JP6610036B2 - 液状食品の濃縮方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液状食品の濃縮方法に関し、詳しくは、分子ふるい膜を用いて液状食品中の水を除去して濃縮する方法に関する。
飲料や調味料など水分を多く含む液状食品を脱水、濃縮する方法としては、従来、沸点の差違を利用し、蒸留により低沸点成分である水を留去し、高分子量、高沸点成分である濃縮対象成分を濃縮する方法が行われている。
例えば、特許文献1では、焼酎のもろみ液部を蒸留してアルコール分を留出させた後、蒸留残渣をさらに減圧蒸留することによって、もろみ液の濃縮物を製造している。
また、特許文献2では、焙煎コーヒー豆に加水及び加熱して気化し、5℃以上の室温以下の冷媒を用いて、最初に留出する香気成分より比較的揮発性の低い物質群に富む気化画分を濃縮し回収することを含む蒸留処理により、焙煎コーヒー豆由来の呈味を増強させた組成物を製造している。
しかし、蒸留による濃縮では、比較的低温での減圧蒸留を行うことで、低沸点成分の留去による濃縮も可能となるが、旨味成分の揮発により当該液状食品が元来有する成分組成が変化し、品質は大幅に劣化する問題がある。
蒸留以外の濃縮方法として、特許文献3には、超音波霧化による濃縮法が提案されているが、この方法では、飛沫同伴により旨味成分なども除去される問題がある。
特許文献4では、日本酒の凍結濃縮により水分が主体の氷とエタノールが濃縮された液とに分離をしている。凍結濃縮は低温で分離を行うことで旨味成分を破壊することなく濃縮を行うことができるが、水分が主体の氷にもエタノールが含まれるため、エタノールの回収率が低い。特に、エタノールの濃縮率を高くするとエタノールの回収率も低下する。また、エタノール以外の糖、アミノ酸、有機酸なども水分が主体の氷に含まれるため、それらの成分の回収率も低く、味のバランスを損なう結果となる。
一方で、有機化合物と水を分離する技術として、無機分離膜を利用した方法が知られている。無機分離膜としては、例えば、特許文献5に記載の様な、無機多孔質支持体表面にゼオライト結晶層から成る膜を有する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が知られている。この無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体は、例えば、特許文献6に記載のように、従来の共沸蒸留法に代わる脱水プロセスとして、また、工業用アルコールを濃縮する方法として、広く利用されているが、液状食品への適用例は報告されていない。
特開2006−109705号公報 国際公開WO2010/147222号パンフレット 特開平8−19735号公報 特許第4326526号公報 特開2012−67090号公報 特開2010−207776号公報
本発明は、液状食品の濃縮に当たり、液状食品から水を選択的かつ効率的に除去して、芳香成分、旨み成分、機能性成分などの濃縮対象物質が分解されたり、これらが水と共に大量に除去されたりすることなく、高い回収率で、濃縮前の状態を維持したまま濃縮することができる液状食品の濃縮方法を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、液状食品の濃縮に、水のみを除去可能な分子ふるい膜を使用することにより、上記課題を解決できることが分かり本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 含水率が10%以上の液状食品から、水の一部を除去して該液状食品を濃縮する方法であって、該液状食品を分子ふるい膜へ導入して、水の一部を分離除去することを特徴とする、液状食品の濃縮方法。
[2] 該分子ふるい膜が、多孔質支持体上に形成されたゼオライト膜であることを特徴とする、[1]に記載の液状食品の濃縮方法。
[3] 以下に定義される、濃縮前後の前記液状食品中の濃縮対象物質の濃縮比率のずれが40%未満であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の液状食品の濃縮方法。
濃縮比率のずれ:濃縮後の液状食品中の濃縮対象物質の濃度を、濃縮前の液状食品中の濃縮対象物質の濃度で除した値を、さらに濃縮倍率で除して求められる「濃縮比率」と「基準となる値1」との差の絶対値に100を乗じた値
[4] 濃縮前後の前記液状食品中の水以外の主成分、芳香成分、旨み成分、及び機能性成分の回収率が90%以上であることを特徴とする、[1]ないし[3]のいずれかに記載の液状食品の濃縮方法。
[5] 下記(1)〜(4)の条件の少なくとも1つを満たすことを特徴とする、[1]ないし[4]のいずれかに記載の液状食品の濃縮方法。
(1) (X1/Y1)/(X2/Y2)が、0.5以上、3以下である。
(2) (X1/Z1)/(X2/Z2)が、0.5以上、3以下である。
(3) {(Z1−Y1)/Z1}/{(Z2−Y2)/Z2}が、0.5以上、3以下である。
(4) (X1/W1)/(X2/W2)が、0.5以上、3以下である。
上記式中、各符号の意味は以下のとおりである。
X1:濃縮前の前記液状食品中の芳香成分、旨み成分及び機能性成分のうちのいずれ
かの濃度
Y1:濃縮前の前記液状食品中の水以外の主成分の濃度
Z1:濃縮前の前記液状食品中の水以外の全成分の合計濃度
W1:濃縮前の前記液状食品中の芳香成分、旨み成分及び機能性成分のうちのいずれ
かのうちX1の成分以外から選ばれる成分の濃度
X2:濃縮後の前記液状食品中の芳香成分、旨み成分及び機能性成分のうちのいずれ
かの濃度
Y2:濃縮後の前記液状食品中の水以外の主成分の濃度
Z2:濃縮後の前記液状食品中の水以外の全成分の合計濃度
W2:濃縮後の前記液状食品中の芳香成分、旨み成分及び機能性成分のうちのいずれ
かのうちX2の成分以外から選ばれる成分の濃度
ただし、X1とX2の成分は同じものとする。また、W1とW2の成分は同じものとする。
本発明によれば、液状食品の濃縮に当たり、液状食品から水を選択的かつ効率的に除去して、芳香成分、旨み成分、機能性成分などの濃縮対象物質が分解されたり、これらが水と共に大量に除去されたりすることなく、高い回収率で、濃縮前の状態を維持したまま濃縮することができる。
本発明の実施の形態の一態様であるパーベーパレーション法(PV法)による濃縮方法の一例を示すプロセス説明図である。 本発明の実施の形態の一態様であるパーベーパレーション法(PV法)による濃縮方法の別の例を示すプロセス説明図である。
以下に本発明の液状食品の濃縮方法の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
本発明の液状食品の濃縮方法は、含水率が10重量%以上の液状食品から、水の一部を除去して該液状食品を濃縮する方法であって、該液状食品を分子ふるい膜へ導入して、水の一部を分離除去することを特徴とする。
<液状食品>
まず、液状食品について説明する。
本発明の対象とする液状食品は、含水率が10重量%以上の食品である。含水率が10重量%以上の液状食品であれば、本発明の濃縮方法を好ましく適用することができるが、ある程度の水分量を有する液状食品の方が適用しやすく、含水率は20重量%以上が好ましく、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上の順により好ましく、90重量%以上が特に好ましい。
本発明では、分子ふるい膜を適用することにより、蒸留ではエネルギー負荷が高くなる含水率の高い液状食品であっても、効率的に濃縮することができる。
本発明に係る液状食品とは、上記の含水率で水分を含有する、液状の食品であれば特に限定されるものではないが、本発明は蒸留のような高温の加熱を要しないことから、特に加熱により分解され易いビタミンCなどのビタミン類、各種アミノ酸等の栄養素または風味物質を含有する液状食品に好適である。
また、本発明は、ポン酢ジュレなどのジュレ状の食品のように、粘度が高く、流動性の低い液状食品にも適用可能であるが、このような粘度の高い食品よりも、粘度の低い液状食品、例えば、20℃における粘度で100000mPa・s以下の液状食品に適用する方が、濃縮効率の面で好ましい。粘度は、好ましくは10000mPa・s以下、より好ましくは5000mPa・s以下、さらに好ましくは1000mPa・s以下、特に好ましくは500mPa・s以下、最も好ましくは100mPa・s以下である。粘度が上限以下であることにより、分子ふるい膜近傍に濃縮された液状食品が滞留しにくく、濃縮の速度が低下しにくくなるため、処理量を多くしやすい。
液状食品としてより具体的には、種々の飲料、液状調味料、シロップ類、だし類、スープ類、乳製品、およびそれらの混合物または加工品などが挙げられる。また、氷菓子の原料など、実質的に飲料などこれらの液状食品と同等であれば、食品原料として用いられる場合でもそれを含む。
飲料としては、緑茶、煎茶、抹茶、烏龍茶、紅茶、甜茶、杜仲茶、麦茶、黒豆茶、とうもろこし茶、ゴマ茶などの茶葉や種子から抽出される茶類およびそれらを加工した茶系飲料;コーヒー飲料;ココア飲料;オレンジ、グレープフルーツ、ミカン、グレープ、アップル、アセロラ、マンゴー、グァバ、レモン、ライム、ゆず、ピーチ、すいか、メロンなどの果物やケール、キャベツ、ニンジン、トマト等の野菜のジュース、これらの濃縮液(濃縮還元ジュース等)または希釈液等のジュース類;生乳;加工乳;乳飲料;乳酸菌飲料;清涼飲料;炭酸飲料、ミネラルウォーターなどの非アルコール飲料が挙げられる。また、飲料としては、ウイスキー、ラム、ウォッカ、ジン、テキーラ、ブランデー、焼酎などの蒸留酒、ビール、発泡酒などのビール系飲料、ワイン、シードルなどの果実酒、日本酒、紹興酒、みりんなどの醸造酒、リキュール、カクテル等のアルコール飲料が挙げられる。
調味料としては、食酢、すし酢、ワインビネガーなどの酢類、ウスターソースなどのソース類、醤油類、魚醤類、ケチャップ類、マヨネーズ類、たれ類、料理酒、みりん風調味料、発酵調味料、アミノ酸液、バニラエッセンスなどの風味づけ調味料、等の液状の調味料が挙げられる。
シロップ類としてはかき氷シロップやガムシロップ、メイプルシロップ、等が挙げられる。
だし類としてはかつおだし、昆布だし、シイタケだし、めんつゆおよびそれらの混合物やその加工品が挙げられる。
スープ類としてはコンソメ、ブイヨン、鶏がらスープなどが挙げられる。
乳製品としてはクリーム、コーヒーホワイトナー、ヨーグルト等が挙げられる。
これらのうち、本発明は特に飲料、だし類、スープ類、液状調味料に適用することが好適である。中でも、茶類および茶系飲料、コーヒー飲料、ココア飲料、ジュース類、アルコール飲料、酢類、醤油類に適用することが特に好適である。
<分子ふるい膜>
次に、本発明で用いる分子ふるい膜について説明する。
分子ふるい膜とは、分子の大きさによって対象となる物質を分離する性質をもった膜である。具体的には、透析膜、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、ナノろ過膜(NF膜)、逆浸透膜(RO膜)、ゼオライト膜、高分子膜にゼオライトなどを添加したmixed matrix membrane(以下MMM)などが挙げられる。本発明では、分離性能の点から、ナノろ過膜、逆浸透膜、ゼオライト膜、MMMを使用することが好ましく、さらに耐久性の点からゼオライト膜を使用することが好ましい。
本発明において、ゼオライト膜は、ゼオライトが単独で膜となったものでも、ゼオライトの粉末をポリマーなどのバインダー中に分散させて膜の形状にしたものでも、各種支持体上にゼオライトを膜状に固着させたゼオライト膜複合体(本発明において、多孔質支持体とその表面に形成されたゼオライト膜とをあわせて、「ゼオライト膜複合体」と言う場合がある。)でもよい。
それらの中で、多孔質支持体上にゼオライトを膜状に固着させたゼオライト膜複合体が特に好ましい。即ち、ゼオライト膜複合体は支持体を有することによって機械的強度が増し、取り扱いが容易になり、種々の装置設計が可能となる上に、特に無機多孔質支持体を用いた場合、ゼオライト膜複合体は全て無機物で構成されるものとなるため、耐熱性、耐薬品性、耐久性に優れ、液状食品の濃縮に長期に亘り安定に使用することが可能となる。
従って、本発明において、分子ふるい膜として特に好適なゼオライト膜は、無機多孔質支持体表面に形成されたゼオライト膜である。
ゼオライト膜複合体を構成する多孔質支持体としては、その表面などにゼオライトを膜状に結晶化できるような化学的安定性があり、無機の多孔質よりなる支持体(無機多孔質支持体)が好ましく、例えば、シリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などのセラミックス焼結体(セラッミクス支持体)、鉄、ブロンズ、ステンレス等の焼結金属や、ガラス、カーボン成型体などが挙げられるが、これらのうち、セラミックス支持体が好ましい。
セラミックス支持体としては、上記の通り、具体的には、例えば、シリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などを含むセラミックス焼結体(セラミックス支持体)が挙げられるが、それらの中で、アルミナ、シリカ、ムライトのうち少なくとも1種を含むセラミックス支持体が好ましい。
多孔質支持体の形状は、液状食品から効率的に水を分離できるものであれば特に制限されず、例えば、平板状、管状(例えば、円筒管状、角筒管状)、ハニカム状(例えば円筒状、円柱状や角柱状の孔が多数存在するハニカム状)、モノリスなどが挙げられる。中でも、特に管状支持体が好ましく、特に円筒管状支持体が好ましい。
前記多孔質支持体表面が有する平均細孔径は特に制限されるものではないが、細孔径が制御されているものが好ましく、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.5μm以上であり、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下の範囲が好ましい。
平均細孔径が小さすぎると透過量が小さくなる傾向があり、大きすぎると支持体自体の強度が不十分になることがあり、支持体表面の細孔の割合が増えて緻密なゼオライト膜が形成されにくくなることがある。
多孔質支持体の平均厚さ(肉厚)は、通常0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、特に好ましくは0.7mm以上であり、通常7mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。
支持体はゼオライト膜に機械的強度を与える目的で使用しているが、支持体の平均厚さが薄すぎると多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が十分な強度を持たず多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が衝撃や振動等に弱くなり実用上問題が生じる傾向がある。支持体の平均厚さが厚すぎると透過した物質の拡散が悪くなり透過流束が低くなる傾向がある。
多孔質支持体が円筒管である場合、円筒管の外径は通常3mm以上、好ましくは5.5mm以上、より好ましくは9.5mm以上、特に好ましくは11mm以上であり、通常51mm以下、好ましくは31mm以下、より好ましくは21mm以下、さらに好ましくは17mm以下、特に好ましくは15mm以下である。
支持体はゼオライト膜に機械的強度を与える目的で使用しているが、支持体が円筒管の場合、その外径が小さすぎると多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が十分な強度を持たず多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が衝撃や振動等に弱くなり実用上問題が生じる傾向がある。支持体が円筒管の場合、その外径が大きすぎると体積当たりの膜面積が小さくなるため、必要な膜面積を得るために必要な膜の体積が大きくなり、広い設置場所が必要になったり、大型のモジュールが必要になったりして、経済的に不利になる傾向がある。
また、多孔質支持体の表面は滑らかであることが好ましく、必要に応じて、表面をやすり等で研磨してもよい。
なお、多孔質支持体表面とは例えばゼオライトを結晶化させる無機多孔質支持体表面部分を意味し、表面であればそれぞれの形状のどこの表面であってもよく、複数の面であってもよい。たとえば円筒管の支持体の場合には外側の表面でも内側の表面でもよく、場合によっては外側と内側の両方の表面であってよい。
また、本発明で用いられる多孔質支持体の、多孔質支持体表面以外の部分の細孔径は制限されるものではない。
多孔質支持体の気孔率は、通常20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上であり、通常70%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下である。
このような多孔質支持体上にゼオライト膜を形成させて、ゼオライト膜複合体を得る。
ゼオライト膜を構成する成分としては、ゼオライト以外にシリカ、アルミナなどの無機バインダー、ポリマーなどの有機化合物、あるいは下記詳述するようなゼオライト表面を修飾するSi原子を含む材料(シリル化剤)またはその反応物などを必要に応じ含んでいてもよい。また、本発明におけるゼオライト膜は、一部アモルファス成分などを含んでいてもよい。
尚、ゼオライトとしては、アルミノ珪酸塩であるものが好ましい。
ゼオライト膜の厚さは特に制限されないが、通常0.1μm以上、好ましくは0.6μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは20μm以下の範囲である。膜厚が大きすぎると透過量が低下する傾向があり、小さすぎると選択性が低下したり、膜強度が低下したりする傾向がある。
ゼオライトの粒子径は特に限定されないが、小さすぎると粒界が大きくなるなどして透過選択性などを低下させる傾向がある。それゆえ、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、上限は膜の厚さ以下である。さらに、ゼオライトの粒子径が膜の厚さと同じである場合が特に好ましい。
粒子径の測定方法については特に限定されないが、一例をあげれば、SEMによるゼオライト膜表面の観察やSEMによるゼオライト膜断面の観察、TEMによるゼオライト膜の観察などによって測定することができる。
ゼオライト膜自体のSiO/Alモル比は、通常0.5以上、好ましくは5以上、より好ましくは7.5以上、さらに好ましくは8以上、特に好ましくは10以上、とりわけ好ましくは12以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1000以下、さらに好ましくは500以下、特に好ましくは100以下、とりわけ好ましくは50以下である。ゼオライト膜のSiO/Alモル比がこの範囲にあるとき、ゼオライト膜は親水性に優れかつ耐酸性、耐水性も優れた膜となり、水の分離による液状食品の濃縮に好適に用いられる。
ゼオライト膜自体のSiO/Alモル比は、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)により得られた数値である。SEM−EDXにおいて、X線の加速電圧を10kV程度として測定することにより、数ミクロンの膜のみの情報を得ることができる。ゼオライト膜は均一に形成されているので、この測定により、膜自体のSiO/Alモル比を求めることができる。
ゼオライト膜を構成する主たるゼオライトは、酸素12員環以下の細孔構造を有するゼオライトを含むものが好ましく、酸素10員環以下の細孔構造を有するゼオライトを含むものがより好ましく、酸素8員環以下の細孔構造を有するゼオライトを含むものがさらに好ましく、酸素6〜8員環の細孔構造を有するゼオライトを含むものが特に好ましい。ここでいう酸素n員環を有するゼオライトのnの値は、ゼオライト骨格を形成する酸素とT元素(骨格を構成する酸素以外の元素)で構成される細孔の中で最も酸素の数が大きいものを示す。例えば、MOR型ゼオライトのように酸素12員環と8員環の細孔が存在する場合は、酸素12員環のゼオライトとみなす。
酸素12員環以下の細孔構造を有するゼオライトとしては、例えば、AEI、AEL、AFI、AFG、ANA、ATO、BEA、BRE、CAS、CDO、CHA、CON、DDR、DOH、EAB、EPI、ERI、ESV、EUO、FAR、FAU、FER、FRA、HEU、GIS、GIU、GME、GOO、ITE、KFI、LEV、LIO、LOS、LTA、LTL、LTN、MAR、MEP、MER、MEL、MFI、MON、MOR、MSO、MTF、MTN、MTW、MWW、NON、NES、OFF、PAU、PHI、RHO、RTE、RTH、RUT、SGT、SOD、STI、STT、TOL、TON、TSC、UFI、VNI、WEI、YUGなどが挙げられる。
これらのうち、酸素10員環以下の細孔構造を有するゼオライトとしては、例えば、AEI、AEL、AFG、ANA、BRE、CAS、CDO、CHA、DDR、DOH、EAB、EPI、ERI、ESV、EUO、FAR、FER、FRA、HEU、GIS、GIU、GOO、ITE、KFI、LEV、LIO、LOS、LTA、LTN、MAR、MEP、MER、MEL、MFI、MON、MSO、MTF、MTN、MWW、NON、NES、PAU、PHI、RHO、RTE、RTH、RUT、SGT、SOD、STI、STT、TOL、TON、TSC、UFI、VNI、WEI、YUGなどが挙げられる。
さらに、酸素8員環以下の細孔構造を有するゼオライトとしては、例えば、AEI、AFG、ANA、BRE、CAS、CDO、CHA、DDR、DOH、EAB、EPI、ERI、ESV、FAR、FRA、GIS、GIU、GOO、ITE、KFI、LEV、LIO、LOS、LTA、LTN、MAR、MEP、MER、MON、MSO、MTF、MTN、NON、PAU、PHI、RHO、RTE、RTH、RUT、SGT、SOD、TOL、TSC、UFI、VNI、YUGなどが挙げられる。
このうち、酸素6〜8員環構造を有するゼオライトとしては、例えば、AEI、AFG、ANA、CHA、EAB、ERI、ESV、FAR、FRA、GIS、ITE、KFI、LEV、LIO、LOS、LTA、LTN、MAR、PAU、RHO、RTH、SOD、TOL、UFIなどが挙げられる。
なお、本明細書において、ゼオライトの構造は、上記のとおり、International Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードで示す。
酸素n員環構造はゼオライトの細孔のサイズを決定するものであり、酸素6員環よりも小さいゼオライトではHO分子のKinetic直径よりも細孔径が小さいため、水の透過度が小さくなり実用的でない場合がある。また、酸素8員環構造よりも大きい場合は細孔径が大きくなり、水以外の成分が透過して水と共に除去される量が多くなり、本発明の目的を達成し得ない場合がある。
また、ゼオライト膜を構成する主たるゼオライトのフレームワーク密度(T/1000Å)は特に制限されないが、通常17以下、好ましくは16以下、より好ましくは15.5以下、特に好ましくは15以下であり、通常10以上、好ましくは11以上、より好ましくは12以上である。
フレームワーク密度とは、ゼオライトの1000Åあたりの、骨格を構成する酸素以外の元素(T元素)の数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まる。なおフレームワーク密度とゼオライトとの構造の関係はATLAS OF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES Sixth Revised Edition 2007 ELSEVIERに示されている。
フレームワーク密度が、上記下限以上であることにより、ゼオライトの構造が脆弱となることを避け、ゼオライト膜の耐久性が高くなり、種々の用途に適用しやすくなる。また、フレームワーク密度が上記上限以下であることにより、ゼオライト中の物質の拡散が妨げられることなく、ゼオライト膜の透過流束が高くなる傾向にあり、経済的に有利である。
本発明において、ゼオライト膜を構成する主たるゼオライトの好ましい構造は、AEI、AFG、CHA、EAB、ERI、ESV、FAR、FRA、GIS、ITE、KFI、LEV、LIO、LOS、LTN、MAR、PAU、RHO、RTH、SOD、TOL、UFIであり、より好ましい構造は、AEI、CHA、ERI、KFI、LEV、PAU、RHO、RTH、UFIであり、さらに好ましい構造は、CHA、LEV、RHOであり、最も好ましい構造はCHAである。
次に、CHA型ゼオライトについて説明する。本発明において好適に用いられるCHA型ゼオライトとは、International Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードでCHA構造のものを示す。天然に産出するチャバサイトと同等の結晶構造を有するゼオライトである。CHA型ゼオライトは3.8×3.8Åの径を有する酸素8員環からなる3次元細孔を有することを特徴とする構造をとり、その構造はX線回折データにより特徴付けられる。
本発明において用いられるCHA型ゼオライトのフレームワーク密度は、14.5T/1000Åである。
本発明におけるゼオライト膜は、一部アモルファス成分などが含有されていてもよいが、好ましくは実質的にゼオライトのみで構成されるゼオライト膜である。好ましくはCHA型のゼオライトを主成分とするゼオライト膜であり、一部、モルデナイト型、MFI型などの他の構造のゼオライトが含まれていても、アモルファス成分などが含有されていてもよく、より好ましくは、実質的にCHA型のゼオライトのみで構成されるゼオライト膜である。
本発明において、ゼオライト膜複合体は、ゼオライト膜がCHA型ゼオライトを含む場合、X線回折パターンにおいて、2θ=17.9°付近のピークの強度が2θ=20.8°付近のピークの強度の0.5倍以上の大きさであることが好ましい。
ここで、ピークの強度とは、測定値からバックグラウンドの値を引いたものをさす。
(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)で表されるピーク強度比(以下これを「ピーク強度比A」ということがある。)でいえば、通常0.5以上、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3.0以上、特に好ましくは3.5以上、もっとも好ましくは4.0以上である。上限は特に限定されないが、通常1000以下である。
また、ゼオライト膜複合体は、ゼオライト膜がCHA型ゼオライトを含む場合、X線回折パターンにおいて、2θ=9.6°付近のピークの強度が2θ=20.8°付近のピークの強度の2倍以上の大きさであることが好ましい。
(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)で表されるピーク強度比(以下これを「ピーク強度比B」ということがある。)でいえば、通常2以上、好ましくは2.5以上、より好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは6以上、特に好ましくは8以上、もっとも好ましくは10以上である。上限は特に限定されないが、通常1000以下である。
ここでいうX線回折パターンとは、ゼオライトが主として付着している側の表面にCuKαを線源とするX線を照射して、走査軸をθ/2θとして得るものである。測定するサンプルの形状としては、ゼオライト膜複合体のゼオライトが主として付着している側の表面にX線が照射できるような形状なら何でもよく、ゼオライト膜複合体の特徴をよく表すものとして、作成したゼオライト膜複合体そのままのもの、あるいは装置によって制約される適切な大きさに切断したものが好ましい。
ここでいうX線回折パターンは、ゼオライト膜複合体の表面が曲面である場合には自動可変スリットを用いて照射幅を固定して測定してもかまわない。自動可変スリットを用いた場合のX線回折パターンとは、可変→固定スリット補正を実施したパターンを指す。
ここで、2θ=17.9°付近のピークとは基材である多孔質支持体に由来しないピークのうち17.9°±0.6°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指す。
2θ=20.8°付近のピークとは基材である多孔質支持体に由来しないピークのうち20.8°±0.6°の範囲に存在するピークで最大のものを指す。
2θ=9.6°付近のピークとは基材である多孔質支持体に由来しないピークのうち9.6°±0.6°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指す。
X線回折パターンで2θ=9.6°付近のピークはCOLLECTION OF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIER(以下これを、「非特許文献1」ということがある。)によればrhombohedral settingで空間群を
Figure 0006610036
(No.166)とした時にCHA構造において指数が(1,0,0)の面に由来するピークである。
また、X線回折パターンで2θ=17.9°付近のピークは非特許文献1によればrhombohedral settingで空間群を
Figure 0006610036
(No.166)とした時にCHA構造において指数が(1,1,1)の面に由来するピークである。
X線回折パターンで2θ=20.8°付近のピークは非特許文献1によればrhombohedral settingで空間群を
Figure 0006610036
(No.166)とした時にCHA構造において指数が(2,0,−1)の面に由来するピークである。
(1,0,0)面由来のピークの強度と(2,0,−1)の面に由来のピーク強度の典型的な比(ピーク強度比B)は、Halil Kalipcilar et al., "Synthesis and Separation Performance of SSZ-13 Zeolite Membranes on Tubular Supports", Chem. Mater. 2002, 14, 3458-3464(以下これを、「非特許文献2」ということがある。)によれば2未満である。
そのため、この比が2以上であるということは、例えば、CHA構造をrhombohedral settingとした場合の(1,0,0)面が膜複合体の表面と平行に近い向きになるようにゼオライト結晶が配向して成長していることを意味すると考えられる。ゼオライト膜複合体においてゼオライト結晶が配向して成長することは分離性能の高い緻密な膜が出来るという点で有利である。
(1,1,1)面由来のピークの強度と(2,0,−1)の面に由来のピーク強度の典型的な比(ピーク強度比A)は、非特許文献2によれば0.5未満である。
そのため、この比が0.5以上であるということは、例えば、CHA構造をrhombohedral settingとした場合の(1,1,1)面が膜複合体の表面と平行に近い向きになるようにゼオライト結晶が配向して成長していることを意味すると考えられる。ゼオライト膜複合体においてゼオライト結晶が配向して成長することは分離性能の高い緻密な膜が出来るという点で有利である。
このように、ピーク強度比A、Bのいずれかが、上記した特定の範囲の値であるということは、ゼオライト結晶が配向して成長し、分離性能の高い緻密なゼオライト膜が形成されていることを示すものである。
ピーク強度比A、Bはその値が大きいほど配向の程度が強いことを示し、一般的に配向の程度が強いほど緻密な膜が形成されていることを示す。一般的には配向が強いほど分離性能が高い傾向があるが、分離対象の混合物によっては分離性能が高くなる最適な配向の程度は異なるので分離対象の混合物によって適宜、配向の程度が最適なゼオライト膜複合体を選択して使用することが望ましい。
このようなゼオライト膜は従来公知の方法で製造することができるが、特に水熱合成によって製造されることが均一な膜を製造する上で好ましい。
具体的なゼオライト膜複合体の作製方法は、後掲の実施例の項に記載される通りであるが、本発明において分子ふるい膜として好適に用いられるゼオライト膜複合体について、後掲の実施例に記載の方法で測定された、焼成を行う膜については焼成後の、焼成を行わない膜については乾燥後の空気透過量は、通常1400L/(m・h)以下、好ましくは1000L/(m・h)以下、より好ましくは700L/(m・h)以下、さらに好ましくは600L/(m・h)以下、特に好ましくは500L/(m・h)以下、より好ましくは300L/(m・h)以下、最も好ましくは200L/(m・h)以下である。空気透過量の下限は特に限定されないが、通常0.01L/(m・h)以上、好ましくは0.1L/(m・h)以上、より好ましくは1L/(m・h)以上である。
ここで、空気透過量とは、実施例で詳述するとおり、ゼオライト膜複合体を絶対圧5kPaの真空ラインに接続した時の空気の透過量[L/(m・h)]である。
ゼオライト膜複合体の空気透過量が上記上限よりも小さいと、ゼオライト膜複合体に欠陥が少なく、濃縮時に水以外の成分が透過側に透過しにくい。空気透過量は小さいほど分離性能が高いことを示すので望ましいが、上記下限より小さいと、場合によっては、濃縮時の水の除去効率が悪くなることがある。
<濃縮方法>
以下に、分子ふるい膜として、上記のゼオライト膜、特にゼオライト膜複合体を用いて本発明に従って液状食品を濃縮する方法について説明するが、本発明で用いる分子ふるい膜は何らゼオライト膜に限定されるものではない。
本発明における「濃縮」とは、液状食品中の水の一部を除去することである。
具体的には、ゼオライト膜複合体の多孔質支持体側又はゼオライト膜側に、濃縮対象となる液状食品を接触させ、その反対側を液状食品が接触している側よりも低い圧力とすることによって、液状食品から水を選択的に透過させる。これにより、液状食品から水を分離することができる。その結果、液状食品中の濃縮したい成分の濃度を高めることで、液状食品を濃縮することができる。パーベーパレーション法(浸透気化法、PV法)、ベーパーパーミエーション法(蒸気透過法、VP法)と呼ばれる分離・濃縮方法はひとつの実施形態である。
また、液状食品を分子ふるい膜、特にゼオライト膜複合体を用いて濃縮する際には、必要に応じて、液状食品を予め前処理してもよい。
前処理としては、ろ過膜に液状食品を通すことで、繊維や澱、浮遊物といった不溶物や高分子量の化合物を取り除く処理が挙げられる。前処理によって除かれた、繊維や澱、浮遊物などの不溶物や高分子量の化合物は、ゼオライト膜複合体による濃縮後の濃縮液に戻しても戻さなくてもよい。
また、分子ふるい膜として前述した膜を用いて前処理を行うこともできる。具体的には、液状食品をMF膜、UF膜、NF膜およびRO膜の1種又は2種以上を用いて膜分離処理し、膜を透過した液をゼオライト膜複合体に接触させて濃縮する方法などが挙げられる。この場合も、前段の膜を透過しなかった物質をゼオライト膜複合体で濃縮後の液に混合してもしなくてもよい。
これらの前処理を行うことによって、後段の処理や濃縮に用いる膜のファウリングを低減したり、目詰まりを抑制することができ、後段の処理や濃縮に用いる膜の透過量を向上させて処理効率を高めたり、膜の寿命を延長させるなどの効果が得られる場合がある。
また、液状食品の濃縮には、2種以上の分子ふるい膜を用いることもでき、例えば、MF膜、UF膜、NF膜、RO膜等の分子ふるい膜の1種又は2種以上で膜分離処理し、得られた濃縮液をゼオライト膜複合体に接触させて濃縮してもよい。また、ゼオライト膜複合体に接触させて濃縮させた液を、さらにMF膜、UF膜、NF膜、RO膜等の分子ふるい膜で処理してもよい。
また、2種類以上のゼオライト膜複合体を用い、前段のゼオライト膜複合体の濃縮液を更に後段のゼオライト膜複合体で濃縮する多段濃縮処理としてもよい。
PV法ではゼオライト膜に液状食品を接触させて水を透過させる。すなわち、この方式は、透過気化法または浸透気化法とも呼ばれ、液状食品(供給液)を、ゼオライト膜を介して蒸発させ、その際、水のみを透過させることにより、液状食品を濃縮する。供給液は気化熱で冷却されるため、それを補うための加熱手段が必要となる。
以下、図1を参照してPV法による液状食品の濃縮方法を説明する。
図1に示すプロセスでは、ゼオライト膜(ゼオライト膜複合体)(1M),(2M)により内部が濃縮室と透過室とに仕切られた濃縮装置(1),(2)が2基直列に配置され、供給液である液状食品は、供給ポンプ(51)により、加熱器(11)を経由して第1濃縮装置(1)に供給される。ゼオライト膜(ゼオライト膜複合体)(1M)を透過した水(気体)は冷却器(3)に導入されて冷却、液化された後にタンク(4)に貯蔵される。ゼオライト膜(ゼオライト膜複合体)(1M)を透過せずに濃縮された液状食品は加熱器(11)を経由して第1濃縮装置(1)の濃縮室に循環されて濃縮処理される。
第1濃縮装置(1)の循環路から取り出された濃縮液は、中間加熱器(21)を経由して第2濃縮装置(2)に供給される。そして、上記と同様に、ゼオライト膜(ゼオライト膜複合体)(2M)を透過した水(気体)は冷却器(3)に導入されて冷却、液化された後にタンク(4)に貯蔵され、ゼオライト膜(ゼオライト膜複合体)(2M)を透過せずに濃縮された液状食品は中間加熱器(21)を経由して第2濃縮装置(2)の濃縮室に循環されて濃縮処理される。
そして、最終的に濃縮された液状食品は、排出弁(63)を開として第2濃縮装置(2)の循環路から取り出される。
第1濃縮装置(1)及び第2濃縮装置(2)における液の循環は循環ポンプ(52)及び(53)によって行われる。濃縮装置(1),(2)の駆動に必要な真空は、真空ポンプ(54)によって与えられ、各濃縮装置(1),(2)の透過室の真空度は配管途中に設けられた圧力制御弁(61)及び(62)によって制御される。タンク(4)に貯蔵された水の排出は、排出用ポンプ(55)によって行われる。
なお、図1に示すPV法は循環方式を採用しているが非循環方式を採用してもよい。また、濃縮装置の駆動は、図1に示す真空方式に代え、窒素、乾燥空気等を透過室に供給するスイープガス方式を採用してもよい。また、濃縮装置の設置個数は、条件により適宜選択され、1基の場合もあれば、図示したように2基以上使用されることもある。さらに、液状食品を濃縮装置に供給する前に、液状食品中の固形物を除去するためのフィルターを設けてもよい。
VP法ではゼオライト膜に液状食品の蒸気を接触させて水を透過させる。すなわち、この方式は、蒸気透過法とも呼ばれ、液状食品(供給液)を、加熱あるいは減圧することによって、あるいは加熱と減圧を組み合わせることによって蒸気を生じさせ、蒸気をゼオライト膜に接触させ、水のみを透過させることにより、液状食品を濃縮する。ゼオライト膜に蒸気のみを接触させることにより、繊維や澱、浮遊物といった不溶物や高分子量の化合物がゼオライト膜に接触することを避けることができ、膜のファウリングを低減したり、目詰まりを抑制することができ、膜の透過量を向上させて処理効率を高めたり、膜の寿命を延長させるなどの効果が得られる場合がある。
次に、濃縮装置の運転条件について説明する。
濃縮装置の運転条件の最適範囲は、濃縮装置に供給される液状食品の種類により異なるため一概に決定し得ないが、温度、操作圧力等の一般的条件は、公知の運転方法の条件の範囲から適宜選択され、以下のような範囲である。
例えば、濃縮装置に供給される液状食品の温度は、通常70℃以下、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは25℃以下である。液状食品の温度は、高温すぎると、液状食品中の成分が分解されることも懸念されるため、できるだけ低温の方が好ましい。ただし、液状食品の温度が過度に低いと液状食品が液状を維持し得なくなる恐れがあるため、液状食品の温度は、通常−10℃以上、好ましくは0℃以上である。前述の通り、PV法では、水が透過する際の気化熱で液状食品が冷却されるため、気化熱を補うために、図1のプロセスでは、加熱器(11),(21)で液状食品を加熱している。
操作圧力(濃縮装置の透過室の真空度)は、通常0.1〜1.5MPa、好ましくは0.2〜0.8MPaである。
濃縮時の雰囲気については特に制限はないが、芳香成分、旨み成分、機能性成分などの濃縮対象物質は酸化されやすい成分である場合もあるので、適宜窒素等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
<濃縮効果>
本発明の濃縮方法によれば、液状食品中の水を除去し、水以外の液状食品中の主成分(液状食品中最も濃度(重量%)の高い成分)を濃縮することができる。その際、芳香成分、旨み成分、機能性成分などの濃縮対象物質が分解されたり、水と共に大量に除去されたりしにくく、濃縮前の状態をほぼ維持したまま濃縮することができる。すなわち、濃縮前後において、水以外の主成分や、芳香成分、旨み成分、機能性成分などの濃縮対象物質の含有量がほとんど変化しない。したがって、水以外の主成分や、芳香成分、旨み成分、機能性成分などの濃縮対象物質について高い回収率を実現できる。尚、水以外の主成分が芳香成分、旨み成分、機能性成分などの濃縮対象物質である場合もある。
ここで、芳香成分とは嗅覚あるいは味覚を刺激することによって特徴的なにおいを有すると感知される任意の化合物であり、香味成分と称される場合もあり、果実芳香成分、コーヒー芳香成分、酒類芳香成分などが挙げられる。
より具体的には、イソチオシアネート類、インドール類、エーテル類、エステル類、アルデヒド類、ケトン類、アルコール類、脂肪酸類、脂肪族高級炭化水素類、テルペン類、チオエーテル類、チオール類、フェノール類、フェノールエーテル類、フルフラールおよびその誘導体類、ラクトン類が挙げられる。
旨み成分としては、主にアミノ酸であるグルタミン酸や、核酸構成物質のヌクレオチドであるイノシン酸、グアニル酸、キサンチル酸等の呈味性ヌクレオチド、その他の有機酸であるコハク酸やその塩類等が挙げられる。
機能性成分とは、疾病リスク低減や血圧降下作用や脂質代謝改善、抗酸化作用等の生理活性機能を有する成分であり、ミネラル類、ビタミン類、イリドイド類、カテキン類、ポリフェノール類、ケルセチン類、アミノ酸類、没食子酸誘導体、フラボン誘導体、イソフラボン誘導体、カフェイン、γ−アミノ酪酸、γ−オリザノール、トコフェノール、葉酸、コラーゲン、コエンザイム、ノビレチンなどが挙げられる。
本発明の方法によれば、水以外の液状食品中の主成分、芳香成分、旨み成分、機能性成分などの濃縮対象物質について、濃縮後の存在量が濃縮前の存在量に対して、通常70重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上とすることができる。すなわち、本発明は濃縮前後において、濃縮対象物質の含有量が変化せず、高い回収率を実現でき、主成分の損失量が少ないので経済的に優れる。また、芳香成分、旨み成分、機能性成分などについても濃縮過程でほとんど失われることがない。
より具体的には、濃縮対象物質である各成分の濃縮比率のずれが、通常50%未満、好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満、さらに好ましくは20%未満、特に好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満である。このように、本発明の方法は、濃縮前後において、濃縮対象物質の含有量が変化しにくい。濃縮比率のずれが上記上限以下であることにより、主成分や、芳香成分、旨み成分、機能性成分などの組成バランスが変化せず濃縮前の液状食品と同様の風味や味を実現できる。濃縮比率のずれの下限は0%である。
ここで濃縮比率とは、濃縮後の液状食品中の濃縮対象物質の濃度を、濃縮前の液状食品中の濃縮対象物質の濃度で除し、さらにそれぞれの濃縮倍率で除した値をいう。ここで濃縮比率のずれ(%)とは「濃縮比率」と「基準となる値1」との差の絶対値に100を乗じた値いう。
即ち、例えば、濃縮前の液状食品中のA成分の含有率がAo重量%で、濃縮後の液状食品中のA成分の含有率がAx重量%で、濃縮倍率がx倍である場合、濃縮比率のずれ(%)は以下の通り算出される。
濃縮比率のずれ(%)=|1−(Ax/Ao)/x|×100
この「濃縮比率のずれ」の値が小さいほど、濃縮前後における当該成分の液状食品中での組成バランスに対する変化が小さく、逆に、「濃縮比率のずれ」の値が大きいほど、濃縮前後における当該成分の液状食品中での組成バランスに対する変化が大きい。
特に、水以外の主成分、遊離アミノ酸またはカテキン類などの濃縮比率のずれが上記範囲であることが好ましい。さらには、遊離アミノ酸の中では、Asp、Thr、Ser、Asn、Glu、Gln、Gly、Ala、Val、Cys2、Met、Ile、Leu、Tyr、Phe、Trp、Lys、His、Arg、Proの濃縮比率のずれが、上記範囲であることが好ましい。特に、茶系飲料に本発明の濃縮方法を用いる場合には、Theanineおよび/またはカフェインの濃縮比率のずれが上記範囲であることが好ましい。
本発明の方法では、濃縮前後において濃縮対象物質の液状食品中の含有量がほとんど変化せずに、濃度のみが高められるが、この結果、本発明によれば、濃縮前に対する濃縮後の、水以外の主成分、芳香成分、旨み成分、機能性成分の組成比をほとんど変えることなく、濃縮することができる。
濃縮前に対する濃縮後の水以外の主成分、芳香成分、旨み成分、機能性成分の組成比がほとんど変わらないことを表す指標としては、以下の(1)〜(4)の条件を挙げることができ、本発明では、下記(1)〜(4)の条件のうち、少なくとも1つを満たすことが好ましく、下記(1)〜(4)の条件のうち2つを満たすことがより好ましく、下記(1)〜(4)の条件のうち3つを満たすことがさらに好ましく、とりわけ下記(1)〜(4)の条件のすべてを満たすことが好ましい。
(1) (X1/Y1)/(X2/Y2)が、0.5以上、3以下である。
(2) (X1/Z1)/(X2/Z2)が、0.5以上、3以下である。
(3) {(Z1−Y1)/Z1}/{(Z2−Y2)/Z2}が、0.5以上、3以下である。
(4) (X1/W1)/(X2/W2)が、0.5以上、3以下である。
上記式中、各符号の意味は以下のとおりである。
X1:濃縮前の前記液状食品中の芳香成分、旨み成分及び機能性成分のうちのいずれ
かの濃度
Y1:濃縮前の前記液状食品中の水以外の主成分の濃度
Z1:濃縮前の前記液状食品中の水以外の全成分の合計濃度
W1:濃縮前の前記液状食品中の芳香成分、旨み成分及び機能性成分のうちのいずれ
かのうちX1の成分以外から選ばれる成分の濃度
X2:濃縮後の前記液状食品中の芳香成分、旨み成分及び機能性成分のうちのいずれ
かの濃度
Y2:濃縮後の前記液状食品中の水以外の主成分の濃度
Z2:濃縮後の前記液状食品中の水以外の全成分の合計濃度
W2:濃縮後の前記液状食品中の芳香成分、旨み成分及び機能性成分のうちのいずれ
かのうちX2の成分以外から選ばれる成分の濃度
ただし、X1とX2の成分は同じものとする。また、W1とW2の成分は同じものとする。
上記(1)の(X1/Y1)/(X2/Y2)の値は、より好ましくは0.8以上、1.2以下である。また、上記(2)の(X1/Z1)/(X2/Z2)の値は、より好ましくは0.8以上、1.2以下である。また、上記(3)の{(Z1−Y1)/Z1}/{(Z2−Y2)/Z2}の値は、より好ましくは0.8以上、1.2以下である。また、上記(4)の(X1/W1)/(X2/W2)の値は、より好ましくは0.8以上、1.2以下である。
上記条件(1),(2)、(4)は、液状食品中の芳香成分、旨み成分、機能性成分のうちの1種以上について満足されていればよいが、2種以上、特に3種以上、とりわけすべての成分について満足されていることが好ましい。ただし、芳香成分、旨み成分、機能性成分の濃度X1,X2、W1、W2は、定量可能な成分によって算出されればよく、網羅している必要はない。X1,X2、W1、W2としては、アミノ酸類及び/又はカテキン類及び/又はポリフェノール類及び/またはカフェインの濃度が好適に用いられ、その具体的な測定方法は、後掲の実施例の項に記載した通りである。
上記(1)〜(4)の条件を満たし、濃縮前後で、それぞれの式の値が上記範囲にあるとき、濃縮後の液状食品中の主成分や、芳香成分、旨み成分、機能性成分などの組成バランスが変化せず、濃縮前の液状食品と同様の風味や味を実現することができる。
本発明は上記のとおり、低温での濃縮が可能なため、濃縮により濃縮対象物質が熱によって分解されることを避けることができるほか、低沸点成分を含有したまま濃縮することが可能である。そのため、濃縮対象物質として、分解温度が通常150℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下の物質を含む液状食品の濃縮に好適に適用される。また、濃縮対象物質として沸点が通常100℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは50℃以下、特に好ましくは40℃以下、とりわけ好ましくは30℃以下の成分を含有する液状食品の濃縮に好適に適用される。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
以下の実施例において、X線回折(XRD)測定、SEM−EDX測定、カテキン濃度の測定、アミノ酸濃度の測定は以下の方法により行った。
[X線回折(XRD)測定]
ゼオライト膜のXRD測定を、以下の条件で行った。
・装置名:オランダPANalytical社製X’PertPro MPD
・光学系仕様 入射側:封入式X線管球(CuKα)
Soller Slit (0.04rad)
Divergence Slit(Valiable Slit)
試料台:XYZステージ
受光側:半導体アレイ検出器(X’ Celerator)
Ni−filter
Soller Slit (0.04rad)
ゴニオメーター半径:240mm
・測定条件 X線出力(CuKα):45kV、40mA
走査軸:θ/2θ
走査範囲(2θ):5.0−70.0°
測定モード:Continuous
読込幅:0.05°
計数時間:99.7sec
自動可変スリット(Automatic−DS):1mm(照射幅)
横発散マスク:10mm(照射幅)
なお、X線は円筒管状の膜複合体の軸方向に対して垂直な方向に照射した。またX線は、できるだけノイズ等がはいらないように、試料台においた円筒管状のゼオライト膜複合体と、試料台表面と平行な面とが接する2つのラインのうち、試料台表面ではなく、試料台表面より上部にあるもう一方のライン上に主にあたるようにした。
また、照射幅を自動可変スリットによって1mmに固定して測定し、Materials Data, Inc.のXRD解析ソフトJADE 7.5.2(日本語版)を用いて可変スリット→固定スリット変換を行ってXRDパターンを得た。
[SEM−EDX測定]
ゼオライト膜のSEM−EDX測定を、以下の条件で行った。
・装置名:SEM:FE−SEM Hitachi:S−4800
EDX:EDAX Genesis
・加速電圧:10kV
倍率5000倍での視野全面(25μm×18μm)を走査し、X線定量分析を行った。
このSEM−EDX測定により、生成したゼオライト膜自体のSiO/Alモル比を求めた。
[カテキンおよびカフェイン濃度測定]
カテキンおよびカフェインの濃度の測定は、以下の条件に基づいて行った。
カラム:Unison UK−C18(3μm、4.6×75mm、Imtakt)、
40℃
移動相:A 0.1%HPO/水 B CHCN、1.0ml/min
メソッド B(%)5%(0min)→50%(15min)
→80%(15.1min)→80%(20min)
検出器:PDA(280mm)
注入量:5μl
なお、試料溶液は、0.45μmフィルターでろ過した後分析した。カテキンおよびカフェイン量の比較はLC面積比で行った。
[アミノ酸濃度測定]
アミノ酸濃度の測定は、以下の条件に基づいて行った。
装置:日立アミノ酸分析計 L−8900
分析条件:生体アミノ酸分離条件−ニンヒドリン発色法
標準品:PF(和光アミノ酸混合液AN2型0.8ml+B型0.8ml→10ml)
注入量:10μl
定量計算:Proは440nm、他のアミノ酸は570nmのピーク面積から
一点外部標準法で算出。
TheanineについてはGlnの検量線を用いた。
[実施例1]
<ゼオライト膜複合体の作製>
CHA型ゼオライトを無機多孔質支持体上に直接水熱合成することでゼオライト膜複合体を作製した。
水熱合成のための水性反応混合物として以下のものを調製した。
水酸化アルミニウム(Al 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)23.6gに1mol/L−KOH水溶液693gと水680gを加え、混合撹拌して溶解させ、溶液とした。これにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)149gを加えて2時間撹拌し、水熱合成用水性反応混合物とした。
この混合物の組成(モル比)は、SiO/Al/KOH/HO=1/0.125/0.7/80/、SiO/Al=8であった。
無機多孔質支持体としては、円筒管状の多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm、長さ800mm、気孔率40%)を用いた。
プロトン型のY型ゼオライト(HY(SAR=5)、触媒化成工業社製)10.0gにNaOH5.00gと水100gを混合したものを100℃で7日間加熱した後、ろ過、水洗、乾燥することによりFAU型ゼオライトを得た。このFAU型ゼオライトの粒度分布を測定したところD50は1.73μm、極大値は1.32μm、2.98μmであった(粒径:2μm程度)。このFAU型ゼオライトを種結晶として使用した。
この種結晶を水に0.5重量%分散させたものに、上記支持体を所定時間浸した後、100℃で5時間以上乾燥させて種結晶を付着させた。付着した種結晶の重量は0.4g/mであった。
種結晶を付着させた支持体を、上記水熱合成用水性反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒(1700ml)に筒軸方向に挿入して水熱合成用水性反応混合物に浸漬し、その後、オートクレーブを密閉し、5時間かけて室温から180℃まで昇温した。昇温完了後、180℃で24時間、静置状態で、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後に放冷し、ゼオライト膜複合体を水性反応混合物から取り出し、洗浄後、100℃で4時間乾燥させた。
乾燥後、円筒管状のゼオライト膜複合体の一端を封止し、他の一端を5kPaの真空ラインに接続して管内を減圧とし、真空ラインとゼオライト膜複合体の間に設置したマスフローメーターで空気の流量を測定したところ、4L/(m・h)であった。
乾燥後のゼオライト膜複合体の重量と支持体の重量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は120g/mであった。
<緑茶の濃縮>
上記の方法により得られたゼオライト膜複合体を長さ80mmに切断したものを用いて、PV法により、窒素雰囲気下で、40℃の緑茶から水を選択的に透過させる濃縮を行った。濃縮に供した緑茶の仕様は、以下の通りである。
<緑茶>
株式会社イオン製
食品分類(清涼飲料水)
原材料:緑茶(国産)、酸化防止剤(ビタミンC)
栄養成分(100mLあたり):エネルギー1kcal、たん白質0g、脂質0g、炭水化物0.2g、ナトリウム7mg、ポリフェノール90mg
含水率:90重量%以上
上記緑茶(茶系飲料)95gに、一端を封止した円筒管状のゼオライト膜複合体を鉛直方向に浸漬し、円筒管の中空部を真空引きするPV法により、窒素雰囲気下、緑茶を撹拌しながら、液温40℃、操作圧力1KPaで濃縮を行った。
PV法に用いた濃縮装置の概略図を図2に示す。図2においてゼオライト膜複合体73は真空ポンプ77によって内側が減圧され、被分離液72が接触している外側と圧力差が約1気圧になっている。この圧力差によって被分離液72中、透過物質の水がゼオライト膜複合体73に浸透気化して透過する。透過した物質はコールドトラップ75で捕集される。一方、被分離液72中の水以外の主成分、芳香成分、旨み成分、機能性成分などの濃縮対象物質は、ゼオライト膜複合体73の外側に滞留する。71は湯浴、74は窒素バッグである。
濃縮は35時間行った。濃縮後の緑茶は54gであり、41gが除去され1.76倍に濃縮された(濃縮倍率1.76倍)。
濃縮前の緑茶のアミノ酸濃度測定、カテキン濃度測定、及び濃縮後の緑茶のアミノ酸濃度測定、カテキン濃度測定を行った。
濃縮前の緑茶と濃縮後の緑茶のアミノ酸濃度測定の結果を表1に示す。
Figure 0006610036
表1より、各種アミノ酸のバランスがほとんど変化せずに濃縮が行われていることが確認された。また、濃縮の前後でアミノ酸合計の濃度が1.74倍となった。
アミノ酸濃度の測定結果と緑茶の重量より、濃縮前の緑茶には3.81mgのアミノ酸が含まれており、濃縮後の緑茶には3.78mgのアミノ酸が含まれていることが確認された。濃縮後のアミノ酸の回収率は99.1%であった。この結果から本濃縮方法によれば、アミノ酸をほとんど損なうことなく濃縮を行うことができることが確認された。
濃縮前の緑茶と濃縮後の緑茶のカテキンおよびカフェイン濃度測定の結果を表2に示す。
Figure 0006610036
表2より、カフェインの濃度が濃縮の前後で1.70倍となり、緑茶の濃縮倍率(1.76倍)と比較しても分かる通り、カフェインがほとんど失われずに濃縮が行われていることが確認された。
濃縮比率として、実施例1の濃縮後の緑茶に含まれる各遊離アミノ酸濃度、カテキン濃度およびカフェイン濃度に比例すると考えられるLC面積を、濃縮前の緑茶中の各遊離アミノ酸濃度とカテキンLC面積、カフェインLC面積でそれぞれ除し、さらにそれぞれの濃縮倍率で除した値を算出した。
そして、この「濃縮比率」と「基準となる値1」との差の絶対値に100を乗じた値を、「濃縮比率のずれ(%)」とした。すなわち、この「濃縮比率のずれ」の値が小さいほど、濃縮前後における当該成分の緑茶中での比率の変化が小さく、逆に、「濃縮比率のずれ」の値が大きいほど、濃縮前後における当該成分の緑茶中での比率変化が大きいことを示す。
その結果を表3に示す。
Figure 0006610036
表3から、実施例1における各アミノ酸およびカテキンおよびカフェインの濃縮比率のずれは、いずれも20%未満であることがわかる。また、アミノ酸合計の濃縮比率のずれは1%未満であることがわかる。またカフェインの濃縮比率のずれは5%未満であることがわかる。
また、緑茶中の成分アミノ酸とカフェインについて、前述の条件(4)の式の値を算出すると、X1=40.11mg/L、X2=60.11mg/L(アミノ酸濃度)、W1=954328、W2=1621952(カフェインの濃度に比例すると考えられるLC面積)であるため、条件(4)の式の値は1.1となる。
[実施例2]
<ゼオライト膜複合体の作製>
CHA型ゼオライトを無機多孔質支持体上に直接水熱合成することでゼオライト膜複合体を作製した。
水熱合成のための反応混合物として、以下のものを調製した。
水酸化アルミニウム(Al 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)0.88gに1mol/L−NaOH水溶液10.5gと1mol/L−KOH水溶液7.0gと水100.0gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(TMADAOH)水溶液(TMADAOH25重量%含有、セイケム社製)2.36gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)10.5gを加えて2時間撹拌し、水熱合成用水性反応混合物を調製した。
この混合物の組成(モル比)はSiO/Al/NaOH/KOH/HO/TMADAOH=1/0.066/0.15/0.1/100/0.04、SiO/Al=15であった。
無機多孔質支持体として、円筒管状のセラミックス多孔管(外径12mm、内径9mm)を80mmの長さに切断した後、超音波洗浄機で洗浄した後乾燥させたものを用いた。
支持体上には水熱合成に先立ち、上記の方法と同様の方法によりSiO/Al/NaOH/HO/TMADAOH=1/0.033/0.1/40/0.1のゲル組成で160℃、2日間水熱合成して結晶化させた0.5μm程度のCHA型ゼオライトの種結晶を、水に0.5重量%分散させたものに、上記支持体を所定時間浸した後、100℃で5時間以上乾燥させて種結晶を付着させた。付着した種結晶の重量は約0.4g/mであった。
この種結晶を付着させた支持体を上記水熱合成用水性反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒に筒軸方向に挿入して水熱合成用水性反応混合物に浸漬し、その後オートクレーブを密閉し、160℃で48時間、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後にゼオライト膜複合体を水性反応混合物から取り出し、洗浄後、100℃で5時間以上乾燥させた。
乾燥後、未焼成の円筒管状のゼオライト膜複合体の一端を封止し、他の一端を5kPaの真空ラインに接続して管内を減圧とし、真空ラインとゼオライト膜複合体の間に設置したマスフローメーターで空気の流量を測定したところ、0L/(m・h)であった。
次いで、このゼオライト膜複合体を電気炉で500℃にて、5時間焼成してテンプレートのTMADAOHを除去した。焼成後のゼオライト膜複合体の重量と支持体の重量の差から求めた支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は130g/mであった。
生成した膜のXRDを測定したところ、CHA型ゼオライトが生成していることがわかった。XRDパターンから、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=4.9であり、種結晶に用いた粉末のCHA型ゼオライトのXRDに比べ2θ=17.9°付近のピークの強度が顕著に大きく、rhombohedral settingにおける(1,1,1)面への配向が推測された。
また、SEM−EDXにより、ゼオライト膜のSiO/Alモル比を測定したところ、17であった。
また、焼成後のゼオライト膜複合体について、上記と同様に測定した空気の流量は22L/m・hであった。
<食酢の濃縮>
上記の方法により得られた、焼成後のゼオライト膜複合体を用いて、PV法により、窒素雰囲気下で、70℃の食酢から水を選択的に透過させる濃縮を行った。濃縮に供した食酢の仕様は以下の通りである。
<食酢>
株式会社ミツカン製 穀物酢
原材料:穀類(小麦、米、コーン)、アルコール、酒かす
酸度:4.2%
栄養成分(15mLあたり):エネルギー3.8kcal、たん白質0g、脂質0g、炭水化物1.1g、ナトリウム0〜1mg
含水率:90重量%以上
上記食酢(以下、原液)40.6gを、ゼオライト膜複合体を備えたガラス容器のゼオライト膜複合体の外周とガラス容器内面との間に入れ、攪拌子で攪拌しながら、湯浴により70℃に加熱した。真空ポンプを用いて、ゼオライト複合体の内側を0.2kPaに減圧することで、ゼオライト膜複合体を透過した成分を気化させ、捕集用トラップで捕集した。
透過液は1時間毎に回収し、その回収した重量に相当する重量の食酢(原液)をガラス容器に追加することで、ガラス容器内の容量を一定に保ち、8時間濃縮を行った。
[比較例1]
ガラス蒸留装置を用いて、100℃の食酢から水を蒸発させて濃縮を行った。
実施例2と同じ食酢(原液)120.0gを、200mlの二口フラスコに入れ、攪拌子で攪拌しながら油浴で100℃に加熱した。発生した蒸気を、二口フラスコに取り付けた20cmのヴィグリュー分留管を通過させ、次いでリービッヒ冷却管で冷却して凝縮した成分を捕集した。蒸留は6時間行った。
[実施例2と比較例1の濃縮結果の対比]
原液と、実施例2および比較例1で得られた濃縮液に含まれる遊離アミノ酸濃度の測定を行った。
濃縮液は超純水で10倍に希釈し、限外ろ過膜(MWCO10,000、ミリポア社製)でろ過後、ろ液を前述のアミノ酸濃度の測定に供した。
(1)濃縮倍率
濃縮倍率は、使用した食酢(原液)の重量を得られた濃縮液の重量で除した値とした。
実施例2で使用した食酢は合計で127.8gであり、ガラス容器から回収した濃縮液は25.7gであった。すなわち、濃縮倍率は5.0倍であった。
一方、比較例1で使用した食酢(原液)は120.0gであり、二口フラスコから回収した濃縮液は13.7gであった。すなわち、濃縮倍率は8.8倍であった。
(2)遊離アミノ酸濃度の測定結果
実施例2及び比較例1における遊離アミノ酸濃度の測定結果を表4に示す。
Figure 0006610036
(3)濃縮比率
濃縮比率として、実施例2および比較例1の濃縮液に含まれる各遊離アミノ酸濃度を、原液中の各遊離アミノ酸濃度でそれぞれ除し、さらにそれぞれの濃縮倍率で除した値を算出した。
そして、この「濃縮比率」と「基準となる値1」との差の絶対値に100を乗じた値を、「濃縮比率のずれ(%)」とした。すなわち、この「濃縮比率のずれ」の値が小さいほど、濃縮前後における当該成分の食酢中での比率の変化が小さく、逆に、「濃縮比率のずれ」の値が大きいほど、濃縮前後における当該成分の食酢中での比率変化が大きいことを示す。
その結果を表5に示す。
Figure 0006610036
表5から、実施例2における各アミノ酸の濃縮比率のずれは、いずれも40%未満であるのに対し、比較例1における各アミノ酸の濃縮比率のずれは大きく、特にアスパラギン酸(Asp)が53%、アスパラギン(Asn)が56%、グルタミン酸(Glu)が60%と大きいことが分かった。
すなわち、ゼオライト膜による濃縮では、食酢原液のアミノ酸バランスが維持されているが、蒸留による場合は、食酢原液のアミノ酸バランスが大きく変化していることが分かった。
また、実施例2において食酢中の水以外の主成分は酢酸であるため、Y1=42g/L、Y2=239g/Lである。
また、食酢中の成分アミノ酸について、前述の条件(1)〜(2)の式の値を算出すると、X1=0.453g/L、X2=2.484g/Lであるため、条件(1)の式の値は1.04である。
また、比較例1において食酢中の水以外の主成分は酢酸であるため、Y1=42g/L、Y2=131g/Lである。
また、食酢中の成分アミノ酸について、前述の条件(1)〜(2)の式の値を算出すると、X1=0.453g/L、X2=3.573g/Lであるため、条件(1)の式の値は0.40である。
1 第1濃縮装置
1M ゼオライト膜(ゼオライト膜複合体)
2 第2濃縮装置
2M ゼオライト膜(ゼオライト膜複合体)
3 冷却器
4 タンク
11 加熱器
21 中間加熱器
51 供給ポンプ
52 循環ポンプ
53 循環ポンプ
54 真空ポンプ
55 排出用ポンプ
61,62 圧力制御弁
63 排出弁
71 湯浴
72 被分離液
73 ゼオライト膜複合体
74 窒素バッグ
75 コールドトラップ
76 圧力ゲージ
77 真空ポンプ

Claims (5)

  1. 含水率が10重量%以上の液状食品から、水の一部を除去して該液状食品を濃縮する方法であって、
    該液状食品を分子ふるい膜へ導入して、水の一部を分離除去するものであり、
    前記分子ふるい膜が、多孔質支持体上に形成された酸素6〜8員環の細孔構造を有するゼオライトを含むゼオライト膜であり、
    前記濃縮方法が、パーベーパレーション法またはベーパーパーミエーション法であることを特徴とする、液状食品の濃縮方法。
  2. ゼオライト膜自体のSiO /Al モル比が、5以上50以下である、請求項1に記載の液状食品の濃縮方法。
  3. 以下に定義される、濃縮前後の前記液状食品中の濃縮対象物質の濃縮比率のずれが50%未満であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の液状食品の濃縮方法。
    濃縮比率のずれ:濃縮後の液状食品中の濃縮対象物質の濃度を、濃縮前の液状食品中の濃縮対象物質の濃度で除した値を、さらに濃縮倍率で除して求められる「濃縮比率」と「基準となる値1」との差の絶対値に100を乗じた値
  4. 前記液状食品中の水以外の主成分、芳香成分、旨み成分、及び機能性成分の、濃縮後の存在量が濃縮前の存在量に対して70重量%以上であることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の液状食品の濃縮方法。
  5. 下記(1)〜(4)の条件の少なくとも1つを満たすことを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の液状食品の濃縮方法。
    (1)(X1/Y1)/(X2/Y2)が、0.5以上、3以下である。
    (2)(X1/Z1)/(X2/Z2)が、0.5以上、3以下である。
    (3){(Z1−Y1)/Z1}/{(Z2−Y2)/Z2}が、0.5以上、3以下である。
    (4)(X1/W1)/(X2/W2)が、0.5以上、3以下である。
    上記式中、各符号の意味は以下のとおりである。
    X1:濃縮前の前記液状食品中の芳香成分、旨み成分及び機能性成分のうちのいずれ
    かの濃度
    Y1:濃縮前の前記液状食品中の水以外の主成分の濃度
    Z1:濃縮前の前記液状食品中の水以外の全成分の合計濃度
    W1:濃縮前の前記液状食品中の芳香成分、旨み成分及び機能性成分のうちのいずれ
    かのうちX1の成分以外から選ばれる成分の濃度
    X2:濃縮後の前記液状食品中の芳香成分、旨み成分及び機能性成分のうちのいずれ
    かの濃度Y2:濃縮後の前記液状食品中の水以外の主成分の濃度
    Z2:濃縮後の前記液状食品中の水以外の全成分の合計濃度
    W2:濃縮後の前記液状食品中の芳香成分、旨み成分及び機能性成分のうちのいずれ
    かのうちX2の成分以外から選ばれる成分の濃度
    ただし、X1とX2の成分は同じものとする。また、W1とW2の成分は同じものとする。
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