JP2014124129A - アルコール飲料における旨味成分の増強方法 - Google Patents

アルコール飲料における旨味成分の増強方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014124129A
JP2014124129A JP2012282733A JP2012282733A JP2014124129A JP 2014124129 A JP2014124129 A JP 2014124129A JP 2012282733 A JP2012282733 A JP 2012282733A JP 2012282733 A JP2012282733 A JP 2012282733A JP 2014124129 A JP2014124129 A JP 2014124129A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
zeolite
alcoholic beverage
umami
zeolite membrane
membrane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012282733A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6105923B2 (ja
Inventor
Yasuyuki Taniguchi
泰之 谷口
Kazuhide Maeta
一秀 前多
Tomohisa Kikuchi
智久 菊地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Engineering Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Engineering Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Chemical Engineering Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2012282733A priority Critical patent/JP6105923B2/ja
Publication of JP2014124129A publication Critical patent/JP2014124129A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6105923B2 publication Critical patent/JP6105923B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】ゼオライト膜を利用した、アルコール飲料における旨味成分の増強方法を提供する。
【解決手段】醸造により旨味成分を産生させたアルコール飲料の製造方法であって、SiO2/Al23モル比が5以上であるゼオライトを含むゼオライト膜にアルコール飲料を
供給し、アルコール飲料の旨味を濃縮する濃縮工程を含む製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルコール飲料における旨味成分の増強方法に関し、詳しくは、ゼオライト膜を利用した旨味成分の増強方法に関する。
日本酒や焼酎などのアルコール飲料は、醸造によって旨味成分が産生される。このようなアルコール飲料に対して、旨味を増強する方法が提案されている。例えば、容器内に焼酎と乾燥昆布を入れ、常温状態で所定期間経過させることにより、焼酎に昆布の旨味成分を溶出させる方法や(特許文献1)、アラニンを添加することで、容易に且つ経済的に旨味の多い日本酒を製造する方法などの、旨味成分を添加する方法が提案されている(特許文献2)。
また、酒粕酵素処理液を用いることにより呈味性ヌクレオチドを高含有する酒精含有調味料を得る方法がある(特許文献3)。さらに、醸造物中の旨味成分や芳香成分が分解、揮散することのないよう、常温下において、光触媒を用いて醸造物中の微生物を殺菌する方法などの、旨味成分を破壊しないで製品化する方法なども提案されている(特許文献4)。
しかし、旨味成分を添加する方法では、その添加により、特定の旨味成分は増強されるものの、そのアルコール飲料自体が元来有する旨味成分が増強されるものではない。また、酒粕酵素処理により呈味性ヌクレオチドを高含有させる方法も、酵素処理によって、そのアルコール飲料に元来含有されていなかった呈味性ヌクレオチドを高含有させるものであり、そのアルコール飲料自体が元来有する旨味成分が増強されるものではない。
さらに、沸点の相違を利用し、蒸留により低沸点成分である水、エタノールを留去し、高分子量、高沸点成分である旨味成分を濃縮する方法も考えられるが、加熱によって旨味成分が変質してしまう。
また、比較的低温での減圧蒸留によっても低沸点成分の留去による濃縮は可能であるが、旨味成分の揮発により元来有する組成が変化し、品質は大幅に劣化する。その他、噴霧や超音波霧化による濃縮も提案されているが、飛沫同伴により旨味成分も除去される(特許文献5)。
一方で、有機化合物と水を分離する技術として、無機分離膜を利用した方法が知られている。無機分離膜としては、例えば、無機多孔質支持体表面にゼオライト結晶層から成る膜を有する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が知られている(特許文献6)。この無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体は、例えば、従来の共沸蒸留法に代わる脱水プロセスとして、また、工業用アルコールを濃縮する方法として、広く利用されている(特許文献7)。
特開2005−278600号公報 特開2012−5425号公報 特開2011−223997号公報 特開2003−250514号公報 特開2002−224502号公報 特開2012−67090号公報 特開2010−207776号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、アルコール飲料における旨味を増強する新たな手法を提供することにある。アルコール飲料は、消費者の味覚に訴求できる程度の味の良さが求められるものであり、アルコール飲料が含有する多数の味覚成分のバランスによってその味の良さが成立する。それに、添加物を添加するなどの人為的な操作を加えない、元来の成分から成るアルコール飲料が求められる近年において、アルコール飲料に旨味を増強する新たな方法が求められている。
一般的にアルコール飲料には、上記工業用アルコールとは異なり、旨味成分や香味成分等を代表とする固形成分が含有されている。そのため、アルコール飲料を無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体に適用した場合には、膜複合体の細孔が、それらの物質によって閉塞されることが容易に予想され、膜複合体にアルコール飲料を適用することは、これまで成されることはなかった。
本発明者らは、種々検討を重ねた結果、従来、有機化合物と水とを分離するために使用されていた特定のゼオライト結晶層から成る膜により、アルコール飲料中の旨味が濃縮され、該アルコール飲料の旨味が増強することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は、醸造により旨味成分を産生させたアルコール飲料の製造方法であって、SiO2/Al23モル比が5以上であるゼオライトを含むゼオライト膜に
アルコール飲料を供給し、アルコール飲料の旨味を濃縮する濃縮工程、を含む製造方法に存する。
本発明によれば、特定のゼオライトを含むゼオライト膜に、アルコール飲料を供給するという簡易な方法により、旨味を増強することが出来る。
本発明の一例であるパーベーパレーション法(PV法)の一例のプロセス説明図である。
まず、本発明における旨味成分、および該旨味成分を増強する対象として使用されるアルコール飲料について説明する。
(1)旨味成分
旨味成分としては、主にアミノ酸であるグルタミン酸や、核酸構成物質のヌクレオチドであるイノシン酸、グアニル酸、キサンチル酸等の呈味性ヌクレオチド、その他の有機酸であるコハク酸やその塩類等が挙げられる。
(2)醸造により旨味成分を産生させたアルコール飲料
アルコール飲料としては、醸造酒、蒸留酒、混成酒等が挙げられる。これらは所定期間、熟成されたものであってもよい。
(2−1)醸造酒
醸造酒とは、原料をそのまま、または原料を糖化させたものを発酵させた酒を指す。単
発酵酒と複発酵酒とに大別される。単発酵酒としては、糖分を含む果実等を原料にしたワイン(ぶどう酒)、シードル(りんご酒)、馬乳酒等が挙げられる。複発酵酒としては、原料が米、麦等の穀類の場合、原料の穀物等のデンプンを糖化し、その後にアルコール発酵させたビールや日本酒が挙げられる。糖化には、糊化したデンプンをコウジカビ等によって糖化する場合と、穀物を発芽させて(麦芽に変えて)デンプンを糖化する場合の2種類がある。本発明における好ましいアルコール飲料は、日本酒である。
(2−2)蒸留酒
蒸留酒とは、醸造酒を蒸留して作った酒を指す。例としては、焼酎、泡盛、ウイスキー、ウォッカ、ジン、スピリタス、テキーラ、ブランデー、ラム、アクアビット、アラック、アルヒ、カシャッサ(ピンガ)、キルシュヴァッサー、コルン、ソジュ、白酒、茅台酒、アルマニャック、カルヴァドス、グラッパ、コニャック、シンガニ、ピスコ、メスカル、ラク、ワラギ等が挙げられる。
(2−3)混成酒
混成酒とは、醸造酒や蒸留酒を原料に、植物の皮や果実、薬草、ハーブ、香辛料、甘味料、香料等の成分を配合した酒を指す。例としては、リキュール、ベルモット、梅酒等が挙げられる。
(3)濃縮工程
次に、本発明の実施態様に係る濃縮工程について説明する。濃縮工程としては、アルコール飲料を、ゼオライト膜を用いた濃縮装置に供給して、アルコール飲料に含まれる旨味成分を濃縮する。なお、以下の説明において、「ゼオライト膜を用いた濃縮装置」を単に「濃縮装置」ということがある。ゼオライト膜は、SiO2/Al23モル比が5以上で
あるゼオライトを含むゼオライト膜であることを特徴し、ゼオライト膜へのアルコール飲料の供給においては、PV法などの分離膜で用いられる技術が適用される。
PV法ではゼオライト膜にアルコール飲料を接触させて水を透過させる。すなわち、この方式は、透過気化法または浸透気化法とも呼ばれ、アルコール飲料(供給液)を、ゼオライト膜を介して蒸発させ、その際、水のみを透過させることにより、アルコール飲料を濃縮する。供給液は気化熱で冷却されるため、それを補うための加熱手段が必要となる。
図1に示すPV法の場合、2基の濃縮装置が直列に配置され、供給液は、供給ポンプ(51)により、加熱器(11)を経由して第1濃縮装置(1)に供給される。ゼオライト膜を透過した水(気体)は冷却器(3)に導入されて濃縮された後にタンク(4)に貯蔵される。ゼオライト膜を透過せずに濃縮されたアルコール飲料は第1濃縮装置(1)に循環されて濃縮処理される。
第1濃縮装置(1)の循環路から取り出された濃縮液は、中間加熱器(21)を経由して第2濃縮装置(2)に供給される。そして、上記と同様に、ゼオライト膜を透過した水(気体)は冷却器(3)に導入されて濃縮された後にタンク(4)に貯蔵され、ゼオライト膜を透過せずに濃縮されたアルコール飲料は第2濃縮装置(2)に循環されて濃縮処理される。そして、最終的に濃縮されたアルコール飲料は、第2濃縮装置(2)の循環路から取り出される。
第1濃縮装置(1)及び第2濃縮装置(2)における液の循環は循環ポンプ(52)及び(53)によって行われる。濃縮装置の駆動に必要な真空は、真空ポンプ(54)によって与えられ、各濃縮装置の真空度は配管途中に設けられた圧力制御弁(61)及び(62)によって制御される。タンク(4)に貯蔵された水の排出は、排出用ポンプ(55)によって行われる。
なお、図1に示すPV法は循環方式を採用しているが非循環方式を採用してもよい。また、濃縮装置の駆動は、図1に示す真空方式に代え、窒素、乾燥空気等を透過側に供給するスイープガス方式を採用してもよい。また、濃縮装置の設置個数は、条件により適宜選択され、1基の場合もあれば、図示したように2基以上使用されることもある。さらに、アルコール飲料を濃縮装置に供給する前に、アルコール飲料中の固形物を除去するために、フィルターに適用してもよい。
次に、濃縮装置の運転条件について説明する。運転条件の最適範囲は、濃縮装置に供給されるアルコール飲料の種類により異なるため一概に決定し得ないが、温度、操作圧力等の一般的条件は、公知の運転方法の条件の範囲から適宜選択され、以下のような範囲である。
図1に示すPV法の場合、濃縮装置に供給されるアルコール飲料の温度は、通常70℃以下、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは25℃以下である。特に、高温すぎると、アルコール飲料中の成分が分解されることも懸念されるため、できるだけ低温の方が好ましい。操作圧力は、通常0.1〜1.5MPa、好ましくは0.2〜0.8MPaである。
(4)濃縮装置
次に、本発明で使用する濃縮装置について説明する。本発明で使用する濃縮装置は、無機多孔質支持体表面にゼオライト膜を有する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が収納されて成る。そして、本発明の特徴は、ゼオライトのSiO2/Al23モル比が5以
上である多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を使用する点にある。
先ず、本発明で使用する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を構成する各成分について、具体的に説明する。なお、以下の説明において、「無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体」を単に「ゼオライト膜複合体」ということがある。
本発明において用いられる無機多孔質支持体としては、表面にゼオライトを膜状に結晶化できるような化学的安定性があり、多孔質であれば特に制限されるものではない。たとえばシリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素等のセラミックス焼結体、鉄、ブロンズ、ステンレス等の焼結金属や、ガラス、カーボン成型体等が挙げられる。
無機多孔質支持体の中でも、基本的成分あるいはその大部分が無機の非金属物質から構成されている固体材料であるセラミックスを焼結したものを含む多孔質の支持体は、その一部がゼオライト膜合成中にゼオライト化することで界面の密着性を高める効果があるために特に好ましい。
具体的にはシリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などを含むセラミックス焼結体が挙げられる。その中でもアルミナ、シリカ、ムライトのうち少なくとも1種を含む無機多孔質支持体は、無機多孔質支持体の部分的なゼオライト化が容易であるため、無機多孔質支持体とゼオライト、特にCHA型ゼオライトの結合が強固になり緻密で濃縮性能の高い膜が形成されやすくなる点でより好ましい。
本発明において用いられる無機多孔質支持体の形状は、気体混合物や液体混合物を有効に濃縮できるものであれば制限されるものではなく、具体的には平板状、管状のもの、または円筒状、円柱状や角柱状の孔が多数存在するハニカム状のものやモノリスなどが挙げ
られ、いずれの形状のものでもよい。
本発明において用いられる無機多孔質支持体は、その表面(以下「無機多孔質支持体表面」ともいう。)においてゼオライトを結晶化させる。
前記無機多孔質支持体表面が有する平均細孔径は特に制限されるものではないが、細孔径が制御されているものが好ましく、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上であり、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下の範囲が好ましい。
平均細孔径が小さすぎると透過量が小さくなる傾向があり、大きすぎると支持体自体の強度が不十分になることがあり、支持体表面の細孔の割合が増えて緻密なゼオライト膜が形成されにくくなることがある。
また無機多孔質支持体の表面は滑らかであることが好ましく、必要に応じて表面をやすり等で研磨してもよい。
なお、無機多孔質支持体表面とは例えばゼオライトを結晶化させる無機多孔質支持体表面部分を意味し、表面であればそれぞれの形状のどこの表面であってもよく、複数の面であってもよい。たとえば円筒管の支持体の場合には外側の表面でも内側の表面でもよく、場合によっては外側と内側の両方の表面であってよい。
また、本発明において用いられる無機多孔質支持体の、無機多孔質支持体表面以外の部分の細孔径は制限されるものではなく、また特に制御される必要はない。
多孔質支持体の気孔率は通常20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上であり、通常70%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下である。無機多孔質支持体の気孔率は、気体や液体を濃縮する際の透過流量を左右し、前記下限未満では透過物の拡散を阻害する傾向があり、前記上限超過では無機多孔質支持体の強度が低下する傾向がある。
次に、SiO2/Al23モル比が5以上であるゼオライト結晶について説明する。S
iO2/Al23モル比は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、さらに好まし
くは12以上である。上限としては通常2000以下、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、さらに好ましくは100以下である。SiO2/Al23モル比が
前記下限未満では耐久性が低下する傾向があり、前記上限を超過すると疎水性が強すぎるため、透過流束が小さくなる傾向がある。SiO2/Al23モル比は、後述する水熱合
成の反応条件により調整できる。
なお、本発明におけるSiO2/Al23モル比は、走査型電子顕微鏡−エネルギー分
散型X線分光法(SEM−EDX)により得られた数値である。数ミクロンの膜のみの情報を得るために通常はX線の加速電圧を10kVで測定する。
本発明におけるゼオライト膜を構成する主たるゼオライトのフレームワーク密度は、特に制限するものではないが、通常17T/1000Å以下、好ましくは16T/1000Å以下、特に好ましくは15.5T/1000Å以下、最も好ましくは、15T/1000Å以下である。
本発明におけるゼオライト膜を構成する主たるゼオライトは、通常、酸素6−10員環構造を有するゼオライトを含み、好ましくは酸素6−8員環構造を有するゼオライトを含む。
ここでいう酸素n員環を有するゼオライトのnの値は、ゼオライト骨格を形成する酸素とT元素で構成される細孔の中で最も酸素の数が大きいものを示す。例えば、MOR型ゼ
オライトのように酸素12員環と8員環の細孔が存在する場合は、酸素12員環のゼオライトとみなす。
酸素6−10員環構造を有するゼオライトの一例を挙げれば、AEI、AEL、AFG、ANA、BRE、CAS、CDO、CHA、DAC、DDR、DOH、EAB、EPI、ESV、EUO、FAR、FRA、FER、GIS、GIU、GOO、HEU、IMF、ITE、ITH、KFI、LEV、LIO、LOS、LTN、MAR、MEP、MER、MEL、MFI、MFS、MON、MSO、MTF、MTN、MTT、MWW、NAT、NES、NON、PAU、PHI、RHO、RRO、RTE、RTH、RUT、SGT、SOD、STF、STI、STT、TER、TOL、TON、TSC、TUN、UFI、VNI、VSV、WEI、YUG等がある。
好ましい酸素6−8員環構造を有するゼオライトの一例を挙げれば、AEI、AFG、ANA、CHA、EAB、ERI、ESV、FAR、FRA、GIS、ITE、KFI、LEV、LIO、LOS、LTN、MAR、PAU、RHO、RTH、SOD、STI、TOL、UFI等がある。
酸素n員環構造はゼオライトの細孔のサイズを決定するものであり、6員環よりも小さいゼオライトではH2O分子のKinetic半径よりも細孔径が小さくなるため透過流
束が小さくなり実用的でない。また、酸素10員環構造よりも大きい場合は細孔径が大きくなり、サイズの小さな有機物では濃縮性能が低下するため、用途が限定的になる。
前記の中でゼオライトの構造としては、上記したSiO2/Al23モル比を持つもの
が好ましく、より好ましくは、AEI、CHA、KFI、PAU、RHO、RTH、UFIであり、さらに好ましくは、CHA、LEV、UFIであり、最も好ましくはCHAである。また、ゼオライトとしては、アルミノケイ酸塩であることが好ましい。
次に、CHA型ゼオライトについて説明する。本発明において好適に用いられるCHA型ゼオライトとは、International Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードでCHA構造のものを示す。天然に産出するチャバサイトと同等の結晶構造を有するゼオライトである。CHA型ゼオライトは3.8×3.8Åの径を有する酸素8員環からなる3次元細孔を有することを特徴とする構造をとり、その構造はX線回折データにより特徴付けられる。
本発明において用いられるCHA型ゼオライトのフレームワーク密度は、14.5T/1000Åである。
本発明において、ゼオライト膜は、ゼオライトが単独で膜となったものでも、前記ゼオライトの粉末をポリマーなどのバインダー中に分散させて膜の形状にしたものでも、各種支持体上にゼオライトを膜状に固着させたゼオライト膜複合体でもよい。
それらの中で、後で詳述する多孔質支持体上に前記ゼオライトを膜状に固着させたゼオライト膜複合体が特に好ましい。該ゼオライト膜複合体は支持体を有することによって機械的な強度が増し、取り扱いが容易になり、種々の装置設計が可能であるほか、全て無機物で構成されるため、耐熱性、耐薬品性に優れるためである。
膜を構成する成分としては、ゼオライト以外にシリカ、アルミナなどの無機バインダー、ポリマーなどの有機物、あるいはゼオライト表面を修飾するシリル化剤などを必要に応じ含んでいてもよい。
本発明におけるゼオライト膜は、一部アモルファス成分などが含有されていてもよいが
、好ましくは実質的にゼオライトのみで構成されるゼオライト膜である。好ましくはCHA型のゼオライトを主成分とするゼオライト膜であり、一部、モルデナイト型、MFI型などの他の構造のゼオライトが含まれていても、アモルファス成分などが含有されていてもよく、より好ましくは、実質的にCHA型のゼオライトのみで構成されるゼオライト膜である。
本発明において用いられるゼオライト膜の厚さとしては、特に制限されるものではないが、通常、0.1μm以上であり、好ましくは0.6μm以上、さらに好ましくは1.0μm以上である。また通常100μm以下であり、好ましくは60μm以下、さらに好ましくは20μm以下の範囲である。膜厚が大きすぎると透過量が低下する傾向があり、小さすぎると選択性や膜強度が低下する傾向がある。
本発明におけるゼオライト膜を形成するゼオライトの粒子径は特に限定されるものではないが、小さすぎると粒界が大きくなるなどして透過選択性などを低下させる傾向があることから、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、上限は膜の厚さ以下である。さらに好ましくはゼオライトの粒子径が膜の厚さと同じである場合である。ゼオライトの粒子径が膜の厚さと同じであるとき、ゼオライトの粒界が最も小さくなるためである。水熱合成で得られたゼオライト膜は、ゼオライトの粒子径と膜の厚さが同じになる場合があるので好ましい。
本発明において、無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体とは、無機多孔質支持体の表面にゼオライトが膜状に固着しているものであり、ゼオライトの一部が無機多孔質支持体の内部にまで固着している状態のものが好ましい。
以下、アルコール飲料として日本酒を用いた実施例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲が実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
[実施例1]
無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体は、CHA型ゼオライトを無機多孔質支持体上に直接水熱合成することで作製した。
水熱合成のための反応混合物として、以下のものを調製した。
1mol/L−NaOH水溶液10.5gと1mol/L−KOH水溶液7.0gと水100.0gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al23 53.5重量%含有、ア
ルドリッチ社製)0.88gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(
TMADAOH)水溶液(TMADAOH25重量%含有、セイケム社製)2.95gを
加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)10.5gを加え
て2時間撹拌し、水熱合成用混合物を調製した。
無機多孔質支持体としては(株)ニッカトー製のムライトチューブPM(外径12mm、内径9mm)を80mmの長さに切断した後、外表面を耐水性紙やすりを用いて滑らかにして、超音波洗浄機で洗浄したのち乾燥させたものを用いた。支持体上には水熱合成に先立ちSiO2/Al23/NaOH/H2O/TMADAOH=1/0.033/0.1/40/0.1のゲル組成で160℃、2日間水熱合成して結晶化させた0.5μm程度のCHA型ゼオライトの種結晶を付着させた。具体的には、該種結晶1質量%を水に分散させた分散液に、前記支持体を所定時間漬した後、100℃で5時間以上乾燥させることで付着させた。付着した種結晶の重量は約5g/m2であった。
この種結晶を付着させた支持体を上記反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒に垂直方向に浸漬してオートクレーブを密閉し160℃で48時間、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後に支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し洗浄後100℃で5時間以上乾燥させた。乾燥後のas−madeの状態で円筒管状の膜複合体の一端を封止し、他の一端を真空ラインに接続することで管内を減圧とし、真空ライン設置した流量計で空気の透過量を測定したところ透過量は0ml/(m2・min)
であった。テンプレート焼成前のゼオライトの膜複合体を電気炉で500℃、5時間焼成した。焼成後の膜複合体の重量と支持体の重量の差から支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は120g/m2であった。SEM観察から膜厚は約15μmであった。
また、SEM−EDXにより、ゼオライト膜のSiO2/Al23モル比を測定したと
ころ、17であった。
上記の方法により得られた、無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて、PV法により、窒素雰囲気下で、70℃のアルコール飲料である日本酒から水を選択的に透過させる濃縮を行った。
[試験例1]
(1)透過液、被濃縮液の組成分析
トラップに捕集した透過液、被濃縮液の組成分析はガスクロマトグラフにより行った。透過開始から約5時間程度で安定してくるため、約5時間後の透過液、被濃縮液について組成分析を行った。
使用した日本酒の初期重量を被濃縮液の重量で除した値を濃縮倍率としたところ、本実施例における濃縮倍率は2.7倍であり、透過液においてアルコールおよび旨味成分は検出されなかった。
(2)被濃縮液の官能評価
得られた被濃縮液の「味、色、香り」の項目について、5人のパネラーによる官能評価を行った。その結果を表1に示す。表中の◎は極めて良好、○は良好、△は普通、×はやや不良を表す。
Figure 2014124129
[実施例2]
PV法により40℃のアルコール飲料である日本酒を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、水を選択的に透過させ、該日本酒の濃縮を行った。
試験例1と同様の方法で、透過液、被濃縮液の組成分析を行った。本実施例における濃縮倍率は2.7倍であり、透過液においてアルコールおよび旨味成分は検出されなかった。
また、上記と同じ項目について、5人のパネラーによる官能評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2014124129
[比較例1]
上記濃縮をしていない日本酒について、上記と同じ項目について、5人のパネラーによる官能評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2014124129
1:第1濃縮装置
2:第2濃縮装置
3:冷却器
4:タンク
11:加熱器
21:中間加熱器
51:供給ポンプ
52:循環ポンプ
53:循環ポンプ
54:真空ポンプ
55:排出用ポンプ
61〜63:圧力制御弁

Claims (4)

  1. 醸造により旨味成分を産生させたアルコール飲料の製造方法であって、SiO2/Al23モル比が5以上であるゼオライトを含むゼオライト膜にアルコール飲料を供給し、ア
    ルコール飲料の旨味を濃縮する濃縮工程を含む製造方法。
  2. 前記ゼオライト膜にアルコール飲料を供給し、アルコール飲料の旨味を濃縮する濃縮工程を、40℃以下で行う、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ゼオライト膜にアルコール飲料を供給し、アルコール飲料の旨味を濃縮する濃縮工程を、窒素雰囲気下で行う、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記アルコール飲料が、日本酒であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
JP2012282733A 2012-12-26 2012-12-26 アルコール飲料における旨味成分の増強方法 Active JP6105923B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012282733A JP6105923B2 (ja) 2012-12-26 2012-12-26 アルコール飲料における旨味成分の増強方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012282733A JP6105923B2 (ja) 2012-12-26 2012-12-26 アルコール飲料における旨味成分の増強方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014124129A true JP2014124129A (ja) 2014-07-07
JP6105923B2 JP6105923B2 (ja) 2017-03-29

Family

ID=51404188

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012282733A Active JP6105923B2 (ja) 2012-12-26 2012-12-26 アルコール飲料における旨味成分の増強方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6105923B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015098762A1 (ja) * 2013-12-25 2015-07-02 ニッカウヰスキー株式会社 飲料に含まれる不要成分を除去する方法及び装置
JP2016077191A (ja) * 2014-10-14 2016-05-16 三菱化学株式会社 濃縮植物抽出液の製造方法及び植物抽出液の糖度調整方法
WO2019177072A1 (ja) * 2018-03-14 2019-09-19 株式会社エンジニアリング プール ジャパン 液体濃縮システム及び日本酒濃縮システム

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2131917C1 (ru) * 1997-11-26 1999-06-20 Закрытое акционерное общество "Проектно-строительное предприятие "ИНСЕРВ" Способ изготовления крепких вин и алкогольных напитков
JP2012067090A (ja) * 2010-08-25 2012-04-05 Mitsubishi Chemicals Corp 有機溶剤−酸−水混合物からの有機溶剤の回収方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2131917C1 (ru) * 1997-11-26 1999-06-20 Закрытое акционерное общество "Проектно-строительное предприятие "ИНСЕРВ" Способ изготовления крепких вин и алкогольных напитков
JP2012067090A (ja) * 2010-08-25 2012-04-05 Mitsubishi Chemicals Corp 有機溶剤−酸−水混合物からの有機溶剤の回収方法

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
DESALINATION, vol. 199, JPN6016034276, 2006, pages 92 - 93, ISSN: 0003492215 *
JOURNAL OF FOOD SCIENCE, vol. 69, no. 8, JPN6016034275, 2004, pages 422 - 427, ISSN: 0003492214 *

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015098762A1 (ja) * 2013-12-25 2015-07-02 ニッカウヰスキー株式会社 飲料に含まれる不要成分を除去する方法及び装置
US11028353B2 (en) 2013-12-25 2021-06-08 The Nikka Whisky Distilling Co., Ltd. Method for removing unwanted component included in beverage
JP2016077191A (ja) * 2014-10-14 2016-05-16 三菱化学株式会社 濃縮植物抽出液の製造方法及び植物抽出液の糖度調整方法
WO2019177072A1 (ja) * 2018-03-14 2019-09-19 株式会社エンジニアリング プール ジャパン 液体濃縮システム及び日本酒濃縮システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP6105923B2 (ja) 2017-03-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3214060B1 (en) Method for producing high-concentration alcohol
US11020685B2 (en) Method for producing alcohol
JP6105923B2 (ja) アルコール飲料における旨味成分の増強方法
Sun et al. Production of alcohol-free wine and grape spirit by pervaporation membrane technology
US20190352244A1 (en) Method for producing high concentration alcohol
Fan et al. Process operation performance of PDMS membrane pervaporation coupled with fermentation for efficient bioethanol production
JP6821911B2 (ja) アルコール飲料中のアルコール含有量の低減化方法
US10870084B2 (en) Water-alcohol separation system and water-alcohol separation method for producing alcohol
US20060159812A1 (en) Method for making an alcoholic beverage
JP6610036B2 (ja) 液状食品の濃縮方法
US20090239288A1 (en) Integrated membrane separation - bioreactor for selective removal of organic products and by-products
CN110605029A (zh) 一种合成ddr分子筛膜的方法
JP2010180080A (ja) ゼオライト膜の製造方法
JP6314365B2 (ja) 含水食品組成物における呈味成分の増強方法
JP2017165671A (ja) 高濃度アルコールの製造方法
JP6816372B2 (ja) エタノールの回収方法
JP6728583B2 (ja) 微量アルコールの除去方法
JP2018020985A (ja) アルコールの製造方法
JP2016077191A (ja) 濃縮植物抽出液の製造方法及び植物抽出液の糖度調整方法
WO2018169037A1 (ja) アルコールの製造のための分離膜ユニット
CN107904265A (zh) 一种发酵法制醇中产物的利用工艺及装置
JP2011083750A (ja) 分離膜による水の分離方法
US20180216054A1 (en) Method for purifying distilled spirits
JP2018154602A (ja) アルコールの製造方法
US6033690A (en) Process for pre-conditioning brewer's wort with beer fermentation products and production of a beer therefrom

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151020

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160831

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160913

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161114

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170207

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170303

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6105923

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250