JP2014115303A - 焦点深度拡張光学系及び撮像システム - Google Patents
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Abstract
【課題】光軸から外れた部分の解像度分布の乱れを解消し、画像全体でほぼ一定の解像度が得られる自然な画像を取得可能な焦点深度拡張光学系及びEDoF撮像システムを提供する。
【解決手段】被写体14からの光を撮像素子に結像させるレンズ11a,11bと、レンズ11a,11bによる結像位置を、光軸からの距離に応じて変化させるように波面を調節し、焦点を、幅を持った合焦範囲に拡張させる焦点深度拡張素子16と、を備え、レンズ11a,11b及び焦点深度拡張素子16を透過後の波面ψをツェルニケ多項式Zj(n,m)を各項とする式ψ=ΣKj・Zjで表し、第12項Z12(n=4,m=2)の係数K12が0の場合のサジタル方向及びタンジェンシャル方向に共通のMTFを基準値とするときに、サジタル方向とタンジェンシャル方向のMTFのギャップが基準値の2倍より小さい範囲内に、前記係数K12が定められている。
【選択図】図2
【解決手段】被写体14からの光を撮像素子に結像させるレンズ11a,11bと、レンズ11a,11bによる結像位置を、光軸からの距離に応じて変化させるように波面を調節し、焦点を、幅を持った合焦範囲に拡張させる焦点深度拡張素子16と、を備え、レンズ11a,11b及び焦点深度拡張素子16を透過後の波面ψをツェルニケ多項式Zj(n,m)を各項とする式ψ=ΣKj・Zjで表し、第12項Z12(n=4,m=2)の係数K12が0の場合のサジタル方向及びタンジェンシャル方向に共通のMTFを基準値とするときに、サジタル方向とタンジェンシャル方向のMTFのギャップが基準値の2倍より小さい範囲内に、前記係数K12が定められている。
【選択図】図2
Description
本発明は、球面収差や色収差を利用して焦点深度を拡張した光学系(以下、焦点深度拡張光学系)を用いて撮像し、得られた画像にデコンボリューション処理を施すことにより、被写界深度を拡張した画像を得るEDoF(Extended Depth of Field)撮像システムに関する。
携帯電話機やPDA、小型ノート型パソコン等には、デジタルカメラが標準的に搭載されるようになってきている。従来、こうした携帯電話機等に搭載されるデジタルカメラは、小型かつ安価に製造するために、例えば単焦点レンズを用いることが一般的であった。しかし、近年では、こうした簡易なデジタルカメラにも撮影画像の画質向上が求められるようになっている。
また、携帯電話機等に搭載されるデジタルカメラは、数m先の人物や風景の撮影等、数m先の被写体の撮像から、文字や二次元コード等の読み取りのために数十cm先の像の撮像にも用いられる。こうした広範囲な撮影を可能にするには、撮影距離に応じてピント合わせをできるようにすることが考えられるが、携帯電話等に搭載されるデジタルカメラでは、小型かつ安価であることが必須であるためピント合わせのためのレンズ移動機構を設けることは難しい。
こうしたことから、近年では、コスト等の面から携帯電話機等の装置では、数十cm程度のマクロ撮影域からほぼ無限遠までの撮像距離範囲をピント合わせなしでカバーできるデジタルカメラとしてEDoF撮像システムが用いられるようになってきている(特許文献1〜3)。EDoF撮像システムは、位相板等によって光軸からの距離に応じて焦点距離が異なる焦点深度拡張光学系を用いて撮像し、得られたピンぼけ画像を画像処理によって先鋭化することにより、被写界深度が拡張された画像を得る撮像システムである。
EDoF撮像システムは、焦点深度拡張光学系と画像処理の組み合わせによって被写界深度を拡張できるという利点があるが、一方で、焦点深度拡張光学系という特殊なレンズ系を使用するために、EDoF撮像システムに独自の問題が生じる。
具体的には、光軸上の部分に相当する画像中央の像は一定の解像度(あるいは一定のボケ具合)が得られるが、光軸から外れた部分の像では、像高毎に異なる解像度となってしまうという問題がある。このように、像高に応じて解像度が異なると、取得した画像(画像処理後)の横方向と縦方向とで解像度に差が生じ、違和感のある画像となってしまうという問題がある。しかも、周縁部分に近づくほど、解像度が低下するといったような一定の変化ではなく、焦点深度拡張光学系の光軸上である画像中央部分の解像度を基準として、画像中央からやや離れた中腹位置では解像度が低くなり、周縁部分ではやや解像度が向上する等、複雑な解像度分布が生じてしまう。こうした解像度分布は、風景や人物等の遠景を撮像した場合には局所的に不自然なボケ味となり、遠景画像の全体に違和感を生じさせる。また、文字や二次元コード等の近景を撮像した場合には、文字等が読み取れない等の不具合が生じる。
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、光軸から外れた部分の解像度分布の乱れを解消し、画像全体でほぼ一定の解像度が得られる自然な画像を取得可能な焦点深度拡張光学系及び撮像システムを提供することを目的とする。
本発明の焦点深度拡張光学系は、被写体からの光を撮像素子に結像させるレンズと、前記レンズによる結像位置を、光軸からの距離に応じて変化させるように波面を調節し、焦点を、幅を持った合焦範囲に拡張させる波面調節手段と、を備え、前記レンズ及び前記波面調節手段を透過後の波面ψをツェルニケ多項式Zj(n,m)を各項とする式ψ=ΣKj・Zjで表し、第12項Z12(n=4,m=2)の係数K12が0の場合のサジタル方向及びタンジェンシャル方向に共通のMTFを基準値とするときに、サジタル方向とタンジェンシャル方向のMTFのギャップが前記基準値の2倍より小さい範囲内に、前記係数K12が定められていることを特徴とする。
前記係数K12の絶対値|K12|が、|K12|<0.3を満たすことが好ましい。
第12項Z13(n=4,m=−2)の係数K13が、K13=0におけるMTFを基準値として、サジタル方向とタンジェンシャル方向のMTFのギャップが前記基準値の2倍より小さい範囲内に、前記係数K13が定められていることが好ましい。
前記係数K13の絶対値|K13|が、|K13|<0.3を満たすことが好ましい。
前記係数K12に対するサジタル方向及びタンジェンシャル方向のMTFが0となる点以下の範囲内で、前記係数K12が定められていることが好ましい。
前記係数K13の絶対値|K13|が、|K13|<0.275を満たすことが好ましい。
サジタル方向のMTFがタンジェンシャル方向のMTFの2倍となる係数K12の値を第1閾値Th1、タンジェンシャル方向のMTFがサジタル方向のMTFの2倍となる係数K12の値を第2閾値Th2とするときに、前記係数K12がTh1<K12<Th2、またはTh2<K12<Th1の条件を満たす範囲内の値であることが好ましい。
前記係数K13の絶対値|K13|が、|K13|<0.08を満たすことが好ましい。
全ての像高において、サジタル方向とタンジェンシャル方向のMTFのギャップが前記基準値の2倍より小さい範囲内に、前記係数K12が定められていることが好ましい。
前記レンズ及び前記波面調節手段は固定され、前記合焦範囲の位置及び大きさが一定の固定焦点レンズ系であることが好ましい。
前記レンズまたは前記波面調節手段が移動可能に設けられ、前記合焦範囲の位置または大きさが調節可能であることが好ましい。
本発明の撮像システムは、被写体の像を撮像する撮像素子と、前記被写体からの光を前記撮像素子に結像させるレンズと、前記レンズによる結像位置を、光軸からの距離に応じて変化させるように波面を調節し、焦点を、幅を持った合焦範囲に拡張させる波面調節手段と、を有し、前記レンズ及び前記波面調節手段を透過後の波面ψをツェルニケ多項式Zj(n,m)を各項とする式ψ=ΣKj・Zjで表し、第12項Z12(n=4,m=2)の係数K12が0の場合のサジタル方向及びタンジェンシャル方向に共通のMTFを基準値とするときに、サジタル方向とタンジェンシャル方向のMTFのギャップが前記基準値の2倍より小さい範囲内に、前記係数K12が定められている焦点深度拡張光学系と、を備えることを特徴とする。
前記撮像素子が出力するデータに復元処理を施すことにより、前記合焦範囲に対応して被写界深度が拡張された画像を生成する画像処理手段を備えることが好ましい。
本発明によれば、光軸から外れた部分の解像度分布の乱れを解消し、画像全体でほぼ一定の解像度が得られる自然な画像を取得可能な焦点深度拡張光学系及びEDoF撮像システムを提供することができる。
図1に示すように、EDoF撮像システム10は、焦点深度拡張光学系11,撮像素子12,画像処理装置13を備える。EDoF撮像システム10は、風景や人物等、数m先〜無限遠の遠景の撮像と、文字や2次元コード等、数十cm程度の距離で撮像する近景の撮像の主に2種類の用途で使用される。
焦点深度拡張光学系11は、被写体14から入射する光(以下、被写体光という)を撮像素子12に結像させるレンズであり、後述するように複数のレンズと焦点を所定の範囲(合焦範囲)に拡張させるための焦点深度拡張素子を含む。また、焦点深度拡張光学系11は、例えば、光軸を含む中心近傍の光束を手前(被写体14)側に収束させ、外側を通る光束を奥(撮像素子12)側に収束させ、焦点を焦点範囲Eに拡張する。このように、焦点深度拡張光学系11は、焦点の範囲を拡張し、撮像された画像の被写界深度を深化させる。
なお、焦点深度拡張光学系11の光学的性能は具体的なEDoF撮像システム10で求められる性能に設計されるが、以下では一例として、FナンバーFnが2.29の固定焦点レンズであるとする。また、レンズの解像力δは、FナンバーFnに反比例し、参照波長をλ(nm)とすれば、δ=1/Fn/λである。したがって、参照波長λ=546nmとすれば、焦点深度拡張光学系11の解像力δは約800本/mmであり、後述する撮像素子12のサンプリング周波数fsとほぼ等しく、ナイキスト周波数Nyの2倍程度である。
また、後述するように、焦点深度拡張光学系11は、波面収差をツェルニケ(Zernike)多項式を各項とする式(いわゆるツェルニケモード)で表すときに、第12項Z12の係数K12の絶対値|K12|が0.3以下になるように、各レンズ面の形状等が定められている。これにより、EDoF撮像システム10は、フォーカスシフト(ピントの移動)によって、同じ撮影距離の被写体は画像内で均一な解像度で写し出される。また、像がボケる場合に、取得する画像15内のどの位置においても上下左右にほぼ均等なボケを実現する。
撮像素子12は、焦点深度拡張光学系11によって結像された被写体14の像を画素毎に光電変換することにより撮像し、RAWデータを画像処理装置13に出力する。撮像素子12は、複数の画素が配列された撮像面が焦点深度拡張光学系11の合焦範囲内に位置するように、所定位置に配置される。また、撮像素子12は、撮像した画像の中心が焦点深度拡張光学系11の光軸に、画像の横方向がS(サジタル)方向に、画像の縦方向がT(タンジェンシャル)方向にそれぞれ対応するように配置されているとする。焦点深度拡張光学系11の焦点が合焦範囲に拡張されているため、撮像素子12が出力するRAWデータにおいては、被写体14の像はボケている。
なお、撮像素子12としては、具体的なEDoF撮像システム10で求められる性能のものが用いられるが、以下では、画素ピッチpが1.25μmであるとする。すなわち、撮像素子12のサンプリング周波数fsは、fs=1/p=800本/mmであるとする。したがって、ナイキスト周波数Nyは、400本/mmである。
画像処理装置13は、DSPやDIP等からなり、撮像素子12が出力する画像データに、各種画像処理を施して、焦点深度拡張光学系11の合焦範囲に応じて被写界深度が深化された画像15を得る。具体的には、画像処理装置13は、RAWデータに対して、復元処理、ノイズリダクション処理、混色補正処理、シェーディング補正処理、ホワイトバランス調整処理、同時化処理、カラーマトリックス補正処理、YC変換処理、γ補正処理、エッジ強調処理、をこの順で施して、所定フォーマット(例えばjpeg)の画像15を得る。
図2に示すように、焦点深度拡張光学系11は、例えば複数のレンズ11a,11bと、焦点深度拡張素子16を備える。レンズ11aは、被写体14の点14aから球面波として出射される光を平面波に整え、焦点深度拡張素子16に入射させる。レンズ11bは焦点深度拡張素子16から入射する光を収束させる。焦点深度拡張素子16は、球面収差や色収差等の各種収差のバランスを、波面収差で調節することによって、焦点深度拡張光学系11の焦点を点から所定の範囲(以下、合焦範囲という)に拡張する。焦点深度拡張素子16は、例えば、レンズ11aから入射する平面波を光軸L0を含む中心部分を通る光束(以下、内光束という)L1と、光束L1の周囲を通る光束(以下、外光束という)L2とで、レンズ11bによって収束される距離が異なるように波面を調節する。これにより、焦点深度拡張光学系11は、レンズ11a,11b及び焦点深度拡張素子16により、内光束L1を短距離の焦点F1に、外光束L2を遠距離の焦点F2に収束させる。したがって、焦点深度拡張光学系11は、焦点を、短距離焦点F1から遠距離焦点F2の間の合焦範囲Eに拡張する。前述のように、撮像素子12は、合焦範囲E内の所定位置に配置されるので、撮像素子12が出力するRAWデータは、焦点F1に収束する像や焦点F2に収束する像等がボケた状態で畳み込まれたデータとなる。以下では、無限遠等の遠景がベストピントとなるように、撮像素子12は、焦点F2に配置されているとする。
図3(A)に示すように、撮像素子12から出力されるRAWデータ21では、被写体14の点14aの像は、撮像素子12の配置に応じてボケた像となる。このとき、図3(B)に示すように、点14aの像は、画素値として、RAWデータ21の断面A−Bの方向にブロードに分布する。このため、図3(C)に示すように、RAWデータ21のままでは、空間周波数に対するMTF(以下、周波数MTFという)が、空間周波数Fqの増大とともに急峻に減少し、解像度は低い。
しかし、画像処理装置13によって復元処理(いわゆるデコンボリューション処理)を施すことにより、図3(D)に示す復元処理後の画像データ22のように、点14aはボケのない点像となる。すなわち、復元処理では、ブロードであった画素値の分布(図3B)から、図3(E)に示すように急峻なピークを持つように鮮鋭化される。これにより、図3(F)に示すように、周波数MTFは、通常の単焦点レンズで撮像した場合と同程度に回復し、所定の解像度を得る。また、復元処理は、ここで例示した点14aの像と同様に、RAWデータ21に畳み込まれている焦点F1や焦点F2(あるいはその間)に収束される像を、その焦点位置に応じて各々に鮮鋭化するので、固定焦点レンズで撮影した画像よりも、被写界深度が深化された画像15が得られる。
焦点深度拡張光学系11と同様に携帯電話機等に用いられる一般的な固定焦点レンズ(以下、通常レンズという)と、焦点深度拡張光学系11とを、光軸上の像のデフォーカスに対するMTFの変化(以下、軸上デフォーカスMTFという)について比較する。
通常レンズや焦点深度拡張光学系11の透過波面ψは、ツェルニケ(Zernike)多項式Zj(j=1〜)を各項とする式ψ=ΣKj・Zjで表すことができる。ツェルニケ多項式Zは、光軸からの距離ρ(ρ<1)と所定方向(例えばS方向)からの角度θ、整数m,n,sを用いて、下記数1で表され、焦点深度拡張光学系11の波面ψは、係数Kjを用いて、ψ=ΣKj・Zjで表すことができる。例えば、Z4(n=2,m=0)は波面のデフォーカスを、Z5(n=2,m=2)は非点収差を、Z7(n=3,m=1)及びZ8(n=3,m=−1)はそれぞれS,T各方向のコマ収差を、Z9(n=4,m=0),Z16(n=6,m=0),Z25(n=8,m=0)は球面収差を示す。こうしたツェルニケ多項式Zjの中で、第12項Z12(n=4,m=2)は、Z12=(4ρ4−3ρ2)cos(2θ)であり、ザイデル収差との直接の対応はないが、S方向とT方向に非対称性を生じさせる波面収差の一つのモードである。
また、デフォーカス量を表す係数K4と像面でフォーカス量d1(mm)は、下記数2の関係にあり、被写体のデフォーカス量(以下、被写体デフォーカス量という)d2は、下記数3の式で表される。なお、Dは口径(mm)、fは焦点距離(mm)、波長λ(nm)である。
上述のように、デフォーカス量d1,d2と、係数K4は一定の関係にあるので、係数K4をデフォーカスの指標として用いることができる。なお、以下に示す各MTFのグラフは、空間周波数100本/mmにおけるMTFである。これは、後述するK4=−0.675の条件で「film」の文字を撮像した場合の、文字の太さに合わせた空間周波数である。また、各MTFのグラフは、簡単のためにK9=−0.18,K16=−0.057,K25=−0.0156,他K4,K12を除く全係数を0としたMTFである。すなわち、球面収差(K9,K16,K25)によって波面を調節した球面収差調節型の焦点深度拡張光学系の例である。
図4に示すように、軸上デフォーカスMTFを、通常レンズと焦点深度拡張光学系11とで比較すると、通常レンズは、ベストピント(K4=0)では焦点深度拡張光学系11よりもMTF値が大きいものの、デフォーカスにより、焦点深度拡張光学系11よりもはやくMTFが減少する。これは、ベストピントからわずかにズレた被写体でも像のボケが大きいことを示す。一方、遠景のMTFと近景のMTFはトレード・オフの関係にあるため、焦点深度拡張光学系11の場合、ベストピントのMTFが通常レンズよりも小さくなる。しかし、焦点深度拡張光学系11は、ベストピントからずれてもMTFの減少は緩やかであり、復元処理によって像を鮮鋭化できる程度に、一定以上のMTF値が得られるようになっている。
なお、ベストピントのMTFは例えば無限遠とみなせる風景等、遠景を撮像した場合の解像度を表し、デフォーカス(例えばK4=0〜−1程度)して撮像される像は、ベストピントから0〜−数百mm程度デフォーカスして撮像される近景の像の解像度を表す。例えばK4=−0.657は被写体距離520mm程度に相当する。500mm前後の被写体距離は、人物や、バスの時刻表、メモ用紙に書いたメモ等の近景像撮像で高頻度に使用される可能性が高い被写体距離である。
通常レンズの場合、K4=−0.657における軸上デフォーカスMTFは0.1(10%)程度であり、像を解像していないものとみなせる。したがって、通常レンズは、近景撮像の解像度は低く、近景画像から文字や二次元コード等を読み取ることが難しい。一方、焦点深度拡張光学系11のK4=−0.657における軸上デフォーカスMTFは0.2(20%)程度に向上される。焦点深度拡張光学系11の場合には、RAWデータ21に復元処理を施すことによってさらに解像度が向上される。したがって、焦点深度拡張光学系11を用いる場合、被写体距離が500mm前後の被写体が通常レンズよりも高解像度であり、文字や二次元コード等を読み取ることができる近景画像を得ることができる。
また、通常レンズの軸上デフォーカスMTFは、ベストピントに対してデフォーカスの方向(正負)によらず、ベストピントに対して対称な曲線形状である。一方、焦点深度拡張光学系11は、近景のMTFを向上させるために、フォーカス位置を負方向にシフトさせた場合に所定以上の解像度が得られるようになっているため、焦点深度拡張光学系11の軸上デフォーカスMTFは、ベストピントに対して非対称な曲線形状となる。また、ここで示した軸上デフォーカスMTFに方向性は殆どなく、焦点深度拡張光学系11の場合も通常レンズの場合も軸上デフォーカスMTFはS方向とT方向とでほぼ同一である。
焦点深度拡張光学系11が上述のようなMTF特性を有することによって、EDoF撮像システム10は、被写界深度を深化した画像15を得られるようになるが、以下に説明するように、焦点深度拡張光学系11に特有の問題も生じる。具体的には、焦点深度拡張光学系11の場合、前述のように軸上デフォーカスMTFは、S方向とT方向とでほぼ一致しているが、光軸L0から外れた位置におけるデフォーカスによるMTFの変化(以下、軸外デフォーカスMTFという)を計測すると、焦点深度拡張光学系11のS方向とT方向とで差が生じる。
図5に示すように、中程度の像高(以下、中間像高という)における軸外デフォーカスMTFは、S方向とT方向でギャップが生じる。ベストピント(K4=0)においては、T方向のMTFがS方向のMTFよりも大きくなり、K4=−0.675では、この関係が逆転し、S方向のMTFがT方向のMTFよりも大きくなる。また、図6に示すように、画像15の周辺となる像高(以下、周辺像高という)における軸外デフォーカスMTFは、S方向とT方向のギャップがより顕在化し、特にK4=−0.675ではT方向のMTFがほぼ0になる。
このようなS方向とT方向の軸外デフォーカスMTFのギャップは、図7にRAWデータ21内(及び復元処理後の画像15)で像高に応じて解像度のばらつきを生じさせる。
図7(A)は、光軸上に対応する部分において、「film」の文字を、K4=−0.675に対応する被写体距離で撮像して得られるRAWデータ21である。すなわち、図7(A)のRAWデータ21は、中心付近でデフォーカスして撮像された近景像である。このため、デフォーカスの量(K4=−0.675)に応じて、S方向(左右方向)とT方向(上下方向)に均一にボケている。これは、軸上デフォーカスMTFが、K4=−0.675においてS方向とT方向とでほぼ一致していることによる。
図7(A)は、光軸上に対応する部分において、「film」の文字を、K4=−0.675に対応する被写体距離で撮像して得られるRAWデータ21である。すなわち、図7(A)のRAWデータ21は、中心付近でデフォーカスして撮像された近景像である。このため、デフォーカスの量(K4=−0.675)に応じて、S方向(左右方向)とT方向(上下方向)に均一にボケている。これは、軸上デフォーカスMTFが、K4=−0.675においてS方向とT方向とでほぼ一致していることによる。
また、図7(B)は、焦点深度拡張光学系11の光軸上に対応する中心部分において、「film」の文字を、K4=0に対応する被写体距離で撮像して得られるRAWデータである。すなわち、図7(B)のRAWデータ21は、光軸付近においてベストピントで撮像された遠景像である。このため、S方向にもT方向にも一定の解像度である。これは、軸上デフォーカスMTFが、K4=0においてS方向とT方向とでほぼ一致していることによる。図7(A)及び(B)から分かるように、焦点深度拡張光学系11で撮像する場合、光軸上に対応する中心部分であれば、デフォーカスの量に応じて像がボケるものの、像のボケ方は上下左右で均一であり、自然なボケ方であると言える。
図7(C)は、中間像高において、「film」の文字を、K4=−0.675に対応する被写体距離で撮像して得られるRAWデータ21である。すなわち、図7(C)のRAWデータ21は、中間像高においてデフォーカスして撮像して得られる近景像である。したがって、光軸上での撮像時と同様にデフォーカスの量(K4=−0.675)に応じて、S方向とT方向に像がボケているが、S方向に対応する左右の方向に解像度が高めで、T方向に対応する上下方向には解像度が低めであり、「film」の文字の縦線部分が若干目立つボケ方になっている。これは、中間像高における軸外デフォーカスMTFにおいて、K4=−0.675のMTFがS方向とT方向でギャップが生じており、S方向のMTFがT方向のMTFよりも若干高めであることによるものである。
また、図7(D)は、中間像高において、「film」の文字を、K4=0に対応する被写体距離で撮像して得られるRAWデータである。すなわち、図7(D)のRAWデータ21は、中間像高においてベストピントで撮像して得られる遠景像である。図7(D)ではベストピントでの像であるために像の解像度は高く、あまり目立たないが、S方向とT方向とで解像度が異なる。具体的には、左右方向(S方向)よりも上下方向(T方向)の解像度が高くなっている。これは、中間像高における軸外デフォーカスMTFのS方向とT方向とでのギャップによるものである。
また、図7(D)は、中間像高において、「film」の文字を、K4=0に対応する被写体距離で撮像して得られるRAWデータである。すなわち、図7(D)のRAWデータ21は、中間像高においてベストピントで撮像して得られる遠景像である。図7(D)ではベストピントでの像であるために像の解像度は高く、あまり目立たないが、S方向とT方向とで解像度が異なる。具体的には、左右方向(S方向)よりも上下方向(T方向)の解像度が高くなっている。これは、中間像高における軸外デフォーカスMTFのS方向とT方向とでのギャップによるものである。
図7(E)は、周辺像高において、「film」の文字を、K4=−0.675に対応する被写体距離で撮像して得られる近景像のRAWデータ21である。また、図7(F)は、周辺像高において、「film」の文字を、K4=0に対応する被写体距離で撮像して得られる近景像のRAWデータ21である。これらは、中間像高の場合よりも、周辺像高における軸外デフォーカスMTFのS方向とT方向のギャップが顕在化することを反映し、S方向とT方向とでボケ方の不均一性がより目立つ。
上述のように、焦点深度拡張光学系11で撮像して得られるRAWデータ21(及び画像15)では、像高に応じて像のボケ方が不均一になることがある。また、一般的なカメラや人間の視覚は、画像の周辺ほど解像度が低いので、周辺像高においてS方向とT方向とのボケ方の不均一さにより、一方向に解像度が向上して見えてしまうと、不自然さを感じる画像となってしまう。
このような像高に応じたボケ方(解像度)の不均一性は、ツェルニケ多項式第12項Z12の係数K12の大きさを調節することによって緩和することができる。このため、焦点深度拡張光学系11は、係数K12の絶対値|K12|が以下に説明する条件をみたすように、レンズ11a,11bや焦点深度拡張素子16の面形状等が定められている。
図8に示すように、K4=−0.675において、係数K12に対するMTFの変化を表すグラフであり、これを例えば図4〜図6で示した軸上デフォーカスMTF及び軸外デフォーカスMTFと比較すれば、光軸上でK4=−0.675にデフォーカスして撮像する場合のMTF(図4のK4=−0.675)はZ12=0のMTFに、中間像高でK4=−0.675にデフォーカスして撮像する場合のMTF(図5のK4=−0.675)はZ12=−0.10のMTFに、周辺像高でK4=−0.675にデフォーカスして撮像する場合のMTF(図6のK4=−0.675)はZ12=−0.30のMTFに、それぞれ対応する。また、図8から分かるように、係数K12の絶対値|K12|が大きくなるほど、S方向とT方向のMTFのギャップが大きくなるので、絶対値|K12|が小さければ、S方向とT方向のMTFのギャップが緩和されることにより、画像内でのボケ方及び解像度の不均一性が緩和される。
図8に示す係数K12に対するMTFの変化と、図7(A),(C),(E)で示した各像高でデフォーカスして撮像して得られる像の対応関係を考慮すると、Z12=0における像のMTFを基準値とすると、S方向とT方向のMTFのギャップがこの基準値の2倍以上に広がると、S方向とT方向の解像度の相違により、ボケ方が不自然な画像となる。このため、焦点深度拡張光学系11は、係数K12が、MTFが基準値の2倍より小さい範囲に定められている。具体的に、図8においては、|K12|<0.3である。
また、図8においては、矢印P及びQで示すように、|K12|≦0.3の範囲内において、S方向のMTF及びT方向のMTFがほぼ0となる点があり、この点P,Qを境にMTFの位相が反転している。MTFが0になると像が伝達されず、位相の反転は2線ボケ等のアーチファクトの原因となるため正確な像を伝達できない。このため、焦点深度拡張光学系11は、係数K12の大きさが、係数K12に対するS方向のMTF及びT方向のMTFが0となる点以下の範囲内であることが好ましい。具体的に、図8においては、点P(K12=−0.275)より大きく、点Q(K12=+0.275)よりも小さい範囲、すなわち|K12|<0.275であることが好ましい。
さらに、S方向のMTFとT方向のMTFとの差が基準値の2倍以下であっても、S方向のMTFとT方向のMTFの比が1:2(あるいは2:1)以上に離れるとS方向とT方向とでボケ方(解像度)の不均一性が目立つようになる。このため、S方向のMTFとT方向のMTFの比が1:2または2:1より小さい範囲内に、K12の値が定められていることが好ましい。
S方向のMTFとT方向のMTFの関係はK12=0を境に反転する。また、S方向とT方向のMTFの係数K12に対する大小関係は実際の焦点深度拡張光学系11の構成によって変化する。すなわち、図8では、係数K12のプラス側でS方向よりもT方向のMTFが大きく、係数K12のマイナス側でT方向よりもS方向のMTFが大きいが、この関係は具体的な焦点深度拡張光学系11の構成によって逆になり、係数K12のプラス側でT方向よりもS方向のMTFが大きく、係数K12のマイナス側でS方向よりもT方向のMTFが大きくなることがある。このため、上述の条件は、S方向のMTFがT方向のMTFの2倍となる係数K12の値を第1閾値Th1、T方向のMTFがS方向のMTFの2倍となる係数K12の値を第2閾値Th2とするときに、係数K12が第1閾値Th1より大きく第2閾値Th2より小さいという条件(Th1<K12<Th2)、または、係数K12が第1閾値より小さく第2閾値より大きいという条件(Th2<K12<Th1)である。具体的に、図8では|K12|<0.08である。
焦点深度拡張光学系11は、上述の条件を満たすようにレンズ11a,11bや焦点深度拡張素子16の面形状等が定められているため、EDoF撮像システム10で撮像した画像15内では、像のボケ方及び解像度の均一性が向上する。
なお、上述の各条件を満たす像高の範囲が、像のボケ方及び解像度が均一になる範囲である。したがって、焦点深度拡張光学系11では、全ての像高において満たされていることが好ましい。
なお、上述の各条件は、K4=−0.675にデフォーカスされた場合を例に説明したが、K4=0のベストピントの場合等、他の係数K4が他の値の場合も同様である。また、上述の各条件は、簡単のためにK9=−0.18,K16=−0.057,K25=−0.0156,他K4,K12を除く全係数を0とした球面収差調節型の焦点深度拡張光学系のMTFを例に説明したが、これに限らない。係数K12以外の各係数Kjは実際の焦点深度拡張光学系11に必要とされる具体的な性能に応じて任意に決定して良い。
なお、上述の実施形態では、ツェルニケ多項式Zの第12項Z12と、軸外デフォーカスMTFの関係を説明したが、ツェルニケ多項式Zの中には、軸外デフォーカスMTFに対して第12項Z12とほぼ同様の関係を有する項がある。具体的には、第13項Z13(n=4,m=−2)=(4ρ4−3ρ2)sin(2θ)である。第13項は、第12項Z12で表される波面モードを45度回転させた波面モードを表しており、図9に示すように、軸外デフォーカスMTFをS方向から45度傾斜した方向S45と、T方向から45度傾斜した方向T45とについて測れば、画像15に対して第12項Z12と同様の効果をもたらす。したがって、第13項Z13の係数K13についても、上述の第12項Z12の係数K12と同様に、上述の条件を満たすことが好ましい。但し、レンズ11a,11b及び焦点深度拡張素子16は光軸L0に対して回転対称であるため、焦点深度拡張光学系11の設計時に係数K12について上述の条件を満たすように焦点深度拡張光学系11を形成することと、係数K13について上述の条件を満たすように焦点深度拡張光学系11を形成することは等価である。しかし、実際に製造した焦点深度拡張光学系11の波面をツェルニケ多項式Zの重ね合せで展開する場合、レンズ11a,11bや焦点深度拡張素子16の配置誤差、他の収差等との影響により、係数K12と係数K13は、必ずしも同一になるとは限らない。したがって、係数K13も係数K12と同様の条件をみたすことが好ましい。
なお、焦点深度拡張光学系11は、焦点が、合焦範囲Eに拡張されているが、固定焦点レンズの一種である。したがって、焦点深度拡張光学系11及びEDoF撮像システム10は、固定焦点レンズとして、あるいは固定焦点レンズを用いる他の撮像システムのかわりに好適に用いることができる。この場合、他のな焦点深度拡張光学系のデメリットである解像度分布(不自然なボケ味)もなく、固定焦点レンズを用いる場合よりも被写界深度が拡張された画像を容易に得ることができる。
なお、上述の実施形態では、焦点深度拡張光学系11のレンズ11a,11bや焦点深度拡張素子16が固定されている例を説明したがこれに限らない。焦点深度拡張光学系11のレンズ11a,11bや焦点深度拡張素子16を移動させることにより、撮像した画像を用いてオートフォーカスを行う撮像システムにおいても好適に用いることができる。このような、オートフォーカスを行う撮像システムでは、左右(あるいは上下)の視差のある像から適切な焦点距離を計測するが、画像15内の位置によってボケ味が異なる従来の焦点深度拡張光学系を用いることができなかった。しかし、焦点深度拡張光学系11は、ボケ味が画像15内の位置によらずにほぼ一定なので、こうした撮像システムにも好適に用いることができる。オートフォーカスを行う撮像システムに焦点深度拡張光学系11を用いる場合、レンズ11a,11bまたは焦点深度拡張素子16を光軸に沿って移動させることにより、合焦範囲Eを光軸に沿って移動させる。また、ズームレンズのように、焦点深度拡張光学系11のレンズ11a,11bや焦点深度拡張素子16を移動させることによって、合焦範囲Eの長さを変更するようにしても良い。これらの場合には、レンズ11a,11bや焦点深度拡張素子16の移動後(あるいは移動中)にも、上述の係数K12の条件(及び係数K13の条件)が満たされるようにしておけば良い。
なお、上述の係数K12(及び係数K13)の条件は、焦点深度拡張光学系11のレンズ11a,11bや焦点深度拡張素子16の面形状を一義に定める条件ではない。このため、上述の係数K12(及び係数K13)の条件を満たしながら、レンズ11a,11bや焦点深度拡張素子16の面形状の様々な組み合わせで焦点深度拡張光学系11を形成することができる。したがって、上述の係数K12(及び係数K13)の条件は、合焦範囲Eの大きさ等、焦点深度拡張光学系としての性能が異なる種々の焦点深度拡張光学系で満たすことができる。
なお、上述の実施形態では、ツェルニケ多項式Zの第12項Z12と、第13項Z13について説明したが、第21項Z21(n=6,m=2:(15ρ6−20ρ4+6ρ2)cos(2θ))は第12項Z12と、第22項Z22(n=6,m=−2:(15ρ6−20ρ4+6ρ2)sin(2θ))は第13項Z13と各々類似した特徴を有する波面モードである。しかし、第12項Z12や第13項Z13ほど、軸外デフォーカスMTFに対する影響は大きくない。このため、軸上デフォーカスMTFのS方向とT方向とのギャップを解消するためには、第12項Z12(第13項Z13)の係数について、上述の係数K12(及び係数K13)の条件を満たすようにすれば良い。
なお、上述の実施形態では、画像処理装置13で復元処理を施すことにより、被写界深度が拡張された画像15を得る構成を説明したが、これに限らない。例えば、焦点深度拡張光学系11のMTF性能によっては、撮像素子12が出力するRAWデータ21で既にある程度の被写界深度が拡張された画像が得られることがある。こうした場合には、必ずしも復元処理を施す必要はない。また、焦点深度拡張光学系11のMTF性能によっては、復元処理を行わず、エッジ強調処理やコントラスト強調処理を施すことによって、簡易的に被写界深度が深化されたように見える画像を得ることもできる。また、こうした復元処理を行わずに得られる被写界深度が拡張されたように見える画像は、復元処理を行わない分、高速に得られるので、動画を撮像する場合に有効である。復元処理を行うEDoF撮像システム10においても、動画撮像時には復元処理を行わないようにしても良い。
なお、撮像素子12は、CCD型撮像素子でも、CMOS型撮像素子でも良い。また、この他の構造の撮像素子であっても良い。
なお、上述の実施形態では、焦点深度拡張光学系11が光軸を含む中心近傍の光束を手前(被写体14)側に収束させ、外側を通る光束を奥(撮像素子12)側に収束させる例を説明したが、これに限らない。光軸を含む中心近傍の光束を奥(撮像素子12)側に、外側を通る光束を手前(被写体14)側に収束させるようにしても良い。
なお、焦点深度拡張光学系11にレンズ11a,11bを備える例を説明したが、焦点深度拡張素子16以外のレンズは1枚でも良く、3枚以上でも良い。また、レンズ11a,11bの面形状は任意であり、球面を含んでいても良いが、焦点深度拡張光学系11には少なくとも1枚の非球面が含まれる。
10 EDoF撮像ステム
11 焦点深度拡張光学系
11a,11b レンズ
12 撮像素子
13 画像処理装置
14 被写体
14a 点
15 画像
16 焦点深度拡張素子
21 RAWデータ
11 焦点深度拡張光学系
11a,11b レンズ
12 撮像素子
13 画像処理装置
14 被写体
14a 点
15 画像
16 焦点深度拡張素子
21 RAWデータ
Claims (13)
- 被写体からの光を撮像素子に結像させるレンズと、
前記レンズによる結像位置を、光軸からの距離に応じて変化させるように波面を調節し、焦点を、幅を持った合焦範囲に拡張させる波面調節手段と、を備え、
前記レンズ及び前記波面調節手段を透過後の波面ψをツェルニケ多項式Zj(n,m)を各項とする式ψ=ΣKj・Zjで表し、第12項Z12(n=4,m=2)の係数K12が0の場合のサジタル方向及びタンジェンシャル方向に共通のMTFを基準値とするときに、サジタル方向とタンジェンシャル方向のMTFのギャップが前記基準値の2倍より小さい範囲内に、前記係数K12が定められていることを特徴とする焦点深度拡張光学系。 - 前記係数K12の絶対値|K12|が、|K12|<0.3を満たすことを特徴とする請求項1記載の焦点深度拡張光学系。
- 第12項Z13(n=4,m=−2)の係数K13が、K13=0におけるMTFを基準値として、サジタル方向とタンジェンシャル方向のMTFのギャップが前記基準値の2倍より小さい範囲内に、前記係数K13が定められていることを特徴とする請求項1または2記載の焦点深度拡張光学系。
- 前記係数K13の絶対値|K13|が、|K13|<0.3を満たすことを特徴とする請求項3記載の焦点深度拡張光学系。
- 前記係数K12に対するサジタル方向及びタンジェンシャル方向のMTFが0となる点以下の範囲内で、前記係数K12が定められていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の焦点深度拡張光学系。
- 前記係数K13の絶対値|K13|が、|K13|<0.275を満たすことを特徴とする請求項5記載の焦点深度拡張光学系。
- サジタル方向のMTFがタンジェンシャル方向のMTFの2倍となる係数K12の値を第1閾値Th1、タンジェンシャル方向のMTFがサジタル方向のMTFの2倍となる係数K12の値を第2閾値Th2とするときに、前記係数K12がTh1<K12<Th2、またはTh2<K12<Th1の条件を満たす範囲内の値であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の焦点深度拡張光学系。
- 前記係数K13の絶対値|K13|が、|K13|<0.08を満たすことを特徴とする請求項7記載の焦点深度拡張光学系。
- 全ての像高において、サジタル方向とタンジェンシャル方向のMTFのギャップが前記基準値の2倍より小さい範囲内に、前記係数K12が定められていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の焦点深度拡張光学系。
- 前記レンズ及び前記波面調節手段は固定され、前記合焦範囲の位置及び大きさが一定の固定焦点レンズ系であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の焦点深度拡張光学系。
- 前記レンズまたは前記波面調節手段が移動可能に設けられ、前記合焦範囲の位置または大きさが調節可能であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の焦点深度拡張光学系。
- 被写体の像を撮像する撮像素子と、
前記被写体からの光を前記撮像素子に結像させるレンズと、前記レンズによる結像位置を、光軸からの距離に応じて変化させるように波面を調節し、焦点を、幅を持った合焦範囲に拡張させる波面調節手段と、を有し、前記レンズ及び前記波面調節手段を透過後の波面ψをツェルニケ多項式Zj(n,m)を各項とする式ψ=ΣKj・Zjで表し、第12項Z12(n=4,m=2)の係数K12が0の場合のサジタル方向及びタンジェンシャル方向に共通のMTFを基準値とするときに、サジタル方向とタンジェンシャル方向のMTFのギャップが前記基準値の2倍より小さい範囲内に、前記係数K12が定められている焦点深度拡張光学系と、
を備えることを特徴とする撮像システム。 - 前記撮像素子が出力するデータに復元処理を施すことにより、前記合焦範囲に対応して被写界深度が拡張された画像を生成する画像処理手段を備えることを特徴とする請求項12記載の撮像システム。
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