JP4818957B2 - 撮像装置およびその方法 - Google Patents
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Description
特に、デジタルカメラに象徴されるように撮像面は従来のフィルムに変わって固体撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device),CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサが使用されているのが大半である。
この撮像レンズ装置1は、光学系2とCCDやCMOSセンサ等の撮像素子3とを有する。
光学系は、物体側レンズ21,22、絞り23、および結像レンズ24を物体側(OBJS)から撮像素子3側に向かって順に配置されている。
図29(A)〜(C)は、撮像レンズ装置1の撮像素子3の受光面でのスポット像を示している。
また、伝達関数を用いたフィルタ処理を行うデジタルカメラの自動露出制御システムが提案されている(たとえば特許文献7参照)。
したがって、単焦点でのレンズではともかく、ズーム系やAF系などのレンズでは、その光学設計の精度の高さやそれに伴うコストアップが原因となり採用するには大きな問題を抱えている。
換言すれば、従来の撮像装置においては、適正なコンボリューション演算を行うことができず、ワイド(Wide)時やテレ(Tele)時のスポット(SPOT)像のズレを引き起こす非点収差、コマ収差、ズーム色収差等の各収差を無くす光学設計が要求される。
しかしながら、これらの収差を無くす光学設計は光学設計の難易度を増し、設計工数の増大、コスト増大、レンズの大型化の問題を引き起こす。
したがって、一般的な深度拡張システムにおいては、撮影する被写体に対して最適な復元処理を施すことができないという不利益がある。
そのため、本実施形態においては、撮影する被写体に対しての最適な復元処理を施すことができるように、一度復元処理を行った後、その被写体像の情況に合わせ、最適な画像復元量を算出し、その最適な復元処理にて再度復元する。
フィルタリング処理を受けた後に撮像素子により得られた被写体の画像データの振幅相関値とエッジの微分値の何れか若しくは両方を検出し(ST3)、たとえば被写体の物体距離(復元処理係数)を決定する(ST4)。
そして、この決定に応じたフィルタをボケ復元フィルタ群から選択して新復元係数で再度フィルタリング処理による復元処理を行う(ST5)。
これにより、撮影する被写体に対しての最適な復元処理を施すことができる。
本実施形態の光学系110は、後述するように、光波面変調素子を含み、合焦位置およびその前後の距離において焦点のボケ量が略一定となるように形成されている。
本実施形態では、撮像素子120の撮像面は、光学系110のレンズの無限位置に配置されている。
信号処理部140は、デジタル画像信号の処理の画像処理を施して第1メモリ150に格納する。
ボケ復元処理部160は、制御部200の露出情報や被写体画像データの振幅相関値(エッジの微分値)に基づくボケ復元デジタルフィルタの選定結果に応じたデジタルフィルタを復元フィルタ180として用いて、光学的伝達関数(OTF)を介して撮像された画像データに対してフィルタ処理を行って、ボケ復元処理を行い、ボケ復元処理後の画像を第2メモリ170に格納する。
ボケ復元処理部160は、撮像素子120からの画像の焦点のボケを補正して復元した画像信号を生成する。より具体的には、ボケ復元処理部160は、撮像素子120からの被写体分散画像信号より分散のない画像信号を生成する機能を有する。
焦点ボケ量検出回路190は、第2メモリ170に格納されたボケ復元処理画像を読み出して、制御部200の制御の下、2回目の復元処理を受けた被写体画像データの場合には、再度復元処理を受けた画像データを制御部200に入力させる。
制御部200は、焦点ボケ量検出回路190により供給されたボケ復元処理が施された画像に対して、カラー補間、ホワイトバランス、YCbCr変換処理、圧縮、ファイリング等の所定の画像処理を行い、図示しないメモリへの格納やモニタ装置220への画像表示制御等を行う。
制御部200は、複数のデジタルフィルタを用い、各デジタルフィルタでのボケ復元処理を行わせ、焦点ボケ量検出回路190の検出結果に応じて2復元処理に用いる最適なフィルタを選択させる。
この最適な処理を施すことで、測距駆動系のいらない撮影システムが出来る。特に、F値の小さいレンズ系になればより効果が発揮される。
通常、画像のボケ状態(ピントの状態)は振幅相関値(コントラストの強弱)に相関があるが、これは被写体の明るさに影響を受ける。自動露出制御で受光量は一定の明るさになるように制御されてはいるが、何らかの条件の変化等で絶対値が変化することは否めない。
このような場合でも画像のエッジの微分値を用いれば、明るさの影響を受けることなく絶対値検出が可能である。もちろんこれらを組み合わせて使い、ボケ量の検出をすることも可能である。
図5〜図7は、撮影されたエリア内の画素エリアに対し、エッジ部の輝度差(微分値)を表したもので、微分値が大きいほうがエッジがくっきりしていることを表す。
図5は、規定エリア内においての撮影画像のエッジ部の特性を示す図である。
図6は、上記画像に規定のフィルタ処理を施した後の、同エッジ部の特性を示す図である。
図7は、規定フィルタ処理後のエッジ特性から、最適なフィルタを選択し、特定したフィルタにて画像処理を行ったエッジ部の特性を示す図である。
図8(A)はたとえば初期設定領域AR1を示している。
図8(B)は主要被写体をカバーするように、設定領域をAR1からAR2に拡大した場合を示している。
図8(C)は主要被写体に併せて設定領域をAR1からAR3に移動した場合を示している。
図9は、一般的な結像光学系の光線高さとデフォーカスとの関係を示す図である。
また、図10は、本実施形態の光学系の結像付近の光学特性を示す図である。
これに対し、本実施形態の光学系110は、図10に示すように、一般的な結像系光学系と異なり、ベストフォーカスの位置で光線が集中しないため、ベストフォーカス位置であってもボケている。しかしながら、本実施形態の光学系110は、このベストフォーカス近傍では、デフォーカス量に対してボケの形(PSF)の変化が鈍感になるように設計されている。
したがって、ベストフォーカス位置のPSFに応じたボケ復元処理を行えば、ベストフォーカス点はもちろんその前後もボケを除去し鮮明な画像を得ることができる。
これが本実施形態で採用している深度拡大の原理である。
図11、一般的な光学系のベストフォーカス(BestForcus)位置でのMTF(Modulation Transfer Function:変調伝達関数)特性図である。
図12は、本実施形態の光学系のMTF特性を示す図である。
ボケ画像を発生させるPSFの周波数特性がMTFであるので、これから所望のSFR特性まで引き上げるゲイン特性に設計してできたものがボケ復元フィルタである。どの程度のゲインにするかはノイズや偽像とのバランスで決めていく。
また、Aは元画像、Bはフィルタリングされた画像(ボケ復元画像)を示している。
この式から分かる通り、fを画像に重ねて各タップ同士の積和した結果をその重ねた中心座標の値とすることである。
図13(A)の復元フィルタ(既に180度回転済み)を図13(B)に示すボケ画像のA(i,j)上にフィルタの中心f(0,0)を重ね、各タップ同士の積をとりこの9個の総和値を図13(C)に示すボケ復元画像のB(i,j)とする。
(i,j)を画像全体に渡ってスキャンすると新たなB画像が生成される。これがデジタルフィルタである。ここではフィルタがボケ復元目的であるので、この処理を行なうことでボケ復元処理を実施することができる。
たとえば、本実施形態においては、可変絞りが設けられ、露出制御(装置)において可変絞りの絞り度(開口度)を制御する。
換言すれば、位相板113aによって深度の深い光束(像形成の中心的役割を成す)とフレアー(ボケ部分)を形成している。
前述したように、この規則的に分光した画像をデジタル処理により、ピントの合った画像に復元する手段を、前述した波面収差制御光学系システム(DEOS:Depth Expantion Optical system)といい、この処理をボケ復元処理部160において行う。
図15に示すように、被写体の画像fがDEOS光学系Hに入ることにより、g画像が生成される。
これは、次のような式で表される。
g=H*f
ただし、*はコンボリューションを表す。
f=H−1*g
ズームポジションをZPn,ZPn−1・・・とする。また、それぞれのH関数をHn,Hn−1、・・・・とする。
各々のスポット像が異なるため、各々のH関数は、次のようになる。
ここで、各々のH関数はメモリに格納しておいても構わないし、PSFをピントのボケ量(物体距離)の関数としておき、物体距離によって計算し、H関数を算出することによって任意の物体距離に対して最適なフィルタを作るように設定できるようにしても構わない。また、H関数を物体距離の関数として、物体距離によってH関数を直接求めても構わない。
なお、露出情報には、絞り情報が含まれる。
絞りを絞って撮影を行う場合、絞りによって光波面変調素子を形成する位相板113aが覆われてしまい、位相が変化してしまうため、適切な画像を復元することが困難となる。
そこで、本実施形態においては、本例のように、露出情報中の絞り情報に応じたフィルタ処理を行うことによって適切な画像復元を実現している。
図19は、撮像素子120からの被写体分散画像信号より分散のない画像信号を生成する画像処理装置300の構成例を示している。
また一方、所定の狭い範囲内に収差が生じない画像処理を施すことにより、所定の狭い範囲外の画像にぼけ味を出すことも可能になる。
本例においては、主被写体までの距離を、距離検出センサを含む物体概略距離情報検出装置400により検出し、検出した距離に応じて異なる画像補正の処理を行うことにように構成されている。
この構成の他にも、以下の構成を採用することが可能である。
そして、変換手段としてのコンボリューション装置301が、係数選択手段としての画像処理演算プロセッサ303で選択された変換係数によって、画像信号の変換を行う。
そして、変換手段としてのコンボリューション装置301が、変換係数演算手段としての画像処理演算プロセッサ303で得られレジスタ302に格納された変換係数によって、画像信号の変換を行う。
第2変換係数記憶手段としても機能するレジスタ302に、位相板113aに起因する収差に対応した変換係数を予め記憶する。
そして、被写体距離情報生成手段としての物体概略距離情報検出装置400により生成された距離情報に基づき、補正値選択手段としての画像処理演算プロセッサ303が、補正値記憶手段としてのレジスタ302から被写体までの距離に応じた補正値を選択する。
変換手段としてのコンボリューション装置301が、第2変換係数記憶手段としてのレジスタ302から得られた変換係数と、補正値選択手段としての画像処理演算プロセッサ303により選択された補正値とに基づいて画像信号の変換を行う。
図20は、撮像素子120からの被写体分散画像信号より分散のない画像信号を生成する画像処理装置300Aの構成例を示している。
また一方、所定の狭い範囲内に収差が生じない画像処理を施すことにより、所定の狭い範囲外の画像にぼけ味を出すことも可能になる。
本例においては、主被写体までの距離を、距離検出センサを含む物体概略距離情報検出装置500により検出し、検出した距離に応じて異なる画像補正の処理を行うことにように構成されている。
画像処理演算プロセッサ303が、撮影モード設定部600の操作スイッチ601により設定された撮影モードに応じて、被写体距離情報生成手段としての物体概略距離情報検出装置500により生成された情報に基づき、変換係数記憶手段としてのレジスタ302から変換係数を抽出する。このとき、たとえば画像処理演算プロセッサ303が変換係数抽出手段とて機能する。
そして、変換手段としてのコンボリューション装置301が、レジスタ302に格納された変換係数によって、画像信号の撮影モードに応じた変換処理を行う。
また一方、所定の狭い範囲内に収差が生じない画像処理を施すことにより、所定の狭い範囲外の画像にぼけ味を出すことも可能になる。
以下、この特徴について説明する。
図21(A)は焦点が0.2mmずれた場合(Defocus=0.2mm)、図21(B)が合焦点の場合(Best focus)、図21(C)が焦点が−0.2mmずれた場合(Defocus=−0.2mm)の各スポット像を示している。
図21(A)〜(C)からもわかるように、本実施形態に係る撮像装置100においては、位相板113aを含む波面形成用光学素子群113によって深度の深い光束(像形成の中心的役割を成す)とフレアー(ボケ部分)が形成される。
本実施形態においては、高精細な最終画像は後段の、たとえばデジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor)からなる画像処理装置160の補正処理に任せるため、図22(A),(B)に示すように、1次画像のMTFは本質的に低い値になっている。
図23中曲線Bで示す特性は、たとえば本実施形態のように、波面形成用光学素子を用いずに波面を変形させない場合に得られる特性である。
なお、本実施形態における全ての補正は、空間周波数のパラメータによる。
たとえば、図23のMTF特性の場合、空間周波数に対するエッジ強調の曲線は、図24に示すようになる。
本実施形態では、撮像素子120による1次画像は深度が非常に深い光束条件にしている。そのために、1次画像のMTFは本質的に低い値になっており、そのMTFの補正をボケ復元処理部(画像処理装置)160で行う。
物点の1点から発散された球面波は結像光学系を通過後、収斂波となる。そのとき、結像光学系が理想光学系でなければ収差が発生する。波面は球面でなく複雑な形状となる。幾何光学と波動光学の間を取り持つのが波面光学であり、波面の現象を取り扱う場合に便利である。
結像面における波動光学的MTFを扱うとき、結像光学系の射出瞳位置における波面情報が重要となる。
MTFの計算は結像点における波動光学的強度分布のフーリエ変換で求まる。その波動光学的強度分布は波動光学的振幅分布を2乗して得られるが、その波動光学的振幅分布は射出瞳における瞳関数のフーリエ変換から求まる。
さらにその瞳関数はまさに射出瞳位置における波面情報(波面収差)そのものからであることから、その光学系110を通して波面収差が厳密に数値計算できればMTFが計算できることになる。
本実施形態においても、波面の形状変化を波面形成用光学素子で行うのが主であるが、まさにphase(位相、光線に沿った光路長)に増減を設けて目的の波面形成を行っている。
そして、目的の波面形成を行えば、射出瞳からの射出光束は、図21(A)〜(C)に示す幾何光学的なスポット像からわかるように、光線の密な部分と疎の部分から形成される。
この光束状態のMTFは空間周波数の低いところでは低い値を示し、空間周波数の高いところまでは何とか解像力は維持している特徴を示している。
すなわち、この低いMTF値(または、幾何光学的にはこのようなスポット像の状態)であれば、エリアジングの現象を発生させないことになる。
つまり、ローパスフィルタが必要ないのである。
そして、後段のDSP等からなる画像処理装置160でMTF値を低くしている原因のフレアー的画像を除去すれば良いのである。それによってMTF値は著しく向上する。
図26は、光波面変調素子を有する本実施形態の光学系の場合において物体が焦点位置にあるときと焦点位置から外れたときのMTFのレスポンスを示す図である。
また、図27は、本実施形態に係る撮像装置のデータ復元後のMTFのレスポンスを示す図である。
この光学系によって結像された画像を、コンボリューションフィルタによる処理によって、MTFのレスポンスが向上する。
また、光学系110の構成を簡単化でき、製造が容易となり、コスト低減を図ることができる。
画質向上のため、可能な限りコントラストを上げることが望ましいが、そのことは高性能なレンズ系を必要とする。
現在、エリアジングの発生を避けるため、撮像レンズ装置では、一軸結晶系からなるローパスフィルタを併用し、エリアジングの現象の発生を避けている。
このようにローパスフィルタを併用することは、原理的に正しいが、ローパスフィルタそのものが結晶でできているため、高価であり、管理が大変である。また、光学系に使用することは光学系をより複雑にしているという不利益がある。
しかし、本実施形態によれば、ローパスフィルタを用いなくとも、エリアジングの現象の発生を避けることができ、高精細な画質を得ることができる。
Claims (7)
- 光波面変調素子を含む光学系と、
前記光学系によって得られた像を電気信号の画像データに変換する撮像素子と、
前記撮像素子により得られた画像のボケ量を検出する機能を有する演算手段と、
前記光学系の焦点位置を基準としてデフォーカス量に応じた点広がり関数から算出された複数のボケ復元フィルタと、
前記複数のボケ復元フィルタのいずれか一つで前記画像データをフィルタリング処理するフィルタ手段と、
前記撮像素子によって得られた画像データに、任意の前記ボケ復元フィルタによるフィルタリング処理を施した後に前記画像のボケ量を検出した検出結果に応じたフィルタを前記複数のボケ復元フィルタから再度選択して前記フィルタリング処理を行うように制御する制御手段と、を有し、
前記任意のボケ復元フィルタは、
前記光学系の撮影距離範囲において、至近側の限界位置に対しても、無限位置に対しても、略同等の焦点ボケ量が得られる被写体距離に対して最適となるボケ復元フィルタである
撮像装置。 - 前記画像のボケ量の検出は、画像データの振幅相関値とエッジの微分値の何れか若しくは両方に基づいて行う
請求項1に記載の撮像装置。 - 前記画像データの振幅相関値とエッジの微分値の何れか若しくは両方は画面内の所定の領域に対して検出を行う
請求項2に記載の撮像装置。 - 前記画面内の所定の領域は任意に設定が可能である
請求項3に記載の撮像装置。 - 前記制御手段は、
前記画像のボケ量からデフォーカス量の推定を行い、前記推定デフォーカス量に対して最適となるフィルタを選択する
請求項1から4のいずれか一に記載の撮像装置。 - 前記光学系の焦点位置は無限遠に設定されている
請求項1から5のいずれか一に記載の撮像装置。 - 光波面変調素子を含む光学系を通過した被写体像を撮像素子により撮像し、
前記撮像素子によって得られた画像データに、複数のボケ復元フィルタから任意のボケ復元フィルタを選択してフィルタリング処理を施し、
フィルタリング処理を受けた後に前記撮像素子により得られた画像のボケ量を検出し、
検出結果に応じたフィルタを複数のボケ復元フィルタから再度選択して前記フィルタリング処理を行い、
前記任意のボケ復元フィルタは、
前記光学系の撮影距離範囲において、至近側の限界位置に対しても、無限位置に対しても、略同等の焦点ボケ量が得られる被写体距離に対して最適となるボケ復元フィルタである
撮像方法。
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