JP2014122255A - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、耐衝撃性や流動性、耐熱性などの物性バランスや耐候性だけでなく、滞留熱安定性と表面外観に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】
ポリカーボネート樹脂(A)10〜90重量部と、共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量%と架橋アクリル酸エステル系重合体50〜95重量%から構成される複合ゴム10〜80重量部に、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種からなる単量体20〜90重量部をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(B)10〜90重量部と、共重合体(C)0〜40重量部から構成される樹脂組成物であり、グラフト共重合体中に存在する複合ゴムに関して、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が複合ゴム粒子全体の50%以下であることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】
ポリカーボネート樹脂(A)10〜90重量部と、共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量%と架橋アクリル酸エステル系重合体50〜95重量%から構成される複合ゴム10〜80重量部に、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種からなる単量体20〜90重量部をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(B)10〜90重量部と、共重合体(C)0〜40重量部から構成される樹脂組成物であり、グラフト共重合体中に存在する複合ゴムに関して、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が複合ゴム粒子全体の50%以下であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリカーボネート樹脂と、特定構造を有する複合ゴムを用いたグラフト共重合体を含み、耐衝撃性や流動性、耐熱性などの物性バランスや耐候性だけでなく、滞留熱安定性と表面外観に優れた熱可塑性樹脂組成物及び該熱可塑性樹脂組成物から得られた成形品に関するものである。
ポリカーボネート樹脂とABS系樹脂からなる組成物(以下、PC/ABS系樹脂と記す)は、耐衝撃性、耐熱性、成形加工性に優れることから、車輌用部品、家庭電化製品、事務機器部品をはじめとする多様な用途に使用されている。また、ABS系樹脂は、ブタジエン系ゴムを使用していることより、耐候性に劣るため、このジエンをポリマーの主鎖に含まないエチレンープロピレンー非共役ジエン系ゴムを使用したAES樹脂やアクリル系ゴムを使用したASA系樹脂とポリカーボネート樹脂からなる組成物(以下、PC/ASA系樹脂と記す)が提案されている。例えば特許文献1には特定構造を有するアクリル系ゴムを用いたASA樹脂とポリカーボネート樹脂から構成される熱可塑性樹脂組成物が提案されている。
また、特許文献2には、成形加工性、耐候性、成形外観だけでなく、低温衝撃性が改良された熱可塑性樹脂組成物として、特定構造を有するシロキサンゴムとアクリル系ゴムを用いたASA系樹脂とポリカーボート樹脂及び硬質共重合体から構成された熱可塑性樹脂組成物が提案されているが、耐衝撃性(特に低温衝撃性)と成形加工性(流動性)のバランスと、パール状の表面外観が成形品の表面に現れるという外観の不具合や艶ムラの改善が不十分であり、滞留熱安定性が悪化する問題については何ら言及されていない。
本発明の目的は、耐衝撃性や流動性、耐熱性などの物性バランスや耐候性だけでなく、滞留熱安定性と表面外観に優れた熱可塑性樹脂組成物及び該熱可塑性樹脂組成物から得られた成形品を提供することにある。
本発明者らは、従来技術の問題点を解決するために鋭意検討を行った結果、ASA系樹脂として特定のポリマー構成を持つ複合ゴムに、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体等の単量体混合物を重合して得られるグラフト共重合体を用いることで、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明はポリカーボネート樹脂(A)と、共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量%と架橋アクリル酸エステル系重合体50〜95重量%から構成される複合ゴム10〜80重量部に、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種からなる単量体20〜90重量部をグラフト重合して得られ、グラフト共重合体中に存在する複合ゴムに関して、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が複合ゴム粒子全体の50%以下であることを特徴とするグラフト共重合体(B)、必要に応じて共重合体(C)から構成される熱可塑性樹脂組成物に関する。
本発明により、耐衝撃性や流動性、耐熱性などの物性バランスや耐候性だけでなく、滞留熱安定性と表面外観に優れた熱可塑性樹脂組成物及び該熱可塑性樹脂から得られた成形品を提供することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)10〜90重量部、グラフト共重合体(B)10〜90重量部、共重合体(C)0〜50重量部から構成される熱可塑性樹脂組成物((A)+(B)+(C)=100重量部)である。これらの成分が上記範囲外である場合は、耐衝撃性や流動性、耐熱性などの物性バランスに劣る。物性バランスの観点から、ポリカーボネート樹脂(A)は20〜85重量部であることが好ましく、30〜80重量部であることがより好ましい。グラフト共重合体(B)は15〜80重量部であることが好ましく、20〜70重量部であることがより好ましい。共重合体(C)は0〜45重量部であることが好ましく、0〜40重量部であることがより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)10〜90重量部、グラフト共重合体(B)10〜90重量部、共重合体(C)0〜50重量部から構成される熱可塑性樹脂組成物((A)+(B)+(C)=100重量部)である。これらの成分が上記範囲外である場合は、耐衝撃性や流動性、耐熱性などの物性バランスに劣る。物性バランスの観点から、ポリカーボネート樹脂(A)は20〜85重量部であることが好ましく、30〜80重量部であることがより好ましい。グラフト共重合体(B)は15〜80重量部であることが好ましく、20〜70重量部であることがより好ましい。共重合体(C)は0〜45重量部であることが好ましく、0〜40重量部であることがより好ましい。
本発明にて用いられるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、又はジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネート等の炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、;“ビスフェノールA”から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビスビス(4−ヒドロキシジフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4‘−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3‘−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルファイド、4,4‘−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルファイドのようなジヒドロキシジアリールスルファイド類、4,4‘−ジヒドロキシジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4‘−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらは単独または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4‘−ジヒドロキシジフェニル類等を混合しても良い。
さらに、上記のジヒドロキシジアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用しても良い。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン−2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン及び2,2−ビス−(4,4’−(4,4’−ヒドロキシジフェニル)シクロヘキシル)−プロパン等が挙げられる。なお、これらポリカーボネート樹脂を製造するに際し、重量平均分子量は、通常10000〜80000であり、好ましくは15000〜60000である。分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することが出来る。
本発明で使用されるグラフト共重合体(B)は、共役ジエン系ゴム状重合体と架橋アクリル酸エステル系重合体から構成される複合ゴムの存在下に芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体をグラフト重合して得られた、グラフト共重合体である。
本発明で使用される複合ゴムを構成する共役ジエン系ゴム状重合体としては、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロックコポリマー、スチレン−(エチレン−ブタジエン)−スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、メチルメタクリレート−ブタジエンゴムが挙げられる。特に、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
複合ゴムを構成する共役ジエン系ゴム状重合体の重量平均粒子径に特に制限は無いが、物性バランスの観点から、0.1〜1.0μmであることが好ましく、0.2〜0.5μmであることがより好ましい。また、共役ジエン系ゴム状重合体の重量平均粒子径の調節は公知の方法が使用できるが、比較的小粒子径の共役ジエン系ゴム状重合体を予め製造し、凝集肥大化させることで目的とする重量平均粒子径とした、凝集肥大化共役ジエン系ゴム状重合体を用いることも可能である。
本発明で使用される複合ゴムを構成する架橋アクリル酸エステル系重合体は、架橋剤の存在下にアルキル基の炭素数が1〜16のアクリル酸エステル系単量体、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等を一種又は二種以上、さらには必要に応じて他の共重合可能な単量体、例えばスチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等を一種又は二種以上を重合して得られる重合体である。
架橋アクリル酸エステル系重合体に用いられる架橋剤としては、例えばジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジシクロペンタジエンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
本発明で使用される複合ゴムは、共役ジエン系ゴム状重合体の存在下で、架橋アクリル酸エステル系重合体を構成する単量体(混合物)を乳化重合することによって得ることができる。すなわち、本発明の複合ゴムは共役ジエン系ゴム状重合体がコアであり、アクリル酸エステル系重合体がシェルであるコアシェル構造を有している。
本発明で使用される複合ゴムを構成する、共役ジエン系ゴム状重合体とアクリル酸エステル系重合体の比率は、共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量%、アクリル酸エステル系重合体50〜95重量%であることが必要であるが、物性バランスの観点から共役ジエン系ゴム状重合体が7〜40重量%であることが好ましく、10〜30重量%であることがより好ましい。
本発明で使用される複合ゴムは、上述の通り共役ジエン系ゴム状重合体コアであり、架橋アクリル酸エステル系重合体がシェルであるコアシェル構造を有していることを特徴としているが、架橋アクリル酸エステル系重合体全てが共役ジエン系ゴム状重合体に重合しているとは限らず、一部は架橋アクリル酸エステル系重合体の単独粒子として存在している可能性がある。以後、共役ジエン系ゴム状重合体と架橋アクリル酸エステル系重合体とがコアシェル構造を有している複合ゴムのみだけでなく、単独で存在している架橋アクリル酸エステル系重合体を含んだ状態であっても複合ゴムと呼称する。
本発明ではグラフト共重合体(B)中に存在する複合ゴムに関して、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が、複合ゴム粒子全体の50%以下となっている必要がある。円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が50%より多いと、得られる熱可塑性樹脂組成物の滞留熱安定性に劣る。円相当粒子径が150nm以下である粒子数が40%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
グラフト共重合体(B)中に存在する、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムとしては、上述の架橋アクリル酸エステル系重合体の単独粒子である場合が多く、該単独粒子が熱可塑性樹脂組成物の滞留熱安定性に悪影響を及ぼす主要因となる。従って、円相当粒子径が150nm以下である粒子を減らすためには、複合ゴムの製造の際に、出来るだけ架橋アクリル酸エステル系重合体の単独粒子を生成させないようにする必要がある。
また、コアシェル構造を有している複合ゴムであっても、円相当粒子径が150nm以下であれば滞留熱安定性に悪影響を与えるため、本発明は架橋アクリル酸エステル系重合体の単独粒子を含む複合ゴムに対して、円相当粒子径が150nm以下である粒子数が50%以下である事が必要である。
本発明で用いる複合ゴムの重合時に架橋アクリル酸エステル系重合体の単独粒子を生成させない方法としては、いかなる方法であっても構わないが、例えば乳化剤量、モノマー添加速度等を変更する方法が挙げられる。
複合ゴムを重合する際、使用する重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性重合開始剤を適宜用いることができる。さらに、好ましく用いられる還元剤の具体例としては、硫酸第一鉄7水塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜ニチオン酸塩、ニチオン酸塩、チオ硫酸塩、ホルムアルデヒドスルホン酸塩、ベンズアルデヒドスルホン酸塩、また、L−アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸などのカルボン酸類、更にはラクトース、デキストロース、サッカロースなどの還元糖類、更にはジメチルアニリン、トリエタノールアミンなどのアミン類が挙げられる。また、キレート剤としては、ピロリン酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
複合ゴムを重合する際、使用する乳化剤としては、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩等を適宜用いることができる。さらに、好ましく用いられる乳化剤の具体例としては、オレイン酸カリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明で使用される複合ゴムのトルエン溶媒でのゲル含有量に特に制限はないが、物性バランスの観点から、複合ゴムのゲル含有量が90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
本発明で使用されるグラフト共重合体(B)は、上述の複合ゴムの存在下に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体である。
グラフト共重合体(B)は該グラフト共重合体100重量部中に複合ゴムが10〜80重量部含まれている必要がある。複合ゴムが10重量部より少ないと耐衝撃性に劣り、80重量部を超えると流動性に劣る。複合ゴムの含有量は30〜70重量部であることが好ましく、40〜60重量部であることがより好ましい。
グラフト共重合体(B)を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
グラフト共重合体(B)を構成するシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。特にアクリロニトリルが好ましい。
グラフト共重合体(B)を構成する共重合可能な他のビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、マレイミド系単量体、アミド系単量体等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸(ジ)ブロモフェニル、(メタ)アクリル酸クロルフェニル等を例示でき、マレイミド系単量体としてはN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を例示でき、アミド系単量体としてはアクリルアミド、メタクリルアミド等を例示できる。
複合ゴムとグラフト重合する、上述の単量体の組成比率に特に制限はないが、芳香族ビニル系単量体60〜90重量%、シアン化ビニル系単量体10〜40重量%及び共重合可能な他のビニル系単量体0〜30重量%の組成比率、芳香族ビニル系単量体30〜80重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体20〜70重量%及び共重合可能な他のビニル系単量体0〜50重量%の組成比率、芳香族ビニル系単量体20〜70重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体20〜70重量%、シアン化ビニル系単量体10〜60重量%及び共重合可能な他のビニル系単量体0〜30重量%の組成比率等であることが好ましい。
グラフト共重合体(B)を重合するための手法に特に制限はなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等を用いることが出来る。乳化重合法を用いた場合、上述の複合ゴムに上述の単量体をグラフト重合することによって、グラフト共重合体(B)のラテックスを得ることが出来る。グラフト共重合体(B)のラテックスは、公知の方法により凝固され、洗浄、脱水、乾燥工程を経ることでグラフト共重合体(B)のパウダーを得ることができる。
グラフト共重合体(B)のグラフト率(グラフト共重合体のアセトン可溶分量と不溶分量及びグラフト共重合体中の複合ゴムの重量から求める。)、及びアセトン可溶分の還元粘度(0.4g/100cc、N,Nジメチルホルムアミド溶液として30℃で測定)に特に制限はなく、要求性能によって任意の構造のものを使用することができるが、物性バランスの観点から、グラフト率は5〜150%であることが好ましく、還元粘度は0.2〜2.0dl/gであることが好ましい。
本発明で使用される共重合体(C)は、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、必要に応じてその他の共重合可能な他のビニル系単量体を共重合することで得られるが、共重合体(C)を構成する各単量体は、グラフト共重合体(B)で用いられる単量体と同様のものを用いる事ができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じてヒンダードアミン系の光安定剤、ヒンダードフェノール系、含硫黄有機化合物系、含リン有機化合物系等の酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系等の熱安定剤、ベンゾエート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系の紫外線吸収剤、有機ニッケル系、高級脂肪酸アミド類等の滑剤、リン酸エステル類等の可塑剤、ポリブロモフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化等の含ハロゲン系化合物、リン系化合物、三酸化アンチモン等の難燃剤・難燃助剤、臭気マスキング剤、カーボンブラック、酸化チタン、顔料、及び染料等を添加することもできる。更に、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、金属繊維等の補強剤や充填剤を添加することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述の成分を混合することで得ることができる。混合するために、例えば、押出し機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等の公知の混練装置を用いることができる。
ポリカーボネート樹脂(A)、グラフト共重合体(B)及び共重合体(C)の混合順序、方法には何ら制限はなく、これら3成分のうち、予め任意の2成分を混合・混錬後、残る1成分を混合・混錬することもできる。なお、溶融混錬に際しては各種公知の押出機により、200〜300℃で溶融混錬することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その目的を損なわない範囲内において、他の熱可塑性樹脂と混合して使用することもできる。このような他の熱可塑性樹脂として、例えば、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂などのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等を使用することができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、実施例中にて示す「部」及び「%」は重量に基づくものである。
ポリカーボネート樹脂(A)
住化スタイロンポリカーボネート(株)製 カリバー 200−15
住化スタイロンポリカーボネート(株)製 カリバー 200−15
小粒子径スチレン−ブタジエンゴムラテックスの製造
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、1,3−ブタジエン95重量部、スチレン5重量部、n−ドデシルメルカプタン0.5重量部、過硫酸カリウム0.3重量部、不均化ロジン酸ナトリウム1.8重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部、脱イオン水145重量部を仕込み、攪拌しつつ70℃で8時間反応させた。その後、不均化ロジン酸ナトリウム0.2重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部及び脱イオン水5重量部を添加した。さらに温度を70℃に維持しながら6時間攪拌を継続して反応を終了した。その後、減圧して残存している1,3−ブタジエンを除去し、スチレン−ブタジエンゴムラテックスを得た。得られたスチレン−ブタジエンゴムラテックスを、四酸化オスミウム(OsO4)で染色し、乾燥後に透過型電子顕微鏡で写真撮影した。画像解析処理装置(装置名:旭化成(株)製 IP−1000PC)を用いて1000個のゴム粒子の面積を計測し、その円相当粒子径(直径)を求め、スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は120nmであった。
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、1,3−ブタジエン95重量部、スチレン5重量部、n−ドデシルメルカプタン0.5重量部、過硫酸カリウム0.3重量部、不均化ロジン酸ナトリウム1.8重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部、脱イオン水145重量部を仕込み、攪拌しつつ70℃で8時間反応させた。その後、不均化ロジン酸ナトリウム0.2重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部及び脱イオン水5重量部を添加した。さらに温度を70℃に維持しながら6時間攪拌を継続して反応を終了した。その後、減圧して残存している1,3−ブタジエンを除去し、スチレン−ブタジエンゴムラテックスを得た。得られたスチレン−ブタジエンゴムラテックスを、四酸化オスミウム(OsO4)で染色し、乾燥後に透過型電子顕微鏡で写真撮影した。画像解析処理装置(装置名:旭化成(株)製 IP−1000PC)を用いて1000個のゴム粒子の面積を計測し、その円相当粒子径(直径)を求め、スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は120nmであった。
凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックスの製造
10リットルの耐圧容器に、上記で得られたスチレン−ブタジエンゴムラテックス270重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1重量部を添加して10分間攪拌混合した後、5%リン酸水溶液20重量部を10分間にわたり添加した。次いで10%水酸化カリウム水溶液10重量部を添加し、凝集肥大化したスチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を得た。
上述の方法で、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は330nmであった。
10リットルの耐圧容器に、上記で得られたスチレン−ブタジエンゴムラテックス270重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1重量部を添加して10分間攪拌混合した後、5%リン酸水溶液20重量部を10分間にわたり添加した。次いで10%水酸化カリウム水溶液10重量部を添加し、凝集肥大化したスチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を得た。
上述の方法で、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は330nmであった。
10リットルの耐圧容器に、上記で得られたスチレン−ブタジエンゴムラテックス270重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3重量部を添加して10分間攪拌混合した後、5%リン酸水溶液20重量部を10分間にわたり添加した。次いで10%水酸化カリウム水溶液10重量部を添加し、凝集肥大化したスチレン−ブタジエンゴムラテックス(2)を得た。
上述の方法で、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は250nmであった。
上述の方法で、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は250nmであった。
架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスの製造
窒素置換したガラスリアクターに、脱イオン水180重量部、アクリル酸ブチル15重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部、アルケニルコハク酸ジカリウム0.16重量部(固形分換算)、過硫酸カリウム0.15重量部を仕込み、65℃で1時間反応させた。その後、アクリル酸ブチル85重量部、メタクリル酸アリル0.53重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.64重量部(固形分換算)を溶解した乳化剤水溶液を3時間かけて連続的に添加した。滴下後、3時間保持して、架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスを得た。
窒素置換したガラスリアクターに、脱イオン水180重量部、アクリル酸ブチル15重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部、アルケニルコハク酸ジカリウム0.16重量部(固形分換算)、過硫酸カリウム0.15重量部を仕込み、65℃で1時間反応させた。その後、アクリル酸ブチル85重量部、メタクリル酸アリル0.53重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.64重量部(固形分換算)を溶解した乳化剤水溶液を3時間かけて連続的に添加した。滴下後、3時間保持して、架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスを得た。
得られた架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスの重量平均粒子径を下記に記載する方法で算出した。得られた架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスを15部(固形分)、スチレンを64部、アクリロニトリルを21部用いてグラフト共重合を行い、グラフト共重合体を得た。グラフト共重合体のパウダーを溶融混練してペレットを得た。得られたペレットを、クライオミクロトームを用いて−85℃の雰囲気下で超薄切片を切り出し、四酸化ルテニウム(RuO4)で染色し、透過型電子顕微鏡(JEM−1400:日本電子製)で写真撮影した。画像解析装置(旭化成 IP−1000PC)を用いて、1000個の架橋アクリル酸ブチルゴム粒子の面積を計測し、その円相当径(直径)を求め、架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は200nmであった。
複合ゴムラテックス(b−1)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル20重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル60重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(b−1)を得た。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル20重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル60重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(b−1)を得た。
複合ゴムラテックス(b−2)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(2)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル20重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル60重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(b−2)を得た。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(2)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル20重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル60重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(b−2)を得た。
複合ゴムラテックス(b−3)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した乳化剤溶液の5%、アクリル酸ブチル16重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加し、槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、残りの乳化剤溶液とアクリル酸ブチル64重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(b−3)を得た。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した乳化剤溶液の5%、アクリル酸ブチル16重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加し、槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、残りの乳化剤溶液とアクリル酸ブチル64重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(b−3)を得た。
複合ゴムラテックス(b−4)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した乳化剤溶液の20%、アクリル酸ブチル16重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加し、槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、残りの乳化剤溶液とアクリル酸ブチル64重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(b−4)を得た。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した乳化剤溶液の20%、アクリル酸ブチル16重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加し、槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、残りの乳化剤溶液とアクリル酸ブチル64重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(b−4)を得た。
複合ゴムラテックス(b−5)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した乳化剤溶液の40%、アクリル酸ブチル16重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加し、槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、残りの乳化剤溶液とアクリル酸ブチル64重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(b−5)を得た。
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した乳化剤溶液の40%、アクリル酸ブチル16重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加し、槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、残りの乳化剤溶液とアクリル酸ブチル64重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(b−5)を得た。
グラフト共重合体(B−1)の製造
ガラスリアクターに、複合ゴムラテックス(b−1)60重量部(固形分)を仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し60℃に到達したところで、ブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した。65℃に到達後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部を溶解した乳化剤水溶液を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックス(B−1)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(B−1)のパウダーを得た。
ガラスリアクターに、複合ゴムラテックス(b−1)60重量部(固形分)を仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し60℃に到達したところで、ブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した。65℃に到達後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部を溶解した乳化剤水溶液を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックス(B−1)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(B−1)のパウダーを得た。
グラフト共重合体(B−2)〜(B−5)の製造
複合ゴムラテックス(b−1)から(b−2)〜(b−5)に変更した以外はグラフト共重合体(B−1)と同様に製造し、グラフト共重合体ラテックス(B−2)〜(B−5)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(B−2)〜(B−5)のパウダーを得た。
複合ゴムラテックス(b−1)から(b−2)〜(b−5)に変更した以外はグラフト共重合体(B−1)と同様に製造し、グラフト共重合体ラテックス(B−2)〜(B−5)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(B−2)〜(B−5)のパウダーを得た。
グラフト共重合体(B−6)の製造
ガラスリアクターに、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を固形分換算で60重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し60℃に到達したところで、ブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した後に、65℃に昇温した。その後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部を溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックス(B−6)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(B−6)のパウダーを得た。
ガラスリアクターに、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を固形分換算で60重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し60℃に到達したところで、ブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した後に、65℃に昇温した。その後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部を溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックス(B−6)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(B−6)のパウダーを得た。
グラフト共重合体(B−7)の製造
ガラスリアクターに、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を固形分換算で15重量部、架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスを固形分換算で45重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し60℃に到達したところで、ブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した後に、65℃に昇温した。その後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部を溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックス(B−7)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(B−7)のパウダーを得た。
ガラスリアクターに、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を固形分換算で15重量部、架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスを固形分換算で45重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し60℃に到達したところで、ブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した後に、65℃に昇温した。その後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部を溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックス(B−7)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(B−7)のパウダーを得た。
共重合体(C)の製造
窒素置換したガラスリアクターに、脱イオン水150重量部、スチレン7重量部、アクリロニトリル3重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.02重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部(固形分換算)及び過硫酸カリウム0.3重量部を仕込み、65℃で1時間重合した。その後、スチレン63重量部、アクリロニトリル27重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.18重量部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.5重量部(固形分換算)を含む乳化剤水溶液30重量部を各々3時間かけて連続的に滴下した。滴下後2時間保持して、共重合体ラテックス(C)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、共重合体(C)のパウダーを得た。
窒素置換したガラスリアクターに、脱イオン水150重量部、スチレン7重量部、アクリロニトリル3重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.02重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部(固形分換算)及び過硫酸カリウム0.3重量部を仕込み、65℃で1時間重合した。その後、スチレン63重量部、アクリロニトリル27重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.18重量部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.5重量部(固形分換算)を含む乳化剤水溶液30重量部を各々3時間かけて連続的に滴下した。滴下後2時間保持して、共重合体ラテックス(C)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、共重合体(C)のパウダーを得た。
添加剤(D)
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D−1) BASF(株)製:TINUVIN 329
ヒンダードアミン系光安定剤(D−2) BASF(株)製:UVINUL 5050H
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D−1) BASF(株)製:TINUVIN 329
ヒンダードアミン系光安定剤(D−2) BASF(株)製:UVINUL 5050H
<実施例1〜5及び比較例1〜5>
表1に示すポリカーボネート樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、共重合体(C)及び添加剤(D)を混合した後、東芝TEM−35B二軸押出機を用いて250℃にて溶融混練してペレット化することで実施例1〜5及び比較例1〜5の熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを用いて物性評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、それぞれの評価方法を以下に示す。
表1に示すポリカーボネート樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、共重合体(C)及び添加剤(D)を混合した後、東芝TEM−35B二軸押出機を用いて250℃にて溶融混練してペレット化することで実施例1〜5及び比較例1〜5の熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを用いて物性評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、それぞれの評価方法を以下に示す。
粒子径分布の測定
グラフト共重合体(B)中の複合ゴムの粒子径分布を下記に記載する方法で算出した。上述のグラフト共重合体(B−1)25部と共重合体(C)75部を溶融混練してペレットを得た。得られたペレットを、クライオミクロトームを用いて−85℃の雰囲気下で超薄切片を切り出し、四酸化ルテニウム(RuO4)で染色し、透過型電子顕微鏡(JEM−1400:日本電子製)で写真撮影した。画像解析装置(旭化成 IP−1000PC)を用いて、1000個の複合ゴム粒子の面積を計測し、その円相当径(直径)を求めることで、150nm以下であるゴムの粒子数の割合を算出した。グラフト共重合体(B−2)〜(B−7)も同様の方法で測定を行った。測定結果を表1に示す。
グラフト共重合体(B)中の複合ゴムの粒子径分布を下記に記載する方法で算出した。上述のグラフト共重合体(B−1)25部と共重合体(C)75部を溶融混練してペレットを得た。得られたペレットを、クライオミクロトームを用いて−85℃の雰囲気下で超薄切片を切り出し、四酸化ルテニウム(RuO4)で染色し、透過型電子顕微鏡(JEM−1400:日本電子製)で写真撮影した。画像解析装置(旭化成 IP−1000PC)を用いて、1000個の複合ゴム粒子の面積を計測し、その円相当径(直径)を求めることで、150nm以下であるゴムの粒子数の割合を算出した。グラフト共重合体(B−2)〜(B−7)も同様の方法で測定を行った。測定結果を表1に示す。
耐衝撃性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用いISO試験方法294に準拠して各種試験片を成形し、各温度(23℃、−30℃)での耐衝撃性を測定した。
耐衝撃性はISO179に準拠し、4mm厚みで、ノッチ付きシャルピー衝撃値を測定した。単位:kJ/m2
各実施例及び比較例で得られたペレットを用いISO試験方法294に準拠して各種試験片を成形し、各温度(23℃、−30℃)での耐衝撃性を測定した。
耐衝撃性はISO179に準拠し、4mm厚みで、ノッチ付きシャルピー衝撃値を測定した。単位:kJ/m2
流動性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、ISO1133に準拠して、220℃、10kg荷重の条件でメルトボリュームフローレイトを測定した。単位;cm3/10分
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、ISO1133に準拠して、220℃、10kg荷重の条件でメルトボリュームフローレイトを測定した。単位;cm3/10分
耐熱性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、ISO試験方法294に準拠して試験片を成形し、耐熱性の測定をした。耐熱性はISO75に準拠して、荷重1.8MPaの荷重たわみ温度を測定し、単位を(℃)とした。
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、ISO試験方法294に準拠して試験片を成形し、耐熱性の測定をした。耐熱性はISO75に準拠して、荷重1.8MPaの荷重たわみ温度を測定し、単位を(℃)とした。
滞留熱安定性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、射出成形機(山城精機製作所製 SAV−30−30 シリンダー温度:270℃ 金型温度:60℃)を用いて、成形サイクルが30秒の時の成形品(90mm×55mm×2.5mm)と、成形サイクルが10分の時の成形品を得た。得られた各成形品の光沢を、光沢計を用いて測定した。成形サイクルが30秒の時を基準として、10分の時の光沢保持率を求めた。光沢保持率が良いほど、滞留熱安定性が優れていることになる。
光沢保持率が90%以上の場合;○
光沢保持率が90%未満の場合;×
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、射出成形機(山城精機製作所製 SAV−30−30 シリンダー温度:270℃ 金型温度:60℃)を用いて、成形サイクルが30秒の時の成形品(90mm×55mm×2.5mm)と、成形サイクルが10分の時の成形品を得た。得られた各成形品の光沢を、光沢計を用いて測定した。成形サイクルが30秒の時を基準として、10分の時の光沢保持率を求めた。光沢保持率が良いほど、滞留熱安定性が優れていることになる。
光沢保持率が90%以上の場合;○
光沢保持率が90%未満の場合;×
耐候性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、射出成形機(山城精機製作所製 SAV−30−30 シリンダー温度:250℃ 金型温度:60℃)を用いて成形品(90mm×55mm×2.5mm)を得た。スガ試験機(株)製紫外線オートフェードメーターU48AUを使用し、83℃、雨なしの条件下で各成形品の400時間の促進曝露試験を行った。その後、JIS Z8729にのっとり、曝露前後の測色を行った。色差が小さいほど耐候性に優れていることになる。
色差ΔE<4未満の場合;○
色差ΔE≧4以上の場合;×
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、射出成形機(山城精機製作所製 SAV−30−30 シリンダー温度:250℃ 金型温度:60℃)を用いて成形品(90mm×55mm×2.5mm)を得た。スガ試験機(株)製紫外線オートフェードメーターU48AUを使用し、83℃、雨なしの条件下で各成形品の400時間の促進曝露試験を行った。その後、JIS Z8729にのっとり、曝露前後の測色を行った。色差が小さいほど耐候性に優れていることになる。
色差ΔE<4未満の場合;○
色差ΔE≧4以上の場合;×
表面外観
耐候性の評価に用いるための成形品の表面外観を目視にて観察し、パール状(真珠調)の外観が見られるかで表面外観の判断を行った。
パール状(真珠調)の外観が見られない場合;○
パール状(真珠調)の外観が見られる場合;×
耐候性の評価に用いるための成形品の表面外観を目視にて観察し、パール状(真珠調)の外観が見られるかで表面外観の判断を行った。
パール状(真珠調)の外観が見られない場合;○
パール状(真珠調)の外観が見られる場合;×
表1に示すように、本願発明の熱可塑性樹脂組成物を用いた場合は、耐衝撃性、耐候性だけでなく、滞留熱安定性及び表面外観も良好な結果であった。
比較例1では、ポリカーボネート樹脂(A)が10部以下のため、耐衝撃性、耐熱性に劣る結果となった。比較例2〜3は円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が50%を超えていたため、滞留熱安定性、表面外観が劣っていた。共役ジエン系ゴムを用いた比較例4や共役ジエン系ゴム状重合体とアクリル酸エステル系重合体が複合ゴムとして存在していない比較例5では耐候性に劣る結果となった。
以上のとおり、本発明の熱可塑性樹脂組成物を使用することにより、耐衝撃性や流動性、耐熱性などの物性バランスや耐候性だけでなく、滞留熱安定性と表面外観に優れた熱可塑性樹脂組成物及び該熱可塑性樹脂組成物から得られた成形品を提供することができる。
Claims (3)
- ポリカーボネート樹脂(A)10〜90重量部と、グラフト共重合体(B)10〜90重量部と共重合体(C)0〜50重量部から構成される熱可塑性樹脂組成物(但し、(A)+(B)+(C)=100重量部)であって、
グラフト共重合体(B)は共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量%と架橋アクリル酸エステル系重合体50〜95重量%から構成される複合ゴム10〜80重量部に、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種からなる単量体20〜90重量部をグラフト重合して得られ、グラフト共重合体中に存在する複合ゴムに関して、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が複合ゴム粒子全体の50%以下であることを特徴とするグラフト共重合体(複合ゴムと単量体の合計は100重量部)であり、
共重合体(C)は芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、必要に応じてその他の共重合可能な他のビニル系単量体を共重合することで得られる共重合体であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - ポリカーボネート樹脂(A)30〜80重量部、グラフト共重合体(B)20〜70重量部及び共重合体(C)0〜40重量部(但し、(A)+(B)+(C)=100重量部)から構成されることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1又は2のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物から得られた成形品
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---|---|---|---|---|
WO2015190237A1 (ja) * | 2014-06-13 | 2015-12-17 | ユーエムジー・エービーエス株式会社 | 熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2001220487A (ja) * | 1999-12-01 | 2001-08-14 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 熱可塑性樹脂組成物 |
JP2002080684A (ja) * | 2000-09-07 | 2002-03-19 | Nippon A & L Kk | 熱可塑性樹脂組成物および各種部品 |
JP5453511B2 (ja) * | 2012-03-05 | 2014-03-26 | 日本エイアンドエル株式会社 | グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物及びグラフト共重合体の製造方法 |
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