよび弾性部材266bの弾性力とバランスする位置まで、径方向に互いに離れる方向に移動することで、第2回転部材295aと第4回転部材295bとが径方向に互いに近づくように移動し、給油通路17aの開放程度を低くする。
以上の構成によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができている。
しかも、このスクロール圧縮機201では、第2回転部材295aと第4回転部材295b・・・が、複数に分割されているため、給油通路17aの開放程度を変更させるための回転部材1つ当たりの移動距離を短くすることができている。これにより、クランク軸17が細い形状である等、設置スペースの確保が困難な場合であっても、当該回転数追従構造205を採用しやすくなっている。
(5−2)
上記第1、2実施形態では、回転部材の側面と給油通路17aの側面との間の通過断面積を調節させる形態を例に挙げて説明した。
しかし、本発明は、これに限られるものではなく、例えば、図10および図11に示すように、回転部材390が弾性部材366を介して給油量調整空間360内に収容されつつ固定されている回転数追従構造305を備えたスクロール圧縮機301であってもよい。
この給油量調整空間360は、給油通路17aの途中において、給油通路17aを径方向に広げるようにして形成されている。
また、回転部材390は、上下方向の幅が給油量調整空間360の上下方向の幅に対応して給油量調整空間360内で水平方向にスライド可能な形状に形成されている。この回転部材390には、上下方向に貫通した貫通孔317aが形成されている。この貫通孔317aは給油通路17aの内径に対応する、大きさとなっている。また、この回転部材390の重心は、クランク軸17が駆動していない状態であっても、クランク軸17の軸心よりも径方向外側に離れて位置しており、クランク軸17が駆動することで径方向外側に向かう遠心力が作用するように配置されている。
弾性部材366は、その一端が、クランク軸17が駆動している際に回転部材390に作用する遠心力の方向側の径方向端部に接合されている。また、弾性部材366の他端は、給油量調整空間360のうち、回転部材390と弾性部材366とが接合されている面に対向する面に接合されている。
これにより、クランク軸17が停止しているかクランク軸17の回転数が所定の回転数に達していない状況では、回転部材390に作用する遠心力が弾性部材366の弾性力に打ち勝つことが無いため、図10に示すように、回転部材390は、給油通路17aと貫通孔317aとが上下方向に連通した状態になっている。
これに対して、クランク軸17の回転数が所定の回転数を超えた場合には、回転部材390に作用する遠心力が弾性部材366の弾性力に勝り、回転部材390が径方向外側にスライド移動して、給油通路17aと貫通孔317aとの位置がずれることで、給油通路17aの開放程度を低く抑えることが可能になっている。
このため、以上の構成によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができている。
(5−3)
上記第1実施形態では、ピン軸受部22と上部軸受部32の間の高さ位置に回転数追従構造5が設けられた場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明は、これに限られるものではなく、例えば、図12、図12のY部分の部分拡大断面図である図13および図14において示すように、上方のピン軸受部22と上部軸受部32の間の高さ位置に回転数追従構造5を設ける代わりに、下部軸受部27の高さ位置において、給油量調整空間460内に第1回転部材490、第2回転部材495および弾性部材466が収容されて構成された回転数追従構造405を設けて構成されたスクロール圧縮機401であってもよい。このスクロール圧縮機401には、給油通路17aの側面から径方向外側に向けて貫通するように伸びた下部軸受給油横孔17dの下方の位置に、当該回転数追従構造405が形成されている。
このスクロール圧縮機401の回転数追従構造405は、クランク軸17が停止しているかもしくは回転数が所定の回転数に満たない状態では、図13に示すように、第1回転部材490に作用する遠心力が弾性部材466の弾性力に打ち勝つこと無く、第1回転部材490および第2回転部材495は、給油通路17aの開放程度が高い状態を維持している。
これに対して、クランク軸17の回転数が所定の回転数を超えた場合には、第1回転部材490に作用する遠心力が弾性部材466の弾性力に打ち勝って、径方向外側に向けて移動するため、第2回転部材495が給油通路17aの開放程度を小さくするように移動する。
このため、以上の構成によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができている。
なお、この他の実施形態(5−3)では、上方のピン軸受部22と上部軸受部32の間の高さ位置に回転数追従構造5を有する第1実施形態と異なり、回転数追従構造5を有することなく、下部軸受部27の高さ位置において回転数追従構造405を有しているスクロール圧縮機401を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1実施形態の回転数追従構造5と、この他の実施形態(5−3)の回転数追従構造405と、の両方を併せ持ったスクロール圧縮機についても、当然に、本発明に含まれる。
(5−4)
上記各実施形態では、クランク軸17の給油通路17aが偏心して設けられている場合を例に説明した。
しかし、本発明は、これに限られるものではなく、クランク軸17の外周と同心の給油通路を有していてもよい。
(5−5)
上記実施形態および各他の実施形態においては、クランク軸17を受ける軸受として、すべり軸受を採用した場合を例に挙げて説明した。
しかし、クランク軸17を受ける軸受としては、特に限定されるものではなく、例えば、軸受として転がり軸受等の他の種類の軸受が採用されてもよい。
(5−6)
なお、上記各実施形態を、互いに矛盾しない範囲で適当に組み合わせて得られる実施形態についても、当然に本発明に含まれる。
本発明のスクロール圧縮機では、例えば、上下方向にクランク軸が伸びており、下端部に潤滑油が貯留されているスクロール圧縮機において特に有用である。
1、201、301、401 スクロール圧縮機
5、205、305、405 回転数追従構造
10 ケーシング(本体ケーシング)
15 スクロール圧縮機構部(圧縮機構部)
16 モータ
17 クランク軸
17a 給油通路
17b ピン軸部
17c ピン軸受給油横穴(給油横穴)
18 高圧空間
22 ピン軸受部
23 上部軸受ハウジング
24 固定スクロール
26 可動スクロール
26c ボス部
27 下部軸受部
28 下部軸受ハウジング
32 上部軸受部
37 ピン軸上方空間
38 ピン軸周方向空間
40 圧縮室
60、260、360、460 給油量調整空間
66、266a、266b、366、466 弾性部材
79 容積式ポンプ
90、290a、290b、390、490 第1回転部材
95、295a、295b、395、495 第2回転部材
P 下方油溜め部
特開2011−1854号公報

Claims (3)

  1. ケーシング(10)と、
    前記ケーシング内に収納されており、固定スクロール(24)と、前記固定スクロールとの間に圧縮室を形成する可動スクロール(26)と、を有する圧縮機構部(15)と、
    上部軸受部(32)と下部軸受部(27)に対して回転可能に連結されるクランク軸(17)と、
    前記クランク軸を回転駆動させるモータ(16)と、
    前記ケーシング内における前記下部軸受部の下方の空間に設けられ、潤滑油を溜める下方油溜め部(P)と、
    を備えたスクロール圧縮機において、
    前記クランク軸の内部において軸方向に伸びるように形成された給油通路(17a)と、
    前記クランク軸の回転数が高いほど、前記下方油溜め部の潤滑油をより多く前記給油通路(17a)内に送る給油ポンプ(79)と、
    前記クランク軸の回転数が高いほど前記給油流路の軸方向における閉鎖程度が増し、前記クランク軸の回転数が低いほど前記給油流路の軸方向における開放程度が増す回転数追従構造(5、205、305、405)と、
    を備えたスクロール圧縮機(1、201、301、401)。
  2. 前記回転数追従構造は、
    前記下方油溜め部の上方であって、前記下方油溜め部よりも前記下部軸受部に近い位置もしくは前記上部軸受部に近い位置において、前記クランク軸の外周よりも径方向内側の前記クランク軸の内部に、前記クランク軸とは別体として設けられた第1回転部材(90、290a、290b、490)と、
    前記第1回転部材が回転駆動した場合における遠心力による移動を抑制する方向に弾性力を生じさせる弾性部材(66、266a、266b、466)と、
    前記第1回転部材が前記弾性部材の弾性力に勝って移動することに伴い、前記給油通路の開放程度を低減させるように移動する第2回転部材(95、295a、295b、495)と、
    を有して構成されている、
    請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記クランク軸の前記給油通路の軸心は、前記クランク軸の外周に対する軸心に対して偏心している、
    請求項1または2に記載のスクロール圧縮機。
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CN111089057A (zh) * 2018-10-24 2020-05-01 艾默生环境优化技术(苏州)有限公司 旋转机械的供油机构以及旋转机械

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