JP2014129453A - スチレン系樹脂粒子、発泡性樹脂粒子、発泡粒子、及び発泡成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スチレン系樹脂粒子は、スチレン類に由来する構成単位と、メタクリル酸メチルを主成分とするコモノマーに由来する構成単位とで構成されるスチレン系樹脂、及びグラファイトを含み、コモノマーに由来する構成単位の量が粒子全体に対して20〜40重量%であり、グラファイトの量が粒子全体に対して1〜15重量%であり、表層部の波数1730cm-1での吸光度D1730と波数1600cm-1での吸光度D1600との比A=D1730/D1600、及び中心部の波数1730cm-1での吸光度Dc1730と波数1600cm-1での吸光度Dc1600との比Bが、A>Bであり、粒子全体におけるグラファイトの含有率(重量%)X及び表層部におけるグラファイトの含有率(重量%)Yが、X≧1.1×Yである。
【選択図】なし
Description
合させて発泡性スチレン重合体粒子を製造することが記載されており、コモノマーの例として、アルキルスチレン、ジビニルスチレン、アクリロニトリル、及びα−メチルスチレンが挙げられている。また、特許文献2には、ビニル芳香族モノマー、および任意選択でコモノマーを重合することにより発泡性粒状複合材料を製造することが記載されており、コモノマーの例として、アクリロニトリル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル等が挙げられている。
本発明のスチレン系樹脂粒子は、スチレン類に由来する構成単位と、メタクリル酸メチルを主成分とするコモノマーに由来する構成単位とで構成されるスチレン系樹脂、及びグラファイトを含むスチレン系樹脂粒子であって、前記コモノマーに由来する構成単位の量が、スチレン系樹脂粒子全体に対して20〜40重量%の範囲内であり、前記グラファイトの量が、スチレン系樹脂粒子全体に対して1〜15重量%の範囲内であり、スチレン系樹脂粒子の表層部の波数1730cm-1での吸光度をD1730とし、スチレン系樹脂粒子の表層部の波数1600cm-1での吸光度をD1600とし、吸光度比A=D1730/D1600とし、スチレン系樹脂粒子の中心部の波数1730cm-1での吸光度をDc1730とし、スチレン系樹脂粒子の中心部の波数1600cm-1での吸光度をDc1600とし、吸光度比B=Dc1730/Dc1600とすると、A>Bであり、スチレン系樹脂粒子全体におけるグラファイトの含有率をX重量%とし、スチレン系樹脂粒子の表層部におけるグラファイトの含有率をY重量%とすると、X≧1.1×Yである。
上記スチレン系樹脂は、スチレン類に由来する構成単位を含んでいる。上記スチレン類は、スチレン、又はスチレン誘導体である。上記スチレン誘導体としては、1つのエチレン性不飽和基を有するスチレン誘導体であれば特に限定されず、公知のスチレン誘導体をいずれも使用できる。上記スチレン誘導体としては、例えば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン(例えば、m−ビニルトルエンとp−ビニルトルエンとの混合物)、クロロスチレン(例えば、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン等)、エチルスチレン(例えば、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン等)、イソプロピルスチレン(例えば、4−イソプロピルスチレン)、ジメチルスチレン(例えば、3,5−ジメチルスチレン、2,3−ジメチルスチレン等)、ブロモスチレン(例えば、2−ブロモスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン等)等が挙げられる。上記スチレン類として、スチレンが好ましい。これらスチレン類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記スチレン系樹脂は、スチレン類に由来する構成単位と、コモノマーに由来する構成単位とで構成される。上記スチレン系樹脂は、スチレン類及びコモノマーの共重合体であってもよく、スチレン類の単独重合体とスチレン類及びコモノマーの共重合体との混合物であってもよい。
スチレン系樹脂粒子の表層部の波数1730cm-1での吸光度をD1730とし、スチレン系樹脂粒子の表層部の波数1600cm-1での吸光度をD1600とし、吸光度比A=D1730/D1600とし、スチレン系樹脂粒子の中心部の波数1730cm-1での吸光度をDc1730とし、スチレン系樹脂粒子の中心部の波数1600cm-1での吸光度をDc1600とし、吸光度比B=Dc1730/Dc1600とすると、吸光度比A及び吸光度比BはA>Bの関係式を満たす。
上記スチレン系樹脂粒子は、前記スチレン系樹脂に加えてグラファイトを含んでいる。上記グラファイトは、輻射熱を吸収することで、上記スチレン系樹脂粒子の断熱性を向上させ、したがってスチレン系樹脂粒子に発泡剤を添加して発泡することにより得られる発泡粒子及び発泡成形体の断熱性を向上させる。
上記グラファイトの量は、スチレン系樹脂粒子全体に対して1〜15重量%の範囲内である。すなわち、スチレン系樹脂粒子全体におけるグラファイトの含有率X(重量%)は、1≦X≦15を満たす。上記グラファイトの量がスチレン系樹脂粒子全体に対して1重量%より少ない場合、上記スチレン系樹脂粒子の断熱性が悪くなり、したがってスチレン系樹脂粒子に発泡剤を添加して発泡することにより得られる発泡粒子及び発泡成形体の断熱性が悪くなる。また、上記グラファイトの量がスチレン系樹脂粒子全体に対して15重量%より多い場合、スチレン系樹脂粒子に発泡剤を添加して発泡したときの発泡性が悪くなり、したがってスチレン系樹脂粒子に発泡剤を添加して発泡することにより高い嵩倍率(例えば50倍)すなわち低い嵩密度の発泡粒子及び発泡成形体を得ることができない。さらに、上記グラファイトの量がスチレン系樹脂粒子全体に対して15重量%より多い場合、表層部にもグラファイトが多く存在することになり、スチレン系樹脂粒子及びそれに発泡剤を添加して発泡することにより得られる発泡粒子の熱融着性が悪くなる。上記グラファイトの量は、スチレン系樹脂粒子全体に対して、3〜15重量%の範囲内であることが好ましく、3〜12重量%の範囲内であることがより好ましく、5〜10重量%の範囲内であることがさらに好ましい。
上記スチレン系樹脂粒子は、スチレン系樹脂粒子の物性を損なわない範囲内において、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、滑剤、結合防止剤、融着促進剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。
上記スチレン系樹脂粒子の形状は、特に限定されないが、成形容易性の観点から、球状であることが好ましい。また、上記スチレン系樹脂粒子の粒子径は、成形型内への充填性等を考慮すると、0.3〜2.0mmであることが好ましく、0.3〜1.4mmであることがより好ましい。
スチレン系樹脂粒子の製造方法は、グラファイトをスチレン系樹脂粒子の中心部に偏在させることができ、かつメタクリル酸メチルに由来する構成単位をスチレン系樹脂粒子の表層部に偏在させることができさえすれば、特に限定されない。
上記種粒子の平均粒子径は、製造しようとするスチレン系樹脂粒子の平均粒子径等に応じて適宜調整できる。上記種粒子の平均粒子径は、製造しようとするスチレン系樹脂粒子の平均粒子径の40〜70%の範囲内とすることが好ましい。具体的には、平均粒子径が1.0mmのスチレン系樹脂粒子を製造しようとする場合には、平均粒子径が0.4〜0.7mmの範囲内である種粒子を用いることが好ましい。
上記スチレン系樹脂粒子を製造するシード重合法の吸収工程では、水性媒体中に種粒子を懸濁させ、この状態で種粒子に第2単量体成分を吸収させる。第2単量体成分の量は、種粒子100重量部に対して80〜900重量部の範囲内であることが好ましい。第2単量体成分の量が種粒子100重量部に対して80重量部未満である場合には、スチレン系樹脂粒子の中心部にグラファイトを偏在させることが難しくなることがある。その結果、スチレン系樹脂粒子及びそれに発泡剤を添加して発泡することにより得られる発泡粒子の熱融着性が低くなることがあり、したがって発泡粒子同士を融着させて得られる発泡成形体の融着性が低くなることがある。第2単量体成分の量が種粒子100重量部に対して900重量部を超えると、スチレン系樹脂粒子に発泡剤を添加して発泡したときの発泡性が低くなることがあり、したがってスチレン系樹脂粒子に発泡剤を添加して発泡することにより高い嵩倍率(例えば50倍)すなわち低い嵩密度の発泡粒子及び発泡成形体を得ることができないことがある。
本発明の発泡性樹脂粒子は、前記スチレン系樹脂粒子と、発泡剤とを含んでいる。上記発泡性樹脂粒子は、前記スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させることにより得ることができる。
本発明の発泡粒子は、前記発泡性樹脂粒子を発泡させて得られたものである。上記発泡粒子は、スチレン系樹脂粒子と同様、中心部へのグラファイトの偏在及び表層部へのメタクリル酸メチル等の偏在が維持されている。
本発明の発泡成形体は、前記発泡粒子の複数個を互いに融着させて成形することにより得られたものである。
本明細書において、スチレン系樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」と略記する)を用いて測定した、ポリスチレン(PS)換算重量平均分子量を意味する。以下の実施例・比較例では、スチレン系樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量は、以下の方法で測定を行う。
ガードカラム:東ソー株式会社製、商品名「TSKgel(登録商標) guardcolumn SuperMP(HZ)−H」(内径4.6mm×長さ2cm)×1本
リファレンス側カラム:東ソー株式会社製商品名「TSKgel(登録商標) SuperHZ 1000」(内径4.6mm×長さ15cm)×1本
試料(サンプル)側カラム:東ソー株式会社製商品名「TSKgel(登録商標) SuperMultiporeHZ−H」(内径4.6mm×長さ15cm)×2本
カラム温度:40℃
移動相:THF
試料側の移動相流量(S.PUMP):0.2mL/分
リファレンス側の移動相流量(R.PUMP):0.2mL/分
検出器:RI検出器
試料濃度:0.10重量%
試料注入量:20μL
測定時間:25分
サンプリングピッチ:200msec
検量線用標準ポリスチレン試料としては、昭和電工株式会社製、商品名「Shodex(登録商標) STANDARD」の重量平均分子量が5620000、3120000、1250000、442000、131000、54000、20000、7590、3450、及び1320である標準ポリスチレン試料を用いる。
スチレン系樹脂粒子及び発泡成形体約0.1gをNALGENE(登録商標)遠沈管(12mL用)(サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック株式会社製)に入れ、試薬(特級)トルエン5mLを加え、長さ2cm、最大径5mmの回転子を入れて蓋をし、アズワン株式会社製のマグネチックスターラー「HS−360」にて目盛り約1〜2のスピードで室温で30分程度攪拌し樹脂を溶解させる。この撹拌は、樹脂を溶解させるために実施しており、溶液が多少揺れる状態になれば良い。溶解後、株式会社久保田製作所製「ハイスピード冷却遠心機7930」にて設定温度17℃、回転数18000rpmで30分間遠心分離を行い、上澄みを除去後、再度、試薬(特級)トルエンを5mL加え、室温で30分攪拌する。さらに、先と同装置、同条件で遠心分離を行い上澄みを除去した後で、遠沈管底部の残渣をアセトンで洗浄しながら、20mlビーカーに移し室温または50〜70℃のホットプレート上で乾固させて粒子状のグラファイト(グラファイト粒子)を得る。
(1)スチレン系樹脂粒子の表層部におけるグラファイトの含有率の測定方法
スチレン系樹脂粒子の表層部におけるグラファイトの含有率をスチレン系樹脂粒子自体から測定することは困難であるため、この測定方法では、スチレン系樹脂粒子の表層部におけるグラファイトの含有率に代えてスチレン系樹脂粒子から得た発泡成形体の表層部におけるグラファイトの含有率を測定している。これは、発泡成形体の表層部が発泡粒子の表層部の連続体からなっており、かつ発泡粒子の表層部の組成がスチレン系樹脂粒子の表層部の組成を反映していることを利用している。
スチレン系樹脂粒子から、又は、発泡成形体中の発泡粒子をできるだけ発泡粒子全体を含む形で切り出した試験片から、15mgの試料を採取して精秤する。そして、この試料を用いる以外は、表層部分におけるグラファイトの含有率の測定と同様の測定を実施し、スチレン系樹脂粒子全体におけるグラファイトの含有率を算出する。
(1)スチレン系樹脂粒子の表層部における吸光度比の測定方法
スチレン系樹脂粒子の表層部における吸光度比A=D1730/D1600を次の要領で測定する。
入射角:45°±1°
測定波数領域:4000cm-1〜675cm-1
測定深度の波数依存性:補正せず
反射回数:1回
検出器:重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器及びKBrビームスプリッター
分解能:4cm-1
積算回数:32回
なお、ATR法では、試料とATR結晶との密着度合いによって測定で得られる赤外吸収スペクトルの吸光度が変化する。そのため、ATRアクセサリーである「サンダードーム」によって、「サンダードーム」で掛けられる最大荷重(クラッチ機構が働く荷重)を試料に掛けて、試料とATR結晶との密着度合いをほぼ均一にして、赤外吸収スペクトルの測定を行う。また、ATR結晶に何も接触させずに測定した赤外線吸収スペクトルをバックグラウンドの赤外線吸収スペクトルとする。
スチレン系樹脂粒子の中心部における吸光度比B=Dc1730/Dc1600を次の要領で測定する。
測定モード:ポイントATR法(Ge結晶)
測定波数領域:4000cm-1〜680cm-1
検出器:HgCdTe(MCT)検出器
分解能:8cm-1
積算回数(スキャン):32回
アパチャーのサイズ:100μm×100μm
[2]バックグランドの測定
測定モード:ポイントATR法(Ge結晶)
測定波数領域:4000cm-1〜680cm-1
検出器:HgCdTe(MCT)検出器
分解能:8cm-1
積算回数:32回
アパチャーのサイズ:100μm×100μm
なお、バックグランドの測定においては、ATR結晶に何も接触させずに測定した赤外吸収スペクトル(空気層の赤外吸収スペクトル)をバックグランドの赤外線吸収スペクトルとする。ATR法では、試料と高屈折率結晶の密着度合いによって測定で得られる赤外吸収スペクトルの強度が変化するため、装置付随のモニターモードを使用して、波数748cm-1の透過率が60%以下となり綺麗なスペクトルが得られるように、押し込みを調整する。装置の構造上、押し込みが強すぎるとスペクトルが歪んでしまうため、無理な押し込みは行わずに、得られるチャートは、波数748cm-1ピークの吸光度が0.20〜0.35Absの範囲となるようなチャートであることが望ましい。
発泡成形体(成形後、40℃で20時間以上乾燥させたもの)から切り出した試験片(例えば、75mm×300mm×35mmのサイズ)の重量(a)及び体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)により発泡成形体の嵩密度(kg/m3)を求める。
発泡成形体の加熱寸法変化率は、熱風循環式乾燥機の温度を85℃(JIS K 6767:1999では70℃±2℃)、加熱時間を7日間(JIS K 6767:1999では22時間)とすること以外はJIS K 6767:1999「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」の「7.高温時の寸法安定性」に記載のB法に従って測定する。
式中、Sは加熱寸法変化率(%)を表し、L0は初めの寸法(mm)を表し、L1は加熱後の寸法(mm)表す。
発泡性樹脂粒子を蒸気圧力0.02MPaにて1分単位で加熱し、加熱後の発泡性樹脂粒子(発泡粒子)の嵩密度を測定する。嵩密度10分間以内の加熱によって嵩密度が0.02g/cm3以下となった発泡性樹脂粒子を良好(表中では「○」で表す)とし、10分間以内の加熱後にも嵩密度が0.02g/cm3を超えている発泡性樹脂粒子を不良(表中では「×」で表す)とする。
予備発泡粒子の嵩密度(g/cm3)=測定試料の重量(W)/測定試料の体積(V)
に代入することで、予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
発泡成形体の表面にカッターナイフで深さ約5mmの切り込み線を入れる。この切れ込み線に沿って手で発泡成形体を二つに分割する。次に、発泡成形体の分割面(破断面)に面している発泡粒子について、100〜150個の任意の範囲について粒子内で破断されている発泡粒子の個数a及び破断されていない発泡粒子の個数bを数える。そして、個数a及び個数bを次式
{a/(a+b)}×100
に代入して得られた値を発泡成形体の融着率(%)とする。発泡成形体の融着率が80%以上である場合、発泡成形体中の発泡粒子同士が十分に融着した状態であり、発泡成形体の融着性が良好(表中では「○」で表す)であるものと評価する。発泡成形体の融着率が80%未満である場合、発泡成形体が実用上不可能な程度に発泡成形体の融着性が低く、発泡成形体の融着性が不良(×)であるものと評価する。
発泡成形体の熱伝導率は、英弘精機株式会社製の「熱伝導率測定装置HC−074/200(オートΛ)」を用い、JIS A 1412−2:1999「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法)」記載の方法にて測定した。
発泡成形体の耐熱性、発泡性樹脂粒子の発泡性、及び発泡成形体の融着性が良好であり、かつ発泡成形体の熱伝導率が0.032W/m・K以下である場合に、総合評価が良好(表中では「○」で表す)と評価し、それ以外の場合を総合評価が不良(表中では「×」で表す)と評価した。
(マスターバッチの製造)
スチレン換算重量平均分子量が25万であるスチレン系樹脂(スチレン単独重合体)8000gと、鱗片状グラファイト(日本黒鉛工業株式会社製、商品名「J−CPB」)2000gとを二軸押出機に供給して、230℃で溶融混練して二軸押出機から直径3mmのストランド状に押し出した。得られたストランドを長さ6mm毎に切断して、グラファイトを20重量%含有する直径3mm、長さ6mmの円柱状のスチレン系樹脂マスターバッチを作製した。
得られたスチレン系樹脂マスターバッチを二軸押出機に供給して、230℃で溶融混練して二軸押出機から直径0.5mmのストランド状に押し出した。得られたストランドを長さ1.5mm毎に切断して、グラファイトを20重量%含有する直径0.5mm、長さ1.5mmの円柱状のスチレン系樹脂種粒子を作製した。
まず、重合開始剤としてのtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート15g及びtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート3gと、連鎖移動剤としてのα−メチルスチレンダイマー2.25gとを、混合比が(スチレンの重量):(メタクリル酸メチルの重量)=11:4であるスチレンとメタクリル酸メチルとの混合モノマー140gに溶解させ、モノマー溶液を得た。
次に、別の内容量5リットルの攪拌機付重合容器に、水性媒体としての水3000gと、前記スチレン系樹脂粒子2000gと、懸濁安定剤としてのピロリン酸マグネシウム10.5gと、アニオン系界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.38gとを供給して撹拌し、分散液を得た。次いで、重合容器の内温を60℃に昇温した。
前記発泡性樹脂粒子の表面に表面処理剤としてのステアリン酸亜鉛及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドを被覆処理した。次いで、被覆処理された発泡性樹脂粒子を予備発泡装置にて嵩密度0.02g/cm3(嵩倍率50倍)に予備発泡した後、20℃で24時間熟成して予備発泡粒子(発泡粒子)を得た。
内寸が長さ400mm×幅300mm×厚さ30mmの直方体形状のキャビティを有する成形型を備えた発泡ビーズ自動成形機(株式会社積水工機製作所製、商品名「エース3型」)のキャビティ内に前記予備発泡粒子を充填し、ゲージ圧力0.07MPaの水蒸気で15秒間加熱成形を行った。次に、前記成形型のキャビティ内の発泡成形体を5秒間水冷した後、減圧下にて放冷(冷却)して、長さ400mm×幅300mm×厚さ30mmの直方体形状の発泡成形体(嵩密度0.02g/cm3、嵩倍率50倍)を得た。得られた発泡成形体は、収縮も無く、融着性の良好なものであった。
重合工程において使用する混合モノマーの混合比を(スチレンの重量):(メタクリル酸メチルの重量)=3:2に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スチレン系樹脂粒子、発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、及び発泡成形体(嵩密度0.02g/cm3、嵩倍率50倍)を作製した。
重合工程において使用する混合モノマーの混合比を(スチレンの重量):(メタクリル酸メチルの重量)=7:8に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スチレン系樹脂粒子、発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、及び発泡成形体(嵩密度0.02g/cm3、嵩倍率50倍)を作製した。
(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体粒子の製造)
内容量5リットルの攪拌機付き重合容器に、水性媒体としての水2000gと、懸濁安定剤としてのピロリン酸マグネシウム7gと、アニオン界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.7gとを供給し、重合容器の内容物を攪拌しながら、混合比が(スチレンの重量):(メタクリル酸メチルの重量)=5:1であるスチレンとメタクリル酸メチルとの混合モノマー2000gと、重合開始剤としてのベンゾイルパーオキサイド9.45g及びtert−ブチルパーオキシベンゾエート2gとを添加した。さらに重合容器の内容物を攪拌しながら、重合容器の内温を90℃に昇温して重合を行った。そして、重合容器の内温を90℃に6時間保持し、さらに重合容器の内温を125℃に昇温して125℃に2時間保持した後、重合容器を冷却した。そして、重合容器の内容物から固形物を分離することにより、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体粒子を得た。
得られたスチレン−メタクリル酸メチル共重合体粒子2000gと、鱗片状グラファイト(日本黒鉛工業株式会社製、商品名「J−CPB」)500gとを二軸押出機に供給して、230℃で溶融混練して二軸押出機から直径0.5mmのストランド状に押し出した。得られたストランドを長さ1.5mm毎に切断して、グラファイトを20重量%含有する直径0.5mm、長さ1.5mmの円柱状のスチレン系樹脂種粒子を作製した。
重合工程において、混合比が(スチレンの重量):(メタクリル酸メチルの重量)=11:4であるスチレンとメタクリル酸メチルとの混合モノマーに代えて、混合比が(スチレンの重量):(メタクリル酸メチルの重量):(メタクリル酸イソボルニルの重量)=9:5:1であるスチレンとメタクリル酸メチルとメタクリル酸イソボルニルとの混合モノマーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、スチレン系樹脂粒子、発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、及び発泡成形体(嵩密度0.02g/cm3、嵩倍率50倍)を作製した。
重合工程において、スチレンとメタクリル酸メチルとの混合モノマーに代えてスチレンのみを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、スチレン系樹脂粒子、発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、及び発泡成形体(嵩密度0.02g/cm3、嵩倍率50倍)を作製した。
重合工程において使用する混合モノマーの混合比を(スチレンの重量):(メタクリル酸メチルの重量)=13:2に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スチレン系樹脂粒子、発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、及び発泡成形体(嵩密度0.02g/cm3、嵩倍率50倍)を作製した。
重合工程において使用する混合モノマーの混合比を(スチレンの重量):(メタクリル酸メチルの重量)=1:2に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スチレン系樹脂粒子及び発泡性樹脂粒子を作製した。
(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体粒子の製造)
内容量5リットルの攪拌機付き重合容器に、水性媒体としての水2000gと、懸濁安定剤としてのピロリン酸マグネシウム7gと、アニオン界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム2.7gとを供給し、重合容器の内容物を攪拌しながら、混合比が(スチレンの重量):(メタクリル酸メチルの重量)=13:6であるスチレンとメタクリル酸メチルとの混合モノマー2000gと、重合開始剤としてのベンゾイルパーオキサイド9.45g及びtert−ブチルパーオキシベンゾエート2gとを添加した。さらに重合容器の内容物を攪拌しながら、重合容器の内温を90℃に昇温して重合を行った。そして、重合容器の内温を90℃に6時間保持し、さらに重合容器の内温を125℃に昇温して125℃に2時間保持した後、重合容器を冷却した。そして、重合容器の内容物から固形物を分離することにより、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体粒子を得た。
得られたスチレン−メタクリル酸メチル共重合体粒子2000gと、鱗片状グラファイト(日本黒鉛工業株式会社製、商品名「J−CPB」)500gとを二軸押出機に供給して、230℃で溶融混練して二軸押出機から直径0.5mmのストランド状に押し出した。得られたストランドを長さ1.5mm毎に切断して、グラファイトを20重量%含有する直径0.5mm、長さ1.5mmの円柱状のスチレン系樹脂種粒子を作製した。
重合工程において、混合比が(スチレンの重量):(メタクリル酸メチルの重量)=11:4であるスチレンとメタクリル酸メチルとの混合モノマーに代えて、混合比が(スチレンの重量):(ジビニルベンゼンの重量)=3:2であるスチレンとジビニルベンゼンとの混合モノマーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、スチレン系樹脂粒子及び発泡性樹脂粒子を作製した。
重合工程において、混合比が(スチレンの重量):(メタクリル酸メチルの重量)=11:4であるスチレンとメタクリル酸メチルとの混合モノマーに代えて、混合比が(スチレンの重量):(メタクリル酸イソボルニルモノマーの重量)=3:2であるスチレンとメタクリル酸イソボルニルとの混合モノマーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、スチレン系樹脂粒子及び発泡性樹脂粒子を作製した。
(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体粒子の製造)
内容量5リットルの攪拌機付き重合容器に、水性媒体としての水2000gと、懸濁安定剤としてのピロリン酸マグネシウム7gと、アニオン界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム2.7gとを供給し、重合容器の内容物を攪拌しながら、混合比が(スチレンの重量):(メタクリル酸メチルの重量)=15:4であるスチレンとメタクリル酸メチルとの混合モノマー2000gと、重合開始剤としてのベンゾイルパーオキサイド9.45g及びtert−ブチルパーオキシベンゾエート2gとを添加した。さらに重合容器の内容物を攪拌しながら、重合容器の内温を90℃に昇温して重合を行った。そして、重合容器の内温を90℃に6時間保持し、さらに重合容器の内温を125℃に昇温して125℃に2時間保持した後、重合容器を冷却した。そして、重合容器の内容物から固形物を分離することにより、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体粒子を得た。
得られたスチレン−メタクリル酸メチル共重合体粒子1800gと、鱗片状グラファイト200g(日本黒鉛工業株式会社製、商品名「J−CPB」)とを二軸押出機に供給して、230℃で溶融混練して二軸押出機から直径0.5mmのストランド状に押し出した。得られたストランドを長さ1.0mm毎に切断して、グラファイトを5重量%含有する直径1.0mmの球状のスチレン系樹脂種粒子を作製した。
Claims (7)
- スチレン類に由来する構成単位と、メタクリル酸メチルを主成分とするコモノマーに由来する構成単位とで構成されるスチレン系樹脂、及びグラファイトを含むスチレン系樹脂粒子であって、
前記コモノマーに由来する構成単位の量が、スチレン系樹脂粒子全体に対して20〜40重量%の範囲内であり、
前記グラファイトの量が、スチレン系樹脂粒子全体に対して1〜15重量%の範囲内であり、
スチレン系樹脂粒子の表層部の波数1730cm-1での吸光度をD1730とし、スチレン系樹脂粒子の表層部の波数1600cm-1での吸光度をD1600とし、吸光度比A=D1730/D1600とし、スチレン系樹脂粒子の中心部の波数1730cm-1での吸光度をDc1730とし、スチレン系樹脂粒子の中心部の波数1600cm-1での吸光度をDc1600とし、吸光度比B=Dc1730/Dc1600とすると、A>Bであり、
スチレン系樹脂粒子全体におけるグラファイトの含有率をX重量%とし、スチレン系樹脂粒子の表層部におけるグラファイトの含有率をY重量%とすると、X≧1.1×Yであることを特徴とするスチレン系樹脂粒子。 - 前記グラファイトの平均粒子径が、1〜100μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のスチレン系樹脂粒子。
- 請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂粒子と、発泡剤とを含むことを特徴とする発泡性樹脂粒子。
- 請求項3に記載の発泡性樹脂粒子を発泡させて得られたものであることを特徴とする発泡粒子。
- 請求項4に記載の発泡粒子の複数個を互いに融着させて成形することにより得られたものであることを特徴とする発泡成形体。
- 85℃で7日間加熱した後の寸法変化率が3%以下であることを特徴とする請求項5に記載の発泡成形体。
- 熱伝導率が0.032W/m・K以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の発泡成形体。
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