JP2014121948A - 車両用内装材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生産性に優れ、且つ、付加価値を有する車両用内装材を提供する。
【解決手段】 車両用内装材10は、車体パネルPの内側空間Sを内装するものであり、合成樹脂製の基材11と、基材11の内側空間S側に設けられる表皮層12と、基材11の車体パネルP側に設けられる裏面層13とを有する。裏面層13は、無機質材料からなる電磁波反射層16を有する。車両用内装材10は、表皮層12用の長尺シートと裏面層13用の長尺シートとの間に基材11用の樹脂を備えるラミネートシートを、切断して成形してなる。車両用内装材10では、車体パネルPが太陽等で温められても、車体パネルPから放射される輻射熱を電磁波反射層16が効果的に反射する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両用内装材に関する。
従来、ラミネートシートを所定の長さに切断し、この切断したシートを所定の形状に成形してなる車両用内装材が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
図7は、従来の車両用内装材の基本構成を示す図であり、図8は、図7に示される車両用内装材の製造方法を説明する図である。
図7に示すように、車両用内装材100は、車体パネルPの内側空間(例えば、乗員室)Sを内装するものであり、合成樹脂(例えば、ポリプロピレンなど)を主材料とした基材101と、この基材101の内側空間S側に設けられる表皮層102とを有する。
図8に示すように、この車両用内装材100の製造方法では、軟化された基材用の樹脂111と、原反ロール112に巻かれた表皮層用の長尺シート112sとを用い、押し出し機121から押し出された樹脂111と長尺シート112sを複数の押し出しローラ122で挟んで押し出すことで、2層のラミネートシート115を得る。この2層のラミネートシート115は、搬送ローラ123で下流側に搬送され、所定の長さに切断された後、加熱・軟化され、所定の形状に成形される。これにより、基材101(図7参照)と表皮層102(図7参照)が一体化された車両用内装材100(図7参照)を得ることができる。
この製造方法によれば、押し出されるラミネートシート115を切断・成形することにより、車両用内装材100を連続的に得ることができ、車両用内装材100の生産性を高めることができる。
ところで、近年、車両を構成する部品には、生産性向上と共に、付加価値が求められている。このため、車両用内装材に対して新たな価値を付加するための技術が求められている。
特開平9−76261号公報
しかしながら、車両用内装材100は、高い生産性により製造コストを低く抑えることができるものの、付加価値と言える性能は、備えていない。したがって、高い生産性を維持しつつ、新たな価値を車両用内装材に付加できる技術が望まれる。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、生産性に優れ、且つ、付加価値を有する車両用内装材を提供することにある。
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の車両用内装材は、車体パネルの内側空間を内装する車両用内装材であって、合成樹脂製の基材と、前記基材の前記内側空間側に設けられる表皮層と、前記基材の前記車体パネル側に設けられる裏面層と、を有し、前記裏面層は、無機質材料からなる電磁波反射層を有し、前記表皮層用の長尺シートと前記裏面層用の長尺シートとの間に前記基材用の樹脂を備えるラミネートシートを、切断して成形してなることを特徴とする。
この構成によれば、裏面層を構成する電磁波反射層は、無機質材料からなるため、紫外線、可視光線、赤外線に至る広い波長域において、電磁波を反射する機能を備える。このような電磁波反射層を有する車両用内装材を用いることで、車体パネルが太陽等で温められても、車体パネルから放射される輻射熱を電磁波反射層が効果的に反射する。結果、車両用内装材の表皮層側(内側空間側)に熱が伝わりにくくなる。これに対し、電磁波反射層の無い従来の車両用内装材では、全ての要素が有機物である(例えば、樹脂のみで構成されていた)ため、紫外線、可視光線、赤外線に至る広い波長域において電磁波を吸収してしまい、遮熱性能は期待できない。この点、本発明では、広い波長域において電磁波を反射する機能を裏面層が備えるため、車体パネルの内側空間の温度上昇を効果的に抑えることができる。
また、このような遮熱効果を有する車両用内装材は、基材用の樹脂、表皮層用の長尺シート、裏面層用の長尺シートを重ねたラミネートシートを、切断して成形したものであるため、連続生産が可能であり、高い生産性も得られる。
(2)本発明の車両用内装材では、(1)の構成において、前記裏面層は、前記基材に接着される合成樹脂製のベース層と、前記ベース層の前記車体パネル側に設けられ、前記電磁波反射層を構成する金属膜と、を有し、前記ベース層の軟化点は、前記基材の軟化点と同程度であることを特徴とする。
この構成によれば、ベース層の軟化点と基材の軟化点と同程度にする(揃える)ことで、ベース層と基材との熱溶着性が高まり、ベース層を基材に強固に接着することができる。また、金属膜で構成される電磁波反射層をベース層の車体パネル側に設けることにより、ベース層における発熱を防いで電磁波反射層の遮熱性能を最大限に発揮させることができるので、車体パネルの内側空間の温度上昇をより効果的に抑えることができる。
(3)本発明の車両用内装材は、(1)または(2)の構成において、車両の荷室を構成するトランクトリムであることを特徴とする。
この構成によれば、遮熱機能を備えていない従来のトランクサイドトリム(例えば、実開昭64−16457号参照。)に比べ、電磁波反射層の遮熱性能によって荷室の温度上昇を効果的に抑えることができる。
本発明によれば、生産性に優れ、且つ、車体パネルの内側空間の温度上昇を効果的に抑制できる付加価値を有する車両用内装材を得ることができる。
本発明の車両用内装材の断面図である。 押し出しラミネート工程の説明図である。 切断工程の説明図である。 加熱工程の説明図である。 成形工程の説明図である。 (a)は本発明の車両用内装材の好適な使用例を示す図、(b)は(a)のA−A断面図である。 従来の車両用内装材の断面図である。 従来の押し出しラミネート工程の説明図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する。)について詳細に説明する。実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
(車両用内装材の層構造)
まず、実施形態の車両用内装材の層構造を図1に基づいて説明する。
図1に示すように、車両用内装材10は、車体パネルPの内側空間Sを内装するものであり、基材11と、この基材11の内側空間S側に設けられる表皮層12と、基材11の車体パネルP側に設けられる裏面層13とを有する。ここで、「車体パネル」は、車両のいわゆるボディを構成する部品であり、ドアパネル、ルーフパネルの他、荷室などを構成するための各種のパネル材を含む。また、「内側空間」には、乗員が乗車する乗員室や、荷物が積まれる荷室の他、車体パネルの内側に形成される各種の空間が含まれる。また、「車両用内装材」には、いわゆるドアトリム(ドアトリム本体に装着される中接部材を含む)やルーフトリムの他、荷室を内装する部品など、車体パネルの内側空間を内装する各種のトリム部品が含まれる。
車両用内装材10の形状は、格別に限定されるものではなく、用途に応じて任意に設定可能であるが、この例では、車体パネルP側から内側空間S側に凹む湾曲した形状に車両用内装材10を形成する。車両用内装材10は、後述するラミネートシート25(図2参照)を切断して成形してなる。
基材11は、各種の合成樹脂から選択可能であり、例えば、主にポリプロピレンからなる材料で構成される。また、基材11は、発泡剤により合成樹脂を発泡させた発泡成形体でもよい。表皮層12は、不織布、織布、ニット等の通気性の材料から任意に選択され、内側空間Sを内装する。
裏面層13は、基材11に接着されるベース層15と、このベース層15の車体パネルP側に設けられる電磁波反射層16とを有する。なお、この電磁波反射層16をベース層15の車体パネルP側に配置することの有効性については、後述する。
ベース層15は、車両用内装材10における厚み方向の通気を遮断して表皮層12の表面に塵埃が付着することを防ぐ通気止めの層であり、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの合成樹脂製の非通気性フィルムで構成される。このベース層15の厚みt1は、0.8〜25μmの範囲内に設定されることが望ましい。また、ベース層15を構成する合成樹脂の軟化点は、基材11を構成する合成樹脂の軟化点と同程度であることが好適である。
電磁波反射層16は、厚みt2が0.01〜0.09μmの範囲内に設定される無機質材料からなる。このような電磁波反射層16は、例えば、ベース層15の裏面15bに蒸着される金属膜(例えば、アルミニウム蒸着膜)で構成することができる。なお、アルミニウム蒸着膜で電磁波反射層16を構成する場合、ベース層15である合成樹脂製のベースフィルムにアルミニウム蒸着膜を形成し、これらベースフィルム(ベース層15)とアルミニウム蒸着膜(電磁波反射層16)を特殊処理(例えば、コロナ処理またはアンカーコート)によって強固に接着することが好ましい。
(車両用内装材の製造方法)
次に、車両用内装材10の製造方法を図2〜図4に基づいて説明する。
車両用内装材10の製造方法は、図2に示すように、基材11(図1参照)用の樹脂(以下、「基材用樹脂」と称する。)21と、表皮層12(図1参照)用の長尺シート(以下、「表皮層用長尺シート」と称する。)22sと、裏面層13(図1参照)用の長尺シート(以下、「裏面層用長尺シート」と称する。)23sと、を用いる方法であり、押し出しラミネート工程、切断工程、加熱工程、および、成形工程を有する。
押し出しラミネート工程では、押し出し機31および複数の押し出しローラ32を用いる。押し出し機31は、基材用樹脂21を軟化させて下方に押し出す。この例では、190°C程度で軟化された主にポリプロピレンからなる材料を、基材用樹脂21として用いる。複数の押し出しローラ32は、押し出し機31の下方位置に対向して配置される。
押し出し機31の一側には、表皮層用長尺シート22sを巻いた原反ロール22が配置され、押し出し機31の他側には、裏面層用長尺シート23sを巻いた原反ロール23が配置される。原反ロール23では、電磁波反射層16が内側に向くように裏面層用長尺シート23sが巻かれる。
この押し出しラミネート工程では、複数の押し出しローラ32の間に、表皮層用長尺シート22sを送り(矢印(1))、これと同時に、裏面層用長尺シート23sを送る(矢印(2))。また、表皮層用長尺シート22sと裏面層用長尺シート23sと間に、押し出し機31から押し出された基材用樹脂21を流し込む(矢印(3))。これにより、表皮層用長尺シート22s、裏面層用長尺シート23sおよび基材用樹脂21を複数の押し出しローラ32で挟んで押し出し、ラミネートシート25を得る(矢印(4))。得られたラミネートシート25では、基材用樹脂21を挟んで、一側の最外層(最表面)に表皮層12が位置し、他側の最外層(最裏面)に電磁波反射層16が位置する。
次に、図3に示すように、搬送ローラ33により、ラミネートシート25を搬送し、切断工程に送る(矢印(5))。切断工程では、切断手段(この例では、昇降する切断刃)35を用いて、ラミネートシート25を所定の長さに切断し(矢印(6))、成形素材26を得て、次工程の加熱工程に送る(矢印(7))。
図4に示すように、加熱工程では、加熱手段(この例では、加熱炉)36に成形素材26を入れ(矢印(8))、所定温度で所定時間、成形素材26を加熱する。これにより、軟化された成形素材26を得て、次工程の成形工程に送る(矢印(9))。
図5に示すように、成形工程では、上型37aおよび下型37bからなる成形金型37に、軟化された成形素材26をセットし(矢印(10))、セットした成形素材26を成形金型37で所定の形状にプレス成形した後、取り出す(矢印(11))。これにより、電磁波反射層16を最裏面に備える車両用内装材10(図1参照)を得る。
以上、説明した実施形態の効果について述べる。
裏面層13を構成する電磁波反射層16は、無機質材料からなるため、紫外線、可視光線、赤外線に至る広い波長域において電磁波を反射する機能を備える。このような電磁波反射層16を有する車両用内装材10を用いることで、車体パネルPが外側から太陽等で温められても、車体パネルPから放射される輻射熱を電磁波反射層16が効果的に反射する。結果、車両用内装材10の表皮層12側(内側空間S側)に熱が伝わりにくくなる。これに対し、電磁波反射層16の無い従来の車両用内装材では、全ての要素が有機物である(例えば、樹脂のみで構成されていた)ため、紫外線、可視光線、赤外線に至る広い波長域において電磁波を吸収してしまい、遮熱性能は期待できない。この点、車両用内装材10では、広い波長域において電磁波を反射する機能を裏面層13に備えるため、内側空間Sの温度上昇を効果的に抑えることができる。
また、このような遮熱効果を有する車両用内装材10は、基材用樹脂21、表皮層用長尺シート22s、裏面層用長尺シート23sを重ねたラミネートシート25を、切断して成形したものであるため、連続生産が可能であり、高い生産性も得られる。したがって、本実施形態によれば、生産性に優れ、且つ、内側空間Sの温度上昇を効果的に抑制できる付加価値を有する車両用内装材10を得ることができる。
また、既存の設備に、裏面層13用の原反ロール23を1個追加するだけで、特殊な層(電磁波反射層16)を有するラミネートシート25を得ることができるので、設備投資を低く抑えることができる。
さらに、本実施形態では、裏面層13において、ベース層15の車体パネルP側(熱源側)に電磁波反射層16を配置した。
これに対し、ベース層15の内側(基材11側)に電磁波反射層16を配置することも可能であり、ベース層15の内側に電磁波反射層16を配置しても、電磁波反射層16の性能自体は変わらない。しかし、この場合、合成樹脂製のベース層15が車体パネルP(熱源)に対向するため、分子振動によりベース層15において発熱が生じ易くなり、内側空間Sの温度上昇を効果的に抑えることができないおそれがある。
この点、本実施形態では、ベース層15の車体パネルP側(熱源側)に電磁波反射層16を配置したので、ベース層15における発熱が防止される。結果、電磁波反射層16の遮熱性能を最大限に発揮させることができ、内側空間Sの温度上昇をより効果的に抑えることができる。
また、ベース層15の軟化点と基材11の軟化点と同程度にする(揃える)ことで、ベース層15と基材11との熱溶着性が高まり、ベース層15を基材11に強固に接着することができる。なお、基材11に対し、より強固にベース層15を接着するため、ベース層15の接着面にコロナ処理を施すことが、より好適である。
以上の効果が得られる車両用内装材10は、内側空間Sの1つである車両の荷室(トランク)を構成する各種のトランクトリムに好適である。例えば、図6(a)および(b)に示すように、荷室S1の左右の側部を構成するトランクサイドトリム40を、前述した車両用内装材10(図1参照)と同様の層構造で且つ前述した製造方法で成形する。このトランクサイドトリム40によれば、遮熱機能を備えていない従来のトランクサイドトリム(例えば、実開昭64−16457号に記載されるトランクサイドトリム)に比べ、電磁波反射層16の遮熱性能によって荷室S1の温度上昇を効果的に抑えることができる。なお、本発明にいう「トランクトリム」には、荷室S1のトランクサイドトリム40の他、荷室S1の前部や後部、あるいは、荷室S1のドア部を構成する各種の部材が含まれる。
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10 車両用内装材
11 基材
12 表皮層
13 裏面層
15 ベース層
16 電磁波反射層
21 基材用樹脂(基材用の樹脂)
22s 表皮層用長尺シート(表皮層用の長尺シート)
23s 裏面層用長尺シート(裏面層用の長尺シート)
25 ラミネートシート
40 トランクサイドトリム(トランクトリム)
P 車体パネル
S 内側空間
S1 荷室

Claims (3)

  1. 車体パネルの内側空間を内装する車両用内装材であって、
    合成樹脂製の基材と、
    前記基材の前記内側空間側に設けられる表皮層と、
    前記基材の前記車体パネル側に設けられる裏面層と、
    を有し、
    前記裏面層は、無機質材料からなる電磁波反射層を有し、
    前記表皮層用の長尺シートと前記裏面層用の長尺シートとの間に前記基材用の樹脂を備えるラミネートシートを、切断して成形してなることを特徴とする車両用内装材。
  2. 前記裏面層は、
    前記基材に接着される合成樹脂製のベース層と、
    前記ベース層の前記車体パネル側に設けられ、前記電磁波反射層を構成する金属膜と、
    を有し、
    前記ベース層の軟化点は、前記基材の軟化点と同程度であることを特徴とする請求項1に記載の車両用内装材。
  3. 車両の荷室を構成するトランクトリムであることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用内装材。
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