JP2014118919A - 多気筒エンジン - Google Patents

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大 田中
Kazuyoshi Nakane
一芳 中根
Takayuki Shirota
貴之 城田
Kinya Inoue
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Abstract

【課題】ノッキングの発生を抑制しつつ熱効率を高めることができる多気筒エンジンを提供する。
【解決手段】複数の気筒と、これら複数の気筒に接続される吸気通路と、特定気筒の排気ガスを吸気通路に還流させるEGR通路と、を備え、EGR通路の一端側が、特定気筒の排気行程中に吸気行程以外を実行する所定気筒の近傍に接続されている構成とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数の気筒を備える多気筒エンジンに関する。
エンジン(内燃機関)の理論サイクルであるオットーサイクルでは、その理論熱効率が、エンジンの圧縮比と燃焼ガスの比熱比によって決定され、圧縮比が高いほど熱効率が向上することが知られている。そこで、自動車等の車両に搭載される多気筒エンジンにおいても、この理論に従って、多気筒エンジンの圧縮比を高めることで熱効率を高めるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−292051号公報
しかしながら、車両に搭載される多気筒エンジンの圧縮比を高めた場合、熱効率を高めることができる反面、ノッキングが発生し易くなる虞がある。これに対し、例えば、特許文献1に係る発明では、点火タイミングを遅角することでノッキングの発生を抑制しているが、点火タイミングの遅角は熱効率の低下を伴う。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ノッキングの発生を抑制しつつ熱効率を高めることができる多気筒エンジンを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、複数の気筒と、これら複数の気筒に接続される吸気通路と、一端側が前記吸気通路に接続されると共に他端側が特定気筒に繋がる排気通路に接続され、前記特定気筒の排気ガスを前記吸気通路に還流させるEGR通路と、
を備え、前記EGR通路の一端側が、前記特定気筒の排気行程中に吸気行程以外を実行する所定気筒の近傍に接続されていることを特徴とする多気筒エンジンにある。
かかる第1の態様では、EGR通路から吸気通路に還流された排ガス(EGRガス)が特定気筒以外の気筒内に入るまでの時間を確保して、各気筒に均等にEGRガスを導入させることができる。したがって、特定気筒内の空燃比をリッチにする制御を実行すると共に排ガスを還流させる制御を実行することでエンジンの熱効率が高められる。
本発明の第2の態様は、第1の態様の多気筒エンジンにおいて、前記所定気筒は、前記特定気筒の排気行程後、前記特定気筒を除いて最も遅いタイミングで吸気行程が実行される気筒であることを特徴とする多気筒エンジンにある。
かかる第2の態様では、EGRガスが特定気筒以外の気筒内に入るまでの時間をさらに長く確保して、各気筒により均等にEGRガスを導入することができる。
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様の多気筒エンジンにおいて、複数の各気筒が、直列に配置されており、前記特定気筒と前記所定気筒とが、列の両端にそれぞれ配置されていることを特徴とする多気筒エンジンにある。
かかる第3の態様では、EGR通路から吸気通路に還流された排ガス(EGRガス)が特定気筒に流入するのを抑制して、各気筒に均等にEGRガスを導入することができる。
本発明の第4の態様は、第1から3の何れか一つの態様の多気筒エンジンにおいて、複数の各気筒が、吸気の流れ方向に沿って直列に配置されており、前記特定気筒が前記吸気通路の最も上流側に接続されていることを特徴とする多気筒エンジンにある。
かかる第4の態様では、EGR通路が特定気筒よりも下流側で吸気通路に接続されるため、EGRガスが特定気筒に流入するのをより確実に抑制することができる。
本発明の第5の態様は、第4の態様の多気筒エンジンにおいて、前記所定気筒が前記吸気通路の最も下流側に接続されていることを特徴とする多気筒エンジンにある。
かかる第5の態様では、EGRガスが特定気筒に流入するのをさらに確実に抑制することができる。
本発明の第6の態様は、第1から5の何れか一つの態様の多気筒エンジンにおいて、前記EGR通路の他端側が、前記特定気筒の排気ポート近傍の前記排気通路に接続されていることを特徴とする多気筒エンジンにある。
かかる第6の態様では、特定気筒から排出される排ガスがEGR通路に流れ込み易くなる。
以上のように、本発明に係る多気筒エンジンでは、EGR通路から吸気通路に還流された排ガス(EGRガス)をその他の気筒に良好に導入させることができる。したがって、特定気筒内の空燃比をリッチにする制御を実行すると共に排ガスを還流させる制御を実行することでエンジンの熱効率が高められる。これにより、エンジンの圧縮比を変化させることなくエンジンの熱効率を高めることができる。つまりノッキングの発生を抑制しつつ熱効率を高めることができる。
本発明の一実施形態に係る多気筒エンジンの概略構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る多気筒エンジンの概略構成を示す平面図である。 エンジンの運転領域を設定するマップの一例を示す図である。 各気筒で吸気・圧縮・膨張・排気行程が実施されるタイミングを示す図である。 本発明の一実施形態に係る多気筒エンジンの制御を示すフローチャートである。
以下、本発明に実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、エンジン(内燃機関)10は、複数の気筒を有するシリンダブロック11と、シリンダブロック11上に取り付けられるシリンダヘッド12と、各気筒内に上下摺動可能に収容されたピストン13とを備えている。そして、これらシリンダブロック11、シリンダヘッド12及びピストン13によって燃焼室14が形成されている。なおピストン13は、コンロッド15を介してクランクシャフト16に接続されている。
シリンダヘッド12には、吸気ポート17が形成されている。本実施形態では、各気筒に対応して吸気ポート17が2つずつ設けられている(図2参照)。各吸気ポート17には吸気通路を形成する吸気マニホールド18が接続されており、吸気マニホールド18には吸気管19が接続されている。吸気ポート17には吸気弁20が設けられており、この吸気弁20によって吸気ポート17が開閉されるようになっている。さらに、シリンダヘッド12には、排気ポート21が形成されている。この排気ポート21には排気通路を形成する排気マニホールド22が接続されており、排気マニホールド22には排気管23が接続されている。なお排気ポート21には、排気弁24が設けられており、吸気ポート17と同様、この排気弁24によって排気ポート21が開閉されるようになっている。
また吸気管19には、吸入空気量を調整するスロットルバルブ25が設けられており、併せてスロットルバルブ25の開度を検出するスロットルポジションセンサ(TPS)26が設けられている。さらに、スロットルバルブ25の上流には、吸入空気量を計測するエアフローセンサ27が介装されている。一方、排気管23には、排気浄化用触媒である三元触媒28が介装されている。三元触媒28の上流側には、排ガス中の酸素濃度を検出する空燃比センサ(またはOセンサ)29が設けられている。
またシリンダヘッド12には、各気筒に対応する点火プラグ31が取り付けられている。これらの点火プラグ31は、その先端部が燃焼室14内に臨むように配されている。各点火プラグ31には、高電圧を出力する点火コイル32が接続されている。さらに、シリンダヘッド12には、点火プラグ31と共に燃料噴射弁33が設けられている。各燃料噴射弁33には、燃料バルブを介して燃料タンクを擁した燃料供給装置(図示なし)が接続されている。各燃焼室14内には、燃料タンク内の燃料が各燃料噴射弁33から直接噴射されるようになっている。
ところで、エンジン10は、図2に示すように、複数の気筒を備える多気筒エンジンである。具体的には、エンジン10は第1〜第4の気筒(シリンダ)#1〜#4を備え、これら第1〜第4の気筒#1〜#4が、吸気通路である吸気マニホールド18の下流側から上流側に向かって直列に配置され、それぞれ吸気マニホールド18に接続されている。
吸気マニホールド18には、第1〜第4の気筒#1〜#4のうちの何れかの特定気筒、本実施形態では、第4の気筒#4の排ガスを吸気マニホールド(吸気通路)18に還流させるEGR通路34が接続されている。すなわち、このEGR通路34は、その一端側が吸気マニホールド18に接続されると共に他端側が排気マニホールド(排気通路)22に接続されている。これにより、第4の気筒#4から排出された排ガスがEGR通路34を介して吸気マニホールド18に還流されるようになっている。なおEGR通路34にはEGR弁35が設けられており、このEGR弁35によりEGR通路34が開閉されるようになっている。
図1に戻り、このような構成のエンジン10は、ECU(電子コントロールユニット)40によって総合的な制御が行われる。ECU40は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えている。ECU40の入力側には、上述したTPS26、エアフローセンサ27、空燃比センサ29の他、エンジン10のクランク角を検出するクランク角センサ36、エンジン10の水温を検出する水温センサ37等の各種センサ類が接続されており、ECU40にはこれらセンサ類の検出情報が入力される。一方、ECU40の出力側には、上述の燃料噴射弁33、点火コイル32、スロットルバルブ25等の各種出力デバイスが接続されている。
本発明に係る多気筒エンジンの制御装置は、上記ECU40と各種センサ類とで構成されており、以下に説明するように、エンジン10の運転状態に応じて第4の気筒#4内の少なくとも点火プラグ31の周囲の空燃比がリッチとなるように第4の気筒#4の空燃比を制御するリッチ空燃比制御を実行すると共に、EGR通路34を介して吸気マニホールド18に排ガスを還流させるEGR制御を実行し、且つその際に、三元触媒28に流入する排気の空燃比がストイキとなるよう第1〜第3の気筒の空燃比を制御するストイキ空燃比制御を実行する。これにより、ノッキングの発生や排気の悪化を抑制しつつ、熱効率の向上を図っている。
具体的には、多気筒エンジンの制御装置を構成するECU40は、運転状態検出手段41と、空燃比制御手段42と、EGR制御手段43と、を備えている(図1参照)。
運転状態検出手段41は、クランク角センサ36、TPS26、空燃比センサ29等からの情報に基づいて、エンジン10の運転状態を検出する。本実施形態では、運転状態検出手段41は、エンジン回転数Neと目標トルクTqとから、図3に示すようなマップを参照してエンジン10の運転状態が、上記リッチ空燃比制御を実行する運転領域Aであるか否かを検出する。なおリッチ空燃比制御を実行する運転領域Aは、本実施形態では、低中回転・低中負荷領域に設定されている。
空燃比制御手段42は、運転状態検出手段41によって検出されたエンジン10の運転状態に応じて、各気筒の空燃比を制御する。具体的には、運転状態検出手段41によってエンジン10の運転状態が、運転領域Aであることが検出されると、空燃比制御手段42は、上記リッチ空燃比制御を実行する。すなわち、エンジン10の運転状態に応じて第4の気筒#4内の少なくとも点火プラグ31の周囲の空燃比がリッチとなるように第4の気筒#4の空燃比を制御するリッチ空燃比制御を実行する。本実施形態では、空燃比制御手段42は、第4の気筒#4において成層混合ストイキ燃焼が行われるように空燃比を制御する。空燃比制御手段42は、例えば、圧縮行程で燃料噴射弁33から燃料を噴射させること等により、成層混合気を形成しつつ第4の気筒#4の空燃比はストイキとなるようにする。成層混合ストイキ燃焼が行われる場合、筒内全体としての空燃比はストイキとなるが、吸気と燃料とが十分に混合されていないため、例えば、点火プラグ31の周囲等、筒内の一部にリッチとなる部分が形成される。なお第1〜第3の気筒#1〜#3については、通常の空燃比制御、すなわち予混合ストイキ燃焼が行われるように空燃比が制御される。またエンジン10の運転状態が運転領域A以外である場合には、第1〜第3の気筒#1〜#3と同様、第4の気筒#4も通常の空燃比制御が実行される。
このように第4の気筒#4において成層混合ストイキ燃焼が行われるように空燃比を制御することで、第4の気筒#4における比熱比を増大させることができる。
背景技術で説明したように、理論熱効率は、エンジンの圧縮比と燃焼ガスの比熱比によって決定される。また比熱比は、燃焼ガス中の3原子分子(CO,HO等)の割合が低下して2原子分子の割合が増加(CO,H等)することに起因して増加する。予混合ストイキ燃焼を成層混合ストイキ燃焼に切り替えた場合、完全燃焼しなくなるため燃焼ガス中の3原子分子が減少して2原子分子(CO,H等)が増加する。したがって、第4の気筒#4における予混合ストイキ燃焼を成層混合ストイキ燃焼に切り替えることで、比熱比が増大する。
EGR制御手段43は、空燃比制御手段42によって上記リッチ空燃比制御が実行された際に、第4の気筒#4から排出された排ガスを、EGR通路34を介して吸気マニホールド18に導入させるEGR制御を実行する。すなわち第4の気筒#4から排出された排ガス(EGRガス)を、第1〜第3の気筒#1〜#3に還流させる。
空燃比制御手段42によってリッチ空燃比制御が実行されると、上述のように第4の気筒#4における比熱比は向上するものの、第4の気筒#4からの排気中の未燃燃料が増加する。このため、リッチ空燃比制御を実行しただけでは熱効率は低下してしまう。しかしながら、上記リッチ空燃比制御が実行される際に、第4の気筒#4から排出される排ガス(EGRガス)を、第1〜第3の気筒#1〜#3に還流させることで、この排ガス中に含まれる未燃燃料を燃焼させている。これにより、リッチ空燃比制御を実行することによる未燃損失(未燃燃料によるエネルギー損失)を回収することができる。すなわちリッチ空燃比制御と共にEGR制御を実行することで、エンジンの熱効率を向上することができる。
三元触媒28が高い浄化効率を発揮するのは理論空燃比(ストイキ)で混合されたガスが燃焼した場合に限られる。このため、空燃比制御手段42は、EGR制御手段43によって上記EGR制御が実行される際、排気空燃比がストイキとなるように第1〜第3の気筒#1〜#3の空燃比をフィードバック制御する。なおここでいう排気空燃比とは、第1〜第4の気筒#1〜#4から排出された排ガスを混合した後の排ガス組成から算出された空燃比、つまり三元触媒28に流入する排ガスから算出された空燃比であり、本実施形態では、排気管23に備えられた空燃比センサの検出結果等から求められる。
本実施形態では、エンジン10の運転状態が運転領域Aにある場合でも、空燃比制御手段42は、第1〜第3の気筒#1〜#3については通常の空燃比制御を実行する。すなわち第1〜第3の気筒#1〜#3においては、予混合ストイキ燃焼が行われるように空燃比が制御(補正)される。例えば、EGR制御が実行された直後等は、EGRガスに含まれている未燃燃料の分だけ、第1〜第3の気筒#1〜#3に対応する各燃料噴射弁33から噴射される燃料量が適宜減少される。これにより、排気空燃比がストイキとなるため、排気管23を流れる排ガスを三元触媒28によって良好に浄化することができる。
ところで、上述のようなEGR制御を実行するにあたり、EGR通路34の排気マニホールド22との接続位置は、第4の気筒#4から排出された排ガスがEGR通路34に流入する位置であればよいが、第4の気筒#4の排気ポート21近傍であることが好ましい。これにより、第4の気筒#4から排出される排ガスがEGR通路34に流れ込み易くなる。したがって、第1〜第3の気筒#1〜#3と第4の気筒#4とで排気通路を独立させなくても、第4の気筒#4からの排ガスを、EGR通路34を介して吸気マニホールド18に確実に導入させることができる。
なお、排気マニホールド22の第3の気筒#3と第4の気筒#4との間の部分にEGR弁を設け、EGR制御を実行する際にこのEGR弁を閉弁させるようにしてもよい。このような構成とすることで、EGR通路34の排気マニホールド22との接続位置に拘わらず、第4の気筒#4からの排ガスをEGR通路34を介して吸気マニホールド18に確実に導入させることができる。
一方、EGR通路34の吸気マニホールド18との接続位置は、吸気マニホールド18に導入された排ガス(EGRガス)が、第4の気筒#4に戻されることなく、その他の気筒、つまり第1〜第3の気筒#1〜#3に還流される位置であることが望ましい。しかし、EGR通路34の吸気マニホールド18との接続位置は、第4の気筒#4の排気行程中に吸気行程以外を実行する所定気筒の近傍であることが好ましい。
第1〜第4の気筒#1〜#4における吸気・圧縮・膨張・排気の各行程が、例えば、図4に示すタイミングで実施される場合、EGR通路34の一端側は、第3の気筒#3以外の気筒の近傍に接続されていることが好ましい。すなわち、図4の例では、第4の気筒#4の排気行程中に第3の気筒#3の吸気行程が実行され、その後、第2の気筒#2、第1の気筒#1の順で吸気行程が実行されているため、EGR通路34の一端側は、第2の気筒#2又は第1の気筒#1の近傍に接続されていることが好ましい。
本実施形態では、EGR通路34は、第4の気筒#4の排気行程後、最も遅いタイミング(#4を除く)で吸気行程が実行される第1の気筒#1の近傍で、吸気マニホールド18に接続されている(図2参照)。
このような構成とすることで、EGR通路34を介して吸気マニホールド18に導入された排ガス(EGRガス)が、第1〜第3の気筒#1〜#3に流入するまでの時間を確保できる。したがって、各気筒にEGRガスを均等に導入させることができる。またEGRガスが第4の気筒#4に戻されるのを抑制して、第1〜第3の気筒#1〜#3に良好に還流させることができる。
さらに本実施形態では、第1〜第4の気筒#1〜#4が、直列に配置されており、その両端に配置されている第4の気筒#4の近傍及び第1の気筒#1の近傍に、EGR通路34の両端がそれぞれ接続されている。また、特定気筒である第4の気筒#4は、吸気マニホールド18の最も上流側に配置され、EGR通路34と吸気マニホールド18との接続位置は、最も下流側に位置する第1の気筒#1の近傍としている。
このような構成とすることで、第1〜第3の気筒#1〜#3と第4の気筒#4とで吸気通路を独立させなくても、吸気マニホールド18に導入された排ガス(EGRガス)を第1〜第3の気筒#1〜#3により確実に還流させることができる。
以下、図5のフローチャートを参照して本実施形態に係る多気筒エンジンの制御について説明する。
まずエンジン10が始動されると、所定のタイミングで上述した各種センサ類からの情報が取得される(ステップS1)。例えば、エンジン10の冷却水温Tw、エンジン回転数Ne、アクセル開度θaps及び吸入空気量Mairの各情報が取得される。次いで、これらの情報に基づいて目標トルクが算出される(ステップS2)。具体的には、エンジン回転数Neとアクセル開度θapsとから目標トルクTq_objが算出される。
次にステップS3で、エンジン10の運転状態がリッチ空燃比制御の実行条件を満たしているか否かが判定される。本実施形態では、エンジンの冷却水温Twが所定温度Tw_H以上であること、及びエンジン10の運転状態が運転領域A(図3参照)であることを実行条件としている。エンジン10の運転状態が運転領域Aであるか否かは、エンジン回転数Neと目標トルクTq_objとから判断される。すなわち、現在のエンジン回転数Ne1が下限値Ne_L以上であり上限値Ne_Hよりも小さく、且つそのときの目標トルクTq_objが下限値Tq_L以上であり上限値Tq_Hよりも小さい場合に、エンジン10の運転状態が運転領域Aであると判定される。
ここで、実行条件を満たしていないと判定された場合には(ステップS3:No)、リッチ空燃比制御は実行されることなく、通常の空燃比制御が実行(継続)される(ステップS4)。すなわち、第1〜第4の気筒#1〜#4において、予混合ストイキ燃焼が行われるように空燃比がフィードバック制御される。
一方、ステップS3で実行条件を満たしていると判定された場合には(ステップS3:Yes)、ステップS5に進み、上述したリッチ空燃比制御が実行される。具体的にはステップS5で、第1〜第4の気筒#1〜#4における目標空燃比とEGR導入量が設定される。すなわち第1〜第4の気筒#1〜#4における目標空燃比(ストイキ)AF_objが設定され、目標EGR導入量REGR_objが設定される。次にステップS6に進み、第1〜第4の気筒#1〜#4における燃料の目標噴射時期が設定される。すなわち、成層混合ストイキ燃焼が行われる第4の気筒#4における燃料の目標噴射時期TINJs_objと、予混合ストイキ燃焼が行われる第1〜第3の気筒#1〜#3における燃料の目標噴射時期TINJh_objとを、例えば、所定のマップから読み込んで設定する。次いで、吸入空気量Mairと目標EGR導入量REGR_objとから第1〜第3の気筒#1〜#3における目標燃料噴射量Mhfuel_objと第4の気筒#4における目標燃料噴射量Msfuel_objとを算出して設定する(ステップS7)。
次に、ステップS8に進み、上述したEGR制御が実行される。具体的には、目標EGR導入量REGR_objとなるように、EGR弁35の目標バルブ開度PEGRが、例えば、エンジン回転数Ne、吸入空気量Mair等に基づいて演算されて設定される。
次いでステップS9に進み、空燃比センサ29の検出結果から排ガスの実空燃比(排気空燃比)A/F_realが取得され、この排気空燃比A/F_realに基づいて、第1〜第4の気筒#1〜#4における燃料噴射量のフィードバック制御が実行される(ステップS10)。すなわち、排気空燃比A/F_realがリッチである場合には、第1〜第4の気筒#1〜#4における目標燃料噴射量Mhfuel_obj,Msfuel_objが減量され、排気空燃比A/F_realがリーンである場合には、第1〜第4の気筒#1〜#4における目標燃料噴射量Mhfuel_obj,Msfuel_objが増量される。その後、ステップS1に戻り、上述した一連の処理が繰り返される。
以上説明したように本実施形態に係る多気筒エンジンの制御装置によれば、エンジンの圧縮比を変化させずに、特定気筒である第4の気筒内の空燃比を制御すると共にその排ガスを還流させることで熱効率を高めることができる。したがって、ノッキングの発生を抑制しつつ熱効率を高めることができる。さらには、排気空燃比がストイキとなるようにしているため、排ガスを三元触媒によって良好に浄化することができる。
なお、本実施形態では、第4の気筒#4では成層混合ストイキ燃焼が行われるようにし、且つ第1〜第3の気筒#1〜#3では予混合ストイキ燃焼が行われるようにすることで、排気空燃比がストイキとなるようにしたが、排気空燃比をストイキとする方法は、これに限定されるものではない。例えば、特定気筒である第4の気筒#4では空燃比をリッチとすると共に、特定気筒以外の少なくとも一つの気筒、例えば、第1〜第3の気筒#1〜#3の空燃比をリーンにすることで、排気空燃比がストイキとなるようにしてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、第4の気筒に対してリッチ空燃比制御及びEGR制御を実行するようにしたが、勿論、他の気筒に対して実行するようにしてもよい。また、上述の実施形態では、1つの気筒に対してリッチ空燃比制御等を実行するようにしたが、排気空燃比をストイキに制御することができれば、勿論、複数の気筒に対してリッチ空燃比制御等を実行するようにしてもよい。
また上述の実施形態では、直列4気筒エンジンを例示したが、必ずしも直列でなくてもよく、気筒の数も特に限定されるものではない。また上述の実施形態では、筒内噴射型のエンジンを例示したが、本発明は、吸気管噴射型のエンジン等、他のタイプの多気筒エンジンにも採用することができる。
10 エンジン
11 シリンダブロック
12 シリンダヘッド
13 ピストン
14 燃焼室
15 コンロッド
16 クランクシャフト
17 吸気ポート
18 吸気マニホールド
19 吸気管
20 吸気弁
21 排気ポート
22 排気マニホールド
23 排気管
24 排気弁
25 スロットルバルブ
26 スロットルポジションセンサ(TPS)
27 エアフローセンサ
28 三元触媒
29 空燃比センサ
31 点火プラグ
32 点火コイル
33 燃料噴射弁
34 EGR通路
35 EGR弁
36 クランク角センサ
37 水温センサ

Claims (6)

  1. 複数の気筒と、
    これら複数の気筒に接続される吸気通路と、
    一端側が前記吸気通路に接続されると共に他端側が特定気筒に繋がる排気通路に接続され、前記特定気筒の排気ガスを前記吸気通路に還流させるEGR通路と、
    を備え、
    前記EGR通路の一端側が、前記特定気筒の排気行程中に吸気行程以外を実行する所定気筒の近傍に接続されていることを特徴とする多気筒エンジン。
  2. 請求項1に記載の多気筒エンジンにおいて、
    前記所定気筒は、前記特定気筒の排気行程後、前記特定気筒を除き最も遅いタイミングで吸気行程が実行される気筒であることを特徴とする多気筒エンジン。
  3. 請求項1又は2に記載の多気筒エンジンにおいて、
    複数の各気筒が、直列に配置されており、
    前記特定気筒と前記所定気筒とが、列の両端にそれぞれ配置されていることを特徴とする多気筒エンジン。
  4. 請求項1から3の何れか一項に記載の多気筒エンジンにおいて、
    複数の各気筒が、吸気の流れ方向に沿って直列に配置されており、
    前記特定気筒が前記吸気通路の最も上流側に接続されていることを特徴とする多気筒エンジン。
  5. 請求項4に記載の多気筒エンジンにおいて、
    前記所定気筒が前記吸気通路の最も下流側に接続されていることを特徴とする多気筒エンジン。
  6. 請求項1から5の何れか一項に記載の多気筒エンジンにおいて、
    前記EGR通路の他端側が、前記特定気筒の排気ポート近傍の前記排気通路に接続されていることを特徴とする多気筒エンジン。
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