JP2014120204A - 非水二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 負荷特性の良好な非水二次電池を提供する。
【解決手段】 正極、負極、セパレータおよび非水電解質を備えた非水二次電池であって、前記正極は、正極活物質、導電助剤、導電性ポリマー、バインダ、および正極活物質以外の、2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物を含有する正極合剤層を有しており、前記2価の金属元素の単体または前記2価の金属元素を含む化合物に含まれる2価の金属元素の、前記正極合剤層における含有量が、0.00001〜1質量%であり、前記正極合剤層は、チオフェンまたはその誘導体のポリマーを前記導電性ポリマーとして含有していることを特徴とする非水二次電池により、前記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、負荷特性が良好な非水二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池に代表される非水二次電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、携帯電話やノート型パーソナルコンピューターなどの携帯機器の電源として広く用いられている。携帯機器の高性能化に伴って非水二次電池の高容量化が更に進む傾向にあり、エネルギー密度を更に向上させるための研究・開発が進められている。
また、最近では非水二次電池の高性能化に伴い、非水二次電池が携帯機器の電源以外の電源としても用いられ始めている。例えば、自動車用やバイク用の電源、ロボットなどの移動体用の電源などに非水二次電池が用いられるようになってきたが、こうした電源用途に使用する非水二次電池においては、更なる高容量化が求められる。
非水二次電池の高容量化を図る対策の一つとして、電極合剤層を厚くする方法がある。しかし、電極合剤層を厚くすると、高出力充放電時の容量低下を招く場合がある。これは、電極合剤層が厚くなるにつれて、集電体との距離が大きくなる活物質が増加するため、電極内の導電性が低下することが原因の一つであると考えられる。
非水二次電池の高出力特性、すなわち負荷特性を高める方法として、例えば、特許文献1には、導電性ポリマーであるポリチオフェンを正極合剤層に含有させる方法が提案されている。
特開2010−257954号公報
特許文献1に記載の技術は、非水二次電池の負荷特性向上に一定の効果を奏し得るものではあるが、非水二次電池に求められる負荷特性は、今後ますます高度となることが予想され、このような点において、特許文献1に記載の技術も未だ改善の余地がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、負荷特性の良好な非水二次電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の非水二次電池は、正極、負極、セパレータおよび非水電解質を備えており、前記正極は、正極活物質、導電助剤、導電性ポリマー、バインダ、および正極活物質以外の、2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物を含有する正極合剤層を有しており、前記2価の金属元素の単体または前記2価の金属元素を含む化合物に含まれる2価の金属元素の、前記正極合剤層における含有量が、0.00001〜1質量%であり、前記正極合剤層は、チオフェンまたはその誘導体のポリマーを前記導電性ポリマーとして含有していることを特徴とするものである。
本発明によれば、負荷特性の良好な非水二次電池を提供することができる。
本発明の非水二次電池の一例を模式的に表す平面図である。 図1の非水二次電池のA−A線断面図である。
本発明の非水二次電池は、正極、負極、セパレータおよび非水電解質を備えている。また、前記正極は、正極活物質、導電助剤、導電性ポリマー、バインダ、および正極活物質以外の、2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物を含有する正極合剤層を有している。
本発明の非水二次電池は、導電性ポリマーを含有する正極合剤層を有する正極を備えているため、正極合剤層の導電性が高く、正極合剤層を厚くしても導電性が低下しない。しかも、本発明の非水二次電池は、正極活物質以外の、2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物(以下、単に「2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物」という)を、導電性ポリマーと共に正極合剤層が含有しているために、正極合剤層を厚くしても非水二次電池の負荷特性が良好となる。
以下、本発明の非水二次電池の構成を詳細に説明する。
〔正極〕
本発明の非水二次電池に係る正極には、正極活物質、導電助剤、導電性ポリマー、バインダ、および2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物などを含有する正極合剤層を、例えば、集電体の片面または両面に有する構造のものが使用できる。
<導電性ポリマー>
正極に使用する導電性ポリマーは、チオフェンまたはその誘導体のポリマーである。チオフェンまたはその誘導体のポリマーは、電子伝導性とリチウムイオン伝導性とを兼ね備えている。そのため、チオフェンまたはその誘導体のポリマーを正極合剤層に含有させることによって、正極合剤層の導電性が向上する。
チオフェンまたはその誘導体のポリマーとしては、例えば、チオフェンのポリマーであるポリチオフェンの他、チオフェン環の3位にエーテル基を有するチオフェン誘導体のポリマー(チオフェン環の3位にエーテル基を有するチオフェン誘導体を重合した重合体)などが挙げられ、これらのうちの1種のみを使用してもよく、複数種を併用してもよい。
前記例示のチオフェンまたはその誘導体のポリマーの中でも、チオフェン環の3位にエーテル基(−O−)を有するチオフェン誘導体のポリマーが好ましい。チオフェン環の3位にエーテル基を有するチオフェン誘導体を重合して得られるポリマーの場合、前記基の作用によって、ポリチオフェンに比べてリチウムイオン伝導性が向上する。そのため、このポリマーを正極合剤層に含有させることで、正極合剤層の内部抵抗と電気抵抗とを大幅に低減できることから、非水二次電池の出力特性および高速充放電時のサイクル特性とを高めることができる。
チオフェン環の3位にエーテル基を有するチオフェン誘導体のポリマーとしては、下記一般式(1)で表されるチオフェン骨格の繰り返し単位(α)を有するチオフェン誘導体のポリマー、または下記一般式(2)で表されるチオフェン骨格の繰り返し単位(β)を有するチオフェン誘導体のポリマーがより好ましい。
Figure 2014120204
前記一般式(1)中、RおよびRはメチレン基(メチレン)を表す。また、前記一般式(1)中、Rはメチル基を表し、そのメチル基の有する水素の一部または全部は、フッ素で置換されていてもよい。更に、前記一般式(1)中、n1は1〜10000の整数を、n2は0〜3の整数をそれぞれ表している。
Figure 2014120204
前記一般式(2)中、RおよびRはメチレン基(メチレン)を表す。また、前記一般式(2)中、R、RおよびRはメチル基を表し、それらのメチル基の有する水素の一部または全部は、フッ素で置換されていてもよい。更に、前記一般式(2)中、n3は1〜10000の整数を、n4は0〜3の整数をそれぞれ表している。
前記一般式(1)で表されるチオフェン骨格の繰り返し単位(α)を有するチオフェン誘導体のポリマーと、前記一般式(2)で表されるチオフェン骨格の繰り返し単位(β)を有するチオフェン誘導体のポリマーとでは、後者の方が、置換基の立体障害が緩和され、より高い導電性を確保し得ることから、より好ましい。
本発明に係るチオフェンまたはその誘導体のポリマーは、チオフェンやチオフェン誘導体を、アニオン重合や酸化重合などの公知の方法で重合することによって得ることができる。
チオフェンまたはその誘導体のポリマーの正極合剤層における含有量は、その使用による正極合剤層の導電性向上効果を良好に確保する観点から、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。ただし、チオフェンまたはその誘導体のポリマーの正極合剤層中の量を多くしても、効果が飽和し、また、他の成分の正極合剤層中の量が少なくなって、それらの成分による効果が小さくなる虞がある。よって、チオフェンまたはその誘導体のポリマーの正極合剤層における含有量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以下であることがより好ましい。
<2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物>
正極に係る2価の金属元素の単体(金属単体)または2価の金属元素を含む化合物は、非水二次電池の負荷特性向上に寄与する成分である。
2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物を正極合剤層が含有している場合には、これらによって導電性ポリマーの主鎖での電子移動が促進される。特に、導電性ポリマーとして、チオフェン環の3位にエーテル基を有するチオフェン誘導体のポリマーを使用した場合には、その側鎖(エーテル基を含む基)の非共有電子対に、前記単体または前記化合物における2価の金属元素が配位して、側鎖での共鳴作用を制限するため、導電性ポリマーの主鎖での電子移動がより促進される。本発明の非水二次電池では、2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物の前記作用によって、高出力時により大きな充放電容量を引き出すことが可能となるため、優れた負荷特性を確保することができる。
2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物に係る2価の金属元素の具体例としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Raといったアルカリ土類金属元素;Zn、Cu、Ni、Co、Mn、Feなどの2価の遷移金属元素;が挙げられる。2価の金属元素を含む化合物としては、前記例示の金属元素の酸化物、窒化物、水酸化物、塩化物、硫化物などが挙げられる。
後述するように、正極は、正極活物質などの正極合剤層を構成する材料と溶媒とを含む正極合剤層形成用組成物を集電体に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成する工程を経て製造することができるが、2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物は、それ自体を、正極合剤層形成用組成物に添加することで、正極合剤層に含有させることができる。
2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物に含まれる2価の金属元素の、正極合剤層における含有量(正極合剤層が、2価の金属元素の単体と2価の金属元素を含む化合物との両方を含有している場合には、これらにおける2価の金属元素の合計量。以下同じ)は、これらによる前記の効果を良好に確保する観点から、0.00001質量%以上であり、0.0001質量%以上であることが好ましい。
ただし、2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物は、正極活物質としての作用を有しないものであることから、正極合剤層中の量が多すぎると、例えば、電池容量が小さくなる虞がある。よって、2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物に含まれる2価の金属元素の、正極合剤層における含有量は、1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
なお、2価の金属元素を含む化合物を、チオフェンまたはその誘導体の重合時の副生成物の形で、チオフェンまたはその誘導体のポリマーと共に正極合剤層に含有させる場合には、正極合剤層における2価の金属元素の含有量は、チオフェンまたはその誘導体のポリマー中の2価の金属元素の量を、誘導結合プラズマ(ICP)分析法で予め測定しておき、その値と、正極合剤層の形成に使用したチオフェンまたはその誘導体のポリマーの量とから、算出することができる。
また、正極合剤層には、2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物とともに、リン含有化合物を含有させてもよい。リン含有化合物を含有する正極合剤層を有する正極を用いることで、非水二次電池の負荷特性がより改善される傾向にある。なお、リン含有化合物は、正極活物質として機能し得るものであってもよい。
リン含有化合物の具体例としては、例えば、リン酸リチウム、リン酸鉄などのリン酸塩;ヘキサフルオロリン酸リチウムなどのヘキサフルオロリン酸塩;リン化鉄などの金属リン化物:酸化リン;などが挙げられる。
正極合剤層におけるリン含有化合物の含有量は、リン含有化合物の使用による前記の効果を良好に確保する観点から、リン元素(P)の量で、0.00001質量%以上であることが好ましく、0.0001質量%以上であることがより好ましい。ただし、リン含有化合物は、正極活物質としての作用を有しないものであることから、正極合剤層中の量が多すぎると、例えば、電池容量が小さくなる虞がある。よって、正極合剤層におけるリン含有化合物の含有量は、リン元素(P)の量で、1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
<正極活物質>
正極に係る正極活物質としては、例えば、LiCoOなどのリチウムコバルト酸化物;LiMnO、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;LiNiOなどのリチウムニッケル酸化物;LiMn、Li4/3Ti5/3などのスピネル構造のリチウム含有複合酸化物;LiFePOなどのオリビン構造のリチウム含有複合酸化物;前記の酸化物を基本組成とし各種元素で置換した酸化物;などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの正極活物質の中でも、構成元素としてニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびマンガン(Mn)を含有する層状構造のリチウム含有複合酸化物が好ましい。前記リチウム含有複合酸化物において、NiおよびCoは電池の容量向上に寄与し、Mnはリチウム含有複合酸化物の熱安定性の向上に寄与する。
また、正極活物質として使用するリチウム含有複合酸化物には、例えば、高電位安定性といった正極活物質における他の特性も鑑み、下記一般組成式(3)で表されるものを使用することが特に好ましい。
Li1+yMO (3)
前記一般組成式(3)において、−0.15≦y≦0.15であり、Mは、Ni、CoおよびMnを含む3種以上の元素群を表し、Mを構成する各元素中で、Ni、CoおよびMnの割合(mol%)を、それぞれa、bおよびcとしたときに、25≦a≦90、5≦b≦35、および5≦c≦35である。
前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(3)における元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Niの割合aは、リチウム含有複合酸化物の容量向上を図る観点から、25mol%以上であることが好ましく、50mol%以上であることがより好ましい。ただし、元素群M中のNiの割合が多すぎると、例えば、CoやMnの量が減って、これらによる効果が小さくなる虞がある。よって、前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(3)における元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Niの割合aは、90mol%以下であることが好ましく、70mol%以下であることがより好ましい。
また、Coはリチウム含有複合酸化物の容量に寄与し、正極合剤層における充填密度向上にも作用する一方で、多すぎるとコスト増大や安全性低下を引き起こす虞もある。よって、前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(3)における元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Coの割合bは、5mol%以上35mol%以下であることが好ましい。
また、前記リチウム含有複合酸化物においては、前記一般組成式(3)における元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Mnの割合cを、5mol%以上35mol%以下であることが好ましい。前記リチウム含有複合酸化物に前記のような量でMnを含有させ、結晶格子中に必ずMnを存在させることによって、前記リチウム含有複合酸化物の熱的安定性を高めることができ、より安全性の高い電池を構成することが可能となる。
更に、前記リチウム含有複合酸化物において、前記元素群MにMnとCoとを含むことで、電池の充放電でのLiのドープおよび脱ドープに伴うMnの価数変動を抑制し、Mnの平均価数を4価近傍の値に安定させ、充放電の可逆性をより高めることができる。よって、このようなリチウム含有複合酸化物を使用することで、より充放電サイクル特性に優れた電池を構成することが可能となる。
前記リチウム含有複合酸化物において、CoとMnとを併用することによる前記の効果を良好に確保する観点から、前記一般組成式(3)における元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Coの割合bとMnの割合cとの和b+cは、10mol%以上であることが好ましく、また、70mol%以下であることが好ましく、50mol%以下とすることがより好ましい。
前記リチウム含有複合酸化物を表す前記一般組成式(3)における元素群Mは、Ni、CoおよびMn以外の元素を含んでいてもよく、例えば、Mg、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Al、Ge、Sn、Ag、Ta、Nb、Mo、B、P、Zr、Ga、Ba、Sr、Ca、Si、WおよびSなどの元素を含んでいても構わない。ただし、前記リチウム含有複合酸化物を、前記一般組成式(3)で表される組成のものとすることによる効果を十分に得るためには、元素群Mの全元素数を100mol%としたとき、Ni、CoおよびMn以外の元素の元素数の割合は、2.0mol%以下であることが好ましく、1.0mol%以下であることがより好ましい。元素群MにおけるNi、CoおよびMn以外の元素は、リチウム含有複合酸化物中に均一に分布していてもよく、また、粒子表面などに偏析していてもよい。
前記正極活物質は、一次粒子が集合して形成される二次粒子からなり、前記二次粒子の平均粒子径が6μm以下であることが好ましく、また、X線回折図形における(003)面および(104)面での回折線の積分強度をそれぞれI003およびI104としたとき、その積分強度比I003/I104が1.1以上であることが好ましい。これにより、負荷特性および充放電サイクル特性に更に優れた非水二次電池を提供できる。積分強度比I003/I104が大きいほど正極活物質の結晶性が高いことを意味し、その上限値は1.3程度である。
また、前記正極活物質の積分強度比I003/I104を前記範囲に設定することで、実質的には、前記正極合剤層のX線回折図形における(003)面および(104)面での回折線の積分強度をそれぞれI003およびI104としたときの積分強度比I003/I104を1.1以上に設定できる。
前記正極活物質は、一次粒子が集合して形成される二次粒子からなり、二次粒子の平均粒子径は、前述の通り6μm以下であることが好ましい。これにより正極活物質の比表面積が増大して、特に非水二次電池の負荷特性が向上する。前記二次粒子の平均粒子径の下限値は特に限定されず、通常は1μm程度である。
ところで、このような小粒子の正極活物質を用いると、正極活物質間の隙間が小さくなり、かつ相対的に導電助剤が大きくなるため、導電助剤だけでは導電ネットワークを形成することが困難となり、高出力時の容量低下が抑えられない場合がある。そこで、前述の導電性ポリマーと、2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物とを用いることで、小粒子の正極活物質の小さな隙間に導電性ポリマーや前記単体または前記化合物が入り込むことが可能となり、良好な導電ネットワークを形成することができることから、高出力時の容量低下を抑える効果が顕著になる。
本明細書でいう平均粒子径は、体積基準の積算分率50%における粒子直径の値であるD50を意味している。粒子直径の測定方法としては、例えば、レーザー回折・散乱法などを用いることができる。具体的には、水などの液相に分散させた測定対象物質にレーザー光を照射することによって検出される散乱強度分布を利用した粒子径分布の測定方法である。レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定装置としては、例えば、日機装社製の「マイクロトラックHRA」などを用いることができる。
次に、前記リチウム含有複合酸化物の製造方法について説明する。前記リチウム含有複合酸化物は、Li含有化合物、Ni含有化合物、Co含有化合物およびMn含有化合物などを単純に混合して焼成するだけでは、高い純度で得ることが非常に困難である。これは、Ni、Co、Mnなどは、固体中での拡散速度が遅いため、リチウム含有複合酸化物の合成反応時に、これらを均一に拡散させることが困難であり、生成したリチウム含有複合酸化物中にNi、Co、Mnなどが均一に分布し難いことが原因であると考えられる。
本発明に係るリチウム含有複合酸化物を製造する際には、例えば、Ni、Co、Mnなどを構成元素として含有する複合化合物と、Li含有化合物とを焼成する方法を採用することが好ましく、このような方法によって、前記リチウム含有複合酸化物を、高い純度で比較的容易に合成できる。すなわち、あらかじめ、Ni、Co、Mnなどを含有する複合化合物を製造しておき、これをLi含有化合物と共に焼成することにより、酸化物形成反応において、Ni、Co、Mnなどが均一に分布し、リチウム含有複合酸化物がより高純度で合成される。
本発明に係るリチウム含有複合酸化物の製造方法は、前記方法に限定されるものではないが、どのような製造過程を経るかによって、生成するリチウム含有複合酸化物の物性、すなわち、構造の安定性や充放電の可逆性、真密度などが大きく変化するものと推測される。
ここで、Ni、Co、Mnなどを含有する複合化合物としては、例えば、Ni、CoおよびMnを含む共沈化合物、水熱合成された化合物、メカニカル合成された化合物、並びにそれらを熱処理して得られる化合物などが挙げられる。
前記共沈化合物は、例えば、Ni、Co、Mnなどの構成元素の硫酸塩、硝酸塩などを所定の割合で溶解させた水溶液を水酸化アルカリ水溶液に添加して反応させることにより、これら構成元素の共沈水酸化物として得ることができる。
前記水酸化アルカリ水溶液の代わりに、水酸化アルカリによってpHをおよそ10〜13の範囲に調整したアンモニア水を用いてもよい。すなわち、アンモニア水の温度をおよそ40〜60℃の範囲で一定に保ち、アンモニア水のpHが前記範囲で一定に保たれるようアルカリ水溶液を添加しながら、前記アンモニア水に前記硫酸塩、硝酸塩などを溶解させた水溶液を徐々に添加して共沈化合物を析出させる。
前記元素群Mの一部に、Ni、CoおよびMn以外の元素、例えば、Mg、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Al、Ge、Sn、Ag、Ta、Nb、Mo、B、P、Zr、Ga、Ba、Sr、Ca、Si、WおよびSよりなる群から選択される少なくとも1種の元素(以下、これらを纏めて「元素M’」という。)を含有する前記リチウム含有複合酸化物を製造する場合には、例えばNi、CoおよびMnを含有する複合化合物と、Li含有化合物と、元素M’含有化合物とを混合して焼成することにより製造できるが、可能であれば、例えばNi、CoおよびMnと、更に元素M’も含有する複合化合物を用いることが好ましい。また、前記複合化合物におけるNi、Co、MnおよびM’の量比は、目的とするリチウム含有複合酸化物の組成に応じて適宜調整すればよい。
前記リチウム含有複合酸化物の製造に用い得るLi含有化合物としては、種々のリチウム塩を用いることができ、例えば、水酸化リチウム・一水和物、硝酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、クエン酸リチウム、フッ化リチウム、ヨウ化リチウム、乳酸リチウム、シュウ酸リチウム、リン酸リチウム、ピルビン酸リチウム、硫酸リチウム、酸化リチウムなどが挙げられ、それらの中でも、炭酸ガス、窒素酸化物、硫黄酸化物などの環境に悪影響を及ぼすガスが発生しない点で、水酸化リチウム・一水和物が好ましい。
具体的な前記リチウム含有複合酸化物の製造手順を説明すると、例えば、まず、Ni、CoおよびMnを含有する複合化合物と、Li含有化合物と、必要に応じて使用される元素M’含有化合物とを、目的とするリチウム含有複合酸化物の組成にほぼ応じた比率で混合する。そして、得られた原料混合物を、例えば、600〜1000℃で1〜24時間焼成することで、前記リチウム含有複合酸化物を得ることができる。
また、前記原料混合物の焼成時の雰囲気は、酸素ガス雰囲気とすることが好ましい。これにより、製造されるリチウム含有複合酸化物に含まれる不純物の量を低減でき、結晶性が向上し、前述の積分強度比I003/I104を1.1以上にすることができる。
<バインダ>
前記正極に用いるバインダとしては、電池内で化学的に安定なものであれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用できる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、または、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体およびそれら共重合体のNaイオン架橋体などの1種または2種以上を使用できる。
正極合剤層におけるバインダの含有量は、5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましい。正極合剤層中のバインダ量が多すぎると、正極合剤層と集電体との密着性が高くなりすぎ、この正極を用いて巻回電極体(詳しくは後述する)を構成すると、その内周側において、正極合剤層に亀裂などの欠陥が生じやすくなる。
また、正極の容量向上の観点からは、正極合剤層中のバインダ量を減らして、正極活物質の含有量を高めることが好ましいが、正極合剤層中のバインダ量が少なすぎると、正極合剤層の柔軟性が低下し、この正極を用いて巻回電極体を構成すると、その形状(特に外周側の形状)が悪化し、正極の生産性、更にはこれを用いた電池の生産性が損なわれる虞がある。よって、正極合剤層におけるバインダの含有量は、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。
<導電助剤>
正極に用いる導電助剤としては、電池内で化学的に安定なものであればよい。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛などのグラファイト;アセチレンブラック、ケッチェンブラック(商品名)、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維;アルミニウム粉などの金属粉末;フッ化炭素;酸化亜鉛;チタン酸カリウムなどからなる導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、導電性の高いグラファイトと、吸液性に優れたカーボンブラックが好ましい。また、導電助剤の形態としては、一次粒子に限定されず、二次凝集体や、チェーンストラクチャーなどの集合体の形態のものも用いることができる。このような集合体の方が、取り扱いが容易であり、生産性が良好となる。
正極合剤層における導電助剤の含有量としては、導電助剤の含有量をA質量%とし、バインダの含有量をB質量%としたときに、A/B≧1の関係が成立するようにすることが好ましい。この範囲の含有量であれば、正極合剤層の導電性がより良好となる。
<集電体>
前記正極に用いる集電体としては、従来から知られているリチウムイオン二次電池の正極に使用されているものと同様のものが使用でき、例えば、厚さが10〜30μmのアルミニウム箔が好ましい。
<正極の製造方法>
前記正極は、例えば、前述した正極活物質、導電性ポリマー、導電助剤およびバインダ、更には、2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物(導電性ポリマーが2価の金属元素を含む化合物を含有していない場合)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を調製し(バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。正極は、前記の方法で製造されたものに制限される訳ではなく、他の製造方法で製造したものであってもよい。
<正極合剤層>
正極合剤層の厚みは、プレス処理後において、集電体の片面あたり、70〜300μmであることが好ましい。本発明の非水二次電池では、正極合剤層に含有させる導電性ポリマーおよび2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物の作用によって、正極合剤層を前記のように厚くしても、正極合剤層の全体にわたって良好な導電性を確保することが可能となるため、正極に含有させる正極活物質の量を多くすることによって高めた容量を、良好に引き出することができる。
〔負極〕
本発明の非水二次電池に係る負極には、例えば、負極活物質、バインダおよび必要に応じて導電助剤などを含む負極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造のものが使用できる。
<負極活物質>
前記負極に用いる負極活物質には、従来から知られているリチウムイオン二次電池などの非水二次電池に用いられている負極活物質、すなわち、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な材料であれば特に制限はない。例えば、グラファイト、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が負極活物質として用いられる。また、シリコン(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、インジウム(In)などの元素の単体およびその元素の合金、リチウム含有窒化物またはリチウム含有酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物、もしくはリチウム金属やリチウム/アルミニウム合金も負極活物質として用いることができる。
前記の負極活物質の中でも、電池の高容量化を図るには、SiとOとを構成元素に含む材料を使用することが好ましく、一般式SiO(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である)で表される材料(以下、当該材料を「SiO」という)を用いることがより好ましい。
SiOは、Siの酸化物のみに限定されず、Siの微結晶または非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶または非晶質相のSiを含めた比率となる。すなわち、SiOには、非晶質のSiOマトリックス中に、Si(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiOと、その中に分散しているSiを合わせて、前記原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiOマトリックス中に、Siが分散した構造で、SiOとSiのモル比が1:1の材料の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。このような構造の材料の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
SiOは、炭素材料と複合化した複合体であることが好ましく、例えば、SiOの表面が炭素材料で被覆されていることが望ましい。通常、SiOは導電性が乏しいため、これを負極活物質として用いる際には、良好な電池特性確保の観点から、導電性材料(導電助剤)を使用し、負極内におけるSiOと導電性材料との混合・分散を良好にして、優れた導電ネットワークを形成する必要がある。SiOを炭素材料と複合化した複合体であれば、例えば、単にSiOと炭素材料などの導電性材料とを混合して得られた材料を用いた場合よりも、負極における導電ネットワークが良好に形成される。
すなわち、SiOの比抵抗値は、通常、10〜10kΩcmであるのに対して、炭素材料の比抵抗値は、通常、10−5〜10kΩcmであり、SiOと炭素材料とを複合化することにより、SiOの導電性を向上できる。
SiOと炭素材料との複合体としては、前記のように、SiOの表面を炭素材料で被覆したものの他、SiOと炭素材料との造粒体などが挙げられる。
SiOとの複合体の形成に用い得る炭素材料としては、例えば、低結晶性炭素、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維などの炭素材料が好ましいものとして挙げられる。
炭素材料の詳細としては、繊維状またはコイル状の炭素材料、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックを含む。)、人造黒鉛、易黒鉛化炭素および難黒鉛化炭素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の材料が好ましい。繊維状またはコイル状の炭素材料は、導電ネットワークを形成しやすく、かつ表面積の大きい点において好ましい。カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックを含む。)、易黒鉛化炭素および難黒鉛化炭素は、高い電気伝導性、高い保液性を有しており、更に、SiO粒子が膨張・収縮しても、その粒子との接触を保持しやすい性質を有している点において好ましい。
前記例示の炭素材料の中でも、SiOとの複合体が造粒体である場合に用いるものとしては、繊維状の炭素材料が特に好ましい。繊維状の炭素材料は、その形状が細い糸状であり柔軟性が高いために電池の充放電に伴うSiOの膨張・収縮に追従でき、また、嵩密度が大きいために、SiO粒子と多くの接合点を持つことができるからである。繊維状の炭素としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブなどが挙げられ、これらの何れを用いてもよい。
負極にSiOと炭素材料との複合体を使用する場合、SiOと炭素材料との比率は、炭素材料との複合化による作用を良好に発揮させる観点から、SiO:100質量部に対して、炭素材料が、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。また、前記複合体において、SiOと複合化する炭素材料の比率が多すぎると、負極合剤層中のSiO量の低下に繋がり、高容量化の効果が小さくなる虞があることから、SiO:100質量部に対して、炭素材料は、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。
前記のSiOと炭素材料との複合体は、例えば下記の方法によって得ることができる。
SiOの表面を炭素材料で被覆して複合体とする場合には、例えば、SiO粒子と炭化水素系ガスとを気相中にて加熱して、炭化水素系ガスの熱分解により生じた炭素を、粒子の表面上に堆積させる。このように、化学気相成長(CVD)法によれば、炭化水素系ガスがSiO粒子の隅々にまで行き渡り、粒子の表面に導電性を有する炭素材料を含む薄くて均一な皮膜(炭素材料被覆層)を形成できることから、少量の炭素材料によってSiO粒子に均一性よく導電性を付与できる。
炭素材料で被覆されたSiOの製造において、CVD法の処理温度(雰囲気温度)については、炭化水素系ガスの種類によっても異なるが、通常、600〜1200℃が適当であり、中でも、700℃以上であることが好ましく、800℃以上であることが更に好ましい。処理温度が高い方が不純物の残存が少なく、かつ導電性の高い炭素を含む被覆層を形成できるからである。
前記炭化水素系ガスの液体ソースとしては、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどを用いることができるが、取り扱いやすいトルエンが特に好ましい。これらを気化させる(例えば、窒素ガスでバブリングする)ことにより炭化水素系ガスを得ることができる。また、メタンガスやアセチレンガスなどを用いることもできる。
また、SiOと炭素材料との造粒体を作製する場合には、SiOが分散媒に分散した分散液を用意し、それを噴霧し乾燥して、複数の粒子を含む造粒体を作製する。分散媒としては、例えば、エタノールなどを用いることができる。分散液の噴霧は、通常、50〜300℃の雰囲気内で行うことが適当である。前記方法以外にも、振動型や遊星型のボールミルやロッドミルなどを用いた機械的な方法による造粒方法においても、SiOと炭素材料との造粒体を作製することができる。
負極活物質にSiOを使用する場合、その使用による高容量化の効果を良好に確保する観点から、負極活物質中におけるSiOの含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、充放電に伴うSiOの体積変化による問題をより良好に回避する観点から、負極活物質中におけるSiOの含有量は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
<バインダ>
負極に用いるバインダとしては、例えば、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロースなどの多糖類やそれらの変成体;ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン(PVP)、PTFE、PVDF、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂やそれらの変成体;ポリイミド;エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、SBR、ブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシドなどのゴム状弾性を有するポリマーやそれらの変成体;などが挙げられ、これらの1種また2種以上を用いることができる。
<導電助剤>
負極合剤層には、更に導電助剤として導電性材料を添加してもよい。このような導電性材料としては、電池内において化学変化を起こさないものであれば特に限定されず、例えば、カーボンブラック(サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなど)、炭素繊維、金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの粉末)、金属繊維、ポリフェニレン誘導体(特開昭59−20971号公報に記載のもの)などの材料を、1種または2種以上用いることができる。これらの中でも、カーボンブラックを用いることが好ましく、ケッチェンブラックやアセチレンブラックがより好ましい。
<集電体>
負極に用いる集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、機械的強度を確保するために下限は5μmであることが望ましい。
<負極の製造方法>
負極は、例えば、負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて導電助剤を、NMPや水などの溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の負極合剤含有組成物を調製し(バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。負極は、前記の方法で製造されたものに制限される訳ではなく、他の製造方法で製造したものであってもよい。
<負極合剤層>
負極合剤層においては、負極活物質の総量を80〜99質量%とし、バインダの量を1〜20質量%とすることが好ましい。また、別途導電助剤として導電性材料を使用する場合には、負極合剤層におけるこれらの導電性材料は、負極活物質の総量およびバインダ量が、前記の好適値を満足する範囲で使用することが好ましい。負極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、前記の正極合剤層の好適厚みを考慮すると、例えば、50〜400μmであることが好ましい。
〔非水電解質〕
本発明の非水二次電池に係る非水電解質には、リチウム塩を有機溶媒に溶解した非水電解液を使用できる。
非水電解液に用いるリチウム塩としては、溶媒中で解離してリチウムイオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こしにくいものであれば特に制限はない。例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbFなどの無機リチウム塩、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(2≦n≦7)、LiN(RfOSO〔ここで、Rfはフルオロアルキル基〕などの有機リチウム塩などを用いることができる。
このリチウム塩の非水電解液中の濃度は、0.5〜1.5mol/Lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/Lとすることがより好ましい。
非水電解液に用いる有機溶媒としては、リチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルなどのニトリル類;エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類;などが挙げられ、これらは2種以上混合して用いることもできる。より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。
〔セパレータ〕
本発明の非水二次電池に係るセパレータには、80℃以上(より好ましくは100℃以上)170℃以下(より好ましくは150℃以下)において、その孔が閉塞する性質(すなわち、シャットダウン機能)を有していることが好ましく、通常のリチウムイオン二次電池などの非水二次電池などで使用されているセパレータ、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータを構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。
〔電池の形態〕
本発明の非水二次電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶などを外装缶として使用した筒形(角筒形や円筒形など)などが挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池とすることもできる。
本発明の非水二次電池は、従来から知られているリチウムイオン二次電池などの非水二次電池と同様の用途に適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<導電性ポリマーの合成>
下記のようにして導電性ポリマーとしてポリ{3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン}を合成した。
(1)第1ステップ:3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェンの合成
トリフルオロエタノール3.54質量部(39.3mmol)をテトラヒドロフラン(THF)15質量部に溶解させ、そこに水素化ナトリウム(60%パラフィン分散)を加えた。次に、前記溶液に、3−ブロモチオフェン〔東京化成工業社製〕6.32質量部(38.8mmol)をTHF15質量部に溶かした溶液を、2時間かけて滴下した後、100℃まで昇温し、4時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷し、蒸留水30質量部を加え、分液ロートに移した後、水層を分離した。更に、残りの有機層を蒸留水30質量部で2回洗浄した後、THFを留去し、得られた混合物をシリカゲルカラムで精製することにより、3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェンを得た。
(2)第2ステップ:2,5−ジブロモ−3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェンの合成
前記3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン5.68質量部(29.0mmol)とN−ブロモスクシンイミド11.9質量部(67.1mmol)とをTHFに溶解させ、室温で2時間反応させた。反応後に、酢酸エチル50質量部を加えてグラスフィルターで沈殿物を除去し、THFと酢酸エチルを留去した。得られた混合物をシリカゲルカラムで精製することにより、2,5−ジブロモ−3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェンを得た。
(3)第3ステップ:ポリ{3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン}の合成
前記2,5−ジブロモ−3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン8.11質量部(22.9mmol)をTHF30質量部に溶かした後、メチルマグネシウムブロマイドTHF溶液25質量部を加え、75℃で30分反応させた。その反応溶液に[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]−ジクロロニッケル(II)0.127質量部を加え、75℃のまま更に2時間反応させた。反応溶液を室温まで放冷した後、メタノール5質量部を加えた。次に、反応混合物をソックスレー抽出器に移し、メタノール150質量部とヘキサン150質量部とを用いて順に洗浄した。最後に残留物をクロロホルム150質量部で抽出し、溶剤を留去して、ポリ{3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン}を得た。
得られたポリ{3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン}は、一般式(1)において、n1が約20で、n2が0であり、チオフェン環の3位にあるエーテル基を含む基の末端のメチル基の水素を、全てフッ素で置換したものである。
<導電性ポリマー・バインダ溶液の調製>
導電性ポリマーである前記のポリ{3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン}:0.2質量部、バインダであるPVDF:1.8質量部、酸化ニッケル(和光純薬社製):0.001質量部、酸化マグネシウム(和光純薬社製):0.001質量部、およびリン酸リチウム(和光純薬社製):0.001質量部に、NMPを適量添加して撹拌して、導電性ポリマー・バインダ溶液を調製した。
<リチウム含有複合酸化物の合成>
水酸化ナトリウムの添加によってpHを約12に調整したアンモニア水を反応容器に入れ、これを強攪拌しながら、この中に、硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンを、それぞれ、2.10mol/L、0.84mol/L、1.26mol/Lの濃度で含有する混合水溶液と、25質量%濃度のアンモニア水とを、それぞれ、23cm/分、6.6cm/分の割合で、定量ポンプを用いて滴下して、滴下から80時間後にスラリーを濾過し、100℃で24時間乾燥させることでNiとCoとMnとの共沈化合物(球状の共沈化合物)を合成した。この際、反応液の温度は50℃に保持し、また、反応液のpHが12付近に維持されるように、6.4mol/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液の滴下も同時に行い、更に窒素ガスを1L/分の流量でバブリングした。
前記共沈化合物を水洗、濾過および乾燥させて、NiとCoとMnとを50:20:30のモル比で含有する水酸化物を得た。この水酸化物0.196molと、0.204molのLiOH・HOとをエタノール中に分散させてスラリー状にした後、遊星型ボールミルで40分間混合し、室温で乾燥させて混合物を得た。次いで、前記混合物をアルミナ製のるつぼに入れ、2L/分のドライエアーフロー中で600℃まで加熱し、その温度で2時間保持して予備加熱を行い、更に700℃に昇温して酸素雰囲気中で12時間焼成することにより、リチウム含有複合酸化物を合成した。得られたリチウム含有複合酸化物は、乳鉢で粉砕して粉体とした後、デシケーター中で保存した。
前記リチウム含有複合酸化物の粉体について、原子吸光分析装置で組成を測定したところ、LiNi0.5Co0.2Mn0.3で表される組成であることが判明した。
また、前記リチウム含有複合酸化物のX線回折測定を行った。具体的には、リガク社製のX線回折測定装置「RINT−2500V/PC」を用いてCuKα線によりX線回折の測定を行い、得られたデータの解析はリガク社製の解析ソフト「JADE」を用いて行った。ここで、X線回折図形における(003)面および(104)面での回折線の積分強度をそれぞれI003およびI104とし、そのI003およびI104は、それぞれの回折線のピーク面積から求め、その積分強度比I003/I104を計算により求めた。その結果、積分強度比I003/I104は、1.2であった。
また、前記リチウム含有複合酸化物の二次粒子の平均粒子径を前記の方法で測定したところ、D50は5.0μmであった。
<正極の作製>
正極活物質であるLiNi0.5Co0.2Mn0.3:93.697質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック:4.0質量部と、分散剤であるポリビニルピロリドン(PVP):0.3質量部とを混合し、ここに、導電性ポリマーであるポリ{3−(2,2,2トリフルオロエトキシ)チオフェン}を0.2質量部とバインダであるPVDFを1.8質量部と酸化ニッケルを0.001質量部と酸化マグネシウムを0.001質量部とリン酸リチウムを0.001質量部とを含む前記導電性ポリマー・バインダ溶液を加え、更に適量のNMPを添加し、プラネタリーミキサーを用いて混合・分散を行い、正極合剤含有スラリーを調製した。次に、正極集電体となる厚みが15μmのアルミニウム箔の片面に、前記正極合剤含有スラリーを、乾燥後の塗布量が21mg/cmとなるように塗布し、85℃で乾燥した後、100℃で8時間真空乾燥した。その後、ロールプレス機を用いてプレス処理を施して、プレス処理後の厚みが90μmの正極合剤層を備えた正極を作製した。なお、正極合剤含有スラリーをアルミニウム箔に塗布する際には、アルミニウム箔の一部が露出するように未塗布部分を形成した。
次に、この正極を、正極合剤層の面積が30mm×30mmで、かつアルミニウム箔の露出部を含むように切断し、更に、電流を取り出すためのアルミニウム製のリード片をアルミニウム箔の露出部に溶接し、リード付き正極を得た。
<負極の作製>
負極活物質であるグラファイト:96質量部、並びに、バインダであるCMC:2質量部およびSBR:2質量部からなる負極合剤に、適量の水を添加し、プラネタリーミキサーを用いて混合・分散を行い、負極合剤含有スラリーを調製した。次に、負極集電体となる厚みが7μmの銅箔の片面に、前記負極合剤含有スラリーを、乾燥後の塗布量が13.5mg/cmとなるように塗布し、85℃で乾燥した後、100℃で8時間真空乾燥した。その後、ロールプレス機を用いてプレス処理を施して厚みが110μmの負極合剤層を備えた負極を作製した。なお、負極合剤含有スラリーを銅箔に塗布する際には、銅箔の一部が露出するように未塗布部分を形成した。
次に、この負極を、負極合剤層の面積が35mm×35mmで、かつ銅箔の露出部を含むように切断し、更に、電流を取り出すためのニッケル製のリード片を、銅箔の露出部に溶接して、リード付き負極を得た。
<電池の組み立て>
前記リード付き正極と前記リード付き負極とを、PE製の微多孔膜セパレータ(厚み18μm)を介して重ね合わせて積層電極体とし、この積層電極体を、90mm×80mmのアルミニウムラミネートフィルムからなる外装体に収容した。続いて、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを2:8の体積比で混合した溶媒に、LiPFを1.2mol/Lの濃度で溶解させた非水電解液を前記外装体内に1mL注入した後、前記外装体を封止して、図1に示す外観で、図2に示す断面構造のラミネート形非水二次電池を作製した。
ここで、図1および図2について説明すると、図1は非水二次電池を模式的に表す平面図であり、図2は、図1のA−A線断面図である。非水二次電池1は、2枚のラミネートフィルムで構成したラミネートフィルム外装体2内に、正極5と負極6とをセパレータ7を介して積層して構成した積層電極体と、非水電解液(図示しない)とを収容しており、ラミネートフィルム外装体2は、その外周部において、上下のラミネートフィルムを熱融着することにより封止されている。なお、図2では、図面が煩雑になることを避けるために、ラミネートフィルム外装体2を構成している各層、並びに正極5および負極6の各層を区別して示していない。
正極5は、電池1内でリード体を介して正極外部端子3と接続しており、また、図示していないが、負極6も、電池1内でリード体を介して負極外部端子4と接続している。そして、正極外部端子3および負極外部端子4は、外部の機器などと接続可能なように、片端側がラミネートフィルム外装体2の外側に引き出されている。
実施例2
リン酸リチウムを添加しなかった以外は実施例1と同様にして調製した導電性ポリマー・バインダ溶液を使用して実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
比較例1
酸化ニッケル、酸化マグネシウムおよびリン酸リチウムを添加しなかった以外は実施例1と同様にして調製した導電性ポリマー・バインダ溶液を使用して実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
比較例2
正極合剤スラリーの調製に際し、導電性ポリマー・バインダ溶液に代えてPVDFの含有量を2.0質量部に変更して使用した以外は、実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
実施例1、2および比較例1、2の各非水二次電池について、以下の各充放電容量測定を行った。
<0.2C充放電容量測定>
実施例および比較例の各電池について、23℃で、0.2Cの電流値で4.2Vまで定電流充電を行った後、電流値が0.1CmAになるまで4.2Vで定電圧充電して、充電容量(0.2C充電容量)を測定した。その後、充電後の各電池について、0.2Cの電流値で2.5Vになるまで定電流で放電して、0.2C放電容量を測定した。
<1C充放電容量測定>
実施例および比較例の各電池について、定電流充電時および定電流充電時の電流値を1Cに変更した以外は、0.2C充放電容量測定と同じ条件で定電流−定電圧充電および定電流放電を行い、1C充電容量および1C放電容量を測定した。
<2C充放電容量測定>
実施例および比較例の各電池について、定電流充電時および定電流充電時の電流値を2Cに変更した以外は、0.2C充放電容量測定と同じ条件で定電流−定電圧充電および定電流放電を行い、2C充電容量および2C放電容量を測定した。
前記の各評価結果を表1に示す。また、表1には、正極合剤層における導電性ポリマーの含有量、2価の金属元素の含有量およびリン元素の含有量を併記する(表1では、「元素の含有量」と記載した上で、「Ni」の欄にNiの含有量を、「Mg」の欄にMgの含有量を、「P」の欄にPの含有量を、それぞれ記載する。後記の表2も同様である。)。
Figure 2014120204
表1に示す通り、導電性ポリマーと共に2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物を含有し、その2価の金属元素の含有量が適正な正極合剤層を有する正極を備えた実施例1、2の非水二次電池は、導電性ポリマーは含有しているが2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物は含有していない正極合剤層を有する正極を備えた比較例1の電池や、導電性ポリマーと2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物との両者を含有していない正極合剤層を有する正極を備えた比較例2の電池に比べて、1Cや2Cといった高負荷での充放電容量の、0.2Cでの充放電容量からの低下が小さく、良好な負荷特性を有している。
実施例3
SiO(平均粒径5.0μm)を沸騰床反応器中で約1000℃に加熱し、加熱されたSiO粒子にメタンと窒素ガスからなる25℃の混合ガスを接触させ、1000℃で60分間CVD処理を行った。このようにして前記混合ガスが熱分解して生じた炭素(以下「CVD炭素」ともいう。)をSiO粒子に堆積させて被覆層を形成し、負極活物質である炭素被覆SiOを得た。
被覆層形成前後の質量変化から上記負極活物質の組成を算出したところ、SiO:CVD炭素=85:15(質量比)であった。
次に、負極活物質である前記炭素被覆SiO:5質量部およびグラファイト:85質量部と、導電助剤であるケッチェンブラック(平均粒径0.05μm):2質量部と、バインダであるCMC:4質量部およびSBR:4質量部と、水とを混合して、プラネタリーミキサーを用いて混合・分散を行い、負極合剤含有スラリーを調製した。次に、負極集電体となる厚みが7μmの銅箔の片面に、前記負極合剤含有スラリーを、乾燥後の塗布量が9mg/cmとなるように塗布し、85℃で乾燥した後、100℃で8時間真空乾燥した。その後、ロールプレス機を用いてプレス処理を施して厚みが65μmの負極合剤層を備えた負極を作製した。なお、負極合剤含有スラリーを銅箔に塗布する際には、銅箔の一部が露出するように未塗布部分を形成した。
次に、この負極を、負極合剤層の面積が35mm×35mmで、かつ銅箔の露出部を含むように切断し、更に、電流を取り出すためのニッケル製のリード片を、銅箔の露出部に溶接して、リード付き負極を得た。
そして、負極を前記の負極に変更した以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
実施例4
負極を実施例3で作製したものと同じ負極に変更した以外は、実施例2と同様にして非水二次電池を作製した。
比較例3
負極を実施例3で作製したものと同じ負極に変更した以外は、比較例1と同様にして非水二次電池を作製した。
比較例4
負極を実施例3で作製したものと同じ負極に変更した以外は、比較例2と同様にして非水二次電池を作製した。
実施例3、4および比較例3、4の非水二次電池について、実施例1の電池などと同じ方法で、0.2C、1C並びに2Cの充電容量および放電容量を測定した。これらの結果を表2に示す。また、表2には、正極合剤層における導電性ポリマーの含有量、2価の金属元素の含有量およびリン元素の含有量を併記する。
Figure 2014120204
前記の通り、実施例3、4および比較例3、4は、負極活物質にSiOと黒鉛とを併用した例であるが、これらの非水二次電池では、黒鉛のみを負極活物質とした実施例1、2および比較例1、2の非水二次電池と同様の傾向が認められる。すなわち、表2に示す通り、導電性ポリマーと共に2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物を含有し、その2価の金属元素の含有量が適正な正極合剤層を有する正極を備えた実施例3、4の非水二次電池は、導電性ポリマーは含有しているが2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物は含有していない正極合剤層を有する正極を備えた比較例3の電池や、導電性ポリマーと2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物との両者を含有していない正極合剤層を有する正極を備えた比較例4の電池に比べて、1Cや2Cといった高負荷での充放電容量の、0.2Cでの充放電容量からの低下が小さく、良好な負荷特性を有している。
1 非水二次電池
2 ラミネートフィルム外装体
5 正極
6 負極
7 セパレータ

Claims (7)

  1. 正極、負極、セパレータおよび非水電解質を備えた非水二次電池であって、
    前記正極は、正極活物質、導電助剤、導電性ポリマー、バインダ、および正極活物質以外の、2価の金属元素の単体または2価の金属元素を含む化合物を含有する正極合剤層を有しており、
    前記2価の金属元素の単体または前記2価の金属元素を含む化合物に含まれる2価の金属元素の、前記正極合剤層における含有量が、0.00001〜1質量%であり、
    前記正極合剤層は、チオフェンまたはその誘導体のポリマーを前記導電性ポリマーとして含有していることを特徴とする非水二次電池。
  2. 正極合剤層が、リン含有化合物を含有している請求項1に記載の非水二次電池。
  3. 正極合剤層における導電性ポリマーの含有量が、0.05〜0.5質量%である請求項1または2に記載の非水二次電池。
  4. 正極合剤層におけるバインダの含有量が、0.5〜5質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の非水二次電池。
  5. 正極合剤層の厚みが、70〜300μmである請求項1〜4のいずれかに記載の非水二次電池。
  6. 正極は、構成元素としてNi、CoおよびMnを含有する層状構造のリチウム含有複合酸化物を正極活物質として含有している請求項1〜5のいずれかに記載の非水二次電池。
  7. 負極は、SiとOとを構成元素に含む材料を負極活物質として含有している請求項1〜6のいずれかに記載の非水二次電池。
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