JP2014119568A - 暈し着色レンズおよび暈し着色製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】染色におけるような明瞭な暈し着色を、蒸着により容易に得ることができる暈し着色レンズを提供すること。
【解決手段】レンズ基材11に、全体透過率の徐変に依存する暈し着色部が、蒸着層からなる傾斜多層膜15A、15Bで形成されてなる暈し着色レンズ。傾斜多層膜15A、15Bを、誘電体層と傾斜金属層とを備えたものとする。そして、レンズ基材11の厚み方向前後で対応させて、表側傾斜多層膜15Aと裏側傾斜多層膜15Bとを形成する。全体透過率の徐変を、傾斜金属層m1、m2の吸収率に依存させるとともに、各傾斜多層膜15A、15Bの反射率を、干渉効果により制御する。
【選択図】図2

Description

本発明は、暈し(ぼかし)着色レンズおよび暈し着色製品に関する。例えば、サングラスやディスプレイパネル等に好適な発明に係る。
ここでは、サングラス(眼鏡レンズ)を例に採り説明するが、他の製品、例えば携帯情報端末(PDA)やエレクトロルミネッセンス(EL)におけるディスプレイパネル等を暈し着色したい場合にも本発明は適用可能である。
なお、本願明細書および特許請求の範囲における「暈し着色」は、「グラデーション着色」ともいい、濃色部から淡色部へ変化していく着色状態を意味する。また、暈し着色部における反射率、透過率、吸収率は、特に断らない限り、65mmφにおけるレンズ基材の略半分強を暈し着色部とした場合における、濃色部D(上端側10mm)における値を意味する(図1(C)参照)。
さらに、今回の「反射率」、「透過率」および「吸収率」は、何れも、可視光線波長域(約400〜780nm)の波長範囲におけるものである。また、「全体透過率」とは、複層構成の場合における各層の透過率の乗算値を意味する。なお、それらの各光学特性の関係は「(全体)透過率=反射率+吸収率」である。
また、「観察側」とは、暈し着色レンズや暈し着色製品において、それらの物品を看る側をいい、「非観察側」とは、「観察側」の反対側をいう。
以下、図1に示すごとく、表側基材11aと裏側基材11bとで偏光フィルム13を挟み成形した偏光仕様のレンズ基材11を用いる場合を、主として例に採り説明する。
昨今、ファッション性や視認性の見地から、サングラスにおいて、グラス基材上端から水平中央部に向かって暈し着色が施された暈し着色レンズの需要が増大しつつある。
従来、サングラスにおける暈し着色は、通常、レンズ基材に染色により施していた(特許文献1参照)。
しかし、染色は、CR、アクリル樹脂等の有機ガラスからなるレンズ基材には可能であるが、ポリカーボネート等のエステル系のレンズ基材には染色は困難である。
このため、素材に制限されない蒸着により暈し着色部Gを形成することが試みられ一部上市されている。その層構成を図1(A)、(B)に示す。
具体的には、レンズ基材11の表側多層膜の一端(上端)側から表側半分強を傾斜多層膜15とするとともに、裏側全面を反射防止膜17として、全体透過率の徐変に依存する暈し着色部Gとしていた。
しかし、蒸着により形成した暈し着色部Gは、染色によるような明瞭な暈し着色を得難かった。明瞭な暈し着色を得ようとして濃色部Dの全体透過率を低く設定すると、ミラー調を呈しやすかった。その理由を、表4・5の従来例の欄に基づいて説明する。
通常、暈し着色部Gの濃色部Dにおける全体透過率は、暈し効果を顕現させるために5%以下とする必要がある。
例えば、表5のごとく、透過率20%の偏光フィルムを用い、表側基材11aと裏側基材11bの透過率を同じに設定する場合、それぞれの透過率を50%とする必要がある。ここで、両基材の透過率を同じに設定するのは、両面の見栄えを同様とするためである。
そして、傾斜多層膜15および反射防止膜(均一膜膜)17は、着色のために、ともに表面の誘電体層の内側に傾斜金属層(例えば、Cr)を備えた構成であった。そして、反射防止膜17における金属層は吸収および反射により透過率を低下させるが、反射干渉により反射率を1〜2%に低下させるため透過率が増加する。このため、反射防止膜を有する裏側基材11bで50%以下の透過率を確保し難かった。
他方、傾斜多層膜15の透過率は、金属層での吸収率および反射率の双方に依存させて50%以下としていた。すなわち、傾斜多層膜15側は、表面側の第1誘電体層の膜厚は15nmと干渉効果を発揮する膜厚よりはるかに小さい。このように、第1誘電体層は干渉効果により反射率を制御するものではなく、保護膜としての作用しか奏していなかった。
しかし、上記のような薄膜設計とした全体透過率5%は暈し効果の顕現限界値であり、さらには、反射率の増加でミラー調となって、染色におけるような明瞭な暈し着色を得難かった。すなわち、金属層の膜厚を増加させると、吸収率が増加して全体透過率が低下するが、反射率の増加を伴う。そのため、レンズの表側外観がミラー調(反射率が20%以上で顕現しやすくなる。)を呈して、透過率の低下による暈し着色の明瞭化増加因子を弱める。このため、金属層の膜厚増加による全体透過率の低下には限度があった。よって、染色におけるような明瞭な暈し着色を蒸着により得難かった。
なお、本発明の特許性(新規性・進歩性)に影響を与えるものではないが、関連先行技術文献として、特許文献2を挙げることができる。
特許文献2には、レンズ基材と貴金属層との間に、本発明と同様の、Cr層などの金属層及び酸化ケイ素などの誘電体層からなる複合層(光学多層膜)が形成されてなる着色眼鏡レンズが提案されている。
特開平8−43601号公報(要約等) 特表2011−520147号公報(要約等)
本発明は、上記にかんがみて、染色におけるような明瞭な暈し着色を、蒸着により容易に得ることができる暈し着色レンズを提供することを目的とする。
本発明者らは、レンズ基材の表側および裏側の双方に、傾斜金属層と誘電体層とを備えた傾斜多層膜を対応させて形成すれば、上記課題を解決することができることを知見して、下記構成の暈し着色レンズに想到した。
レンズ基材に、全体透過率の徐変に依存する暈し着色部が、蒸着層からなる傾斜多層膜で形成された暈し着色レンズであって、
前記傾斜多層膜が、傾斜金属層および誘電体層を備え、前記レンズ基材の厚み方向前後で対応させて複数個配されて、
前記全体透過率の徐変が、前記各傾斜多層膜の前記傾斜金属層の吸収率に依存されているとともに、前記各傾斜多層膜の反射率が干渉効果により制御されている、ことを特徴とする。
染色と同様な、明瞭な暈し着色が可能である理由は、下記の如くであると推定される。
上記構成とすることにより、濃色部における吸収率に透過率を依存させるため、反射率が干渉効果により制御されて低下しても、透過率がほとんど増大しない。したがって、金属層の合計膜厚の増加により全体透過率を低く設定することが容易となる(表5の実施例の欄参照)。また、濃色部における透過率を厚み方向の複数個所で低下させることが容易にでき、各層の乗算値である全体透過率が大幅に低下する。また、反射率を干渉効果により制御して、ミラー調を呈しないものとすることができる。よって、暈し着色レンズにおいて、染色におけるような明瞭な暈し着色を、蒸着により容易に得ることができる。
上記構成において、複数個の傾斜多層膜のうち、少なくとも表側傾斜多層膜が、誘電体層を介して傾斜金属層を二層以上備えていることが望ましい。内側の傾斜金属層の反射光が外側の傾斜金属層に吸収されて、反射率増加因子が弱められる。よって、反射率の干渉効果による制御がより容易となり、上記本発明の効果がさらに増大する。
また、上記構成において、表側傾斜多層膜における観察側の傾斜金属層が非観察側の傾斜金属層より薄い構成とすることにより、反射率増加因子がさらに弱められる。反射率増加因子は、傾斜金属層の膜厚に比例するためある。よって、反射率の干渉効果による制御がより容易となり、上記本発明の効果がさらに増大する。
従来における暈し着色レンズの一例を示す層構成説明図(A)、合体断面図(B)、および暈し着色部を示す平面図(C)である。 本発明の暈し着色レンズの一例を示す層構成説明図(A)および合体断面図(B)である。 本発明の傾斜多層膜の膜構成の一例(A)及び他の例(B)を示す膜構成説明図である。 本発明の他の例を示す層構成説明図(A)および合体断面図(B)である。 本発明のさらに他の例(レンズ基材単層)を示す層構成説明図(A)および断面図(B)である。
本発明の暈し着色レンズの一実施形態について説明する(図2〜3参照)。
レンズ基材11は、偏光フィルム13を挟持した表側基材11aと裏側基材11bとの合わせレンズ基材である。偏光フィルム13を備えたレンズ基材11を使用することにより、偏光による防眩効果が期待できるとともに、基材透過率が低くなるため、暈し着色部の濃色部の低透過率を達成するための設計がより容易となる。なお、レンズ基材11の基材透過率は、着色フィルム又は基材着色により、より低くすることもできる。
図2に示す如く、蒸着層からなる傾斜多層膜15A、15Bが、レンズ基材11の上側半分強に厚み方向前後に対応して配され、図1(C)に示すような暈し着色部Gとされている。該暈し着色部Gは、従来の図1に示す如く、上端側から下方に向かって濃色部から淡色部になるように全体透過率が漸増する光学設計により形成されている。なお、各傾斜多層膜15A、15Bは、図2(B)拡大図および図3に示す如く、誘電体層d´、d1、d2と金属層m1、m2とを備えたものであり、誘電体層d´、d1、d2の全部又は一部が下方側へ向かって延設して形成され保護膜乃至反射防止膜となる均一多層膜16A、16Bが形成されている。
また、本実施形態は、表側傾斜多層膜15Aがレンズ基材11の表側基材11aの裏面に形成されているため、表側基材11aの外表面には単層又は複層の誘電体層からなる保護膜18が形成されている。
傾斜多層膜の膜構成は、図3(A)、(B)に示す如く、表側基材11aおよび裏側基材11bの裏面に、下地誘電体層d´を形成後、金属層m1(m2)/誘電体層d1(d2)組を、一組以上順次接して形成したものである。
また、以下の説明で、金属層m1(m2)および誘電体層d1(d2)はそれぞれ単層構成としたが、屈折率の異なる異材質の複層構成としてもよい。このため、下地誘電体層d´を除いた場合において、金属層と誘電体層の数は必ずしも同数とならない場合もある。例えば、金属層1層、誘電体層2層や、金属層2層、誘電体層1層の構成も本発明の範囲内に含まれる。
以下、各膜要素について、説明する。
なお、誘電体層を形成する誘電体材料としては、下記の高屈折率・低屈折率誘電体材料を好適に使用可能である。表1に各誘電体材料の成膜真空度、加熱温度及び屈折率を示す。
1)高屈折率誘電体材料
ジルコニア(ZrO2)、アルミナ(Al23)、チタニア(TiO2)、五酸化二タンタル(Ta25)、三酸化二クロム(Cr23)、ITO(Indium Tin oxide)又は一酸化ケイ素(SiO)。
2)低屈折率誘電体材料
二酸化ケイ素(SiO2)又はそれらの複合酸化物。
なお、高屈折率誘電体材料の内で、屈折率が異なるものを組み合わせて組薄膜(例えばZrO2とAl23)とすることも可能である。
Figure 2014119568
(1)レンズ基材:
表側・裏側基材11a、11bは、1)有機ガラスでも、2)無機ガラスでもよい。軽量化、成形性、加工性等の見地から下記のような有機ガラスとすることが望ましい。特に、染色の困難であったPC、PET等のエステル系のレンズ基材に適用することが、本発明の効果が顕著となる。
なお、有機透明基材の材料名の後の数値は、光透過率および屈折率(25℃)である。
ポリメチルメタクリレート(PMMA):92%、1.49、
スチレンアクリロニトリル(SAN):90%、1.57、
ポリカーボネート(PC):89%、1.58、
ポリスチレン(PS):88%、1.59
ポリエチレンテレフタレート(PET):90%、1.52
そして、透明基材は、眼鏡レンズの場合、装着時視認性の見地から、光透過率(可視平均)が80%以上、望ましくは85%以上、さらに望ましくは90%以上のものを使用する。そして、透明基材の肉厚は、眼鏡レンズの場合、0.75〜0.95mmとする。
なお、適用製品が眼鏡ガラス(眼鏡用レンズ)でない暈し着色製品とする場合、透明基材の形態は、板材や成形品に限定されず、可撓性を有するフィルムやシートであってもよい。そして、透明基材の肉厚は、50μm〜10mmの範囲から適宜選定する。例えば、PDAのカバー体の場合、0.5〜1mmとする。
(2)下地誘電体層d´:
本実施形態では、レンズ基材が有機ガラスであるため、該有機ガラスと、金属層/誘電体層組の金属層との密着性確保のために、下地誘電体層d´が必然的である。なお、レンズ基材が無機ガラスである場合は、下地誘電体層d´は、必然的ではない。また、下地誘電体層は、干渉効果に実質的に影響を与えない薄い膜厚とされている。
通常、この下地誘電体層d´は、本実施形態では、表4−1,4−2に示すように、基材(有機ガラス)および金属層(Cr)の双方の密着性に優れているジルコニア(高屈折率誘電体材料)とすることが望ましい。
また、透過率は、金属層の吸収率(厚み及び吸収係数)に依存させる。なお、全ての金属層を傾斜蒸着とする必要は無く、前後に配した傾斜蒸着膜のうち少なくとも1層ずつの金属層が傾斜蒸着膜であればよい。当然、誘電体層は、光の吸収率に影響を与えないため、傾斜蒸着(傾斜膜)とする必然性はなく、均一膜厚でよい。
(3)金属層m1(m2)/誘電体層d1(d2)組:
(3-1)金属層m1(m2)は、可視光の略全波長域において光吸収作用を発揮して、全体透過率の徐変を、傾斜金属層の層厚、すなわち、吸収率に依存させることが可能となる。このため、暈し着色部濃部の全体透過率が淡色部から濃色部に向かって徐変(漸減)する。
そして、傾斜金属層m1(m2)/誘電体層組d1(d2)を2組以上設けた場合は、非観察側の傾斜金属層m2による反射は観察側の傾斜金属層m2により略吸収される。このため、傾斜金属層の合計膜厚増加による反射率増加因子は弱められるが、吸収率の増加により透過率が低下する。したがって、反射率(=全体透過率−吸収率)を余り増加させずに暈し着色部の濃色部の全体透過率を低く(ダーク調化)することがより容易となる。
さらに、本実施形態では、反射防止膜となる裏側傾斜多層膜15Bの反射率は勿論、表側傾斜多層膜15Aの反射率も、干渉効果により制御するものである。よって、レンズの表側外観の反射率の制御により、ミラー調から非ミラー調に任意(容易)に調節することができる。
光吸収性を有する金属材料としては、表2に示すものを好適に使用できる。表2に、各金属材料の成膜真空度、加熱温度および屈折率を示す。また、表3−1〜表3-5に、各金属材料の各波長における屈折率および吸収係数を示す。
Figure 2014119568
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Figure 2014119568
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そして、この金属層の厚さは、金属材料および金属層に要求される光吸収率により異なる。例えば、表側基材11aの吸収率を60〜65%に設定するとともに、裏側基材11bの吸収率を68〜69%に設定する場合は、表5に示す如くになる。
例えば、金属層をCrで形成する場合、3〜12nm(望ましくは5〜8nm)とする。なお、Cr層は、機械的強度が相対的に高く、化学的安定性も優れているとともに、誘電体層との組み合わせにより様々の色彩を付与可能である。
なお、光吸収係数が大きい金属、例えば、Sn等を用いれば、傾斜金属層の膜厚は、相対的に薄く設定できる。
(3-2)誘電体層は、組み合わせる金属層より屈折率の低い誘電体材料を使用することにより、干渉効果により反射率を制御する(低下させる)ことができる。
誘電体層(反射率低減層)としては、前述の誘電体材料のうち、低屈折率誘電体材料、例えば、SiO2又はそれらの複合酸化物を好適に使用できる。
このとき、暈し着色部の誘電体層も傾斜蒸着膜としてもよい。傾斜蒸着膜とすることにより、暈し着色部における傾斜多層膜の全体透過率を、干渉効果の反射率の徐変に基づき、変化させることができ、レンズの表側外観を多様化できる。
誘電体材料が低屈折率(通常、1.6以下)の上記シリカ系(SiO2又はその複合酸化物)である場合、蒸着膜厚は40〜130nm(望ましくは60〜100nm)とする。
この誘電体層の一部又は全部(図例では全部)は、暈し着色部を超えてガラス基材の全面に表側・裏側均一膜(多層又は単層)16A、16Bを成膜する(図4・5も同様)。該成膜により、高屈折の下地誘電体層d´(例えば、ZrO2)上に低屈折の誘電体層d(例えば、SiO2)が成膜される結果となり、反射干渉による反射防止膜設計となる。このため、非暈し着色部における透過率を増加させることができ、使用時の視認性を確保しやすくなる。なお、着色等の目的で金属層も一部を薄くして延設することも可能である。
(4)暈し着色部の全体層構成:
表側傾斜多層膜15Aは、その反射率が18%以下(望ましくは、3〜18%、さらに望ましくは5〜15%)、裏側傾斜多層膜15Bはその反射率が3%以下(望ましくは1〜2%)となる膜設計するとともに、暈し着色部における濃色部の全体透過率が3.5%以下(望ましくは2〜3%)以下となるように薄膜設計をする(表5参照)。このとき、表側傾斜多層膜15Aは入射媒質が屈折率の高い透明基材(屈折率1.5以上)であるため、通常の入射媒質が空気である場合と異なり、表側から見た場合、層構成が逆転するが、問題なく、レンズ表側(観察側)の設定反射率に対応した薄膜設計ができる。
裏側反射率が高くては、使用時の視認性を確保し難い。また、表側反射率も反射防止膜と同様にすることも可能であるが、表側外観が明瞭になりすぎて、一般にサングラスで好まれるダーク調の外観を得難くなる。
濃色部Dにおける全体透過率が高いと、前記の如く、明瞭な暈し着色(グラデーション)を確保し難くなる。逆に全体透過率が低すぎると暈し着色部Gの濃色部Dにおける視認性を確保しがたい部位が発生する(視野が狭くなる。)。
上記蒸着層からなる傾斜多層膜15A、15Bおよび均一膜16A、16Bは、通常、物理的蒸着法(PVD)の一つであり、低温成膜可能な真空蒸着(抵抗加熱乃至電子ビーム加熱)で形成する。透明基材が無機ガラスの如く、耐熱性を有する場合、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンビームアシスト法等のPVDでもよい。
真空蒸着の場合、例えば、成膜開始真空度:0.9mPa、電子ビーム蒸発、成膜時基材温度:60±30℃で行なう。
これらの蒸着後の各レンズ製品の表側は、通常、撥水処理をしておく。図2に示す構成の場合は、デップ撥水処理を、図4・5に示す構成の場合は、蒸着撥水処理を、それぞれ施す。
以上、偏光フィルム13を挟持した表側基材11aと裏側基材11bとの合わせレンズ基材11の各裏面に傾斜蒸着で表側傾斜多層膜15Aおよび裏側傾斜多層膜15Bを形成した場合を例に採った(図3参照)。
本発明は、図3に示すものに限られず、図4や図5に示すような構成とすることもできる。なお、暈し着色部Gは図例ではレンズ基材の半分強に施してあるが、レンズ基材の全面に施したものとしてもよい。
図4に示す実施形態は、図2に示す実施形態において、表側基材11aにおける表側傾斜多層膜15Aを表側基材11aの表面に形成した暈し着色レンズである。
図5に示す実施形態は、レンズ基材を単層構成として、表面側および裏面側にそれぞれ、表側傾斜多層膜15Aと裏側傾斜多層膜15Bとを形成した暈し着色レンズである。
なお、対応する傾斜多層膜は表側と裏側の2個としたが、図2において、表側基材11aの表面側にさらに傾斜多層膜を形成して3個とする構成も可能である。
以上、暈し着色レンズについて説明したが、本発明は、レンズ基材を平板な透明基材に置換して、下記構成のような暈し着色製品にも適用できる。
透明基材に、全体透過率の徐変に依存する暈し着色部が、蒸着層からなる傾斜多層膜で形成された暈し着色製品であって、
前記傾斜多層膜が、傾斜金属層と誘電体層とを備え、前記透明基材の厚み方向前後で対応させて複数個配されて、
前記全体透過率の徐変が、前記各傾斜多層膜の前記傾斜金属層の吸収率に依存されているとともに、前記各傾斜多層膜の反射率が干渉効果により制御されている、ことを特徴とする。
このような暈し着色製品は、PDAディスプレーと同様、ELディスプレーや、さらには、店舗のショウウィンド等へも適用できる。
以下、本発明を実施例に基づいて、さらに具体的に説明する。なお、本実施例は、市販の光学薄膜理論ソフトを用いて設定膜厚を求めた。
図2に示す構成において、アクリル樹脂製の偏光レンズ(65mmφ)をレンズ基材11に、表側傾斜多層膜15Aおよび裏側傾斜多層膜15Bを成膜した。なお、各傾斜多層膜15A、15Bの第1層は全面に下地誘電体層d´とし、最外層は保護膜18となる誘電体層とした。
表側傾斜多層膜15Aおよび裏側傾斜多層膜15Bの膜厚設定をそれぞれ表4−1,4−2に示すものとするとともに、表1・2の条件で真空蒸着により順次成膜した。
そして、レンズの透過率は透過率30%の偏光フィルムを用いた場合において、表側基材11aおよび裏側基材11bの透過率をそれぞれ30%として、濃色部の全体透過率2.7%となるものが得られる膜厚設計とした。
ここで、裏側傾斜多層膜15Bおよび表側傾斜多層膜15Aの設定膜厚は、下記点を除いて、基本的には同じとした。
・下地誘電体層d´は、表側の方がより強度が要求されるため、厚く設定した。
・第1誘電体層、第2誘電体層d1、d2は、干渉効果により設定反射率となる薄膜設計をした。
・裏側傾斜多層膜15Bにおける第1・2傾斜金属層m1、m2および表側傾斜多層膜15Aにおける第2傾斜金属層(非観察側)m2は、同じ層厚である6nmとしたが、表側傾斜多層膜15Aにおける第1傾斜金属層(観察側)m1は非観察側より薄く3nmとした。
上記膜設定は、基本的に、表側の傾斜金属層および裏側の傾斜金属層の、各合計金属層の層厚の増加により吸収率を増加させて、透過率を、傾斜金属層の吸収率に依存させるものである。合計金属層の層厚の増加により反射率も増加するため、反射防止膜を形成する裏側では勿論、裏側も反射干渉による反射率を低下させる必要がある。しかし、全体透過率の徐変を、傾斜金属層の合計層厚に、すなわち、傾斜金属層の吸収率に依存させている。このため、傾斜金属層の合計膜厚増加による反射率の増加を干渉効果により低下させても、透過率は増加しない(表5参照)。
Figure 2014119568
Figure 2014119568
Figure 2014119568
こうして調製した暈し着色レンズは、染色のような濃淡着色(ダーク調)を顕現する暈し着色部を有することが確認できた。また、裏側は淡いマゼンタであった。
なお、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に記載の範囲内で各種態様に及ぶもので、上記実施形態又は実施例に限定されるものではない。
11 レンズ基材
11a 表側基材
11b 裏側基材
13 偏光フィルム
15A 表側傾斜多層膜
15B 裏側傾斜多層膜
16A 表側均一膜
16B 裏側均一膜
G 暈し着色部
D 暈し着色部濃色部
m1、m2 傾斜金属層
d´、d1、d2 誘電体層

Claims (7)

  1. レンズ基材に、全体透過率の徐変に依存する暈し着色部が、蒸着層からなる傾斜多層膜で形成された暈し着色レンズであって、
    前記傾斜多層膜が、傾斜金属層および誘電体層を備え、前記レンズ基材の厚み方向前後で対応させて複数個配されて、
    前記全体透過率の徐変が、前記各傾斜多層膜の前記傾斜金属層の吸収率に依存されているとともに、前記各傾斜多層膜の反射率が干渉効果により制御されている、
    ことを特徴とする暈し着色レンズ。
  2. 前記複数個の傾斜多層膜のうち、少なくとも表側傾斜多層膜が、誘電体層を介して傾斜金属層を二層以上備えていることを特徴とする請求項1記載の暈し着色レンズ。
  3. 前記表側傾斜多層膜における観察側の傾斜金属層が非観察側の傾斜金属層より薄いことを特徴とする請求項2記載の暈し着色レンズ。
  4. 前記複数個の傾斜多層膜のうち、表側傾斜多層膜が前記レンズ基材の表側でミラー調反射が顕現しないように、裏側傾斜多層膜が反射防止膜となるように、それぞれ反射率が制御されている、ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の暈し着色レンズ。
  5. 前記レンズ基材が、偏光フィルム、着色フィルム又は基材着色により基材透過率が低くされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の暈し着色レンズ。
  6. 前記複数個の傾斜多層膜のうち、表側傾斜多層膜はその反射率が最大値18%以下に、前記裏側傾斜多層膜はその反射率が最大値3%以下になるようにそれぞれ反射率が制御されているとともに、濃色部の全体透過率が3.5%以下とされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の暈し着色レンズ。
  7. 透明基材に、全体透過率の徐変に依存する暈し着色部が、蒸着層からなる傾斜多層膜で形成された暈し着色製品であって、
    前記傾斜多層膜が、傾斜金属層および誘電体層を備え、前記レンズ基材の厚み方向前後で対応させて複数個配されて、
    前記全体透過率の徐変が、前記各傾斜多層膜の前記傾斜金属層の吸収率に依存されているとともに、前記各傾斜多層膜の反射率が干渉効果により制御されている、
    ことを特徴とする暈し着色製品。
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