JP2014116219A - 色収差補正装置および電子顕微鏡 - Google Patents

色収差補正装置および電子顕微鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】負の色収差を効率的に発生させて、収差を補正することができる色収差補正装置を提供する。
【解決手段】色収差補正装置100は、第1多極子110は、光軸OAに沿って配置されている第1部分110a、第2部分110b、および第3部分110cを有し、第1部分110a、第2部分110b、および第3部分110cの各々は、厚みを有し、電場四極子場と磁場四極子場とを重畳した四極子場を発生させ、第1部分110aは、磁場四極子場に比べて電場四極子場が強く設定され、第2部分110bは、電場四極子場に比べて磁場四極子場が強く設定され、第3部分110cは、磁場四極子場に比べて電場四極子場が強く設定され、第2部分110bで発生する二回非点成分は、第1部分110aおよび第3部分110cで発生する二回非点成分と逆符号であり、第2の電磁場は、第1の電磁場を光軸まわりに90°回転させた場である。
【選択図】図3

Description

本発明は、色収差補正装置および電子顕微鏡に関する。
透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)等の電子顕微鏡において、色収差は分解能低下要因の一つである。色収差を補正することにより、分解能が向上する。
例えば、特許文献1には、電子線の光軸に沿って厚みを有し、電磁場を発生させる2つ多極子を用いて色収差を補正する色収差補正装置が開示されている。特許文献1の色収差補正装置では、負の色収差を発生させて対物レンズの正の色収差を相殺することによって、対物レンズの色収差を補正している。
具体的には、特許文献1の色収差補正装置は、荷電粒子線の光軸に沿って第一の厚みを有し二回対称の第一の静電磁場を発生させる第一多極子と、前記光軸に沿って第二の厚みを有し二回対称の第二の静電磁場を発生させる第二多極子と、第一多極子と第二多極子との間に配置されている転送レンズと、を備え、第一の静電磁場および第二の静電磁場は、その荷電粒子線に対して磁場的二回非点収差を、所定の条件の範囲で、互いに相殺することを特徴としている。第一多極子および第二多極子では、厚みを持った四極子場のコンビネーションアベレーションにより凹レンズ効果を発生させている。
特開2010−114068号公報
特許文献1の色収差補正装置では、多極子に磁場に加えて電場も用いている。例えば、このような多極子において、電場のチャージや微量な電圧不安定性は最終的に得られる電子顕微鏡の分解能を低減させる大きな原因となる。電場は、多極子の光軸方向の長さ(厚み)が大きいほど、これらのノイズ成分を受ける距離が伸びるため、電子線に対する擾乱が増加する。そのため、多極子の長さを短くすることが分解能の向上につながる。多極子の長さを短くして分解能を向上させるためには、負の色収差を効率的に発生させることが必要となる。
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、負の色収差を効率的に発生させて、収差を補正することができる色収差補正装置を提供することにある。
(1)本発明に係る色収差補正装置は、
電子顕微鏡用の色収差補正装置であって、
第1の電磁場を発生させる第1多極子と、
第2の電磁場を発生させる第2多極子と、
を含み、
前記第1多極子は、光軸に沿って配置されている第1部分、第2部分、および第3部分を有し、
前記第1部分、前記第2部分、および前記第3部分の各々は、電子線の進行方向に対し
て厚みを有し、電場四極子場と磁場四極子場とを重畳した四極子場を発生させ、
前記第1部分は、磁場四極子場に比べて電場四極子場が強く設定され、
前記第2部分は、電場四極子場に比べて磁場四極子場が強く設定され、
前記第3部分は、磁場四極子場に比べて電場四極子場が強く設定され、
前記第2部分で発生する二回非点成分は、前記第1部分および前記第3部分で発生する二回非点成分と逆符号であり、
前記第2の電磁場は、前記第1の電磁場を光軸まわりに90°回転させた場である。
このような色収差補正装置によれば、第1多極子の3つの部分で電子線の軌道を大きく変化させることができるため、例えば多極子が1段の場合と比べて、色収差を効率的に発生させることができる。
(2)本発明に係る色収差補正装置において、
前記第1の電磁場の電場四極子場成分は、前記光軸に沿って、一定であってもよい。
このような色収差補正装置によれば、簡易な構成で、電場四極子場を発生させることができる。
(3)本発明に係る色収差補正装置において、
前記第1多極子は、前記第1部分から前記第3部分まで延出している複数の電極を有し、
前記複数の電極は、前記第1部分、前記第2部分、および前記第3部分に一定の電場四極子場を発生させてもよい。
このような色収差補正装置によれば、簡易な構成で、電場四極子場を発生させることができる。
(4)本発明に係る色収差補正装置において、
前記第1多極子と前記第2多極子との間に配置されている転送レンズを含んでいてもよい。
(5)本発明に係る色収差補正装置において、
前記第1の電磁場に、四回対称の電場または四回対称の磁場を重畳させる第3多極子と、
前記第2の電磁場に、四回対称の電場または四回対称の磁場を重畳させる第4多極子と、
を含んでいてもよい。
(6)本発明に係る色収差補正装置において、
前記第1の電磁場に、三回対称の電場または三回対称の磁場を重畳させる第3多極子と、
前記第2の電磁場に、三回対称の電場または三回対称の磁場を重畳させる第4多極子と、
を含んでいてもよい。
(7)本発明に係る色収差補正装置において、
前記第1部分および前記第3部分は、凹レンズ作用を有し、
前記第2部分は、凸レンズ作用を有してもよい。
(8)本発明に係る電子顕微鏡は、
本発明に係る色収差補正装置を含む。
このような電子顕微鏡によれば、本発明に係る色収差補正装置を含むため、第1多極子の長さを短く(厚みを小さく)することができ、分解能を向上させることができる。
第1実施形態に係る色収差補正装置を搭載する電子顕微鏡の構成を説明するための図。 第1実施形態に係る色収差補正装置の光学系を示す図。 図3(A)は、第1実施形態に係る色収差補正装置の構成を説明するための図であり、図3(B)は、第1実施形態に係る色収差補正装置の各部分における二回非点成分を示す図であり、図3(C)は、第1実施形態に係る色収差補正装置の各部分で発生するレンズ効果を示す図であり、図3(D)は、第1実施形態に係る色収差補正装置の第1多極子および第2多極子で発生する色二回非点成分を示す図である。 第1実施形態に係る色収差補正装置の第1多極子の第1部分を模式的に示す平面図。 図5(A)は、第1実施形態に係る色収差補正装置の第1多極子の電極を模式的に示す斜視図であり、図5(B)は、第1実施形態に係る色収差補正装置の第1多極子の磁極を模式的に示す斜視図である。 四極の電極が発生させる電場四極子場から、電子線が受ける力を説明するための図。 四極の磁極が発生させる磁場四極子場から、電子線が受ける力を説明するための図 第1実施形態に係る色収差補正装置の第2多極子の第1部分を模式的に示す平面図。 第1実施形態に係る色収差補正装置の第1多極子内および第2多極子内の電子線の軌道を示す模式図。 第1実施形態の第1変形例に係る色収差補正装置の光学系を示す図。 図11(A)は、第1実施形態の第1変形例に係る色収差補正装置の構成を説明するための図であり、図11(B)は、第1実施形態の第1変形例に係る色収差補正装置の各部分における二回非点成分を示す図であり、図11(C)は、第1実施形態の第1変形例に係る色収差補正装置の各部分で発生するレンズ効果を示す図であり、図11(D)は、第1実施形態の第1変形例に係る色収差補正装置の第1多極子および第2多極子で発生する色二回非点成分を示す図である。 第1実施形態の第2変形例に係る色収差補正装置の光学系を示す図。 第1実施形態の第3変形例に係る色収差補正装置の光学系を示す図。 第1実施形態の第4変形例に係る色収差補正装置の第1多極子を模式的に示す平面図。 第1実施形態の第4変形例に係る色収差補正装置の第1多極子の極を模式的に示す斜視図。 第2実施形態に係る電子顕微鏡の構成を説明するための図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 第1実施形態
1.1. 色収差補正装置の構成
まず、第1実施形態に係る色収差補正装置の構成について、図面を参照しながら説明す
る。第1実施形態に係る色収差補正装置は、電子顕微鏡用の色収差補正装置である。ここで、電子顕微鏡とは、観察対象に電子(電子線)を当てて拡大する顕微鏡であり、例えば、透過電子顕微鏡(TEM)、走査型透過電子顕微鏡(STEM)、走査電子顕微鏡(SEM)等である。
図1は、第1実施形態に係る色収差補正装置100を搭載する電子顕微鏡10の構成を説明するための図である。ここでは、色収差補正装置100を透過電子顕微鏡に搭載した場合について説明する。すなわち、色収差補正装置100は、透過電子顕微鏡用の色収差補正装置である。
電子顕微鏡10は、電子銃11と、高圧制御部12と、集束レンズ13と、対物レンズ14と、試料ステージ15と、色収差補正装置100と、中間・投影レンズ16と、観察室17と、を含んで構成されている。電子顕微鏡10では、色収差補正装置100を、結像系の収差補正装置として用いている。
電子銃11は、高圧制御部12によって高圧電源が制御されて、電子線を発生させる。
集束レンズ13は、電子銃11で発生した電子線を集束する。集束レンズ13で集束された電子線は、対物レンズ14および試料ステージ15に至る。集束レンズ13は、試料ステージ15上の試料に電子線を照射するための照射系(照射レンズ系)を構成している。
対物レンズ14は、試料を透過した電子線で結像するための初段のレンズである。試料ステージ15は、試料を保持している。試料を透過した電子線は、色収差補正装置100に入射する。対物レンズ14と色収差補正装置100との間には、対物ミニレンズ141,142(図2参照)が配置されていてもよい。
色収差補正装置100は、対物レンズ14の色収差を補正する。色収差補正装置100の詳細については後述する。色収差補正装置100で色収差が補正された電子線は、中間・投影レンズ16に至る。
中間・投影レンズ16は、対物レンズ14ともに、試料を透過した電子線で結像するための結像系(結像レンズ系)を構成している。中間・投影レンズ16は、観察室17内のカメラ(図示せず)上に結像する。
電子顕微鏡10では、色収差補正装置100を含むため、結像系(対物レンズ14)の色収差を補正することができる。したがって、電子顕微鏡10は、高い分解能を有することができる。
図2は、色収差補正装置100の光学系を示す図である。図2に示すように、試料Sを透過した電子線EBは、対物レンズ14、対物ミニレンズ141,142を通過して色収差補正装置100に入射する。対物ミニレンズ141,142は、対物レンズ14、および中間・投影レンズ16とともに結像系を構成している。
色収差補正装置100は、対物レンズ14(対物ミニレンズ141,142)の後段に配置されている。色収差補正装置100は、第1多極子110と、第2多極子120と、を含む。色収差補正装置100は、さらに、転送レンズ130を含むことができる。
色収差補正装置100では、電子線EBの進行方向に向かって、第1多極子110、転送レンズ130、第2多極子120の順で配置されている。電子線EBは、第1多極子1
10に入射し、転送レンズ130を通って、第2多極子120から射出される。
図3は、色収差補正装置100の第1多極子110および第2多極子120について説明するための図である。図3(A)は、色収差補正装置100の構成を説明するための図である。図3(A)では、電子線EBのX軸方向の典型的なビーム軌道としてX軌道EBxを示し、電子線EBのY軸方向の典型的なビーム軌道としてY軌道EByを示している。なお、X軸およびY軸は、光軸OAに垂直な軸であり、互いに直交する軸である。図3(B)は、多極子110,120の各部分110a,110b,110c,120a,120b,120cにおける二回非点成分を示す図である。図3(C)は、多極子110,120の各部分110a,110b,110c,120a,120b,120cで発生するレンズ効果を示す図である。図3(D)は、第1多極子110および第2多極子120で発生する色二回非点成分を示す図である。
第1多極子110は、図3(A)に示すように、光軸OAに沿って3つの部分(1段目(第1部分)110a、2段目(第2部分)110b、3段目(第3部分)110c)に分かれている。ここで、光軸OAは、多極子110および多極子120の中心となる軸である。光軸OAは、例えば、多極子110および多極子120をレンズ(多極子レンズ)としたときのレンズの中心となる軸である。電子線EBは、第1部分110aに入射し、第2部分110bを通って第3部分110cから射出する。
第1多極子110は、第1の電磁場を発生させる。第1多極子110の3つの部分110a,110b,110cの各々は、電場四極子場(二回対称の電場)と磁場四極子場(二回対称の磁場)とを重畳して電磁場重畳の四極子場(二回対称の電磁場)を発生させる。第1多極子110の3つの部分110a,110b,110cが発生させる電磁場重畳の四極子場によって、第1の電磁場が形成される。すなわち、第1の電磁場は、光軸OAに沿って並ぶ各部分110a,110b,110cがつくる電磁場重畳の四極子場によって構成されている。
以下、第1多極子110の3つの部分110a,110b,110cについて詳細に説明する。
まず、第1多極子110の第1部分(1段目)110aについて説明する。図4は、第1多極子110の第1部分110aを模式的に示す平面図である。
第1多極子110の第1部分110aは、光軸OAの周囲に規則的に配列された複数の電極および複数の磁極を有する。図示の例では、第1部分110aは、光軸OAの周囲に配列された、四極の電極112a〜112dと、四極の磁極114a〜114dと、を有している。
各電極112a〜112dは、光軸OAに垂直な平面(XY平面)上で90度ごとに振り分けられて配置されている。また、各電極112a〜112dの印加電圧の絶対値は互いに等しく、極性のみが交互に変わっている。四極の電極112a〜112dは、電場四極子場を発生させる。
各磁極114a〜114dは、光軸OAに垂直な平面(XY平面)上で90度ごとに振り分けられて配置されている。各磁極114a〜114dには、巻き数Nの励磁コイル(図示せず)が各磁極114a〜114dの後端部(図示せず)に装着され、この励磁コイルに電流Iが流れるようになっている。したがって、各磁極の起磁力はNIとなる。各励磁コイルには、個別に電流源(図示せず)と接続されており、その起磁力は任意に設定される。図示の例では、各磁極114a〜114dの起磁力は互いに等しく、極性のみが交
互に変わっている。四極の磁極114a〜114dは、磁場四極子場を発生させる。
図6は、四極の電極112a〜112dが発生させる電場四極子場から電子線EBが受ける力を説明するための図である。
図6に示すように、四極の電極112a〜112dが発生させる電場四極子場は、電子線EBに対して、X軸方向に収束作用を持ち、Y軸方向に発散作用を持つ。したがって、電子線EBは、電場四極子場から力Fを受けることによって、X軸方向に収束し、Y軸方向に発散する。
図7は、四極の磁極114a〜114dが発生させる磁場四極子場から電子線EBが受ける力を説明するための図である。
図7に示すように、四極の磁極114a〜114dが発生させる磁場四極子場は、電子線EBに対して、X軸方向に発散作用を持ち、Y軸方向に収束作用を持つ。したがって、電子線EBは、磁場四極子場から力Fを受けることによって、X軸方向に発散し、Y軸方向に収束する。
第1部分110aでは、電場四極子場と磁場四極子場とを重畳して四極子場(電磁場重畳四極子場)を発生させる。第1部分110aでは、電場四極子場によって電子線EBが受ける力Fと磁場四極子場によって電子線EBが受ける力Fとが、互いに相殺する方向に加えられる。
ここで、第1部分110aは、磁場四極子場に比べて電場四極子場が強く設定される。すなわち、第1部分110aでは、磁場四極子場によって電子線EBが受ける力Fよりも、電場四極子場によって電子線EBが受ける力Fが大きく設定される(F<F)。これにより、電子線EBに二回非点成分を与え、軌道を変化させる。より具体的には、第1部分110aは、図3(A)および図3(B)に示すように、電子線EBのY軌道EByに二回非点の発散方向の成分を与え、電子線EBのX軌道EBxに二回非点の収束方向の成分を与える。
また、第1部分110aは、電子線EBの進行方向に対して厚みを有している。より具体的には、第1部分110aは、多極子場のプライマリー項以外の高次項による場によってコンビネーションアベレーションが発生する厚みを有している。そのため、第1部分110aでは、コンビネーションアベレーションにより負の色収差が発生する。また、第1部分110aは、図3(C)に示すように、コンビネーションアベレーションにより電子線EBに対して凹レンズ作用を生じさせる。すなわち、第1部分110aは、電子線EBに対する凹レンズ作用を有している。この原理については、後述する。
ここで、コンビネーションアベレーションとは、ある場所で発生した収差(収差1)がある距離伝搬することにより入射点が変わり、別の収差(収差2)の影響を受けたとき、収差1と収差2の組み合わせにより生まれる組み合わせ収差のことである。
次に、第1多極子110の第2部分(2段目)110bについて説明する。第2部分110bの構成は、図4に示す第1部分110aの構成と同様である。すなわち、第1多極子110の第2部分110bは、光軸OAの周囲に配列された、四極の電極112a〜112dと、四極の磁極114a〜114dと、を有している。
第2部分110bでは、電場四極子場に比べて磁場四極子場が強く設定される。すなわち、第2部分110bでは、電場四極子場によって電子線EBが受ける力Fよりも、磁
場四極子場によって電子線EBが受ける力Fが大きく設定される(F<F)。これにより、第2部分110bは、第1部分110aで発生する二回非点成分とは逆符号の二回非点成分を発生させる。すなわち、第2部分110bでは、第1部分110aとは、逆向きの四極子場を電子線に与える。より具体的には、第2部分110bは、図3(A)および図3(B)に示すように、電子線EBのY軌道EByに二回非点の収束方向の成分を与え、電子線EBのX軌道EBxに二回非点の発散方向の成分を与える四極子場を発生させる。これにより、第2部分110bは、図3(A)に示すように、発散成分を持ったY軌道EByを逆向きに押し戻して二回非点成分を減少させ、かつ、X軌道EBxの二回非点の収束成分を弱める。
また、第2部分110bは、第1部分110aと同様に、電子線EBの進行方向に対して厚みを有している。そのため、第2部分110bでは、コンビネーションアベレーションにより負の色収差が発生する。また、第2部分110bは、図3(C)に示すように、コンビネーションアベレーションにより電子線EBに対して凸レンズ作用を生じさせる。すなわち、第2部分110bは、電子線EBに対する凸レンズ作用を有している。
次に、第1多極子110の第3部分(3段目)110cについて説明する。第3部分110cの構成は、図4に示す第1部分110aの構成と同様である。すなわち、第1多極子110の第3部分110cは、光軸OAの周囲に配列された、四極の電極112a〜112dと、四極の磁極114a〜114dと、を有している。
第3部分110cでは、第1部分110aと同様に、磁場四極子場に比べて電場四極子場が強く設定される。すなわち、第3部分110cでは、磁場四極子場によって電子線EBが受ける力Fよりも、電場四極子場によって電子線EBが受ける力Fが大きく設定される(F<F)。これにより、第3部分110cは、第1部分110aと同様に、電子線EBに二回非点成分を与え、軌道を変化させる。より具体的には、第3部分110cは、図3(A)および図3(B)に示すように、電子線EBのY軌道EByに二回非点の発散方向の成分を与え、電子線EBのX軌道EBxに二回非点の収束方向の成分を与える。これにより、第1多極子110から射出される電子線EBの二回非点成分をなくす(低減する)ことができる。
また、第3部分110cは、第1部分110aと同様に、電子線EBの進行方向に対して厚みを有している。そのため、第3部分110cでは、コンビネーションアベレーションにより負の色収差が発生する。また、第3部分110cは、図3(C)に示すように、コンビネーションアベレーションにより電子線に対して凹レンズ作用を生じさせる。すなわち、第3部分110cは、電子線EBに対する凹レンズ作用を有している。
第1多極子110において、第1部分110aおよび第3部分110cで発生する電磁場重畳の四極子場の二回非点成分は、第2部分110bで発生する電磁場重畳の四極子場の二回非点成分と逆符号である。また、第1部分110aで発生する電磁場重畳の四極子場は、図示の例では、第3部分110cで発生する電磁場重畳の四極子場と同じである。すなわち、第1部分110aの電磁場重畳の四極子場が電子線に与える作用と第3部分110cの電磁重畳の四極子場が電子線に与える作用とは、同じである。
第1多極子110では、図3(A)に示すように、電子線EBのX軌道EBxは、第1多極子110の中心cで光軸OAを横切る。また、第1多極子110では、電子線EBのX軌道EBxは、中心cを対称の中心として、前半部分(入射面から中心cまで軌道)と、後半部分(中心cから射出面までの軌道)は、互いに点対称である。また、第1多極子110では、電子線EBのY軌道EByは、前半部分(入射面から中心cまで軌道)と後半部分(中心cから射出面までの軌道)とが面対称である。このように、第1多極子11
0では、電子線EBの軌道の対称性が良好である。
また、第1多極子110では、図3(A)に示すように、電子線EBの軌道EBx,EByを第1部分110aで大きく変化させた後に、第2部分110bで戻し、最終的に第3部分110cで二回非点成分を打ち消して電子線EBを射出する。このように、第1多極子110では、電子線の軌道EBx,EByを大きく変化させているため、色収差の発生効率が高い。
図5(A)は、色収差補正装置100の第1多極子110の電極112aを模式的に示す斜視図であり、図5(B)は、色収差補正装置100の第1多極子110の磁極114aを模式的に示す斜視図である。
第1多極子110の電極112aは、図5(A)に示すように、第1部分110aから第3部分110cまで延出している。すなわち、電極112aは、各部分110a,110b,110cに共通の電極である。第1多極子110の他の電極112b〜112dについても、電極112aと同様の構成を有している。すなわち、第1多極子110の四極の電極112a〜112dの各々は、第1部分110aから第3部分110cまで延出している。そのため、四極の電極112a〜112dは、第1部分110a、第2部分110b、および第3部分110cに一定の電場四極子場を発生させる。したがって、第1多極子110が発生させる第1の電磁場の電場四極子場成分は、光軸OAに沿って、一定である。
第1多極子110の磁極114aは、図5(B)に示すように、各部分110a,110b,110cで独立している。第1多極子110の他の磁極114b〜114dについても、磁極114aと同様の構成を有している。したがって、第1多極子110では、各部分110a,110b,110cで異なる強さの磁場四極子場を発生させることができる。したがって、第1多極子110では、各部分110a,110b,110cにおいて、電場四極子場を一定とし、磁場四極子場を変化させることで、第1の電磁場を発生させている。具体的には、第1多極子110では、各部分110a,110b,110cの電場四極子場の強さを一定に設定し、第1部分110aおよび第3部分110cの磁場四極子場に比べて、第2部分110bの磁場四極子場を強く設定する。
なお、第1多極子110の各部分110a,110b,110cにおいて、磁極114a〜114dを共通とし、電極112a〜112dを独立させてもよい。これにより、第1多極子110の各部分110a,110b,110cにおいて、磁場四極子場を一定として電場四極子場を変化させて、第1の電磁場を発生させることができる。また、第1多極子110の各部分110a,110b,110cにおいて、磁極114a〜114d、および電極112a〜112dをともに、独立させてもよい。
第2多極子120は、第1の電磁場を光軸OAまわりに90°回転させた第2の電磁場を発生させる。すなわち、第2多極子120では、図3(A)に示すように、X軌道EBxとY軌道EByが第1多極子110に対して対称になるように電場および磁場が設定される。これにより、図3(D)に示すように、第1多極子110で発生した色二回非点成分を、第2多極子120で発生した色二回非点成分で相殺することができる。したがって、色収差補正装置100では、全体として、色二回非点成分をなくすことができる。
第2多極子120は、図3(A)に示すように、光軸OAに沿って3つの部分(1段目(第1部分)120a、2段目(第2部分)120b、3段目(第3部分)120c)に分かれている。第2多極子120において、電子線EBは、第1部分120aに入射し、第2部分120bを通って第3部分120cから射出する。第2多極子120の3つの部
分121,122,123の各々は、電場四極子場と磁場四極子場とを重畳して電磁場重畳の四極子場を発生させる。第2多極子120の3つの部分120a,120b,120cが発生させる電磁場重畳の四極子場によって、第2の電磁場が形成される。すなわち、第2の電磁場は、光軸OAに沿って並ぶ各部分120a,120b,120cがつくる電磁場重畳の四極子場によって構成されている。
以下、第2多極子120の3つの部分120a,120b,120cについて詳細に説明する。
まず、第2多極子120の第1部分(1段目)120aについて説明する。図8は、第2多極子120の第1部分120aを模式的に示す平面図である。
第2多極子120の第1部分120aは、光軸OAの周囲に規則的に配列された複数の電極および複数の磁極を有する。図示の例では、第2多極子120の第1部分120aは、光軸OAの周囲に配列された、四極の電極122a〜122dと、四極の磁極124a〜124dと、を有している。
各電極122a〜122dは、光軸OAに垂直な平面(XY平面)上で90度ごとに振り分けられて配置されている。また、各電極122a〜122dの印加電圧の絶対値は互いに等しく、極性のみが交互に変わっている。四極の電極122a〜122dは、電場四極子場を発生させる。
各磁極124a〜124dは、光軸OAに垂直な平面(XY平面)上で90度ごとに振り分けられて配置されている。また、各磁極124a〜124dには、巻き数Nの励磁コイル(図示せず)が各磁極124a〜124dの後端部(図示せず)に装着され、この励磁コイルに電流Iが流れるようになっている。したがって、各磁極の起磁力はNIとなる。各励磁コイルには、個別に電流源(図示せず)と接続されており、その起磁力は任意に設定される。図示の例では、各磁極124a〜124dの起磁力は互いに等しく、極性のみが交互に変わっている。四極の磁極124a〜124dは、磁場四極子場を発生させる。
第2多極子120の第1部分120aの各極122a〜122d、124a〜124dの物理的な配置は、図8に示すように、第1多極子110の第1部分110a(図4参照)と同様であるが、その極性が逆である。すなわち、第2多極子120の極性は、第1多極子110に対して90度回転している。
ここで、第1部分120aは、磁場四極子場に比べて電場四極子場が強く設定される。すなわち、第1部分120aでは、磁場四極子場によって電子線EBが受ける力F(図6参照)よりも、電場四極子場によって電子線EBが受ける力F(図7参照)が大きく設定される(F<F)。これにより、電子線EBに二回非点成分を与え、軌道を変化させる。より具体的には、第1部分120aは、図3(A)および図3(B)に示すように、電子線EBのX軌道EBxに二回非点の発散方向の成分を与え、電子線EBのY軌道EByに二回非点の収束方向の成分を与える。第2多極子120の第1部分120aが発生させる電磁場重畳の四極子場は、第1多極子110の第1部分110aが発生させる電磁場重畳の四極子場を光軸OAまわりに90°回転させた場である。
また、第1部分120aは、電子線EBの進行方向に対して厚みを有している。より具体的には、第1部分120aは、多極子場のプライマリー項以外の高次項による場によってコンビネーションアベレーションが発生する厚みを有している。そのため、第1部分120aでは、コンビネーションアベレーションにより負の色収差が発生する。また、第1
部分120aは、コンビネーションアベレーションにより電子線に対して凹レンズ作用を生じさせる。すなわち、第1部分120aは、電子線EBに対する凹レンズ作用を有している。
次に、第2多極子120の第2部分(2段目)120bについて説明する。第2部分120bの構成は、図8に示す第1部分120aの構成と同様である。すなわち、第2多極子120の第2部分120bは、光軸OAの周囲に配列された、四極の電極122a〜122dと、四極の磁極124a〜124dと、を有している。
第2部分120bでは、電場四極子場に比べて磁場四極子場が強く設定される。すなわち、第2部分120bでは、電場四極子場によって電子線EBが受ける力Fよりも、磁場四極子場によって電子線EBが受ける力Fが大きく設定される(F<F)。これにより、第2部分120bは、第1部分120aで発生する二回非点成分とは逆符号の二回非点成分を発生させる。すなわち、第2部分120bでは、第1部分120aとは、逆向きの四極子場を電子線に与える。より具体的には、第2部分120bは、図3(A)および図3(B)に示すように、電子線EBのX軌道EBxに二回非点の収束方向の成分を与え、電子線EBのY軌道EByに二回非点の発散方向の成分を与える四極子場を発生させる。これにより、第2部分120bは、図3(A)に示すように、発散成分を持ったX軌道EBxを逆向きに押し戻して二回非点成分を減少させ、かつ、Y軌道EByの二回非点の収束成分を弱める。第2多極子120の第2部分120bが発生させる電磁場重畳の四極子場は、第1多極子110の第2部分110bが発生させる電磁場重畳の四極子場を光軸OAまわりに90°回転させた場である。
また、第2部分120bは、第1部分120aと同様に、電子線EBの進行方向に対して厚みを有している。そのため、第2部分120bでは、コンビネーションアベレーションにより負の色収差が発生する。また、第2部分120bは、図3(C)に示すように、コンビネーションアベレーションにより電子線EBに対して凸レンズ作用を生じさせる。すなわち、第2部分120bは、電子線EBに対する凸レンズ作用を有している。
次に、第2多極子120の第3部分(3段目)120cについて説明する。第3部分120cの構成は、図8に示す第1部分120aの構成と同様である。すなわち、第2多極子120の第3部分120cは、光軸OAの周囲に配列された、四極の電極122a〜122dと、四極の磁極124a〜124dと、を有している。
第3部分120cでは、第1部分120aと同様に、磁場四極子場に比べて電場四極子場が強く設定される。すなわち、第3部分120cでは、磁場四極子場によって電子線EBが受ける力Fよりも、電場四極子場によって電子線EBが受ける力Fが大きく設定される(F<F)。これにより、第3部分120cは、第1部分120aと同様に、電子線EBに二回非点成分を与え、軌道を変化させる。より具体的には、第3部分120cは、電子線EBのX軌道EBxに二回非点の発散方向の成分を与え、電子線EBのY軌道EByに二回非点の収束方向の成分を与える。これにより、第2多極子120から射出される電子線EBの二回非点成分をなくす(低減する)ことができる。第2多極子120の第3部分120cが発生させる電磁場重畳の四極子場は、第1多極子110の第3部分110cが発生させる電磁場重畳の四極子場を光軸OAまわりに90°回転させた場である。
また、第3部分120cは、第1部分120aと同様に、電子線EBの進行方向に対して厚みを有している。そのため、第3部分120cでは、コンビネーションアベレーションにより負の色収差が発生する。また、第3部分120cは、コンビネーションアベレーションにより電子線に対して凹レンズ作用を生じさせる。すなわち、第3部分120cは
、電子線EBに対する凹レンズ作用を有している。
第2多極子120において、第1部分120aおよび第3部分120cで発生する電磁場重畳の四極子場の二回非点成分は、第2部分120bで発生する電磁場重畳の四極子場の二回非点成分と逆符号である。また、第1部分120aで発生する電磁場重畳の四極子場は、図示の例では、第3部分120cで発生する電磁場重畳の四極子場と同じである。すなわち、第1部分120aの電磁場重畳の四極子場が電子線に与える作用と第3部分120cの電磁重畳の四極子場が電子線に与える作用とは、同じである。
第2多極子120では、図3(A)に示すように、電子線EBのY軌道EByは、第2多極子120の中心cで光軸OAを横切る。また、第2多極子120では、電子線EBのY軌道EByは、中心cを対称の中心として、前半部分(入射面から中心cまで軌道)と、後半部分(中心cから射出面までの軌道)は、互いに点対称である。また、第2多極子120では、電子線EBのX軌道EBxは、前半部分(入射面から中心cまで軌道)と後半部分(中心cから射出面までの軌道)とが面対称である。このように、第2多極子120では、電子線EBの軌道は対称性が良好である。
また、第2多極子120では、図3(A)に示すように、電子線の軌道EBx,EByを第1部分120aで大きく変化させた後に、第2部分120bで戻し、最終的に第3部分120cで二回非点成分を打ち消して電子線EBを射出する。このように、第2多極子120では、電子線の軌道EBx,EByを大きく変化させているため、色収差の発生効率が高い。
第2多極子120では、第1多極子110と同様に、各部分120a,120b,120cにおいて、電場四極子場を一定とし、磁場四極子場を変化させることで、第1の電磁場を発生させている。なお、第2多極子120の各部分120a,120b,120cにおいて、磁極124a〜124dを共通とし、電極122a〜122dを独立させてもよい。これにより、第2多極子120の各部分120a,120b,120cにおいて、磁場四極子場を一定として電場四極子場を変化させて、第1の電磁場を発生させることができる。また、第2多極子120の各部分120a,120b,120cにおいて、磁極124a〜124d、および電極122a〜122dをともに、独立させてもよい。
転送レンズ130は、第1多極子110と第2多極子120との間に配置されている。転送レンズ130は、図示の例では、3つのレンズ130a,130b,130cで構成されている。転送レンズ130は、例えば、転送倍率1:1のレンズである。転送レンズ130は、第1多極子110において形成された逆空間像を、第2多極子120に転送する。転送レンズ130は、例えば、第1多極子110の中心を第2多極子120の中心に完全転送させる配置からずらし、第2多極子120の出口(射出面)で二回非点成分が無いように配置される。なお、図示はしないが、転送レンズ130が一対(2つ)のレンズで構成されてもよい。
1.2. 色収差補正装置の動作
次に、第1実施形態に係る色収差補正装置100の動作について説明する。図9は、色収差補正装置100の第1多極子110内および第2多極子120内の電子線の軌道を示す模式図である。図9において、それぞれの円は、角度ごと(10mradごと)の電子線の軌道を示している。以下、図3および図9を参照しながら説明する。
第1多極子110の第1部分110aでは、電場四極子場が磁場四極子場に比べて大きく設定されている。これにより、第1部分110aに入射した電子線EBは、二回非点成分を持ち、軌道が変化する。具体的には、電子線EBは、第1部分110aにおいて、Y
軌道EByが二回非点の発散成分を持ち、X軌道EBxが二回非点の収束成分を持つ。
第2部分110bでは、磁場四極子場が電場四極子場に比べて大きく設定されている。これにより、第2部分110bにおいて、発散成分を持ったY軌道EByは押し戻されて、二回非点成分が減少する。また、X軌道EBxは、二回非点成分の収束成分が弱まり、第1多極子110の中心cを通る。X軌道EBxでは、図3(A)および図9に示すように、第1多極子110の中心cで、+X軸側の軌道と−X軸側の軌道とが交差する。
第3部分110cでは、電場四極子場が磁場四極子場に比べて大きく設定されている。これにより、第3部分110cにおいて、電子線EBの二回非点成分が最終的に打ち消される。第3部分110c(第1多極子110)から射出された電子線EBは、図9に示すように、二回非点成分が無い。第1多極子110から射出された電子線EBは、転送レンズ130に入射する。
転送レンズ130では、第1多極子110において形成された逆空間像が、第2多極子120に転送される。ここで、第1多極子110から射出される電子線EBは二回非点成分を持たないため、電子線EBを転送レンズ130の中心付近に入射させることができる。
第2多極子120では、電子線EBのX軌道EBxおよびY軌道EByが、第1多極子110における電子線EBのX軌道EBxおよびY軌道EByに対して対称となる電磁場を発生させる。すなわち、第2多極子120が発生させる電磁場は、第1多極子110が発生させる電磁場を光軸OAまわりに90°回転させた電磁場である。これにより、第2多極子120において、第1多極子110で発生した色二回非点成分が、第2多極子120で発生した色二回非点成分で相殺される。図9に示すように、第2多極子120における電子線の軌道は、第1多極子110における電子線の軌道を、光軸OAまわりに90度回転させた軌道である。
ここで、多極子110,120の各部分110a,110b,110c,120a,120b,120cでは、コンビネーションアベレーションにより負の色収差を発生させる。したがって、色収差補正装置100では、全体として負の色収差を発生させる。これにより、対物レンズ14の正の色収差を、色収差補正装置100の負の色収差で相殺することができる。
1.3. 原理
次に、電子線の進行方向に対して厚みを持った四極子場のコンビネーションアベレーションにより、凹レンズ効果が発生する原理、および第2多極子120で色二回非点収差を相殺できる原理について説明する。
例えば、四極子、六極子は、それぞれ、二回対称場、三回対称場を基本的に発生させる。これらの場はその多極子が生じる場を多重極界展開した場合のプライマリー項と称される。実際の多極子は、僅かであるがプライマリー項以外の高次項による場が発生している。通常の厚みを持たない(又は薄い)多極子においては、プライマリー項以外の高次項は多極子の使用目的に対して無視されるか又は単なる寄生要因に過ぎない。しかし、多極子の厚みを増していくと、プライマリー項以外の高次項による効果が現れる。この効果を活かすために、電子線の進行方向に必要な長さを持った多極子が「厚み」を有する多極子であり、そこから発生する場は「厚み」のある場である。
四極子による静電場又は静磁場、或いはそれらの重畳場によって生じた四極子場(二回対称場)による二回非点収差を考える。複素表記を用いた電子線の軌道計算において、逆
空間(焦点面)での位置のr、傾きをr'(=∂r/∂z)、複素角をΩ、複素角に対する微分Ω'(=∂Ω/∂z)とする。Aを単位長さあたりの二回非点収差係数とすると、二回非点収差(幾何収差)は、AとΩの複素共役を用いて、下記式で表される。
四極子の入射面における電子線の位置rと傾きr'の複素数表記を下記のように表す。
また、四極子の射出面における電子線の位置rと傾きr'の複素数表記を下記のように表す。
対物レンズの焦点距離をfとすると、この対物レンズ内に試料面がある場合、この位置における電子線の位置と傾きを逆空間で表すと、それぞれr=fΩ、r'=fΩ'になる。
電子線の進行方向の多極子の厚みをtとすると、この多極子の射出面における電子線の傾きは、下記式(1)で表される。
ただし、nは、整数(n>0)である。
式(1)において、|A2nの係数をもつ項は円筒対称なレンズ作用を表し、符号が+の項は凹レンズ作用を表す。この作用で生じる効果を「円筒対称型発散方向フォーカス効果」ともいう。一方、A・|A2(n−1)の係数をもつ項は二回非点収差を表す。
ところで、電場四極子場(二回対称電場)による二回非点収差係数をAE2で表すと、電場四極子場の強さ|AE2|は、下記式(2)で表される。
但し、Uは、加速電圧である。
また、磁場四極子場(二回対称磁場)による二回非点収差係数をAB2で表すと、磁場四極子場の強さ|AB2|は、下記式(3)で表される。
厚みをもつ四極子場から生じた凹レンズ作用を有する光学系において、式(1)の係数|A|の指数が2n、2(n−1)であることを考慮すると、当該光学系による偏向力の加速電圧依存性を係数|A|に係る各項の組み合わせによって1/U(Nは正の整数)に比例するように定めることができる。
また、所定の加速電圧の電子線に対する電気的偏向力と磁気的偏向力が相殺される光学系においても、所定の加速電圧と異なる加速電圧の電子線に対しては係数|A|が有限の値となる。したがって、その電子線は凹レンズ作用を受けることになる。
さらに、式(1)に示した焦点距離fの対物レンズが磁場型(磁界型)である場合、この対物レンズによる偏向力は、下記式(4)で表される。
上述したように、厚みを持つ四極子場による偏向力の加速電圧依存性は1/Uで表される。一方、式(4)に示した対物レンズによる偏向力の加速電圧依存性は1/Uで表される。すなわち、互いの加速電圧依存性は大きく異なるため、厚みをもつ四極子場は対物レンズと異なった屈折率をもつ。そして、この違いから、厚みをもつ四極子場の凹レンズ作用が対物レンズの色収差補正に適用できることがわかる。
また、式(1)に示すように、四極子の厚みtを増加させていくと凹レンズ作用が増加する。したがって、必要な凹レンズ作用の強度に合わせた厚みtを定めることもできる。
ところで、式(1)右辺のA・|A2(n−1)の係数を持つ項に示されるように、一段の四極子場では二回非点収差が新たに発生する。しかしながら、この二回非点収差は以下に示すように四極子を二段にすることで除去できる。二段の四極子のそれぞれが発生する二回対称場は相似かつ反対称に分布させる。具体的には、同一構造の二つの多極子を配置し、印加する電圧または励磁の極性を互いに逆にする。両四極子の光軸に沿った厚みは等しいとすると、二段目の四極子の射出面における電子線の傾きr'は、下記式
(5)で表される。
なお、n、mは、正の整数である。
式(5)に示すように、極性を互いに逆にして二段の四極子を配置すると、式(1)に示された二回非点収差の項(A・|A2(n−1)の係数を持った項)が無くなる。同式の右辺の項において+の符号をもつ項は凹レンズ作用を示すので、収差補正に必要な円筒対称レンズ作用のみが取り出される。このように、それぞれが厚みをもつ二段の四極子の凹レンズ作用は二回非点収差を生じさせることなく対物レンズの色収差を補正することができる。
第1実施形態に係る色収差補正装置100および電子顕微鏡10は、例えば、以下の特徴を有する。
色収差補正装置100では、第1多極子110は、光軸OAに沿って配置されている第1部分110a、第2部分110b、および第3部分110cを有し、第1部分110a、第2部分110b、および第3部分110cの各々は、電子線EBの進行方向に対して厚みを有している。これにより、第1多極子110の第1部分110aおよび第3部分110cは、電子線の進行方向に対して厚みを持った四極子場のコンビネーションアベレーションにより、凹レンズ効果を発生させることができる。また、第1多極子110の第2部分110bは、電子線の進行方向に対して厚みを持った四極子場のコンビネーションアベレーションにより、凸レンズ効果を発生させることができる。
また、第1多極子110の各部分110a,110b,110cは、電場四極子場と磁場四極子場とを重畳した電磁場重畳の四極子場を発生させる。これにより、例えば、電場四極子場または磁場四極子場のみで四極子場を発生させた場合と比べて、大きな負の色収差を得ることができる。
色収差補正装置100では、第1多極子110において、第1部分110aは、磁場四極子場に比べて電場四極子場が強く設定され、第2部分110bは、電場四極子場に比べて磁場四極子場が強く設定され、第3部分110cは、磁場四極子場に比べて電場四極子場が強く設定され、第2部分110bで発生する二回非点成分は、第1部分110aおよび第3部分110cで発生する二回非点成分と逆符号である。これにより、第1多極子110から二回非点成分を持たない電子線EBを射出することができる。そのため、例えば、転送レンズ130の中心付近に電子線EBを入射させることができる。したがって、色収差補正装置100によれば、転送レンズ130の収差の影響を低減でき、アライメント(軸合わせ)を簡便に行うことができる。
例えば、二回非点を持った電子線が第1多極子から射出される場合、第1多極子と第2多極子との間に位置する転送レンズで電子線が広がる。一般的に、電子線がレンズの端を
通ると、大きな収差が導入される。そのため、二回非点を持った電子線が第1多極子から射出される場合、電子線が転送レンズから大きな収差を受ける場合がある。これは、アライメント(軸合せ)を困難、複雑にする原因となる。色収差補正装置100によれば、第1多極子110から二回非点成分を持たない電子線EBを射出することができるため、転送レンズ130の収差の影響を低減でき、アライメント(軸合わせ)を簡便に行うことができる。
さらに、第1多極子110では、3つの部分(3段)110a,110b,110cで電子線の軌道EBx,EByを大きく変化させることができるため、例えば、多極子が1段の場合と比べて、色収差を効率的に発生させることができる。したがって、第1多極子110の厚み(電子線の進行方向の長さ)を短くすることができる。例えば、多極子において、電場のチャージや微量な電圧不安定性は最終的に得られる電子顕微鏡の分解能を低減させる大きな原因となる。電場は、多極子の厚み(電子線の進行方向の長さ)が大きいほど、これらのノイズ成分を受ける距離が伸びるため、電子線に対する擾乱が増加する。したがって、多極子の厚みを小さくすることで、分解能を向上させることができる。色収差補正装置100では、上述のように第1多極子110を短くすることができるため、電子顕微鏡10の分解能を向上させることができる。
色収差補正装置100では、第2多極子120で発生する第2の電磁場は、第1多極子110で発生する第1の電磁場を光軸まわりに90°回転させた電磁場である。これにより、第1多極子110で発生した色二回非点成分を、第2多極子120で発生した色二回非点成分で相殺することができる。したがって、色収差補正装置100では、全体として、色二回非点成分をなくすことができる。
色収差補正装置100では、第1多極子110が発生させる第1の電磁場の電場四極子場成分は、光軸OAの方向において、一定である。これにより、簡易な構成で、電場四極子場を発生させることができる。
色収差補正装置100では、第1多極子110は、第1部分110aから第3部分110cまで延出している複数の電極112a〜112dを有し、複数の電極112a〜112dは、第1部分110a、第2部分110b、および第3部分110cに一定の電場四極子場を発生させる。このように、色収差補正装置100では、簡易な構成で、電場四極子場を発生させることができる。
電子顕微鏡10では、色収差補正装置100が、負の色収差を効率的に発生させて、収差を補正することができる。したがって、電子顕微鏡10によれば、第1多極子110の長さを短く(厚みを小さく)することができ、分解能を向上させることができる。さらに、電子顕微鏡10によれば、色収差補正装置100を含むため、アライメント(軸合わせ)を簡便化することができる。
1.4. 変形例
次に、第1実施形態に係る色収差補正装置の変形例について、図面を参照しながら説明する。
(1)第1変形例
まず、第1変形例について説明する。図10は、第1変形例に係る色収差補正装置200の光学系を示す図である。図11は、色収差補正装置200の第1多極子110および第2多極子120について説明するための図である。図11(A)は、色収差補正装置200の構成を説明するための図である。図11(A)では、電子線EBのX軸方向の典型的なビーム軌道としてX軌道EBxを示し、電子線EBのY軸方向の典型的なビーム軌道
としてY軌道EByを示している。図11(B)は、多極子110,120の各部分110a,110b,110c,120a,120b,120cにおける二回非点成分を示す図である。図11(C)は、多極子110,120の各部分110a,110b,110c,120a,120b,120cで発生するレンズ効果を示す図である。図11(D)は、第1多極子110および第2多極子120で発生する色二回非点成分を示す図である。以下、色収差補正装置200において、上述した色収差補正装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上述した色収差補正装置100は、図2および図3に示すように、第1多極子110と、第2多極子120と、第1多極子110と第2多極子120との間に配置されている転送レンズ130と、を含んで構成されていた。
これに対して、色収差補正装置200は、図10および図11に示すように、第1多極子110と、第2多極子120と、を含んで構成されている。すなわち、色収差補正装置200では、第1多極子110と第2多極子120との間に転送レンズ130が配置されない。第1多極子110と第2多極子120との間の距離は、軸外収差が低減されるような距離に設定される。色収差補正装置200のその他の構成は、上述した色収差補正装置100と同様であり、その説明を省略する。
色収差補正装置200によれば、上述した色収差補正装置100と同様の作用効果を奏することができる。
(2)第2変形例
次に、第2変形例について説明する。図12は、第2変形例に係る色収差補正装置300の光学系を示す図である。以下、色収差補正装置300において、上述した色収差補正装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
色収差補正装置300では、第1多極子110が発生させる第1の電磁場に、四回対称の電場を重畳させる第3多極子310と、第2多極子120が発生させる第2の電磁場に、四回対称の電場を重畳させる第4多極子320と、を含む。これにより、色収差補正装置300では、色収差に加えて、球面収差を補正することができる。
第3多極子310は、第1多極子110の第2部分110b(図3参照)で発生する電磁場重畳の四極子場に四回対称の電場を重畳させる。第4多極子320は、第2多極子120の第2部分120bで発生する電磁場重畳の四極子場に四回対称の電場を重畳させる。第3多極子310および第4多極子320は、例えば、八極子である。
ここで、電子線EBが二回非点を持っている場合、そこに四回対称場を重畳すると、下記式に示すように、負の球面収差(−Cs)が発生する。
ただし、Aは、二回非点係数、Aは、四回非点係数である。このように、四回対称の非点場を重畳することで、色収差と球面収差の同時補正が行える。
色収差補正装置300によれば、色収差の補正に加えて、球面収差を補正することができる。
なお、色収差補正装置300の第3多極子310および第4多極子320は、四回対称の電場にかえて四回対称の磁場を重畳させてもよい。この場合も同様に、色収差の補正に加えて、球面収差を補正することができる。
(3)第3変形例
次に、第3変形例について説明する。図13は、第3変形例に係る色収差補正装置400の光学系を示す図である。以下、色収差補正装置400において、上述した色収差補正装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
色収差補正装置400では、第1多極子110が発生させる第1の電磁場に、三回対称の電場を重畳させる第3多極子410と、第2多極子120が発生させる第2の電磁場に、三回対称の電場を重畳させる第4多極子420と、を含む。これにより、色収差補正装置400では、色収差に加えて、球面収差を補正することができる。
第3多極子410は、第1多極子110の第1部分110aまたは第3部分110cで発生する電磁場重畳の四極子場に三回対称の電場を重畳させる。第4多極子420は、第2多極子120の第1部分120aまたは第3部分120cで発生する電磁場重畳の四極子場に三回対称の電場を重畳させる。第3多極子410および第4多極子420は、例えば、六極子である。
ここで、電子線EBが多極子110,120内で広がっている場合、三回非点を重畳させると、球面収差補正を行うことができる。したがって、色収差補正装置400によれば、色収差の補正に加えて、球面収差を補正することができる。
なお、色収差補正装置400の第3多極子410および第4多極子420は、三回対称の電場にかえて三回対称の磁場を重畳させてもよい。この場合も同様に、色収差の補正に加えて、球面収差を補正することができる。
(4)第4変形例
次に、第4変形例について説明する。図14は、第4変形例に係る色収差補正装置500の第1多極子510を模式的に示す平面図である。図15は、第4変形例に係る色収差補正装置500の第1多極子510の極512a,512b,522a、522bを模式的に示す斜視図である。なお、図14は、色収差補正装置500を、光軸OA方向から見た図である。以下、色収差補正装置500において、上述した色収差補正装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上述した色収差補正装置100の例では、第1多極子110の各部110a,110b,110cは、図4に示すように、四極の電極112a〜112dと、四極の磁極114a〜114dと、を含んで構成されていた。また、第2多極子120の各部120a,120b,120cは、図8に示すように、四極の電極122a〜122dと、四極の磁極124a〜124dと、を含んで構成されていた。
これに対して、色収差補正装置500では、図14に示すように、第1多極子510の第1部分510a、第2部分510b、および第3部分510cは、12極子である。第1多極子510の各部510a,510b,510cは、12極子を用いて、電磁場重畳の四極子場を発生させる。
第1多極子510は、12個の極511a〜511lを含んで構成されている。12個の極511a〜511lは、光軸OAの周囲に配置されている。第1多極子510の極511aは、図15に示すように、電極512と、3段の磁極514a,514b,514cと、を有している。なお、第1多極子510の他の極511b〜511lについても、極511aと同様に、電極512と、3段の磁極514a,514b,514cと、を有している。
電極512は、第1多極子510の第1部分510aから第3部分510cまで延出している。すなわち、電極512は、各部分510a,510b,510cに共通の電極である。
磁極514aは、第1多極子510の第1部分510aを構成している。極511a〜511lの磁極514aと電極512とで、第1部分510aに電磁場重畳の四極子場を発生させる。
磁極514bは、第1多極子510の第2部分510bを構成している。極511a〜511lの磁極514bと電極512とで、第2部分510bに電磁場重畳の四極子場を発生させる。
磁極514cは、第1多極子510の第3部分510cを構成している。極511a〜511lの磁極514cと電極512とで、第3部分510cに電磁場重畳の四極子場を発生させる。
第2多極子520の構成は、第1多極子510と同様であり、その説明を省略する。
色収差補正装置500によれば、色収差補正装置100と同様の作用効果を奏することができる。
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係る電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図16は、第2実施形態に係る電子顕微鏡20の構成を説明するための図である。以下、電子顕微鏡20において、上述した電子顕微鏡10の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上述した第1実施形態では、本発明に係る色収差補正装置を、結像系の収差補正装置として用いていた。
これに対して、第2実施形態に係る電子顕微鏡20では、本発明に係る色収差補正装置を、照射系の収差補正装置として用いている。ここでは、本発明に係る色収差補正装置として、色収差補正装置100を用いた場合について説明する。
電子顕微鏡20は、電子銃11と、高圧制御部12と、第1集束レンズ13aと、色収差補正装置100と、第2集束レンズ13bと、対物レンズ14と、試料ステージ15と、中間・投影レンズ16と、観察室17と、を含んで構成されている。
電子銃11は、高圧制御部12によって高圧電源が制御されて、電子線を発生する。
第1集束レンズ13aは、電子銃11で発生した電子線を集束する。第1集束レンズ13aで集束された電子線は、色収差補正装置100に入射する。
色収差補正装置100は、第1集束レンズ13aの収差を補正する。色収差補正装置100で色収差が補正された電子線は、第2集束レンズ13bによって集束される。この集束された電子線は、対物レンズ14および試料ステージ15を通過する。
中間・投影レンズ16は、対物レンズ14ともに、結像系を構成している。中間・投影レンズ16は、観察室17内のカメラ(図示せず)上に結像する。
電子顕微鏡20では、色収差補正装置100を含むため、照射系(第1集束レンズ13a)の色収差を補正することができる。したがって、電子顕微鏡20は、高い分解能を有することができる。また、電子顕微鏡20では、色収差補正装置100が、負の色収差を効率的に発生させて、収差を補正することができる。したがって、電子顕微鏡20によれば、第1多極子110の長さを短く(厚みを小さく)することができ、分解能を向上させることができる。さらに、電子顕微鏡20によれば、色収差補正装置100を含むため、アライメント(軸合わせ)を簡便化することができる。
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…電子顕微鏡、11…電子銃、12…高圧制御部、13…集束レンズ、14…対物レンズ、15…試料ステージ、16…中間・投影レンズ、17…観察室、20…電子顕微鏡、100…色収差補正装置、110…第1多極子、110a…第1部分、110b…第2部分、110c…第3部分、112a,112b,112c,112d…電極、114a,114b,114c,114d…磁極、120…第2多極子、120a…第1部分、120b…第2部分、120c…第3部分、122a,122b,122c,122d…電極、124a,124b,124c,124d…磁極、130…転送レンズ、130a,130b,130c…レンズ、141,142…対物ミニレンズ、200,300…色収差補正装置、310…第3多極子、320…第4多極子、400…色収差補正装置、410…第3多極子、420…第4多極子、500…色収差補正装置、510…第1多極子、510a…第1部分、510b…第2部分、510c…第3部分、511a〜511l…極、512…電極、514a,514b,514c…磁極

Claims (8)

  1. 電子顕微鏡用の色収差補正装置であって、
    第1の電磁場を発生させる第1多極子と、
    第2の電磁場を発生させる第2多極子と、
    を含み、
    前記第1多極子は、光軸に沿って配置されている第1部分、第2部分、および第3部分を有し、
    前記第1部分、前記第2部分、および前記第3部分の各々は、電子線の進行方向に対して厚みを有し、電場四極子場と磁場四極子場とを重畳した四極子場を発生させ、
    前記第1部分は、磁場四極子場に比べて電場四極子場が強く設定され、
    前記第2部分は、電場四極子場に比べて磁場四極子場が強く設定され、
    前記第3部分は、磁場四極子場に比べて電場四極子場が強く設定され、
    前記第2部分で発生する二回非点成分は、前記第1部分および前記第3部分で発生する二回非点成分と逆符号であり、
    前記第2の電磁場は、前記第1の電磁場を光軸まわりに90°回転させた場である、色収差補正装置。
  2. 請求項1において、
    前記第1の電磁場の電場四極子場成分は、前記光軸に沿って、一定である、色収差補正装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記第1多極子は、前記第1部分から前記第3部分まで延出している複数の電極を有し、
    前記複数の電極は、前記第1部分、前記第2部分、および前記第3部分に一定の電場四極子場を発生させる、色収差補正装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記第1多極子と前記第2多極子との間に配置されている転送レンズを含む、色収差補正装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    前記第1の電磁場に、四回対称の電場または四回対称の磁場を重畳させる第3多極子と、
    前記第2の電磁場に、四回対称の電場または四回対称の磁場を重畳させる第4多極子と、
    を含む、色収差補正装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、
    前記第1の電磁場に、三回対称の電場または三回対称の磁場を重畳させる第3多極子と、
    前記第2の電磁場に、三回対称の電場または三回対称の磁場を重畳させる第4多極子と、
    を含む、色収差補正装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、
    前記第1部分および前記第3部分は、凹レンズ作用を有し、
    前記第2部分は、凸レンズ作用を有する、色収差補正装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の色収差補正装置を含む電子顕微鏡。
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