JP6067446B2 - 二酸化マンガンおよび硬化型組成物の製造方法 - Google Patents

二酸化マンガンおよび硬化型組成物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6067446B2
JP6067446B2 JP2013064564A JP2013064564A JP6067446B2 JP 6067446 B2 JP6067446 B2 JP 6067446B2 JP 2013064564 A JP2013064564 A JP 2013064564A JP 2013064564 A JP2013064564 A JP 2013064564A JP 6067446 B2 JP6067446 B2 JP 6067446B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
manganese dioxide
ions
monoclinic
sodium
birnessite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013064564A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013230965A (ja
Inventor
有紀子 濱田
有紀子 濱田
松本 和則
和則 松本
幸樹 越後谷
幸樹 越後谷
達郎 的田
達郎 的田
洋司 下村
洋司 下村
柴田 寛丈
寛丈 柴田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokan Material Technology Co Ltd
Toray Fine Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Tokan Material Technology Co Ltd
Toray Fine Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokan Material Technology Co Ltd, Toray Fine Chemicals Co Ltd filed Critical Tokan Material Technology Co Ltd
Priority to JP2013064564A priority Critical patent/JP6067446B2/ja
Publication of JP2013230965A publication Critical patent/JP2013230965A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6067446B2 publication Critical patent/JP6067446B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、液状ポリサルファイドポリマーの硬化剤として好適に用いられる、二酸化マンガンおよびその硬化型組成物に関するものである。
液状ポリサルファイドポリマーの酸化剤として、アルカリ処理により活性化された二酸化マンガンが使用されている。二酸化マンガンとしては、例えば天然の二酸化マンガン鉱をアルカリ処理したものや、特許文献1に記載されたナトリウムバーネサイト構造を有する二酸化マンガンなどが用いられ、可塑剤に分散させたペースト状の硬化剤にすることが一般的である。
液状ポリサルファイドポリマーを二酸化マンガンからなる硬化剤で硬化して得られるゴム状の硬化物は、分子の主鎖に硫黄を含んでおり、また二重結合を含まないことから、耐油性、耐候性、水密性、気密性に優れた特徴を持ち、さらに接着性も良好である。このため液状ポリサルファイドポリマーの硬化物は、シーリング材、接着剤および塗料として広く用いられている。特に複層ガラス用途においては、シリコーン系シーリング材などの他基材に勝る、硬化性のよさ、水密性や気密性のよさから古くから用いられている。しかしながら、二酸化マンガンからなる硬化剤で硬化させたポリサルファイドポリマーの硬化物は、他基材に比べて、加速耐久性試験における温水浸漬時の膨潤や強度低下が大きい場合があった。
このため、特許文献2は、二酸化マンガンに酸処理をすることにより、これを用いた硬化物の温水浸漬時の膨潤や強度低下を抑えることを提案している。しかしながら、特許文献2に記載された酸処理をした二酸化マンガンは、その表面のアルカリは除去できるものの、ペースト状の硬化剤を調製する際、この二酸化マンガンを、三本ロールミルなどを用いて可塑剤へ分散させるときに、内部のアルカリが溶出してしまうことがあった。このため酸処理をした二酸化マンガンを用いたポリサルファイドポリマーの硬化物に長期間の温水浸漬試験を行うと、硬化物が膨潤したり強度が低下したりする場合があった。
また、特許文献3は、二酸化マンガン以外の有機化合物を硬化剤として用いることで硬化物の温水浸漬時の膨潤や強度低下を抑えることを提案している。しかしながら、特許文献3に記載された有機化合物を用いる場合、適切な作業時間の確保、早い硬度発現、および硬化後のシーリング材の物性からなるバランスを取るためには、適切な触媒や添加剤の選択が重要であり、また適切な配合比率が遵守できない場合には性能が大きく低下することがあった。そのため、作業性が良好で実用的な二酸化マンガンを硬化剤に使用したとき、ポリサルファイドポリマーの硬化物における温水浸漬時の膨潤や強度低下を、一層抑制する改良が望まれていた。
特開昭63−22857号公報 特開2007−161506号公報 国際公開第2007/000904号
本発明の目的は、液状ポリサルファイドポリマーを硬化させることができ、かつ、長期間温水に浸漬させても膨潤や強度低下が少ない硬化物が得られる、二酸化マンガンおよびその硬化型組成物を提供することである。
本発明の二酸化マンガンの製造方法は、液状ポリサルファイドポリマーの硬化剤に使用する二酸化マンガンでの製造方法あって、下記式(1)
Na0.55Mn24・1.5H2O (1)
で示される単斜晶系ナトリウムバーネサイトの層間に存在するナトリウムイオンを、カルシウムイオン、プロトン、アンモニウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、ニッケルイオン、鉄(III)イオン、ランタンイオン、亜鉛イオン、バリウムイオンから選ばれる少なくとも一つである一価〜三価のカチオンで置換することにより単斜晶系カチオン置換バーネサイト型二酸化マンガンを得ることを特徴とする。
また本発明の硬化型組成物は、上記本発明の二酸化マンガンおよび液状ポリサルファイドポリマーを含有することを特徴とする。
本発明の二酸化マンガンは、単斜晶系のバーネサイト構造を持つ活性化二酸化マンガンであり、液状ポリサルファイドポリマーを硬化させることができる。また単斜晶系のバーネサイトの層間に含まれるナトリウムイオンを吸水性がより低いカチオンに置換したので、ポリサルファイドポリマーの硬化物を長期間温水に浸漬させても膨潤や強度低下を少なくすることができる。
本発明の二酸化マンガンは、ナトリウム含量が0.15重量%以下であるとよい。また単斜晶系カチオン置換バーネサイトの層間距離が6.90〜7.25オングストロームであるとよい。この二酸化マンガンは、前記式(1)で示される単斜晶系ナトリウムバーネサイトを、一価〜三価のカチオンを含む水溶液で処理することによりナトリウムイオンをカチオンで置換して、乾燥することにより得られる。
本発明の硬化型組成物は、上述した二酸化マンガンが液状ポリサルファイドポリマーを硬化させ、しかも長期間温水に浸漬させても膨潤や強度低下を少なくした硬化物を得ることができる。
上記硬化型組成物は、充填材、可塑剤、加硫促進剤から選ばれる少なくとも一つを含有することができる。充填材としてはカーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、マイクロバルーンから選ばれる少なくとも一つにすることができる。可塑剤としては、フタル酸エステル、塩素化パラフィン、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ハロゲン末端硫黄含有重合体から選ばれる少なくとも一つにすることができる。加硫促進剤は、チウラム系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤から選ばれる少なくとも一つにすることができる。
本発明の硬化型組成物の硬化物は、80℃温水に10日間浸漬した後の体積膨潤率を10%未満にすることができる。
(a)は合成例1で得られた二酸化マンガンのX線回折チャート、(b)単斜晶系のバーネサイトの標準X線回折チャート、(c)は斜方晶系のバーネサイトの標準X線回折チャートである。 (a)は合成例2で得られた二酸化マンガンのX線回折チャート、(b)単斜晶系のバーネサイトの標準X線回折チャート、(c)は斜方晶系のバーネサイトの標準X線回折チャートである。
以下、本発明を詳細に説明する。
上述した特許文献1は、ポリサルファイドポリマーの硬化剤として使用する二酸化マンガンが、斜方晶系ナトリウムバーネサイト構造(Na4Mn1427・9H2O)を有することを記載している。しかし、現在市販されているポリサルファイドポリマー硬化用の二酸化マンガンは、単斜晶系ナトリウムバーネサイト構造(Na0.55Mn24・1.5H2O)を有するものが知られている。この単斜晶系ナトリウムバーネサイト構造をもつ二酸化マンガンは、液状ポリサルファイドポリマーを酸化し硬化させる能力が優れている。
本発明の二酸化マンガンは、下記式(1)
Na0.55Mn24・1.5H2O (1)
で示される単斜晶系ナトリウムバーネサイトの層間に存在するナトリウムイオンを、一価〜三価のカチオンで置換した単斜晶系カチオン置換バーネサイト型二酸化マンガンからなる。この二酸化マンガンは、単斜晶系のバーネサイト構造をもつため液状ポリサルファイドポリマーを酸化させる能力が優れる。この単斜晶系のバーネサイト構造の層間距離は、好ましくは6.70〜7.50オングストローム、より好ましくは6.90〜7.25オングストロームである。層間距離をこのような範囲にすることにより、単斜晶系のバーネサイト構造を形成することができる。
前記式(1)で表わされる単斜晶系ナトリウムバーネサイトは、層間にナトリウムイオンを含み、このナトリウムイオンは吸水性が高い。このため、単斜晶系ナトリウムバーネサイト型二酸化マンガンを使用してポリサルファイドポリマーを硬化させると、初期の水密性や気密性は優れるものの、温水浸漬試験をしたとき硬化物の膨潤や強度低下が大きくなる。
本発明の二酸化マンガンは、単斜晶系のバーネサイト構造の層間にある吸水性が高いナトリウムイオンを、吸水性が低い一価〜三価のカチオンに置換したので、二酸化マンガンの吸水性を低減することができる。またこの二酸化マンガンを硬化剤にすることによりポリサルファイドポリマーの硬化物の吸水性を大幅に低減するので、長期間温水に浸漬させても膨潤や強度低下を少なくすることができる。すなわち、ポリサルファイドポリマー硬化物の長期耐久性を改良することができる。
ナトリウムイオンを置換する一価〜三価のカチオンは、単斜晶系のバーネサイト構造の層間に入るイオン半径を有したもので、吸水性が低いカチオンである。一価〜三価のカチオンは、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、ニッケルイオン、鉄(III)イオン、ランタンイオン、亜鉛イオン、バリウムイオンプロトン、アンモニウムイオンから選ばれる少なくとも一つである
本発明において、ナトリウムイオンを一価〜三価のカチオンで置換するとは、少なくとも一価〜三価のカチオンの含量をナトリウムイオンの含量より多くすることをいう。
ポリサルファイドポリマーの硬化物の長期温水浸漬時の体積膨潤率を抑制するには、低吸水性カチオンの置換率が高く、すなわち残存するナトリウムイオン量が少ない方がよい。カチオン置換した二酸化マンガンにおけるナトリウムイオンの含量は、好ましくは0.40重量%以下、より好ましくは0.15重量%以下にするとよい。
本発明の二酸化マンガンは、前記式(1)で示される単斜晶系ナトリウムバーネサイトを、一価〜三価のカチオンを含む水溶液で処理しナトリウムイオンを置換することにより、一価〜三価のカチオンを単斜晶系のバーネサイトの層間に導入後、その生成物を水洗し、乾燥することにより得られる。なおナトリウムイオンを一価〜三価のカチオンで置換する方法は、上記以外に通常行われるイオン置換方法を用いることができる。
バーネサイトとしては、天然のバーネサイト鉱や、化学合成によるバーネサイトを使用し、アルカリ処理を行い活性化した単斜晶系ナトリウムバーネサイトを用いることができる。化学合成によるバーネサイトとしては、沈殿法で得られた物、すなわち、酸素の存在下、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン等の水溶液に苛性ソーダ等アルカリ水溶液を滴下し、得られた物等があげられる。
一価〜三価のカチオンを含む水溶液は、水溶性の金属塩を含むものであれば特に限定されない。金属塩は、好ましくは塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、有機酸塩であるとよい。水溶液の金属塩の濃度は、好ましくは0.5〜50重量%、より好ましくは2〜30重量%であるとよい。
一価〜三価のカチオンを含む水溶液での処理方法は、特に限定されないが、例えばこれらの水溶液に二酸化マンガンを添加して撹拌すればよい。水溶液への二酸化マンガンの添加量については、カチオンを含む水溶液1リットルに対して好ましくは0.1〜200g、より好ましくは0.5〜150gにするとよい。
処理条件は、水溶液の温度が好ましくは10〜80℃、より好ましくは20〜50℃で、処理時間が好ましくは1〜72時間、より好ましくは5〜24時間程度撹拌するとよい。
またカチオン置換した二酸化マンガンを乾燥する際の条件は、好ましくは20〜180℃、より好ましくは20〜150℃、更に好ましくは60〜150℃、特に好ましくは60〜100℃にて、1〜150時間行われる。
本発明の硬化型組成物は、単斜晶系のバーネサイト構造で吸水性が低いカチオンを含む活性化二酸化マンガンおよび液状ポリサルファイドポリマーを含有するため、硬化物の温水浸漬時の膨潤や強度低下を低減させることができる。
本発明で用いる液状ポリサルファイドポリマーは、好ましくは下記式(2)で示される。
HS−(R−Sxn−R−SH (2)
(ただし、Rは−O−CH2−O−結合を含む2価あるいは3価の有機基、nは1〜200の整数であり、好ましくは1〜50の整数である。xは1〜5の整数でxの平均値は1〜2.5である。)
前記式(2)において、Rは、好ましくは、−O−CH2−O−結合と、直鎖アルキレン基または分岐アルキレン基を含む有機基である。Rは、より好ましくは−O−CH2−O−結合と分岐アルキレン基を含む有機基であるとよい。直鎖または分岐アルキレン基は、好ましくは、−O−CH2−O−結合のモル数に対して、0〜70モル%である。
Rは、好ましくは、
−C24−O−CH2−O−C24
を50モル%以上含有する。さらに好ましくは、
−C24−O−CH2−O−C24
を70モル%以上含有する。
分岐アルキレン基は、好ましくは、トリハロ有機化合物由来の多官能成分で、下記式(3)で示される有機基である。
Figure 0006067446
分岐トリハロ有機化合物として好ましいのは、トリハロアルキル化合物であり、より好ましいのは、トリハロプロパンである。好ましいトリハロプロパンのハロゲン原子は、塩素、臭素、およびヨウ素であり、より好ましいハロゲン原子は塩素原子である。
本発明で用いる液状ポリサルファイドポリマーは、前記式(2)のnが1〜200の整数、好ましくは1〜50の整数である。液状ポリサルファイドポリマーは、室温で液状であり、数平均分子量が、好ましくは500〜50,000、より好ましくは、1,000〜10,000である。
さらに、前記式(2)のxは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数であり、xの平均値が1〜2.5である。また、特にxの平均値が2未満であるときには、低粘度、低ガラス転移温度、高耐熱性の効果がある。
本発明で用いる液状ポリサルファイドポリマーは、従来の固体ポリサルファイドの形成を経由する製造方法及び、相間移動触媒を用いた固体ポリサルファイドの形成を含まない特許第4227787号記載の製造方法等、いずれの方法にも限定されることなく得ることができる。
本発明の硬化型組成物は、二酸化マンガンを液状ポリサルファイドポリマーの硬化剤として用いる際に、作業性及び硬化後の物性を改良する目的で、必要に応じて、可塑剤、充填材、硬化促進剤、接着促進剤、顔料などの添加剤を含有する事ができる。好ましくは充填材、可塑剤、硬化促進剤から選ばれる少なくとも一つを含有するとよい。
可塑剤としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸アルキル(C7−C9)ベンジルなどのフタル酸エステル、塩素化パラフィン、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールモノベンゾエート、水添ターフェニル、特開2004―51918公報記載の炭化水素系可塑剤、特願2011−167330記載のハロゲン末端硫黄含有重合体などが挙げられる。好ましい可塑剤としては、フタル酸エステル、塩素化パラフィン、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ハロゲン末端硫黄含有重合体から選ばれる少なくとも一つであるとよい。
可塑剤の添加量は、硬化物の硬度、強度や伸び、さらには硬化前の硬化型組成物の粘度の設計によって設定されるが、液状ポリサルファイドポリマー100重量部に対して1〜100重量部であることが好ましい。可塑剤の添加量が100重量部を超えると非反応性の液状物が多くなり硬度が保てない場合がある。より好ましくは1〜50重量部であり、さらにより好ましくは1〜30重量部である。
充填材としては、例えば炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ケイ酸塩、硫酸塩などの無機充填材やカーボンブラックなどが挙げられる。また、ポリアミドやポリエチレンのような軽量ポリマー充填材、シリカ、アクリロニトリルやメタクリロニトリルや塩化ビニリデンなどの熱可塑性バルーン(熱膨張性マイクロカプセル)、フェノールやエポキシなどの熱硬化性バルーン、シラスやフライアッシュやガラスやアルミナなどの無機系バルーンなどの中空充填材、などが挙げられる。なお、充填材は2種類以上用いてもよく、いずれの充填材も、表面を脂肪酸、樹脂酸、界面活性剤、シランカップリング剤、パラフィンなどで処理したものを使用してもよい。好ましい充填材としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、マイクロバルーンから選ばれる少なくとも一つであるとよい。なお、炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウムが好ましい。一般に、重質炭酸カルシウムは、石灰石原石を機械的に粉砕・分級して所望の粒度とし得られた炭酸カルシウムである。またコロイド炭酸カルシウムは、石灰石原石をコークス等で混焼し、一旦酸化カルシウム(生石灰)を作製し、それを水と反応させて水酸化カルシウム(消石灰)とし、焼成時に発生した炭酸ガスと反応せしめ、所望の粒径、粒子形状とし得られた炭酸カルシウムである。
充填材の添加量は、液状ポリサルファイドポリマー100重量部に対して0.1〜500重量部であることが好ましい。充填材の添加量が0.1重量部未満では十分な補強硬化が得られず、500重量部を超えると硬化型組成物の粘度が高くなり作業性が低下し好ましくない。より好ましくは1〜300重量部であり、さらにより好ましくは、10〜200重量部であり、もっと好ましくは、30〜60重量部である。
硬化促進剤としては、アルデヒド・アンモニア及びアルデヒド・アミン系、チオウレア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオカルバミン酸塩系、キサントゲン酸塩系などの加硫促進剤が挙げられる。具体的には、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジフェニルグアニジン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ヘキサメチレンテトラミンなどが挙げられる。好ましい硬化促進剤としては、チウラム系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤から選ばれる少なくとも一つであるとよい。上記加硫促進剤は2種類以上を用いても良い。
硬化促進剤の添加量は、硬化型組成物の硬化速度や、さらには使用温度によって設定されるが、液状ポリサルファイドポリマー100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましい。硬化促進剤の添加量が10重量部を超えると反応に関与しなかった残存の促進剤が硬化物の性能を落とす場合がある。より好ましくは1〜5重量部であり、さらにより好ましくは、1〜3重量部である。
接着促進剤としては加水分解性シリル基と反応性有機官能基とを含有するシランカップリング剤が挙げられる。具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどが挙げられる。また、特開平6−271833号公報に記載のポリサルファイドポリマー“チオコールLP−3”と3―グリドキシプロピルトリメトキシシランを反応させて合成した末端トリメトキシシラン変性ポリサルファイドポリマーもシランカップリング剤として用いることができる。これらシランカップリング剤は2種以上を用いてもよい。
本発明の硬化型組成物で得られる硬化物は、耐油性、耐候性、水密性、気密性に優れた特徴を持ち、さらに温水浸漬時の体積膨潤が極めて小さい特徴を持つ。これらの特徴は、シーリング材、接着剤および塗料などに好適である。特に、温水浸漬時の膨潤が極めて小さい特徴は、サッシに溜まった水への耐久性を求められる複層ガラス用シーリング材に最適である。世界の市場で最大のシェアを持つ、二酸化マンガンを硬化剤とする従来のポリサルファイド系複層ガラスシーリング材は、80℃温水浸漬10日間で20%以上の膨潤がある。したがって、ポリサルファイド系シーリング材において耐久性を向上させるためには、80℃温水浸漬10日後の体積膨潤率を20%未満に押さえることが好ましい。より好ましくは、80℃温水浸漬10日後の体積膨潤率が10%未満である。
体積膨潤率の測定は様々な方法があるが、空気中の重量と水中の重量から体積を求め、温水浸漬前後で体積の変化率(%)を求める方法が簡易かつ精度が良い。サンプルの形状はより浸漬の影響を受けやすいように、厚みを薄く調整する必要があるが、データの再現性より、2mm厚以下のシートとし、30×30mm以上の面積とするのが好ましい。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。以下に記載の「部」は特に断りのない限り重量基準の「重量部」である。
二酸化マンガンの結晶構造の同定と層間距離の算出には、粉末X線回折測定(スペクトリス株式会社製X’Pert PRO MRD)を行い、X線回折チャートを得た。標準回折チャートとのピーク比較により結晶構造の同定を行い、001反射に指数付けされるピークの面間隔がバーネサイト構造の層間距離に相当するとして層間距離を算出した。
化学組成比の算出には、Naに関しては原子吸光法、Mnに関しては酸化還元滴定法、その他の金属に関してはICP発光分光分析法(ICP−AES法)を用いて定量を行った。なお、表1に記載した化学分析結果は、二酸化マンガン中の各金属の含量(重量%)を表わした。
合成例1
塩化マンガンニ水和物188.7部を蒸留水3000部に加えて溶解した水溶液(A)と、苛性ソーダ825部と過酸化水素216.2部と蒸留水3750部からなる水溶液(B)を準備した。水溶液(A)、(B)いずれも、10℃以下に保持した後、回転数800rpmで攪拌しながら、水溶液(B)を水溶液(A)に120分間かけて加えた。添加完了後、更に5時間攪拌を行った。その後、懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗し、ろ物(1)を得た。ろ物(1)を回収し、80℃で10.5時間乾燥した後、乳鉢で解砕し、合成例1の粉末試料を得た。
得られた粉末試料のX線回折チャートを図1(a)に示す。また、比較のため、単斜晶系ナトリウムバーネサイトNa0.55Mn24・1.5H2Oの標準X線回折チャートを図1(b)に、斜方晶系ナトリウムバーネサイトNa4Mn1427・9H2Oの標準X線回折チャートを図1(c)に示す。図1(a)には約12.4°と約25.0°に明瞭なピークがみられ、それらは図1(b)に示す単斜晶系ナトリウムバーネサイトNa0.55Mn24・1.5H2Oのピークに一致することから、それぞれは面間隔7.13オングストロームの001反射と3.56オングストロームの002反射に指数付けされる。
それに対して、図1(c)の斜方晶系ナトリウムバーネサイトNa4Mn1427・9H2OのX線回折チャートでは、図1(a)で確認されない約15.8°の120反射に指数付けされるピークがみられ、また、約12.4°と約25.0°のピーク強度比が図1(a)とは異なる。これらの結果より、図1(a)の合成例1の試料は、斜方晶系ではなく、単斜晶系のバーネサイト構造を有している。また、単斜晶系のバーネサイト構造においては、001反射に指数付けされる約12.4°のピークの面間隔が層間距離に該当することから、その層間距離は7.13オングストロームであることがわかる。また、合成例1の化学組成比を表1に示す。
これらの結果から、合成例1はナトリウム含量2.93重量%の単斜晶系のナトリウムバーネサイトNa0.55Mn24・1.5H2O単層である。
合成例2
合成例1と同様にして得たろ物(1)400部を、予め用意した塩化カルシウム二水和物441部と蒸留水3000部からなる水溶液に加え、24時間攪拌した。次に、得られた懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗した後、ろ物を回収し、80℃で10.5時間乾燥した後、乳鉢で解砕し合成例2の試料を得た。
得られた合成例2の試料のX線回折チャートを図2(a)に示す。また、比較のため、単斜晶系ナトリウムバーネサイトNa0.55Mn24・1.5H2Oの標準X線回折チャートを図2(b)に、斜方晶系ナトリウムバーネサイトNa4Mn1427・9H2Oの標準X線回折チャートを図2(c)に示す。図2(a)を上述した図1(a)と同様に解析することより、合成例2で得られた試料が単斜晶系のバーネサイト構造を有し層間距離が7.01オングストロームであることがわかる。また、化学組成比を表1に示す。これらの結果から、合成例2はナトリウム含量0.01重量%の、層間にカルシウムイオンが導入された単斜晶系バーネサイトである。
合成例3
合成例1と同様にして得たろ物(1)400部を、予め用意した酢酸370部と蒸留水14700部からなる水溶液に加え、12時間攪拌した。次に、得られた懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗した後、ろ物を回収し、80℃で2.5時間乾燥した後、乳鉢で解砕し、試料を得た。この試料を合成1と同様に評価し、その層間距離と化学組成比を表1に示す。これらの結果から、合成例3はナトリウム含量0.07重量%の、層間にプロトンが導入された単斜晶系バーネサイトである。
合成例4
合成例1と同様にして得たろ物(1)400部を、予め用意した塩化アンモニウム675.7部と蒸留水3000部からなる水溶液に加え、12時間攪拌した。次に、得られた懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗した後、ろ物を回収し、30℃で30時間乾燥した後、乳鉢で解砕し、試料を得た。この試料を合成1と同様に評価し、その層間距離と化学組成比を表1に示す。これらの結果から、合成例4はナトリウム含量0.07重量%の、層間にアンモニウムイオンが導入された単斜晶系バーネサイトである。
合成例5
合成例1と同様にして得たろ物(1)400部を、予め用意した塩化カルシウム二水和物132部と蒸留水3000部からなる水溶液に加え、24時間攪拌した。次に、得られた懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗した後、ろ物を回収し、80℃で10.5時間乾燥した後、乳鉢で解砕し、試料を得た。この試料を合成1と同様に評価し、その層間距離と化学組成比を表1に示す。これらの結果から、合成例5はナトリウム含量0.09重量%の、層間にカルシウムイオンが導入された単斜晶系バーネサイトである。
合成例6
合成例1と同様にして得たろ物(1)400部を、予め用意した塩化カルシウム二水和物132部と蒸留水3000部からなる水溶液に加え、9時間攪拌した。次に、得られた懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗した後、ろ物を回収し、80℃で10.5時間乾燥した後、乳鉢で解砕し試料を得た。この試料を合成1と同様に評価し、その層間距離と化学組成比を表1に示す。これらの結果から、合成例6はナトリウム含量0.16重量%の、層間にカルシウムイオンが導入された単斜晶系バーネサイトである。
合成例7
合成例1と同様にして得たろ物(1)400部を、予め用意した塩化カルシウム二水和物66部と蒸留水3000部からなる水溶液に加え、10時間攪拌した。次に、得られた懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗した後、ろ物を回収し、80℃で10.5時間乾燥した後、乳鉢で解砕し試料を得た。この試料を合成1と同様に評価し、その層間距離と化学組成比を表1に示す。これらの結果から、合成例7はナトリウム含量0.30重量%の、層間にカルシウムイオンが導入された単斜晶系バーネサイトである。
合成例8
合成例1と同様にして得たろ物(1)400部を、予め用意した塩化カルシウム二水和物66部と蒸留水3000部からなる水溶液に加え、4.5時間攪拌した。次に、得られた懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗した後、ろ物を回収し、80℃で10.5時間乾燥した後、乳鉢で解砕し試料を得た。この試料を合成1と同様に評価し、その層間距離と化学組成比を表1に示す。これらの結果から、合成例8はナトリウム含量0.59重量%の、層間にカルシウムイオンが導入された単斜晶系バーネサイトである。
合成例9
合成例1と同様にして得たろ物(1)400部を、予め用意した塩化マグネシウム六水和物609.9部と蒸留水3000部からなる水溶液に加え、24時間攪拌した。次に、得られた懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗した後、ろ物を回収し、100℃で60時間乾燥した後、乳鉢で解砕し、試料を得た。この試料を合成1と同様に評価し、その層間距離と化学組成比を表1に示す。これらの結果から、合成例9はナトリウム含量0.01重量%の、層間にマグネシウムイオンが導入された単斜晶系バーネサイトである。
合成例10
合成例1と同様にして得たろ物(1)400部を、予め用意した塩化鉄(III)二水和物811.1部と蒸留水3000部からなる水溶液に加え、24時間攪拌した。次に、得られた懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗した後、ろ物を回収し、80℃で10.5時間乾燥した後、乳鉢で解砕し、試料を得た。この試料を合成1と同様に評価し、その層間距離と化学組成比を表1に示す。これらの結果から、合成例10はナトリウム含量0.00重量%の、層間に鉄(III)イオンが導入された単斜晶系バーネサイトである。
合成例11
合成例1と同様にして得たろ物(1)400部を、予め用意した塩化ランタン二水和物1114.1部と蒸留水3000部からなる水溶液に加え、24時間攪拌した。次に、得られた懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗した後、ろ物を回収し、80℃で10.5時間乾燥した後、乳鉢で解砕し、試料を得た。この試料を合成1と同様に評価し、その層間距離と化学組成比を表1に示す。これらの結果から、合成例11はナトリウム含量0.01重量%の、層間にランタンイオンが導入された単斜晶系バーネサイトである。
合成例12
合成例1と同様にして得たろ物(1)400部を、予め用意した塩化亜鉛408.9部と蒸留水3000部からなる水溶液に加え、24時間攪拌した。次に、得られた懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗した後、ろ物を回収し、80℃で10.5時間乾燥した後、乳鉢で解砕し、試料を得た。この試料を合成1と同様に評価し、その層間距離と化学組成比を表1に示す。これらの結果から、合成例12はナトリウム含量0.07重量%の、層間に亜鉛イオンが導入された単斜晶系バーネサイトである。
合成例13
合成例1と同様にして得たろ物(1)400部を、予め用意した塩化バリウムニ水和物732.8部と蒸留水3000部からなる水溶液に加え、24時間攪拌した。次に、得られた懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗した後、ろ物を回収し、80℃で10.5時間乾燥した後、乳鉢で解砕し、試料を得た。この試料を合成1と同様に評価し、その層間距離と化学組成比を表1に示す。これらの結果から、合成例13はナトリウム含量0.02重量%の、層間にバリウムイオンが導入された単斜晶系バーネサイトである。
合成例14
合成例1と同様にして得たろ物(1)400部を、予め用意した塩化ストロンチウム六水和物799.9部と蒸留水3000部からなる水溶液に加え、24時間攪拌した。次に、得られた懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗した後、ろ物を回収し、80℃で10.5時間乾燥した後、乳鉢で解砕し、試料を得た。この試料を合成1と同様に評価し、その層間距離と化学組成比を表1に示す。これらの結果から、合成例14はナトリウム含量0.01重量%の、層間にストロンチウムイオンが導入された単斜晶系バーネサイトである。
合成例15
合成例1と同様にして得たろ物(1)400部を、予め用意した塩化ニッケル二水和物713.1部と蒸留水3000部からなる水溶液に加え、24時間攪拌した。次に、得られた懸濁液の濾過を行い、ろ液の電導度が100マイクロシーメンス(μS/cm)となるまで水洗した後、ろ物を回収し、100℃で68時間乾燥した後、乳鉢で解砕し、試料を得た。この試料を合成1と同様に評価し、その層間距離と化学組成比を表1に示す。これらの結果から、合成例15はナトリウム含量0.01重量%の、層間にニッケルイオンが導入された単斜晶系バーネサイトである。
Figure 0006067446
表1に、合成例1〜15の各サンプルの層間距離、各金属の含量を示した。なお、合成例1〜15のサンプルはいずれも、層間距離が約7オングスロトームであり単斜晶系のバーネサイト単層構造を有する二酸化マンガンであることを確認した。また合成例2〜5、9〜15の各サンプルは、層間のナトリウム含量が0.15重量%以下である。
また市販品1として二酸化マンガン(Honeywell社製TypeFA)の結晶構造、層間距離、化学組成比を合成例1と同様にして評価した結果、市販品1の結晶構造は単斜晶系のバーネサイト単層構造であることを確認し、その化学組成比を表1に示した。
さらに市販品2として、アルカリ処理はされているが、層構造を持たない斜方晶系ラムスデライト構造を有する二酸化マンガン(東ソー社製FMH)を準備した。市販品2の二酸化マンガンの結晶構造は斜方晶系ラムスデライト構造であり、その技術資料に記載された化学組成比を表1に示した。
実施例1
下記の配合に基づき、主剤として、液状ポリサルファイドポリマー(チオコール「LP−23」、東レ・ファインケミカル社製)、フタル酸ブチルベンジル、沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランをミキサー用いて混合した。また、硬化剤として、合成例2の二酸化マンガン、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸系可塑剤、テトラメチルチウラムジスルフィド、重質炭酸カルシウム、SFRカーボンを、三本ロールミルを用いて混練した。
主剤の組成
・チオコール「LP−23」(東レ・ファインケミカル社製) 100重量部
・フタル酸ブチルベンジル(大八化学社製) 37重量部
・沈降炭酸カルシウム(白石カルシウム社製白艶華CC) 65重量部
・重質炭酸カルシウム(白石カルシウム社製ホワイトンSSB赤) 90重量部
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(東レ・ダウコーニング社製SH−6040) 3重量部
硬化剤の組成
・二酸化マンガン(合成例2) 10重量部
・フタル酸ブチルベンジル(大八化学社製) 2.5重量部
・フタル酸系可塑剤(フェロ社製サンチサイザー278) 10.5重量部
・テトラメチルチウラムジスルフィド
(大内新興化学工業社製ノクセラーTT) 0.5重量部
・重質炭酸カルシウム(日東粉化工業社製NCC#410) 5重量部
・SRFカーボン 0.5重量部
上記により得られた主剤と硬化剤を手練りでよく混練して、その混合物からなる硬化型組成物を得た。
得られた硬化型組成物を、2mmの隙間ができるように調整した鉄板で挟み込み、23℃50%RH雰囲気下で7日間養生した。得られたシートから3枚の30mm×30mmの試験片に切断した。各試験片を80℃の温水に10日間浸漬した後、体積膨潤率を下記の式により求めた。3枚の試験片の平均値を体積膨潤率として表2に示す。
体積膨潤率(%)=[(w3−w4)−(w1−w2)]/(w1−w2)×100
(式中、w1は空気中での初期重量、w2は水中での初期重量、w3は空気中での浸漬後重量、w4は水中での浸漬後重量である。)
実施例2、3
硬化剤として、実施例1の合成例2の二酸化マンガンの代わりに、合成例3、4の二酸化マンガンを用いて、実施例1と同様にして試験片を作成し、体積膨潤率を求めた。その結果を表2に示す。
比較例1
硬化剤として、実施例1の合成例2の二酸化マンガンの代わりに、合成例1の二酸化マンガンを用いて、実施例1と同様にして試験片を作成し、体積膨潤率を求めた。結果を表2に示す。
比較例2
硬化剤として、実施例1の合成例2の二酸化マンガンの代わりに、市販品1(Honeywell社製TypeFA)の二酸化マンガンを用いて、実施例1と同様にして試験片を作成し、体積膨潤率を求めた。結果を表2に示す。
Figure 0006067446
表2から、単斜晶系のナトリウムバーネサイト構造を有する二酸化マンガンを使用した硬化型組成物の硬化物の体積膨潤率は、ナトリウム含量2.93重量%の合成例1において41%(比較例1)、ナトリウム含量2.70重量%の市販品において32%(比較例2)であった。一方で、ナトリウムイオンをカチオン置換した単斜晶系バーネサイト構造を有する二酸化マンガンを含む硬化型組成物は、その硬化物の体積膨潤率が大幅に抑制されることが確認された(実施例1〜3)。
実施例4〜7
硬化剤として、単斜晶系のバーネサイト構造中のナトリウム含量の異なる合成例5〜8のカルシウムイオン置換した二酸化マンガンを用いて、実施例1と同様にして試験片を作成し、硬化物の体積膨潤率を求めた。実施例1、比較例1を含めた結果を、ナトリウム含量と共に表3に併記する。
Figure 0006067446
表3から、ナトリウム含量が少ないほど硬化物の体積膨潤が抑制されており、ナトリウム含量を0.15重量%以下にした単斜晶系バーネサイト構造を有する二酸化マンガンを使用すると、硬化物の体積膨潤率が10%未満に低下した。
実施例8〜12
硬化剤として、合成例9〜13の二酸化マンガン、フタル酸ブチルベンジル、テトラブチルチウラムジスルフィドを、下記の配合に基づき秤量し、三本ロールミルを用いて混練した。ここで各成分の配合量は、実施例1の主剤における液状ポリサルファイドポリマー(チオコール「LP−23」、東レ・ファインケミカル社製)100重量部に対する重量部で表わした。
・二酸化マンガン(合成例9〜13) 10重量部
・フタル酸ブチルベンジル(大八化学製) 13.0重量部
・テトラブチルチウラムジスルフィド
(大内新興化学工業製 ノクセラーTBT−N) 0.5重量部
実施例1で調製した主剤と上記硬化剤を手練りでよく混練して、その混合物からなる硬化型組成物を得た。得られた硬化型組成物を、2mm厚にして70℃で18時間養生した。得られたシートから3枚の30mm×30mmの試験片を切断し、試験片を80℃の温水に10日間浸漬した後、実施例1と同様にして、硬化物の体積膨潤率を求めた。3枚の試験片の平均値を体積膨潤率として表4に示す。
実施例13、14
硬化剤として、合成例14,15の二酸化マンガンを用いて、実施例1と同様にして試験片を作成し、70℃で72時間養生した硬化型組成物の体積膨潤率を求めた。その結果を表4に示す。
Figure 0006067446
表4より、ナトリウムイオンをカチオン置換して、ナトリウム含量が0.15重量%以下になるようにした単斜晶系バーネサイト構造を有する二酸化マンガン(実施例8〜14)は、いずれも硬化物の体積膨潤率が10%未満であり、実施例1〜3の場合と同様に、耐熱水性が良好である硬化型組成物が得られた。
表1〜4の結果より、ナトリウムイオンをカチオン置換して得られる単斜晶系バーネサイト構造を有する二酸化マンガンを含む硬化型組成物は、その硬化物の体積膨潤率が大幅に抑制されることが確認された。さらにナトリウム含量が0.15重量%以下のとき、硬化物の80℃温水浸漬後の体積膨潤率を10%未満にできることが確認された。
比較例3
硬化剤として、実施例1の合成例2の二酸化マンガンの代わりに、市販品2の二酸化マンガンを用いて、実施例1と同様にして、硬化型組成物を調製し、2mmの隙間ができるように調整した鉄板で挟み込み、23℃50%RH雰囲気下で7日間養生した。しかし、比較例3の硬化型組成物は、硬化しなかった。そこで、さらに続けて70℃で72時間養生をしたが、硬化しなかった。

Claims (9)

  1. 液状ポリサルファイドポリマーの硬化剤に使用する二酸化マンガンの製造方法であり、下記式(1)
    Na0.55Mn24・1.5H2O (1)
    で示される単斜晶系ナトリウムバーネサイトの層間に存在するナトリウムイオンを、カルシウムイオン、プロトン、アンモニウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、ニッケルイオン、鉄(III)イオン、ランタンイオン、亜鉛イオン、バリウムイオンから選ばれる少なくとも一つである一価〜三価のカチオンで置換することにより単斜晶系カチオン置換バーネサイト型二酸化マンガンを得ることを特徴とする二酸化マンガンの製造方法
  2. 前記単斜晶系カチオン置換バーネサイト型二酸化マンガンのナトリウム含量が0.15重量%以下である請求項に記載の二酸化マンガンの製造方法
  3. 前記単斜晶系カチオン置換バーネサイトの層間距離が6.90〜7.25オングストロームである請求項1または2に記載の二酸化マンガンの製造方法
  4. 前記式(1)で示される単斜晶系ナトリウムバーネサイトを、前記一価〜三価のカチオンを含む水溶液で処理することによりナトリウムイオンを前記カチオンで置換し、乾燥することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の二酸化マンガンの製造方法
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られた二酸化マンガンおよび液状ポリサルファイドポリマーを含有させることを特徴する硬化型組成物の製造方法
  6. 充填材、可塑剤、加硫促進剤から選ばれる少なくとも一つを含有させる請求項に記載の硬化型組成物の製造方法
  7. 前記充填材がカーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、マイクロバルーンから選ばれる少なくとも一つである請求項に記載の硬化型組成物の製造方法
  8. 前記可塑剤が、フタル酸エステル、塩素化パラフィン、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ハロゲン末端硫黄含有重合体から選ばれる少なくとも一つである請求項またはに記載の硬化型組成物の製造方法
  9. 前記加硫促進剤が、チウラム系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤から選ばれる少なくとも一つである請求項のいずれかに記載の硬化型組成物の製造方法
JP2013064564A 2012-04-02 2013-03-26 二酸化マンガンおよび硬化型組成物の製造方法 Expired - Fee Related JP6067446B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013064564A JP6067446B2 (ja) 2012-04-02 2013-03-26 二酸化マンガンおよび硬化型組成物の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012084145 2012-04-02
JP2012084145 2012-04-02
JP2013064564A JP6067446B2 (ja) 2012-04-02 2013-03-26 二酸化マンガンおよび硬化型組成物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013230965A JP2013230965A (ja) 2013-11-14
JP6067446B2 true JP6067446B2 (ja) 2017-01-25

Family

ID=49677781

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013064564A Expired - Fee Related JP6067446B2 (ja) 2012-04-02 2013-03-26 二酸化マンガンおよび硬化型組成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6067446B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB8612707D0 (en) * 1986-05-23 1986-07-02 Cookson Group Plc Curing agent
JP3232790B2 (ja) * 1992-07-29 2001-11-26 東ソー株式会社 新規マンガン酸化物及びその製造方法並びにその用途
EP0581290B1 (en) * 1992-07-29 1999-07-07 Tosoh Corporation Novel manganese oxides, production thereof, and use thereof
JP2001332258A (ja) * 2000-05-22 2001-11-30 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 複酸化物電極材料、その製造方法及びそれを用いた電池
JP2007161506A (ja) * 2005-12-12 2007-06-28 Toray Fine Chemicals Co Ltd 二酸化マンガンの製造方法
WO2013129831A1 (en) * 2012-02-27 2013-09-06 Sk Innovation Co.,Ltd. Turbostratic na birnessite and method for preparing the same

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013230965A (ja) 2013-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2013150888A1 (ja) 二酸化マンガンおよびそれを含む硬化型組成物
JP5790980B2 (ja) チオール基含有ポリマー及びその硬化型組成物
EP2792695B1 (en) Curable composition
US8741995B2 (en) Surface-treated calcium carbonate and paste-like resin composition containing same
JP5769031B2 (ja) ハロゲン末端硫黄含有重合体
JP6067446B2 (ja) 二酸化マンガンおよび硬化型組成物の製造方法
JP5905380B2 (ja) 二酸化マンガンおよびそれを含む硬化型組成物
JP6976523B2 (ja) 硬化型組成物
JP2013144756A (ja) 硬化型組成物
JP2013129768A (ja) 硬化型組成物
JP2013127026A (ja) 硬化型組成物
CN1400983A (zh) 聚亚烷基多硫化物
JP2013166841A (ja) 硬化型組成物
JP6511753B2 (ja) 硬化型組成物
JP2019119800A (ja) 粉末状ポリサルファイド、及び、粉末状ポリサルファイド含有組成物
JP2017125126A (ja) チオール基含有ポリサルファイドポリエーテルポリマーの製造方法
JP2017214521A (ja) アルミノ珪酸亜鉛、および、チオール基含有液状ポリマーの硬化剤組成物
JP2018080249A (ja) チオール基含有液状ポリマー用硬化剤組成物
JP2016186019A (ja) 硬化型組成物の硬化方法および硬化型組成物
JPH0415261B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151105

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160930

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161004

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161221

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6067446

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees