JP2014122125A - 二酸化マンガンおよびそれを含む硬化型組成物 - Google Patents

二酸化マンガンおよびそれを含む硬化型組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2014122125A
JP2014122125A JP2012278402A JP2012278402A JP2014122125A JP 2014122125 A JP2014122125 A JP 2014122125A JP 2012278402 A JP2012278402 A JP 2012278402A JP 2012278402 A JP2012278402 A JP 2012278402A JP 2014122125 A JP2014122125 A JP 2014122125A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
manganese dioxide
curable composition
curing
weight
organic compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012278402A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5905380B2 (ja
Inventor
Yukiko Hamada
有紀子 濱田
Kazunori Matsumoto
和則 松本
Koju Echigoya
幸樹 越後谷
Tatsuro Matoda
達郎 的田
Hiroshi Shimomura
洋司 下村
Hirotake Shibata
寛丈 柴田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Fine Chemicals Co Ltd
Tomatec Co Ltd
Original Assignee
Tokan Material Technology Co Ltd
Toray Fine Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokan Material Technology Co Ltd, Toray Fine Chemicals Co Ltd filed Critical Tokan Material Technology Co Ltd
Priority to JP2012278402A priority Critical patent/JP5905380B2/ja
Priority to EP13772572.7A priority patent/EP2848590A4/en
Priority to CN201380015547.2A priority patent/CN104284863B/zh
Priority to KR1020147030293A priority patent/KR101664645B1/ko
Priority to PCT/JP2013/057678 priority patent/WO2013150888A1/ja
Publication of JP2014122125A publication Critical patent/JP2014122125A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5905380B2 publication Critical patent/JP5905380B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】液状ポリサルファイドポリマーを硬化させることができ、かつ、可塑剤に分散させたペースト状の硬化剤したとき、加熱促進養生後の硬化剤の硬化性低下を抑制できる二酸化マンガンおよびその硬化型組成物を提供する。
【解決手段】液状ポリサルファイドポリマーの硬化剤に使用する二酸化マンガンであり、該二酸化マンガンが、その表面を室温で液状の有機化合物でコーティングされるとともに、前記有機化合物が、分子内に少なくとも2個の水酸基を有し、かつ沸点が190℃以上であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、液状ポリサルファイドポリマー用の硬化剤として好適に用いられる、二酸化マンガンならびにその硬化型組成物に関するものである。
液状ポリサルファイドポリマーの酸化剤として、アルカリ処理により活性化された二酸化マンガンが使用されている。二酸化マンガンとしては、例えば天然の二酸化マンガン鉱をアルカリ処理したものや、特許文献1に記載されたナトリウムバーネサイト構造を有する二酸化マンガンなどが用いられ、可塑剤に分散させたペースト状の硬化剤にすることが一般的である。
液状ポリサルファイドポリマーを二酸化マンガンからなる硬化剤で硬化して得られるゴム状の硬化物は、分子の主鎖に硫黄を含んでおり、また、二重結合を含まないことから、耐油性、耐候性、水密性、気密性に優れた特徴を持ち、さらに接着性も良好である。このため液状ポリサルファイドポリマーの硬化物は、シーリング材、接着剤および塗料として広く用いられている。特に複層ガラス用途においては、シリコーン系シーリング材などの他基材に勝る、硬化性のよさ、水密性や気密性のよさから古くから用いられている。
しかしながら、二酸化マンガンを可塑剤に分散させたペースト状の硬化剤は、シリコーン系シーリング材などの他基材からなる硬化剤と比較すると貯蔵・流通後の活性変化が少ないものの、より安定な取扱い性および作業性を得るために、貯蔵安定性をさらに改良する技術が望まれていた。なお貯蔵安定性の指標としては、加熱促進養生試験後の硬化性の変化が評価されることが多い。
特開昭63−22857号公報
本発明の目的は、液状ポリサルファイドポリマーを硬化させることができ、かつ、可塑剤に分散させたペースト状の硬化剤したとき、加熱促進養生後の硬化剤の硬化性低下を抑制できる二酸化マンガンおよびその硬化型組成物を提供することである。
本発明の二酸化マンガンは、液状ポリサルファイドポリマーの硬化剤に使用する二酸化マンガンであって、該二酸化マンガンが、その表面を室温で液状の有機化合物でコーティングされるとともに、前記有機化合物が、分子内に少なくとも2個の水酸基を有し、かつ沸点が190℃以上であることを特徴とする。
また、本発明の硬化型組成物は、上記二酸化マンガンおよび液状ポリサルファイドポリマーを含有することを特徴とする。
本発明の二酸化マンガンによれば、その表面を室温で液状の有機化合物でコーティングするとともに、有機化合物の沸点が190℃以上、有機化合物の分子内に少なくとも2個の水酸基を有するようにしたので、耐熱性が向上し、可塑剤に分散させたペースト状の硬化剤したとき加熱促進養生後の硬化性低下を抑制することができる。このため、硬化剤の貯蔵安定性を向上することができる。
前記有機化合物としては、好ましくはジエチレングリコール、エチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、から選ばれる少なくとも一つであり、より好ましくはジエチレングリコールおよび/またはトリエタノールアミンである。
本発明の二酸化マンガンを可塑剤に分散させた硬化剤ペーストの状態で70℃、3日間養生した後、その硬化剤ペーストを、前記液状ポリサルファイドポリマーを含む主剤と混合した硬化型組成物のA硬度を、主剤と硬化剤の混合6時間後に9以上にすることができる。
前記二酸化マンガンとしては、下記一般式(1)
Na0.55Mn24・1.5H2O (1)
で示される単斜晶系ナトリウムバーネサイトの層間に存在するナトリウムイオンを、一価〜三価のカチオンで置換した単斜晶系カチオン置換バーネサイト型二酸化マンガンからなることが好ましい。この単斜晶系カチオン置換バーネサイト型二酸化マンガンにより、ポリサルファイドポリマーの硬化物を長期間温水に浸漬させたとき、硬化物の体積膨潤や強度低下を少なくすることができる。
また、本発明の硬化型組成物は、上記の二酸化マンガンおよび液状ポリサルファイドポリマーを含有するので、二酸化マンガンが優れた耐熱性および貯蔵安定性を有し、液状ポリサルファイドポリマーに対する硬化性の低下を抑制することができる。
硬化型組成物としては、充填材、可塑剤、硬化促進剤から選ばれる少なくとも一つを含有することができる。前記充填材としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、マイクロバルーンから選ばれる少なくとも一つにすることができる。また前記可塑剤としては、フタル酸エステル、塩素化パラフィン、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ハロゲン末端硫黄含有重合体から選ばれる少なくとも一つにすることができる。さらに前記硬化促進剤が、チウラム系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤から選ばれる少なくとも一つにすることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の二酸化マンガンは、液状ポリサルファイドポリマーを硬化させることができる活性化二酸化マンガンであり、その表面に室温で液状の有機化合物をコーティングすることで、耐熱性が向上し、可塑剤に分散させた硬化剤ペーストにしたとき加熱促進養生後での硬化性低下を抑制することができる。これにより貯蔵・流通後の活性変化をより一層少なくし、貯蔵安定性を向上させてより安定な取扱い性および作業性を得ることができる。
室温で液状の有機化合物としては、分子内に少なくとも2個の水酸基を有し、かつ沸点が190℃以上の有機化合物である。このような有機化合物で二酸化マンガンの表面をコーティングすることにより、耐熱性が改良され、硬化剤ペーストにした後に加熱促進養生などの熱履歴を受けても、硬化剤としての活性低下を大幅に抑制することができる。有機化合物は、その分子内に少なくとも2個の水酸基、好ましくは2個または3個の水酸基を有する。有機化合物が分子内に2個以上の水酸基を有することにより、二酸化マンガンの酸化作用を適切に保持し、貯蔵安定性を高くすることができる。
また有機化合物の沸点は190℃以上、好ましくは190℃以上380℃以下である。有機化合物の沸点を190℃以上にすることにより二酸化マンガンの表面を確実に保護し耐熱性を改良することができる。
さらに有機化合物は、室温で液状であることにより、二酸化マンガンの表面に容易にコーティングすることができる。ここで室温とは20℃をいう。また有機化合物の粘度は、好ましくは1〜500mPa・s、より好ましくは20〜400mPa・sであるとよい。有機化合物の粘度をこのような範囲内にすることにより、二酸化マンガンの表面に均一かつ容易にコーティングすることができる。本明細書において、有機化合物の粘度は、E型粘度計を使用し、20℃、回転数50rpmの条件で測定するものとする。
本発明における有機化合物としては、例えばジエチレングリコール、エチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、などが挙げられる。なかでもジエチレングリコール、トリエタノールアミンが、作業性が良いため、より好ましい。これら有機化合物は、1種類または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
前記の有機化合物の添加量としては、乾燥状態の二酸化マンガンに対して、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜4重量%、さらに好ましくは1〜2重量%にするとよい。
本発明において、二酸化マンガンを有機化合物で被覆する方法は特に限定されないが、例えば、二酸化マンガンを粉砕する時に有機化合物を添加することが好ましい。これにより二酸化マンガンの表面に有機化合物をコーティングができると同時に、有機化合物が分散助剤として作用し、二酸化マンガンの粉体が凝集することを抑制でき、二酸化マンガンの粒径を適切にコントロールすることができる。
本発明の二酸化マンガンを用いると、可塑剤に分散させた硬化剤ペーストの状態で、70℃で3日間加熱促進養生後の硬化剤の硬化性低下が抑制され、液状ポリサルファイドポリマーを含む主剤と混合6時間後の硬化型組成物のA硬度を好ましくは9以上、より好ましくは20以上にすることができる。本発明において、硬化型組成物のA硬度は、JIS K6253に基づきタイプAデュロメータにより求められる硬化型組成物の硬度である。
本発明の二酸化マンガンとしては、ポリサルファイドポリマーを硬化させる作用をもつ二酸化マンガンを用いることができ、例えば斜方晶系ナトリウムバーネサイト型二酸化マンガン(Na4Mn1427・9H2O)、単斜晶系ナトリウムバーネサイト型二酸化マンガン(Na0.55Mn24・1.5H2O)、アルカリ処理により活性化されたバーネサイト構造あるいはブセライト構造を有する二酸化マンガン、単斜晶系カチオン置換バーネサイト型二酸化マンガンを例示することができる。好ましくは単斜晶系カチオン置換バーネサイト型二酸化マンガンがよい。
バーネサイト構造を有する二酸化マンガンは、層間距離が約7オングストローム、好ましくは6.70〜7.50オングストローム、より好ましくは6.90〜7.25オングストロームである。バーネサイト型二酸化マンガンとしては、天然のバーネサイト鉱や、化学合成によるバーネサイトを使用し、アルカリ処理を行い活性化した単斜晶系ナトリウムバーネサイトを好ましく用いることができる。化学合成によるバーネサイトとしては、沈殿法で得られた物、すなわち、酸素の存在下、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン等の水溶液に苛性ソーダ等アルカリ水溶液を滴下し、得られた物等が挙げられる。
ブセライト構造を有する二酸化マンガンは、バーネサイト構造より結晶水量が多く、層間距離が長い。層間距離が約10オングストローム、好ましくは7.50〜11.50オングストロームである。ブセライト型二酸化マンガンとしては、天然のブセライト鉱、及び化学合成によるブセライトを使用することができる。化学合成によるブセライトとしては、沈殿法で得られた物、すなわち、酸素の存在下、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン等水溶液に苛性ソーダ等アルカリ水溶液を滴下し、得られた物等が挙げられる。
単斜晶系カチオン置換バーネサイト型二酸化マンガンは下記一般式(1)で示される単斜晶系ナトリウムバーネサイトの層間に存在するナトリウムイオンを、一価〜三価のカチオンで置換したカチオン置換バーネサイト型二酸化マンガンである。
Na0.55Mn24・1.5H2O (1)
単斜晶系ナトリウムバーネサイトの層間に存在するナトリウムイオンを、一価〜三価のカチオンで置換した単斜晶系カチオン置換バーネサイト型二酸化マンガンは、吸水性が高いナトリウムイオンを、吸水性の低い一価〜三価のカチオンに置換することで、二酸化マンガンの吸水性を低減することができる。この二酸化マンガンを硬化剤にすることによりポリサルファイドポリマーの硬化物の吸水性を大幅に低減するので、長期間温水に浸漬させても硬化物の体積膨潤や強度低下を少なくすることができる。
ナトリウムイオンを置換する一価〜三価のカチオンは、単斜晶系のバーネサイト構造の層間に入るイオン半径を有したもので、吸水性が低いカチオンであれば特に制限はない。好ましくは、例えばカルシウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、ニッケルイオン、鉄(III)イオン、ランタンイオン、亜鉛イオン、バリウムイオン等の金属イオンや、プロトン、アンモニウムイオン等を挙げることができる。
ナトリウムイオンを一価〜三価のカチオンで置換するとは、少なくとも一価〜三価のカチオンの含量をナトリウムイオンの含量より多くすることをいう。ポリサルファイドポリマーの硬化物の長期温水浸漬時の体積膨潤率を抑制するには、低吸水性カチオンの置換率が高く、すなわち残存するナトリウムイオン量が少ない方がよい。カチオン置換した二酸化マンガンにおけるナトリウムイオンの含量は、好ましくは0.40重量%以下、より好ましくは0.15重量%以下にするとよい。
単斜晶系ナトリウムバーネサイトの層間のナトリウムイオンを一価〜三価のカチオンで置換する方法は、例えば単斜晶系ナトリウムバーネサイトを、一価〜三価のカチオンを含む水溶液で処理しナトリウムイオンを一価〜三価のカチオンに置換した後、その生成物を水洗し乾燥する方法や、通常行われるイオン置換方法を用いることができる。
一価〜三価のカチオンを含む水溶液での処理方法において、一価〜三価のカチオンを含む水溶液としては、水溶性の金属塩を含むものであれば特に制限されない。金属塩は、好ましくは塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、有機酸塩であるとよい。水溶液の金属塩の濃度は、好ましくは0.5〜50重量%、より好ましくは2〜30重量%であるとよい。
一価〜三価のカチオンを含む水溶液での処理方法は、特に制限されないが、例えばこれらの水溶液に二酸化マンガンを添加して撹拌すればよい。水溶液への二酸化マンガンの添加量については、カチオンを含む水溶液1リットルに対して好ましくは0.1〜200g、より好ましくは0.5〜150gにするとよい。処理条件は、水溶液の温度が好ましくは10〜80℃、より好ましくは20〜50℃で、処理時間が好ましくは1〜72時間、より好ましくは5〜24時間程度撹拌するとよい。また、カチオン置換した二酸化マンガンを乾燥する際は、好ましくは20〜180℃にて、より好ましくは60〜150℃にて、好ましくは1〜150時間乾燥するとよい。
本発明の硬化型組成物は、上述した二酸化マンガンおよび液状ポリサルファイドポリマーを含有する。沸点が190℃以上で分子内に少なくとも2個の水酸基を有する室温で液状の有機化合物を表面コーティングした二酸化マンガンを硬化剤として用いると、硬化剤を加熱促進養生しても硬化性低下が抑制されるため、貯蔵安定性を大幅に向上することができる。特に硬化剤を70℃で3日間養生した後に、液状ポリサルファイドポリマーを含む主剤と混合6時間後の硬化型組成物のA硬度を9以上にすることができる。また二酸化マンガンとして、単斜晶系カチオン置換バーネサイト型二酸化マンガンを用いると、ポリサルファイドポリマーからなる硬化物の温水浸漬時の膨潤や強度低下を低減させることができ、80℃温水に10日間浸漬した後の体積膨潤率を10%未満にすることができる。
本発明で用いる液状ポリサルファイドポリマーは、好ましくは下記一般式(2)で示される。
HS−(R−Sxn−R−SH (2)
(ただし、Rは−O−CH2−O−結合を含む2価あるいは3価の有機基、nは1〜200の整数であり、好ましくは1〜50の整数である。xは1〜5の整数でxの平均値は1〜2.5である。)
前記式(2)において、Rは、好ましくは、−O−CH2−O−結合と、直鎖アルキレン基または分岐アルキレン基を含む有機基である。Rは、より好ましくは−O−CH2−O−結合と分岐アルキレン基を含む有機基であるとよい。直鎖または分岐アルキレン基は、好ましくは、−O−CH2−O−結合のモル数に対して、0〜70モル%であるとよい。
Rは、好ましくは、
−C24−O−CH2−O−C24
を50モル%以上含有する。さらに好ましくは、
−C24−O−CH2−O−C24
を70モル%以上含有する。
分岐アルキレン基は、好ましくは、トリハロ有機化合物由来の多官能成分で、下記一般式(3)で示される有機基である。
Figure 2014122125
分岐トリハロ有機化合物として好ましいのは、トリハロアルキル化合物であり、より好ましいのは、トリハロプロパンである。好ましいトリハロプロパンのハロゲン原子は、塩素、臭素、およびヨウ素であり、より好ましいハロゲン原子は塩素原子である。
本発明で用いる液状ポリサルファイドポリマーは、前記式(2)のnが1〜200の整数、好ましくは1〜50の整数である。液状ポリスルフィドポリマーは、室温で液状であり、数平均分子量が、好ましくは500〜50,000であり、より好ましくは1,000〜10,000である。
さらに、前記式(2)のxは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数であり、xの平均値が1〜2.5である。また、特にxの平均値が2未満であるときには、低粘度、低ガラス転移温度、高耐熱性の効果がある。
本発明で用いる液状ポリサルファイドポリマーは、従来の固体ポリサルファイドの形成を経由する製造方法及び、相間移動触媒を用いた固体ポリサルファイドの形成を含まない特許第4227787号公報記載の製造方法により得ることができるが、いずれの方法にも限定されるものではない。
本発明の硬化型組成物は、二酸化マンガンを液状ポリサルファイドポリマーの硬化剤として用いる際に、作業性及び硬化後の物性を改良する目的で、必要に応じて、可塑剤、充填材、硬化促進剤、接着促進剤、顔料などの添加剤を含有する事ができる。好ましくは充填材、可塑剤、硬化促進剤から選ばれる少なくとも一つを含有するとよい。
可塑剤としては、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸アルキル(C7−C9)ベンジルなどのフタル酸エステル、塩素化パラフィン、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールモノベンゾエート、水添ターフェニル、特開2004―51918号公報記載の炭化水素系可塑剤、特願2011−167330号明細書記載のハロゲン末端硫黄含有重合体などが挙げられる。好ましい可塑剤としては、フタル酸エステル、塩素化パラフィン、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ハロゲン末端硫黄含有重合体から選ばれる少なくとも一つであるとよい。
可塑剤の添加量は、硬化物の硬度、強度や伸び、さらには硬化前の硬化型組成物の粘度の設計によって設定されるが、液状ポリサルファイドポリマー100重量部に対して1〜100重量部であることが好ましい。可塑剤の添加量が100重量部を超えると非反応性の液状物が多くなり硬化物の硬度が保てない場合がある。より好ましくは1〜50重量部であり、さらにより好ましくは、1〜30重量部である。
充填材としては、例えば炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ケイ酸塩、硫酸塩などの無機充填材やカーボンブラックなどが挙げられる。また、ポリアミドやポリエチレンのような軽量ポリマー充填材、シリカ、アクリロニトリルやメタクリロニトリルや塩化ビニリデンなどの熱可塑性バルーン(熱膨張マイクロカプセル)、フェノールやエポキシなどの熱硬化性バルーン、シラスやフライアッシュやガラスやアルミナなどの無機系バルーンなどの中空充填材、などが挙げられる。好ましい充填材としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、マイクロバルーンから選ばれる少なくとも一つであるとよい。なお、充填材は2種類以上用いてもよく、いずれの充填材も、表面を脂肪酸、樹脂酸、界面活性剤、シランカップリング剤、パラフィンなどで処理したものを使用してもよい。
なお、炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウムが好ましい。一般に、重質炭酸カルシウムは、石灰石原石を機械的に粉砕・分級して所望の粒度とし得られた炭酸カルシウムである。またコロイド炭酸カルシウムは、石灰石原石をコークス等で混焼し、一旦酸化カルシウム(生石灰)を作製し、それを水と反応させて水酸化カルシウム(消石灰)とし、焼成時に発生した炭酸ガスと反応せしめ、所望の粒径、粒子形状とし得られた炭酸カルシウムである。
充填材の添加量は、液状ポリサルファイドポリマー100重量部に対して0.1〜500重量部であることが好ましい。充填材の添加量が0.1重量部未満では十分な補強硬化が得られず、500重量部を超えると硬化型組成物の粘度が高くなり作業性が低下し好ましくない。より好ましくは1〜300重量部、さらにより好ましくは10〜200重量部、もっと好ましくは、30〜60重量部である。
硬化促進剤としては、アルデヒド・アンモニア及びアルデヒド・アミン系、チオウレア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオカルバミン酸塩系、キサントゲン酸塩系などの硬化促進剤が挙げられる。具体的には、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジフェニルグアニジン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ヘキサメチレンテトラミンなどが挙げられる。好ましい硬化促進剤としてはチウラム系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤から選ばれる少なくとも一つであるとよい。上記硬化促進剤は2種類以上を用いても良い。
硬化促進剤の添加量は、硬化型組成物の硬化速度や、さらには使用温度によって設定されるが、液状ポリサルファイドポリマー100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましい。硬化促進剤の添加量が10重量部を超えると反応に関与しなかった残存の促進剤が硬化物の性能を落とす場合がある。より好ましくは1〜5重量部であり、さらにより好ましくは、1〜3重量部である。
接着促進剤としては加水分解性シリル基と反応性有機官能基とを含有するシランカップリング剤が挙げられる。具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどが挙げられる。また、特開平6−271833号公報に記載のポリサルファイドポリマー“チオコールLP−3”と3―グリドキシプロピルトリメトキシシランを反応させて合成した末端トリメトキシシラン変性ポリサルファイドポリマーもシランカップリング剤として用いることができる。これらシランカップリング剤は2種以上を用いてもよい。
本発明の硬化型組成物で得られる硬化物は、耐油性、耐候性、水密性、気密性および接着性に優れた特徴を有する。さらに二酸化マンガンとして単斜晶系カチオン置換バーネサイト型二酸化マンガンを使用することにより、硬化物の温水浸漬時の体積膨潤を極めて小さくすることかできる。これらの特徴は、シーリング材、接着剤および塗料などに好適である。特に、二酸化マンガンの表面を特定の有機化合物でコーティングしたので、硬化型組成物を構成する硬化剤の貯蔵安定性を一層向上することができる。
また温水浸漬時の硬化物の体積膨潤が極めて小さいという特徴は、サッシに溜まった水への耐久性を求められる複層ガラス用シーリング材に最適である。世界の市場で最大のシェアを持つ、二酸化マンガンを硬化剤とする従来のポリサルファイド系複層ガラスシーリング材は、80℃温水浸漬10日間で20%以上の膨潤がある。したがって、ポリサルファイド系シーリング材において耐久性を向上させるためには、80℃温水浸漬10日後の体積膨潤率を20%未満に抑えることが好ましい。より好ましくは、80℃温水浸漬10日後の体積膨潤率が10%未満である。
体積膨潤率の測定は様々な方法があるが、空気中の重量と水中の重量から体積を求め、温水浸漬前後で体積の変化率(%)を求める方法が簡易かつ精度が良い。サンプルの形状はより浸漬の影響を受けやすいように、厚みを薄く調整する必要があるが、データの再現性より、2mm厚以下のシートとし、30×30mm以上の面積とするのが好ましい。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。以下文中の「部」は特に断りのない限り重量基準の「重量部」である。
二酸化マンガンの結晶構造の同定と層間距離の算出には、粉末X線回折測定(スペクトリス株式会社製X’Pert PRO MRD)を行い、X線回折チャートを得た。標準回折チャートとのピーク比較により結晶構造の同定を行い、001反射に指数付けされるピークの面間隔がバーネサイト構造の層間距離に相当するとして層間距離を算出した。
化学組成比の算出には、Naに関しては原子吸光法、Mnに関しては酸化還元滴定法、その他の金属に関してはICP発光分光分析法(ICP−AES法)を用いて定量を行った。なお、表1に記載した化学分析結果は、二酸化マンガン中の各金属の含量(重量%)を表わした。
合成実施例1
市販品1(Honeywell製二酸化マンガンType−FA、単斜晶系ナトリウムバーネサイト型二酸化マンガン)100部にジエチレングリコール(和光純薬工業社製、水酸基数が2、沸点が245℃、E型粘度計で測定した20℃の粘度が25.4mPa・s)2.0部を加え、自動乳鉢で1時間粉砕することにより、合成実施例1の二酸化マンガンを得た。この合成実施例1の二酸化マンガンの層間距離と化学組成比を表1に示す。合成実施例1の二酸化マンガンは単斜晶系ナトリウムバーネサイト型二酸化マンガンに対して2.0重量%のジエチレングリコールによりコーティングされた表面処理粉体である。
合成実施例2
市販品1を100部にトリエタノールアミン(和光純薬工業社製、水酸基数が3、沸点が360℃、E型粘度計で測定した20℃の粘度が370.1mPa・s)2.0部を加え、自動乳鉢で1時間粉砕することにより、合成実施例2の二酸化マンガンを得た。この合成実施例2の二酸化マンガンの層間距離と化学組成比を表1に示す。合成実施例2の二酸化マンガンは単斜晶系ナトリウムバーネサイト型二酸化マンガンに対して2.0重量%のトリエタノールアミンによりコーティングされた表面処理粉体である。
合成比較例1
塩化マンガンニ水和物188.7部を蒸留水3000部に加えて溶解した水溶液(A)と、苛性ソーダ825部と過酸化水素216.2部と蒸留水3750部からなる水溶液(B)を準備した。水溶液(A),(B)いずれも、10℃以下に保持した後、回転数800rpmで攪拌しながら、水溶液(B)を水溶液(A)に120分間かけて加えた。添加完了後、更に5時間攪拌を行った。その後、懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗し、ろ物(1)を得た。ろ物(1)400部を、予め用意した酢酸370部と蒸留水14700部からなる水溶液に加え、12時間攪拌した。次に、得られた懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗した後、ろ物を回収し、150℃で12時間乾燥した乾燥物(1)を得た。得られた乾燥物(1)を乳鉢で粉砕し、合成比較例1の二酸化マンガンを得た。この合成比較例1の二酸化マンガンの層間距離と化学組成比を表1に示す。これらの結果から、合成比較例1の二酸化マンガンはナトリウム含量0.07重量%の、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイトである。
合成実施例3
合成比較例1と同様にして得られた乾燥物(1)を100部にジエチレングリコール1.0部を加え、自動乳鉢で1時間粉砕することにより、合成実施例3の二酸化マンガンを得た。この合成実施例3の二酸化マンガンの層間距離と化学組成比を表1に示す。
これらの結果から、合成実施例3の二酸化マンガンは、ナトリウム含量0.07重量%の、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイトに対して1.0重量%のジエチレングリコールによりコーティングされた表面処理粉体である。
合成実施例4
合成比較例1と同様にして得られた乾燥物(1)を100部にジエチレングリコール2.0部を加え、自動乳鉢で1時間粉砕することにより、合成実施例4の二酸化マンガンを得た。この合成実施例4の二酸化マンガンの層間距離と化学組成比を表1に示す。
これらの結果から、合成実施例4の二酸化マンガンは、ナトリウム含量0.07重量%の、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイトに対して2.0重量%のジエチレングリコールによりコーティングされた表面処理粉体である。
合成実施例5
合成比較例1と同様にして得られた乾燥物(1)を100部にトリエタノールアミン1.0部を加え、自動乳鉢で1時間粉砕することにより、合成実施例5の二酸化マンガンを得た。この合成実施例5の二酸化マンガンの層間距離と化学組成比を表1に示す。
これらの結果から、合成実施例5の二酸化マンガンは、ナトリウム含量0.07重量%の、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイトに対して1.0重量%のトリエタノールアミンによりコーティングされた表面処理粉体である。
合成実施例6
合成比較例1と同様にして得られた乾燥物(1)を100部にトリエタノールアミン2.0部を加え、自動乳鉢で1時間粉砕することにより、合成実施例6の二酸化マンガンを得た。この合成実施例6の二酸化マンガンの層間距離と化学組成比を表1に示す。
これらの結果から、合成実施例6の二酸化マンガンは、ナトリウム含量0.07重量%の、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイトに対して2.0重量%のトリエタノールアミンによりコーティングされた表面処理粉体である。
合成比較例2
合成比較例1で得られた二酸化マンガン(層間距離が7.19Å、ナトリウム含量が0.07重量%、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイト)100部に対し、ドデカン(和光純薬工業社製、水酸基なし、沸点が215℃、E型粘度計で測定した20℃の粘度が1.4mPa・s)2部を加え、自動乳鉢で1時間粉砕することにより、合成比較例2の二酸化マンガンを得た。この合成比較例2の二酸化マンガンの層間距離と化学組成比を表1に示す。
合成比較例2の二酸化マンガンは、ナトリウム含量0.07重量%の、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイトに対して2.0重量%のドデカンによりコーティングされた表面処理粉体である。
合成比較例3
合成比較例1で得られた二酸化マンガン(層間距離が7.19Å、ナトリウム含量が0.07重量%、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイト)100部に対し、エタノール(和光純薬工業社製、水酸基数が1、沸点78℃、E型粘度計で測定した20℃の粘度が1.2mPa・s)2部を加え、自動乳鉢で1時間粉砕することにより、合成比較例3の二酸化マンガンを得た。この合成比較例3の二酸化マンガンの層間距離と化学組成比を表1に示す。
合成比較例3の二酸化マンガンは、ナトリウム含量0.07重量%の、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイトに対して2.0重量%のエタノールによりコーティングされた表面処理粉体である。
合成比較例4
合成比較例1で得られた二酸化マンガン(層間距離が7.19Å、ナトリウム含量が0.07重量%、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイト)100部に対し、1−ヘキサノール(和光純薬工業社製、水酸基数が1、沸点158℃、E型粘度計で測定した20℃の粘度が4.4mPa・s)2部を加え、自動乳鉢で1時間粉砕することにより、合成比較例4の二酸化マンガンを得た。この合成比較例4の二酸化マンガンの層間距離と化学組成比を表1に示す。
合成比較例4の二酸化マンガンは、ナトリウム含量0.07重量%の、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイトに対して2.0重量%の1−ヘキサノールによりコーティングされた表面処理粉体である。
合成比較例5
合成比較例1で得られた二酸化マンガン(層間距離が7.19Å、ナトリウム含量が0.07重量%、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイト)100部に対し、1−ヘプタノール(和光純薬工業社製、水酸基数が1、沸点176℃、E型粘度計で測定した20℃の粘度が5.5mPa・s)2部を加え、自動乳鉢で1時間粉砕することにより、合成比較例5の二酸化マンガンを得た。この合成比較例5の二酸化マンガンの層間距離と化学組成比を表1に示す。
合成比較例5の二酸化マンガンは、ナトリウム含量0.07重量%の、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイトに対して2.0重量%の1−ヘプタノールによりコーティングされた表面処理粉体である。
合成比較例6
合成比較例1で得られた二酸化マンガン(層間距離が7.19Å、ナトリウム含量が0.07重量%、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイト)100部に対し、1−ドデカノール(和光純薬工業社製、水酸基数が1、沸点259℃、E型粘度計で測定した20℃の粘度が15.5mPa・s)2部を加え、自動乳鉢で1時間粉砕することにより、合成比較例6の二酸化マンガンを得た。この合成比較例6の二酸化マンガンの層間距離と化学組成比を表1に示す。
合成比較例6の二酸化マンガンは、ナトリウム含量0.07重量%の、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイトに対して2.0重量%の1−ドデカノールによりコーティングされた表面処理粉体である。
合成比較例7
合成比較例1で得られた二酸化マンガン(層間距離が7.19Å、ナトリウム含量が0.07重量%、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイト)100部に対し、プロピレングリコール(和光純薬工業社製、水酸基数が2、沸点188℃、E型粘度計で測定した20℃の粘度が34.0mPa・s)2部を加え、自動乳鉢で1時間粉砕することにより、合成比較例7の二酸化マンガンを得た。この合成比較例7の二酸化マンガンの層間距離と化学組成比を表1に示す。
合成比較例7の二酸化マンガンは、ナトリウム含量0.07重量%の、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイトに対して2.0重量%のプロピレングリコールによりコーティングされた表面処理粉体である。
合成比較例8
合成比較例1と同様にして得たろ物(1)400部を、予め用意した塩化カルシウム二水和物441部と蒸留水3000部からなる水溶液に加え、24時間攪拌した。次に、得られた懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗した後、ろ物を回収し、80℃で10.5時間乾燥し乾燥物(2)を得た。得られた乾燥物(2)を乳鉢で粉砕し合成比較例8の二酸化マンガンを得た。この合成比較例8の二酸化マンガンの層間距離と化学組成比を表1に示す。
これらの結果から、合成比較例8の二酸化マンガンはナトリウム含量0.01重量%の、層間にカルシウムイオンが導入された単斜晶系バーネサイトである。
合成実施例7
合成比較例2と同様にして得られた乾燥物(2)を100部にジエチレングリコール2.0部を加え、自動乳鉢で1時間粉砕することにより、合成実施例7の二酸化マンガンを得た。この合成実施例7の二酸化マンガンの層間距離と化学組成比を表1に示す。
これらの結果から、合成実施例7の二酸化マンガンは、ナトリウム含量0.02重量%の、層間にカルシウムイオンが導入された単斜晶系バーネサイトに対して2.0重量%のジエチレングリコールによりコーティングされた表面処理粉体である。
合成実施例8
合成比較例28と同様にして得られた乾燥物(2)を100部にトリエタノールアミン2.0部を加え、自動乳鉢で1時間粉砕することにより、合成実施例8の二酸化マンガンを得た。この合成実施例8の二酸化マンガンの層間距離と化学組成比を表1に示す。
これらの結果から、合成実施例8の二酸化マンガンは、ナトリウム含量0.02重量%の、層間にカルシウムイオンが導入された単斜晶系バーネサイトに対して2.0重量%のトリエタノールアミンによりコーティングされた表面処理粉体である。
Figure 2014122125
表1に、市販品1、合成実施例1〜8、合成比較例1〜8の各サンプルの層間距離、各金属の含量、また表面コーティングした二酸化マンガンについては使用した有機化合物の種類と添加量を示した。なお、市販品1、合成実施例1〜8および合成比較例1〜8のサンプルはいずれも、層間距離が約7オングスロトームであり単斜晶系のバーネサイト単層構造を有する二酸化マンガンであることを確認した。また合成実施例3〜8および合成比較例1〜8の各サンプルは、層間のナトリウム含量が0.15重量%以下である。
実施例1
下記の配合に基づき、主剤として、液状ポリサルファイドポリマー(チオコール「LP−23」、東レ・ファインケミカル社製)、フタル酸ブチルベンジル、沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランをミキサー用いて混合した。硬化剤として、合成実施例1の二酸化マンガン、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸系可塑剤、テトラメチルチウラムジスルフィド、重質炭酸カルシウム、SFRカーボンを、三本ロールミルを用いて混練した。
主剤の組成
・チオコール「LP−23」(東レ・ファインケミカル社製) 100重量部
・フタル酸ブチルベンジル(大八化学社製) 37重量部
・沈降炭酸カルシウム(白石カルシウム社製白艶華CC) 65重量部
・重質炭酸カルシウム(白石カルシウム社製ホワイトンSSB赤) 90重量部
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 3重量部
(東レ・ダウコーニング社製 SH−6040)
硬化剤の組成
・二酸化マンガン(合成実施例1) 10重量部
・フタル酸ブチルベンジル(大八化学社製) 2.5重量部
・フタル酸系可塑剤(フェロ社製サンチサイザー278) 10.5重量部
・テトラメチルチウラムジスルフィド 0.5重量部
(大内新興化学工業社製ノクセラーTT)
・重質炭酸カルシウム(日東粉化工業社製NCC#410) 5重量部
・SRFカーボン 0.5重量部
表2に、硬化剤として使用した二酸化マンガンの種類およびその性状、並びに得られた硬化型組成物の特性を以下の方法で評価した結果を示す。
(混合6時間後硬度の評価)
上記により得られた主剤と硬化剤を手練りでよく混練して、その混合物からなる硬化型組成物を得た。得られた硬化型組成物で10mm厚の試験片を作製した。この試験片を23℃の雰囲気下で養生し、主剤と硬化剤を混合してから6時間後にJIS K6253記載のタイプAデュロメータにて硬度測定を行った。その結果を表2に示す。
(70℃3日養生後の混合6時間後硬度の評価)
上記により得られた硬化剤を70℃で3日間養生した後、23℃の実験室に1日放置して硬化剤を室温に戻した。この加熱養生後の硬化剤を、上記により得られた主剤と手練りでよく混練して、その混合物からなる硬化型組成物で10mm厚の試験片を作製した。この試験片を23℃の雰囲気下で養生し、加熱養生後の硬化剤を主剤と混合してから6時間後にJIS K6253記載のタイプAデュロメータにて硬度測定を行った。その結果を表2に示す。
(硬化物の体積膨潤率の評価)
上記により得られた主剤と硬化剤を手練りでよく混練して、その混合物からなる硬化型組成物を得た。得られた硬化型組成物を、2mmの隙間ができるように調整した鉄板で挟み込み、23℃50%RH雰囲気下で7日間養生した。得られたシート状硬化物から3枚の30mm×30mmの試験片を切断した。各試験片を80℃の温水に10日間浸漬した後、体積膨潤率を下記の式により求めた。3枚の試験片の平均値を体積膨潤率として表2に示す。
体積膨潤率(%)=[(w3−w4)−(w1−w2)]/(w1−w2)×100
(式中、w1は空気中での初期重量、w2は水中での初期重量、w3は空気中での浸漬後重量、w4は水中での浸漬後重量である。)
実施例2〜8、比較例1〜9
硬化剤として、実施例1の合成実施例1の二酸化マンガンの代わりに、合成実施例2〜8、市販品1、合成比較例1〜8の二酸化マンガンを用いて、実施例1と同様にして硬化剤を調製した。得られた硬化剤と実施例1と同様に調製した主剤とを使用して、実施例1と同様にして硬化型組成物および試験片を作製し、硬化物の体積膨潤率、硬化剤作製直後の硬化型組成物の混合6時間後の硬度、硬化剤を70℃3日加熱養生した後の硬化型組成物の混合6時間後の硬度を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 2014122125
表2から、ジエチレングリコールあるいはトリエタノールアミンをコーティングした市販の二酸化マンガンを使用すると(実施例1,2)、70℃3日加熱養生した硬化剤を用いても、未コーティング品(比較例1)に比べて硬化性低下が抑制され、主剤と硬化剤の混合6時間後の硬度が24以上となる。ただし、硬化物の体積膨潤率はいずれも30%以上である。
また、ジエチレングリコールあるいはトリエタノールアミンをコーティングした単斜晶系のプロトンバーネサイト構造を有する二酸化マンガンを使用すると(実施例3〜6)、70℃3日加熱養生した硬化剤を用いても、未コーティング品(比較例2)に比べて硬化性低下が抑制され、主剤と硬化剤の混合6時間後の硬度が35以上となる。また、ジエチレングリコールあるいはトリエタノールアミンをコーティングした二酸化マンガンを使用すると(実施例3〜6)、水酸基の数が2未満および/または沸点が190℃未満である有機化合物でコーティングされた二酸化マンガンを使用したときに比べ(比較例3〜8)、70℃3日加熱養生した硬化剤の硬化特性を大幅に改良することができる。なお、硬化物の体積膨潤率はいずれも10%未満である。
さらに、ジエチレングリコールあるいはトリエタノールアミンをコーティングした単斜晶系のカルシウムバーネサイト構造を有する二酸化マンガンを使用すると(実施例7,8)、70℃3日加熱養生した硬化剤を用いても、未コーティング品(比較例9)に比べて硬化性低下が抑制され、主剤と硬化剤の混合6時間後の硬度が9以上となる。また、硬化物の体積膨潤率はいずれも10%未満である。
二酸化マンガンにジエチレングリコールあるいはトリエタノールアミンを表面コーティングすることで、硬化剤の70℃3日加熱促進養生後の硬化性低下を抑制することができる。さらに、ナトリウム含量を0.40重量%以下にした単斜晶系バーネサイト構造を有する二酸化マンガンを使用することにより、硬化物の体積膨潤率を10%未満に抑えることができる。

Claims (11)

  1. 液状ポリサルファイドポリマーの硬化剤に使用する二酸化マンガンであり、該二酸化マンガンが、その表面を室温で液状の有機化合物でコーティングされるとともに、前記有機化合物が、分子内に少なくとも2個の水酸基を有し、かつ沸点が190℃以上であることを特徴とする二酸化マンガン。
  2. 前記有機化合物が、ジエチレングリコール、エチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の二酸化マンガン。
  3. 前記有機化合物が、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1または2に記載の二酸化マンガン。
  4. 前記二酸化マンガンを可塑剤に分散させた硬化剤ペーストの状態で70℃、3日間養生した後、その硬化剤ペーストを、前記液状ポリサルファイドポリマーを含む主剤と混合した硬化型組成物のA硬度が、混合6時間後に9以上になることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二酸化マンガン。
  5. 前記二酸化マンガンが、下記一般式(1)
    Na0.55Mn24・1.5H2O (1)
    で示される単斜晶系ナトリウムバーネサイトの層間に存在するナトリウムイオンを、一価〜三価のカチオンで置換した単斜晶系カチオン置換バーネサイト型二酸化マンガンからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二酸化マンガン。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の二酸化マンガンおよび液状ポリサルファイドポリマーを含有する硬化型組成物。
  7. 充填材、可塑剤、硬化促進剤から選ばれる少なくとも一つを含有する請求項6に記載の硬化型組成物。
  8. 前記充填材がカーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、マイクロバルーンから選ばれる少なくとも一つである請求項7に記載の硬化型組成物。
  9. 前記可塑剤が、フタル酸エステル、塩素化パラフィン、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ハロゲン末端硫黄含有重合体から選ばれる少なくとも一つである請求項7または請求項8に記載の硬化型組成物。
  10. 前記硬化促進剤が、チウラム系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤から選ばれる少なくとも一つである請求項7〜9のいずれかに記載の硬化型組成物。
  11. 硬化物を80℃温水に10日間浸漬した後の体積膨潤率が20%未満である請求項6〜10のいずれかに記載の硬化型組成物。
JP2012278402A 2012-04-02 2012-12-20 二酸化マンガンおよびそれを含む硬化型組成物 Expired - Fee Related JP5905380B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012278402A JP5905380B2 (ja) 2012-12-20 2012-12-20 二酸化マンガンおよびそれを含む硬化型組成物
EP13772572.7A EP2848590A4 (en) 2012-04-02 2013-03-18 MANGANE DIOXIDE AND HARDENABLE COMPOSITION THEREOF
CN201380015547.2A CN104284863B (zh) 2012-04-02 2013-03-18 二氧化锰与包含其的可硬化组合物
KR1020147030293A KR101664645B1 (ko) 2012-04-02 2013-03-18 이산화망간 및 그것을 포함한 경화형 조성물
PCT/JP2013/057678 WO2013150888A1 (ja) 2012-04-02 2013-03-18 二酸化マンガンおよびそれを含む硬化型組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012278402A JP5905380B2 (ja) 2012-12-20 2012-12-20 二酸化マンガンおよびそれを含む硬化型組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014122125A true JP2014122125A (ja) 2014-07-03
JP5905380B2 JP5905380B2 (ja) 2016-04-20

Family

ID=51402970

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012278402A Expired - Fee Related JP5905380B2 (ja) 2012-04-02 2012-12-20 二酸化マンガンおよびそれを含む硬化型組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5905380B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6322857A (ja) * 1986-05-23 1988-01-30 クツクソン・グル−プ・ピ−エルシ− 硬化剤組成物、ナトリウム ビルネスサイトの製造方法及びポリサルフアイド重合体の硬化方法
JPH09132766A (ja) * 1995-11-09 1997-05-20 Yokohama Rubber Co Ltd:The 2液型ポリサルファイド系シーリング材組成物
JPH1121128A (ja) * 1997-07-03 1999-01-26 Agency Of Ind Science & Technol 混合アルカリ水熱法による層状岩塩型リチウムマンガン酸化物の製造方法
JP2002246022A (ja) * 2001-02-19 2002-08-30 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 電極材料、その製造方法及びそれを用いた電池
JP2007161506A (ja) * 2005-12-12 2007-06-28 Toray Fine Chemicals Co Ltd 二酸化マンガンの製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6322857A (ja) * 1986-05-23 1988-01-30 クツクソン・グル−プ・ピ−エルシ− 硬化剤組成物、ナトリウム ビルネスサイトの製造方法及びポリサルフアイド重合体の硬化方法
JPH09132766A (ja) * 1995-11-09 1997-05-20 Yokohama Rubber Co Ltd:The 2液型ポリサルファイド系シーリング材組成物
JPH1121128A (ja) * 1997-07-03 1999-01-26 Agency Of Ind Science & Technol 混合アルカリ水熱法による層状岩塩型リチウムマンガン酸化物の製造方法
JP2002246022A (ja) * 2001-02-19 2002-08-30 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 電極材料、その製造方法及びそれを用いた電池
JP2007161506A (ja) * 2005-12-12 2007-06-28 Toray Fine Chemicals Co Ltd 二酸化マンガンの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5905380B2 (ja) 2016-04-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2013150888A1 (ja) 二酸化マンガンおよびそれを含む硬化型組成物
JP5790980B2 (ja) チオール基含有ポリマー及びその硬化型組成物
EP2792695B1 (en) Curable composition
JP3151196B2 (ja) 表面処理炭酸カルシウム填料、その製造方法、並びに該填料を配合してなる樹脂組成物
US8741995B2 (en) Surface-treated calcium carbonate and paste-like resin composition containing same
JP3685031B2 (ja) 合成樹脂用表面処理炭酸カルシウム填料、その製造方法、並びに該填料を配合してなる樹脂組成物
JP5769031B2 (ja) ハロゲン末端硫黄含有重合体
JP5905380B2 (ja) 二酸化マンガンおよびそれを含む硬化型組成物
JP6067446B2 (ja) 二酸化マンガンおよび硬化型組成物の製造方法
JP6976523B2 (ja) 硬化型組成物
JP2013129768A (ja) 硬化型組成物
JP2013144756A (ja) 硬化型組成物
JP2013127026A (ja) 硬化型組成物
RU2653828C1 (ru) Герметизирующая мастика
JP2019119800A (ja) 粉末状ポリサルファイド、及び、粉末状ポリサルファイド含有組成物
JP6511753B2 (ja) 硬化型組成物
JP2017214521A (ja) アルミノ珪酸亜鉛、および、チオール基含有液状ポリマーの硬化剤組成物
JP2016186019A (ja) 硬化型組成物の硬化方法および硬化型組成物
JPH0415261B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141208

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160301

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160316

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5905380

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees