JP2014122656A - ショックアブソーバ - Google Patents

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Yamaha Motor Hydraulic System Co Ltd
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Abstract

【課題】車両への搭載性を確保しつつ、乗り心地と走行性能との両方を従来よりも高いレベルで満足させることができるショックアブソーバを提供すること。
【解決手段】圧縮行程における第一室21への作動流体の流入を一方向に許容する第一チェックバルブ33が、ピストン部13に設けられておらず、且つシリンダ体11の内部空間の外部に設けられており、伸長行程における第二室22への作動流体の流入を一方向に許容する第二チェックバルブ35が、シリンダ体11の内部空間の外部、又はベースバルブ部32の少なくとも一方の位置に設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、ショックアブソーバに関する。
一般に、自動車および自動二輪車等には、車両において発生する振動を減衰するためにショックアブソーバ(緩衝器)が設けられている。ショックアブソーバは、通常、シリンダを備えている。シリンダ内に、ピストンと、ピストンを支持するピストンロッドとが設けられている。シリンダ内は、ピストンによって、2つのオイル室に分離されている。ショックアブソーバの伸縮に合わせてピストンが動く。これにより、2つのオイル室の間でオイルが移動する。オイルの移動経路には、減衰力発生部として、比較的流路面積の狭いオリフィス、バルブ等が設けられている。これらの面積の狭い流路を通過するときの流体抵抗により、減衰力を発生させ、車両に発生する振動を減衰させる。
従来のショックアブソーバとしては、例えば、特許文献1に開示された複筒式ショックアブソーバが挙げられる。
特許文献1の複筒式ショックアブソーバでは、外筒内にシリンダが設けられている。外筒とシリンダとの間の空間がリザーバとして用いられる。シリンダ内に、シリンダ内部を上部油室と下部油室とに区画するピストンが設けられている。ピストンは、シリンダ内に挿入されるピストンロッドの一端に連結されている。
ピストンには、主伸長緩衝弁及びチェックバルブが設けられている。主伸長緩衝弁は、上部油室から下部油室への油の流れを制限することにより、外筒に対するピストンロッドの伸減衰力を発生させる。なお、主伸長制御弁は、下部油室から上部油室へ作動流体を流さない。また、チェックバルブは、下部油室から上部油室への作動流体の流れのみを許容する。
シリンダの底壁(ベースバルブ)には、主収縮緩衝弁及びチェックバルブが設けられている。主収縮緩衝弁は、下部油室からリザーバへの油の流れを制限することにより、外筒に対するピストンロッドの圧減衰力を発生させる。なお、主収縮緩衝弁は、リザーバから下部油室へ作動流体を流さない。また、チェックバルブは、リザーバから下部油室への作動流体の流れのみを許容する。
上部油室と下部油室との間には、両方の緩衝弁を経由しないバイパスが設けられている。下部油室とリザーバとの間にも、両方の緩衝弁を経由しないバイパスが設けられている。両バイパスには、それぞれ流量調整弁が設けられている。
また、従来のショックアブソーバとしては、例えば、単筒式ショックアブソーバが挙げられる。
単筒式ショックアブソーバでは、リザーバ内がガスで加圧されている。そして、ピストンに設置された減衰力バルブにより、減衰力が発生する。従って、ベースバルブが減衰力の発生に寄与する割合(寄与率)を小さくしたり、ベースバルブを省略したりすることが可能である。
さらに、従来のショックアブソーバとしては、例えば、特許文献2に開示されたショックアブソーバが挙げられる。
特許文献2のショックアブソーバでは、シリンダ内に、ソリッドピストン(中実のピストン)が設けられている。ソリッドピストンは、シリンダ内部を、キャップ側のチャンバと、ヘッド側のチャンバとに区画している。また、キャップ部に、圧減衰バルブと伸減衰バルブとが設けられている。
ショックアブソーバの圧縮時には、キャップ側のチャンバから排出される作動流体は、圧減衰バルブを通過し、ヘッド側のチャンバに流入する。但し、シリンダ内に進入したピストンロッドの体積に相当する量の作動流体は、リザーバに流入する。
ショックアブソーバの伸長時には、ヘッド側のチャンバから排出される作動流体は、伸減衰バルブを通過し、キャップ側のチャンバに流入する。さらに、シリンダ内から退出したピストンロッドの体積に相当する量の作動流体が、リザーバからキャップ側のチャンバに供給される。
特公昭60−21259号公報 特開平6−221365号公報
特許文献1の複筒式ショックアブソーバでは、主にシリンダ内にピストンロッドが進入した体積に相当する作動流体が、下部油室から、ベースバルブの主収縮緩衝弁を通ってリザーバに排出される。この時、シリンダ内圧が上昇し、ピストンロッドがこの圧力を受ける。即ち、特許文献1の複筒式ショックアブソーバでは、圧減衰力=シリンダ内圧×ピストンロッドの断面積、という関係が成立する。
ところが、シリンダの断面積と比較すると、ピストンロッドの断面積は小さい。そのため、高圧になるシリンダ内の油量が多く、作動油の圧縮性の影響を強く受けてしまう。その結果、ピストン速度に対して減衰力の発生が遅れてしまう。即ち、応答性が低下する。このように、特許文献1の複筒式ショックアブソーバには、乗り心地と走行性能との両立に改善の余地があった。
また、上述したような単筒式ショックアブソーバでは、ベースバルブの寄与率を小さくしても、複筒式ショックアブソーバと同様に、シリンダ内圧が高圧となるので、作動油の圧縮性の影響を受け易い。また、ガスによる加圧により、ピストンロッドにガス反力が発生する。ガス反力は、ピストンのストローク位置や温度の変化により変化するので、乗り心地と走行性能とを安定させ難い。また、ピストンロッドがゴムマウントを介して車両に連結される場合には、ゴムマウントの変形により、更に乗り心地が悪化するという問題もあった。
また、特許文献2のショックアブソーバでは、圧減衰力=シリンダ内圧×ソリッドピストンの断面積、という関係が成立する。そのため、特許文献2のショックアブソーバは、特許文献1のショックアブソーバと異なり、圧減衰力の受圧面積が大きい。従って、特許文献2のショックアブソーバは、作動油の圧縮性の影響を受け難い。
しかしながら、特許文献2のショックアブソーバでは、圧減衰バルブ及び伸減衰バルブがキャップ部に設けられている。そのため、キャップ部の全長が大きくなったり、キャップ部自体が大型化したりする。その結果、ショックアブソーバの車両への搭載性に問題があった。
なお、搭載性を損なわないために、バルブを小型化することが考えられる。しかし、小型のバルブが採用されると、ピストンの移動速度が高く且つ作動油の流量が大きい場合に、減衰力が過度に増大する場合がある。そのため、乗り心地の改善が難しくなってしまう。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、車両への搭載性を確保しつつ、乗り心地と走行性能との両方を従来よりも高いレベルで満足させることができるショックアブソーバを提供することである。
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
(1) ショックアブソーバであって、
前記ショックアブソーバは、
筒状のシリンダ部と前記シリンダ部の一端の開口を覆うキャップ部と前記シリンダ部の他端の開口を覆うヘッド部とを備え、前記シリンダ部と前記キャップ部と前記ヘッド部とにより構成された内部空間を有するシリンダ体と、
前記シリンダ体が、前記ショックアブソーバの伸長時に高圧となる第一室と、前記ショックアブソーバの圧縮時に高圧となる第二室とを備えるように、前記シリンダ体の前記内部空間を区画するピストン部と、
前記ピストン部に固定され、前記ヘッド部を通って、前記シリンダ体の外部まで延出されたピストンロッド部と、
前記シリンダ体の前記内部空間において、前記ピストン部よりも前記キャップ部側の位置に設けられたベースバルブ部と
を備え、
前記ピストン部には、前記第一室から前記第二室への作動流体の流れを一方向に許容し且つ伸減衰力を発生させる伸減衰バルブが設けられ、
前記ベースバルブ部には、前記ベースバルブ部の前記キャップ側から前記第二室への作動流体の流れを一方向に許容し且つ圧減衰力を発生させる圧減衰バルブが設けられ、
圧縮行程における前記第一室への作動流体の流入を一方向に許容する第一チェックバルブが、前記ピストン部に設けられておらず、且つ前記シリンダ体の前記内部空間の外部に設けられており、
伸長行程における前記第二室への作動流体の流入を一方向に許容する第二チェックバルブが、前記シリンダ体の前記内部空間の外部、又は前記ベースバルブ部の少なくとも一方の位置に設けられている。
(1)の構成によれば、第一チェックバルブが、ピストン部に設けられていない。従って、ショックアブソーバの圧縮行程において、ピストン部の断面積が、圧減衰力の受圧面積となる。従って、ピストンロッド部のみで圧減衰力を発生させる場合と比べると、シリンダ体の内部空間が低圧の状態で圧減衰力を発生させることができる。言い換えると、シリンダ体の内圧上昇を抑えつつ圧減衰力を発生させることができる。そのため、作動流体の圧縮性の影響を受け難い。従って、大きな圧減衰力であっても、応答性良く発生させることができる。
第一チェックバルブが、ピストン部に設けられていない。従って、ピストン部に設けられる伸減衰バルブを大きくできる。これにより、伸減衰バルブの周長を大きくできる。その結果、伸減衰バルブが開く距離(所謂バルブリフト)を小さくできる。従って、伸減衰バルブの開閉応答性が向上する。
第二チェックバルブが、ベースバルブ部に設けられていない。従って、ベースバルブ部に設けられる圧減衰バルブを大きくできる。これにより、圧減衰バルブの周長を大きくできる。その結果、圧減衰バルブが開く距離(所謂バルブリフト)を小さくできる。従って、圧減衰バルブの開閉応答性が向上する。
圧減衰バルブ及び伸減衰バルブが、シリンダ体の内部空間に設けられ、シリンダ体の内部空間の外部に設けられていない。圧減衰バルブ及び伸減衰バルブがシリンダ体の内部空間の外部に設けられる場合と比べて、圧減衰バルブ及び伸減衰バルブを大きくできる。これにより、圧減衰バルブ及び伸減衰バルブの周長を大きくできる。従って、圧減衰バルブ及び伸減衰バルブの開閉応答性が向上する。また、圧減衰バルブ及び伸減衰バルブを大きくすることにより、作動流体の流量が大きい時(ピストン部の移動速度が高い時)の圧減衰バルブ及び伸減衰バルブの抵抗を小さくできる。これにより、乗り心地と走行性能との両立が容易になる。
シリンダ体の内部空間のガス圧を高める必要がないので、ピストンロッド部のガス反力の影響が小さい。これにより、ピストン部のストローク位置や温度の変化の影響を受け難くなり、乗り心地と走行性能とを安定させ易い。
伸長行程における流量が多い伸減衰バルブの流路は、シリンダ体の内部空間の外部を経由しない。そのため、伸減衰バルブの通路抵抗を小さくできる。これにより、作動流体の流量が大きい時の伸減衰力が過度に大きくなることが抑制される。
また、圧減衰バルブ及び伸減衰バルブが、シリンダ体の内部空間に設けられ、シリンダ体の内部空間の外部に設けられない。従って、キャップ部の小型化が可能になる。この結果、ショックアブソーバの搭載性が向上する。製造コストの低減にも寄与する。
このように、(1)の構成によれば、車両への搭載性を確保しつつ、乗り心地と走行性能との両方を従来よりも高いレベルで満足させることができる。
(2) (1)のショックアブソーバであって、
前記シリンダ体の前記内部空間の外部に、第一流量調整バルブ及び第二流量調整バルブが設けられており、
前記第一流量調整バルブは、前記第一チェックバルブと並列に設けられており、
前記第二流量調整バルブは、前記第二チェックバルブと並列に設けられている。
(2)の構成によれば、第一流量調整バルブ及び第二流量調整バルブが、シリンダ体の内部空間の外部に設けられるので、上記(1)の構成による効果を得つつ、第一流量調整バルブ及び第二流量調整バルブへのアクセスが容易である。
(3) (2)のショックアブソーバであって、
前記第一流量調整バルブ及び前記第二流量調整バルブは、電子制御式の流量調整バルブである。
(3)の構成によれば、電子制御により、精度良く且つ応答性が高い流量制御を行うことができる。
(4) (1)〜(3)のいずれか1のショックアブソーバであって、
前記キャップ部は、前記シリンダ部側に、開端部を有し、前記シリンダ部と反対側に、閉端部を有し、
前記ベースバルブ部の少なくともキャップ側の部分は、前記キャップ部の内部空間に位置しており、
前記キャップ部の内部空間に位置する前記ベースバルブ部の外径は、前記シリンダ部の内径よりも大きい。
(4)の構成によれば、ベースバルブ部に設けられる圧減衰バルブをより大きくできる。従って、圧減衰バルブの開閉応答性をより向上させることができる。
(5) (4)のショックアブソーバであって、
前記圧減衰バルブの外径は、前記シリンダ部の内径よりも大きい。
(5)の構成によれば、ベースバルブ部に設けられる圧減衰バルブを更に大きくできる。従って、圧減衰バルブの開閉応答性をより向上させることができる。
本発明のショックアブソーバによれば、車両への搭載性を確保しつつ、乗り心地と走行性能との両方を従来よりも高いレベルで満足させることができる。
この発明の上述の目的およびその他の目的、特徴、局面および利点は、添付図面に関連して行われる以下のこの発明の実施形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
第一実施形態のショックアブソーバを模式的に示す縦断面図である。 (a)は、図1に示すショックアブソーバの油圧回路図であり、(b)は、(a)における圧縮時の作動流体の流れを示す図であり、(c)は、(a)における伸長時の作動流体の流れを示す図である。 第二実施形態のショックアブソーバを模式的に示す縦断面図である。 (a)は、図3に示すショックアブソーバの油圧回路図であり、(b)は、(a)における圧縮時の作動流体の流れを示す図であり、(c)は、(a)における伸長時の作動流体の流れを示す図である。 (a)は、第三実施形態のショックアブソーバの油圧回路図であり、(b)は、(a)における圧縮時の作動流体の流れを示す図であり、(c)は、(a)における伸長時の作動流体の流れを示す図である。
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
以下の第一実施形態〜第三実施形態のショックアブソーバ10では、ピストン部13に伸減衰バルブ31が設けられるとともに、ベースバルブ部16に圧減衰バルブ32が設けられている。圧縮行程における第一室21への作動流体の流入を一方向に許容する第一チェックバルブ33は、ピストン部13に設けられておらず、シリンダ体11の内部空間20の外部に設けられている。
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態のショックアブソーバを模式的に示す縦断面図である。
図2(a)は、図1に示すショックアブソーバの油圧回路図である。図2(b)は、図2(a)における圧縮時の作動流体の流れを示す図である。図2(c)は、図2(a)における伸長時の作動流体の流れを示す図である。なお、図中、黒塗りの矢印は、作動流体が流れる方向を示す。白塗りの矢印は、ピストンが移動する方向を示す。以下、同様である。
ショックアブソーバ10は、シリンダ体11と、外筒12と、ピストン部13と、ピストンロッド部14と、リザーバ15と、ベースバルブ部16とを備える。
シリンダ体11は、筒状のシリンダ部11aと、シリンダ部11aの一端の開口を覆うキャップ部11bと、シリンダ部11aの他端の開口をヘッド部11cとを備えている。シリンダ部11aと、キャップ部11bと、ヘッド部11cとにより、シリンダ体11の内部空間20が構成されている。キャップ部11bは、シリンダ部11a側に開端部を有し、シリンダ部11aと反対側に閉端部を有する。キャップ部11bの開端部は、シリンダ部11a側に開いている。キャップ部11bは、筒状体である。キャップ部11bは、有底の筒状体である。キャップ部11bの内径は、シリンダ部11aの内径よりも大きい。なお、キャップ部11bの形状は、この例に限定されない。キャップ部11bとしては、例えば、板状体、椀状体等が挙げられる。ヘッド11cは、板状体であり、ピストンロッド部14を挿通するための貫通孔を有する。ヘッド部11cとしては、特に限定されず、シリンダ部11aの他端の開口を覆うことができる形状を有していればよい。なお、本実施形態では、内部空間20は、シリンダ部11aの径方向内側の空間と、キャップ部11bの径方向内側の空間とを含んでいる。また、キャップ部11b自体にバルブが設けられることと、キャップ部11bの内部空間にバルブが設けられることとは、異なる概念である。
外筒12は、筒状体であり、シリンダ部11aの径方向外側に設けられている。シリンダ部11aと外筒12との間には、シリンダ体11の軸線方向に延びる環状の空間が形成されている。この環状の空間は、作動流体の流路として用いられる。ショックアブソーバ10は、複筒式のショックアブソーバである。なお、ショックアブソーバ10は、単筒式のショックアブソーバであってもよい。また、ショックアブソーバ10は、後述するリザーバ15を外筒12の外側に備えている。しかし、シリンダ体11と外筒12との間の環状の空間が、リザーバ15として用いられてもよい。
ピストン部13は、シリンダ体11の内部に設けられている。ピストン部13は、シリンダ部11の内部に設けられている。ピストン部13は、シリンダ体11の内壁に沿う円環形状を有している。ピストン部13の径方向中央部に設けられた貫通孔に、後述するピストンロッド部14が挿入されており、ピストン部13にピストンロッド部14が固定されている。ピストン部13は、ピストンロッド部14とともに、シリンダ体11の軸線方向に沿って移動可能である。ピストン部13は、シリンダ体11の軸線方向に沿って、キャップ部11bとヘッド部11cとの間で往復動可能である。
ピストン部13は、シリンダ体11の内部を区画している。これにより、シリンダ体11は、ショックアブソーバ10の伸長時に高圧となる第一室21と、ショックアブソーバ10の圧縮時に高圧となる第二室22とを備える。第一室21と、第二室22とには、作動流体(例えば、作動油)が満たされている。
ピストンロッド部14は、シリンダ体11の軸線方向に延びる柱状体(柱状の中実体)である。本実施形態では、ピストンロッド部14の外径は、シリンダ体11の軸線方向にわたって一定である。ピストンロッド部14は、ピストン部13に固定され、ヘッド部11cを通って、シリンダ体11の外部まで延出されている。具体的には、ピストンロッド部14は、ヘッド部11cに形成された貫通孔を通って、シリンダ体11の外部まで延出されている。ピストンロッド部14には、シリンダ体11の軸線方向に間隔を開けて、ナット14d、14eが設けられている。ピストンロッド部14の周面には、ネジ溝(図示せず)が形成されている。ピストン部13と、後述する伸減衰バルブ31とは、ナット14d、14eに挟まれることにより、ピストンロッド部14に固定されている。ピストンロッド部14に対するピストン部13及び伸減衰バルブ31の固定方法は、この例に限定されず、従来公知の方法が採用され得る。
ピストンロッド部14の断面積は、ピストン部13の断面積よりも小さい。例えば、ピストンロッド部14の半径は、ピストン部13の半径の1/2よりも小さい。言い換えると、ピストンロッド部14の断面積は、ピストン部13の断面積の1/4よりも小さい。ショックアブソーバ10では、ピストン部13の断面積は、圧減衰力の受圧面積である。また、ピストン部13の断面積からピストンロッド部14の断面積を減じた面積が、伸減衰力の受圧面積となる。従って、ピストンロッド部14の断面積とピストン部13の断面積との差が大きくなるにつれて、圧減衰力の受圧面積と伸減衰力の受圧面積との差が小さくなる。これにより、圧縮時と減衰時との減衰力特性の違いを小さくできる。なお、ここでいう断面積は、シリンダ体11の軸線方向と垂直な断面積を指す。
ピストンロッド部14のシリンダ体11の外部まで延出された部分は、例えば、車両の車体側(図示せず)に取り付けられる。一方、シリンダ体11のキャップ側の部分は、例えば、車両の車輪側(図示せず)に取り付けられる。
リザーバ15は、シリンダ体11の外部に設けられている。ベースバルブ部16は、シリンダ体11の内部空間20において、ピストン部13よりもキャップ部11b側の位置に設けられている。本実施形態において、ベースバルブ部16は、円環形状の板状体である。ベースバルブ部16の径方向中央部の孔には、ボルト16dが挿通されている。ボルト16dには、ナット16eが嵌められている。ボルト16dとナット16eとの間に、ベースバルブ部16及び圧減衰バルブ32が設けられている。ボルト16d及びナット16eの締め付けにより、後述する圧減衰バルブ32は、ベースバルブ部16に固定される。ベースバルブ部16と圧減衰バルブ32との固定方法は、この例に限定されず、従来公知の方法が採用され得る。
ベースバルブ部16は、シリンダ部11aの径方向内側の空間と、キャップ部11bの径方向内側の空間とにわたって設置されている。なお、ベースバルブ部16は、シリンダ部11aの径方向内側の空間のみに設けられていてもよく、ベースバルブ部16の径方向内側の空間のみに設けられていてもよい。ベースバルブ部16の少なくともキャップ部11b側の部分は、キャップ部11bの内部空間(キャップ部11bの径方向内側の空間)に位置している。キャップ部11の内部空間に位置するベースバルブ部16の外面は、キャップ部11の内面と接している。ベースバルブ部16の外面とキャップ部11の内面との間にシール部材が介在していてもよい。
ベースバルブ部16は、シリンダ体11の内部を移動しない。ベースバルブ部16は、第二室22とリザーバ15との間の流路を、第二室22側とリザーバ15側とに区画する。これにより、シリンダ体11は、ベースバルブ部16のキャップ部11b側(ピストンロッド部14が延出されていない側)に、第三室23を備える。即ち、シリンダ体11の内部は、ピストン部13及びベースバルブ部16によって、第一室21、第二室22及び第三室23に区画されている。シリンダ体11におけるベースバルブ部16よりもキャップ部11b側の外壁(第三室23の外壁)には、ポート41が設けられている。ポート41からシリンダ体11の外部に延びる流路51が、リザーバ15と接続されている。なお、ショックアブソーバ10は、ベースバルブ部16のキャップ部11b側からリザーバ15までの作動流体の流路に、第三室23を備えるが、必ずしも第三室23を備える必要はない。ベースバルブ部16のキャップ部11b側の出口がポート41に直接接続されていてもよい。
ピストン部13には、伸減衰力を生じさせるための伸減衰バルブ31が設けられている。伸減衰バルブ31は、複数枚のリーフバルブ(シム)からなる。各リーフバルブは、可撓性を有する円環形状の板(例えば、金属製板)である。各リーフバルブの径方向中央部の孔には、ピストンロッド部14が挿通されている。ピストン部13には、通液孔13aが形成されている。通液孔13aは、作動流体が通過する孔である。通液孔13aは、ピストン部13をシリンダ体11の軸線方向に貫通している。通液孔13aは、一つであってもよく、複数であってもよい。伸減衰バルブ31は、ピストン部13のキャップ側の平坦面と接するように固定されており、ピストン部13の停止時に通液孔13aを塞ぐ。ショックアブソーバ10の伸長時に、第一室21内の作動流体は、通液孔13aを通過し、伸減衰バルブ31を第二室22側に撓ませることにより通液孔13aと第二室22とを連通させ、第二室22に流入する。この時、通液孔13aと第二室22との連通部分がオリフィスとなる。伸減衰バルブ31は、オリフィスにおける通液抵抗によって、伸減衰力を生じさせる。伸減衰バルブ31は、伸長行程においてのみ作動流体の流通を許容する。伸減衰バルブ31は、第二室22から第一室21に作動流体を流さない。なお、伸減衰バルブ31としてのリーフバルブの枚数は、特に限定されず、例えば、1枚であってもよい。また、ピストン部13には、圧縮行程において第二室22から第一室21への作動流体の流れを許容するチェックバルブは設けられていない。また、ピストン部13には、伸長行程において第一室21から第二室22への作動流体の流れを許容するチェックバルブは設けられていない。
ベースバルブ部16には、圧減衰力を生じさせるための圧減衰バルブ32が設けられている。圧減衰バルブ32は、複数枚のリーフバルブからなる。各リーフバルブは、可撓性を有する円環形状の板からなる。ベースバルブ部16には、通液孔16aが形成されている。通液孔16aは、ベースバルブ部16をシリンダ体11の軸線方向に貫通している。圧減衰バルブ32の外径は、伸減衰バルブ31の外径よりも大きい。圧減衰バルブ32の外径は、シリンダ部11aの内径よりも大きい。圧減衰バルブ32の外径は、キャップ部11bの内径よりも小さい。
圧減衰バルブ32は、ベースバルブ部16のキャップ側の面と接しており、ピストン部13の停止時に通液孔16aを塞ぐ。ショックアブソーバ10の圧縮時に、第二室22内の作動流体は、通液孔16aを通過し、圧減衰バルブ32を第三室23側に撓ませることにより通液孔16aと第三室23とを連通させ、第三室23に流入する。この時、通液孔16aと第三室23との連通部分がオリフィスとなる。圧減衰バルブ32は、オリフィスにおける通液抵抗によって、圧減衰力を生じさせる。圧減衰バルブ32は、圧縮行程においてのみ作動流体の流通を許容する。圧減衰バルブ32は、第三室23から第二室22に作動流体を流さない。なお、圧減衰バルブ32としてのリーフバルブの枚数は、特に限定されず、例えば、1枚であってもよい。
流路51は、シリンダ体11におけるベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)とリザーバ15との間において、流路52と接続されている。流路52は、流路51と接続されるとともに、第二チェックバルブ35及び第二流量調整バルブ36と接続されている。第二チェックバルブ35及び第二流量調整バルブ36は、並列に設けられている(図2(a)参照)。第二チェックバルブ35及び第二流量調整バルブ36は、流路53を介して、第二室22に接続されている。具体的には、流路53は、第二室22の壁面に設けられたポート42と接続されている。
言い換えると、流路51、52、53は、圧減衰バルブ32を介さずに、シリンダ体11におけるベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)と、第二室22とを連通するバイパスを構成している。該バイパスに、第二チェックバルブ35及び第二流量調整バルブ36が並列に設けられている。なお、流路52は、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置に接続されていればよい。例えば、流路52は、リザーバ15に接続されていてもよい。
第二チェックバルブ35は、シリンダ体11外において、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)から第二室22までの流路51、52、53内に設けられている。第二チェックバルブ35は、流路52、53間に設けられている。第二チェックバルブ35は、第二室22への作動流体の流れを一方向に許容する。従って、第二チェックバルブ35は、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)、リザーバ15又は第一室21からの作動流体を、殆ど抵抗無く、第二室22に流す(図2(c)参照)。第二チェックバルブ35を通って第二室22に向かう作動流体の流れは、自由流れである。この時、第二チェックバルブ35では、殆ど減衰力は生じない。一方、第二チェックバルブ35は、その逆方向に作動流体を流さない(図2(b)参照)。
第二流量調整バルブ36は、シリンダ体11外において、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)から第二室22までの流路51、52、53内に、第二チェックバルブ35と並列に設けられている。即ち、第二流量調整バルブ36は、流路51、52間に、第二チェックバルブ35と並列に設けられている。第二流量調整バルブ36は、流路の開度を調整することにより、作動流体の流量を調整する。
第二流量調整バルブ36は、第二チェックバルブ35と並列に設けられている。そのため、通常、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)、リザーバ15又は第一室21からの作動流体は、第二チェックバルブ35を通過するが、第二流量調整バルブ36を通過しない(図2(c)参照)。一方、第二室22からの作動流体は、第二チェックバルブ35を通過せずに、第二流量調整バルブ36を通過する(図2(b)参照)。
流路54は、流路52と接続されるとともに、第一チェックバルブ33及び第一流量調整バルブ34と接続されている。第一チェックバルブ33及び第一流量調整バルブ34は、並列に設けられている(図2(a)参照)。第一チェックバルブ33及び第一流量調整バルブ34は、流路55を介して、第一室21に接続されている。具体的には、流路55は、外筒12の外壁に形成されたポート44、シリンダ部11aと外筒12との間の空間、及びシリンダ部11aの外壁に形成されたポート43を介して、第一室21に接続されている。
言い換えると、流路51、52、54、55は、伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32を介さずに、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)と、第一室21とを連通するバイパスを構成している。該バイパスに、第一チェックバルブ33及び第一流量調整バルブ34が並列に設けられている。
第一チェックバルブ33は、シリンダ体11外において、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)から第一室21までの流路51、52、54、55内に設けられている。第一チェックバルブ33は、流路54、55間に設けられている。第一チェックバルブ33は、第一室21への作動流体の流れを一方向に許容する。従って、第一チェックバルブ33は、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)、リザーバ15又は第二室22からの作動流体を、殆ど抵抗無く、第一室21に流す(図2(b)参照)。第一チェックバルブ33を通って第一室21に向かう作動流体の流れは、自由流れである。この時、第一チェックバルブ33では、殆ど減衰力は生じない。一方、第一チェックバルブ33は、その逆方向に作動流体を流さない(図2(c)参照)。
第一流量調整バルブ34は、シリンダ体11外において、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)から第一室21までの流路51、52、54、55内に、第一チェックバルブ33と並列に設けられている。即ち、第一流量調整バルブ34は、流路54、55間に、第一チェックバルブ33と並列に設けられている。第一流量調整バルブ34は、流路の開度を調整することにより、作動流体の流量を調整する。
第一流量調整バルブ34は、第一チェックバルブ33と並列に設けられている。そのため、通常、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)、リザーバ15又は第二室22からの作動流体は、第一チェックバルブ33を通過するが、第一流量調整バルブ34を通過しない(図2(b)参照)。一方、第一室21からの作動流体は、第一チェックバルブ33を通過せずに、第一流量調整バルブ34を通過する(図2(c)参照)。
伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32について、伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32は、ピストン部13の停止時に閉じており、ピストン部13の移動時に作動流体の圧力変化に応じて開くように構成されている。
ショックアブソーバ10の伸長時において、ピストン部13の移動速度が高くなるにつれて、伸減衰バルブ31が生じさせる伸減衰力が大きくなる。ピストン部13の移動速度の上昇に伴い、伸減衰バルブ31が開く距離(所謂バルブリフト)が増加するので、オリフィスとしての機能が低下する。その結果、ピストン部13の移動速度が高い状況下では、ピストン部13の移動速度の上昇に対する減衰力の増加率が減少する。また、ショックアブソーバ10の圧縮時において、ピストン部13の移動速度が高くなるにつれて、圧減衰バルブ32が生じさせる圧減衰力が大きくなる。従って、伸減衰バルブ31と同様に、圧減衰バルブ32においても、ピストン部13の移動速度の上昇に対する減衰力の増加率が減少する。このように、伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32では、開く距離が大きくなるにつれて、減衰力が発生し難くなる。
しかし、ショックアブソーバ10では、第一チェックバルブ33がピストン部13に設けられておらず、第二チェックバルブ35がベースバルブ部16に設けられていない。そのため、伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32の周長を大きくできる。従って、伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32の各々の開く距離が小さい。従って、伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32の開閉応答性が向上する。なお、伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32の各々は、シリンダ体11の内部において、流量を制御するためのバルブと並列に設置されない。
次に、圧縮行程について説明する。ショックアブソーバ10の圧縮行程では、図2(b)に示すように、ピストン部13が第二室22側に移動することにより、第二室22の体積が減少する。一方、第一室21の体積が増加する。
圧縮行程において、第二室22に進入するピストン部13の体積をΔP(m)とし、シリンダ体11に進入するピストンロッド部14の体積をΔR(m)とすると、以下の関係が成立する。
第二室22の体積減少量=ΔP
第一室21の体積増加量=ΔP−ΔR
従って、圧縮行程では、ΔPに相当する量の作動流体が、第二室22から、圧減衰バルブ32及び第二流量調整バルブ36を通じて、第二室22の外部に排出される。作動流体が圧減衰バルブ32及び第二流量調整バルブ36を通過する時に第二室22の圧力が上昇して圧減衰力が発生する。
また、ΔP−ΔRに相当する量の作動流体が、第一チェックバルブ33を通過して、第一室21に流入する。第一チェックバルブ33を通過する作動流体の流れは、自由流れである。第一チェックバルブ33では、圧減衰力は生じない。ΔRに相当する量の作動流体が、リザーバ15に流入する。
次に、伸長行程について説明する。ショックアブソーバ10の伸長行程では、図2(c)に示すように、ピストン部13が第一室21側に移動することにより、第一室21の体積が減少する。一方、第二室22の体積が増加する。
伸長行程と圧縮行程とでのピストンの移動量が同じである場合、伸長行程において、第一室21に進入するピストン部13の体積はΔP(m)であり、シリンダ体11から退出するピストンロッド部14の体積はΔR(m)である。伸長行程では、以下の関係が成立する。
第一室21の体積減少量=ΔP−ΔR
第二室22の体積増加量=ΔR
従って、伸長行程では、ΔP−ΔRに相当する量の作動流体が、第一室21から、伸減衰バルブ31及び第一流量調整バルブ34を通じて、第二室22に流れる。作動流体が伸減衰バルブ31及び第一流量調整バルブ34を通過する時に第一室21の圧力が上昇して伸減衰力が発生する。
第一流量調整バルブ34を通過した作動流体は、第二チェックバルブ35を通過して、第二室22に流入する。また、ΔRに相当する量の作動流体が、第二チェックバルブ35を通過して、第二室22に流入する。第二チェックバルブ35を通過する作動流体の流れは、自由流れである。第二チェックバルブ35では、伸減衰力は生じない。
また、第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36は、電子制御式の流量調整バルブである。外部(例えば、車両に設置されたコントローラ)からの制御信号に応じて、第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36は、流路の開度を調整することにより、作動流体の流量を調整する。第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36は、この例に限定されず、手動により流路の開度が調整されるように構成されていてもよい。なお、第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36は、作動流体の圧力に応じて開度が変化しないように構成されている。また、第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36は、シリンダ体11の外部において、減衰力を生じさせるための減衰バルブ(圧減衰バルブ又は伸減衰バルブ)と並列に設置されない。
ショックアブソーバ10では、圧縮行程において第二室22から排出される作動流体の全量が、圧減衰力の発生に寄与する。また、伸長行程において第一室21から排出される作動流体の全量が、伸減衰力の発生に寄与する。また、ショックアブソーバ10では、圧縮時に第一室21への作動流体の流れのみを許容する第一チェックバルブ33と、伸長時に第二室22への作動流体の流れのみを許容する第二チェックバルブ35とが、別々に独立して設けられている。作動流体の流量が各チェックバルブに分散されるので、一つのチェックバルブに流れる作動流体の量が減少する。従って、各チェックバルブの開度が過度に大きくなることが抑制される。その結果、チェックバルブの開閉の応答性を向上させることができる。また、各チェックバルブの小型化が可能になる。
以上、実施形態のショックアブソーバ10では、第一チェックバルブ33が、ピストン部13に設けられていない。従って、ショックアブソーバ10の圧縮行程において、ピストン部13の断面積が、圧減衰力の受圧面積となる。従って、ピストンロッド部14のみで圧減衰力を発生させる場合と比べると、シリンダ体11の内部空間が低圧の状態で圧減衰力を発生させることができる。言い換えると、シリンダ体11の内圧上昇を抑えつつ圧減衰力を発生させることができる。そのため、作動流体の圧縮性の影響を受け難い。従って、大きな圧減衰力であっても、応答性良く発生させることができる。
第一チェックバルブ33が、ピストン部13に設けられていない。従って、ピストン部13に設けられる伸減衰バルブ31を大きくできる。これにより、伸減衰バルブ31の周長を大きくできる。その結果、伸減衰バルブ31が開く距離(所謂バルブリフト)を小さくできる。従って、伸減衰バルブ31の開閉応答性が向上する。
第二チェックバルブ35が、ベースバルブ部16に設けられていない。従って、ベースバルブ部16に設けられる圧減衰バルブ32を大きくできる。これにより、圧減衰バルブ32の周長を大きくできる。その結果、圧減衰バルブ32が開く距離(所謂バルブリフト)を小さくできる。従って、圧減衰バルブ32の開閉応答性が向上する。
圧減衰バルブ32及び伸減衰バルブ31が、シリンダ体11の内部空間20に設けられ、シリンダ体11の内部空間20の外部に設けられていない。圧減衰バルブ32及び伸減衰バルブ31がシリンダ体11の内部空間20の外部に設けられる場合と比べて、圧減衰バルブ32及び伸減衰バルブ31を大きくできる。これにより、圧減衰バルブ32及び伸減衰バルブ31の周長を大きくできる。従って、圧減衰バルブ32及び伸減衰バルブ31の開閉応答性が向上する。また、圧減衰バルブ32及び伸減衰バルブ31を大きくすることにより、作動流体の流量が大きい時(ピストン部13の移動速度が高い時)の圧減衰バルブ32及び伸減衰バルブ31の抵抗を小さくできる。これにより、乗り心地と走行性能との両立が容易になる。
シリンダ体11の内部空間20のガス圧を高める必要がないので、ピストンロッド部14のガス反力の影響が小さい。これにより、ピストン部13のストローク位置や温度の変化の影響を受け難くなり、乗り心地と走行性能とを安定させ易い。
伸長行程における流量が多い伸減衰バルブ31の流路は、シリンダ体11の内部空間20の外部を経由しない。そのため、伸減衰バルブ31の通路抵抗を小さくできる。これにより、作動流体の流量が大きい時の伸減衰力が過度に大きくなることが抑制される。
また、圧減衰バルブ32及び伸減衰バルブ31が、シリンダ体11の内部空間20に設けられ、シリンダ体11の内部空間20の外部に設けられない。従って、キャップ部11bの小型化が可能になる。この結果、ショックアブソーバ10の搭載性が向上する。製造コストの低減にも寄与する。
このように、実施形態のショックアブソーバ10によれば、車両への搭載性を確保しつつ、乗り心地と走行性能との両方を従来よりも高いレベルで満足させることができる。
また、第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36が、シリンダ体11の内部空間20の外部に設けられるので、第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36へのアクセスが容易である。さらに、第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36は、電子制御式の流量調整バルブであり、精度良く且つ応答性が高い流量制御を行うことができる。
ショックアブソーバ10では、キャップ部11bの内部空間に位置するベースバルブ部16の外径が、シリンダ部11aの内径よりも大きいので、ベースバルブ部16の周長を大きくできる。これにより、圧減衰バルブ32の開閉応答性がより向上する。さらに、圧減衰バルブ32の外径が、シリンダ部11aの内径よりも大きいので、圧減衰バルブ32の開閉応答性がさらに向上する。
<第二実施形態>
図3は、第二実施形態のショックアブソーバを模式的に示す縦断面図である。
図4(a)は、図3に示すショックアブソーバの油圧回路図である。図4(b)は、図4(a)における圧縮時の作動流体の流れを示す図である。図4(c)は、図4(a)における伸長時の作動流体の流れを示す図である。
図3及び図4(a)〜(c)では、図1及び図2(a)〜(c)に示す構成に相当する構成に対して、図1及び図2(a)〜(c)と同じ符号を付している。
第二実施形態のショックアブソーバ10では、ベースバルブ部16の構造が、第一実施形態と異なる。他の構造は、第一実施形態と同じである。
ベースバルブ部16には、複数の通液孔16b、16cが形成されている。複数の通液孔16b、16cは、ベースバルブ部16をシリンダ体11の軸線方向に貫通している。ベースバルブ部16のキャップ側の面には、段差が設けられており、通液孔16bのキャップ側端は、通液孔16cのキャップ側端よりも、キャップ側に位置している。ベースバルブ部16のヘッド側の面にも、段差が設けられており、通液孔16cのヘッド側端は、通液孔16bのヘッド側端よりも、ヘッド側に位置している。なお、通液孔16b、16cの各々は、1つであってもよく、複数であってもよい。
ベースバルブ部16には、圧減衰力を生じさせるための圧減衰バルブ32が設けられている。圧減衰バルブ32は、複数枚のリーフバルブからなる。圧減衰バルブ32は、ベースバルブ部16のキャップ側の面のうち、キャップ側に突出した面と接触している。圧減衰バルブ32は、ピストン部13の停止時に、複数の通液孔16b、16cの一部(即ち通液孔16b)を塞ぐ。
ベースバルブ部16には、第二チェックバルブ37が設けられている。第二チェックバルブ37は、円環形状の板状体である。付勢体38(例えば、バネ)により、ベースバルブ部16のヘッド側の面のうち、ヘッド側に突出した面に押し当てられている。第二チェックバルブ37は、ピストン部13の停止時に、複数の通液孔16b、16cの残部(即ち通液孔16c)を塞ぐ。
ショックアブソーバ10の圧縮時に、第二室22内の作動流体は、通液孔16bを通過するが、通液孔16cを通過しない。通液孔16bを通過する作動流体は、圧減衰バルブ32を第三室23側に撓ませることにより通液孔16bと第三室23とを連通させ、第三室23に流入する。この時、通液孔16bと第三室23との連通部分がオリフィスとなる。圧減衰バルブ32は、オリフィスにおける通液抵抗によって、圧減衰力を生じさせる。
ショックアブソーバ10の伸長時に、第三室23内の作動流体は、通液孔16cを通過するが、通液孔16bを通過しない。通液孔16cを通過する作動流体は、第二チェックバルブ37を第二室22側に押し開けることにより通液孔16cと第二室22とを連通させ、第二室22に流入する。付勢体38のセット荷重(イニシャル荷重)は弱く設定されているので、第二チェックバルブ37は、作動流体の流れを妨げない。
第二実施形態のショックアブソーバ10による圧縮行程及び伸長行程における作動流体の流れ(図4(b)、(c)参照)は、伸長行程において作動流体が第三室23から第二チェックバルブ37を介して第二室22に流れること(図4(c)参照)を除いて、第一実施形態(図2(b)、(c)参照)と同じである。従って、ここでの説明を省略する。
第二実施形態のショックアブソーバ10によれば、車両への搭載性を確保しつつ、乗り心地と走行性能との両方を従来よりも高いレベルで満足させることができる。
なお、第二実施形態のショックアブソーバ10では、ベースバルブ部16にチェックバルブ37が設けられている。しかし、ベースバルブ部16の少なくともキャップ部11b側の部分が、キャップ部11bの内部空間に位置し、キャップ部11bの内部空間に位置するベースバルブ部16の外径は、シリンダ部11aの内径よりも大きい。従って、圧減衰バルブ32の大径化が可能であり、これにより、圧減衰バルブ32の周長が確保されている。その結果、圧減衰バルブ32の開閉応答性が向上している。
<第三実施形態>
図5(a)は、第三実施形態のショックアブソーバの油圧回路図である。図5(b)は、図5(a)における圧縮時の作動流体の流れを示す図である。図5(c)は、図5(a)における伸長時の作動流体の流れを示す図である。
図5(a)〜(c)では、図1及び図2(a)〜(c)に示す構成に相当する構成に対して、図1及び図2(a)〜(c)と同じ符号を付している。
第三実施形態のショックアブソーバ10では、第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36が設けられていないことが、第一実施形態と異なる。他の構造は、第一実施形態と同じである。
ショックアブソーバ10の圧縮行程では、第一実施形態と同様に、以下の関係が成立する。
第二室22の体積減少量=ΔP
第一室21の体積増加量=ΔP−ΔR
従って、圧縮行程では、ΔPに相当する量の作動流体が、第二室22から、圧減衰バルブ32を通じて、第二室22の外部に排出される。ショックアブソーバ10では、ΔPに相当する量の作動流体が、圧減衰力の発生に寄与する。
また、ΔP−ΔRに相当する量の作動流体が、第一チェックバルブ33を通過して、第一室21に流入する。第一チェックバルブ33では、圧減衰力は生じない。ΔRに相当する量の作動流体が、リザーバ15に流入する。
ショックアブソーバ10の伸長行程では、第一実施形態と同様に、以下の関係が成立する。
第一室21の体積減少量=ΔP−ΔR
第二室22の体積増加量=ΔP
従って、伸長行程では、ΔP−ΔRに相当する量の作動流体が、第一室21から、伸減衰バルブ31を通じて、第二室22に流れる。作動流体が伸減衰バルブ31を通過する際に第一室21の圧力が上昇して伸減衰力が発生する。ショックアブソーバ10では、ΔP−ΔRに相当する量の作動流体が、伸減衰力の発生に寄与する。
また、ΔRに相当する量の作動流体が、第二チェックバルブ35を通過して、第二室22に流入する。第二チェックバルブ35を通過する作動流体は、自由流れである。第二チェックバルブ35では、伸減衰力は生じない。
第三実施形態のショックアブソーバ10においても、車両への搭載性を確保しつつ、乗り心地と走行性能との両方を従来よりも高いレベルで満足させることができる。
上述したバルブ31〜37は、実施形態としての一例である。減衰力バルブ(伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32)、チェックバルブ(第一チェックバルブ33、第二チェックバルブ35、第二チェックバルブ37)、流量調整バルブ(第一流量調整バルブ34、第二流量調整バルブ36)としては、特に限定されず、従来公知の構成が採用され得る。
また、第二チェックバルブに関し、第一及び第三実施形態では、第二チェックバルブ35がシリンダ体11の内部空間20の外部に設けられている。また、第二実施形態では、第二チェックバルブ35がシリンダ体11の内部に設けられるとともに、第二チェックバルブ37がベースバルブ部16に設けられている。但し、第二チェックバルブは、ベースバルブ部16のみに設けられていてもよい。
ショックアブソーバ10が設置される対象としては、車両であれば特に限定されない。ショックアブソーバ10は、例えば、鞍乗型車両のリアクッション又は自動車のサスペンションに好適に用いられ得る。鞍乗型車両としては、特に限定されず、例えば、自動二輪車、自動三輪車、不整地走行用車両(ALL−TERRAIN VEHICLE)等が挙げられる。また、自動二輪車としては、例えば、スクータ、モペット、スポーツ型の自動二輪車が挙げられる。
以上、この発明の好ましい実施形態について説明されたが、この発明の範囲および精神を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能であることは明らかである。この発明の範囲は、添付された請求の範囲のみによって限定される。
10 ショックアブソーバ
11 シリンダ体
11a シリンダ部
11b キャップ部
11c ヘッド部
12 外筒
13 ピストン部
13a 通液孔
14 ピストンロッド部
15 リザーバ
16 ベースバルブ部
16a 通液孔
20 内部空間
21 第一室
22 第二室
23 第三室
31 伸減衰バルブ
32 圧減衰バルブ
33 第一チェックバルブ
34 第一流量調整バルブ
35 第二チェックバルブ
36 第二流量調整バルブ
51〜55 流路
本発明は、ショックアブソーバに関する。
一般に、自動車および自動二輪車等には、車両において発生する振動を減衰するためにショックアブソーバ(緩衝器)が設けられている。ショックアブソーバは、通常、シリンダを備えている。シリンダ内に、ピストンと、ピストンを支持するピストンロッドとが設けられている。シリンダ内は、ピストンによって、2つのオイル室に分離されている。ショックアブソーバの伸縮に合わせてピストンが動く。これにより、2つのオイル室の間でオイルが移動する。オイルの移動経路には、減衰力発生部として、比較的流路面積の狭いオリフィス、バルブ等が設けられている。これらの面積の狭い流路を通過するときの流体抵抗により、減衰力を発生させ、車両に発生する振動を減衰させる。
従来のショックアブソーバとしては、例えば、特許文献1に開示された複筒式ショックアブソーバが挙げられる。
特許文献1の複筒式ショックアブソーバでは、外筒内にシリンダが設けられている。外筒とシリンダとの間の空間がリザーバとして用いられる。シリンダ内に、シリンダ内部を上部油室と下部油室とに区画するピストンが設けられている。ピストンは、シリンダ内に挿入されるピストンロッドの一端に連結されている。
ピストンには、主伸長緩衝弁及びチェックバルブが設けられている。主伸長緩衝弁は、上部油室から下部油室への油(作動流体)の流れを制限することにより、外筒に対してピストンロッド伸減衰力を発生させる。なお、主伸長制御弁は、下部油室から上部油室へ作動流体を流さない。また、チェックバルブは、下部油室から上部油室への作動流体の流れのみを許容する。
シリンダの底壁(ベースバルブ)には、主収縮緩衝弁及びチェックバルブが設けられている。主収縮緩衝弁は、下部油室からリザーバへの油(作動流体)の流れを制限することにより、外筒に対してピストンロッド圧減衰力を発生させる。なお、主収縮緩衝弁は、リザーバから下部油室へ作動流体を流さない。また、チェックバルブは、リザーバから下部油室への作動流体の流れのみを許容する。
上部油室と下部油室との間には、両方の緩衝弁を経由しないバイパスが設けられている。下部油室とリザーバとの間にも、両方の緩衝弁を経由しないバイパスが設けられている。両バイパスには、それぞれ流量調整弁が設けられている。
また、従来のショックアブソーバとしては、例えば、単筒式ショックアブソーバが挙げられる。
単筒式ショックアブソーバでは、リザーバ内がガスで加圧されている。そして、ピストンに設置された減衰力バルブにより、減衰力が発生する。従って、ベースバルブが減衰力の発生に寄与する割合(寄与率)を小さくしたり、ベースバルブを省略したりすることが可能である。
さらに、従来のショックアブソーバとしては、例えば、特許文献2に開示されたショックアブソーバが挙げられる。
特許文献2のショックアブソーバでは、シリンダ内に、ソリッドピストン(中実のピストン)が設けられている。ソリッドピストンは、シリンダ内部を、キャップ側のチャンバと、ヘッド側のチャンバとに区画している。また、キャップ部に、圧減衰バルブと伸減衰バルブとが設けられている。
ショックアブソーバの圧縮時には、キャップ側のチャンバから排出される作動流体は、圧減衰バルブを通過し、ヘッド側のチャンバに流入する。但し、シリンダ内に進入したピストンロッドの体積に相当する量の作動流体は、リザーバに流入する。
ショックアブソーバの伸長時には、ヘッド側のチャンバから排出される作動流体は、伸減衰バルブを通過し、キャップ側のチャンバに流入する。さらに、シリンダ内から退出したピストンロッドの体積に相当する量の作動流体が、リザーバからキャップ側のチャンバに供給される。
特公昭60−21259号公報 特開平6−221365号公報
特許文献1の複筒式ショックアブソーバでは、主にシリンダ内にピストンロッドが進入した体積に相当する作動流体が、下部油室から、ベースバルブの主収縮緩衝弁を通ってリザーバに排出される。この時、シリンダ内圧が上昇し、ピストンロッドがこの圧力を受ける。即ち、特許文献1の複筒式ショックアブソーバでは、圧減衰力=シリンダ内圧×ピストンロッドの断面積、という関係が成立する。
ところが、シリンダの断面積と比較すると、ピストンロッドの断面積は小さい。そのため、高圧になるシリンダ内の油量が多く、作動油の圧縮性の影響を強く受けてしまう。その結果、ピストン速度に対して減衰力の発生が遅れてしまう。即ち、応答性が低下する。このように、特許文献1の複筒式ショックアブソーバには、乗り心地と走行性能との両立に改善の余地があった。
また、上述したような単筒式ショックアブソーバでは、ベースバルブの寄与率を小さくしても、複筒式ショックアブソーバと同様に、シリンダ内圧が高圧となるので、作動油の圧縮性の影響を受け易い。また、ガスによる加圧により、ピストンロッドにガス反力が発生する。ガス反力は、ピストンのストローク位置や温度の変化により変化するので、乗り心地と走行性能とを安定させ難い。また、ピストンロッドがゴムマウントを介して車両に連結される場合には、ゴムマウントの変形により、更に乗り心地が悪化するという問題もあった。
また、特許文献2のショックアブソーバでは、圧減衰力=シリンダ内圧×ソリッドピストンの断面積、という関係が成立する。そのため、特許文献2のショックアブソーバは、特許文献1のショックアブソーバと異なり、圧減衰力の受圧面積が大きい。従って、特許文献2のショックアブソーバは、作動油の圧縮性の影響を受け難い。
しかしながら、特許文献2のショックアブソーバでは、圧減衰バルブ及び伸減衰バルブがキャップ部に設けられている。そのため、キャップ部の全長が大きくなったり、キャップ部自体が大型化したりする。その結果、ショックアブソーバの車両への搭載性に問題があった。
なお、搭載性を損なわないために、バルブを小型化することが考えられる。しかし、小型のバルブが採用されると、ピストンの移動速度が高く且つ作動油の流量が大きい場合に、減衰力が過度に増大する場合がある。そのため、乗り心地の改善が難しくなってしまう。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、車両への搭載性を確保しつつ、乗り心地と走行性能との両方を従来よりも高いレベルで満足させることができるショックアブソーバを提供することである。
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
(1) ショックアブソーバであって、
前記ショックアブソーバは、
筒状のシリンダ部と前記シリンダ部の一端の開口を覆うキャップ部と前記シリンダ部の他端の開口を覆うヘッド部とを備え、前記シリンダ部と前記キャップ部と前記ヘッド部とにより構成された内部空間を有するシリンダ体と、
前記シリンダ体が、前記ショックアブソーバの伸長時に高圧となる第一室と、前記ショックアブソーバの圧縮時に高圧となる第二室とを備えるように、前記シリンダ体の前記内部空間を区画するピストン部と、
前記ピストン部に固定され、前記ヘッド部を通って、前記シリンダ体の外部まで延出されたピストンロッド部と、
前記シリンダ体の前記内部空間において、前記ピストン部よりも前記キャップ部側の位置に設けられたベースバルブ部と
を備え、
前記ピストン部には、前記第一室から前記第二室への作動流体の流れを一方向に許容し且つ伸減衰力を発生させる伸減衰バルブが設けられ、
前記ベースバルブ部には、前記第二室から前記ベースバルブ部の前記キャップ部側への作動流体の流れを一方向に許容し且つ圧減衰力を発生させる圧減衰バルブが設けられ、
圧縮行程における前記第一室への作動流体の流入を一方向に許容する第一チェックバルブが、前記ピストン部に設けられておらず、且つ前記シリンダ体の前記内部空間の外部に設けられており、
伸長行程における前記第二室への作動流体の流入を一方向に許容する第二チェックバルブが、前記シリンダ体の前記内部空間の外部、又は前記ベースバルブ部の少なくとも一方の位置に設けられている。
(1)の構成によれば、第一チェックバルブが、ピストン部に設けられていない。従って、ショックアブソーバの圧縮行程において、ピストン部の断面積が、圧減衰力の受圧面積となる。従って、ピストンロッド部のみで圧減衰力を発生させる場合と比べると、シリンダ体の内部空間が低圧の状態で圧減衰力を発生させることができる。言い換えると、シリンダ体の内圧上昇を抑えつつ圧減衰力を発生させることができる。そのため、作動流体の圧縮性の影響を受け難い。従って、大きな圧減衰力であっても、応答性良く発生させることができる。
第一チェックバルブが、ピストン部に設けられていない。従って、ピストン部に設けられる伸減衰バルブを大きくできる。これにより、伸減衰バルブの周長を大きくできる。その結果、伸減衰バルブが開く距離(所謂バルブリフト)を小さくできる。従って、伸減衰バルブの開閉応答性が向上する
圧減衰バルブ及び伸減衰バルブが、シリンダ体の内部空間に設けられ、シリンダ体の内部空間の外部に設けられていない。圧減衰バルブ及び伸減衰バルブがシリンダ体の内部空間の外部に設けられる場合と比べて、圧減衰バルブ及び伸減衰バルブを大きくできる。これにより、圧減衰バルブ及び伸減衰バルブの周長を大きくできる。従って、圧減衰バルブ及び伸減衰バルブの開閉応答性が向上する。また、圧減衰バルブ及び伸減衰バルブを大きくすることにより、作動流体の流量が大きい時(ピストン部の移動速度が高い時)の圧減衰バルブ及び伸減衰バルブの抵抗を小さくできる。これにより、乗り心地と走行性能との両立が容易になる。
シリンダ体の内部空間のガス圧を高める必要がないので、ピストンロッド部のガス反力の影響が小さい。これにより、ピストン部のストローク位置や温度の変化の影響を受け難くなり、乗り心地と走行性能とを安定させ易い。
伸長行程における流量が多い伸減衰バルブの流路は、シリンダ体の内部空間の外部を経由しない。そのため、伸減衰バルブの通路抵抗を小さくできる。これにより、作動流体の流量が大きい時の伸減衰力が過度に大きくなることが抑制される。
また、圧減衰バルブ及び伸減衰バルブが、シリンダ体の内部空間に設けられ、シリンダ体の内部空間の外部に設けられない。従って、キャップ部の小型化が可能になる。この結果、ショックアブソーバの搭載性が向上する。製造コストの低減にも寄与する。
このように、(1)の構成によれば、車両への搭載性を確保しつつ、乗り心地と走行性能との両方を従来よりも高いレベルで満足させることができる。
(2) (1)のショックアブソーバであって、
前記シリンダ体の前記内部空間の外部に、前記第二チェックバルブ、第一流量調整バルブ及び第二流量調整バルブが設けられており、
前記第一流量調整バルブは、前記第一チェックバルブと並列に設けられており、
前記第二流量調整バルブは、前記第二チェックバルブと並列に設けられている。
(2)の構成によれば、第一流量調整バルブ及び第二流量調整バルブが、シリンダ体の内部空間の外部に設けられるので、上記(1)の構成による効果を得つつ、第一流量調整バルブ及び第二流量調整バルブへのアクセスが容易である。
第二チェックバルブが、ベースバルブ部に設けられていない。従って、ベースバルブ部に設けられる圧減衰バルブを大きくできる。これにより、圧減衰バルブの周長を大きくできる。その結果、圧減衰バルブが開く距離(所謂バルブリフト)を小さくできる。従って、圧減衰バルブの開閉応答性が向上する。
(3) (2)のショックアブソーバであって、
前記第一流量調整バルブ及び前記第二流量調整バルブは、電子制御式の流量調整バルブである。
(3)の構成によれば、電子制御により、精度良く且つ応答性が高い流量制御を行うことができる。
(4) (1)〜(3)のいずれか1のショックアブソーバであって、
前記キャップ部は、筒状体であり、前記シリンダ部側に、開端部を有し、前記シリンダ部と反対側に、閉端部を有し、
前記ベースバルブ部の少なくとも前記キャップ部側の部分は、前記キャップ部の内部空間に位置しており、
前記キャップ部の内部空間に位置する前記ベースバルブ部の外径は、前記シリンダ部の内径よりも大きい。
(4)の構成によれば、ベースバルブ部に設けられる圧減衰バルブをより大きくできる。従って、圧減衰バルブの開閉応答性をより向上させることができる。
(5) (4)のショックアブソーバであって、
前記圧減衰バルブの外径は、前記シリンダ部の内径よりも大きい。
(5)の構成によれば、ベースバルブ部に設けられる圧減衰バルブを更に大きくできる。従って、圧減衰バルブの開閉応答性をより向上させることができる。
本発明のショックアブソーバによれば、車両への搭載性を確保しつつ、乗り心地と走行性能との両方を従来よりも高いレベルで満足させることができる。
この発明の上述の目的およびその他の目的、特徴、局面および利点は、添付図面に関連して行われる以下のこの発明の実施形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
第一実施形態のショックアブソーバを模式的に示す縦断面図である。 (a)は、図1に示すショックアブソーバの油圧回路図であり、(b)は、(a)における圧縮時の作動流体の流れを示す図であり、(c)は、(a)における伸長時の作動流体の流れを示す図である。 第二実施形態のショックアブソーバを模式的に示す縦断面図である。 (a)は、図3に示すショックアブソーバの油圧回路図であり、(b)は、(a)における圧縮時の作動流体の流れを示す図であり、(c)は、(a)における伸長時の作動流体の流れを示す図である。 (a)は、第三実施形態のショックアブソーバの油圧回路図であり、(b)は、(a)における圧縮時の作動流体の流れを示す図であり、(c)は、(a)における伸長時の作動流体の流れを示す図である。
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
以下の第一実施形態〜第三実施形態のショックアブソーバ10では、ピストン部13に伸減衰バルブ31が設けられるとともに、ベースバルブ部16に圧減衰バルブ32が設けられている。圧縮行程における第一室21への作動流体の流入を一方向に許容する第一チェックバルブ33は、ピストン部13に設けられておらず、シリンダ体11の内部空間20の外部に設けられている。
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態のショックアブソーバを模式的に示す縦断面図である。
図2(a)は、図1に示すショックアブソーバの油圧回路図である。図2(b)は、図2(a)における圧縮時の作動流体の流れを示す図である。図2(c)は、図2(a)における伸長時の作動流体の流れを示す図である。なお、図中、黒塗りの矢印は、作動流体が流れる方向を示す。白塗りの矢印は、ピストンが移動する方向を示す。以下、同様である。
ショックアブソーバ10は、シリンダ体11と、外筒12と、ピストン部13と、ピストンロッド部14と、リザーバ15と、ベースバルブ部16とを備える。
シリンダ体11は、筒状のシリンダ部11aと、シリンダ部11aの一端の開口を覆うキャップ部11bと、シリンダ部11aの他端の開口を覆うヘッド部11cとを備えている。シリンダ部11aと、キャップ部11bと、ヘッド部11cとにより、シリンダ体11の内部空間20が構成されている。キャップ部11bは、シリンダ部11a側に開端部を有し、シリンダ部11aと反対側に閉端部を有する。キャップ部11bの開端部は、シリンダ部11a側に開いている。キャップ部11bは、筒状体である。キャップ部11bは、有底の筒状体である。キャップ部11bの内径は、シリンダ部11aの内径よりも大きい。なお、キャップ部11bの形状は、この例に限定されない。キャップ部11bとしては、例えば、板状体、椀状体等が挙げられる。ヘッド11cは、板状体であり、ピストンロッド部14を挿通するための貫通孔を有する。ヘッド部11cとしては、特に限定されず、シリンダ部11aの他端の開口を覆うことができる形状を有していればよい。なお、本実施形態では、内部空間20は、シリンダ部11aの径方向内側の空間と、キャップ部11bの径方向内側の空間とを含んでいる。また、キャップ部11b自体にバルブが設けられることと、キャップ部11bの内部空間にバルブが設けられることとは、異なる概念である。
外筒12は、筒状体であり、シリンダ部11aの径方向外側に設けられている。シリンダ部11aと外筒12との間には、シリンダ体11の軸線方向に延びる環状の空間が形成されている。この環状の空間は、作動流体の流路として用いられる。ショックアブソーバ10は、複筒式のショックアブソーバである。なお、ショックアブソーバ10は、単筒式のショックアブソーバであってもよい。また、ショックアブソーバ10は、後述するリザーバ15を外筒12の外側に備えている。しかし、シリンダ体11と外筒12との間の環状の空間が、リザーバ15として用いられてもよい。
ピストン部13は、シリンダ体11の内部に設けられている。ピストン部13は、シリンダ部11aの内部に設けられている。ピストン部13は、シリンダ体11の内壁に沿う円環形状を有している。ピストン部13の径方向中央部に設けられた貫通孔に、後述するピストンロッド部14が挿入されており、ピストン部13にピストンロッド部14が固定されている。ピストン部13は、ピストンロッド部14とともに、シリンダ体11の軸線方向に沿って移動可能である。ピストン部13は、シリンダ体11の軸線方向に沿って、キャップ部11bとヘッド部11cとの間で往復動可能である。
ピストン部13は、シリンダ体11の内部を区画している。これにより、シリンダ体11は、ショックアブソーバ10の伸長時に高圧となる第一室21と、ショックアブソーバ10の圧縮時に高圧となる第二室22とを備える。第一室21と、第二室22とには、作動流体(例えば、作動油)が満たされている。
ピストンロッド部14は、シリンダ体11の軸線方向に延びる円柱状体(円柱状の中実体)である。本実施形態では、ピストンロッド部14の外径は、シリンダ体11の軸線方向にわたって一定である。ピストンロッド部14は、ピストン部13に固定され、ヘッド部11cを通って、シリンダ体11の外部まで延出されている。具体的には、ピストンロッド部14は、ヘッド部11cに形成された貫通孔を通って、シリンダ体11の外部まで延出されている。ピストンロッド部14には、シリンダ体11の軸線方向に間隔を開けて、ナット14d、14eが設けられている。ピストンロッド部14の周面には、ネジ溝(図示せず)が形成されている。ピストン部13と、後述する伸減衰バルブ31とは、ナット14d、14eに挟まれることにより、ピストンロッド部14に固定されている。ピストンロッド部14に対するピストン部13及び伸減衰バルブ31の固定方法は、この例に限定されず、従来公知の方法が採用され得る。
ピストンロッド部14の断面積は、ピストン部13の断面積よりも小さい。例えば、ピストンロッド部14の半径は、ピストン部13の半径の1/2よりも小さい。また、ピストンロッド部14の断面積は、ピストン部13の断面積の1/4よりも小さい。ショックアブソーバ10では、ピストン部13の断面積は、伸減衰力の受圧面積である。また、ピストン部13の断面積ピストンロッド部14の断面積を加えた面積が、圧減衰力の受圧面積となる。従って、ピストンロッド部14の断面積とピストン部13の断面積との差が大きくなるにつれて、圧減衰力の受圧面積と伸減衰力の受圧面積との差が小さくなる。これにより、圧縮時と減衰時との減衰力特性の違いを小さくできる。なお、ここでいう断面積は、シリンダ体11の軸線方向と垂直な断面積を指す。
ピストンロッド部14のシリンダ体11の外部まで延出された部分は、例えば、車両の車体側(図示せず)に取り付けられる。一方、シリンダ体11のキャップ部11b側の部分は、例えば、車両の車輪側(図示せず)に取り付けられる。
リザーバ15は、シリンダ体11の外部に設けられている。ベースバルブ部16は、シリンダ体11の内部空間20において、ピストン部13よりもキャップ部11b側の位置に設けられている。本実施形態において、ベースバルブ部16は、円環形状の板状体である。ベースバルブ部16の径方向中央部の孔には、ボルト16dが挿通されている。ボルト16dには、ナット16eが嵌められている。ボルト16dとナット16eとの間に、ベースバルブ部16及び圧減衰バルブ32が設けられている。ボルト16d及びナット16eの締め付けにより、後述する圧減衰バルブ32は、ベースバルブ部16に固定される。ベースバルブ部16と圧減衰バルブ32との固定方法は、この例に限定されず、従来公知の方法が採用され得る。
ベースバルブ部16は、シリンダ部11aの径方向内側の空間と、キャップ部11bの径方向内側の空間とにわたって設置されている。なお、ベースバルブ部16は、シリンダ部11aの径方向内側の空間のみに設けられていてもよく、キャップ部11bの径方向内側の空間のみに設けられていてもよい。ベースバルブ部16の少なくともキャップ部11b側の部分は、キャップ部11bの内部空間(キャップ部11bの径方向内側の空間)に位置している。キャップ部11bの内部空間に位置するベースバルブ部16の外面は、キャップ部11bの内面と接している。ベースバルブ部16の外面とキャップ部11bの内面との間にシール部材が介在していてもよい。
ベースバルブ部16は、シリンダ体11の内部を移動しない。ベースバルブ部16は、第二室22とリザーバ15との間の流路を、第二室22側とリザーバ15側とに区画する。これにより、シリンダ体11は、ベースバルブ部16のキャップ部11b側(ピストンロッド部14が延出されていない側)に、第三室23を備える。即ち、シリンダ体11の内部は、ピストン部13及びベースバルブ部16によって、第一室21、第二室22及び第三室23に区画されている。シリンダ体11におけるベースバルブ部16よりもキャップ部11b側の外壁(第三室23の外壁)には、ポート41が設けられている。ポート41からシリンダ体11の外部に延びる流路51が、リザーバ15と接続されている。なお、ショックアブソーバ10は、ベースバルブ部16のキャップ部11b側からリザーバ15までの作動流体の流路に、第三室23を備えるが、必ずしも第三室23を備える必要はない。ベースバルブ部16のキャップ部11b側の出口がポート41に直接接続されていてもよい。
ピストン部13には、伸減衰力を生じさせるための伸減衰バルブ31が設けられている。伸減衰バルブ31は、複数枚のリーフバルブ(シム)からなる。各リーフバルブは、可撓性を有する円環形状の板(例えば、金属製板)である。各リーフバルブの径方向中央部の孔には、ピストンロッド部14が挿通されている。ピストン部13には、通液孔13aが形成されている。通液孔13aは、作動流体が通過する孔である。通液孔13aは、ピストン部13をシリンダ体11の軸線方向に貫通している。通液孔13aは、一つであってもよく、複数であってもよい。伸減衰バルブ31は、ピストン部13のキャップ11b側の平坦面と接するように固定されており、ピストン部13の停止時に通液孔13aを塞ぐ。ショックアブソーバ10の伸長時に、第一室21内の作動流体は、通液孔13aを通過し、伸減衰バルブ31を第二室22側に撓ませることにより通液孔13aと第二室22とを連通させ、第二室22に流入する。この時、通液孔13aと第二室22との連通部分がオリフィスとなる。伸減衰バルブ31は、オリフィスにおける通液抵抗によって、伸減衰力を生じさせる。伸減衰バルブ31は、伸長行程においてのみ作動流体の流通を許容する。伸減衰バルブ31は、第二室22から第一室21に作動流体を流さない。なお、伸減衰バルブ31としてのリーフバルブの枚数は、特に限定されず、例えば、1枚であってもよい。また、ピストン部13には、圧縮行程において第二室22から第一室21への作動流体の流れを許容するチェックバルブは設けられていない
ベースバルブ部16には、圧減衰力を生じさせるための圧減衰バルブ32が設けられている。圧減衰バルブ32は、複数枚のリーフバルブからなる。各リーフバルブは、可撓性を有する円環形状の板からなる。ベースバルブ部16には、通液孔16aが形成されている。通液孔16aは、ベースバルブ部16をシリンダ体11の軸線方向に貫通している。圧減衰バルブ32の外径は、伸減衰バルブ31の外径よりも大きい。圧減衰バルブ32の外径は、シリンダ部11aの内径よりも大きい。圧減衰バルブ32の外径は、キャップ部11bの内径よりも小さい。
圧減衰バルブ32は、ベースバルブ部16のキャップ11b側の面と接しており、ピストン部13の停止時に通液孔16aを塞ぐ。ショックアブソーバ10の圧縮時に、第二室22内の作動流体は、通液孔16aを通過し、圧減衰バルブ32を第三室23側に撓ませることにより通液孔16aと第三室23とを連通させ、第三室23に流入する。この時、通液孔16aと第三室23との連通部分がオリフィスとなる。圧減衰バルブ32は、オリフィスにおける通液抵抗によって、圧減衰力を生じさせる。圧減衰バルブ32は、圧縮行程においてのみ作動流体の流通を許容する。圧減衰バルブ32は、第三室23から第二室22に作動流体を流さない。なお、圧減衰バルブ32としてのリーフバルブの枚数は、特に限定されず、例えば、1枚であってもよい。
流路51は、シリンダ体11におけるベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)とリザーバ15との間において、流路52と接続されている。流路52は、流路51と接続されるとともに、第二チェックバルブ35及び第二流量調整バルブ36と接続されている。第二チェックバルブ35及び第二流量調整バルブ36は、並列に設けられている(図2(a)参照)。第二チェックバルブ35及び第二流量調整バルブ36は、流路53を介して、第二室22に接続されている。具体的には、流路53は、第二室22の壁面に設けられたポート42と接続されている。
言い換えると、流路51、52、53は、圧減衰バルブ32を介さずに、シリンダ体11におけるベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)と、第二室22とを連通するバイパスを構成している。該バイパスに、第二チェックバルブ35及び第二流量調整バルブ36が並列に設けられている。なお、流路52は、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置に接続されていればよい。例えば、流路52は、リザーバ15に接続されていてもよい。
第二チェックバルブ35は、シリンダ体11外において、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)から第二室22までの流路51、52、53内に設けられている。第二チェックバルブ35は、図1および図2(a)〜(c)において流路52、53間に設けられている。第二チェックバルブ35は、第二室22への作動流体の流れを一方向に許容する。従って、第二チェックバルブ35は、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)、リザーバ15又は第一室21からの作動流体を、殆ど抵抗無く、第二室22に流す(図2(c)参照)。第二チェックバルブ35を通って第二室22に向かう作動流体の流れは、自由流れである。この時、第二チェックバルブ35では、殆ど減衰力は生じない。一方、第二チェックバルブ35は、その逆方向に作動流体を流さない(図2(b)参照)。
第二流量調整バルブ36は、シリンダ体11外において、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)から第二室22までの流路51、52、53内に、第二チェックバルブ35と並列に設けられている。第二流量調整バルブ36は、図1および図2(a)〜(c)において流路52、53間に、第二チェックバルブ35と並列に設けられている。第二流量調整バルブ36は、流路の開度を調整することにより、作動流体の流量を調整する。
第二流量調整バルブ36は、第二チェックバルブ35と並列に設けられている。そのため、通常、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)、リザーバ15又は第一室21からの作動流体は、第二チェックバルブ35を通過するが、第二流量調整バルブ36を通過しない(図2(c)参照)。一方、第二室22からの作動流体は、第二チェックバルブ35を通過せずに、第二流量調整バルブ36を通過する(図2(b)参照)。
流路54は、流路52と接続されるとともに、第一チェックバルブ33及び第一流量調整バルブ34と接続されている。第一チェックバルブ33及び第一流量調整バルブ34は、並列に設けられている(図2(a)参照)。第一チェックバルブ33及び第一流量調整バルブ34は、流路55を介して、第一室21に接続されている。具体的には、流路55は、外筒12の外壁に形成されたポート44、シリンダ部11aと外筒12との間の空間、及びシリンダ部11aの外壁に形成されたポート43を介して、第一室21に接続されている。
言い換えると、流路51、52、54、55は、伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32を介さずに、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)と、第一室21とを連通するバイパスを構成している。該バイパスに、第一チェックバルブ33及び第一流量調整バルブ34が並列に設けられている。
第一チェックバルブ33は、シリンダ体11外において、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)から第一室21までの流路51、52、54、55内に設けられている。第一チェックバルブ33は、図1および図2(a)〜(c)において流路54、55間に設けられている。第一チェックバルブ33は、第一室21への作動流体の流れを一方向に許容する。従って、第一チェックバルブ33は、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)、リザーバ15又は第二室22からの作動流体を、殆ど抵抗無く、第一室21に流す(図2(b)参照)。第一チェックバルブ33を通って第一室21に向かう作動流体の流れは、自由流れである。この時、第一チェックバルブ33では、殆ど減衰力は生じない。一方、第一チェックバルブ33は、その逆方向に作動流体を流さない(図2(c)参照)。
第一流量調整バルブ34は、シリンダ体11外において、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)から第一室21までの流路51、52、54、55内に、第一チェックバルブ33と並列に設けられている。第一流量調整バルブ34は、図1および図2(a)〜(c)において流路54、55間に、第一チェックバルブ33と並列に設けられている。第一流量調整バルブ34は、流路の開度を調整することにより、作動流体の流量を調整する。
第一流量調整バルブ34は、第一チェックバルブ33と並列に設けられている。そのため、通常、ベースバルブ部16よりもリザーバ15側の位置(本実施形態では、第三室23)、リザーバ15又は第二室22からの作動流体は、第一チェックバルブ33を通過するが、第一流量調整バルブ34を通過しない(図2(b)参照)。一方、第一室21からの作動流体は、第一チェックバルブ33を通過せずに、第一流量調整バルブ34を通過する(図2(c)参照)。
伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32について、伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32は、ピストン部13の停止時に閉じており、ピストン部13の移動時に作動流体の圧力変化に応じて開くように構成されている。
ショックアブソーバ10の伸長時において、ピストン部13の移動速度が高くなるにつれて、伸減衰バルブ31が生じさせる伸減衰力が大きくなる。ピストン部13の移動速度の上昇に伴い、伸減衰バルブ31が開く距離(所謂バルブリフト)が増加するので、オリフィスとしての機能が低下する。その結果、ピストン部13の移動速度が高い状況下では、ピストン部13の移動速度の上昇に対する減衰力の増加率が減少する。また、ショックアブソーバ10の圧縮時において、ピストン部13の移動速度が高くなるにつれて、圧減衰バルブ32が生じさせる圧減衰力が大きくなる。従って、伸減衰バルブ31と同様に、圧減衰バルブ32においても、ピストン部13の移動速度の上昇に対する減衰力の増加率が減少する。このように、伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32では、開く距離が大きくなるにつれて、減衰力が発生し難くなる。
しかし、ショックアブソーバ10では、第一チェックバルブ33がピストン部13に設けられておらず、第二チェックバルブ35がベースバルブ部16に設けられていない。そのため、伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32の周長を大きくできる。従って、伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32の各々の開く距離が小さい。従って、伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32の開閉応答性が向上する。なお、伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32の各々は、シリンダ体11の内部において、流量を制御するためのバルブと並列に設置されない。
次に、圧縮行程について説明する。ショックアブソーバ10の圧縮行程では、図2(b)に示すように、ピストン部13が第二室22側に移動することにより、第二室22の体積が減少する。一方、第一室21の体積が増加する。
圧縮行程において、第二室22に進入するピストン部13(ピストン部13に挿入されているピストンロッド部14を含む)の体積をΔP(m)とし、シリンダ体11に進入するピストンロッド部14の体積をΔR(m)とすると、以下の関係が成立する。
第二室22の体積減少量=ΔP
第一室21の体積増加量=ΔP−ΔR
従って、圧縮行程では、ΔPに相当する量の作動流体が、第二室22から、圧減衰バルブ32及び第二流量調整バルブ36を通じて、第二室22の外部に排出される。作動流体が圧減衰バルブ32及び第二流量調整バルブ36を通過する時に第二室22の圧力が上昇して圧減衰力が発生する。
また、ΔP−ΔRに相当する量の作動流体が、第一チェックバルブ33を通過して、第一室21に流入する。第一チェックバルブ33を通過する作動流体の流れは、自由流れである。第一チェックバルブ33では、圧減衰力は生じない。ΔRに相当する量の作動流体が、リザーバ15および第一室21に流入する。
次に、伸長行程について説明する。ショックアブソーバ10の伸長行程では、図2(c)に示すように、ピストン部13が第一室21側に移動することにより、第一室21の体積が減少する。一方、第二室22の体積が増加する。
伸長行程と圧縮行程とでのピストンの移動量が同じである場合、伸長行程において、第一室21に進入するピストン部13(ピストン部13に挿入されているピストンロッド部14を含む)の体積はΔP(m)であり、シリンダ体11から退出するピストンロッド部14の体積はΔR(m)である。伸長行程では、以下の関係が成立する。
第一室21の体積減少量=ΔP−ΔR
第二室22の体積増加量=Δ
従って、伸長行程では、ΔP−ΔRに相当する量の作動流体が、第一室21から、伸減衰バルブ31及び第一流量調整バルブ34を通じて、第二室22に流れる。第一流量調整バルブ34を通過した作動流体は、第二チェックバルブ35を通過して、第二室22に流入する。作動流体が伸減衰バルブ31及び第一流量調整バルブ34を通過する時に第一室21の圧力が上昇して伸減衰力が発生する
また、ΔRに相当する量の作動流体が、リザーバ15から第二チェックバルブ35を通過して、第二室22に流入する。第二チェックバルブ35を通過する作動流体の流れは、自由流れである。第二チェックバルブ35では、伸減衰力は生じない。
また、第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36は、電子制御式の流量調整バルブである。外部(例えば、車両に設置されたコントローラ)からの制御信号に応じて、第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36は、流路の開度を調整することにより、作動流体の流量を調整する。第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36は、この例に限定されず、手動により流路の開度が調整されるように構成されていてもよい。なお、第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36は、作動流体の圧力に応じて開度が変化しないように構成されている。また、第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36は、シリンダ体11の外部において、減衰力を生じさせるための減衰バルブ(圧減衰バルブ又は伸減衰バルブ)と並列に設置されない。
ショックアブソーバ10では、圧縮行程において圧減衰バルブ32を通って第二室22から排出される作動流体の全量が、圧減衰力の発生に寄与する。また、伸長行程において伸減衰バルブ31を通って第一室21から排出される作動流体の全量が、伸減衰力の発生に寄与する。また、ショックアブソーバ10では、圧縮時に第一室21への作動流体の流れのみを許容する第一チェックバルブ33と、伸長時に第二室22への作動流体の流れのみを許容する第二チェックバルブ35とが、別々に独立して設けられている。作動流体の流量が各チェックバルブに分散されるので、一つのチェックバルブに流れる作動流体の量が減少する。従って、各チェックバルブの開度が過度に大きくなることが抑制される。その結果、チェックバルブの開閉の応答性を向上させることができる。また、各チェックバルブの小型化が可能になる。
以上、実施形態のショックアブソーバ10では、第一チェックバルブ33が、ピストン部13に設けられていない。従って、ショックアブソーバ10の圧縮行程において、ピストン部13の断面積にピストンロッド部14の断面積を加えた面積が、圧減衰力の受圧面積となる。従って、ピストンロッド部14のみで圧減衰力を発生させる場合と比べると、シリンダ体11の内部空間が低圧の状態で圧減衰力を発生させることができる。言い換えると、シリンダ体11の内圧上昇を抑えつつ圧減衰力を発生させることができる。そのため、作動流体の圧縮性の影響を受け難い。従って、大きな圧減衰力であっても、応答性良く発生させることができる。
第一チェックバルブ33が、ピストン部13に設けられていない。従って、ピストン部13に設けられる伸減衰バルブ31を大きくできる。これにより、伸減衰バルブ31の周長を大きくできる。その結果、伸減衰バルブ31が開く距離(所謂バルブリフト)を小さくできる。従って、伸減衰バルブ31の開閉応答性が向上する。
第二チェックバルブ35が、ベースバルブ部16に設けられていない。従って、ベースバルブ部16に設けられる圧減衰バルブ32を大きくできる。これにより、圧減衰バルブ32の周長を大きくできる。その結果、圧減衰バルブ32が開く距離(所謂バルブリフト)を小さくできる。従って、圧減衰バルブ32の開閉応答性が向上する。
圧減衰バルブ32及び伸減衰バルブ31が、シリンダ体11の内部空間20に設けられ、シリンダ体11の内部空間20の外部に設けられていない。圧減衰バルブ32及び伸減衰バルブ31がシリンダ体11の内部空間20の外部に設けられる場合と比べて、圧減衰バルブ32及び伸減衰バルブ31を大きくできる。これにより、圧減衰バルブ32及び伸減衰バルブ31の周長を大きくできる。従って、圧減衰バルブ32及び伸減衰バルブ31の開閉応答性が向上する。また、圧減衰バルブ32及び伸減衰バルブ31を大きくすることにより、作動流体の流量が大きい時(ピストン部13の移動速度が高い時)の圧減衰バルブ32及び伸減衰バルブ31の抵抗を小さくできる。これにより、乗り心地と走行性能との両立が容易になる。
シリンダ体11の内部空間20のガス圧を高める必要がないので、ピストンロッド部14のガス反力の影響が小さい。これにより、ピストン部13のストローク位置や温度の変化の影響を受け難くなり、乗り心地と走行性能とを安定させ易い。
伸長行程における流量が多い伸減衰バルブ31の流路は、シリンダ体11の内部空間20の外部を経由しない。そのため、伸減衰バルブ31の通路抵抗を小さくできる。これにより、作動流体の流量が大きい時の伸減衰力が過度に大きくなることが抑制される。
また、圧減衰バルブ32及び伸減衰バルブ31が、シリンダ体11の内部空間20に設けられ、シリンダ体11の内部空間20の外部に設けられない。従って、キャップ部11bの小型化が可能になる。この結果、ショックアブソーバ10の搭載性が向上する。製造コストの低減にも寄与する。
このように、実施形態のショックアブソーバ10によれば、車両への搭載性を確保しつつ、乗り心地と走行性能との両方を従来よりも高いレベルで満足させることができる。
また、第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36が、シリンダ体11の内部空間20の外部に設けられるので、第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36へのアクセスが容易である。さらに、第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36は、電子制御式の流量調整バルブであり、精度良く且つ応答性が高い流量制御を行うことができる。
ショックアブソーバ10では、キャップ部11bの内部空間に位置するベースバルブ部16の外径が、シリンダ部11aの内径よりも大きいので、ベースバルブ部16の周長を大きくできる。これにより、圧減衰バルブ32の開閉応答性がより向上する。さらに、圧減衰バルブ32の外径が、シリンダ部11aの内径よりも大きいので、圧減衰バルブ32の開閉応答性がさらに向上する。
<第二実施形態>
図3は、第二実施形態のショックアブソーバを模式的に示す縦断面図である。
図4(a)は、図3に示すショックアブソーバの油圧回路図である。図4(b)は、図4(a)における圧縮時の作動流体の流れを示す図である。図4(c)は、図4(a)における伸長時の作動流体の流れを示す図である。
図3及び図4(a)〜(c)では、図1及び図2(a)〜(c)に示す構成に相当する構成に対して、図1及び図2(a)〜(c)と同じ符号を付している。
第二実施形態のショックアブソーバ10では、ベースバルブ部16の構造が、第一実施形態と異なる。他の構造は、第一実施形態と同じである。
ベースバルブ部16には、複数の通液孔16b、16cが形成されている。複数の通液孔16b、16cは、ベースバルブ部16をシリンダ体11の軸線方向に貫通している。ベースバルブ部16のキャップ部11b側の面には、段差が設けられており、シリンダ体11の軸線方向において、通液孔16bのキャップ部11b側端は、通液孔16cのキャップ部11b側端よりも、キャップ部11b側に位置している。ベースバルブ部16のヘッド部11c側の面にも、段差が設けられており、シリンダ体11の軸線方向において、通液孔16cのヘッド部11c側端は、通液孔16bのヘッド部11c側端よりも、ヘッド部11c側に位置している。なお、通液孔16b、16cの各々は、1つであってもよく、複数であってもよい。
ベースバルブ部16には、圧減衰力を生じさせるための圧減衰バルブ32が設けられている。圧減衰バルブ32は、複数枚のリーフバルブからなる。圧減衰バルブ32は、ベースバルブ部16のキャップ部11b側の面のうち、キャップ部11b側に突出した面と接触している。圧減衰バルブ32は、ピストン部13の停止時に、複数の通液孔16b、16cの一部(即ち通液孔16b)を塞ぐ。
ベースバルブ部16には、第二チェックバルブ37が設けられている。第二チェックバルブ37は、円環形状の板状体である。第二チェックバルブ37は、付勢体38(例えば、バネ)により、ベースバルブ部16のヘッド部11c側の面のうち、ヘッド部11c側に突出した面に押し当てられている。第二チェックバルブ37は、ピストン部13の停止時に、複数の通液孔16b、16cの残部(即ち通液孔16c)を塞ぐ。
ショックアブソーバ10の圧縮時に、第二室22内の作動流体は、通液孔16bを通過するが、通液孔16cを通過しない。通液孔16bを通過する作動流体は、圧減衰バルブ32を第三室23側に撓ませることにより通液孔16bと第三室23とを連通させ、第三室23に流入する。この時、通液孔16bと第三室23との連通部分がオリフィスとなる。圧減衰バルブ32は、オリフィスにおける通液抵抗によって、圧減衰力を生じさせる。
ショックアブソーバ10の伸長時に、第三室23内の作動流体は、通液孔16cを通過するが、通液孔16bを通過しない。通液孔16cを通過する作動流体は、第二チェックバルブ37を第二室22側に押し開けることにより通液孔16cと第二室22とを連通させ、第二室22に流入する。付勢体38のセット荷重(イニシャル荷重)は弱く設定されているので、第二チェックバルブ37は、作動流体の流れを妨げない。
第二実施形態のショックアブソーバ10による圧縮行程及び伸長行程における作動流体の流れ(図4(b)、(c)参照)は、伸長行程において作動流体が第三室23から第二チェックバルブ37を介して第二室22に流れること(図4(c)参照)を除いて、第一実施形態(図2(b)、(c)参照)と同じである。従って、ここでの説明を省略する。
第二実施形態のショックアブソーバ10によれば、車両への搭載性を確保しつつ、乗り心地と走行性能との両方を従来よりも高いレベルで満足させることができる。
なお、第二実施形態のショックアブソーバ10では、ベースバルブ部16にチェックバルブ37が設けられている。しかし、ベースバルブ部16の少なくともキャップ部11b側の部分が、キャップ部11bの内部空間に位置し、キャップ部11bの内部空間に位置するベースバルブ部16の外径は、シリンダ部11aの内径よりも大きい。従って、圧減衰バルブ32の大径化が可能であり、これにより、圧減衰バルブ32の周長が確保されている。その結果、圧減衰バルブ32の開閉応答性が向上している。
<第三実施形態>
図5(a)は、第三実施形態のショックアブソーバの油圧回路図である。図5(b)は、図5(a)における圧縮時の作動流体の流れを示す図である。図5(c)は、図5(a)における伸長時の作動流体の流れを示す図である。
図5(a)〜(c)では、図1及び図2(a)〜(c)に示す構成に相当する構成に対して、図1及び図2(a)〜(c)と同じ符号を付している。
第三実施形態のショックアブソーバ10では、第一流量調整バルブ34及び第二流量調整バルブ36が設けられていないことが、第一実施形態と異なる。他の構造は、第一実施形態と同じである。
ショックアブソーバ10の圧縮行程では、第一実施形態と同様に、以下の関係が成立する。
第二室22の体積減少量=ΔP
第一室21の体積増加量=ΔP−ΔR
従って、圧縮行程では、ΔPに相当する量の作動流体が、第二室22から、圧減衰バルブ32を通じて、第二室22の外部に排出される。ショックアブソーバ10では、ΔPに相当する量の作動流体が、圧減衰力の発生に寄与する。
また、ΔP−ΔRに相当する量の作動流体が、第一チェックバルブ33を通過して、第一室21に流入する。第一チェックバルブ33では、圧減衰力は生じない。ΔRに相当する量の作動流体が、リザーバ15に流入する。
ショックアブソーバ10の伸長行程では、第一実施形態と同様に、以下の関係が成立する。
第一室21の体積減少量=ΔP−ΔR
第二室22の体積増加量=ΔP
従って、伸長行程では、ΔP−ΔRに相当する量の作動流体が、第一室21から、伸減衰バルブ31を通じて、第二室22に流れる。作動流体が伸減衰バルブ31を通過する際に第一室21の圧力が上昇して伸減衰力が発生する。ショックアブソーバ10では、ΔP−ΔRに相当する量の作動流体が、伸減衰力の発生に寄与する。
また、ΔRに相当する量の作動流体が、第二チェックバルブ35を通過して、第二室22に流入する。第二チェックバルブ35を通過する作動流体は、自由流れである。第二チェックバルブ35では、伸減衰力は生じない。
第三実施形態のショックアブソーバ10においても、車両への搭載性を確保しつつ、乗り心地と走行性能との両方を従来よりも高いレベルで満足させることができる。
上述したバルブ31〜37は、実施形態としての一例である。減衰力バルブ(伸減衰バルブ31及び圧減衰バルブ32)、チェックバルブ(第一チェックバルブ33、第二チェックバルブ35、第二チェックバルブ37)、流量調整バルブ(第一流量調整バルブ34、第二流量調整バルブ36)としては、特に限定されず、従来公知の構成が採用され得る。
また、第二チェックバルブに関し、第一及び第三実施形態では、第二チェックバルブ35がシリンダ体11の内部空間20の外部に設けられている。また、第二実施形態では、第二チェックバルブ35がシリンダ体11の内部空間20の外部に設けられるとともに、第二チェックバルブ37がベースバルブ部16に設けられている。但し、第二チェックバルブは、ベースバルブ部16のみに設けられていてもよい。
ショックアブソーバ10が設置される対象としては、車両であれば特に限定されない。ショックアブソーバ10は、例えば、鞍乗型車両のリアクッション又は自動車のサスペンションに好適に用いられ得る。鞍乗型車両としては、特に限定されず、例えば、自動二輪車、自動三輪車、不整地走行用車両(ALL−TERRAIN VEHICLE)等が挙げられる。また、自動二輪車としては、例えば、スクータ、モペット、スポーツ型の自動二輪車が挙げられる。
以上、この発明の好ましい実施形態について説明されたが、この発明の範囲および精神を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能であることは明らかである。この発明の範囲は、添付された請求の範囲のみによって限定される。
10 ショックアブソーバ
11 シリンダ体
11a シリンダ部
11b キャップ部
11c ヘッド部
12 外筒
13 ピストン部
13a 通液孔
14 ピストンロッド部
15 リザーバ
16 ベースバルブ部
16a 通液孔
20 内部空間
21 第一室
22 第二室
23 第三室
31 伸減衰バルブ
32 圧減衰バルブ
33 第一チェックバルブ
34 第一流量調整バルブ
35 第二チェックバルブ
36 第二流量調整バルブ
51〜55 流路

Claims (5)

  1. ショックアブソーバであって、
    前記ショックアブソーバは、
    筒状のシリンダ部と前記シリンダ部の一端の開口を覆うキャップ部と前記シリンダ部の他端の開口を覆うヘッド部とを備え、前記シリンダ部と前記キャップ部と前記ヘッド部とにより構成された内部空間を有するシリンダ体と、
    前記シリンダ体が、前記ショックアブソーバの伸長時に高圧となる第一室と、前記ショックアブソーバの圧縮時に高圧となる第二室とを備えるように、前記シリンダ体の前記内部空間を区画するピストン部と、
    前記ピストン部に固定され、前記ヘッド部を通って、前記シリンダ体の外部まで延出されたピストンロッド部と、
    前記シリンダ体の前記内部空間において、前記ピストン部よりも前記キャップ部側の位置に設けられたベースバルブ部と
    を備え、
    前記ピストン部には、前記第一室から前記第二室への作動流体の流れを一方向に許容し且つ伸減衰力を発生させる伸減衰バルブが設けられ、
    前記ベースバルブ部には、前記ベースバルブ部の前記キャップ側から前記第二室への作動流体の流れを一方向に許容し且つ圧減衰力を発生させる圧減衰バルブが設けられ、
    圧縮行程における前記第一室への作動流体の流入を一方向に許容する第一チェックバルブが、前記ピストン部に設けられておらず、且つ前記シリンダ体の前記内部空間の外部に設けられており、
    伸長行程における前記第二室への作動流体の流入を一方向に許容する第二チェックバルブが、前記シリンダ体の前記内部空間の外部、又は前記ベースバルブ部の少なくとも一方の位置に設けられている。
  2. 請求項1に記載のショックアブソーバであって、
    前記シリンダ体の前記内部空間の外部に、第一流量調整バルブ及び第二流量調整バルブが設けられており、
    前記第一流量調整バルブは、前記第一チェックバルブと並列に設けられており、
    前記第二流量調整バルブは、前記第二チェックバルブと並列に設けられている。
  3. 請求項2に記載のショックアブソーバであって、
    前記第一流量調整バルブ及び前記第二流量調整バルブは、電子制御式の流量調整バルブである。
  4. 請求項1〜3のいずれか1に記載のショックアブソーバであって、
    前記キャップ部は、前記シリンダ部側に、開端部を有し、前記シリンダ部と反対側に、閉端部を有し、
    前記ベースバルブ部の少なくともキャップ側の部分は、前記キャップ部の内部空間に位置しており、
    前記キャップ部の内部空間に位置する前記ベースバルブ部の外径は、前記シリンダ部の内径よりも大きい。
  5. 請求項4に記載のショックアブソーバであって、
    前記圧減衰バルブの外径は、前記シリンダ部の内径よりも大きい。
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