JP2014120405A - 光拡散反射性電極及び有機el素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光層で発生した光が基板モードや導波モードにおいて損失するのを抑制するとともに、光が電極表面の表面プラズモンと結合してプラズモン損失が生じるのを抑制でき、光取り出し効率を顕著に向上させることが可能な光拡散反射性電極、及び、それを用いた有機EL素子を提供する。
【解決手段】導電性微粒子1aと光散乱性微粒子1bとを含む電極であって、電極中に導電性微粒子1aが分散されてなる光拡散反射性電極1とし、さらに、基板10上に、少なくとも、一対の電極と、該一対の電極の間に配置される発光層12とを備える有機EL素子Aにおいて、一対の電極の内の少なくとも何れか一方が、光拡散反射性電極1からなる構成を採用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光拡散反射性電極、及び、それを用いた有機EL素子に関する。
近年、薄型の発光素子として、低電力で高い輝度が得られ、また、視認性や応答速度の他、寿命や消費電力の点からも優れた特性を備えた有機EL素子が注目されるようになっている。このような有機EL素子は、例えば、薄型テレビのディスプレイ、各種照明器具等への応用が進められている。
一般に、有機EL素子には、ボトムエミッションと呼ばれる、透明材料からなる基板上に、透明電極、発光層及び金属電極が積層され、発光層から出射された光を基板側から取り出すように構成されているものか、あるいは、トップエミッションと呼ばれる、透明材料からなる基板上に、金属電極、発光層及び透明電極が積層され、発光層から出射された光を基板の反対側から取り出すように構成されているものがある。一方、従来の有機EL素子においては、内部で発生した光を外部に取り出す際の光取り出し効率が約20%と、決して高く無いのが実情である。このため、薄型テレビ、各種照明器具等、有機EL素子が適用される機器の高性能化等に伴い、有機EL素子の発光効率をさらに向上させることが求められており、従来から、光取り出し効率を向上させることを目的として各種の提案がなされている。
従来、有機EL素子において光取り出し効率を低下させる要因として、基板モードや導波モードによる損失が知られている。また、近年、発光層から出射された光が、発光層と金属電極との界面において金属電極表面の表面プラズモンと結合することで表面プラズモンポラリトンとなり、金属電極内に滞留することで光の損失(プラズモン損失)が生じることが明らかとなっている。
これまで、有機EL素子の光取り出し効率を向上させることを目的として、例えば、透明電極の光取り出し面側に隣接して散乱層を設けることが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、このような散乱層の多くは、有機バインダー中に微粒子を分散させた絶縁材料からなり、透明電極材料からなる陽極及び陰極の両方の外側に散乱層が配置されることから、決して十分な光取り出し効率が得られるものではなかった。
このため、有機バインダーと無機導電性微粒子とからなる散乱層を、透明電極内の発光層側(内側)に設けることも提案されている(例えば、特許文献2を参照)。しかしながら、特許文献2に記載の散乱層を設けた場合、無機導電性微粒子の導電性が十分ではないことから、電極として金属膜を製膜する必要があった。このように、金属膜の成膜が必要であることから、基板モードや導波モードによる光の損失を、散乱層による拡散反射によって抑制する効果は得られるものの、上述した表面プラズモンによる光の損失を抑制するのには、決して有効ではないという問題がある。
また、プラズモン損失の原因となる金属電極を使用せず、電極を透明電極とミラー層とから構成することが提案されている。(例えば、特許文献3を参照)。特許文献2に記載の技術によれば、金属電極を用いていない構成なので表面プラズモン損失は生じないというメリットがある。しかしながら、特許文献2に記載のミラー層は、誘電体多層構造からなることから、製造コスト面で不利であるという問題がある。また、このミラー層は拡散反射性を持たないため、基板モードや導波モードによる光損失を低減する効果は期待できず、これらの光損失を抑制して光を取り出すには、他の技術との組み合わせが必要となり、工程や部品の増加による製造コストの増大を招くという問題がある。
一方、プリンテッドエレクトロニクス分野においては金属インクが検討されており、この金属インクを用いて有機EL素子の陰極を形成することが提案されている(例えば、特許文献4を参照)。しかしながら、特許文献4に記載の、金属インクからなる陰極を用いた場合でも、上述したような、発光層と電極との界面において生じるプラズモン損失を低減させることは困難だった。
特許第04495978号公報 特許第04949149号公報 特開2011−233289号公報 国際公開第2011/046165号
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、発光層で発生した光が基板モードや導波モードにおいて損失するのを抑制するとともに、光が電極表面の表面プラズモンと結合してプラズモン損失が生じるのを抑制でき、光取り出し効率を顕著に向上させることが可能な光拡散反射性電極、及び、それを用いた有機EL素子を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記問題を解決するために鋭意研究を重ねた。この結果、まず、導電性微粒子と光散乱性微粒子とからなり、且つ、膜中に導電性微粒子を分散させた構成を採用することにより、光を拡散反射させて基板モードや導波モードによる光損失を抑制できるとともに、上記微粒子を含む電極膜とすることで表面プラズモンによる光損失を抑制できる光拡散反射性電極が得られることを見出した。
そして、上述のような光拡散反射性電極を陽極又は陰極の少なくとも一方に適用して有機EL素子を構成することにより、基板モード、導波モード及びプラズモン損失の何れの要因に対しても有効な光損失抑制効果を発揮でき、複数の技術要素を組み合わせることなく簡素な構成で、優れた光取り出し効率を有する有機EL素子が低コストで実現できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の手段を採用するものである。
[1] 導電性微粒子と光散乱性微粒子とを含む電極であって、前記電極中に前記導電性微粒子が分散されてなることを特徴とする光拡散反射性電極。
[2] さらに、バインダーを含んでなることを特徴とする上記[1]に記載の光拡散反射性電極。
[3] 前記導電性微粒子と、前記光散乱性微粒子との比率が、質量比で、2:1〜1:6の範囲であることを特徴とする上記[1]に記載の光拡散反射性電極。
[4] 前記導電性微粒子と、前記光散乱性微粒子との比率が、質量比で、2:1〜1:6の範囲であり、かつ、当該光拡散反射性電極において前記バインダーが占める割合が、体積比で60%以下であることを特徴とする上記[2]に記載の光拡散反射性電極。
[5] 膜厚が0.2〜50μmの範囲であることを特徴とする上記[1]〜[4]の何れか1項に記載の光拡散反射性電極。
[6] 前記導電性微粒子の平均粒子径が10〜200nmの範囲であり、且つ、前記光散乱性微粒子の平均粒子径が100〜1000nmの範囲であることを特徴とする上記[1]〜[5]の何れか1項に記載の光拡散反射性電極。
[7] 前記導電性微粒子が金属微粒子であることを特徴とする上記[1]〜[6]の何れか1項に記載の光拡散反射性電極。
[8] 前記金属微粒子が、Ag、Al、Au、Cu、Ti、Pt、Ni、Zn、Fe、Na、Liの内の少なくとも1種であることを特徴とする上記[7]に記載の光拡散反射性電極。
[9] 前記光散乱性微粒子が金属酸化物であることを特徴とする上記[1]〜[8]の何れか1項に記載の光拡散反射性電極。
[10] 前記金属酸化物が、酸化チタン(TiO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化タングステン(WO)、硫酸バリウム(BaSO)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、GZO(酸化ガリウム亜鉛)、NESA(酸化錫)、AZO(酸化アルミニウム亜鉛)の内の少なくとも1種であることを特徴とする上記[8]に記載の光拡散反射性電極。
[11] 基板上に、少なくとも、一対の電極と、該一対の電極の間に配置される発光層とを備える有機EL素子であって、前記一対の電極の内の少なくとも何れか一方が、上記[1]〜[10]の何れか1項に記載の光拡散反射性電極からなることを特徴とする有機EL素子。
[12] 前記一対の電極の内、前記基板側に配置される一方の電極が、上記[1]〜[10]の何れか1項に記載の光拡散反射性電極からなることを特徴とする上記[11]に記載の有機EL素子。
[13] 前記一対の電極の内、前記基板とは前記発光層を介して反対側に配置される他方の電極が、上記[1]〜[10]の何れか1項に記載の光拡散反射性電極からなることを特徴とする上記[11]に記載の有機EL素子。
本発明に係る光拡散反射性電極によれば、上述のような、導電性微粒子と光散乱性微粒子とからなり、且つ、電極中に前記導電性微粒子を分散させた構成を採用している。これにより、まず、電極膜内で光を拡散反射させることで、基板モードや導波モードによる光損失を抑制でき、さらに、当該光拡散反射性電極と発光層との界面で表面プラズモンが生じるのを抑制できるので、プラズモン損失による光損失を低減することができる。従って、各種発光素子の光取り出し効率を向上させることが可能な光拡散反射性電極が実現できる。
また、本発明に係る有機EL素子によれば、上記本発明に係る光拡散反射性電極が、一対の電極の内の少なくとも何れか一方、即ち、陽極又は陰極の少なくとも何れかに適用された構成を採用しているので、基板モード、導波モード及びプラズモン損失の何れの要因に対しても有効な光損失抑制効果が発揮される。従って、複数の技術要素を組み合わせることなく簡素な構成で、優れた光取り出し効率を有する有機EL素子を低コストで実現することが可能となる。
図1は、本発明の第1の実施形態である光拡散反射性電極及び有機EL素子を模式的に説明する図であり、一対の電極の内、発光層を介して基板の反対側に配置される一方の電極が本発明の光拡散反射性電極とされた有機EL素子の断面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態である光拡散反射性電極及び有機EL素子を模式的に説明する図であり、一対の電極の内、基板側に配置される他方の電極が本発明の光拡散反射性電極とされた有機EL素子の断面図である。
以下、本発明の光拡散反射性電極及び有機EL素子の第1、2の実施の形態について、図面を適宜参照しながら説明する。
本実施形態においては、光拡散反射性電極を、図1、2に示すような有機EL素子に適用した場合を例に挙げ、第1の実施形態として、図1に示す例の有機EL素子Aを説明し、また、第2の実施形態として、図2に示す例の有機EL素子Bについて説明する。
本発明に係る有機EL素子は、基板11上に設けられる一対の電極の内の何れか一方が、光拡散反射性電極1からなる。具体的には、図1に示す例の有機EL素子Aにおいては、基板10とは発光層12を介して反対側に配置される他方の電極が光拡散反射性電極1からなり、図2に示す例の有機EL素子Bにおいては、基板10側に配置される一方の電極が光拡散反射性電極1からなる。
上記により、図1に例示する有機EL素子Aは、発光面が基板10側とされたボトムエミッション型として構成される。これに対し、図2に例示する有機EL素子Bは、発光面が上面側とされたトップエミッション型として構成される。
[第1の実施形態]
<有機EL素子(及び光拡散反射性電極)>
本実施形態で説明する有機EL素子Aは、図1中に例示するように、基板10上に、少なくとも、透明電極11、発光層12、及び、光拡散反射性電極1がこの順で積層されてなり、概略構成されている。
本実施形態の光拡散反射性電極1は、導電性微粒子1aと光散乱性微粒子1bとを含む電極であり、電極中に導電性微粒子1aが分散されてなる電極膜である。
基板10は、本実施形態の有機EL素子Aの支持基板であり、例えば、透光性材料からなる基板が挙げられ、本実施形態の有機EL素子Aは、この透光性基板上に上記層構造が形成されてなる。上述のような透光性を有する基板10としては、例えば、400〜700nmの可視光における透過率が50%以上で、平滑な基板であることが好ましい。このような基板10として、具体的には、例えば、ガラス板やポリマー板等が挙げられる。ここで、ガラス板の素材としては、特に、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等が挙げられる。また、ポリマー板の素材としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等が挙げられる。
透明電極11は、正孔を発光層12に注入する陽極、あるいは電子を発光層12に注入する陰極であり、例えば、4.5eV以上の仕事関数を有する透光性の電極材料からなることが好ましい。具体的には、透明電極11として、酸化インジウム錫合金(ITO)、酸化亜鉛錫合金(IZO)、酸化錫(NESA)等の透光性酸化物材料や、金、銀、白金、銅等の金属材料を用いることができる。また、透明電極11は、上記電極材料を、蒸着法やスパッタリング法等の方法を用いて、基板10上に薄膜として成膜することによって形成することができる。
ここで、発光層12からの発光を透明電極11及び基板10から取り出す構造を採用する場合には、透明電極11の発光に対する透過率が10%超となるように、電極材料や膜厚を適正化することが好ましい。
また、透明電極11のシート抵抗は、数百Ω/□以下であることが好ましい。
また、透明電極11の膜厚は、使用する電極材料にもよるが、上述した光透過率やシート抵抗等を勘案しながら、通常、10nm〜1μm程度、より好ましくは10〜200nmの範囲とすることができる。
ここで、透明電極11が陰極の場合、透明電極11から発光層12へ電子の注入障壁を下げて電子の注入効率を上げる目的で、図示略の陰極バッファ層を、透明電極11に隣接して発光層12側に設けてもよい。陰極バッファ層の材料としては、例えば、アルカリ金属(ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs))、マグネシウム(Mg)、アルカリ土類金属(ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca))、希土類金属(プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb))、または、これらの金属のフッ化物、塩化物、酸化物から選ばれる材料、並びに、2つ以上の混合物を使用することができる。さらに、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(バソクプロイン(BCP))等の電子親和性の高い有機化合物と、セシウム(Cs)等の電子供与性の高い材料の混合物も、好ましく用いられる。また、陰極バッファ層の厚さとしては、0.1nm〜50nmが好ましく、0.1nm〜20nmがより好ましく、0.5nm〜10nmが最も好ましい。
発光層12は、主として電荷再結合を促進させ、これを発光につなげるものである。本実施形態の発光層12においては、正孔の注入容易性と電子の注入容易性とに違いがあっても良く、また、正孔と電子の移動度で表される輸送能に大小があっても良いが、何れか一方の電荷を移動することが好ましい。
発光層12に用いられる発光材料としては、発光材料として従来公知のものを用いることが可能であり、例えば、特開2011−139044号公報に記載の材料(特に、同公報の段落0100に記載の有機化合物材料、並びに、段落0101に記載の有機金属錯体材料)等を何ら制限なく用いることができる。
また、発光層12に用いられるホスト材料としては、例えば、特開2009−260308号公報に記載の材料(特に、同公報の段落0049に記載の正孔輸送性を有するホスト材料、並びに、段落0054に記載の電子輸送性を有するホスト材料)等を何ら制限無く用いることができる。
また、発光層12には、ドーパントを添加しても良い。この場合に用いられるドーパントとしても、従来公知のものを用いることが可能である。
なお、本実施形態の有機EL素子Aに備えられる発光層12を形成する方法としては、例えば、蒸着法、スピンコート法、LB法等の公知の方法を適用して、上記材料を成膜する方法を採用することができる。この場合、発光層12は、特に、分子堆積膜であることが好ましい。ここで、分子堆積膜とは、気相状態の材料化合物から沈着して形成された薄膜や、溶液状態又は液相状態の材料化合物から固体化して形成された膜のことである。このような分子堆積膜は、通常、LB法によって形成された薄膜(分子累積膜)とは、凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違によって区分することができる。また、上記方法以外にも、例えば、樹脂等の結着剤と材料化合物とを溶剤に溶かして分散溶液とした後、これをスピンコート法等によって薄膜化する方法を適用することでも、発光層12を形成することができる。
(光拡散反射性電極)
本実施形態の光拡散反射性電極1は、電子を発光層12に注入する陰極、あるいは正孔を発光層12に注入する陽極であり、上述したように、導電性微粒子1aと光散乱性微粒子1bとを含み、膜中に導電性微粒子1aが分散されてなる。
従来、有機EL素子の光取り出し効率を向上させるため、例えば、酸化チタン等からなる光散乱層を光取り出し面側に設けることが行われており、本発明者等の実験においても、光散乱層を設けることで基板モードや導波モードによる光損失を抑制できることが確認されている。また、光散乱層を設ける技術は、コスト面でも有利であるものと考えられている。しかしながら、このような光散乱層を設けるだけでは、基板モードや導波モードによる光損失を拡散反射によって抑制する効果は得られるものの、発光層と電極との界面で生じる表面プラズモンによる光の損失を抑制する効果は得られないという問題がある。
また、電極を透明電極とミラー層(反射板)とから構成し、金属を用いない電極とすることで、表面プラズモン損失を生じさせないための対策も行われている。このように、金属電極を用いない構成とすることで、金属表面における表面プラズモンの発生を確実に防止することができる。しかしながら、ミラー層は拡散反射性を持たないことから、基板モードや導波モードによる光損失を抑制するためには、ミラー層に散乱体を含有させる等の対策が必要となり、コストアップの要因となる。
また、発光層を構成する有機物にダメージを与えない銀ペーストが開発されており、これを有機EL素子の陰極に用いることも行われている。しかしながら、このような技術では、光取り出し効率がさほど向上せず、また、発光層と電極との界面において生じるプラズモン損失を低減させる効果も得られ難かった。
これに対し、本発明者等は、通常は導電性を持たない光散乱性微粒子1bに、例えばAg粒子等の導電性微粒子1aを混合して分散させることで、光拡散反射性を有する電極として機能することを見出した。ここで、導電性微粒子は、通常、数10〜数100nm程度の粒子であるので、金属電極を用いた場合に較べて表面プラズモン損失が抑制され、さらに、導電性微粒子1aの比率を低めに調整することで、金属電極を用いた場合と異なり、表面プラズモン損失はほとんど発生しなくなる。また、導電性微粒子1aと光散乱性微粒子1bとの比率(濃度)は、導電性と光取り出し効率とのトレードオフの関係となるが、上記比率を適正化することで、高い導電性と光取り出し効率の両方を得ることが可能となる。即ち、一対の電極の何れか一方に上記構成の光拡散反射性電極1を適用することにより、基板モード、導波モード及び表面プラズモンの何れによる光損失も抑制することが可能となる。
また、本発明において、陰極側に光拡散反射性電極1を適用した場合、陰極が鏡面にならないので拡散反射が可能となり、基板10側からの光取り出し効率がさらに高められるという効果が得られる。
また、この場合には、平坦な発光層(有機層)12上に、平坦な膜からなる光拡散反射性電極1が形成される。
本実施形態の光拡散反射性電極1においては、導電性微粒子1aと光散乱性微粒子1bとの比率は特に限定されないが、質量比で、2:1〜1:6(導電性微粒子1a:光散乱性微粒子1b)の範囲であることが好ましく、1:1〜1:6の範囲であることがより好ましく、1:2〜1:4の範囲であることがより一層好ましい。導電性微粒子1aの比率が高過ぎると、光拡散性電極1中の金属の割合が大きくなり、それに伴ってプラズモン損失が生じ、光取り出し効率が低下する傾向がある。一方、光散乱性微粒子1bの比率が高すぎると、導電性を発現させている銀微粒子同士の接触が、酸化チタン微粒子により分断され、導電性が低下して駆動電圧が上昇する傾向がある。
導電性微粒子1aと光散乱性微粒子1bとの比率を上記範囲とすることで、導電性微粒子1aによる電極としての導通性と、光散乱性微粒子1bの拡散反射性による光取り出し効率の両方を確保できるとともに、発光層12との界面における表面プラズモンの抑制効果がより顕著に得られる。
また、本実施形態の光拡散反射性電極1は、上記の導電性微粒子1a及び光散乱性微粒子1bに加え、さらに、図示略のバインダーを含み、この電極中に導電性微粒子1aが分散されてなる構成としても良い。このような場合においても、各微粒子の比率は特に限定されないが、当該光拡散反射性電極1においてバインダーが占める割合を、体積比で60%以下とすることが好ましく、40%以下とすることがより好ましく、20%以下とすることがより一層好ましい。バインダーの比率が高すぎると、バインダー樹脂によって銀微粒子間の接触が分断され、導電性が低下して駆動電圧が上昇する傾向がある。
よって、光拡散反射性電極1における、導電性微粒子1a、光散乱性微粒子1b及びバインダーの比率を上記範囲とすることで、電極としての導通性を確保しながら、基板モード、導波モード及び表面プラズモンの何れの光損失も抑制することが可能となる。
光拡散反射性電極1に含まれる導電性微粒子1aとしては、金属微粒子を用いることが好ましい。金属微粒子の導電性は非常に高く、電極に求められる導電性を十分確保することが可能である。このような金属微粒子としては、例えば、Ag、Al、Au、Cu、Ti、Pt、Ni、Zn、Fe、Na、Liの内の少なくとも1種であることが好ましい。これらの金属は、金属材料の中でも比較的高い導電性を持ち、光反射率が高く、成膜が容易である。導電性微粒子1aとして、上記各材料の導電性が非常に高い金属微粒子、あるいはそれらの合金を用いることにより、上記同様、電極としての導通性を確保しながら、基板モード、導波モード及び表面プラズモンの何れの光損失も抑制できるという効果がより顕著に得られる。また、これらの金属微粒子、あるいはそれらの合金は、仕事関数の観点でも、従来の材料に較べて有利である。
また、光拡散反射性電極1に含まれる光散乱性微粒子1bとしては、金属酸化物を用いることが好ましい。また、金属酸化物は、屈折率、光反射率が高いものがより好ましい。このような金属酸化物としては、例えば、酸化チタン(TiO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化タングステン(WO)、硫酸バリウム(BaSO)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、GZO(酸化ガリウム亜鉛)、NESA(酸化錫)、AZO(酸化アルミニウム亜鉛)の内の少なくとも1種であることが好ましい。光散乱性微粒子1bとして、上記各材料の金属酸化物を用いることにより、拡散反射性によって光取り出し効率を向上させ、基板モード及び導波モードによる光損失を抑制しながら、さらに、表面プラズモン損失を抑制する効果がより顕著に得られる。
また、導電性微粒子1aの平均粒子径は10〜200nmの範囲であることが好ましく、なお且つ、光散乱性微粒子1bの平均粒子径が100〜1000nmの範囲であることが好ましい。導電性微粒子1a及び光散乱性微粒子1bの平均粒子径が上記範囲内であれば、上述のような、基板モード、導波モード及び表面プラズモンの何れの光損失も抑制できるという効果がさらに顕著に得られる。
なお、本発明において説明する平均粒子径とは、平均の二次粒子径を指す。
光拡散反射性電極1に含まれるバインダーとしては、従来公知の有機バインダー、より詳しくは皮膜形成性ポリマー等を用いることができ、上述の導電性微粒子1aと、光散乱性微粒子1bを電極膜中に分散させ、バインダーによって保持する。このようなバインダーとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、シクロオレフィン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等、および、それらを用いた熱硬化性あるいは光硬化性樹脂、あるいは、ポリアセチレン、ポリチオフェン等の導電性樹脂が挙げられ、適宜選択して用いることができる。熱硬化性、あるいは光硬化性樹脂を用いて、膜を硬化させることにより、微粒子の拡散による単一粒子の凝集を抑制することが可能となる。また、導電性樹脂を用いることで、導電性微粒子同士が隣接していなくても、導電性を確保することが可能となる。
なお、光拡散反射性電極1のシート抵抗は、有機EL素子としての発光効率等を考慮すると、数百Ω/□以下であることが好ましい。
また、光拡散反射性電極1の膜厚は、上記混合材料にもよるが、シート抵抗等を勘案しながら、0.2〜50μm程度、好ましくは0.5〜50μm程度、より好ましくは1〜20μmの範囲とすることができる。
上記構成の光拡散反射性電極1を形成するにあたっては、図1に示すようなボトムエミッション型の場合、例えば、上記金属酸化物からなる光散乱性微粒子1bを、上記金属微粒子からなる導電性微粒子1aを分散させた電極材料を含むインクと混合し、発光層12上に塗布する方法を採用することができる。より詳しくは、例えば、上記材料からなる基板10上に、ITO等からなる透明電極11を形成し、その上に発光層12を含む各有機層を形成した後、さらにその上に、TiOを銀インクに混ぜ合わせたペーストを塗布する方法とすることができる。
さらに、本発明に係る有機EL素子は、図1(及び図2)に示すような構造に限定されるものではない。
例えば、本実施形態では、図1中に示す光拡散反射性電極1の上に、さらに、図示略の金属反射膜を備えた構成とすることもできる。このような金属反射膜を備えることにより、例え、光拡散反射性電極1を透過する光があったとしても、そのような光は、金属反射膜によって基板10方向に反射されるため、基板10側からの光取り出し効率が向上する。
また、本発明に係る有機EL素子においては、さらに、必要に応じて、透明電極11と発光層12との間に、該発光層12に正孔を注入・輸送するための、図示略の有機化合物からなる正孔注入層、及び正孔輸送層の一方、あるいは両方を設けても良い。正孔注入層、正孔輸送層には、従来公知の材料を用いることができ、例えば、特開2009−260308号公報に記載の材料(特に、段落0049に記載の正孔輸送性を有する材料)等を用いることができる。また、発光層12と拡散反射性電極1との間に、拡散反射性電極1から発光層12への電子の注入を促進するための、図示略の有機化合物からなる電子輸送層及び電荷注入層の一方、あるいは両方を設けても良い。電子輸送層及び電子注入層には、従来公知の材料を用いることができ、例えば、特開2009−260308号公報に記載の材料(特に、段落0054に記載の電子輸送性を有する材料)等を用いることができる。上述した正孔注入層及び正孔輸送層や電子輸送層及び電荷注入層を設けることにより、有機EL素子の駆動電圧を低減させたり、あるいは、発光輝度を向上させたりする効果が得られる。
また、上記構成の有機EL素子A、Bは、発光層12等を構成する有機化合物が水分や大気中の酸素によって劣化するのを防止するため、さらに、図示略の保護層、あるいは封止ガラスで封止して外部雰囲気から遮断して使用する。このような保護層としては、従来からこの分野で用いられている材料により、例えば、高周波スパッタリング法等を用いて形成することができる。
また、有機EL素子Aの各有機層の厚みは、特に制限されないが、一般に、膜厚が薄すぎるとピンホール等の欠陥が生じやすく、逆に、厚すぎると高い印加電圧が必要となり、発光効率が低下するため、通常は数nmから1μmの範囲とすることが好ましい。
<有機EL素子及び光拡散反射性電極の製造方法>
上述した、図1に示すような有機EL素子A、及び、これに用いられる光拡散反射性電極1を製造する方法としては、例えば、以下のような方法を採用することができる。
本実施形態では、上記説明において例示した材料及び方法により、基板10上に、透明電極11、発光層12、光拡散反射性電極1を順次形成することで有機EL素子Aを製造することができる。あるいは、基板10上において、上記の光拡散反射性電極1と同様の電極から、上記の透明電極11と同様の電極へと、上記と反対の順序で各層を形成することで、有機EL素子Bを製造することも可能である。
(基板上に透明電極を形成する工程)
本実施形態では、まず、上記の如く例示した透光性材料からなる支持基板である基板10上に、ITO等の透明陽極材料からなる薄膜を、膜厚1μm以下、より好ましくは10〜200nmの範囲になるように、蒸着やスパッタリング等の方法を用いて成膜することで、透明電極11を形成する。
(透明電極上に発光層を形成する工程)
次に、透明電極11上に発光層12を形成する。
発光層12の形成にあたっては、上述したような有機化合物材料又は有機金属錯体材料の少なくとも何れかを含む発光材料を用いて、例えば、真空蒸着法、スパッタリング、スピンコート法、キャスト法等の方法により、発光層材料を薄膜化することで形成できる。上記各方法の中でも、均質な膜が得られやすく、かつ、ピンホールが発生し難い等の観点から、真空蒸着法を用いることが好ましい。このように、真空蒸着法によって発光層12を形成する場合、その蒸着条件は使用する化合物(有機発光材料)や、目的とする発光層の結晶構造等を勘案しながら、適正な条件を選択することが好ましい。
なお、透明電極11上に発光層12を形成する前に、有機材料からなる図示略の正孔注入層、正孔輸送層の一方、あるいは両方を形成した後、この上に発光層12を形成する方法を採用することも可能である。
(発光層上に光拡散反射性電極を形成する工程)
そして、本実施形態では、発光層12の上に、光拡散反射性電極1を形成する。
この光拡散反射性電極1を形成する方法としては、例えば、金属酸化物からなる光散乱性微粒子1b中に、金属微粒子からなる導電性微粒子1aを分散させた電極材料を含むインクを、発光層12上に塗布する方法を採用することができる。
具体的には、まず、上記した金属酸化物からなる光散乱性微粒子1b、及び、金属微粒子からなる導電性微粒子1aを準備し、さらに、必要に応じて上記した材料からなるバインダーを準備して、これらを分散媒中に分散させることにより、光散乱性微粒子1b、及び導電性微粒子1aが分散されたインク(ペースト)を準備する。
この際に用いる分散媒としては、バインダーを溶解し、さらに、導電性微粒子1a、及び光散乱性微粒子1bを良好に分散し得るものを選択するのが好ましく、これらを用いることで、インクを、任意の濃度、粘度に調整することができる。例えば、分散媒として、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はフッ素アルコール類等)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール等)、ケトン類(アセトン、MEK、又はシクロヘキサノン等)、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等)、ハロゲン系溶剤(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、又はクロロベンゼン等)の有機溶媒を用いることができる。なお、ボトムエミッション方式の有機EL素子とする場合、上記の分散媒は、基板上の有機層を溶解しないものであることが好ましい。
また、微粒子の分散手段としては、例えば、従来公知の手段であるボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波分散方法等を何ら制限無く用いることができる。また、微粒子の分散にあたり、必要に応じて界面活性剤を用いても良い。
次いで、上記のインクを発光層12上に塗布(印刷)し、溶媒を揮発させ、乾燥させることにより、光拡散反射性電極1が形成される。
なお、本発明においては、光拡散反射性電極1の形成方法としては、上記のような塗布、印刷による湿式法に限定されるものではなく、蒸着法、スパッタリング法、あるいはガスデポジッション法等による乾式法を採用することも可能である。
本実施形態では、上記手順によって各層を積層することにより、支持基板である基板10上に、透明電極11、発光層12及び光拡散反射性電極1が順次形成されてなる有機EL素子Aを製造することができる。
なお、本発明に係る製造方法では、図1中に示す光拡散反射性電極1の上に、さらに、図示略の金属反射膜を形成する工程を備えた方法とすることもできる。
また、本発明に係る製造方法では、さらに、透明電極11を形成する工程と、発光層12を形成する工程との間に、図示略の有機化合物からなる正孔注入層、正孔輸送層の一方、あるいは両方を形成するための工程を設けることができる。またさらに、発光層12を形成する工程と、拡散反射性電極1を形成する工程との間に、図示略の有機化合物からなる電子輸送層、電荷注入層の一方、あるいは両方を形成する工程を設けることもできる。
上述のような、有機化合物からなる正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電荷注入層を形成する方法としては、発光層12と同様、有機化合物材料を用いて、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、スピンコート法、キャスト法等の方法を用いて薄膜化する方法を採用することができる。
また、本発明に係る製造方法では、さらに、光拡散反射性電極を形成する工程の後に、発光層12等を構成する有機化合物が水分や大気中の酸素によって劣化するのを防止するための、図示略の保護層、あるいは封止ガラスで封止する工程を設けても良い。このような保護層を形成する方法としては、従来公知の保護層材料を用いて、例えば、高周波スパッタリング法等を用いて形成する方法を採用することができる。
[第2の実施形態]
以下に、本発明の第2の実施形態である光拡散反射性電極1A、及び、それを備えてなる有機EL素子Bについて、図2を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、上述した第1の実施形態における光拡散反射性電極1及び有機EL素子Aと共通する構成については、同じ符号を付して説明するとともに、その詳細な説明を省略する。
本実施形態で説明する有機EL素子Bは、図2中に例示するように、基板10上に、光拡散反射性電極1A、発光層12、及び、透明電極11Aがこの順で積層されてなる。これにより、有機EL素子Bは、発光面が上面側とされたトップエミッション型として構成される。
本実施形態の有機EL素子Bは、基板10側に配置される一方の電極が光拡散反射性電極1Aからなる点において、図1に示す第1の実施形態の有機EL素子Aとは異なる。有機EL素子Bは、上記積層関係とされている点を除き、各層の材質や寸法等は、上述した第1の実施形態の有機EL素子Aと同様の構成とすることができる。
本実施形態では、基板10上における積層構造を、図1に示す有機EL素子Aとは反対の構造として、図2に示すような有機EL素子Bを製造する場合には、例えば、以下の方法を採用することができる。
まず、基板10上に陽極、あるいは陰極として光拡散反射性電極1Aを、上記同様の材料及び手順で形成する。
次いで、この光拡散反射性電極1Aの上に、上記同様の方法で発光層12を形成する。
次いで、この発光層12の上に、上記同様の材料を用いて、イオンプレーティング法により、陰極、あるいは陽極として透明電極11Aを形成する。
このような手順により、基板10上に、光拡散反射性電極1A、発光層12及び透明電極11Aが順次積層された構成とされ、図1に示す有機EL素子Aとは上下関係が反対の積層構造を有し、最上層の透明電極11A側が光取り出し側(トップエミッション方式)とされた有機EL素子Bを製造することができる。
この場合、上記の光拡散反射性電極1Aを形成する工程においては、基板10上に有機化合物からなる各層が形成されていない状態であることから、基板10上に電極材料を含むインクを塗布した後、高温で加熱して乾燥させることが可能である。
上記構造とされた本実施形態の有機EL素子Bにおいても、第1の実施形態の有機EL素子Aと同様、光拡散反射性電極1Aを備えることで、導電性微粒子1aによる電極としての導通性と、光散乱性微粒子1bの拡散反射性による光取り出し効率の両方を確保できるとともに、発光層12との界面における表面プラズモンの抑制効果が得られる。
[作用効果]
以上説明したように、本発明に係る光拡散反射性電極1、1Aによれば、上述のような、導電性微粒子1aと光散乱性微粒子1bとからなり、且つ、膜中に導電性微粒子1aを分散させた構成を採用している。これにより、まず、電極膜内で光を拡散反射させることで、基板モードや導波モードによる光損失を抑制でき、さらに、当該光拡散反射性電極1と発光層12との界面で表面プラズモンが生じるのを抑制できるので、プラズモン損失による光損失を低減することができる。従って、各種発光素子の光取り出し効率を向上させることが可能な光拡散反射性電極が実現できる。
また、本実施形態の有機EL素子A、Bによれば、上記本発明に係る光拡散反射性電極1、1Aが、一対の電極の内の少なくとも何れか一方、即ち、陽極又は陰極の少なくとも何れかに適用された構成を採用しているので、基板モード、導波モード及びプラズモン損失の何れの要因に対しても有効な光損失抑制効果が発揮される。従って、複数の技術要素を組み合わせることなく簡素な構成で、優れた光取り出し効率を有する有機EL素子A、Bを低コストで実現することが可能となる。
本発明によれば、基板側を光取り出し側としたボトムエミッション方式(図1参照)、最上層の透明電極側を光取り出し側としたトップエミッション方式(図2参照)に関わらず、基板モード、導波モード及びプラズモン損失の何れの損失も低減することができ、光取り出し効率を顕著に向上させることが可能となる。
また、本実施形態においては、光拡散反射性電極を適用した発光素子として、有機EL素子を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば、無機電界発光素子や電気化学発光素子等にも、本発明の光拡散反射性電極を適用することが可能である。
次に、実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお本発明は、本実施例によってその範囲が制限されるものではなく、本発明に係る光拡散反射性電極及び有機EL素子は、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
[有機EL素子の作成]
「実施例1(ボトムエミッション方式・単色)」
実施例1では、図1に示すような、基板10上に透明電極11、発光層12、光拡散反射性電極1がこの順で積層されてなる有機EL素子Aを作成した。具体的には、25mm角のガラス基板の一方の面に、陽極となる幅4mmの2本のITO電極(下部電極11)がストライプ状に形成されたITO(酸化インジウム錫:透明電極11)付き基板(ニッポ電機(株)製)を用いて有機EL素子Aを作製した。
まず、上記のITOからなる透明の透明電極11上に、化学式1で示したm−MTDATAを、真空蒸着法によって膜厚40nmで成膜し、図示略の正孔注入・輸送層を形成した。
次いで、この正孔注入・輸送層の上に、化学式2で示した発光性ドーパントPH−1と、化学式3で示したホスト化合物PyTMBとを、10:90の質量比となるように共蒸着し、20nmの膜厚の発光層12を成膜した。
次に、発光層12の上に、化学式4で示したAlqを、真空蒸着法によって20nmの膜厚で積層して成膜することにより、図示略の電子輸送層を形成した。次いで、この上に、BCPとCsとを、20:1の質量比となるように共蒸着し、膜厚20nmとされた図示略の電子注入層をさらに積層成膜した。
Figure 2014120405
Figure 2014120405
Figure 2014120405
Figure 2014120405
次に、銀ナノ粒子ペースト(平均粒径50nm:高導電銀ナノ粒子ペーストMDot(登録商標)三ツ星ベルト製;銀の含有率80〜90wt%)と酸化チタン微粒子(平均粒径250nm)とを混合した。銀ナノ粒子と酸化チタン微粒子の質量比は1:4であった。また、バインダーの含有率は10vol%以下であった。そして、このインク(ペースト)を、スクリーン印刷法を用いて上記の電荷注入層の上に印刷した。これにより、25mm角のガラス基板上に、膜厚が10μmとされ、且つ、ストライプ状に配列された幅3mm×2本の光拡散反射性電極を、陽極である透明電極11の延在方向に対して直交するように形成し、平面視で縦4mm×横3mmの有機EL素子Aを4個作製した。
そして、プログラマブル直流電圧/電流源((株)アドバンテスト社製:TR6143)を用いて、上記手順で作成した有機EL素子Aに電圧を印加して発光させ、その発光輝度を輝度計((株)トプコン社製:BM−8)を用いて測定した。
実施例1において得られた有機EL素子の外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を下記表1に示す。
Figure 2014120405
「比較例1(ボトムエミッション方式・単色)」
比較例1では、まず、実施例1と同様にして、ITO付きのガラス基板上に、正孔注入・輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層を成膜した。
次に、上記の電子注入層上に、膜厚が150nmの銀層を蒸着法で積層成膜することにより、ストライプ状に配列された幅3mm×2本の陰極を、陽極である透明電極11(ITO)の延在方向に対して直交するように形成し、平面視で縦4mm×横3mmの有機EL素子を4個作製した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「実施例2(ボトムエミッション方式・混色)」
実施例2では、まず、実施例1と同様にして、ITO付きのガラス基板上に、正孔注入・輸送層を成膜した。
次に、上記の正孔注入・輸送層の上に、化学式5に示した発光性ドーパントPH−2と、化学式6に示したホスト化合物BFA−1Tとを、10:90の質量比となるように共蒸着し、10nmの膜厚として成膜した。さらに、この上に、化学式2で示した発光性ドーパントPH−1と、化学式3で示したホスト化合物PyTMBとを10:90の質量比となるように共蒸着して、10nmの膜厚で成膜することにより、合計膜厚が20nmの発光層を積層成膜した。
Figure 2014120405
Figure 2014120405
次に、実施例1と同様の方法で、発光層の上に、電子輸送層、電子注入層及び光拡散反射性電極を成膜することにより、平面視で縦4mm×横3mmの有機EL素子を4個作製した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「比較例2(ボトムエミッション方式・混色)」
比較例2では、まず、実施例2と同様にして、ITO付きのガラス基板上に、正孔注入・輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層を成膜した。
次に、上記の電子注入層上に、膜厚が150nmの銀層を蒸着法で積層成膜することにより、ストライプ状に配列された幅3mm×2本の陰極を、陽極である透明電極(ITO)の延在方向に対して直交するように形成し、平面視で縦4mm×横3mmの有機EL素子を4個作製した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「実施例3(トップエミッション方式・単色)」
実施例3では、図2に示すような、基板10上に光拡散反射性電極1A、発光層12及び透明電極11Aがこの順で積層されてなる有機EL素子Bを作成した。
まず、実施例1と同様にして、銀ナノ粒子ペーストと酸化チタン微粒子(粒径250nm)とを1:4の質量比となるように混合し、このインク(ペースト)を、スクリーン印刷法を用いて、25mm角のガラス基板の一方の面の上に印刷した。これにより、ガラス基板上に、膜厚が10μmとされ、且つ、ストライプ状に配列された幅4mm×2本の光拡散反射性電極を、陰極として形成した。
次に、実施例1と同様にして、上記の光拡散反射性電極の上に、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔注入・輸送層を順次積層して成膜した。
次に、上記の正孔注入・輸送層の上に、膜厚が150nmのITO層を、イオンプレーティング法を用いて積層成膜することにより、ストライプ状に配列された幅3mm×2本の陽極である透明電極を、陰極である光拡散反射性電極の延在方向に対して直交するように形成し、平面視で縦4mm×横3mmの有機EL素子Bを4個作製した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「比較例3(トップエミッション方式・単色)」
比較例3では、まず、ガラス基板上に銀層を蒸着法によって成膜し、膜厚150nmで幅4mm×2本のストライプ状の陰極を形成した。
そして、その上の層については、実施例3と同様にして、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔注入・輸送層、透明電極を順次積層して成膜した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「実施例4(トップエミッション方式・混色)」
実施例4では、図2に示すような、基板10上に光拡散反射性電極1A、発光層12及び透明電極11Aがこの順で積層されてなる有機EL素子Bを作成した。
まず、実施例3と同様の方法で、基板10上に光拡散反射性電極1A、電子注入層、電子輸送層を順次成膜した。
次に、化学式2で示した発光性ドーパントPH−1と、化学式3で示したホスト化合物PyTMBとを、10:90の質量比となるように共蒸着し、10nmの膜厚とした。さらに、化学式5で示した発光性ドーパントPH−2と化学式6で示したホスト化合物BFA−1Tとを、10:90の質量比となるように共蒸着し、10nmの膜厚で成膜することにより、合計膜厚が20nmの発光層を積層成膜した。
次に、この上に、実施例3と同様の方法で、正孔注入・輸送層、透明電極を順次積層した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「比較例4(ボトムエミッション方式・銀ペースト)」
比較例4では、まず、実施例1と同様にして、ITO付きのガラス基板上に、正孔注入・輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を順次成膜した。
次に、上記の電子注入層の上に、膜厚が10μmの銀ナノ粒子のペースト(実施例1と同様のもの)を、スクリーン印刷法を用いて印刷することにより、25mm角のガラス基板にストライプ状に配列された幅3mm×2本の陰極を、陽極である透明電極(ITO)の延在方向に対して直交するように形成し、平面視で縦4mm×横3mmの有機EL素子を4個作製した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「比較例5(トップエミッション方式・銀ペースト)」
比較例5では、まず、ガラス基板上に、スクリーン印刷法を用いて銀ナノ粒子のペースト(実施例1と同様のもの)を印刷することで、膜厚150nmで幅4mm×2本のストライプ状の陰極を形成した。
次に、その上の層については、実施例3と同様にして、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔注入・輸送層、透明電極を順次積層して成膜した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「実施例5(ボトムエミッション方式・乾式成膜)」
実施例5では、まず、実施例1と同様にして、ITO付きのガラス基板上に、正孔注入・輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を成膜した。
次に、上記の正孔注入・輸送層の上に、ガスデポジッション成膜法を用いて、銀ナノ粒子と酸化チタン粒子とを質量比で1:4となるように共成膜することにより、ストライプ状に配列された幅3mm×2本の光拡散反射性電極を、陽極である透明電極(ITO)の延在方向に対して直交するように形成し、平面視で縦4mm×横3mmの有機EL素子を4個作製した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「実施例6(トップエミッション方式・乾式成膜)」
実施例6では、まず、ガラス基板上に、実施例5と同様の方法で陰極を形成した。
次に、この上に、実施例3と同様の方法で、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔注入・輸送層、陽極である透明電極を順次積層して成膜した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「実施例7(ボトムエミッション方式・単色)」
実施例7では、実施例1と同様にして、銀ナノ粒子ペースト(平均粒径50nm)と酸化チタン微粒子(平均粒径250nm)とを1:1の質量比となるように混合した以外は、実施例1と同様の方法で、図1に示すような、基板10上に透明電極11、発光層12、光拡散反射性電極1がこの順で積層されてなる有機EL素子Aを作成した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「実施例8(ボトムエミッション方式・単色)」
実施例8では、実施例1と同様にして、銀ナノ粒子ペースト(平均粒径50nm)と酸化チタン微粒子(平均粒径250nm)とを3:2の質量比となるように混合した以外は、実施例1と同様の方法で、図1に示すような、基板上に透明電極、発光層、光拡散反射性電極がこの順で積層されてなる有機EL素子を作成した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「実施例9(ボトムエミッション方式・単色)」
実施例9では、実施例1と同様にして、銀ナノ粒子ペースト(平均粒径50nm)と酸化チタン微粒子(平均粒径250nm)とを1:5の質量比となるように混合した以外は、実施例1と同様の方法で、図1に示すような、基板上に透明電極、発光層、光拡散反射性電極がこの順で積層されてなる有機EL素子を作成した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「実施例10(ボトムエミッション方式・単色)」
実施例10では、実施例1と同様にして、銀ナノ粒子ペースト(平均粒径50nm)と酸化チタン微粒子(平均粒径250nm)、及びバインダーとしてエポキシ樹脂((株)ダイセル社製)とを1:5:4の質量比となるように混合した以外は、実施例1と同様の方法で、図1に示すような、基板10上に透明電極11、発光層12、光拡散反射性電極1がこの順で積層されてなる有機EL素子Aを作成した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「実施例11(ボトムエミッション方式・単色)」
実施例11では、実施例1と同様にして、酸化チタン微粒子(平均粒径250nm)の代わりに、酸化チタン微粒子(平均粒径1000nm)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、図1に示すような、基板10上に透明電極11、発光層12、光拡散反射性電極1がこの順で積層されてなる有機EL素子Aを作成した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「実施例12(ボトムエミッション方式・単色)」
実施例12では、酸化チタン微粒子(平均粒径250nm)の代わりに、酸化チタン微粒子(平均粒径2000nm)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、図1に示すような、基板上に透明電極、発光層、光拡散反射性電極がこの順で積層されてなる有機EL素子を作成した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「実施例13(ボトムエミッション方式・単色)」
実施例13では、酸化チタン微粒子(平均粒径250nm)の代わりに、酸化チタン微粒子(平均粒径100nm)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、図1に示すような、基板10上に透明電極11、発光層12、光拡散反射性電極1がこの順で積層されてなる有機EL素子Aを作成した。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
「実施例14(ボトムエミッション方式・単色)」
実施例14では、銀ナノ粒子ペースト(平均粒径50nm)の代わりに、バインダーとして用いたClevios(登録商標:PEDOT;PSS(ポリチオフェン系導電性ポリマー):ヘレウス(株)製)に、銀ナノ粒子(平均粒径200nm:(株)新光化学工業所製)を混合して用いた以外は、実施例1と同様の方法で、図1に示すような、基板10上に透明電極11、発光層12、光拡散反射性電極1がこの順で積層されてなる有機EL素子Aを作成した。この際、銀ナノ粒子と酸化チタン微粒子の質量比は1:1であった。また、電極中におけるバインダーの含有率は、10vol%以下であった。
そして、実施例1と同様の方法で外部量子効率、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧を測定し、結果を表1に示した。
[評価結果]
表1に示すように、光取り出し側に透明電極を設けるとともに、発光層を介して光取り出し側とは反対側に、本発明に係る光拡散反射性電極を設けた実施例1〜14の有機EL素子は、外部量子効率が20.1〜28.7%と、比較例1〜5に比べて発光効率に優れており、また、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧が6.5〜9.7(V)と、上記の外部量子効率を勘案した数値として共用範囲内であることが明らかとなった。これは、本発明に係る構成の光拡散反射性電極を設けることで、基板モード、導波モード及びプラズモン損失の何れの損失も低減することができることから、光取り出し効率が顕著に向上しているためと考えられる。
ここで、各実施例の内、実施例8においては、銀ナノ粒子ペーストの酸化チタン微粒子に対する質量比が、本発明の請求項3で規定する範囲を若干超えているが、外部量子効率は20.1%と、後述の比較例1〜5に比べて発光効率に優れており、また、駆動電圧も6.5(V)と非常に低いものとなっている。
また、実施例9においては、酸化チタン微粒子の銀ナノ粒子ペーストに対する質量比が、本発明の請求項3で規定する範囲を若干超えているため、駆動電圧が9.7(V)と少々高くなっているものの、量子効率は25.5%と、非常に優れたものとなっている。
また、実施例10は、バインダーを配合した例であり、駆動電圧が8.3(V)と少々高くなっているものの、量子効率は24.4%と、非常に優れたものとなっている。
また、実施例12においては、酸化チタン微粒子の平均粒子径が、本発明の請求項6で規定する上限を超えているものの、外部量子効率は21.6%と、後述の比較例1〜5に比べて発光効率に優れており、また、駆動電圧も7.1(V)と低いものとなっている。
一方、発光層を介した反対側に光拡散反射性電極を設けなかった、従来の構成の比較例1〜5の有機EL素子は、電流密度1mA/cmにおける駆動電圧は低めであるものの、外部量子効率が12.3〜14.9%と、実施例1〜6に較べて極端に劣る結果となった。これは、光取り出し側の反対側に光拡散反射性電極を設けず、従来の構成の電極を設けたことから、基板モード、導波モード及びプラズモン損失の内の、少なくとも何れの損失が顕著に大きくなったためと考えられる。
以上説明したような実施例の結果により、一対の電極の内の何れか一方に、導電性微粒子と光散乱性微粒子とを含み、膜中に前記導電性微粒子が分散されてなる光拡散反射性電極を適用することにより、基板モード、導波モード及びプラズモン損失が抑制され、光取り出し効率が顕著に向上し、発光効率が高められることが明らかである。
本発明に係る光拡散反射性電極は、発光素子における基板モード、導波モード及びプラズモン損失を抑制する効果に優れ、また、この光拡散反射性電極を適用した本発明に係る有機EL素子は、発光特性や寿命特性に優れていることから、例えば、テレビジョンやコンピュータ用モニター、民生用TV、大型表示ディスプレイ、携帯電話や各種携帯端末等に用いられる各種表示装置及び液晶用バックライトの他、車載照明、室内照明等の各種照明装置に好適である。
1、1A…光拡散反射性電極
A、B… 有機EL素子、
10…基板、
11、11A…透明電極、
12…発光層、

Claims (13)

  1. 導電性微粒子と光散乱性微粒子とを含む電極であって、前記電極中に前記導電性微粒子が分散されてなることを特徴とする光拡散反射性電極。
  2. さらに、バインダーを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の光拡散反射性電極。
  3. 前記導電性微粒子と、前記光散乱性微粒子との比率が、質量比で、2:1〜1:6の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の光拡散反射性電極。
  4. 前記導電性微粒子と、前記光散乱性微粒子との比率が、質量比で、2:1〜1:6の範囲であり、かつ、当該光拡散反射性電極において前記バインダーが占める割合が、体積比で60%以下であることを特徴とする請求項2に記載の光拡散反射性電極。
  5. 膜厚が0.2〜50μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の光拡散反射性電極。
  6. 前記導電性微粒子の平均粒子径が10〜200nmの範囲であり、且つ、前記光散乱性微粒子の平均粒子径が100〜1000nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の光拡散反射性電極。
  7. 前記導電性微粒子が金属微粒子であることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の光拡散反射性電極。
  8. 前記金属微粒子が、Ag、Al、Au、Cu、Ti、Pt、Ni、Zn、Fe、Na、Liの内の少なくとも1種であることを特徴とする請求項7に記載の光拡散反射性電極。
  9. 前記光散乱性微粒子が金属酸化物であることを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の光拡散反射性電極。
  10. 前記金属酸化物が、酸化チタン(TiO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化タングステン(WO)、硫酸バリウム(BaSO)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、GZO(酸化ガリウム亜鉛)、NESA(酸化錫)、AZO(酸化アルミニウム亜鉛)の内の少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載の光拡散反射性電極。
  11. 基板上に、少なくとも、一対の電極と、該一対の電極の間に配置される発光層とを備える有機EL素子であって、
    前記一対の電極の内の少なくとも何れか一方が、請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の光拡散反射性電極からなることを特徴とする有機EL素子。
  12. 前記一対の電極の内、前記基板側に配置される一方の電極が、請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の光拡散反射性電極からなることを特徴とする請求項11に記載の有機EL素子。
  13. 前記一対の電極の内、前記基板とは前記発光層を介して反対側に配置される他方の電極が、請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の光拡散反射性電極からなることを特徴とする請求項11に記載の有機EL素子。
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