JP2014121353A - 食器洗浄機 - Google Patents

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Makoto Shibuya
誠 澁谷
Tomoaki Kajiura
智彰 梶浦
Hideo Tomita
英夫 富田
Keijiro Kunimoto
啓次郎 國本
Izumi Yamaura
泉 山浦
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Abstract

【課題】洗浄ノズルの回転を安定的に抑制して、効率的な洗浄を行う。
【解決手段】食器3等の被洗浄物を収容する洗浄槽2と、洗浄槽2内の洗浄水Wを加圧循環させる加圧部6と、洗浄槽2内に設置され、加圧部6によって加圧された洗浄水Wの噴射反力により回転する洗浄部(アーム部材40、洗浄ノズル41)と、洗浄部の回転に脈動を与える噴射力可変部(洗浄ノズル41)を備えたものである。これにより、洗浄部は、洗浄水Wの噴射による反力で回転する。このとき、洗浄部を回転させる回転トルクは、加圧部6により加圧された洗浄水Wの噴射反力によるトルクに加え、噴射力可変部による脈動トルクが加わり、静止摩擦力と外乱要因を加えたもの以上の安定的な噴射反力に比べて、平均して小さな噴射反力で洗浄部を回転させることができると共に、外乱要因に強い回転力を与えることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は一般家庭で食器類や調理器類を洗浄する食器洗浄機に関するものである。
従来の食器洗浄機1の構成について説明する。図5は、従来の食器洗浄機1の内部構成を示す側断面図であり、図6は、同食器洗浄機1の洗浄ノズル7の回転方向を示す平面図であり、図7は、同食器洗浄機1の洗浄ノズル7の推進噴射孔8a近傍の要部断面図である。
図5において、洗浄槽2は内部に食器3を収納する食器かご4を設けている。また、洗浄槽2内には、洗浄槽2内の洗浄水Wを加熱する加熱部5(例えばシーズヒータなど)が設けられるとともに、洗浄槽2の下部方向に配置された加圧部6(例えば洗浄ポンプ)が設けられている。加圧部6は、洗浄水Wを加圧して、洗浄ノズル7の噴射孔8より洗浄水Wを噴射して食器かご4に収納した食器3を洗浄する。給水弁9は水道水を洗浄槽2に給水する。洗浄槽2内の洗浄水Wは排水部10により排水される。
フィルタ11は洗浄槽2に設けられ、洗浄工程およびすすぎ工程において、残菜(食器3に汚れとして付着していた食品を残菜という)を捕集する。送風部12は、乾燥工程で動作して機外の空気を洗浄槽2内に送風し、排気口13より排気することにより、洗浄槽2内の食器3を乾燥させる。洗浄槽2の前面にドア14が開閉自在に設けられている。
温度検知部15は、洗浄槽2を介して、洗浄槽2内の洗浄水W、空気および加熱部5の温度を検知し、その出力を制御装置16に入力している。制御装置16は、温度検知部15の出力に基づいて加熱部5を制御するとともに、加圧部6、給水弁9、排水部10、送風部12を制御して、洗浄、すすぎ、乾燥の一連の工程を逐次制御する。
上記構成の食器洗浄機1について、その動作及び作用を説明する。使用者がドア14を前方に開け、食器3を食器かご4に配置し、洗浄槽2に収納して洗剤を入れた後、運転を開始すると、まず排水部10が動作して、前回の運転等で洗浄槽2内に残っている洗浄水(残水と呼ぶ)を機外へ排出する。
そして、給水弁9が動作して洗浄水Wを洗浄槽2に供給する。所定量の洗浄水Wが供給されると、給水弁9は閉止され、加圧部6が洗浄水Wを加圧し、洗剤とともに洗浄ノズル7に設けた噴射孔8から洗浄水Wが噴射される。こうして洗浄工程が行われる。この洗浄工程では、制御装置16は、洗浄槽2内に設けた加熱部5に通電して、洗浄水Wを洗浄工程で必要とされる所定温度まで加熱する。
所定時間の洗浄工程が実行されると、制御装置16は、次に食器3から洗い落とされた汚れを含む洗浄水Wを排水部10により機外へ排出する。制御装置16は、引き続いて、新たに洗浄水Wを洗浄槽2内に供給して洗浄ノズル7に設けられた噴射孔8から再び噴射して、洗剤や残菜等で汚れた食器3をすすぐすすぎ工程を実行する。
制御装置16は、このすすぎ工程を終えると、洗浄水Wを再び機外へ排出する。このすすぎ工程は連続して複数回繰り返される。なお、洗浄工程およびすすぎ工程において、残菜は洗浄槽2に設けたフィルタ11内に捕集される。所定回数のすすぎ工程が終了すると乾燥工程が開始される。この乾燥工程では、送風部12が動作して機外の空気が洗浄槽2内へ送り込まれる。送り込まれた空気は加熱部5により加熱された後、食器3を乾燥させ
て排気口13より機外へ排出される。制御装置16は、乾燥工程終了後、運転を終了する。
洗浄ノズル7は、図6に示すように、洗浄ノズル7の回転方向と逆方向に洗浄水Wを噴射する推進噴射孔8aを備えている。洗浄ノズル7は、推進噴射孔8aから洗浄水Wが噴射されるときに発生する噴射反力Fとノズル軸部17の中心と推進噴射孔8aの中心との距離である回転半径rとの積、すなわち洗浄ノズル7の回転トルクT(=F×r)により、所定回転数N(30〜60r/min)で回転させられる。洗浄ノズル7の回転数は、洗浄ノズル7の回転中心部であるノズル軸部17と軸受部との間に残菜などの異物が侵入してきても止まることがないように、また、洗浄ノズル7の回転数が高すぎてノズル軸部17近傍が磨り減ってしまわないように考慮された回転数に設定されている(例えば、特許文献1参照)。
また、図7に示すように、推進噴射孔8aは、洗浄水Wを噴射する噴射角度が垂直方向に対して傾斜(この傾斜角は、図7では角度αとして示されている)させてあるので、茶碗や汁椀などの深型の食器3aを洗浄するようにも設計されている。また、垂直方向に洗浄水Wを噴射する噴射孔8も、その噴射角度が洗浄ノズル7の回転方向と逆方向に少しでも傾斜すると推進噴射孔8aとして作用する。
しかしながら、図5に示されるような従来の食器洗浄機1の構成では、以下のような課題がある。すなわち、洗浄しにくい食器3に対して所定の洗浄性能を得るためには、洗浄しにくい食器3に洗浄しやすい食器3よりも多くの量の洗浄水Wを噴射したり、洗浄水Wを何回も噴射したりすることが必要である。ここで、中皿や小皿などの平皿のように、洗浄すべき面積が小さい食器3や、湯呑やグラスのように、ジュースやお茶などの取れやすい汚れが付着している食器3などを、洗浄しやすい食器3とし、茶碗や汁椀などの深型の食器3のように、洗浄水Wが浸入しにくい食器3やご飯などが付着する食器3や、大皿などの平皿3のように、洗浄すべき面積が大きい食器3は、洗浄しにくい食器3とする。
一方、洗浄ノズル7は、推進噴射孔8aから噴射される噴射反力Fにより所定の回転数Nで回転する。これにより、食器かご4に配置された食器3に対して均等に洗浄水Wを噴射する。すなわち、茶碗や汁椀などの深型の食器3aや大皿などの平皿3bのように、洗浄しにくい食器3に対して所定の洗浄性能を得るためには、所定の洗浄性能が得られるまで、時間をかけて繰り返し洗浄ノズル7の噴射孔8から食器3へ洗浄水Wが噴射されることになる。
こうした洗浄しにくい食器3に対して、洗浄ノズル7の回転数を低下させて洗浄水Wを噴射すると、一回の噴射によって洗浄水が食器3全体に広がり、効率よく洗浄できる考え方がある。しかし、単に推進噴射孔8aの噴射角度を調整して噴射反力Fを減少させて回転数を低下させると、ノズル軸受部17に異物が侵入した場合に回転抵抗が増加して洗浄ノズル7の回転が止まってしまうので、単純に回転数を低下することができなかった。
この課題に対して、噴射反力による回転トルクは強い状態で、洗浄ノズル7の回転を抑制するために、図8に示すように、洗浄ノズル7下部に水抵抗体20を設け、この水抵抗体20を洗浄水Wに水没させて、洗浄ノズル7の回転に水の抵抗を与える方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平07−031575号公報 特開昭63−089136号公報
しかしながら、図8に示されるような従来の構成では、以下に示すような新たな課題がある。すなわち、水抵抗体20は、洗浄ノズル7の底面に設けられ、洗浄ノズル7と一体に回転するので、水に対する水抵抗体20の相対速度は洗浄ノズル7と同一となり、洗浄ノズル7の回転速度より速めることができない。例えば、直径320mmの洗浄ノズル7の所定回転数(30〜60r/min)を5〜20r/min程度に抑制しようとする場合に、洗浄水Wと水抵抗体20との相対速度は、洗浄ノズル7の最外周でも84〜336mm/s程度の緩やかなものであり、充分な回転抑制ができない。また、この程度の速度で充分な抑制効果を得ようとすると大きな面積が必要となり、その結果洗浄槽2が大きくなってしまう。したがって、実用上十分な回転抑制ができないので洗浄力向上は期待できない。
また、水抵抗体20が水を捕えるためには、洗浄ノズル7の回転軌跡の面積で十分な水溜りが必要となるので、多くの水が必要になるだけでなく、この水を加熱するために多くのエネルギーが必要となってしまう。
さらに、洗浄水Wの水位は、洗浄停止時と洗浄中では大きく変化し、食器の量や置き方によっても変わってくる。この洗浄水Wの水位の上下動で水抵抗体20への抵抗が変わってしまうので回転抑制に差が発生し、洗浄作用が安定しないなどの課題があった。
また、洗浄ノズル7を低速回転させるための他の方法として、ノズル軸受部17の摩擦抵抗を増大させる構成が考えられる。しかしながら、一般的に摩擦抵抗は、静止摩擦力>動摩擦力という特性を持つ。そのため、摩擦抵抗を増やして洗浄ノズル7の回転数を落とすと、洗浄ノズル7の回転が始動できなくなる恐れが発生する。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、洗浄ノズルの回転を安定的に抑制して、効率的な洗浄を行うことを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の食器洗浄機は、食器等の被洗浄物を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽内の洗浄水を加圧循環させる加圧部と、前記洗浄槽内に設置され、前記加圧部によって加圧された洗浄水の噴射反力により回転する洗浄部と、前記洗浄部の回転に脈動を与える噴射力可変部とを備えたものである。
これにより、洗浄部は、洗浄水の噴射による反力で回転する。このとき、洗浄部を回転させるトルクは、加圧部により加圧された洗浄水の噴射反力によるトルクに加え、噴射力可変部による脈動トルクが加わり、静止摩擦力と外乱要因を加えたもの以上の安定的な噴射反力に比べて、平均して小さな噴射反力で洗浄部を回転させることができると共に、外乱要因に強い回転力を与えることができる。そして、安定的なトルクを与えて回転させるよりも、平均して小さなトルクで低速での回転を実現できる。よって、安定した低速回転と、回転の持続を両立することができる。
本発明の食器洗浄機は、外乱要因が加わったとしても安定して低速回転を維持して、効率的な洗浄を行うことができる。
本発明の実施の形態1における食器洗浄機の洗浄部の平面図 同食器洗浄機の側面断面図 本発明の実施の形態2における食器洗浄機の洗浄部の平面図 同食器洗浄機の側面断面図 従来の食器洗浄機の側面断面図 同食器洗浄機の洗浄ノズルの平面図 同食器洗浄機の洗浄ノズルの推進噴射孔近傍の部分断面図 他の従来例の食器洗浄機の側面断面図
第1の発明の食器洗浄機は、食器等の被洗浄物を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽内の洗浄水を加圧循環させる加圧部と、前記洗浄槽内に設置され、前記加圧部によって加圧された洗浄水の噴射反力により回転する洗浄部と、前記洗浄部の回転に脈動を与える噴射力可変部とを備えたものである。これにより、洗浄部は、洗浄水の噴射による反力で回転する。このとき、洗浄部を回転させる回転トルクは、加圧部により加圧された洗浄水の噴射反力によるトルクに加え、噴射力可変部による脈動トルクが加わり、静止摩擦力と外乱要因を加えたもの以上の安定的な噴射反力に比べて、平均して小さな噴射反力で洗浄部を回転させることができると共に、外乱要因に強い回転力を与えることができる。
洗浄部の回転時に必要な回転トルクは、回転軸部の動摩擦力に、外乱要因を加えたものである。しかし、一般に動摩擦力より静止摩擦力の方が大きいので、静止摩擦力に外乱要因を加えたものが、回転起動時を含めて実際に必要な回転トルクとなる。このときの外乱要因とは、回転軸部への汚れの付着や経年変化による抵抗増加、また電源電圧変動による加圧部の出力変動などである。洗浄部の回転力は、洗浄性能向上のために回転速度をなるべく抑えるよう小さく設定される。しかし、このために回転トルクを小さくすると外乱要因により回転途中で洗浄部が停止しやすくなる。そこで、回転しなくなるのを防ぐため、加圧部の噴射反力に、噴射力可変部による脈動成分の最大値を加えたものが、静止摩擦力に外乱要因を加えたものより大きくなるようにすることで、外乱要因による停止を抑制できる。そして、常に静止摩擦力と外乱要因を加えたもの以上の安定的なトルクを与えて回転させるよりも、平均して小さなトルクで低速での回転を実現できる。よって、洗浄部の安定した低速回転と、低速回転の持続を両立することができる。
第2の発明は、特に第1の発明において、前記洗浄部は、前記洗浄槽内に回転可能に設置された中空のアーム部材と、前記アーム部材の回転中心より偏心した位置で、所定の摩擦抵抗を有して回転自在に接続され、洗浄水を噴射する噴射孔を有する洗浄ノズルとを備え、前記洗浄ノズルは前記アーム部材から供給される洗浄水を噴射する噴射孔を複数有し、前記複数の噴射孔は前記洗浄ノズルの回転中心を挟んで両側に配設され、前記洗浄ノズルは、前記噴射孔による噴射反力で回転すると共に、前記アーム部材を一定方向に回転させる構成としたものである。
この構成により、洗浄ノズルは、噴射孔からの洗浄水の噴射反力により回転する。そして、アーム部材は、洗浄ノズルの回転中心を挟んで両側に配設された複数の噴射孔の噴射反力により、洗浄ノズルとの所定の摩擦抵抗と相まって、アーム部材の回転中心に対して加わる複数の回転トルクの合力により回転する。すなわち、加圧部の水圧は一定であるので、噴射孔の噴射反力自体は一定であるが、洗浄ノズルの回転に伴い、アーム部材の回転中心から見た噴射方向と、アーム部材の回転中心と噴射ノズルの距離とが変わるため、アーム部材にかかる複数の回転トルクは常に変動し、これらの回転トルクの合力は脈動している。つまり、洗浄ノズルが噴射力可変手段となる。そして、このアーム部材に加わる回転トルクは小さなものとなり、アーム部材は低速で回転すると共に、回転トルクの脈動により停止することはなく、慣性力と合わせて安定した回転を維持することができる。
第3の発明は、特に第1または第2の発明において、前記アーム部材は、前記アーム部材の回転中心に対して、前記洗浄ノズルを接続した位置とは反対側に推進噴射孔を備えたものである。この構成により、アーム部材は噴射孔からの洗浄水の噴射反力により回転し、洗浄ノズルは噴射孔からの洗浄水の噴射反力により回転する。さらに、アーム部材には、洗浄ノズルの回転中心を挟んで両側に配設された複数の噴射孔の噴射反力により、洗浄ノズルとの所定の摩擦抵抗と相まって、アーム部材の回転中心に対して加わる複数の回転トルクの合力が加わる。
すなわち、加圧部の水圧は一定であるので、噴射孔の噴射反力自体は一定であるが、洗浄ノズルの回転に伴い、アーム部材の回転中心から見た噴射方向と、アーム部材の回転中心と噴射ノズルの距離とが変わるため、アーム部材にかかる複数の回転トルクは常に変動し、これらの回転トルクの合力は脈動している。つまり、洗浄ノズルが噴射力可変部となる。そして、アーム部材の推進噴射孔による回転トルクを小さなものとしてアーム部材を低速で回転させたとしても、洗浄ノズルによる脈動する回転トルクが加わってアーム部材は停止することはなく、推進噴射孔による安定した回転トルクと合わせて、より安定した低速回転を維持することができる。
第4の発明は、特に第2または第3の発明において、前記洗浄ノズルに設けられた前記複数の噴射孔は、互いに洗浄ノズルの回転中心に対して対称的な位置に配置され、同じ回転方向の同等の噴射反力を生じるように構成されたものである。これにより、洗浄ノズルの回転中心に対して、洗浄水が対称的に噴射されるため洗浄ノズルがアーム部材に対して傾斜するようなことがないため、バランスの取れた安定した回転を実現できるため、洗浄ノズル及びアーム部材共に安定した回転を維持することができる。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における食器洗浄機について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における食器洗浄機の洗浄部の平面図で、図2は、同食器洗浄機の側面断面図である。図1および図2において、上記従来例と同一部分は同一符号を付しその説明は省略する。
図1を用いて、洗浄部として、洗浄槽2内に回転可能に設置され、低速で安定的に回転するよう構成されたアーム部材40と、アーム部材40に接続された洗浄ノズル41について説明する。洗浄ノズル41は、中空で洗浄水Wの経路となるアーム部材40の回転中心Aから偏心した位置に回転中心Bを有するように設置され、所定の摩擦抵抗を有して回転自在にアーム部材40に接続されている。洗浄ノズル41は、回転中心Bを挟んで上面の両端に1つずつ噴射孔42を有する。噴射孔42は、同一形状で洗浄ノズル41の回転中心Bに対して対称的な位置に配置され、同じ回転方向の同等の噴射反力を生じるように構成されている。
上記構成において、洗浄ノズル41とアーム部材40の動作について説明する。洗浄ノズル41の2つの噴射孔42は、洗浄水Wを斜め上方に噴射すると同時に、その噴射反力によって洗浄ノズル41を時計回りに回転させる。このときの噴射反力は、洗浄ノズル41のみならずアーム部材40にもおよぶ。これは、洗浄ノズル41が所定の摩擦抵抗を有して回転自在にアーム部材40に接続されていることによる。
各噴射孔42の噴射反力F1は、向きは反対で大きさは等しく、アーム部材40の回転中心Aから噴射孔42までの距離をそれぞれr1、r2、噴射反力による噴射孔42部分における回転トルクをそれぞれN1、N2としたとき、アーム部材40を回転させる合力Ntは「Nt=(N1−N2)=(F1×r1―F1×r2)」(式1)のように表される。
ここで、r1>r2のときに、(式1)はNt>0になるので、洗浄ノズル41はアーム部材40に対し時計回りの力をおよぼし、アーム部材40は常に時計回りに回転する。ただ、洗浄ノズル41の回転に伴い、噴射の向きと、噴射孔42からの距離r1、r2が周期的に変化するため、アーム部材40を回転させる合力Ntも周期的に変化する。そのため、アーム部材40の回転は、洗浄ノズル41の回転に同期して脈動しながら回転する。つまり洗浄ノズル41は、噴射力可変部としても作用する。
一方、アーム部材40の回転を阻害する要因として、アーム部材40の回転軸部43の摩擦力と、外乱要因がある。外乱要因とは、回転軸部43への汚れの付着や経年変化による抵抗増加、また電源電圧変動による加圧部の出力変動などである。また、回転軸部43の摩擦力には静止摩擦力と動摩擦力があり、静止摩擦力>動摩擦力である。
一般に、回転時に必要なトルクは、回転軸部の動摩擦力に、外乱要因を加えたものであるが、動摩擦力より静止摩擦力の方が大きいので、実際には、静止摩擦力に外乱要因を加えたものが必要なトルクとなる。アーム部材40を回転させる合力Ntは、1つの噴射孔42が最外部に達し、他方の噴射孔42が最内部に達したときに最大となる。このときのトルクNtmaxが、アーム部材40の回転軸部43の静止摩擦力に外乱要因を加えたものより大きくなるようにすることで、アーム部材40の回転を開始させ、外乱要因によりアーム部材40が回転を停止してしまうことを抑制して連続して回転させることができる。そして、予期しない外乱要因に対しても、脈動する合力Ntによってアーム部材40に回転力を作用させることで、回転が停止することを抑制することができる。さらに、これらの作用を活用することで、脈動する合力Ntの平均を小さくして低速回転を実現することができる。
以上説明したように、アーム部材40を回転させるトルクは、加圧部6により加圧された洗浄水Wの洗浄ノズル41での噴射反力によるトルクに加え、洗浄ノズル41の回転による脈動トルクが加わる。これにより、脈動しない、静止摩擦力と外乱要因を加えたもの以上の安定的な噴射反力に比べて、平均して小さな噴射反力でアーム部材40を回転させることができると共に、外乱要因に強い回転力を与えることができる。そして、安定的なトルクを与えて回転させるよりも、平均して小さなトルクで低速での回転を実現することができる。よって、安定した低速回転と、回転の持続を両立することができ、洗浄性能を向上することができる。
また、複数の噴射孔42は洗浄ノズル41の回転中心Bに対して対称的な位置に配置されているので、洗浄ノズル41の回転中心Bに対して洗浄水が対称的に噴射されるため、洗浄ノズル41がアーム部材40に対して傾斜することがない。そのため、回転軸部44からの水漏れによる回転の停止もなく、またトルクの偏りによる回転の不安定さもなく、バランスの取れた安定した回転を実現できるため、アーム部材40の安定した低速回転を維持することができる。
このアーム部材40と洗浄ノズル41を用いた食器洗浄機1の動作及び作用について説明する。図2に示すように、洗浄槽2の底には、洗浄部として、アーム部材40と洗浄ノズル41が組み合わせてどちらも回転自在に設置されている。使用者がドア14を開け、食器かご4に被洗浄物の食器3を配置し、食器かご4を洗浄槽2に収納して洗剤を入れた後、ドア14を閉じて運転を開始すると、まず排水部10が動作して、前回の運転等で洗浄槽2内に残っている洗浄水(残水と呼ぶ)が食器洗浄機1外へ排出される。
次に、給水弁9が動作して所定量の洗浄水Wが洗浄槽2に供給される。所定量の洗浄水Wが供給されると、給水弁9は閉止され、加圧部6により洗浄水Wが加圧され、洗剤とと
もに洗浄ノズル41に設けた噴射孔42から洗浄水Wが噴射される。こうして洗浄工程が行われる。この洗浄工程では、制御装置16は、洗浄槽2内に設けた加熱部5に通電して、洗浄水Wを洗浄工程で必要とされる所定温度まで加熱する。
同時に、噴射孔42からの噴射反力によって洗浄ノズル41とアーム部材40とが回転する。そして洗浄ノズル41の噴射孔42から噴射される洗浄水Wは、アーム部材40がゆっくり回転することにより、食器かご4に配置された食器3に供給される際に、食器3間の隙間全体に行き渡り、食器3を万遍なく洗浄する。
洗浄工程が所定時間行われると、排水部10が食器3から洗い落とされた汚れを含む洗浄水Wを機外へ排出する。そして、新たに給水弁9が動作して洗浄水Wを供給し、洗浄ノズル41に設けられた噴射孔42から再び洗浄水Wが噴射されて、洗剤や残菜等で汚れた食器3をすすぐすすぎ工程を実行する。この時も、アーム部材40は低速で回転するので、アーム部材40の噴射孔42から噴射される洗浄水Wは、食器かご4に配置された食器3の隅々まで届き、食器3を効率よくすすぐ。
このすすぎ工程が終わると、制御装置16は排水手段10を動作させて洗浄水Wを再び機外へ排出する。このすすぎ工程は連続して複数回繰り返される。洗浄およびすすぎ工程では、残菜は洗浄槽2に設けたフィルタ11内に捕集される。所定回数のすすぎ工程が終了すると乾燥工程が開始される。この乾燥工程では、送風部12が動作して食器洗浄機1外の空気が洗浄槽2内へ送り込まれる。送り込まれた空気は加熱部5により加熱された後、食器3を乾燥させて排気口13より機外へ排出される。制御装置16は、乾燥工程終了後、運転を終了する。
このように構成された本実施の形態1によれば、食器かご4に配置される食器3において、ご飯粒などの汚れが付着しているために多くの洗浄水Wが供給されないと所定の洗浄性能が得られない茶碗や汁椀などの深皿や、洗浄すべき面積が大きく洗浄水Wが全体に広がりにくい大皿なども、アーム部材40がゆっくりと回転することにより、噴射孔42が食器3と食器3の隙間の下をゆっくりと通過して、洗浄水Wが食器3表面の隅々まで行き渡り効率よく洗浄することができる。
したがって、本実施の形態1の食器洗浄機は、噴射孔42から噴射される洗浄水Wが通過するたびに食器3の全面に行き渡らせることができるので、短時間で所定の洗浄性能を得ることができ、効率的に食器3を洗浄することができる。
なお、発明者等が行った食器3に食品を付着させた洗浄評価試験から、アーム部材40の回転数が従来の30r/minに比べ、0.3r/min〜20r/minに回転数を低下させた場合において洗浄効果向上が確認できた。特に回転数が1r/min〜15r/minの範囲で効果が顕著となった。この結果からアーム部材40の回転抑制は従来の1%〜67%(好ましくは3%〜50%)になるように洗浄部を設定することが望ましい。これにより、回転一回当たりの洗浄水の量が1.5倍から100倍(好ましくは2倍から33倍)で食器に噴射されるので、汚れが落ちにくい食器であっても、食器全体に洗浄水が侵入して、効率よく洗浄することができる。
なお、洗浄部の詳細な構成は、洗浄ノズル41とアーム部材40の形状やこれらの接続部の摩擦抵抗や重量などの他、噴射孔42の位置、形状及び角度、及び、加圧部6による洗浄水Wの流量などがあり、これらの組み合わせとなって多岐にわたる。所定の摩擦抵抗もこれらの中で決定されるものである。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における食器洗浄機について説明する。図3は、本発明の実施の形態2における食器洗浄機の洗浄部の平面図で、図4は、同食器洗浄機の側面断面図である。以下、実施の形態1と同一部分は同一符号を付しその説明は省略する。
実施の形態1との違いは、アーム部材40の回転中心Aに対して、洗浄ノズル41を接続した位置とは反対側に、推進噴射孔45が設けられている点である。
図3を用いて、洗浄部として、洗浄槽2内に回転可能に設置され、低速で安定的に回転するよう構成されたアーム部材40と、アーム部材40に接続された洗浄ノズル41について説明する。洗浄ノズル41は、中空で洗浄水Wの経路となるアーム部材40の回転中心Aから偏心した位置に回転中心Bを有するように設置され、所定の摩擦抵抗を有して回転自在にアーム部材40に接続されている。洗浄ノズル41は、回転中心Bを挟んで上面の両端に1つずつ噴射孔42を有する。噴射孔42は、同一形状で洗浄ノズル41の回転中心Bに対して対称的な位置に配置され、同じ回転方向の同等の噴射反力を生じるように構成されている。
また、アーム部材40には回転力を発生させる推進噴射孔45が設けられ、アーム部材40の回転中心Aに対して、洗浄ノズル41を接続した位置とは反対側に配置されている。
上記構成において、洗浄ノズル41とアーム部材40の動作について説明する。アーム部材40の推進噴射孔45は、洗浄水Wを斜め上方に噴射すると同時に、その噴射反力によってアーム部材40を時計回りに回転させる。そして、洗浄ノズル41の2つ噴射孔42は、洗浄水Wを斜め上方に噴射すると同時に、その噴射反力によって洗浄ノズル41を時計回りに回転させる。このときの噴射孔42の噴射反力は、洗浄ノズル41のみならずアーム部材40にもおよぶ。
推進噴射孔45の噴射反力をF0とし、噴射孔42の噴射反力をF1とすると、噴射反力F1は、向きは反対で大きさは等しい。また、アーム部材40の回転中心Aから推進噴射孔45までの距離をr0、アーム部材40の回転中心Aから噴射孔42までの距離をそれぞれr1、r2、推進噴射孔45および噴射孔42における噴射反力F0、F1による回転トルクをそれぞれN0、N1、N2としたとき、アーム部材40を回転させる合力Ntは「Nt=N0+(N1−N2)=F0×r0+(F1×r1−F1×r2)」(式2)のように表される。
ここで、r1>r2のときに、(式2)はNt>0になるので、洗浄ノズル41はアーム部材40に対し時計回りの力をおよぼす。さらに、推進噴射孔45による噴射反力F0も時計回りに作用するので、アーム部材40は常に時計回りに回転する。ただ、洗浄ノズル41の回転に伴い、噴射の向きと、噴射孔42からの距離r1、r2が周期的に変化するため、アーム部材40を回転させる合力Ntも周期的に変化する。そのため、アーム部材40の回転は、洗浄ノズル41の回転に同期して脈動しながら回転する。つまり洗浄ノズル41は、噴射力可変部としても作用する。
一方、アーム部材40の回転を阻害する要因として、アーム部材40の回転軸部43の摩擦力と、外乱要因がある。外乱要因とは、回転軸部43への汚れの付着や経年変化による抵抗増加、また電源電圧変動による加圧部の出力変動などである。また、回転軸部43の摩擦力には静止摩擦力と動摩擦力があり、静止摩擦力>動摩擦力である。
一般に、回転時に必要なトルクは、回転軸部の動摩擦力に、外乱要因を加えたものであるが、動摩擦力より静止摩擦力の方が大きいので、実際には、静止摩擦力に外乱要因を加
えたものが必要なトルクとなる。アーム部材40を回転させる合力Ntは、1つの噴射孔42が最外部に達したときに最大となり、このときのトルクNtmaxが、アーム部材40回転軸部43の静止摩擦力に外乱要因を加えたものより大きくなるようにすることで、アーム部材40の回転を開始させ、外乱要因によりアーム部材40が回転を停止してしまうことを抑制して連続して回転させることができる。そして、予期しない外乱要因に対しても、脈動する合力Ntによってアーム部材40に回転力を作用させることで、回転が停止することを抑制することができる。さらに、これらの作用を活用することで、脈動する合力Ntの平均を小さくして低速回転を実現することができる。
以上説明したように、アーム部材40を回転させるトルクは、加圧部6により加圧された洗浄水Wの洗浄ノズル41での噴射反力によるトルクに加え、洗浄ノズル41の回転による脈動トルクが加わる。これにより、静止摩擦力と外乱要因を加えたもの以上の脈動しない安定的な噴射反力に比べて、平均して小さな噴射反力でアーム部材40を回転させることができると共に、外乱要因に強い回転力を与えることができる。そして、安定的なトルクを与えて回転させるよりも、平均して小さなトルクで低速での回転を実現することができる。よって、安定した低速回転と、回転の持続を両立することができ、洗浄性能を向上することができる。
また、複数の噴射孔42は洗浄ノズル41の回転中心Bに対して対称的な位置に配置されているので、洗浄ノズル41の回転中心Bに対して洗浄水が対称的に噴射されるため、洗浄ノズル41がアーム部材40に対して傾斜することがない。そのため、回転軸部44からの水漏れによる回転の停止もなく、またトルクの偏りによる回転の不安定さもなく、バランスの取れた安定した回転を実現できるため、アーム部材40の安定した低速回転を維持することができる。
このアーム部材40と洗浄ノズル41を用いた食器洗浄機を図4に示す。この食器洗浄機の動作及び作用については、基本的には実施の形態1で説明した内容と同様である。実施の形態1との違いは、アーム部材40の回転中心Aに対して、洗浄ノズル41を接続した位置とは反対側に、推進噴射孔45が設けられている点である。
これにより、噴射孔42と推進噴射孔45とからの噴射反力によって洗浄ノズル41とアーム部材40とが回転する。そして、アーム部材40がゆっくり回転することにより、洗浄ノズル41の噴射孔42と、特に、アーム部材40の推進噴射孔45はアーム部材40に合わせてゆっくり移動する。これにより、噴射孔42と推進噴射孔45とから噴射される洗浄水Wは、食器かご4に配置された食器3に供給される際に、食器3間の隙間全体に行き渡り、食器3を万遍なく洗浄したり、すすいだりすることができる。
本実施の形態2によれば、食器かご4に配置される食器3において、ご飯粒などの汚れが付着しているために多くの洗浄水Wが供給されないと所定の洗浄性能が得られない茶碗や汁椀などの深皿や、洗浄すべき面積が大きく洗浄水Wが全体に広がりにくい大皿なども、アーム部材40がゆっくりと回転することにより、推進噴射孔45と噴射孔42とが食器3と食器3の隙間の下をゆっくりと通過して、洗浄水Wが食器3表面の隅々まで行き渡り効率よく洗浄することができる。
したがって、本実施の形態の食器洗浄機は、推進噴射孔45と噴射孔42とから噴射される洗浄水Wが通過するたびに食器3の全面に行き渡らせることができるので、短時間で所定の洗浄性能を得ることができ、効率的に食器3を洗浄することができる。
なお、以上説明した実施の形態において、脈動を有する回転トルクをアーム部材に接続した洗浄ノズルの噴射反力により発生させたが、これに限るものではなく、洗浄水を循環
させる加圧部による圧力を脈動させても良い。この方法を用いれば、洗浄ノズルを接続せずに、アーム部材に噴射孔を設けるだけの構成でも可能である。
以上のように、本発明にかかる食器洗浄機は、脈動する回転トルクによりゆっくり回転する洗浄部により洗浄水を食器の全面に噴射することができるので、深皿や大皿などの洗浄しにくい食器でも所定の洗浄性能を得ることができ、効率的に食器を洗浄することが可能となるので、家庭用の食器洗浄機だけでなく、業務用の食器洗浄機の用途にも適用できる。
1 食器洗浄機
2 洗浄槽
3 食器
6 加圧部
40 アーム部材
41 洗浄ノズル
42 噴射孔
45 推進噴射孔

Claims (4)

  1. 食器等の被洗浄物を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽内の洗浄水を加圧循環させる加圧部と、前記洗浄槽内に設置され、前記加圧部によって加圧された洗浄水の噴射反力により回転する洗浄部と、前記洗浄部の回転に脈動を与える噴射力可変部とを備えた食器洗浄機。
  2. 前記洗浄部は、前記洗浄槽内に回転可能に設置された中空のアーム部材と、前記アーム部材の回転中心より偏心した位置で、所定の摩擦抵抗を有して回転自在に接続された洗浄ノズルとを備え、前記洗浄ノズルは前記アーム部材から供給される洗浄水を噴射する噴射孔を複数有し、前記複数の噴射孔は前記洗浄ノズルの回転中心を挟んで両側に配設され、前記洗浄ノズルは、前記噴射孔による噴射反力で回転すると共に、前記アーム部材を一定方向に回転させる構成とした請求項1記載の食器洗浄機。
  3. 前記アーム部材は、前記アーム部材の回転中心に対して、前記洗浄ノズルを接続した位置とは反対側に推進噴射孔を備えた請求項1または2記載の食器洗浄機。
  4. 前記洗浄ノズルに設けられた前記複数の噴射孔は、互いに洗浄ノズルの回転中心に対して対称的な位置に配置され、同じ回転方向の同等の噴射反力を生じるように構成された請求項2または3記載の食器洗浄機。
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